JP2016004750A - 蛍光ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の蛍光ランプ1は、ガラス管2と、前記ガラス管2の内面上に形成される蛍光体層7と、熱電子放射物質(エミッタ)が担持されたフィラメント12を有する電極3と、を具備し、希ガスと水銀とを封入する蛍光ランプにおいて、前記ガラス管2が鉛フリーガラスで形成され、前記水銀の封入量が5mg未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
水銀を消耗する現象は、同時に、ガラス管の着色につながり、蛍光ランプの明るさを低下せしめ、光束維持率の低下につながる。
近年、業界をあげて、水銀封入量の低減が進められており、特に欧州のRoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令では、封入量の上限値が毎年下げられており、これに追随する動向となっている。こうした動向の中で、現在、例えば、環形蛍光ランプのほとんどは封入水銀量が5mgとなっているが、従来技術において寿命を延長するためには、より多くの水銀量を必要とすることになる。表現を変えると、蛍光ランプ内に封入する水銀量が少なすぎれば、蛍光ランプの定格寿命を確保することが困難になる。
また、本発明によれば、定格寿命が長くなることで、廃棄される蛍光ランプが少なくなるという環境負荷低減にもなる。
図1は、本実施形態に係る蛍光ランプ1の外観斜視図であり、ガラス管2の周壁の一部を切り欠いて、その内部の電極3の様子を示す図である。図2は、図1のガラス管2の部分断面図である。図3は、電極3の側面図である。
本実施形態に係る蛍光ランプ1は、後に詳しく説明するように、ガラス管2が鉛フリーガラスで形成され、このガラス管2内に封入される水銀量が5mg未満であることを主な特徴とする。
図1に示すように、蛍光ランプ1は、環状に湾曲させたガラス管2の両端が口金4で繋げられている。口金4には、口金ピン5が設けられている。この口金ピン5は、次に説明する電極3と電気的に接続されている。また、口金ピン5は、図示しない照明器具のプラグに対して嵌脱自在に電気的接続が可能となっている。
ガラス管2の環の径(環外径)は、蛍光ランプ電力に応じた所定の規格にて設定することができる。
ガラス管2の管径(管外径)は、例えば、15〜33mmの範囲内で設定することができる。望ましくは、29±4mmである。
また、ガラス管2の内表面積は、400〜1000 cm2の範囲内で設定することができる。
ガラス管2の肉厚は、例えば、1.0±0.1mm程度とすることができるが、これに限定されるものではない。
このようなガラス管2は、いわゆる鉛フリーガラスで形成されている。
この指令では、環境負荷が低い用途においては、除外項目として別の閾値を条件ごとに定めており、例えば蛍光ランプのガラス中であれば、鉛は0.2質量%まで含有可能となっている。このことは、蛍光ランプを製造するためのガラス原料の一成分として、ガラスカレットが含まれることを想定している。換言すれば、ガラスカレットには、微量の鉛ガラスが含まれてしまう可能性を想定している。
したがって、本実施形態での鉛フリーガラスとしては、前記のとおり原則として鉛を含まないものを想定しているが、RoHS指令に準拠して0.2質量%未満で鉛を含有するものまでを排除する趣旨ではない。
保護層6としては、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム(III)等の微粒子を含む層で形成されたものが挙げられる。保護層6は、ガラス管2から外部に向けて紫外光が放出されるのを抑制する。
また、保護層6には、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム(III)のほか、例えば、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を使用しても良い。また、これらを任意に組み合わせて使用することを妨げない。
保護層6の厚さとしては、例えば、0.1〜10μm程度に設定することができるがこれに限定されるものではない。
この蛍光体としては、例えば、Y2O3:Eu、YVO4:Eu、LaPO4:Ce,Tb、(Ba,Eu)MgAl10O17、(Ba,Sr,Eu)(Mg,Mn)Al10O17、Sr10(PO4)6Cl2:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cll2:Eu等が挙げられる。
希ガスとしては、例えば、希ガスとしては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ヘリウム等から選択した1種を又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
封入する希ガスの量としては、蛍光ランプ1の点灯時において、下記の封入量で水銀を含む混合ガスの蒸気圧で、例えば、100〜700Pa程度となる量に設定することができる。一般照明用として流通している蛍光ランプで最も好適に使用されているのは、240〜360Paの範囲である。
アマルガムを形成する金属としては、例えば、ビスマス、インジウム、鉛、スズ、亜鉛、カドミウム、銀等が挙げられる。また、アマルガムはペレット状、柱状、板状等の形状でガラス管2内に封入することができる。
図4に示すように、エミッタ付きフィラメント10は、フィラメント12と、このフィラメント12を被覆するエミッタ11と、を有して構成されている。
本実施形態での電線12a及び芯線12bは、タングステン、レニウム−タングステン合金等で形成されている。
すなわち、蛍光ランプ1の寿命時間は、JIS C 7601に規定する条件の下で点灯したとき、蛍光ランプ1が点灯しなくなるまでの総点灯時間、又は全光束が初期値の70%(演色性の区分を表す記号がDL、SDL及びEDLの蛍光ランプ、並びにコンパクト形蛍光ランプは60%)に下がるまでの総点灯時間のいずれか短い方の時間、と定義されている。
蛍光ランプ1が点灯しなくなるまでの総点灯時間のうち、電極3上のエミッタ材料が枯渇することによる寿命時間を電極寿命時間と呼ぶこととする。
蛍光ランプ1が点灯しなくなるまでの総点灯時間のうち、蛍光ランプ1内の封入水銀がすべて消耗することによる寿命時間を水銀消耗寿命時間と呼ぶこととする。
全光束が初期値の70%又は60%に下がるまでの総点灯時間を光束維持率寿命時間と呼ぶこととする。
そして、これらの寿命時間のうち、いずれか短い方の時間を総寿命時間と呼ぶこととする。
例えば、電極寿命時間が充分に長くとも、水銀消耗寿命時間や光束維持率寿命時間が短ければ、総寿命時間は短くなる。
この中で、通常点灯時に最も主たる原因となるのは、ガラスのソーダ分と水銀の反応である。つまり、ガラス管2のソーダ分と水銀が反応して、アマルガム合金を形成するなどして、金属水銀を不活性化、つまり消耗させる。
同時に、この反応で形成されるアマルガム等は、蛍光ランプ1の発光光を遮ることにも寄与するため、全光束(明るさ)を低下させ、結果、光束維持率を低下させることで、光束維持率寿命時間をも短くさせる。
したがって、本実施形態に係る蛍光ランプ1によれば、ガラス管2に封入される水銀量が5mg未満(望ましくは3mg以上、5mg未満)であっても長寿命化を達成することができる。具体的には、FCL30/28の蛍光ランプ1で20000時間の定格寿命を達成することができる。
近年、業界を挙げて、水銀封入量の低減が進められており、特に前記のRoHS指令では、封入量の上限値が毎年下げられており、これに追随する動向となっている。こうした動向の中で、現在、例えば、環形蛍光ランプのほとんどは封入水銀量が5mgとなっているが、従来技術において寿命を延長するためには、より多くの水銀量を必要とすることになる。
しかし、本実施形態に関わる蛍光ランプ1は、ガラス管2に鉛フリーガラスを使用しており、水銀の消耗スピードが遅くなり、また、光束維持率の低下が抑えられるため、寿命を延長する目的を達成するために、封入水銀量を5mgから増やさなくても良い、という環境負荷低減のメリットが潜在する。
ガラス管2に鉛フリーガラスを用いることにより、水銀の封入量が5mg未満であっても、ソーダガラスを用いた従来仕様に比較して、より長い寿命時間をもつ蛍光ランプ1を提供できる。
環形蛍光ランプは、水銀消耗を抑制するための保護層6を備えていても、直管状のガラス管2を800℃近くまで加熱して屈曲して製作する。このとき当該保護層6に亀裂が発生すると、保護層6としての機能が低下してしまうことが考えられる。請求項2に係る環形蛍光ランプの発明においては、保護層6を形成していなくとも、鉛フリーガラスを用いることで、水銀消耗の抑制、及び光束維持率低下の抑制ができる。そのため、封入水銀量が5mg未満であっても、ソーダガラスを用いた従来仕様に比較して、より長い寿命時間をもつ蛍光ランプ1を提供できる。
管径が29mm±4mmである蛍光ランプ1は、近年の管径の細い高周波点灯専用形に比較して、蛍光ランプ1の内表面積が約500〜約900cm2と大きい。特に、ソーダガラスを用いた従来仕様の蛍光ランプにおいては、この内表面積が大きいほど、ガラス管のソーダ分と水銀が接触及び反応する機会が多い。そして、この従来仕様の蛍光ランプにおいて寿命を延ばすためには、封入水銀量を多くする必要がある。しかし、本発明のように、鉛フリーガラスを用いれば、管径29mm±4mmである蛍光ランプ1においても、封入水銀量を5mg未満としたまま、寿命を延ばすことが可能となる。
前記実施形態では、環状の蛍光ランプ1について説明したが、本発明は直管形、U字形、及び放電路を通じるための接合部をもつ複数の直管形発光管をもつような、いずれの発光管形状にも適用することができる。
また、前記実施形態では、電極3のフィラメント12が3重コイルであるものについて説明したが、本発明はフィラメント12が前記の3重コイルをさらに螺旋形状に巻回した4重コイルとすることもできる。フィラメント12が4重コイルであるものは、熱電子の放射の効率に直接影響するフィラメント12とエミッタ11の接触面積が増加することで、蛍光ランプ1の寿命を長くすることができる。
(実施例1)
本実施例では、下記組成比の鉛フリーガラスからなるガラス管を有するスタータ形環形蛍光ランプを作製した。
SiO2:68.57質量%、Al2O3:1.81質量%、CaO:4.56質量%、SrO:3.84質量%、MgO:2.20質量%、BaO:4.07質量%、Na2O:8.96質量%、K2O:5.57質量%、Sb2O3:0.08質量%、P2O5:0.21質量%、SO3:0.03質量%、Fe2O3:0.06質量%、TiO2:0.03質量%、及びMnO:0.01質量%(以上合計で100質量%)。
表1中、No.1として示すFCL30EDK/28において、そのガラス管の管径は約29mm、環外径は約225mm、定格蛍光ランプ電力は28W、ガラス管の内表面積は約500cm2、フィラメントは3重コイル、希ガスはアルゴン、水銀封入量は4.5mgとした。水銀封入方法としては、亜鉛と水銀のアマルガム合金を用いた。ちなみに、ガラス管内における希ガスと水銀とのガス圧力は267Paであった。
表1中、No.2として示すFCL32EDK/30において、そのガラス管の管径は約29mm、環外径は約299mm、定格蛍光ランプ電力は30W、ガラス管の内表面積は約700cm2、フィラメントは3重コイル、希ガスはアルゴン、水銀封入量は4.5mgとした。水銀封入方法としては、亜鉛と水銀のアマルガム合金を用いた。ちなみに、ガラス管内における希ガスと水銀とのガス圧力は307Paであった。
表1中、No.3として示すFCL40EDK/38において、そのガラス管の管径は約29mm、環外径は約373mm、定格蛍光ランプ電力は38W、ガラス管の内表面積は約900cm2、フィラメントは3重コイル、希ガスはアルゴン、水銀封入量は4.5mgとした。水銀封入方法としては、亜鉛と水銀のアマルガム合金を用いた。ちなみに、ガラス管内における希ガスと水銀とのガス圧力は333Paであった。
水銀量を4.5mgとした理由は、材料組成、製造プロセスの変動により、量産製品として取りうる下限値として想定したためである。
これらの各要素による寿命時間を各々表1に示す。
蛍光ランプが点灯しなくなるまでの総点灯時間のうち、電極上のエミッタ材料が枯渇することによる寿命時間を電極寿命時間とした。
蛍光ランプが点灯しなくなるまでの総点灯時間のうち、蛍光ランプ内の封入水銀がすべて消耗することによる寿命時間を水銀消耗寿命時間とした。
全光束が初期値の70%に下がるまでの総点灯時間を光束維持率寿命時間とした。
そして、これらの寿命時間のうち、いずれか短い方の時間を総寿命時間とした。
なお、環形蛍光ランプの各品種について、本実施例に用いている電極の仕様は、同じ仕様の3重コイルであり、実績に基づいて、2σをとったときの最小値を記した。
本比較例では、次の組成比のソーダガラスからなるガラス管を使用したほかは、実施例1と同様にしてFCL30EDK/28、FCL32EDK/30及びFCL40EDK/38を作製した。
SiO2:71.8±1.0質量%、Al2O3:1.5±0.6質量%、(CaO、SrO、MgO):7.7±0.09量%、Na2O:16.2±0.5質量%、K2O:1.5±0.3質量%、Sb2O3:0.3±0.1質量%、及びFe2O3:≦0.2質量%(以上合計で100質量%)。
表1に示すように、実施例1で作製したFCL30/28(No.1)は、水銀消耗寿命時間が50630hであり、光束維持率寿命時間が22000hであった。つまり総寿命時間としては22000hであった。
つまり、実施例1の蛍光ランプは、比較例1の蛍光ランプと比べて総寿命時間が格段に延びることが検証された。
図6に示すように、蛍光ランプの光束維持率は、その点灯時間が増加するにしたがって次第に低下する。実施例1のFCL30/28は、比較例1のFCL30/28と比べて点灯時間に対する光束維持率の低下割合が小さい。表1に示す実施例1のFCL30/28(No.1)と、表2に示す比較例1のFCL30/28(No.1)とは、点灯初期から光束維持率にその差が生じていき、点灯時間を増すほどにその差は開いていく。そして、光束維持率寿命時間の算定基準となる光束維持率70%を下回るまでの点灯時間において、両者の差は4600hとなった。
つまり、3品種のいずれにおいても実施例1の蛍光ランプの光束維持率は、比較例1の蛍光ランプの光束維持率と比べて格段に優れていることが検証された。
実施例1の結果から得られる水銀消耗スピードを用い、各品種での水銀消耗時間が21000h以上と計算される水銀量(以下、これを最少水銀量と称する)を求めた。その結果を表3に示す。
2 ガラス管
3 電極
4 口金
5 口金ピン
6 保護層
7 蛍光体層
8 ガラスステム
9 インナリード線
10 エミッタ付きフィラメント
11 エミッタ
12 フィラメント
12a 電線
12b 芯線
13 1重コイル
14 2重コイル
15 3重コイル
D 中心軸方向
Claims (8)
- ガラス管と、
前記ガラス管の内面上に形成される蛍光体層と、
熱電子放射物質が担持されたフィラメントを有する電極と、
を具備し、
希ガスと水銀とを封入する蛍光ランプにおいて、
前記ガラス管が鉛フリーガラスで形成され、
前記水銀の封入量が5mg未満であることを特徴とする蛍光ランプ。 - 前記蛍光ランプが、
環形蛍光ランプであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。 - 前記蛍光ランプの管径が29mm±4mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光ランプ。
- 前記フィラメントが3重コイルで形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の蛍光ランプ。
- 前記3重コイルの芯線の径寸法が、0.05〜0.09mmであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の蛍光ランプ。
- 前記フィラメントが4重コイルで形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の蛍光ランプ。
- 封入される前記水銀と前記希ガスとを含む混合ガスの圧力が、240〜360Paの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の蛍光ランプ。
- 前記水銀の封入量が2.9mg以上であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の蛍光ランプ。
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