JP2004022385A - 蛍光ランプの製造方法、蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リサイクル蛍光体の再利用を防止し、既存の蛍光ランプより性能レベルの高い蛍光ランプの製造方法、蛍光ランプおよびこれらの蛍光ランプを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】
【請求項1】3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する第1の工程11と、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とし、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程12と、未使用のハロリン酸蛍光体と第2の工程で得た等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層を形成する第3の工程13と、蛍光体層を形成したガラスバルブの両端に一対の電極を封装して透光性放電容器を形成する第4の工程14と透光性放電容器内に放電媒体を封入する第5の工程15とを具備している。
【選択図】
図3
【解決手段】
【請求項1】3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する第1の工程11と、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とし、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程12と、未使用のハロリン酸蛍光体と第2の工程で得た等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層を形成する第3の工程13と、蛍光体層を形成したガラスバルブの両端に一対の電極を封装して透光性放電容器を形成する第4の工程14と透光性放電容器内に放電媒体を封入する第5の工程15とを具備している。
【選択図】
図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル蛍光体を用いた蛍光ランプの製造方法、蛍光ランプおよびこれらの蛍光ランプを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】3波長域発光形の蛍光ランプは、高効率および高演色で、照明の質向上を図れるため、ハロリン酸蛍光体を用いた蛍光体層を備えている蛍光ランプに比較して高価であるにもかかわらず近時かなり普及している。この蛍光ランプは、3波長域の発光を得るために、赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体を配合して得た3波長域発光形蛍光体を用いて蛍光体層を備えている。上記の各色域発光形蛍光体は、そのいずれも原料に希土類を用いているため、極めて高価である。
【0003】
ところで、従来、使用済み蛍光ランプは、たとえば実公昭59−7719号公報に記載されているように、ガラスを回収してリサイクルする一方、蛍光体をスラッジとして処分していた。一般に、使用済み蛍光ランプに含まれている蛍光体を回収しようとすると、ガラスバルブを破壊しなければならないので、どうしてもガラス破片が混入してしまう。このため、ガラス破片の分離が面倒で、コストアップになる。これに対して、使用済みの蛍光ランプのガラスバルブを破壊しないで蛍光体のみを吸い込むノズルをバルブの端部から挿入し、蛍光体を回収する技術が特開昭62−116685号公報に記載されている。
【0004】
しかし、使用済みの蛍光ランプから回収する蛍光体には、点灯中に水銀が付着したり、水銀が蛍光体と化合して水銀化合物を形成したりしている。蛍光体に水銀が付着していると、蛍光ランプの製造過程で水銀が不所望に蒸発して環境を悪化するので、予め除去しなければならない。また、蛍光体が水銀と結合して水銀化合物が形成されていると、蛍光体の性能が劣化する。
【0005】
一方、市販されている蛍光ランプは、使用している蛍光体の種類が3波長発光形蛍光体およびハロリン酸塩蛍光体に大別され、これらは分光放射特性が明らかに異なるため、これらをリサイクルするには蛍光体の種類ごとに分別して回収しなければならない。また、蛍光ランプは、種々の光源色のものがラインアップされていて、たとえば3波長域発光形の蛍光ランプの場合、その光源色によって昼光色(6700K)、昼白色(5000K)、温白色(3500K)および電球色(3000K)があり、それぞれ色温度が異なっている。
【0006】
使用済みの蛍光ランプから蛍光体を回収してリサイクルすることは、上記した種々の問題があるため、従来から検討されてはいたが、積極的に行われていなかった。しかし、環境維持の必要から種々の物品に対するリサイクルが強く求められている。蛍光体のリサイクルは、環境保護および省資源の観点から好ましいことであるとともに、また3波長域発光形蛍光体は、上述したように高価なので、リサイクルすることはとりわけ有意義である。
【0007】
そこで、本発明者らは、先に使用済みの蛍光ランプから蛍光体をリサイクルする方法およびリサイクルされた蛍光体を用いた蛍光ランプを発明し、この発明は特開2001−345047公報に開示されている。この先の発明においては、使用済みの蛍光ランプから蛍光体を回収し、加熱、精製してリサイクル蛍光体を得ることができる。このように処理することにより、蛍光体微粒子に付着したり内部に侵入したりした水銀やその化合物を除去して、蛍光体の性能回復を図ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、リサイクルの蛍光体の性能を未使用の蛍光体のそれに接近させることはできるものの、同等までには至らない。また、近付ければ近付けるほど処理コストが嵩むとともに、収量が低減してしまうという問題がある。したがって、リサイクルの蛍光体を用いた蛍光ランプは、未使用の蛍光体を用いた蛍光ランプより全光束が小さくなってしまうという問題がある。
【0009】
また、リサイクルの蛍光体を再度リサイクルすることによる品質劣化に対する決定的な防止策がまだ見つかっていないという問題もある。
【0010】
本発明は、リサイクル蛍光体の再利用を防止しやすいとともに、既存の蛍光ランプより性能レベルの高い蛍光ランプの製造方法、蛍光ランプおよびこれらの蛍光ランプを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の蛍光ランプの製造方法は、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する第1の工程と;リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程と;未使用のハロリン酸蛍光体と第2の工程で得た等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層をガラスバルブの内面側に形成する第3の工程と;蛍光体層を形成したガラスバルブの両端に一対の電極を封装して透光性放電容器を形成する第4の工程と;透光性放電容器内を排気し、放電媒体を封入する第5の工程と;を具備していることを特徴としている。
【0012】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0013】
<蛍光ランプについて> 本発明により製造する蛍光ランプは、「普通形」と称される一般照明用の蛍光ランプである。このタイプとしては、表1に示す品種の蛍光ランプが市販されている。なお、表1の全光束は直管スタータ形40W形のものを示している。
【0014】
【表1】
光源色 記号 相関色温度(K) 全光束(lm) 平均演色評価数(Ra)
昼光色 D 6500 2700 74
昼白色 N 5000 2950 72
白 色 W 4200 3100 61
温白色 WW 3500 3010 60
本発明においては、市販のこの種蛍光ランプと同様の相関色温度で、しかも、全光束および平均演色評価数において優れている蛍光ランプを製造することができる。また、蛍光ランプは、透光性放電容器、透光性放電容器の内面側に形成された蛍光体層、透光性放電容器の両端に封装された一対の電極および透光性放電容器の内部に封入された放電媒体を少なくとも具備している。さらに、必要に応じて口金などを具備することが許容される。以下、本発明により製造される蛍光ランプについて構成要素ごとに説明する。
【0015】
(透光性放電容器) 透光性放電容器は、ガラスバルブの両端をたとえば端板などの封止部材を用いて封止するか、または用いないでピンチシールなどによって直接封止することにより形成される。端板を用いて封止する場合、端板の部分は、一般的にはステムによって構成される。ステムを用いる場合、フレアステム、ビードステム、ボタンステムなどの既知のステム構造を採用することができる。
【0016】
ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の形状であることを許容する。また、ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の複数個を接続管によって1本の放電路が形成されるように連結してなる構造であることを許容する。さらに、ガラスバルブの管径および透光性放電容器の管軸、換言すれば放電路に沿った長さは制限されない。しかし、一般的には透光性放電容器の管径は40mm以下、また管軸に沿った長さは2400mm以下である。比較的管壁負荷の小さい一般照明用の蛍光ランプの場合、管径25〜38mmで、管軸に沿った長さ300〜2400mmである。また、高周波点灯専用形蛍光ランプの場合、管径15〜25.5mm、管軸に沿った長さ500〜2400mmである。さらに、コンパクト形蛍光ランプの場合、管径25mm以下、たとえば12〜22mm、管軸に沿った長さ2400mm以下、たとえば200〜2300mmである。さらにまた、電球形蛍光ランプの場合、管径13mm以下、たとえば8〜12mm、管軸に沿った長さ500mm以下、たとえば400〜500mmである。
【0017】
次に、透光性放電容器のガラスバルブの材質は、気密性、加工性および耐火性を備えていれば特に制限されないが、一般的にはこの種蛍光ランプに用いられている軟質ガラスが好適である。軟質ガラスには、鉛ガラスやソーダライムガラス、バリウムシリケートガラスなどがあるが、そのいずれでもよい。環境対応としては、ソーダライムガラスやバリウムシリケートガラスが望ましい。しかし、加工性などの点から、ソーダライムガラスと鉛ガラスを併用することができる。たとえば、最もガラスの使用量の多いバルブの部分をソーダライムガラスで形成し、ステムの部分を鉛ガラスで形成することができる。また、要すれば、硬質ガラス、半硬質ガラス、石英ガラスなど軟質ガラス以外のガラスをガラスバルブとして用いることができる。また、ナトリウムなどのアルカリ成分の含有率が低いガラスを用いてリサイクルされた蛍光体のアルカリ成分の析出による劣化を抑制することもできる。なお、透光性放電容器のガラスとして、使用済みの蛍光ランプの透光性放電容器をリサイクルして得たガラスを用いることができる。
【0018】
次に、透光性放電容器の形状について説明する。透光性放電容器は、直管形および環形のいずれであってもよい。さらに要すれば、U字状、半円状、U字状部分を2〜4個直列に接続するとともに適当な配置にした形状など種々の形状であることを許容する。
【0019】
(蛍光体層) 蛍光体層は、本発明により製造される蛍光ランプの特徴的構成部分である。すなわち、蛍光体層は、未使用のハロリン酸蛍光体および3波長域発光形蛍光体が混合して形成されている。そして、3波長域発光形蛍光体は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、その色温度がハロリン酸蛍光体の色温度と等色温度に調整されている。なお、「等色温度」とは、ハロリン酸蛍光体の色温度にほぼ等しい程度であることを許容する
次に、等色温度の3波長域発光形蛍光体についてさらに詳細に説明する。3波長域発光形蛍光体を用いた3波長域発光形の蛍光ランプは、表2に示す品種が市販されている。なお、表2の全光束は直管スタータ形40W形のものを示している。
【0020】
【表2】
光源色 記号 相関色温度(K) 全光束(lm) 平均演色評価数(Ra)
昼光色 EX−D−H 6700 3350 88
昼白色 EX−N−H 5000 3560 88
温白色 EX−WW−H 3500 3430 88
電球色 EX−L−H 3000 3560 88
したがって、たとえば昼白色の蛍光ランプ(EX−N−H形)から得たリサイクルの3波長域発光形蛍光体は、その相関色温度が5000Kなので、これを用いて普通形の白色の蛍光ランプ(W形)を製作する場合、未使用の赤色域発光形蛍光体を適量たとえばリサイクルの3波長域発光形蛍光体に対して5〜15質量%好適には10質量%程度を添加することにより、3波長域発光形蛍光体の色温度が低下して、等色温度の3波長域発光形蛍光体が得られる。
【0021】
また、等色温度の3波長域発光形蛍光体を得る過程において、色度偏差を調整することができる。なお、リサイクルの3波長域発光形蛍光体と未使用のハロリン酸蛍光体の色温度が等しい場合には、色度偏差のみを調整すればよい。
【0022】
さらに、未使用のハロリン酸蛍光体としては、アンチモン、マンガン付活ハロリン酸蛍光体(Ca10(PO4)6FCl:Sb,Mn)を用いて前述の各色温度の蛍光体を得ることができる。
【0023】
また、リサイクルの3波長発光形蛍光体および色温度調整用に用いる未使用の各色域発光形蛍光体としては、たとえば以下の蛍光体を用いることができる。
【0024】
また、蛍光ランプのそれぞれの発光色は、上記の蛍光体を適宜組み合わせることで、多様な色温度に調整することができる。たとえば、下記のように組み合わせることができる。
【0025】
昼光色(6700K):(3)+(4)+(6)
昼白色(5000K): 同上
温白色(3500K):(3)+(4)+(6)
電球色(3000K):(4)+(6)
次に、蛍光体層の構成について説明する。蛍光体層は、透光性放電容器の内面側に形成される。なお、「内面側」とは、透光性放電容器の内面に直接接触して形成している態様およびアルミナなどの保護膜およびまたは酸化チタンなどの反射膜を介して間接に形成している態様のいずれであってもよいという意味である。蛍光体層は、単一の蛍光体塗布膜および複数の蛍光体塗布膜のいずれから形成したものでもよい。単一の蛍光体塗布膜の場合には、未使用のハロリン酸蛍光体とリサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする等色温度の3波長域発光形蛍光体とを混合して塗布し、焼成して蛍光体層を形成する。なお、未使用のハロリン酸蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体とを混合するには、蛍光体塗布液を調整する以前に予め両蛍光体を混合しておく、蛍光体塗布液を調整する段階で所定量の両蛍光体を溶剤およびバインダーに各別に導入して懸濁させる、または未使用のハロリン酸蛍光体の塗布液と等色温度の3波長域発光形蛍光体の塗布液とを各別に調整したものを所定割合で混合して使用するなどの方法によることができる。
【0026】
(電極) 電極は、透光性放電容器内の両端側にその一対を封装して、それらの間で低圧水銀蒸気放電を生起させる。また、電極は、フィラメント電極、セラミックス電極、冷陰極など既知の電極を用いることができる。フィラメント電極は、タングステンの2重コイルまたは3重コイルに電子放射物質を塗布してなり、その両端を透光性放電容器を気密に貫通する一対の内部導入線の先端部に継線した構造を備えている。セラミックス電極は、たとえば開口部を備えた電気伝導性の容器内にアルカリ土類元素および遷移金属元素の酸化物を主体とし、表面を遷移金属元素の炭化物または窒化物で被覆した果粒状、スポンジ状または塊状の複合セラミックスからなる熱電子放出物質を収納させてなる構造を備えていて、1本の内部導入線の先端に支持されている。
【0027】
(放電媒体) 放電媒体は、低圧水銀蒸気放電を行わせるには、水銀および希ガスを含むものとする。また、低圧希ガス放電を行わせるには、希ガスたとえばアルゴンまたはネオンを適当圧力封入する。
【0028】
水銀は、液体水銀またはアマルガムとして封入される。液体水銀を封入するには、液体水銀を滴下するか、カプセルに入れて封入後適当な手段によってカプセルを破壊して水銀を取り出すことができる。また、アマルガムとして封入するには、ペレット状に成形したり、適当な金属板を基体としてアマルガムを担持させたりすることができる。
【0029】
次に、希ガスは、蛍光ランプの放電開始を容易にするため、および緩衝ガスとして用いられ、アルゴンAr、クリプトンKr、ネオンNeなどを200〜400Pa程度透光性放電容器内に封入される。また、希ガスは、Ar単体を封入してもよいし、またAr−Kr、Ne−Ar−Kr、Ne−Arなどの混合封入でもよい。
【0030】
<蛍光ランプの製造方法について> 本発明にしたがって蛍光ランプを製造するには、少なくとも第1の工程ないし第5の工程を経る必要がある。以下、分説する。
【0031】
(第1の工程) 第1の工程は、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意するための工程である。第1の工程は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体をその回収処理業者から直接または間接的に購入して用意する態様でもよいし、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収してリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する態様でもよい。
【0032】
また、3波長域発光形蛍光体を回収してリサイクルする場合は、蛍光体を回収する工程、回収した蛍光体を脱水銀処理する工程および次いで精製する工程などから第1の工程を構成することができる。蛍光体を回収する工程は、たとえば以下のように行われる。すなわち、使用済み蛍光ランプを回収し、その透光性放電容器をほぼ中央で切断して、バルブ内面から蛍光体を拭き取るか、エアブロアーまたはエアドロワーを蛍光体膜に当てて機械的に剥離させる。あるいは、透光性放電容器を細かく粉砕して蛍光体を回収してもよい。蛍光体を回収するに際しては、3波長発光形蛍光体を用いている蛍光ランプと、ハロリン酸塩蛍光体を用いている蛍光ランプとを、予め区分しておくことが望ましい。これらの蛍光体は、特性が明らかに相違しているからである。蛍光体は、リサイクルの回数が増加するとともに劣化の度合が大きくなるので、リサイクル回数ごとに分別回収するか、リサイクルは最初の1回だけにすることができる。
【0033】
脱水銀処理する工程は、浮遊沈澱法などにより、水銀およびガラス破片を除去し、さらに脱水してから、加熱処理される。この工程でリサイクル用蛍光体を加熱処理することにより、輝度が高いリサイクル蛍光体を得ることができる。
【0034】
また、脱水銀処理する工程として、上述した工程に加えるか、または代えて回収した蛍光体を酸処理してその表面層に捕捉されている水銀などを蛍光体の表面層をエッチングすることができる。しかし、一方で酸処理を行った蛍光体は、水銀やガスが付着しやすいという問題がある。これはエッチングによって蛍光体粒子の表面が荒れるためである。そこで、酸処理を行った後に、リサイクルの3波長域発光形蛍光体に表面処理を行うことにより、水銀やガスの付着を低減することができる。酸処理工程は、リサイクル蛍光体粒子の極薄い表面層をエッチングして除去するのが好ましい。たとえば、希硝酸溶液などを用いてリサイクル蛍光体を洗浄し、次いで純水にて洗浄することにより酸処理を行うことができる。表面処理は、リサイクル蛍光体粒子の表面に水銀やガスが付着しにくいように処理する工程であり、たとえばリサイクル蛍光体の蛍光体粒子の表面に金属酸化物の微粒子をほぼ均一に付着させたり、金属酸化物の連続的な薄膜を蛍光体粒子の表面に形成したりすることにより、表面処理を行うことができる。前者の態様の場合、金属酸化物微粒子の平均粒径は、10〜100nm程度が適当である。なお、3波長域発光形蛍光体の粒径は、蛍光体が5〜8μm程度である。
【0035】
リサイクル用蛍光体を精製する工程は、凝集して大きくなっているリサイクル用蛍光体を適当な粒子サイズにするためのもので、篩分およびまたはミーリングなどによりこれを行うことができる。
【0036】
そうして、以上の工程よりリサイクルされた3波長域発光形蛍光体の蛍光体としての品質レベルは、蛍光体の反射率または輝度を測定することにより判定することができる。
【0037】
(第2の工程) 第2の工程は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する工程である。なお、等色温度の3波長域発光形蛍光体が「リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする」とは、等色温度の3波長域発光形蛍光体中にリサイクルの3波長域発光形蛍光体が50質量%以上を占めていることをいう。
【0038】
ハロリン酸カルシウム蛍光体には、製造しようとする蛍光ランプの色温度に一致する色温度を呈するものを選択する。そして、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度をハロリン酸カルシウム蛍光体のそれにほぼ等しくなるように調整する手段は特段限定されないが、たとえば請求項2において規定しているように、未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体を選択的に混合することができる。
【0039】
(第3の工程) 第3の工程は、未使用のハロリン酸蛍光体と第2の工程で得た等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層をガラスバルブの内面側に形成する工程である。蛍光体層を形成するには、既知の湿式および乾式のいずれの方式を採用してもよい。
【0040】
等色温度の3波長域発光形蛍光体と蛍光体全量に対する配合比率は、特段限定されない。等色温度の3波長域発光形蛍光体が配合されていれさえすればよく、特に10質量%以上であれば、全光束が実質的に増加する。しかし、等色温度の3波長域発光形蛍光体の配合比率が大きくなるにしたがって全光束が大きくなるので、好ましいことである。また、リサイクルを積極的に行なった蛍光ランプを得ることができるという観点からも、等色温度の3波長域発光形蛍光体の配合比率が大きいことは有意義である。
【0041】
前者の場合、溶剤、結着剤およびバインダーの溶液に蛍光体を懸濁して蛍光体塗布液を調整し、たとえばバルブの内部に蛍光体塗布液を上から流下したり、バルブの下端から蛍光体塗布液を吹き上げたりして、蛍光体塗布液をバルブの内面に塗布して、蛍光体塗布膜を形成することができる。なお、バルブの両端に蛍光体塗布膜を形成しない場合には、バルブの内面の全体に蛍光体塗布膜を形成してから、バルブの両端の不要部分をバフなどによって拭き取ることができる。
【0042】
後者の場合、静電塗装などの粉体塗装法を用いることができる。
【0043】
蛍光体塗布膜を形成したら、次に蛍光体塗布膜を焼成して、蛍光体層を形成する。この蛍光体層焼成工程は、蛍光体塗布膜を形成したバルブを加熱炉中でたとえば600℃程度に加熱することにより、蛍光体塗布膜に含まれているバインダーを分解して除去するとともに、溶剤を蒸発させて蛍光体層を形成する。
【0044】
(第4の工程) 第4の工程は、蛍光体層を形成したバルブの両端に一対の電極を封装して、バルブの両端を封止することにより、透光性放電容器を形成するための工程である。バルブの両端に一対の電極を封装すると同時にバルブの両端を封止するために、フレアステムを用いる場合、フレアステムに排気管を付設しておくことにより、後工程の放電媒体の封入が容易になる。バルブの両端をピンチシールにより封止する場合、バルブの側面に排気管を付設することができる。
【0045】
透光性放電容器を環状に湾曲するなど曲成する場合には、透光性放電容器を形成した後に曲成工程を設けることができる。しかし、予め曲成した透光性放電容器を形成してから、上記工程により蛍光体層を形成することもできる。
【0046】
(第5の工程) 第5の工程は、放電媒体を透光性放電容器内に封入するための工程である。予め透光性放電容器のフレアステムに内部に連通して配設された排気管を経由して透光性放電容器の内部を排気してから、同様に排気管を経由して放電媒体を封入するという既知の手段を採用することができる。しかし、上記以外の既知の手段を採用することもできる。
【0047】
<本発明の作用について> 本発明においては、上記の工程を具備していることにより、いわゆる普通形の蛍光ランプを製造することができる。そして、以下に列挙する作用を奏する。
【0048】
1 リサイクル蛍光体の再利用を防止することができる。すなわち、3波長発光形の蛍光ランプと普通形の蛍光ランプは、形名が相違しているし、前者にはカラーマークを付していたりするので、使用済みの蛍光ランプを回収する際に、両者を区分するのは比較的容易である。したがって、3波長発光形の蛍光ランプを区分回収することにより、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の再利用を防止することが可能になる。これにより、リサイクル蛍光体の品質劣化を最小限に止めることができる。
【0049】
2 リサイクルの3波長域発光形蛍光体を用いて蛍光体層が形成されるので、蛍光ランプのリサイクル対象部分が多くなり、蛍光ランプの蛍光体のリサイクルを推進することができ、地球環境維持の観点から有効である。
【0050】
3 リサイクルの蛍光体は、どうしても性能が未使用の蛍光体より劣ってしまうが、本発明により製造される蛍光ランプにおいては、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする等色温度の3波長域発光形蛍光体が蛍光体層に混合されていることにより、上記のように蛍光ランプのリサイクルを推進しながら、しかも、従来一般使用されている普通形の蛍光ランプより全光束が大きい。たとえば3〜6%程度の全光束向上を達成することが可能になる。また、演色性が高くなる。たとえば10〜25%程度の平均演色評価数向上を達成することが可能になる。
【0051】
請求項2の発明の蛍光ランプの製造方法は、請求項1記載の蛍光ランプの製造方法において、第2の工程は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度を測定してハロリン酸蛍光体の色温度との差を求める工程と、色温度差に応じて、それぞれ未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体の中から選択した一種または複数種の蛍光体を所要量リサイクルの3波長域発光形蛍光体に混合する工程により構成されていることを特徴としている。
【0052】
本発明は、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程の好適な構成を規定している。すなわち、リサイクルの3波長域発光形蛍光体は、その色温度が回収した使用済みの蛍光ランプの区分の仕方などによって変化するので、最初に色温度を測定する。これに対して、未使用のハロリン酸蛍光体は、通常の場合、その色温度が予め既知なので測定しなくてよい。しかし、不明なときには測定すればよい。そうして、未使用のハロリン酸蛍光体の色温度とリサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度との差を求める。
【0053】
次に、求めた色温度差に応じて、それぞれ未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体の中から選択した一種または複数種の蛍光体を所定量リサイクルの3波長域発光形蛍光体に混合することにより、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成することができる。
【0054】
回収した3波長域発光形蛍光体を各色域発光形蛍光体に分離するのは容易でないが、未使用のものであれば、容易に入手することができる。また、リサイクルの3波長域発光形蛍光体をハロリン酸蛍光体の色温度と等色温度にするために使用する各色域発光形蛍光体の量は、リサイクルの波長域発光形蛍光体の5〜15質量%程度でよいので、得られた等色温度の3波長域発光形蛍光体は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体が主体になっている。したがって、製造される蛍光ランプがリサイクルの蛍光体を用いていることに本質的に変化はない。
【0055】
そうして、本発明においては、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成するのが容易、かつ、確実になる。
【0056】
請求項3の発明の蛍光ランプは、ガラスバルブからなる透光性放電容器と;リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、色温度がハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度に合わせた等色温度の3波長域発光形蛍光体および未使用のハロリン酸カルシウム蛍光体が混合して形成され、透光性放電容器の内面側に配設された蛍光体層と;透光性放電容器の両端に封装された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;透光性放電容器に装着された口金と;を具備していることを特徴としている。
【0057】
本発明は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を用いて構成された蛍光ランプを規定している。なお、蛍光ランプの透光性放電容器の端部表面などにリサイクル品であることを示す表示を配設することができる。
【0058】
そうして、本発明においては、蛍光体層がハロリン酸カルシウム蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合して構成されているので、普通形の蛍光ランプを容易に製造することができる。加えて、従来の普通形の蛍光ランプより全光束および平均演色評価数が高くてランプ特性が優れている
請求項4の発明の蛍光ランプは、請求項1記載の蛍光ランプにおいて、等色温度の3波長域発光形蛍光体は、蛍光体全量に対して30〜50質量%含まれていることを特徴としている。
【0059】
本発明は、等色温度の3波長域発光形蛍光体の蛍光体全量に対する配合比率の好適な構成を規定している。すなわち、配合比率が上記範囲内であれば、普通形の蛍光ランプでありながら、従来の普通形の蛍光ランプに比較して、全光束および平均演色評価数が顕著に増加して、魅力的な蛍光ランプになるとともに、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の使用量を多くすることができるので、蛍光体のリサイクルの観点からも好ましくなる。なお、3波長域発光形蛍光体の蛍光体全量に対する配合比率が30質量%未満になると、全光束および平均演色評価数の増加が顕著でなくなる。また、配合比率が50質量%を超えると、平均演色評価数が80を超えやすくなり、普通形の蛍光ランプでなくなり、商品としての魅力が著しく低下する。
【0060】
蛍光体層は、使用する蛍光体の一部または全部がリサイクル蛍光体によって構成されている。
【0061】
そうして、 本発明においては、普通形において全光束および演色性が顕著に向上しているとともに、蛍光体のリサイクルを進める観点からも好ましい蛍光ランプが得られる。
【0062】
請求項5の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に支持された請求項1または2記載の蛍光ランプの製造方法によって得られた蛍光ランプあるいは請求項3または4記載の蛍光ランプと;蛍光ランプを点灯する点灯回路と;を具備していることを特徴としている。
【0063】
本発明において、「照明装置」とは、蛍光ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。照明装置を例示すれば、照明器具、直下式バックライト装置、表示装置および信号灯装置などである。なお、照明器具は、家庭用の照明器具に好適であるが、これに限定されるものではなく、店舗用照明器具、オフィス用照明器具、屋外用照明器具などにも適応する。また、「照明装置本体」とは、照明装置から蛍光ランプおよび点灯回路を除いた残余の部分をいう。
【0064】
点灯回路は、蛍光ランプを所定条件で点灯する手段であり、照明装置本体に配設することができる。しかし、要すれば、点灯装置本体から離間して、たとえば天井裏などに配置することもできる。また、点灯回路は、コイルおよびコアを主体とする磁気漏れトランスやチョークコイル、高周波インバータを主体とする電子化点灯回路などを用いることができる。
【0065】
そうして、本発明の照明装置は、請求項1および2あるいは請求項3およびの作用、効果を奏する。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0067】
図1および図2は、本発明の蛍光ランプおよびその製造方法の一実施形態によって製造された蛍光ランプを示し、図1は正面図、図2は要部拡大断面図である。各図において、1は透光性放電容器、2は蛍光体層、3は電極、4は内部導入線、5は外部導入線、6は口金である。
【0068】
本実施形態の蛍光ランプは、FL40SS・W/37形で温白色の直管形蛍光ランプであり、透光性放電容器1の管径が28mm、管長が1198mmである。
【0069】
<透光性放電容器1> 透光性放電容器1は、ガラスバルブ1a、一対のフレアステム1b、1bからなる。ガラスバルブ1aおよびフレアステム1bは、バリウムシリケートガラスからなる。また、フレアステム1bは、排気管1b1およびフレア1b2を備え、一対の内部導入線4および外部導入線5を封着している。
【0070】
排気管1b1は、基端がチップオフされているとともに、先端が透光性放電容器1内に連通している。フレア1b2は、ガラスバルブ1aの両端に封止されて気密な透光性放電容器1を形成する。内部導入線4および外部導入線5は、フレアステム1bの内部でジュメット線を介して接続し、フレアステム1bに対して気密性を維持している。図2に示す排気管1b1は、透光性放電容器1の排気、封入後に封止される。
【0071】
透光性放電容器1の内部には、液体水銀および330PaのアルゴンArからなる放電媒体が封入している。
【0072】
<蛍光体層2> 蛍光体層2は、色温度が4200Kで、未使用のハロリン酸蛍光体および色温度が4200Kの3波長発光形蛍光体を混合して製作されてなり、透光性放電容器1の内面側に形成している。未使用のハロリン酸蛍光体と色温度が4200Kの3波長発光形蛍光体とは、一実施例として質量比で7:3の割合になっている。また、色温度が4200Kの3波長発光形蛍光体は、リサイクルの3波長発光形蛍光体に未使用の赤色域発光形蛍光体蛍光体を質量比で10%混合してなり、したがってリサイクルの3波長発光形蛍光体が主体になっている。
【0073】
次に、使用する蛍光体は、その化学式が以下のとおりである。
【0074】
ハロリン酸蛍光体 Ca10(PO4)6FCl:Sb,Mn
3波長域発光形蛍光体(リサイクルおよび未使用)
赤色域発光形蛍光体 Y2O3:Eu
緑色域発光形蛍光体 LaPO4:Ce,Tb
青色域発光形蛍光体 BaMgAl16O27:Eu,Mn
<電極3> 電極3は、タングステンワイヤーを2重コイル状に巻回し、かつ、2重コイル部分に電子放射性物質を塗布してなる2重コイルフィラメント形であり、一対の内部導入線4の先端部に継線されている。
【0075】
<口金6> 口金6は、口金本体6bおよび一対の口金ピン6a、6aからなる。口金本体6bは、キャップ状をなしていて、透光性放電容器1の両端部に接着されている。一対の口金ピン6a、6abは、口金本体6bに互いに絶縁関係に支持されているとともに、それぞれ外部導入線5、5に接続している。
【0076】
次に、実施例および比較例についてランプ特性を表3に示す。なお、表中の配合比率における「ハロ」はハロリン酸蛍光体を、「リサイクル」はリサイクルの3波長域発光形蛍光体を、それぞれ示す。また、「相対値」は比較例1の全光束を100%としたときの全光束の%である。サンプルは全て40W形の直管形蛍光ランプであり、比較例1は従来の温白色の普通形の蛍光ランプに相当する。また、比較例2はリサイクルの3波長域発光形蛍光体のみを用いて製作した3波長域発光形の蛍光ランプであり、市販の3波長域発光形蛍光ランプに比較すると、全光束および色温度が見劣りする。
【0077】
【表3】
図3および図4は、本発明の蛍光ランプの製造方法の一実施形態を示し、図3は全体の工程図、図4は第2の工程の内部工程を示す工程図である。以下、図に基づいて製造方法を工程順に説明する。
【0078】
第1の工程11において、回収した使用済みの3波長域発光形の蛍光ランプの透光性放電容器をほぼ中央で切断して、ガラスバルブから蛍光体を機械的に剥離して蛍光体を回収し、浮遊沈澱法により水銀およびガラス破片を除去し、脱水後、600℃の加熱処理を行ってから、さらにメッシュを用いて篩分し、かつ、ミーリングによって蛍光体粒子サイズを調整して精製してリサイクルの3波長域発光形蛍光体を得た。
【0079】
次に、第2の工程12は、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する工程で、図4に示すように、第2の1の工程12aおよび第2の2の工程12bからなる。第2の1の工程12aはリサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度を測定する工程である。第2の2の工程12bは、ハロリン酸蛍光体の色温度との色温度差に応じて所要量の未使用の色光発光形蛍光体をリサイクルの3波長域発光形蛍光体に添加し、混合することによって、色温度を未使用のハロリン酸蛍光体のそれに合わせる工程である。
【0080】
そうして、第2の工程において、等色温度の3波長域発光形蛍光体を得た。
【0081】
第3の工程13は、透光性放電容器の内面に蛍光体層を形成する工程である。未使用のハロリン酸蛍光体および等色温度の3波長域発光形蛍光体の表面にそれぞれ結着剤を付着させた後に、両蛍光体を質量比で7:3の割合にして、水およびバインダーからなる溶液に混合した蛍光体塗布液を調整した。次に、両端開放のガラスバルブ内に流下して蛍光体塗布膜を形成し、さらにガラスバルブの両端部の蛍光体塗布膜を除去した。蛍光体塗布膜を形成したガラスバルブを加熱炉に入れ約600℃に加熱して焼成し、バインダーを分解し除去して、蛍光体層を形成した。
【0082】
第4の工程14は、電極を封装して透光性放電容器を形成する工程である。すなわち、ガラスバルブの両端に一対の電極を支持したフレアステムすなわちフレアステム電極構体を封着することにより、ガラスバルブの両端を封止し、かつ、一対の電極を封装して透光性放電容器を形成した。
【0083】
第5の工程15は、透光性放電容器の内部に放電媒体を封入する工程である。すなわち、透光性放電容器の一端の排気管を予め封止しておき、他方の排気管を経由して透光性放電容器の内部を排気してから、放電媒体を他方の排気管を経由して透光性放電容器の内部に封入する。
【0084】
最後に、透光性放電容器1の両端に一対の口金を無機質接着剤を用いて装着して、普通形の蛍光ランプを得た。この蛍光ランプは、表3における実施例2に相当する。
【0085】
図5は、本発明の照明装置の一実施形態としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図である。図において、21は照明器具本体、22は蛍光ランプ、23は点灯回路である。
【0086】
照明装置本体21は、内部に放電ランプ点灯回路23を内蔵し、ランプソケット21aなどを備えている。
【0087】
蛍光ランプ12は、放電ランプ点灯回路の一部を構成しているが、ランプソケット21aに装着されることにより、照明装置本体21に支持されている。
【0088】
放電ランプ点灯回路23は、照明装置本体21内に配設されている。
【0089】
【発明の効果】
請求項1および2の各発明によれば、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する第1の工程と、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とし、ハロリン酸カルシウム蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程と、未使用のハロリン酸蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層を形成する第3の工程と、電極を封装して透光性放電容器を形成する第4の工程と、放電媒体を封入する第5の工程とを具備していることにより、蛍光体のリサイクルを推進しがら、しかも、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の再利用を防止しやすいとともに、従来のものより全光束および平均演色評価数が向上した普通形に好適な蛍光ランプを提供することができる。
【0090】
請求項2の発明によれば、加えて第2の工程がリサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度を測定してハロリン酸蛍光体のそれとの差を求める工程と、色温度差に応じて、未使用の色光発光形蛍光体を所要量リサイクルの3波長域発光形蛍光体に混合する工程により構成されていることにより、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成するのが容易、かつ、確実になる蛍光ランプを提供することができる。
【0091】
請求項3の発明によれば、ガラスバルブからなる透光性放電容器と、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体および未使用のハロリン酸カルシウム蛍光体が混合して形成され、透光性放電容器の内面側に配設された蛍光体層と、透光性放電容器の両端に封装された一対の電極と、透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と、透光性放電容器に装着された口金とを具備していることにより、蛍光体のリサイクルを推進しがら、しかも、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の再利用を防止しやすいとともに、従来のものより全光束および平均演色評価数が向上した普通形に好適な蛍光ランプを提供することができる。
【0092】
請求項4の発明によれば、加えて等色温度の3波長域発光形蛍光体は、蛍光体全量に対する配合比率が30〜50質量であることにより、普通形において全光束および演色性が顕著に向上しているとともに、蛍光体のリサイクルを進める観点からも好ましい蛍光ランプを提供することができる。
【0093】
請求項5の発明によれば、照明装置本体と、照明装置本体に支持された請求項1または2記載の蛍光ランプの製造方法によって得られた蛍光ランプあるいは請求項3または4記載の蛍光ランプと、蛍光ランプを点灯する点灯回路とを具備していることにより、請求項1ないし4の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光ランプおよびその製造方法の一実施形態によって製造された蛍光ランプを示す正面図
【図2】同じくは要部拡大断面図
【図3】本発明の蛍光ランプの製造方法の一実施形態を示す全体の工程図
【図4】同じく第2の工程の内部工程を示す工程図
【図5】本発明の照明装置の一実施形態としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図
【符号の説明】
11…第1の工程、12…第2の工程、13…第3の工程、14…第4の工程、15…第5の工程
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル蛍光体を用いた蛍光ランプの製造方法、蛍光ランプおよびこれらの蛍光ランプを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】3波長域発光形の蛍光ランプは、高効率および高演色で、照明の質向上を図れるため、ハロリン酸蛍光体を用いた蛍光体層を備えている蛍光ランプに比較して高価であるにもかかわらず近時かなり普及している。この蛍光ランプは、3波長域の発光を得るために、赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体を配合して得た3波長域発光形蛍光体を用いて蛍光体層を備えている。上記の各色域発光形蛍光体は、そのいずれも原料に希土類を用いているため、極めて高価である。
【0003】
ところで、従来、使用済み蛍光ランプは、たとえば実公昭59−7719号公報に記載されているように、ガラスを回収してリサイクルする一方、蛍光体をスラッジとして処分していた。一般に、使用済み蛍光ランプに含まれている蛍光体を回収しようとすると、ガラスバルブを破壊しなければならないので、どうしてもガラス破片が混入してしまう。このため、ガラス破片の分離が面倒で、コストアップになる。これに対して、使用済みの蛍光ランプのガラスバルブを破壊しないで蛍光体のみを吸い込むノズルをバルブの端部から挿入し、蛍光体を回収する技術が特開昭62−116685号公報に記載されている。
【0004】
しかし、使用済みの蛍光ランプから回収する蛍光体には、点灯中に水銀が付着したり、水銀が蛍光体と化合して水銀化合物を形成したりしている。蛍光体に水銀が付着していると、蛍光ランプの製造過程で水銀が不所望に蒸発して環境を悪化するので、予め除去しなければならない。また、蛍光体が水銀と結合して水銀化合物が形成されていると、蛍光体の性能が劣化する。
【0005】
一方、市販されている蛍光ランプは、使用している蛍光体の種類が3波長発光形蛍光体およびハロリン酸塩蛍光体に大別され、これらは分光放射特性が明らかに異なるため、これらをリサイクルするには蛍光体の種類ごとに分別して回収しなければならない。また、蛍光ランプは、種々の光源色のものがラインアップされていて、たとえば3波長域発光形の蛍光ランプの場合、その光源色によって昼光色(6700K)、昼白色(5000K)、温白色(3500K)および電球色(3000K)があり、それぞれ色温度が異なっている。
【0006】
使用済みの蛍光ランプから蛍光体を回収してリサイクルすることは、上記した種々の問題があるため、従来から検討されてはいたが、積極的に行われていなかった。しかし、環境維持の必要から種々の物品に対するリサイクルが強く求められている。蛍光体のリサイクルは、環境保護および省資源の観点から好ましいことであるとともに、また3波長域発光形蛍光体は、上述したように高価なので、リサイクルすることはとりわけ有意義である。
【0007】
そこで、本発明者らは、先に使用済みの蛍光ランプから蛍光体をリサイクルする方法およびリサイクルされた蛍光体を用いた蛍光ランプを発明し、この発明は特開2001−345047公報に開示されている。この先の発明においては、使用済みの蛍光ランプから蛍光体を回収し、加熱、精製してリサイクル蛍光体を得ることができる。このように処理することにより、蛍光体微粒子に付着したり内部に侵入したりした水銀やその化合物を除去して、蛍光体の性能回復を図ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、リサイクルの蛍光体の性能を未使用の蛍光体のそれに接近させることはできるものの、同等までには至らない。また、近付ければ近付けるほど処理コストが嵩むとともに、収量が低減してしまうという問題がある。したがって、リサイクルの蛍光体を用いた蛍光ランプは、未使用の蛍光体を用いた蛍光ランプより全光束が小さくなってしまうという問題がある。
【0009】
また、リサイクルの蛍光体を再度リサイクルすることによる品質劣化に対する決定的な防止策がまだ見つかっていないという問題もある。
【0010】
本発明は、リサイクル蛍光体の再利用を防止しやすいとともに、既存の蛍光ランプより性能レベルの高い蛍光ランプの製造方法、蛍光ランプおよびこれらの蛍光ランプを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の蛍光ランプの製造方法は、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する第1の工程と;リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程と;未使用のハロリン酸蛍光体と第2の工程で得た等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層をガラスバルブの内面側に形成する第3の工程と;蛍光体層を形成したガラスバルブの両端に一対の電極を封装して透光性放電容器を形成する第4の工程と;透光性放電容器内を排気し、放電媒体を封入する第5の工程と;を具備していることを特徴としている。
【0012】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0013】
<蛍光ランプについて> 本発明により製造する蛍光ランプは、「普通形」と称される一般照明用の蛍光ランプである。このタイプとしては、表1に示す品種の蛍光ランプが市販されている。なお、表1の全光束は直管スタータ形40W形のものを示している。
【0014】
【表1】
光源色 記号 相関色温度(K) 全光束(lm) 平均演色評価数(Ra)
昼光色 D 6500 2700 74
昼白色 N 5000 2950 72
白 色 W 4200 3100 61
温白色 WW 3500 3010 60
本発明においては、市販のこの種蛍光ランプと同様の相関色温度で、しかも、全光束および平均演色評価数において優れている蛍光ランプを製造することができる。また、蛍光ランプは、透光性放電容器、透光性放電容器の内面側に形成された蛍光体層、透光性放電容器の両端に封装された一対の電極および透光性放電容器の内部に封入された放電媒体を少なくとも具備している。さらに、必要に応じて口金などを具備することが許容される。以下、本発明により製造される蛍光ランプについて構成要素ごとに説明する。
【0015】
(透光性放電容器) 透光性放電容器は、ガラスバルブの両端をたとえば端板などの封止部材を用いて封止するか、または用いないでピンチシールなどによって直接封止することにより形成される。端板を用いて封止する場合、端板の部分は、一般的にはステムによって構成される。ステムを用いる場合、フレアステム、ビードステム、ボタンステムなどの既知のステム構造を採用することができる。
【0016】
ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の形状であることを許容する。また、ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の複数個を接続管によって1本の放電路が形成されるように連結してなる構造であることを許容する。さらに、ガラスバルブの管径および透光性放電容器の管軸、換言すれば放電路に沿った長さは制限されない。しかし、一般的には透光性放電容器の管径は40mm以下、また管軸に沿った長さは2400mm以下である。比較的管壁負荷の小さい一般照明用の蛍光ランプの場合、管径25〜38mmで、管軸に沿った長さ300〜2400mmである。また、高周波点灯専用形蛍光ランプの場合、管径15〜25.5mm、管軸に沿った長さ500〜2400mmである。さらに、コンパクト形蛍光ランプの場合、管径25mm以下、たとえば12〜22mm、管軸に沿った長さ2400mm以下、たとえば200〜2300mmである。さらにまた、電球形蛍光ランプの場合、管径13mm以下、たとえば8〜12mm、管軸に沿った長さ500mm以下、たとえば400〜500mmである。
【0017】
次に、透光性放電容器のガラスバルブの材質は、気密性、加工性および耐火性を備えていれば特に制限されないが、一般的にはこの種蛍光ランプに用いられている軟質ガラスが好適である。軟質ガラスには、鉛ガラスやソーダライムガラス、バリウムシリケートガラスなどがあるが、そのいずれでもよい。環境対応としては、ソーダライムガラスやバリウムシリケートガラスが望ましい。しかし、加工性などの点から、ソーダライムガラスと鉛ガラスを併用することができる。たとえば、最もガラスの使用量の多いバルブの部分をソーダライムガラスで形成し、ステムの部分を鉛ガラスで形成することができる。また、要すれば、硬質ガラス、半硬質ガラス、石英ガラスなど軟質ガラス以外のガラスをガラスバルブとして用いることができる。また、ナトリウムなどのアルカリ成分の含有率が低いガラスを用いてリサイクルされた蛍光体のアルカリ成分の析出による劣化を抑制することもできる。なお、透光性放電容器のガラスとして、使用済みの蛍光ランプの透光性放電容器をリサイクルして得たガラスを用いることができる。
【0018】
次に、透光性放電容器の形状について説明する。透光性放電容器は、直管形および環形のいずれであってもよい。さらに要すれば、U字状、半円状、U字状部分を2〜4個直列に接続するとともに適当な配置にした形状など種々の形状であることを許容する。
【0019】
(蛍光体層) 蛍光体層は、本発明により製造される蛍光ランプの特徴的構成部分である。すなわち、蛍光体層は、未使用のハロリン酸蛍光体および3波長域発光形蛍光体が混合して形成されている。そして、3波長域発光形蛍光体は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、その色温度がハロリン酸蛍光体の色温度と等色温度に調整されている。なお、「等色温度」とは、ハロリン酸蛍光体の色温度にほぼ等しい程度であることを許容する
次に、等色温度の3波長域発光形蛍光体についてさらに詳細に説明する。3波長域発光形蛍光体を用いた3波長域発光形の蛍光ランプは、表2に示す品種が市販されている。なお、表2の全光束は直管スタータ形40W形のものを示している。
【0020】
【表2】
光源色 記号 相関色温度(K) 全光束(lm) 平均演色評価数(Ra)
昼光色 EX−D−H 6700 3350 88
昼白色 EX−N−H 5000 3560 88
温白色 EX−WW−H 3500 3430 88
電球色 EX−L−H 3000 3560 88
したがって、たとえば昼白色の蛍光ランプ(EX−N−H形)から得たリサイクルの3波長域発光形蛍光体は、その相関色温度が5000Kなので、これを用いて普通形の白色の蛍光ランプ(W形)を製作する場合、未使用の赤色域発光形蛍光体を適量たとえばリサイクルの3波長域発光形蛍光体に対して5〜15質量%好適には10質量%程度を添加することにより、3波長域発光形蛍光体の色温度が低下して、等色温度の3波長域発光形蛍光体が得られる。
【0021】
また、等色温度の3波長域発光形蛍光体を得る過程において、色度偏差を調整することができる。なお、リサイクルの3波長域発光形蛍光体と未使用のハロリン酸蛍光体の色温度が等しい場合には、色度偏差のみを調整すればよい。
【0022】
さらに、未使用のハロリン酸蛍光体としては、アンチモン、マンガン付活ハロリン酸蛍光体(Ca10(PO4)6FCl:Sb,Mn)を用いて前述の各色温度の蛍光体を得ることができる。
【0023】
また、リサイクルの3波長発光形蛍光体および色温度調整用に用いる未使用の各色域発光形蛍光体としては、たとえば以下の蛍光体を用いることができる。
【0024】
また、蛍光ランプのそれぞれの発光色は、上記の蛍光体を適宜組み合わせることで、多様な色温度に調整することができる。たとえば、下記のように組み合わせることができる。
【0025】
昼光色(6700K):(3)+(4)+(6)
昼白色(5000K): 同上
温白色(3500K):(3)+(4)+(6)
電球色(3000K):(4)+(6)
次に、蛍光体層の構成について説明する。蛍光体層は、透光性放電容器の内面側に形成される。なお、「内面側」とは、透光性放電容器の内面に直接接触して形成している態様およびアルミナなどの保護膜およびまたは酸化チタンなどの反射膜を介して間接に形成している態様のいずれであってもよいという意味である。蛍光体層は、単一の蛍光体塗布膜および複数の蛍光体塗布膜のいずれから形成したものでもよい。単一の蛍光体塗布膜の場合には、未使用のハロリン酸蛍光体とリサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする等色温度の3波長域発光形蛍光体とを混合して塗布し、焼成して蛍光体層を形成する。なお、未使用のハロリン酸蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体とを混合するには、蛍光体塗布液を調整する以前に予め両蛍光体を混合しておく、蛍光体塗布液を調整する段階で所定量の両蛍光体を溶剤およびバインダーに各別に導入して懸濁させる、または未使用のハロリン酸蛍光体の塗布液と等色温度の3波長域発光形蛍光体の塗布液とを各別に調整したものを所定割合で混合して使用するなどの方法によることができる。
【0026】
(電極) 電極は、透光性放電容器内の両端側にその一対を封装して、それらの間で低圧水銀蒸気放電を生起させる。また、電極は、フィラメント電極、セラミックス電極、冷陰極など既知の電極を用いることができる。フィラメント電極は、タングステンの2重コイルまたは3重コイルに電子放射物質を塗布してなり、その両端を透光性放電容器を気密に貫通する一対の内部導入線の先端部に継線した構造を備えている。セラミックス電極は、たとえば開口部を備えた電気伝導性の容器内にアルカリ土類元素および遷移金属元素の酸化物を主体とし、表面を遷移金属元素の炭化物または窒化物で被覆した果粒状、スポンジ状または塊状の複合セラミックスからなる熱電子放出物質を収納させてなる構造を備えていて、1本の内部導入線の先端に支持されている。
【0027】
(放電媒体) 放電媒体は、低圧水銀蒸気放電を行わせるには、水銀および希ガスを含むものとする。また、低圧希ガス放電を行わせるには、希ガスたとえばアルゴンまたはネオンを適当圧力封入する。
【0028】
水銀は、液体水銀またはアマルガムとして封入される。液体水銀を封入するには、液体水銀を滴下するか、カプセルに入れて封入後適当な手段によってカプセルを破壊して水銀を取り出すことができる。また、アマルガムとして封入するには、ペレット状に成形したり、適当な金属板を基体としてアマルガムを担持させたりすることができる。
【0029】
次に、希ガスは、蛍光ランプの放電開始を容易にするため、および緩衝ガスとして用いられ、アルゴンAr、クリプトンKr、ネオンNeなどを200〜400Pa程度透光性放電容器内に封入される。また、希ガスは、Ar単体を封入してもよいし、またAr−Kr、Ne−Ar−Kr、Ne−Arなどの混合封入でもよい。
【0030】
<蛍光ランプの製造方法について> 本発明にしたがって蛍光ランプを製造するには、少なくとも第1の工程ないし第5の工程を経る必要がある。以下、分説する。
【0031】
(第1の工程) 第1の工程は、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意するための工程である。第1の工程は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体をその回収処理業者から直接または間接的に購入して用意する態様でもよいし、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収してリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する態様でもよい。
【0032】
また、3波長域発光形蛍光体を回収してリサイクルする場合は、蛍光体を回収する工程、回収した蛍光体を脱水銀処理する工程および次いで精製する工程などから第1の工程を構成することができる。蛍光体を回収する工程は、たとえば以下のように行われる。すなわち、使用済み蛍光ランプを回収し、その透光性放電容器をほぼ中央で切断して、バルブ内面から蛍光体を拭き取るか、エアブロアーまたはエアドロワーを蛍光体膜に当てて機械的に剥離させる。あるいは、透光性放電容器を細かく粉砕して蛍光体を回収してもよい。蛍光体を回収するに際しては、3波長発光形蛍光体を用いている蛍光ランプと、ハロリン酸塩蛍光体を用いている蛍光ランプとを、予め区分しておくことが望ましい。これらの蛍光体は、特性が明らかに相違しているからである。蛍光体は、リサイクルの回数が増加するとともに劣化の度合が大きくなるので、リサイクル回数ごとに分別回収するか、リサイクルは最初の1回だけにすることができる。
【0033】
脱水銀処理する工程は、浮遊沈澱法などにより、水銀およびガラス破片を除去し、さらに脱水してから、加熱処理される。この工程でリサイクル用蛍光体を加熱処理することにより、輝度が高いリサイクル蛍光体を得ることができる。
【0034】
また、脱水銀処理する工程として、上述した工程に加えるか、または代えて回収した蛍光体を酸処理してその表面層に捕捉されている水銀などを蛍光体の表面層をエッチングすることができる。しかし、一方で酸処理を行った蛍光体は、水銀やガスが付着しやすいという問題がある。これはエッチングによって蛍光体粒子の表面が荒れるためである。そこで、酸処理を行った後に、リサイクルの3波長域発光形蛍光体に表面処理を行うことにより、水銀やガスの付着を低減することができる。酸処理工程は、リサイクル蛍光体粒子の極薄い表面層をエッチングして除去するのが好ましい。たとえば、希硝酸溶液などを用いてリサイクル蛍光体を洗浄し、次いで純水にて洗浄することにより酸処理を行うことができる。表面処理は、リサイクル蛍光体粒子の表面に水銀やガスが付着しにくいように処理する工程であり、たとえばリサイクル蛍光体の蛍光体粒子の表面に金属酸化物の微粒子をほぼ均一に付着させたり、金属酸化物の連続的な薄膜を蛍光体粒子の表面に形成したりすることにより、表面処理を行うことができる。前者の態様の場合、金属酸化物微粒子の平均粒径は、10〜100nm程度が適当である。なお、3波長域発光形蛍光体の粒径は、蛍光体が5〜8μm程度である。
【0035】
リサイクル用蛍光体を精製する工程は、凝集して大きくなっているリサイクル用蛍光体を適当な粒子サイズにするためのもので、篩分およびまたはミーリングなどによりこれを行うことができる。
【0036】
そうして、以上の工程よりリサイクルされた3波長域発光形蛍光体の蛍光体としての品質レベルは、蛍光体の反射率または輝度を測定することにより判定することができる。
【0037】
(第2の工程) 第2の工程は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する工程である。なお、等色温度の3波長域発光形蛍光体が「リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする」とは、等色温度の3波長域発光形蛍光体中にリサイクルの3波長域発光形蛍光体が50質量%以上を占めていることをいう。
【0038】
ハロリン酸カルシウム蛍光体には、製造しようとする蛍光ランプの色温度に一致する色温度を呈するものを選択する。そして、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度をハロリン酸カルシウム蛍光体のそれにほぼ等しくなるように調整する手段は特段限定されないが、たとえば請求項2において規定しているように、未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体を選択的に混合することができる。
【0039】
(第3の工程) 第3の工程は、未使用のハロリン酸蛍光体と第2の工程で得た等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層をガラスバルブの内面側に形成する工程である。蛍光体層を形成するには、既知の湿式および乾式のいずれの方式を採用してもよい。
【0040】
等色温度の3波長域発光形蛍光体と蛍光体全量に対する配合比率は、特段限定されない。等色温度の3波長域発光形蛍光体が配合されていれさえすればよく、特に10質量%以上であれば、全光束が実質的に増加する。しかし、等色温度の3波長域発光形蛍光体の配合比率が大きくなるにしたがって全光束が大きくなるので、好ましいことである。また、リサイクルを積極的に行なった蛍光ランプを得ることができるという観点からも、等色温度の3波長域発光形蛍光体の配合比率が大きいことは有意義である。
【0041】
前者の場合、溶剤、結着剤およびバインダーの溶液に蛍光体を懸濁して蛍光体塗布液を調整し、たとえばバルブの内部に蛍光体塗布液を上から流下したり、バルブの下端から蛍光体塗布液を吹き上げたりして、蛍光体塗布液をバルブの内面に塗布して、蛍光体塗布膜を形成することができる。なお、バルブの両端に蛍光体塗布膜を形成しない場合には、バルブの内面の全体に蛍光体塗布膜を形成してから、バルブの両端の不要部分をバフなどによって拭き取ることができる。
【0042】
後者の場合、静電塗装などの粉体塗装法を用いることができる。
【0043】
蛍光体塗布膜を形成したら、次に蛍光体塗布膜を焼成して、蛍光体層を形成する。この蛍光体層焼成工程は、蛍光体塗布膜を形成したバルブを加熱炉中でたとえば600℃程度に加熱することにより、蛍光体塗布膜に含まれているバインダーを分解して除去するとともに、溶剤を蒸発させて蛍光体層を形成する。
【0044】
(第4の工程) 第4の工程は、蛍光体層を形成したバルブの両端に一対の電極を封装して、バルブの両端を封止することにより、透光性放電容器を形成するための工程である。バルブの両端に一対の電極を封装すると同時にバルブの両端を封止するために、フレアステムを用いる場合、フレアステムに排気管を付設しておくことにより、後工程の放電媒体の封入が容易になる。バルブの両端をピンチシールにより封止する場合、バルブの側面に排気管を付設することができる。
【0045】
透光性放電容器を環状に湾曲するなど曲成する場合には、透光性放電容器を形成した後に曲成工程を設けることができる。しかし、予め曲成した透光性放電容器を形成してから、上記工程により蛍光体層を形成することもできる。
【0046】
(第5の工程) 第5の工程は、放電媒体を透光性放電容器内に封入するための工程である。予め透光性放電容器のフレアステムに内部に連通して配設された排気管を経由して透光性放電容器の内部を排気してから、同様に排気管を経由して放電媒体を封入するという既知の手段を採用することができる。しかし、上記以外の既知の手段を採用することもできる。
【0047】
<本発明の作用について> 本発明においては、上記の工程を具備していることにより、いわゆる普通形の蛍光ランプを製造することができる。そして、以下に列挙する作用を奏する。
【0048】
1 リサイクル蛍光体の再利用を防止することができる。すなわち、3波長発光形の蛍光ランプと普通形の蛍光ランプは、形名が相違しているし、前者にはカラーマークを付していたりするので、使用済みの蛍光ランプを回収する際に、両者を区分するのは比較的容易である。したがって、3波長発光形の蛍光ランプを区分回収することにより、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の再利用を防止することが可能になる。これにより、リサイクル蛍光体の品質劣化を最小限に止めることができる。
【0049】
2 リサイクルの3波長域発光形蛍光体を用いて蛍光体層が形成されるので、蛍光ランプのリサイクル対象部分が多くなり、蛍光ランプの蛍光体のリサイクルを推進することができ、地球環境維持の観点から有効である。
【0050】
3 リサイクルの蛍光体は、どうしても性能が未使用の蛍光体より劣ってしまうが、本発明により製造される蛍光ランプにおいては、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする等色温度の3波長域発光形蛍光体が蛍光体層に混合されていることにより、上記のように蛍光ランプのリサイクルを推進しながら、しかも、従来一般使用されている普通形の蛍光ランプより全光束が大きい。たとえば3〜6%程度の全光束向上を達成することが可能になる。また、演色性が高くなる。たとえば10〜25%程度の平均演色評価数向上を達成することが可能になる。
【0051】
請求項2の発明の蛍光ランプの製造方法は、請求項1記載の蛍光ランプの製造方法において、第2の工程は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度を測定してハロリン酸蛍光体の色温度との差を求める工程と、色温度差に応じて、それぞれ未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体の中から選択した一種または複数種の蛍光体を所要量リサイクルの3波長域発光形蛍光体に混合する工程により構成されていることを特徴としている。
【0052】
本発明は、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程の好適な構成を規定している。すなわち、リサイクルの3波長域発光形蛍光体は、その色温度が回収した使用済みの蛍光ランプの区分の仕方などによって変化するので、最初に色温度を測定する。これに対して、未使用のハロリン酸蛍光体は、通常の場合、その色温度が予め既知なので測定しなくてよい。しかし、不明なときには測定すればよい。そうして、未使用のハロリン酸蛍光体の色温度とリサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度との差を求める。
【0053】
次に、求めた色温度差に応じて、それぞれ未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体の中から選択した一種または複数種の蛍光体を所定量リサイクルの3波長域発光形蛍光体に混合することにより、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成することができる。
【0054】
回収した3波長域発光形蛍光体を各色域発光形蛍光体に分離するのは容易でないが、未使用のものであれば、容易に入手することができる。また、リサイクルの3波長域発光形蛍光体をハロリン酸蛍光体の色温度と等色温度にするために使用する各色域発光形蛍光体の量は、リサイクルの波長域発光形蛍光体の5〜15質量%程度でよいので、得られた等色温度の3波長域発光形蛍光体は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体が主体になっている。したがって、製造される蛍光ランプがリサイクルの蛍光体を用いていることに本質的に変化はない。
【0055】
そうして、本発明においては、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成するのが容易、かつ、確実になる。
【0056】
請求項3の発明の蛍光ランプは、ガラスバルブからなる透光性放電容器と;リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、色温度がハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度に合わせた等色温度の3波長域発光形蛍光体および未使用のハロリン酸カルシウム蛍光体が混合して形成され、透光性放電容器の内面側に配設された蛍光体層と;透光性放電容器の両端に封装された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;透光性放電容器に装着された口金と;を具備していることを特徴としている。
【0057】
本発明は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を用いて構成された蛍光ランプを規定している。なお、蛍光ランプの透光性放電容器の端部表面などにリサイクル品であることを示す表示を配設することができる。
【0058】
そうして、本発明においては、蛍光体層がハロリン酸カルシウム蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合して構成されているので、普通形の蛍光ランプを容易に製造することができる。加えて、従来の普通形の蛍光ランプより全光束および平均演色評価数が高くてランプ特性が優れている
請求項4の発明の蛍光ランプは、請求項1記載の蛍光ランプにおいて、等色温度の3波長域発光形蛍光体は、蛍光体全量に対して30〜50質量%含まれていることを特徴としている。
【0059】
本発明は、等色温度の3波長域発光形蛍光体の蛍光体全量に対する配合比率の好適な構成を規定している。すなわち、配合比率が上記範囲内であれば、普通形の蛍光ランプでありながら、従来の普通形の蛍光ランプに比較して、全光束および平均演色評価数が顕著に増加して、魅力的な蛍光ランプになるとともに、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の使用量を多くすることができるので、蛍光体のリサイクルの観点からも好ましくなる。なお、3波長域発光形蛍光体の蛍光体全量に対する配合比率が30質量%未満になると、全光束および平均演色評価数の増加が顕著でなくなる。また、配合比率が50質量%を超えると、平均演色評価数が80を超えやすくなり、普通形の蛍光ランプでなくなり、商品としての魅力が著しく低下する。
【0060】
蛍光体層は、使用する蛍光体の一部または全部がリサイクル蛍光体によって構成されている。
【0061】
そうして、 本発明においては、普通形において全光束および演色性が顕著に向上しているとともに、蛍光体のリサイクルを進める観点からも好ましい蛍光ランプが得られる。
【0062】
請求項5の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に支持された請求項1または2記載の蛍光ランプの製造方法によって得られた蛍光ランプあるいは請求項3または4記載の蛍光ランプと;蛍光ランプを点灯する点灯回路と;を具備していることを特徴としている。
【0063】
本発明において、「照明装置」とは、蛍光ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。照明装置を例示すれば、照明器具、直下式バックライト装置、表示装置および信号灯装置などである。なお、照明器具は、家庭用の照明器具に好適であるが、これに限定されるものではなく、店舗用照明器具、オフィス用照明器具、屋外用照明器具などにも適応する。また、「照明装置本体」とは、照明装置から蛍光ランプおよび点灯回路を除いた残余の部分をいう。
【0064】
点灯回路は、蛍光ランプを所定条件で点灯する手段であり、照明装置本体に配設することができる。しかし、要すれば、点灯装置本体から離間して、たとえば天井裏などに配置することもできる。また、点灯回路は、コイルおよびコアを主体とする磁気漏れトランスやチョークコイル、高周波インバータを主体とする電子化点灯回路などを用いることができる。
【0065】
そうして、本発明の照明装置は、請求項1および2あるいは請求項3およびの作用、効果を奏する。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0067】
図1および図2は、本発明の蛍光ランプおよびその製造方法の一実施形態によって製造された蛍光ランプを示し、図1は正面図、図2は要部拡大断面図である。各図において、1は透光性放電容器、2は蛍光体層、3は電極、4は内部導入線、5は外部導入線、6は口金である。
【0068】
本実施形態の蛍光ランプは、FL40SS・W/37形で温白色の直管形蛍光ランプであり、透光性放電容器1の管径が28mm、管長が1198mmである。
【0069】
<透光性放電容器1> 透光性放電容器1は、ガラスバルブ1a、一対のフレアステム1b、1bからなる。ガラスバルブ1aおよびフレアステム1bは、バリウムシリケートガラスからなる。また、フレアステム1bは、排気管1b1およびフレア1b2を備え、一対の内部導入線4および外部導入線5を封着している。
【0070】
排気管1b1は、基端がチップオフされているとともに、先端が透光性放電容器1内に連通している。フレア1b2は、ガラスバルブ1aの両端に封止されて気密な透光性放電容器1を形成する。内部導入線4および外部導入線5は、フレアステム1bの内部でジュメット線を介して接続し、フレアステム1bに対して気密性を維持している。図2に示す排気管1b1は、透光性放電容器1の排気、封入後に封止される。
【0071】
透光性放電容器1の内部には、液体水銀および330PaのアルゴンArからなる放電媒体が封入している。
【0072】
<蛍光体層2> 蛍光体層2は、色温度が4200Kで、未使用のハロリン酸蛍光体および色温度が4200Kの3波長発光形蛍光体を混合して製作されてなり、透光性放電容器1の内面側に形成している。未使用のハロリン酸蛍光体と色温度が4200Kの3波長発光形蛍光体とは、一実施例として質量比で7:3の割合になっている。また、色温度が4200Kの3波長発光形蛍光体は、リサイクルの3波長発光形蛍光体に未使用の赤色域発光形蛍光体蛍光体を質量比で10%混合してなり、したがってリサイクルの3波長発光形蛍光体が主体になっている。
【0073】
次に、使用する蛍光体は、その化学式が以下のとおりである。
【0074】
ハロリン酸蛍光体 Ca10(PO4)6FCl:Sb,Mn
3波長域発光形蛍光体(リサイクルおよび未使用)
赤色域発光形蛍光体 Y2O3:Eu
緑色域発光形蛍光体 LaPO4:Ce,Tb
青色域発光形蛍光体 BaMgAl16O27:Eu,Mn
<電極3> 電極3は、タングステンワイヤーを2重コイル状に巻回し、かつ、2重コイル部分に電子放射性物質を塗布してなる2重コイルフィラメント形であり、一対の内部導入線4の先端部に継線されている。
【0075】
<口金6> 口金6は、口金本体6bおよび一対の口金ピン6a、6aからなる。口金本体6bは、キャップ状をなしていて、透光性放電容器1の両端部に接着されている。一対の口金ピン6a、6abは、口金本体6bに互いに絶縁関係に支持されているとともに、それぞれ外部導入線5、5に接続している。
【0076】
次に、実施例および比較例についてランプ特性を表3に示す。なお、表中の配合比率における「ハロ」はハロリン酸蛍光体を、「リサイクル」はリサイクルの3波長域発光形蛍光体を、それぞれ示す。また、「相対値」は比較例1の全光束を100%としたときの全光束の%である。サンプルは全て40W形の直管形蛍光ランプであり、比較例1は従来の温白色の普通形の蛍光ランプに相当する。また、比較例2はリサイクルの3波長域発光形蛍光体のみを用いて製作した3波長域発光形の蛍光ランプであり、市販の3波長域発光形蛍光ランプに比較すると、全光束および色温度が見劣りする。
【0077】
【表3】
図3および図4は、本発明の蛍光ランプの製造方法の一実施形態を示し、図3は全体の工程図、図4は第2の工程の内部工程を示す工程図である。以下、図に基づいて製造方法を工程順に説明する。
【0078】
第1の工程11において、回収した使用済みの3波長域発光形の蛍光ランプの透光性放電容器をほぼ中央で切断して、ガラスバルブから蛍光体を機械的に剥離して蛍光体を回収し、浮遊沈澱法により水銀およびガラス破片を除去し、脱水後、600℃の加熱処理を行ってから、さらにメッシュを用いて篩分し、かつ、ミーリングによって蛍光体粒子サイズを調整して精製してリサイクルの3波長域発光形蛍光体を得た。
【0079】
次に、第2の工程12は、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する工程で、図4に示すように、第2の1の工程12aおよび第2の2の工程12bからなる。第2の1の工程12aはリサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度を測定する工程である。第2の2の工程12bは、ハロリン酸蛍光体の色温度との色温度差に応じて所要量の未使用の色光発光形蛍光体をリサイクルの3波長域発光形蛍光体に添加し、混合することによって、色温度を未使用のハロリン酸蛍光体のそれに合わせる工程である。
【0080】
そうして、第2の工程において、等色温度の3波長域発光形蛍光体を得た。
【0081】
第3の工程13は、透光性放電容器の内面に蛍光体層を形成する工程である。未使用のハロリン酸蛍光体および等色温度の3波長域発光形蛍光体の表面にそれぞれ結着剤を付着させた後に、両蛍光体を質量比で7:3の割合にして、水およびバインダーからなる溶液に混合した蛍光体塗布液を調整した。次に、両端開放のガラスバルブ内に流下して蛍光体塗布膜を形成し、さらにガラスバルブの両端部の蛍光体塗布膜を除去した。蛍光体塗布膜を形成したガラスバルブを加熱炉に入れ約600℃に加熱して焼成し、バインダーを分解し除去して、蛍光体層を形成した。
【0082】
第4の工程14は、電極を封装して透光性放電容器を形成する工程である。すなわち、ガラスバルブの両端に一対の電極を支持したフレアステムすなわちフレアステム電極構体を封着することにより、ガラスバルブの両端を封止し、かつ、一対の電極を封装して透光性放電容器を形成した。
【0083】
第5の工程15は、透光性放電容器の内部に放電媒体を封入する工程である。すなわち、透光性放電容器の一端の排気管を予め封止しておき、他方の排気管を経由して透光性放電容器の内部を排気してから、放電媒体を他方の排気管を経由して透光性放電容器の内部に封入する。
【0084】
最後に、透光性放電容器1の両端に一対の口金を無機質接着剤を用いて装着して、普通形の蛍光ランプを得た。この蛍光ランプは、表3における実施例2に相当する。
【0085】
図5は、本発明の照明装置の一実施形態としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図である。図において、21は照明器具本体、22は蛍光ランプ、23は点灯回路である。
【0086】
照明装置本体21は、内部に放電ランプ点灯回路23を内蔵し、ランプソケット21aなどを備えている。
【0087】
蛍光ランプ12は、放電ランプ点灯回路の一部を構成しているが、ランプソケット21aに装着されることにより、照明装置本体21に支持されている。
【0088】
放電ランプ点灯回路23は、照明装置本体21内に配設されている。
【0089】
【発明の効果】
請求項1および2の各発明によれば、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する第1の工程と、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とし、ハロリン酸カルシウム蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程と、未使用のハロリン酸蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層を形成する第3の工程と、電極を封装して透光性放電容器を形成する第4の工程と、放電媒体を封入する第5の工程とを具備していることにより、蛍光体のリサイクルを推進しがら、しかも、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の再利用を防止しやすいとともに、従来のものより全光束および平均演色評価数が向上した普通形に好適な蛍光ランプを提供することができる。
【0090】
請求項2の発明によれば、加えて第2の工程がリサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度を測定してハロリン酸蛍光体のそれとの差を求める工程と、色温度差に応じて、未使用の色光発光形蛍光体を所要量リサイクルの3波長域発光形蛍光体に混合する工程により構成されていることにより、等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成するのが容易、かつ、確実になる蛍光ランプを提供することができる。
【0091】
請求項3の発明によれば、ガラスバルブからなる透光性放電容器と、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体と等色温度の3波長域発光形蛍光体および未使用のハロリン酸カルシウム蛍光体が混合して形成され、透光性放電容器の内面側に配設された蛍光体層と、透光性放電容器の両端に封装された一対の電極と、透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と、透光性放電容器に装着された口金とを具備していることにより、蛍光体のリサイクルを推進しがら、しかも、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の再利用を防止しやすいとともに、従来のものより全光束および平均演色評価数が向上した普通形に好適な蛍光ランプを提供することができる。
【0092】
請求項4の発明によれば、加えて等色温度の3波長域発光形蛍光体は、蛍光体全量に対する配合比率が30〜50質量であることにより、普通形において全光束および演色性が顕著に向上しているとともに、蛍光体のリサイクルを進める観点からも好ましい蛍光ランプを提供することができる。
【0093】
請求項5の発明によれば、照明装置本体と、照明装置本体に支持された請求項1または2記載の蛍光ランプの製造方法によって得られた蛍光ランプあるいは請求項3または4記載の蛍光ランプと、蛍光ランプを点灯する点灯回路とを具備していることにより、請求項1ないし4の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光ランプおよびその製造方法の一実施形態によって製造された蛍光ランプを示す正面図
【図2】同じくは要部拡大断面図
【図3】本発明の蛍光ランプの製造方法の一実施形態を示す全体の工程図
【図4】同じく第2の工程の内部工程を示す工程図
【図5】本発明の照明装置の一実施形態としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図
【符号の説明】
11…第1の工程、12…第2の工程、13…第3の工程、14…第4の工程、15…第5の工程
Claims (5)
- 3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている使用済み蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する第1の工程と;
リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する第2の工程と;
未使用のハロリン酸蛍光体と第2の工程で得た等色温度の3波長域発光形蛍光体とが混合した蛍光体層をガラスバルブの内面側に形成する第3の工程と;
蛍光体層を形成したガラスバルブの両端に一対の電極を封装して透光性放電容器を形成する第4の工程と;
透光性放電容器内を排気し、放電媒体を封入する第5の工程と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプの製造方法。 - 第2の工程は、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度を測定してハロリン酸蛍光体の色温度との差を求める色温度測定工程と、色温度差に応じて、それぞれ未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体の中から選択した一種または複数種の蛍光体を所要量リサイクルの3波長域発光形蛍光体に混合する蛍光体混合工程により構成されていることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプの製造方法。
- ガラスバルブからなる透光性放電容器と;
リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、色温度がハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度に合わせた等色温度の3波長域発光形蛍光体および未使用のハロリン酸カルシウム蛍光体が混合して形成され、透光性放電容器の内面側に配設された蛍光体層と;
透光性放電容器の両端に封装された一対の電極と;
透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
透光性放電容器に装着された口金と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - 等色温度の3波長域発光形蛍光体は、蛍光体全量に対して30〜50質量%含まれていることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
- 照明装置本体と;
照明装置本体に支持された請求項1または2記載の蛍光ランプの製造方法によって得られた蛍光ランプあるいは請求項3または4記載の蛍光ランプと;
蛍光ランプを点灯する点灯回路と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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