JP5014627B2 - ランプ用ガラスの製造方法、ランプ用ガラス、およびランプ - Google Patents
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Description
ところが、廃ランプがラピッドスタート形ランプの場合、当該ランプのガラスバルブには酸化スズ(SnO2−n:n<2)を主成分とする透光性導電膜(ネサ膜)が形成されているため、酸化スズがリサイクル原料に混入する問題がある。
そこで、例えば、特許文献1には、ガラスバルブからネサ膜を除去したのちリサイクル原料に加工するガラスの製造方法が開示されている。この方法では、酸化スズがリサイクル原料へ混入することが殆どないため、製造するガラスに酸化スズのブツが発生し難い。
一方、近年、需要の増している高出力のコンパクト形ランプは、比較的管壁負荷が高いためガラスバルブから紫外線が漏れ易く、特に313nmの紫外線は漏れ易い。ガラスバルブから紫外線が漏れると、被照明物が紫外線を浴びて褪色或いは強度劣化を起こす。したがって、紫外線遮断性能の高いガラスが必要とされている。
一方、特許文献3および4のガラスは、酸化セリウムを含有するためソラリゼーション(紫外線の照射を受けてガラスが着色する現象)が起こり易い。そして、ソラリゼーションによる着色は、ガラスの光透過率を低下させる。また、前記ガラスでガラスバルブを作製した場合に、ランプの光束維持率を低下させる。
本発明に係るランプ用ガラスは、酸化スズを主成分とする透光性導電膜が形成されたガラスバルブを、前記透光性導電膜を除去することなく加工して得られるリサイクル原料と、酸化セリウムと、調整用原料とを、前記リサイクル原料の混合率が34.98wt%以上となり、前記酸化セリウムの混合率が0.005〜0.1wt%となるように混合し溶融してなることを特徴とする。
SnO+2CeO2 → Ce2O3+SnO2
次に、ガラスの製造コストが高くならない理由を説明する。これは、透光性導電膜を除去せずにガラスバルブをリサイクル原料として用いるため、前記透光性導電膜をガラスバルブから除去する工程が不要であり、製造ラインが複雑化しないからである。
次に、ガラスの紫外線遮断性能が高い理由を説明する。これは、ガラスに紫外線遮断剤としての酸化セリウムが含まれているからである。このようにガラスの紫外線遮断性能が高いと、当該ガラスで作製されたガラスバルブからは紫外線が漏れ難い。したがって、被照明物が褪色したり強度劣化したりすることが少なく、ガラスバルブから紫外線が漏れ易い高出力のコンパクト形蛍光ランプ用として好適である。
本発明に係るランプ用ガラスの製造方法において、前記酸化セリウムの混合率が0.005〜0.1wt%となるように、前記リサイクル原料に前記酸化セリウムおよび前記調整用原料を混合する場合、より紫外線遮断性能が高くソラリゼーションによる光透過率の低下が起こり難いランプ用ガラスを得ることができる。
また、前記調整用原料が溶融する際に生じる分解反応熱によって、より酸化スズをガラスに溶け込ませることができるため、より酸化スズのブツが生じ難い。この方法は、特に、ガラス中に含まれる酸化スズの量が多い場合に有効である。
本発明に係るランプは、上記ランプ用ガラスを用いて製造されているため、外観品位が高く、製造コストが高くなく、ネサ膜付きガラスバルブを効果的にリサイクルすることができ、被照明物の褪色や強度劣化が起こり難く、光束維持率が高い。
(ランプ用ガラスの製造方法)
本発明の実施の形態に係るランプ用ガラスの製造方法は、ランプのガラスバルブをリサイクルする方法である。
ガラスバルブ2は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄(Fe2O3)等からなるソーダライムガラスで形成されている。なお、ガラスバルブ2は、ソーダライムガラスに限定されず、例えば、鉛フリーガラスやホウケイ酸ガラスなどであっても良い。また、ガラスの組成も上記組成に限定されない。
次に、公知の方法(例えば、高圧のエアーを吹き付けて蛍光体膜6を剥離させる方法)などにより、ガラス管7から水銀(図示せず)および蛍光体膜6を除去する。これにより、図1(c)に示すような蛍光体膜6が除去され透光性導電膜5が残ったガラス管7を得る。
次に、得られたリサイクル原料8を用いてランプ用ガラスを作製する。
以上の工程により得られた溶融炉内の溶融ガラスは、管引き工程によって図1(e)に示すようなガラス管9に成形される。
以下に本発明に係るランプ用ガラスについて説明する。図2は、ランプ用ガラスの原料混合率および特性を示す図である。本実施の形態に係るランプ用ガラスは、例えば、図2の実施例1〜8に示すような原料混合率および特性を有する。なお、本発明に係るランプ用ガラスは、実施例1〜8に示すような原料混合率のガラスに限定されず、酸化スズを主成分とする透光性導電膜が形成されたガラスバルブを、前記透光性導電膜を除去することなく加工して得られるリサイクル原料と、酸化セリウムと、調整用原料とを混合し溶融してなるガラスであれば良い。
図3は、本発明の一実施形態に係るコンパクト形蛍光ランプの要部構成を示す一部破断平面図である。本発明に係るランプの一実施形態として、27Wのコンパクト形蛍光ランプ(FPL27EX−N)について、図面に基づき説明する。
(実験の説明)
本発明に係るランプ用ガラスの製造方法で種々のガラスを製造し、それらの特性を比較例に係るガラスの特性と比較した。図4は、比較例に係るランプ用ガラスの原料混合率および特性を示す図である。
図2および図4に示す熱膨張係数は、30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数の平均値である。熱膨張係数は、各ガラスを直径5mm、長さ15mmの円柱状に成形したものを試料とし、ディラトメ−タを用いて測定した。
溶融時間は、リサイクル原料、酸化セリウムおよび調整用原料の混合物を溶融炉で溶融させるために必要な時間、すなわちガラス溶融に要する時間である。
ソラリゼーションによる着色、および、ブツによる外観品位の低下は、目視観察により評価した。
一方、図4において、比較例1は、酸化セリウムの含有量が0.003wt%と過小であるため、ブツの発生による外観品位の低下や紫外線透過によるプラスチック部品の褪色を起こす結果を生じた。これに対して、比較例2は、酸化セリウムの含有量が0.12wt%と過大であるため、ブツの発生は無く、また紫外線透過も抑制されたが、ソラリゼーションによるガラスの着色が生じた。この結果からソラリゼーションによる着色を抑制するためには、酸化セリウムの含有量を0.1wt%以下にすることが好ましいといえる。
2 ガラスバルブ
8 リサイクル原料(カレット)
10 ランプ
Claims (4)
- 酸化スズを主成分とする透光性導電膜が形成されたガラスバルブを、前記透光性導電膜を除去することなくリサイクル原料に加工し、
前記リサイクル原料に酸化セリウムおよび調整用原料を、前記リサイクル原料の混合率が34.98wt%以上となり、前記酸化セリウムの混合率が0.005〜0.1wt%となるように混合し、溶融することを特徴とするランプ用ガラスの製造方法。 - 前記調整用原料の混合率が30wt%以上となるように、前記リサイクル原料に前記酸化セリウムおよび前記調整用原料を混合することを特徴とする請求項1に記載のランプ用ガラス製造方法。
- 酸化スズを主成分とする透光性導電膜が形成されたガラスバルブを、前記透光性導電膜を除去することなく加工して得られるリサイクル原料と、酸化セリウムと、調整用原料とを、前記リサイクル原料の混合率が34.98wt%以上となり、前記酸化セリウムの混合率が0.005〜0.1wt%となるように混合し溶融してなることを特徴とするランプ用ガラス。
- 請求項3記載のランプ用ガラスを用いて製造されたことを特徴とするランプ。
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