JP4437178B2 - 強誘電体材料薄膜の成膜方法とその用途 - Google Patents

強誘電体材料薄膜の成膜方法とその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電体材料膜の成膜方法およびその用途に係り、より詳しくは有機金属化合物化学的気相堆積法(MOCVD法)によるPb(Zr,Ti)O3 〔PZT〕などの強誘電体材料薄膜の成膜方法と、この方法を用いて強誘電体メモリ、アクチュエータ、マイクロマシンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PZTなどの強誘電体薄膜は、強誘電体メモリやアクチュエータなどの多くの応用がある。特に、最近、メモリーの不揮発化のニーズが高まっている結果、強誘電体薄膜材料およびその成膜方法の研究開発が盛んに進められるようになっている。
【0003】
強誘電体薄膜の成膜方法としては、従来はスパッタリング法やゾルゲル法が多く用いられていたが、最近、レーザーアブレーション法、有機金属化合物堆積法(MOD)、MOCVD法なども用いられるようになってきた。現状では、組成制御の容易性とその結果としての強誘電体特性の安定性の面から溶液塗布法が最も実用的な成膜方法であるが、高集積誘電体メモリーの実用化に向けては、物性制御性の高さ、段差被覆性の高さ、広い面積への膜厚や組成の均一合成、高い生産性などからMOCVD法が最も有望と考えられる。
【0004】
MOCVD法は、例えば、本発明者が提案した系では、Pb(C11192 2 −Zr(O・t−C4 9 4 −Ti(O・i−C3 7 4 −O2 を原料とし、(111)Pt基板上に620℃でPZTが成膜される。しかし、MOCVD法により成膜したPZTなどの強誘電体薄膜を不揮発メモリーなどに実用化するためには、一般に、リーク特性、組成再現性、表面平滑化、低温化などが課題とされている。
【0005】
このような課題に答えるための手法として、高温アニール、添加物の検討のほか、CVDプロセス自身を改善するものとして、PZTについて、(Zr+Ti)の原子層と、Pbの原子層を交互に規則的に積層する方法が提案されている。この成膜法は、組成制御性、結晶制御性の点では理想的なものであるが、プロセスが複雑で、成膜速度が遅いので、大型ウェーハーを用いた商業的生産には向かないものである。また、同様に、(Pb+Ti)の原子層と(Pb+Zr)の原子層を交互に規則的に積層する方法も提案されているが、上記の方法と同様の問題があるほか、複合酸化物中の固相拡散による不均一性という問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来のMOCVDプロセスの問題点を解決し、PZTなどの強誘電体薄膜の特性を向上させることが可能な、簡便で商業的生産に適した方法を提供することを目的とする。また、その方法を用いて強誘電体メモリ、アクチュエータ、マイクロマシンなどを製造する方法を提供することも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために下記を提供する。
(1)有機金属化合物化学的気相堆積法による強誘電体材料膜の成膜方法であって、基材上に原料有機金属化合物ガスを間欠的に供給して強誘電体材料膜を堆積し、間欠的な原料有機金属化合物ガスの供給の間に、不活性パージガスを流すことを特徴とする強誘電体材料膜の成膜方法。
【0008】
(2)不活性パージガスを流す時間が60秒以下であることを特徴とする上記(1)の強誘電体材料膜の成膜方法。
(3)強誘電体材料がPb(Zr,Ti)O3 であることを特徴とする上記(1),(2)に記載の強誘電体材料膜の成膜方法。
【0009】
原料ガスを間欠的に供給し、その原料ガスの供給停止の間に不活性パージガスを流すことにより、基板上に堆積される強誘電体材料の結晶の均一性、配向性などが向上し、また堆積膜の表面平滑性も向上するなどの効果が見られた。しかも、CVDプロセス自体は従来のCVD法を基本的にそのまま利用できるので制御性、大規模向けにも好適である。また、得られる強誘電体材料のリーク特性、組成再現性などにも優れることができるものである。
【0010】
本発明によれば、さらに、上記の強誘電体材料膜のMOCVD法による成膜方法を利用して強誘電体メモリ、アクチュエータ、マイクロマシンなどを製造する方法も提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の成膜方法で成膜されるものは、強誘電体材料である。強誘電体材料としては、酸化物系、非酸化物系があり、本発明の方法はどちらにも適用可能であるが、主として酸化物系に向けられている。酸化物系強誘電体材料としては、Pb(Zr,Ti)O3 〔PZT〕,(Pb,La)(Zr,Ti)O3 〔PLZT〕,SrBi2 Ta2 9 ,Bi4 Ti3 12,YMnO3 ,Sr2 (Ta,Nb)2 7 ,(Ba,Sr)TiO3 ,Pb5 Ge3 11などを挙げることができる。PZTは好適な強誘電体材料である。
【0012】
本発明のMOCVD方法において、上記のような強誘電体材料を成膜するための出発原料は、その強誘電体材料をMOCVD法で成膜するために利用できることが公知の出発原料をそのまま用いることができ、特に限定されない。すなわち、強誘電体材料を構成する金属を含む気化可能な有機金属化合物であればよい。一般的には、アルキル金属化合物、アルコキシ金属化合物、アルキルアルコキシ金属化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエニル化合物、ハロゲン化物などが用いられる。
【0013】
例えば、PZTの場合、((CH3 3 CCO)2 CH−をthdで表わすと、Pb原料としてPb(C2 5 4 ,Pb(thd)2 ,(C2 5 3 PbOCH2 C(CH3 3 ,Pb(C2 5 3 (t−OC4 9 ),Pb(C11192 2 ,Pb(CH3 4 ,PbCl4 ,Pb(n−C3 7 4 ,Pb(i−C3 7 4 ,Pb(C6 5 4 ,PbCl2 など、Zr原料としてZr(t−OC4 9 4 ,Zr(i−C3 7 4 ,Zr(thd)4 ,ZrCl4 ,Zr(C5 5 2 Cl2 ,Zr(OCH3 4 ,Zr(OC2 5 4 ,Zr(n−OC5 114 ,Zr(C2 6 2 4 ,など、Ti原料としてTi(i−OC3 7 4 ,Ti(thd)2 (i−OC3 7 2 ,Ti(OC2 5 4 ,TiCl4 ,Ti(OCH3 4 ,Ti(OCH9 4 ,Ti(OC5 114 などを挙げることができる。また、PZTではPbの一部をLaで置換することが行なわれるが、その場合のLa原料としてはLa(thd)3 ,La(C2 6 2 4 ,LaCl3 などを用いることができる。これらの原料の多くは、毒性の問題のほか、室温で固体や液体であり、蒸気圧も低いので、加熱して蒸気圧を高くする必要がある。
【0014】
また、SrBi2 Ta2 9 (SBT)系の場合、Sr原料としてSrCl2 ,Sr(C5 5 2 ,Sr(C5 (CH3 5 2 ,Sr(thd)2 ,Sr(thd)2 (C8 235 x ,Bi原料としてBH3 ,BiCl3 ,BiBr3 ,Bi(CH3 3 ,Bi(C2 5 3 ,Bi(C3 7 3 ,Bi(C4 9 3 ,Bi(C5 113 ,Bi(C5 5 3 ,Bi(CH3 6 4 3 ,Bi(OCH2 CH2 N(CH3 2 3 ,BiI3 ,Ta原料としてTaCl5 ,TaC5 5 Cl,Ta(OCH3 5 ,Ta(OC2 5 5 ,Ta(OC3 7 5 ,Ta(OC4 9 5 などを用いることができる。
【0015】
その他、Ba原料、Na原料、Ba(thd)2 ,Ba(thd)2 (C8 235 x なども使用できる。
必要に応じてキャリヤガスとしては不活性ガス、Ar,N2 などを用いることができる。また、H2 ,O2 などをキャリヤガスとして用いる場合もある。
本発明の方法では、上記の如きMOCVD原料ガスを基板上に間欠的に供給することを特徴とする。従って、本発明の方法はパルス成膜法と呼ぶことができる。原料ガスの間欠的供給時間は、原料ガスの種類、流量、基板温度などにも依存するが、一般的には、1〜50秒間程度、好ましくは5〜10秒間程度である。供給時間が短かすぎると結晶の成長が不十分になり、所望の強誘電特性が得られないおそれがある。また、供給時間が長すぎると、間欠的供給の利点が得られなくなる。
【0016】
また、原料ガスの間欠的供給の間には、不活性パージガスを流す。それによって原料ガスの間欠的供給の効果がより明瞭にされるからである。パージ時間は原料が確実に一旦パージされれば十分であり、あまり長い時間パージする必要はない。一般的には、60秒以下であるが、20秒以下が好ましい。
【0017】
パージガスとしては、不活性ガス、例えばArが好適であ。本発明の方法において、原料ガスを間欠的に供給するとともに、その原料ガスの供給停止の間に不活性パージガスを流す点以外は基本的に、一般的なMOCVD法の条件(反応器、原料、原料組成、基板、基板温度など)をそのまま採用することができる。
【0018】
本発明の好適な強誘電性材料であるPZTについて述べると、以下の如くである。
PZTは、一般式Pb(Zr,TiO)3 で表わされるが、さらにPbの一部がLa,Nb,Caなどで置換されたもの(PLZT)は広くPZT系と呼ばれる。PbTiO3 とPbZrO3 は全率固溶し、PbTiO3 に近い領域を除いた広いZr/Ti比の範囲において強誘電体となる。Zr/Ti=55/45付近において組成的相境界があり、これよりZrリッチ側では菱面体晶、Tiリッチ側では正方晶の結晶構造をとる。キュリー温度TC は、PbZrO3 の230℃とPbTiO3 の490℃の間でZr/Ti比に応じて連続的に変化する。
【0019】
PZTの原料ガスについては先に説明したが、作表例として、Pb(C7 192 2 ,Zr(O・t−C4 9 4 ,Ti(O・i−C3 7 4 ,O2 を用いる例について、図1を参照して本発明の方法をさらに説明する。図1は実施例で用いたPZT成膜用MOCVD装置の模式図である。この装置では、コールドウェール型反応器1に予備加熱手段2を設け、その反応器1内の加熱用サセプタ3上に基板4を載置している。Pb原料6であるPb(C11192 2 は室温で固体であるのでオーブル5で加熱し、その上方にキャリヤガスとしてArを吹き付けて気化させる。Zr原料7であるZr(O・t−C4 9 4 、Ti原料であるTi(O・i−C3 7 4 は室温で液体であり、それぞれ加熱された液体原料にキャリヤガスArをバブリングして気化させる。9がアルゴンボンベ、10は酸素ボンベである。キャリヤガスはN2 やHeでもよい。反応器1は、フィルター11を介して、メカニカルブースターポンプ12、ロータリーポンプ13で排気し、除害装置14を介して外部へ排出されるようになっている。各原料源から発生させた原料ガスは混合され、混合ガスとして反応器1に供給される。原料混合ガスは加熱された基板4上で反応してPZTが堆積される。
【0020】
原料ガス混合物において、Pb/Zr/Tiのモル比及びO2 /Pbのモル比を所望のPZT組成に応じて所定に調整する。例えば、正方晶PZTではZr(Zr+Ti)=0.42、菱面体晶PZTではZr/(Zr+Ti)=0.68、かついずれもPb/(Pb+Zr+Ti)=0.5とする。ただし、O2 /Pbのモル比はあまり限格ではなく必要量以上であればよい。
【0021】
基板としては、多結晶PZTの成長基板として(111)Pt/Ti/SiO2 /Si,Ir/TiO2 /SiO2 /Si,IrO2 、単結晶PZTの成長基板として(100)SrRuO3 /(100)SrTiO3 ,(111)SrRuO3 /(111)SrTiO3 ,(110)SrRuO3 /(110)SrTiO3 などが好適なものとして知られているが、PZT結晶を所望に成長させうるものであればよい。この例では(111)Pt/Ti/SiO2 /Siを基板4として用いるものとする。Siウェーハ上に電極を兼ねかつPZTの結晶成長に適しているPt層を形成すると、SiとPtが反応するので、SiO2 層を介在させ、かつバインダ層としてTi層を挿入したものである。Ptはスパッタにより(111)配向したfcc結晶が成長することができる。
【0022】
このようにして原料ガス混合物を反応器1内に導入し、基板4上にPZTを堆積させるが、本発明の方法では、図2に示す如く、原料ガスの供給を間欠的(パルス状)に行なう。例えば原料ガス供給時間を5〜10秒、間隔を0〜20秒とする。原料ガスの供給及び停止はバルブ15によって行ない、同時にバルブ16を開閉して原料ガスの供給を停止している間にパージガスを反応器1に導入する。パージガスを導入することにより、PZTの間欠的な堆積をより確実なものとすることができる。
【0023】
上記は図1の装置を参照して説明したが、MOCVD装置の構成はこれに限定されない。例えば縦型の反応室でもよい。
基板上に堆積させるPZTなどの強誘電体材料薄膜の膜厚は、特に限定されず、用途に応じて決められるが、一般的には、メモリ用には50〜250nm、アクチュエータ用には1〜10μm、マイクロマシン用には約10μm以下の厚さである。誘電率は膜厚が約250nmで飽和するので、メモリ用途では250nm以下の厚さが一般的である。
【0024】
以上の如くして成膜される強誘電体材料膜を用いて強誘電体メモリ、アクチュエータ、マイクロマシンなどを作成する場合、その構成と、製造方法は従来法と同様であることができる。
【0025】
【実施例】
実施例1
Pb(C11192 2 −Zr(O・t−C4 9 4 −Ti(O・i−C3 7 4 −O2 系原料を用いて、PZTを成膜した。実験装置は図1に模式的に示した構成を有する横型フローのコールドウォール型反応室を用いた。Zr(Ot−C4 9 4 とTi(Oi−C3 7 4 の原料は液体で、Arガスを用いてバブリングすることで気体を得た。一方Pb(C11192 2 はArガスを上方から吹き付けて気体を得た。基板には(111)Pt/Ti/SiO2 /Siを用いた。
【0026】
ガス組成はZr/(Zr+Ti)=0.42(正方晶)又は0.68(菱面体晶)かつPb/(Pb+Zr+Ti)=0.5とし、基板温度620℃とした。
パルスでの原料ガス導入法は、図2に示した如く、通常の連続成膜にガスを送らない時間、パージ時間をもうけ、ガスを送るときとArパージを交互にバルブを切り替えることによって行った。
【0027】
このMOCVD法のパラメータをいろいろ変化させて、PZTを成膜し、得られたPZT薄膜の化学組成、結晶性、強誘電特性その他を評価した。以下にその結果を示す。PZT薄膜の強誘電特性、電気的特性はPZT薄膜上にさらにPt薄膜をスパッタして測定した。
上記のパルス成膜法(間欠的成膜法)との比較のために、原料ガスを連続的に供給する以外は上記のパルス法と同様にして従来の連続成膜法によるPZTの成膜を行なった。
(パージ時間依存性)
原料ガス供給時間を10秒及び5秒とし、それぞれについてArパージ時間を1秒、2秒、3秒、5秒、10秒、20秒と変えたが、原料ガス供給時間中の成膜速度は2.1nm/分で一定であり、また得られたPZTの組成(正方晶、菱面体晶とも)、もパージ時間に依存せず一定であった。
【0028】
パルス成膜法でもパージ時間中のPbの大きな蒸発もなく、組成制御性は連続成膜法と変わりなかった。
(結晶構造)
連続成膜法とパルス成膜法で得られた正方晶、菱面体晶のPZTのそれぞれについて行ったX線回析分析のチャートを図3、図4に示す。
【0029】
図3に見られる如く、正方晶では、連続成膜法では(110)、(111)配向が混在しているが、パルス成膜法によれば(110)配向が大幅に減少し、(111)配向が増大している。菱面体晶では、連続法、パルス成膜法ともに(111)配向しており、(110)配向は見られない。
また、PZT(111)の特性ピークであるZr/(Zr+Ti)=0.42で2θ=38.5°、Zr/(Zr+Ti)=0.68で2θ=37.7°のピークのロッキングカーブの半価幅(FWHM)を測定したところ、下記表1に示すように、パルス法の方が半値幅が減少し、結晶性(の均一性)が向上していることを示している。
【0030】
Figure 0004437178
また、得られたPZT薄膜の表面をSEM写真で観察したところ、連続成膜法では結晶性の大きさは不均一で角張った形をしており、表面の凹凸は大きかった。それに対し、パルス法では結晶性の大きさが比較的均一な球状で、緻密になると共に表面の平坦性が大きく向上していた。
【0031】
後記の如く、パルス法では膜のリーク特性も大きく向上しており、原料ガスのパルス導入によれば連続導入よりも核生成が頻繁に起こるために、結晶構造がより緻密になり、その結果としてリーク特性も向上したものと考えられる。
(I−V特性)
得られたPZT薄膜(厚さ250nm)の電流−電圧特性(I−V特性)を測定した結果を図5、図6に示す。連続法と比べてパルス法により、リーク特性が向上している。
【0032】
正方晶と菱面体晶ではリーク特性の変化が異なるが、より単一配向することによりリークが抑えられている。即ち、正方晶では(110)、(111)配向から(111)配向に配向性が向上したことにより、リーク特性もより向上しているものと考えられる。
(P−E特性)
得られたPZT薄膜(厚さ250nm)の分極電荷−電界特性(P−E特性)を測定した結果を図7、図8に示す。正方晶PZTでは残留分極電荷Pr=40μC/cm2 、抗電界Ec=80kV/cmであり、菱面体晶ではPr=20μC/cm2 、Ec=50kV/cmであり、いずれも非常に良好な値であった。
(EcとPr)
上記のPZT薄膜のEcとPrの印加電圧との関係を、正方晶と菱面体晶のそれぞれについて図9、図10に示す。
【0033】
パルス成膜法が連続成膜法よりEc,Pr共に大きい。これは膜の結晶性がより高いことに起因していると考えられる。また、正方晶の方が菱面体晶より低電圧でPrが飽和している。これはパルス成膜法による効果が正方晶の方が大きいことを示している。
(まとめ/効果)
結晶構造:組成によらずパルス成膜することにより膜の結晶性が大幅に増加する。また配向性は、正方晶PZTでは無配向の膜がより(111)への高配向膜へ変化し、菱面体晶PZTでは(111)配向性が強くなってることから、両組成とも(111)配向膜が得られた。そしてその(111)面のロッキングカーブによる半価幅から結晶配向完全性を見積もると、正方晶PZTでは連続供給で4.10°がパルス成膜法で3.39°に、菱面体晶PZTで連続成膜法で5.40°が5.07°と、どちらも結晶配向性の向上も確認できた。
【0034】
I−V特性:両組成ともパルス成膜することによりリーク特性が改善される。10-6A/cm2 乗台から10-7A/cm2 乗台に改善。またそれらの耐圧も2倍以上になった。特に正方晶PZTでは連続成膜法とパルス成膜法の差が大きく出ることがわかった。
表面構造:連続成膜法では粒径が不均一であるのに対し、パルス成膜することによって粒径が均一化し、より密な構造となっている。
【0035】
表面平滑性:パルス成膜することによって表面が滑らかになっている。平均表面粗さRaでみると菱面体晶PZTが約1割、正方晶PZTで約5割小さくなっており、パルス成膜法の方がより滑らかな表面となっていた。したがって、パルス成膜法は粒径がそろうだけでなく、表面平滑性も大きく改善した。
強誘電特性:どちらの組成でも良好な強誘電特性を得ることができた。正方晶PZTではPr=40μC/cm2 、Ec=80kV/cm、菱面体晶PZTではPr=20μC/cm2 、Ec=50kV/cmと非常に大きな強誘電性を得た。また低い電圧から飽和する特性が得られた。このようにパルス成膜法では高い強誘電性を持つ膜を得ることができた。
【0036】
パージ時間:一般的にパージ時間が長くなるほど結晶性も強誘電特性その他の特性を改良されるが、飽和状態に達する。パージ時間はアニール効果を奏していると考えられる。
実施例2
実施例1と同様にして、ただし基板として(111)SrRuO3 /(111)SrTiO3 を用いて、PZTをエピタキシャル成長させた。
【0037】
得られたPZT薄膜のX線回析分析チャートを図11に示す。パルス成膜法により(111)エピタキシャル膜が得られ、菱面体晶PZTの2θ=37.7°における半値幅は0.771°であり、多結晶の5.071°と比べるとその差が明瞭である。
同様にして、得られたPZTエピタキシャル結晶薄膜の表面特性、I−V特性、P−E特性、EcとPrなどを実施例1と同様に評価した。PZT多結晶薄膜と比べてPZT単結晶薄膜の方が、優れた特性を示した。
【0038】
I−V特性を図12、図13に示す。パルス成膜法によりリーク電流が低下している。
P−E特性を図14、図15に示す。正方晶PZTでPr=40μC/cm2 、Ec=80kV/cm、菱面体晶PZTでPr=40μC/cm2 、Ec=70kV/cmの優れた特性が得られた。多結晶よりもエピタキシャル結晶の方がEc,Pr共により大きく、分極がより大きいので、実用化に有効であることを示している。
【0039】
パルス成膜法が多結晶PZTのみならず、エピタキシャルPZTにおいても有効であることが示された。
実施例3
実施例1と同様の方法で、図1に示したと類似の装置で、基板として(111)Pt/Ti/SiO2 /Siを用い、原料有機化合物としてBi(CH3 3 〔トリケミカル研究所製〕、Sr{Ta0.7 Nb0.3 (OC2 5 5 (OC2 4 OCH3 )}2 〔高純度化学研究所製〕を用い、キャリヤガスとしてArを用い、基板温度650℃とし、原料ガス供給時間10秒、パージ時間5秒で繰り返してSrBi2 (Ta,Nb)2 9 を成膜した。
【0040】
得られた膜の平坦性は優れたものであり、この膜についてP−Eヒステリシス曲線を測定した結果を図16に示す。650℃という低温で優れた角形ヒステリシス曲線が得られている。
比較のため、上記と同様であるが、パージなしで連続成膜して作成したSrBi2 (Ta,Nb)2 9 は平坦性がパルス成膜した膜より劣り、そのP−Eヒステリシス曲線は図17に示す如く劣ったものであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明のパルス成膜MOCVD法によれば、結晶性が向上し、また表面平坦性にも優れる結果、強誘電特性、リーク特性などが改良される効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】MOCVD装置の膜式図。
【図2】原料ガスの供給パターンを示す。
【図3】多結晶の正方晶PZTのX線回析パターン。
【図4】多結晶の菱面体晶PZTのX線回析パターン。
【図5】多結晶の正方晶PZTのリーク電流特性。
【図6】多結晶の菱面体晶PZTのリーク電流特性。
【図7】多結晶の正方晶PZTの分極−電界特性。
【図8】多結晶の菱面体晶PZTの分極−電界特性。
【図9】多結晶PZTの残留分極−電圧特性。
【図10】多結晶PZTの抗電界−電圧特性。
【図11】エピタキシャルの菱面体晶PZTのX線回析チャート。
【図12】エピタキシャルの正方晶PZTのリーク電流特性。
【図13】エピタキシャルの菱面体晶PZTのリーク電流特性。
【図14】エピタキシャルの正方晶PZTの分極−電圧特性。
【図15】エピタキシャルの菱面体晶PZTの分極−電界特性。
【図16】実施例のSrBi2 (Ta,Nb)2 9 膜のP−Eヒステリシス曲線。
【図17】比較例のSrBi2 (Ta,Nb)2 9 膜のP−Eヒステリシス曲線。

Claims (7)

  1. 有機金属化合物化学的気相堆積法による強誘電体材料膜の成膜方法であって、基材上に原料有機金属化合物ガスを間欠的に供給して強誘電体材料膜を堆積し、間欠的な原料有機金属化合物ガスの供給の間に、不活性パージガスを流すことを特徴とする強誘電体材料膜の成膜方法。
  2. 不活性パージガスを流す時間が60秒以下であることを特徴とする請求項1の強誘電体材料膜の成膜方法。
  3. 強誘電体材料がPb(Zr,Ti)O3 であることを特徴とする請求項1又は2に記載の強誘電体材料膜の成膜方法。
  4. 強誘電体材料がSrBi2 Ta29 であることを特徴とする請求項1又は2に記載の強誘電体材料膜の成膜方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の強誘電体材料膜の成膜方法を用いて、強誘電体メモリを作成することを特徴とする強誘電体メモリの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の強誘電体材料膜の成膜方法を用いて、アクチュエータを作成することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の強誘電体材料膜の成膜方法を用いて、マイクロマシンを作成することを特徴とするマイクロマシンの製造方法。
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