JP4436363B2 - 単結晶の育成方法及び繊維成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、CZ法による単結晶の育成方法に関するものであり、特に1つの石英ルツボを継続使用して複数本の単結晶インゴットを育成するCZ法による単結晶の育成方法に関するものである。
半導体集積回路の製造に用いられる半導体単結晶ウェーハ、特にシリコン単結晶ウェーハは、主にCZ法(チョクラルスキー法)を用いて育成した単結晶を用いて製造される。CZ法においては、石英ルツボ内に所定量の原料多結晶を装入して溶融し、この融液から単結晶インゴットを育成することによって単結晶を製造する。1本の単結晶インゴットの育成を完了した後、石英ルツボ内には融液の一部が残存する。
石英ルツボは非常に高価であり、単結晶インゴットを1本引き上げる毎に1個の石英ルツボを消費したのでは、単結晶育成コストを増大させる原因となる。単結晶育成コストを低減させるには、石英ルツボの寿命が続く限り、1つの石英ルツボを用いてできるだけ多くの単結晶インゴットを引き上げることが有効である。
阿部孝夫著「シリコン 結晶成長とウェーハ加工」1994年5月20日、株式会社培風館発行、第53〜54ページ(文献1)には、多数インゴット法が記載されている。1本の単結晶インゴットの引き上げが完了した後、原料とドーパントを追加し、成長を繰り返す。1個のルツボから多数本引き上げる。単結晶あたりのルツボコストが低減することに加え、インゴットの本数が多くなるほど収率は向上する。またホットゾーンの解体、清掃などの作業時間を大幅に短縮でき、生産性を向上させる。
原料多結晶融液中に含まれる有害不純物、例えば炭素や重金属などは、凝固時の分配係数が非常に小さい値であることから、凝固時にこれら不純物の大部分は固液界面の液相側に排除され、融液中に残存し、凝固の進行とともに融液内不純物濃度が濃縮する。そのため、上記多数インゴット法において同一の石英ルツボでの単結晶インゴット引き上げ本数が増大するとともに、残存融液中の不純物濃度が増大し、それとともに凝固単結晶中に取り込まれる不純物濃度も増大し、ついには単結晶の品質上許容できないレベルまで不純物濃度が増大し、たとえ石英ルツボが健全であってもその時点で単結晶の育成を中止せざるを得なくなる。
1本の単結晶インゴット育成が完了し、石英ルツボの残存融液中に次の単結晶インゴット育成のための多結晶を装入するに先立ち、残存融液の一部を排除することができれば、残存融液中に濃縮した不純物の総量を低減することができるので、品質上許容できる範囲で引き上げる単結晶の本数を増大することが可能となる。
特開平6−72792号公報(文献2)においては、チャンバー内に挿入したレセプタクルを用いてルツボ中の融液を吸引する方法が記載されている。レセプタクルの下部にインレット手段としてチューブ状部材を配置し、チューブ状部材の下部先端を融液中に浸漬しつつレセプタクル内部の圧力をチャンバー内圧に比較して負圧とすることによって残存融液をレセプタクル内に吸引する。文献2においては、残存融液の少なくとも50容量%を吸引した場合に、ルツボを交換することなく少なくとも6つの結晶を成長させられるとしている。
石英ルツボを継続使用して複数本の単結晶インゴットを引き上げるのではなく、一度使用した石英ルツボを回収して繰り返し使用する方法が特開2001−226190号公報(文献3)に記載されている。引上げ装置の成形断熱材等として使用されている低密度炭素繊維成形体、とりわけ使用済の低密度炭素繊維成形体を廃材利用という形で石英ルツボ内の残液中に浸漬させ、これに残液を吸収させることにより、残液の全量を効率よく除去する。その後石英ルツボをメインチャンバ内で徐々に冷却すると、石英ルツボ内の残液が除去されているため、石英ルツボの割れが防止され、再使用が可能な状態で石英ルツボが回収されるとしている。
1つの石英ルツボを継続して使用しつつ複数本の単結晶インゴットを育成する場合においては、1本の単結晶インゴット育成が完了した後、残存融液に多結晶原料を追加して溶融し、次の単結晶インゴット育成を開始する。この方法では、残存融液が少しでも残っている限り、残存融液中の不純物は薄められて次の育成単結晶中に取り込まれていく。そのため、例えば1つの石英ルツボを継続して使用しつつドーパント種の異なる単結晶インゴットを育成しようとすると、ドーパント種変更後の融液中には異なったドーパントが共存することとなり、これでは石英ルツボを継続使用しつつドーパント種の変更を行うことが困難である。また、同じドーパント種の品種であっても、前に育成した単結晶が低抵抗品(ドーパント濃度が高い)であって次に育成する単結晶が高抵抗品(ドーパント濃度が低い)である場合には、前の単結晶を育成した後の残存融液中のドーパント濃度が高く、新たに原料多結晶を追加溶融しても低抵抗品を育成するに十分な程度にドーパント濃度を低下できないことがある。このような場合を、継続育成を困難にする第1の場合と呼ぶ。
CZ法にて単結晶を育成中にチャンバー内のカーボン製品が剥離して融液中に落下したり、融液上に存在する金属部材の一部が融液中に落下することがある。カーボン製品が落下すると融液中の炭素濃度が増大し、金属製品が落下すると融液中の重金属不純物濃度が増大し、このままでは単結晶成を継続することが不可能となる。このような場合を、継続育成を困難にする第2の場合と呼ぶ。
CZ法による単結晶育成においては、融液表面から蒸発するSiOとヒーターを形成する高温のカーボン部材とが反応し、これにより発生したCOやCOガスが融液中に取り込まれ、融液中の炭素濃度が徐々に増大する。1つの石英ルツボを継続使用しつつ長時間かけて多数本の単結晶インゴットの育成を行っていくと、ついには継続した単結晶育成が困難になるレベルまで炭素濃度が上昇することとなる。このような場合を、継続育成を困難にする第3の場合と呼ぶ。
以上第1〜第3の場合において、継続した単結晶育成を困難にしている不純物は、いずれも残存融液中に含まれている。従って、1つの単結晶インゴット育成が完了した後の残存融液の全量を取り除くことができ、併せて融液取り除き操作そのものによる石英ルツボの汚染を防止することができれば、上記のような場合にも石英ルツボの使用を継続して単結晶の引上げを行うことが可能となる。
前記文献2に記載の方法では、チューブ状部材の下部先端を融液中に浸漬しつつ残存融液をレセプタクル内に吸引する方法を採用しているため、石英ルツボ内の残存融液全量を吸引することが困難であった。従って、文献2の方法を用いたのでは、上記第1〜第3の場合いずれも、残存融液吸引後に単結晶の育成を継続することは困難であった。
前記文献3に記載の方法では、石英ルツボ内の残存融液の全量を吸引して取り除くことは可能であるが、残存融液を取り除いた後に引き続き新たな多結晶原料を装入して溶融すると、融液中の炭素濃度が異常に高くなることがあり、これでは単結晶を継続して育成することが困難となる。一方、文献3に記載の方法において、残存融液を取り除いた後に石英ルツボを回収し、洗浄して再度新たに使用するので、このような場合には融液中の炭素濃度が異常に増大する事態は発生しない。
本発明は、石英ルツボ内の残存融液の実質的に全部を取り除き、続いて当該石英ルツボ内に原料を装入して単結晶の育成継続を可能にするCZ法による単結晶の育成方法を提供することを目的とする。
文献3に記載の方法において、石英ルツボ内の残存融液を除去した後に引き続き石英ルツボ使用を継続した際には、上記のとおり炭素濃度の異常上昇が発生していた。その理由について解明したところ、残液中に浸漬させる低密度炭素繊維成形体の表面近傍から炭素繊維の粉が離脱し、これが石英ルツボの内表面に付着し、その後に装入する原料融液中に混入して炭素濃度の異常上昇原因となっていることが判明した。
これに対し、石英ルツボ内に残存する融液を繊維成形体に吸い取らせるに際し、繊維成形体における残存融液吸い取り面を除く外面の一部又は全部を固化処理し、あるいは非繊維材料で被覆しておきさえすれば、繊維成形体表面近傍から離脱する炭素繊維粉が石英ルツボ内表面に付着することを防止できることがわかった。その結果、石英ルツボ内の残存融液の実質的に全部を取り除き、その後継続して同一石英ルツボを使用しつつ単結晶の育成を行うことが可能になった。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その第1は、CZ法による単結晶の育成方法であって、1の単結晶インゴット2の育成を終了した後、石英ルツボ4内に残存する融液を繊維成形体7に吸い取らせることによって残存融液8の実質的に全部を取り除き、続いて石英ルツボ4内に原料を装入して別の単結晶インゴットの育成を行い、繊維成形体7は残存融液吸い取り面16を除く外面の一部又は全部を固化処理し、あるいは非繊維材料で被覆してなることを特徴とする単結晶の育成方法である。
ここにおいて、繊維成形体7の残存融液吸い取り面16の形状は、下に凸の曲面をなしていると好ましい。また、繊維成形体7の長さは、CZ法引き上げ装置のヒーター9の長さの1.6倍以内であると好ましい。さらに、繊維成形体7に残存融液を吸い取らせる際の残存融液温度は、残存融液の融点+15℃から融点+45℃の範囲に調整することとすると好ましい。さらに、繊維成形体7の残存融液吸い取り面16の直径は繊維成形体上部の直径より小さく、残存融液吸い取り時においてCZ引き上げ装置の観察窓から残存融液吸い取り面の外縁が視認可能であることとすると好ましい。
本発明は第2に、吊り下げ可能な繊維成形体7であって、繊維成形体7は炭素繊維を成形してなり、繊維成形体7は吊り下げ時に下端となる面を除く外面の一部又は全部を固化処理し、あるいは非繊維材料で被覆してなることを特徴とする繊維成形体である。ここにおいて、繊維成形体7の下端となる面の形状は、下に凸の曲面をなしていると好ましい。
第1図は、本発明の繊維成形体を配置したCZ引き上げ装置の全体を示す図である。
第2図は、本発明の繊維成形体を配置したCZ引き上げ装置の全体を示す図である。
第3図は、本発明の繊維成形体を配置したCZ引き上げ装置の全体を示す図である。
第4図は、本発明の繊維成形体を示す図である。
第5図は、本発明の繊維成形体を示す図である。
第6図は、本発明の繊維成形体を示す図である。
第7図は、本発明法と従来法での単結晶中抵抗率の推移を示す図である。
第8図は、吸い取り前インゴットと吸い取り後インゴットでの単結晶炭素濃度の推移を示す図である。
第9図は、本発明法と従来法での単結晶中炭素濃度の推移を示す図である。
本発明の単結晶の育成方法を適用するCZ引上げ装置としては、通常に用いられているCZ引上げ装置を用いることができる。その1例として第1図に示す単結晶シリコンCZ引上げ装置を例に挙げて説明する。
第1図に示すCZ引上げ装置は、引上げチャンバー3およびメインチャンバー1を有する。引上げチャンバー3とメインチャンバー1との間にはゲートバルブ13が設けられ、ゲートバルブ13を閉とすることにより、メインチャンバー内の真空を保持したままで引上げチャンバー3をメインチャンバー1から切り離すことができる。
メインチャンバー内には原料を溶融するための石英ルツボ4が配置され、石英ルツボ4はその外側を黒鉛ルツボ5によって支持されている。黒鉛ルツボ5は、下方のルツボ軸10によって支持され、ルツボ軸10の回転に伴って石英ルツボ4が回転する。黒鉛ルツボ5の外周を囲むように黒鉛製のヒーター9が配置され、さらにその外側を黒鉛製の断熱材11が取り囲んでいる。
石英ルツボ4内に原料多結晶シリコンを装入した後にチャンバー内を真空に排気し、ヒーター9による加熱で原料多結晶を溶融する。引上げチャンバー頂部から引上げワイヤー32によって吊り下げられた種結晶を石英ルツボ内の融液に接触し、種結晶を融液からゆっくりと引上げ、単結晶インゴット2を育成する。
1本の単結晶インゴット2の育成が完了すると、単結晶インゴット2は第1図に示すように引上げチャンバー3内に引き上げられ、ゲートバルブ13を閉とし、育成が完了した単結晶インゴット2を第2図(b)に示すように系外に取り出す。メインチャンバー内の石英ルツボ中には第2図(a)に示すように融液8が残存している。この石英ルツボ4をそのまま用いて継続して単結晶インゴット2の育成を行う場合には、追加の原料多結晶シリコンを石英ルツボ内に装入する。このとき前記文献1に記載のように、引上げチャンバーから多結晶ロッドを降下させて溶融する方法を採用しても良い。その後、単結晶インゴットの育成を行う。このようにして、連続して多数本の単結晶を育成することができる。
本発明においては、1本の単結晶インゴット育成が完了し、次の単結晶インゴット育成を開始する前に石英ルツボ内に残存する融液8の実質的に全部を取り除く必要が生じたとき、融液8を第4図〜第6図に示すような繊維成形体7に吸い取らせる。この繊維成形体7は、残存融液吸い取り面16を除く外面の一部又は全部を固化処理し、あるいは非繊維材料で被覆してなることを特徴としている。
本発明で用いる繊維成形体7としては、融液の融点以上でもその形状を保ち、融液を毛細管現象で吸い上げられかつ融液との反応性の弱い物質であれば特に限定するものではない。繊維成形体7として低密度の炭素繊維成形体を用いることにより、この条件を満足することができる。低密度の炭素繊維成形体は、CZ引上げ装置の黒鉛製の断熱材11として用いられているものと同様の材質のものをそのまま用いることができる。新たに炭素繊維材を用いて成形加工したもの、あるいはすでにCZ引上げ装置の断熱材として使用したものを加工して用いてもいずれでも良い。新たに炭素繊維成形体を用いて成形加工したものについては、シリコンの融点以上の温度で焼成することにより、繊維中に残存する不純物ガスを十分に排除しておくと好ましい。繊維成形体7の嵩密度としては、0.1〜0.6g/cmとすると融液の吸い上げを良好に行うことができる。繊維成形体7の形状としては、円筒状、円錐、角柱、角錐、球など特に問わない。
本発明の繊維成形体7は、単結晶引き上げ装置で吊り下げて使用するので、吊り下げ可能な形状としている。繊維成形体7をケース6内に格納する場合には、第4図(a)に示すようにケース6が吊り下げ可能な形状となっている。そして、繊維成形体7の残存融液吸い取り面16は吊り下げ時に下端となる面に該当する。
本発明の繊維成形体8は、残存融液吸い取り面16を除く外面の一部又は全部を固化処理し、あるいは非繊維材料で被覆する。繊維成形体の下端部は、石英ルツボ内の残存融液に接触させて融液を吸い取る機能を有するため、通常は固化処理も被覆も行わない。この面を残存融液吸い取り面16という。それ以外の外面部分については、その全部を固化処理し、あるいは被覆すると好ましい。なお、固化処理によっては、融液吸い取り能力を有する処理も可能である。このような場合には、残存融液吸い取り面16に固化処理がなされていても良い。繊維成形体の上面側については、吸い取り時においても温度がさほど上昇せず繊維の粉化も少ないので、固化処理も被覆も行わないこととしても良い。
固化処理とは、繊維成形体8の外表面に現れた部分について、繊維の粉が飛散しないように固化する処理をいう。第4図(b)(c)においては、繊維成形体7の残存融液吸い取り面16を除くすべての面について固化処理がなされ、固化処理層17が形成されている。固化処理層とは具体的には、繊維成形体とほぼ同じ成分で表面のコーテイングを行ない高温熱処理を行ない固化したものあるいは、繊維成形体と似た成分のクロスを貼ったものとすることができる。
非繊維材料での被覆とは、第4図(a)に示すように黒鉛製ケース6、あるいはSiCやカーボンでコーティングした材料を用いたケース6の中に繊維成形体7を収納したり、さらには繊維成形体の外側を黒鉛シートで取り囲む処理をいう。所定の強度を有するケース6の中に繊維成形体7を収納して吸い取り治具15とすれば、融液を吸い取って重量が増加した繊維成形体7を安定して保持することができるので好ましい。また、たとえ繊維成形体7が割れてもケース6の中に収納されているので問題が生じることがない。
第4図(a)に示す事例では、繊維成形体7をケース6の中に収納するとともに、ケース6から外方に突き出た繊維成形体の下端部分については、残存融液吸い取り面16を除く外面についてさらに固化処理層17で覆われている。
文献3に記載の方法で石英ルツボ内の残存融液の全量を吸引して取り除く場合、残存融液を取り除いた後に引き続き新たな多結晶原料を装入して溶融すると、融液中の炭素濃度が異常に高くなることがあり、単結晶を継続して育成することが困難であった。炭素濃度の異常上昇が発生する原因は、炭素繊維と炭素繊維の中に存在するごく微量の水分などが反応して炭素繊維が燃焼し、その結果成形体の表面近傍から炭素繊維の粉が離脱し、これが石英ルツボの内表面に付着し、その後に装入する原料融液中に混入するためであった。
本発明においては、繊維成形体7における残存融液吸い取り面16を除く外面の一部又は全部を固化処理し、あるいは非繊維材料で被覆しているので、融液吸い取り中においても炭素繊維の粉の離脱を防止することができ、結果としてその後継続して単結晶の育成を行っても単結晶中の炭素濃度が上昇するトラブルが生じることがない。
1つの石英ルツボ4を継続使用しつつ多数の単結晶インゴット2を育成するに際し、途中でドーパント種を変更したり、低抵抗品から高抵抗品に品種変更を行う場合には、残存融液の実質的に全部を取り除かない限り次の単結晶を育成することができない。また、融液中に引上げ装置内のカーボン製品や金属製品が落下した場合にも、残存融液の実質的に全部を取り除かない限り次の単結晶インゴットを育成することができない。さらには、長時間にわたる単結晶インゴット引上げによって融液中の炭素濃度が上昇した場合にも、残存融液の実質的に全部を取り除かない限り次の単結晶インゴットを育成することができない。
本発明は石英ルツボ内に残存する融液8を繊維成形体7に吸い取らせることによって残存融液8の実質的に全部を取り除くことができ、さらに吸い取り作業に起因して石英ルツボ内を汚染することがないので、上記いずれの場合においても単結晶の育成をさらに継続することが可能となる。
ここにおいて、残存融液の実質的に全部とは、吸い取り前の残存融液質量の99%以上を意味する。この程度の量を吸い取り除去することにより、残存融液中の不純物の悪影響を取り除くことができるからである。99.9%以上を取り除けばより好ましい。
本発明の繊維成形体の残存融液吸い取り面の形状は、下に凸の曲面をなしていることとすると好ましい。
繊維成形体7の残存融液吸い取り面16の形状がフラットでかつ広い面を有する場合、石英ルツボの底部形状が湾曲していることに起因し、第5図(c)に示すように残存融液の吸い残しが発生する場合がある。本発明においては、第5図(a)に示すように繊維成形体の残存融液吸い取り面16の形状を下に凸の曲面とすることにより、第5図(b)に示すように残存融液の吸い残しを防止することが可能となる。吸い取り面の形状としては、石英ルツボの底面形状に沿うように湾曲させると最も好ましい。
一方、残存融液吸い取り面の形状がフラットであっても、その面がさほど広い面でない場合には、第4図に示すように吸い残しは実際上問題のないレベルとすることが可能である。使用するルツボ直径の50%以下の直径を有する繊維成形体であれば、吸い取り面の形状がフラットであっても実質上は問題にならない。通常用いられる直径の石英ルツボを用いる場合であれば、吸い取り面の形状が直径400mm以下の円形、あるいは短辺長さが400mm以下の矩形である場合には、吸い取り面の形状がフラットであっても実質上は問題にならない。
繊維成形体7の大きさとしては、残存融液8の全量を吸い取ることのできる容積を有していればよい。さらに、本発明の繊維成形体7の長さは、CZ法引き上げ装置のヒーターの長さの1.6倍以内であることとすると好ましい。
石英ルツボ内の残存融液8を毛細管現象を利用して繊維成形体7に吸い取るためには、繊維成形体7の温度が融液の融点以上の温度に保持される必要がある。その温度が融点以下になると融液は固化するので吸い取れなくなる。繊維成形体7の温度を融点以上に保つためには、CZ引上げ装置のヒーター9の発熱を利用すると好ましい。この場合、繊維成形体7の長さをCZ法引き上げ装置のヒーター9の長さの1.6倍以内とすれば、繊維成形体7の全長にわたって融点以上の温度を確保することができ、好ましい。
繊維成形体7に融液を吸い取らせるときの石英ルツボ4とヒーター9の位置関係については、融液位置をヒーター9の下端より低い位置とすると、残存融液8が凝固し吸い取れなくなるため好ましくない。そこで、石英ルツボ中の融液8の位置をヒーター9の下端位置付近とする。繊維成形体7の長さがヒーター長さの1.6倍以内であれば、繊維成形体7の吸い取り面16を融液中に浸漬した位置において繊維成形体7の上端がややヒーター上端よりも上方に位置する関係となり、これであれば繊維成形体7の温度を融液の融点以上の温度に保持することが可能である。
例えば直径460〜810mm程度の石英ルツボ4を用いる場合であれば、ヒーター9の長さはおおむね500mmから600mm程度となるので、繊維成形体の長さを800mm以下とすれば好ましい結果を得ることができる。
石英ルツボ中の残存融液の実質的に全部を吸い取るためには、融液の温度を十分に高く保つことが必要である。融液温度が低いと融液が固まり、吸い取ることができない。一方、融液温度が高くなり過ぎると石英ルツボ内で融液が沸騰し、石英ルツボの側面に液滴が飛び散って付着するため、残存融液の実質的に全部を取り除くことが困難となる。
本発明においては、繊維成形体7に残存融液8を吸い取らせる際の残存融液温度は、残存融液8の融点+15℃から融点+45℃の範囲に調整することとすると好ましい。シリコン融液の場合、シリコンの融点は1415℃前後であるため、吸い取り開始時の融液温度を1430℃〜1460℃の間に制御すると良い。
石英ルツボ内の残存融液の実質的に全部を取り除くためには、吸い取りを行いながら吸い取り状況を確認することが重要である。繊維成形体を吊り下げるワイヤーにかかる重量を測定し、重量の変化から概略の吸い取り量を計測することは可能である。しかし、当初残存融液量と吸い取り量とを正確に評価できない限り吸い取り完了を正確に把握することは困難であり、この方法は実用的とは言えない。
最も正確に融液の残存状況を把握する方法は、石英ルツボ内の残存融液の有無を目視で確認することである。本発明においては、第6図に示すように繊維成形体7の残存融液吸い取り面16の直径は繊維成形体上部の直径より小さく、残存融液吸い取り時においてCZ引き上げ装置の観察窓33から残存融液吸い取り面の外縁が視認可能であることとすると好ましい。これにより、引上げ装置の観察窓33を通じて残存融液の実質的に全部が吸い取られたことを確認することができ、確実に吸い取りを完了することが可能となる。
次に、本発明の繊維成形体を用いた残存融液の吸い取り方法について、第1図〜第3図に基づいてより具体的に説明を行う。
ここで説明する実施の形態では、ゲートバルブ13と引上げチャンバー3との間に支持装置20が配置されている。引上げチャンバー3が単結晶インゴット2の引上げと回収の役割を担い、支持装置20が繊維成形体7の吊り下げ、融液の吸い取り、繊維成形体の回収の役割を担う。支持装置20は、支持チャンバー21、格納部22、移動式プーリエ23、巻き取り装置26、プーリエ移動機構24、ワイヤー25から成り立っている。
吸い取りを実施する直前の結晶育成にあたっては、石英ルツボ内の残存融液量を極力少なくすべく育成を行う。直径560mmの石英ルツボ4を用いたCZシリコン引上げの場合であれば、引上げ完了後の融液残存量を10kgまで低減しておくと好ましい。
引上げを完了した単結晶インゴット2を第1図に示すように引上げチャンバー3内に引き抜き、第2図に示すようにゲートバルブ13を閉じて引上げチャンバー3と支持装置20とを横移動する。この実施の形態では、引上げチャンバー3を第2図(b)の位置に移動してその位置で引き上げた単結晶インゴット2を回収し、支持装置20は第2図(c)の位置に移動する。
この実施の形態で使用する繊維成形体7は、炭素繊維を成形したものであり、上部は円筒形をなし、残存融液吸い取り面16を含む部分は直径がやや小さい円筒形である。残存融液吸い取り面16の形状は平面としている。このような形状の繊維成形体7を、第4図(a)に示すように黒鉛製のケース6に収納し、残存融液吸い取り面16を含む部分のみをケース6の底部から下方に突き出させている。残存融液吸い取り面16は炭素繊維がそのまま現れており、残存融液吸い取り面を含む円筒形の外周部については繊維成形体と同じような成分で特殊コーテイングによって被覆している。繊維成形体の全体長さはヒーター長さよりもやや長い形状としている。また、繊維成形体の残存融液吸い取り面の直径は繊維成形体上部の直径より小さく、残存融液吸い取り時においてCZ引き上げ装置の観察窓から残存融液吸い取り面の外縁が視認可能である。
支持装置20の格納部22の中に格納されている移動式プーリエ23がプーリエ移動機構24によって移動し、プーリエ先端のワイヤー25が支持チャンバー21の中心に位置するようにセットされる。ワイヤー25はタングステン製のワイヤーを用いている。
ケース6に収納した繊維成形体7をワイヤー25に取り付けて支持装置20に吊り下げ、そのまま支持装置20を移動して第3図に示すようにゲートバルブ13の上部に配置する。同様に単結晶インゴット2の回収を終了した引上げチャンバー3を移動して支持装置20の上部に配置する。
メインチャンバー内のヒーター9と石英ルツボ4の位置関係については、石英ルツボ内の残存融液8がヒーター9の下端付近に位置するように調整しておく。残存融液8の温度を1430℃から1460℃の間に制御する。融液の温度制御は放射温度計14によって温度を計測して行うことができる。
アルゴンガスによって支持装置20と引上げチャンバー3内を十分に置換した後にゲートバルブ13を開とし、支持装置20の巻き取り装置26を操作してワイヤー25を繰り出し、繊維成形体7を下降させる。繊維成形体7が融液8に接触する直前の位置で停止し、ヒーター加熱によって繊維成形体7の温度を高温に保持する。少なくとも10分以上保持することにより、繊維成形体7の温度を必要な温度に上昇させることができる。繊維成形体7の温度が十分に高くなっていないと、融液8を吸い取り始めた際に融液が固まってしまい、残存融液8の実質的に全部を吸い取ることが困難となる。
繊維成形体7の温度を十分に高い温度とした後、繊維成形体7をさらに下降させて繊維成形体7を融液8に浸漬させる。数分で融液の実質的に全部を吸い取ることができる。メインチャンバーに設置された観察窓から残存融液の吸い取り状況を確認することができるので、完全に吸い取ったことを目視で確認する。
融液を吸い取った繊維成形体7を巻き取り装置26を用いて支持チャンバー21の位置まで巻き上げ、ゲートバルブ13を閉とする。その後支持装置20をメインチャンバー1の横位置まで移動させ、繊維成形体7を取り出す。
その後、引上げチャンバー3のワイヤー32を利用して次の単結晶育成の原料を石英ルツボ内に装入する。原料としてはロッド状の多結晶シリコンや粒状多結晶シリコン、ナゲット状多結晶シリコンを用いることができる。大きな塊を引上げチャンバーから直接投入すると石英ルツボが破損するので、石英ルツボに衝撃を与えないように原料を装入することが重要である。
同一の石英ルツボを用いた多数インゴット引き上げを行うに際し、従来は品種制約があり、少量多品種の製造を1つの石英ルツボで行う上で種々の制約があった。これに対し、本発明の融液吸い取りを行うことにより、新たに石英ルツボを準備して別ルツボで引き上げを開始しなくても良いため、結晶成長工期を短縮することができ、石英ルツボの寿命限度までルツボを使用することができるのでルツボコストを安くすることができる。また、p型からn型へ、あるいは低抵抗率材から高抵抗率材への品種変更等、急な注文変更にもコスト・生産性を犠牲にせずに対応することが可能となる。
同一石英ルツボで多数インゴットを引き上げるに際し、何らかのトラブルによって石英ルツボ中の融液が汚染された場合において、従来であればその時点で引き上げを中止せざるを得なかったが、本発明を適用することによって汚染融液を取り除いて引き上げを継続することが可能となり、その効果は大きい。
直径560mmの石英ルツボに多結晶シリコン原料を100kg装入して、直径200mmウェーハ用の単結晶シリコンインゴット(以下「8インチインゴット」ともいう。)を引上げ可能なCZ引上げ装置を用い、本発明を適用した。
繊維成形体7としては、密度0.45g/cmの炭素繊維を成形し、第4図(b)に示すような円筒形の形状としたものを用いた。繊維成形体7の容積は6360cmである。繊維成形体7の上部は直径120mmの円筒形をなし、残存融液吸い取り面16を含む部分は直径60mmの円筒形である。残存融液吸い取り面16の形状は平面としている。繊維成形体の外周部は、残存融液吸い取り面16を除いて固化処理を行い、固化処理層17で被覆されている。固化処理は、繊維成形体と同じような成分で特殊コーテイングし熱処理したものとした。繊維成形体7の全体長さは600mmであり、ヒーター長さ(500mm)よりもやや長い形状としている。また、繊維成形体の残存融液吸い取り面16の直径は繊維成形体上部の直径より小さく、第6図(b)に示すように残存融液吸い取り時においてCZ引き上げ装置の観察窓33から残存融液吸い取り面16の外縁が視認可能である。
繊維成形体7を炉内に挿入して吸い取りを行わせるため、第1図に示すような支持装置20を準備した。支持装置20は、支持チャンバー21、格納部22、移動式プーリエ23、巻き取り装置26、プーリエ移動機構24、ワイヤー25から成り立っている。
まず、直径560mmの石英ルツボ4に多結晶シリコン原料を100kg装入して、抵抗率1Ωcmの低抵抗率シリコン8インチインゴットであって質量90kgのものを引上げ、次いで多結晶シリコン原料を90kg装入して1本目と同様のインゴットを引き上げた。2本目インゴットの結晶長さ毎の抵抗率は、第7図に「2本目」として記載されている抵抗率分布を示している。石英ルツボ中には10kgの融液8が残存している。
3本目に引き上げる単結晶は25Ωcmの高抵抗品である。2本目に引き上げた単結晶が低抵抗品であるため残存融液中には高濃度でドーパントが残存している。従って残存融液8の実質的に全部を取り除かないと3本目の高抵抗単結晶を製造することができない。そこで、本発明を適用して残存融液8を吸い取ることとした。
残存融液吸い取りのための事前準備として、ゲートバルブ13を閉とし(第2図(a))、引上げチャンバー3と支持装置20とをメインチャンバー位置から横移動した(第2図(b)(c))。第2図(d)に示すように、支持装置20の格納部22の中に格納されている移動式プーリエ23をプーリエ移動機構24によって移動し、支持チャンバー21の中心位置にセットした。この状態で支持装置20のワイヤー25に繊維成形体7を取り付け、巻き取り装置26で吊り下げて繊維成形体7を支持チャンバー内に格納した。
支持装置20と引上げチャンバー3とを第3図に示すようにゲートバルブ13の上の元の位置に戻し、支持チャンバー3と引上げチャンバー21の内部をアルゴンガスで10分間置換した後にゲートバルブ13を開けた。次に支持装置20のワイヤ25に結合されている繊維成形体7を下降させ、融液8に接触する直前で止めて20分間保持した。このとき、石英ルツボ内の残存融液8がヒーターの下端付近に位置するように調整し、残存融液8の温度が1450℃になるように、放射温度計14で融液温度を測温しながら温度調整を実施した。
20分間の保温後、繊維成形体7をさらに下降させて残存融液吸い取り面16を融液中に浸漬させた。約2分間で残存融液8の実質的に全部を吸い取ることができた。完全に吸い取ったことを第6図(b)に示すようにメインチャンバーの観察窓33から目視で確認し、繊維成形体7を巻き取り装置26を用いて巻き上げ、ゲートバルブ13を閉とした。その後支持装置20を横移動し、繊維成形体7を取り出し、再度支持装置20と引上げチャンバー3とをゲートバルブ13の上に配置した。
その後、引上げチャンバー3のワイヤーを利用して新たに100kgの原料多結晶シリコンとドーパントとを石英ルツボ内に装入し、8インチインゴットの引上げを行った。石英ルツボ内の残存融液がゼロの状態で新たな原料を装入したので、インゴットトップ部で抵抗率が25Ωcmという高抵抗にもかかわらず、目標どおりの品質を有する単結晶を引き上げることができた。
残存融液を吸い取らずに3本目の単結晶引上げを行う従来方法では、第7図に「従来法3本目」と記載したグラフのように、インゴットトップ部の抵抗率を8Ωcmよりも高い値とすることができなかったが、本発明を適用することにより、第7図に「本発明法3本目」と記載したグラフのように、25Ωcmという高抵抗のインゴットを引き上げることができた。
1本目のインゴットを引き上げた後に上記と同様の方法を用いて融液の吸い取りを行い、2本目のインゴット引上げを行った。この2本のインゴットの直胴部最ボトムについてICP−MSを用いて不純物分析を行い、不純物濃度の比較を行った。結果を表1に示す。この結果から明らかなように、残存融液吸い取りの前後でインゴット中の不純物濃度に差は見られず、残存融液吸い取りに起因する不純物汚染が発生していないことが明らかである。
Figure 0004436363
上記実施例1と同様の引上げ装置を用いて同様に質量90kgの8インチインゴット引上げを行った。石英ルツボ中の残存融液(10kg)中に新たな原料多結晶シリコンを装入した上で、2本目のインゴット引き上げを行おうとしている。
1本目の引き上げが完了したとき、当該1本目のインゴットについて固化率80%位置の炭素迅速分析を行ったところ、炭素濃度が高すぎることが判明した。このまま、2本目のインゴット引き上げを行うと、残存融液中の炭素が高濃度であるため、2本目インゴットについても炭素濃度が高めに外れることが予想される。
そこで、ただちに上記実施例1と同様の方法によって残存融液の吸い取りを行った。その後新たに原料多結晶シリコンを100kg装入して2本目のインゴットを引き上げた。
1本目と2本目インゴットそれぞれについて、インゴットの固化率を横軸にとって炭素濃度を評価したところ、第8図に示すように2本目インゴットの炭素濃度は正常な値を示し、残存融液吸い取りの効果が得られていることがわかった。
上記実施例1と同様の引上げ装置を用いて同様に質量90kgの8インチインゴット引上げを行った。本発明例では第4図(a)に示すように繊維成形体7を黒鉛製のケース6に格納したものを用い、比較例では繊維成形体7の外面を固化処理もせずケースにも収納していないものを用いた。
本発明例、比較例それぞれ、残存融液を繊維成形体で吸い取った後に単結晶インゴットを引き上げ、それぞれの単結晶インゴットについて固化率を横軸に単結晶中の炭素濃度を評価した。結果を第9図に示す。比較例(◆)は単結晶中の炭素濃度が高かったのに対し、本発明例(■)は単結晶中の濃度を低く抑えることができた。比較例においては、繊維成形体の外面を固化処理もせずケースにも格納しなかったため、融液吸い取り中に繊維成形体の外周部が粉化して石英ルツボ内に落下し、次に引き上げる単結晶インゴットの炭素濃度増大の原因になったものと考えられる。
育成する品種が変更になる場合、カーボン製品や金属製品がルツボ内融液に落下した場合、長時間の育成によって融液中の炭素濃度が増大した場合においても、本発明により、石英ルツボ内の残存融液の実質的に全部を取り除き、その後継続して同一石英ルツボを使用しつつ単結晶の育成を行うことが可能になるので、石英ルツボコストを低減し、原料歩留りを向上し、併せて生産性を向上することが可能となる。

Claims (7)

  1. CZ法による単結晶の育成方法であって、1の単結晶インゴットの育成を終了した後、石英ルツボ内に残存する融液を繊維成形体に吸い取らせることによって残存融液の実質的に全部を取り除き、続いて当該石英ルツボ内に原料を装入して別の単結晶インゴットの育成を行い、前記繊維成形体は残存融液吸い取り面を除く外面のうち、少なくとも吸い取り時に上側となる面を除く面について、固化処理るいは非繊維材料で被覆してなることを特徴とする単結晶の育成方法。
  2. 前記繊維成形体の残存融液吸い取り面の形状は、下に凸の曲面をなしていることを特徴とする請求項1に記載の単結晶の育成方法。
  3. 前記繊維成形体の長さは、CZ法引き上げ装置のヒーターの長さの1.6倍以内であることを特徴とする請求項1に記載の単結晶の育成方法。
  4. 繊維成形体に残存融液を吸い取らせる際の残存融液温度は、残存融液の融点+15℃から融点+45℃の範囲に調整することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の育成方法。
  5. 前記繊維成形体の残存融液吸い取り面の直径は繊維成形体上部の直径より小さく、残存融液吸い取り時においてCZ引き上げ装置の観察窓から残存融液吸い取り面の外縁が視認可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の単結晶の育成方法。
  6. 吊り下げ可能な繊維成形体であって、繊維成形体は炭素繊維を成形してなり、繊維成形体は吊り下げ時に下端となる面を除く外面のうち、少なくとも吊り下げ時に上端となる面を除く面について、固化処理るいは非繊維材料で被覆してなることを特徴とする繊維成形体。
  7. 前記繊維成形体の下端となる面の形状は、下に凸の曲面をなしていることを特徴とする請求項6に記載の繊維成形体。
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