JP5337641B2 - 残存シリコン融液の除去方法、単結晶シリコンの製造方法、単結晶シリコンの製造装置 - Google Patents
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Description
このような太陽電池モジュールの普及に伴い、半導体の素材となる単結晶シリコンインゴットの需要が高まっている。
よって、次の単結晶シリコンの引き上げを行う際には、新規の石英坩堝に交換する必要があり、使用後の石英坩堝を廃棄処分していた。このため、単結晶シリコンの製造コストが増加してしまうととともに、単結晶シリコンの製造に伴う環境負荷が大きくなるといった問題があった。
よって、坩堝内の残存シリコン融液を除去した上で、チャンバ内を冷却することが可能となり、冷却過程における坩堝の割れの発生を防止することができ、使用後の坩堝を再使用することが可能となる。
また、前述の残存シリコン融液を汚染することなく除去することができ、汚染を最小限に留めた残存シリコンを再利用することが可能となる。
単結晶シリコンの引き上げに使用された坩堝においては、シリコン融液が長時間にわたって貯留されることにより、その内周面が劣化することになる。そこで、使用後の坩堝の内周面に石英膜をコーティングすることによって、新規の坩堝と同様に使用後の坩堝を使用することが可能となる。これにより、使用後の坩堝を再使用した場合であっても、高品質の単結晶シリコンを製出することができる。
この場合、残存シリコン融液吸引器において、坩堝内の残存シリコン融液に浸漬されるノズル部の先端部に、前記ノズル部の側方に開口した切り込み部が形成されているので、ノズル部の先端開口部のみでなく、切り込み部を通じて残存シリコン融液を吸引することができ、残存シリコン融液を確実に除去することができる。
まず、本実施形態である残存シリコン融液吸引器を備えた単結晶シリコンの製造装置について説明する。
図1及び図2に示す単結晶シリコンの製造装置10においては、耐圧気密に構成されたチャンバ11と、シリコン融液Mが貯留される石英坩堝20と、この石英坩堝20を支持する坩堝支持台22と、石英坩堝20の開口部に装着された坩堝開口部保持部材60と、石英坩堝20を加熱する加熱ヒータ40と、石英坩堝20の周囲を包囲する保温筒部50と、種結晶(シード)を保持するシードチャック27と、このシードチャック27を駆動するシードチャック駆動機構30と、本実施形態である残存シリコン融液吸引器70と、を備えている。
プルチャンバ19は、略円筒形状に形成され、引き上げられた単結晶シリコンTを収納する空間を有しており、トップチャンバ18によってメインチャンバ12と接続されている。
また、トップチャンバ18には、チャンバ11の内部と外部とを連通する連通孔部18Aが形成されており、この連通孔部18Aには蓋部材18Bが装着されている。これにより、チャンバ11内は気密状態に保持されることになる。
シードチャック27は、基端側がワイヤWに接続され、ワイヤWがシードチャック駆動機構30に接続されることにより、シードSがメインチャンバ12に対して相対的に回転及び昇降自在とされている。
また、保温筒部50の上端にはアッパリング55、アダプタ47を介してフロー管48が取り付けられている。このフロー管48は、下端開口部より上端開口部が大径とされた逆円錐台形状の中空筒とされ、石英、SiCまたは黒鉛により形成されている。
この加熱ヒータ40は、周方向の一部において、下方が電極継手41にボルト42で固定され、電極継手41はスピルトレイ16に形成された貫通孔に配置された黒鉛電極43を介して図示しない電源と接続されている。
石英坩堝20は、その凹部に単結晶シリコンTの原料である塊状の多結晶シリコン(シリコン原料)を保持可能とするとともに多結晶シリコンが加熱、溶融されて生成したシリコン融液Mを貯留可能とされている。ここで、本実施形態においては、石英坩堝20は、黒鉛坩堝21に収納されている。
坩堝開口部保持部材60は、図5に示すように、石英坩堝20の開口部がなす円に沿った円環状をなしており、石英坩堝20の側壁部の上端が挿入される環状溝61が形成されている。この環状溝61により、この坩堝開口部保持部材60には、図4に示すように、石英坩堝20の側壁部の外周面に密着させられる本体部62と、石英坩堝20の側壁部の内周面に係止される係止部63と、本体部62と係止部63とを連結する連結部64と、が画成されることになる。
そして、本実施形態では、黒鉛坩堝21の上端に本体部62が位置するようにして、坩堝開口部保持部材60が配設されている。また、石英坩堝20の内周側に配置される係止部63を含めて坩堝開口保持部材60の全体が、石英坩堝20よりも高温強度が高い材料である炭化珪素で構成されている。
この残存シリコン融液吸引器70は、図3に示すように、有底筒状をなして内部に貯留空間71を備えた吸引器本体72と、円筒状をなすとともに吸引器本体72の貯留空間71に連通するノズル部73と、を備えている。
なお、本実施形態においては、吸引器本体72は、例えば耐熱材料であるステンレス鋼で構成されており、ノズル部73は、例えば石英で構成されている。
まず、石英坩堝20内に原料となる塊状の多結晶シリコンを充填する(シリコン原料充填工程S1)。多結晶シリコンが充填された石英坩堝20を移送して、黒鉛坩堝21内に収容するとともに石英坩堝20の上端に坩堝開口保持部材60を装着する(石英坩堝装着工程S2)。
そして、カーボンチャック部28にシードSを挿入して固定し、シードチャック駆動機構30を駆動して、シードチャック27を下降させてシードSをシリコン融液Mに浸漬し、シードSをシリコン融液Mになじませる(シード浸漬工程S4)。
まず、石英坩堝20内に残存したシリコン融液を吸引除去する(残存シリコン融液除去工程S6)。このように石英坩堝20内に残存したシリコン融液を吸引除去した上で、チャンバ11内部を冷却する(冷却工程S7)。
次に、使用後の石英坩堝20を取り出し(石英坩堝取り出し工程S8)、使用後の石英坩堝20の内周面に石英膜をコーティングする(石英膜コーティング工程S9)。
そして、石英膜をコーティングした石英坩堝20に、原料となる多結晶シリコンを充填し、次の単結晶シリコンの引き上げの準備を行う。
単結晶シリコンTを取り出すとともに、シードチャック駆動機構30側から、残存シリコン融液吸引器70を下降させて、メインチャンバ12内に装入する(吸引器装入工程S61)。そして、チャンバ11の内部が減圧された状態において、ノズル部73を石英坩堝20内に残存されたシリコン融液M中に浸漬させる(ノズル部浸漬工程S62)。
このとき、ノズル部73がシリコン融液M中に浸漬させられているため、ノズル部73の開口部(先端開口部及び切り込み部74)がシリコン融液Mによって閉塞されることになり、残存シリコン融液吸引器70の貯留空間71内は、ガスが導入されずに減圧状態のままで維持されることになる。よって、チャンバ11内と貯留空間71内との間に差圧が生じることになり、この差圧によって、石英坩堝20内に残存されたシリコン融液Mが、貯留空間71内に吸引される(シリコン融液吸引工程S64)。
そして、使用後の石英坩堝20の内周面に石英膜をコーティングし(石英膜コーティング工程S9)、石英膜をコーティングした石英坩堝20を再使用することになる。
例えば、ステンレス鋼からなる吸引器本体と、石英からなるノズル部と、を備えた残存シリコン融液吸引器を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、吸引器本体及びノズル部が他の材質で構成されていてもよい。
さらに、石英坩堝の開口部に坩堝開口部保持部材を装着するものとして説明したが、これに限定されることはなく、坩堝開口部保持部材を用いていなくてもよい。
また、チャンバ、シードチャック及びシードチャック駆動機構の構成は、本実施形態に記載されたものに限定されることはなく、適宜設計変更してもよい。
11 チャンバ
20 石英坩堝
21 黒鉛坩堝
60 坩堝開口部保持部材
63 係止部
70、170 残存シリコン融液吸引器
71、171 貯留空間
72、172 吸引器本体(本体部)
73、173 ノズル部
74、174 切り込み部
Claims (5)
- チャンバの内部に配置された坩堝内に残存したシリコン融液を除去する残存シリコン融液の除去方法であって、
吸引した残存シリコン融液が貯留される貯留空間を備えた本体部と前記貯留空間に連通するノズル部とを備えた残存シリコン融液吸引器を、前記ノズル部が前記坩堝内の残存シリコン融液に浸漬されるようにして配置し、
前記チャンバ内にガスを導入してチャンバ内の圧力を昇圧し、前記チャンバ内と前記貯留空間内との差圧によって、前記残存シリコン融液を前記貯留空間へと吸引することを特徴する残存シリコン融液の除去方法。 - チャンバ内に配置された坩堝に貯留したシリコン融液にシードを浸漬し、前記シードを引き上げて単結晶シリコンを成長させる単結晶シリコンの製造方法であって、
前記単結晶シリコンの引き上げが終了した後に、前記坩堝内に残存したシリコン融液を請求項1に記載の残存シリコン融液の除去方法によって除去し、
前記残存シリコン融液を除去した上で前記チャンバ内を冷却して、使用後の坩堝を取り出して再使用することを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。 - 使用後の前記坩堝の内周面に石英膜をコーティングした後に、シリコン融液を貯留する坩堝として再使用することを特徴とする請求項2に記載の単結晶シリコンの製造方法。
- チャンバ内の坩堝に貯留したシリコン融液にシードを浸漬し、前記シードを引き上げて単結晶シリコンを成長させる単結晶シリコンの製造装置であって、
吸引した残存シリコン融液が貯留される貯留空間を備えた本体部と前記貯留空間に連通するノズル部とが設けられた残存シリコン融液吸引器を、有しており、
前記残存シリコン融液吸引器は、前記ノズル部を前記坩堝内の残存シリコン融液に浸漬されるようにして配置し、前記チャンバ内にガスを導入してチャンバ内の圧力を昇圧し、前記チャンバ内と前記貯留空間内との差圧によって、前記残存シリコン融液を前記貯留空間へと吸引する構成とされていることを特徴とする単結晶シリコンの製造装置。 - 前記ノズル部の先端部には、前記ノズル部の側方に開口した切り込み部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の単結晶シリコンの製造装置。
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