JP4435936B2 - 乗物用引出式ホルダー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車,電車,船舶,飛行機等の室内に装備されて、缶,コップ,紙パックや小型ボトル等の飲料容器(以下、これらを総称して「カップ類」と言う)、又は、携帯電話等の携帯機器類を挿入保持するような場合に好適な乗物用引出式ホルダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗物用引出式ホルダーは、例えば、自動車の室内壁に埋込式に設置されて、乗員が必要時に引き出してカップ類等を挿入保持するものであり、不使用時に格納されているため室内空間の有効活用や外観的に優れている。この引出式ホルダーでは、例えば、自動車のインストルメントパネルなどの如く他の機器類との取り合いとなる設置部側の事情により、格納時における左右幅寸法を極力小さくしたいこともある。図9は、本出願人がそのような要求を満たすため先に開発した引出式ホルダー(特開平10−59047号)を示している。
【0003】
図9の乗物用引出式ホルダーは、固定側ケースaに対し前後方向へ摺動して格納位置及び引出位置に切り換えられるスライダーbと、2個の枠半体c1,c2を有し、スライダーb側に前後部をそれぞれ回動可能に支持して、両枠半体c1,c2が下へ折り畳まれると共に略水平に展開される周囲保持手段cと、両枠半体c1,c2を水平展開する方向に付勢する不図示のバネ手段とを備えている。この構造では、ケースaが上下に長い前開口した容器状であり、スライダーbがケースaに対応して高さより左右幅の小さい略板状をなし、板前後の支持部b1,b2及び両支持部b1,b2の間を低くした載置部b3を形成している。そして、使用時には、スライダーbを引出位置に摺動操作すると、両枠半体c1,c2が前記バネ手段により水平展開状態となり、間に形成される枠孔c3に上からカップ類を挿入し載置部b3で受ける。不使用時には、枠半体c1,c2が下折り畳み状態で載置部b3の幅内に収まり、スライダーbと共に格納位置へ摺動できる。符号dは前支持部b1の内側に出没可能に設けられたサブホルダーであり、例えば、枠孔c3に入れられるカップ類が相対的に小さいときその側面を押してがたつきを抑える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記引出式ホルダーでは、設置側スペースの左右幅を最小にでき、格納及び引出位置への切換操作性や使い勝手等に優れているが、次のような観点から更に改良の余地があることが分かった。
第1に、このホルダー構造では、両枠半体c1,c2が下折り畳み状態と水平展開状態との間で回動可能に支持されると共に、前記バネ手段により常に水平展開方向に付勢され、この使用態様において、バネ手段の付勢力に抗して下方へ押されない限り折り畳まれない。ところが、実際には、カップ類や手で、枠半体c1又はc2を図9の矢印Fの方向に押す虞もあり、そのような下向き荷重によって枠半体c1又はc2が不用意に倒れてカップ類を正常に保持できなくなり、カップ類が倒れ易くなる。これは、例えば、ドライバーなどの使用者が一々目視せずにカップ類を枠孔c3に出し入れするようなとき起こる。これを確実に無くしたい。
第2に、このホルダー構造では、スライダーbの左右幅を極力小さくしコンパクト化を実現し、同時に、載置部b3を水平展開された両枠半体c1,c2の略中間に位置させることでカップ類を安定載置することを基本としている。このため、載置部b3は枠孔c3の開口面積に対しレール状で狭くなっていることから、保持対象物が小さくなると抜け落ちる虞もある。保持対象物としては、元々カップ類を想定したものであるが、携帯電話等の他の物品であっても同様に保持したいこともあり、そのようにカップ類以外の物品を保持するようなときも、基本構造を維持してより安定載置できるようにしたい。
【0005】
すなわち、本発明の目的は、枠半体が水平展開状態から不用意に倒れる虞をなくして、使い勝手や信頼性を向上する。他の目的は、コンパクト化を維持して携帯電話などの物品も安定保持可能にすることにより、汎用性及び便利性を付与して商品価値を向上する。更に他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、図1等に例示される如く、高さより左右幅の小さな略板状をなし、前後の支持部21,22及び両支持部21,22の間を低くした載置部23を有し、固定側ケース1に前後方向へ摺動して格納位置と引出位置に切り換えられるスライダー2と、2個の枠半体3A,3Bを有し、両枠半体3A,3Bがそれぞれの両端を前記前後の支持部21,22に回動可能に支持して、前記載置部23上で左右下へ折り畳まれると共に載置部23上から左右にはみ出して略水平に展開される周囲保持手段3と、前記両枠半体3A,3Bを水平展開する方向に付勢するバネ手段4とを少なくとも備え、前記周囲保持手段が前記スライダーを前記ケースに格納するときに前記両枠半体を前記載置部上で下へ折り畳んで垂直状態となり、前記スライダーの引出位置で前記載置部の左右にはみ出して略水平に展開される水平展開状態となって、カップ類や携帯機器等の物品を、その水平展開状態で形成される前記両枠半体の枠孔38に上から挿入し前記載置部23で受ける乗物用引出式ホルダーであって、前記枠半体3A,3Bと前記ケース1との間に設けられて、前記枠半体3A,3Bが前記スライダー2の引出位置で前記バネ手段4に抗し下へ倒れないよう保持する枠転倒防止手段6を有し、前記枠転倒防止手段6が、前記枠半体3A,3Bの後側に設けられて枠半体3A,3Bの水平展開状態で横向きに突出し下折り畳み状態で略下向きとなる突起33と、前記ケース1の側面12に設けられて前記引出位置の少し手前で前記突起33と係合して枠半体3A,3Bの下折り畳みを阻止し、前記格納位置に切り換える初期過程で前記係合を自動的に解除可能な係合孔16とからなることを特徴とする
この構造によれば、両枠半体3A,3Bが水平展開つまり周囲保持手段3の使用状態で、バネ手段4の付勢力より大きな下向き荷重を受けても、枠転倒防止手段6により水平展開状態を維持し、従来のように枠半体が不用意に倒れることに起因する不具合を解消できる。また、枠転倒防止手段6としては、前記枠半体3A,3Bの後側に設けられて枠半体3A,3Bの水平展開状態で横向きに突出し下折り畳み状態で略下向きとなる突起33と、前記ケース1の側面12に設けられて前記引出位置の少し手前で前記突起33と係合して枠半体3A,3Bの下折り畳みを阻止し、前記格納位置に切り換える初期過程で前記係合を自動的に解除可能な係合孔16とで構成するため、部材数を増やすことなくケース1等の成形型で容易に実施可能にな
【0007】
他の本発明は、図5等に例示される如く、高さより左右幅の小さな略板状をなし、前後の支持部21,22及び両支持部21,22の間を低くした載置部23を有し、固定側ケース1に前後方向へ摺動して格納位置と引出位置に切り換えられるスライダー2と、2個の枠半体3A,3Bを有し、両枠半体3A,3Bがそれぞれの両端を前記前後の支持部21,22に回動可能に支持して、前記載置部23上で左右下へ折り畳まれると共に載置部23上から左右にはみ出して略水平に展開される周囲保持手段3と、前記両枠半体3A,3Bを水平展開する方向に付勢するバネ手段4とを少なくとも備え、前記周囲保持手段が前記スライダーを前記ケースに格納するときに前記両枠半体を前記載置部上で下へ折り畳んで垂直状態となり、前記スライダーの引出位置で前記載置部の左右にはみ出して略水平に展開される水平展開状態となって、カップ類や携帯機器等の物品を、その水平展開状態で形成される前記両枠半体の枠孔38に上から挿入し前記載置部23で受ける乗物用引出式ホルダーであって、前記載置部23に取り付けられて、前記載置部23の板幅内に収まる縮小状態から、載置部23の左右外側に張り出して載置面積を増大可能にする下展開手段9を有し、請求項2の場合は、図6等の如く2以上の板部材91,92からなり、該各板部材91,92が互いの一端側を同軸上に軸支して、他端側を開いて略扇状に展開されることを特徴とする。請求項3の場合は、図8等の如く2枚の平板部材95,96からなり、各平板部材95,96がヒンジ部(ピン)97を介し左右方向に展開されることを特徴とする。
この構造によれば、左右幅を小さくするというホルダーの基本設計を維持して、下展開手段9により載置面を実質的に広くすることから、カップ類S1に限らず携帯電話等の携帯機器類S2も安定載置可能となり、保持対象物を拡大できる。また、前者(請求項2)は各板部材91,92の他端側の展開角に応じ載置面積を増大する。後者(請求項3)は平板部材95,96に比例した大きさの平面性が容易に得られる。何れであっても、操作性を維持するためには、前記板部材91,92又は平板部材95,96同士を展開状態から自動的に縮小状態に切り換えて、前記スライダー2の格納位置への摺動を損なわないようにすることである(請求項4)。なお、本発明の枠半体3A,3Bは、通常、枠部31及び後側の片部32とを一体に有し、枠部31同志が水平展開されたとき円筒状物品用の略円状枠孔38を形成したり、角状物品用の略矩形枠孔38を形成するよう具体化される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1から図4は本発明を適用した乗物用引出式ホルダーの第1形態を示している。そのうち、図1は引出式ホルダーを引出状態で示す模式外観図、図2(a),(b)は図1の枠転倒防止手段を拡大した作動図、図3は引出式ホルダーを格納状態で示す模式側断面図、図4は引出式ホルダーを分解した模式構成図である。
【0009】
図に示す引出式ホルダーは、ケース1及び該ケース1に前後方向へ摺動して格納位置と引出位置に切り換えられるスライダー2を主体とし、2個の枠部材3A,3Bからなる周囲保持手段3、枠部材用のバネ手段4及びガイド手段5、枠転倒防止手段6、スライダー用の突出手段7及びロック手段8などを備えている。材質的には、バネやピンを除く部材が樹脂成形品であるが、樹脂以外であってもよい。また、この引出式ホルダーは、自動車の前席前方に位置するインストルメントパネルP(図3参照)に設置する設計であるが、例えば、室内壁や各種のコンソール等に設置することも可能である。次に各部材の構成を組立及び基本作動を含めて詳述した後、要部作動に言及する。
【0010】
ケース1は、図4の如く前開口した中空容器であり、全体が高さよりも左右幅を小さく、縦長の略長方体となっている。上面11の前側11aは、後述するガイド手段5の揺動を許容するよう一段高く設けらている。両側面12には、上段の長溝13と、中段の長溝14と、下段の長溝15とがそれぞれ左右対向し、内から外へ貫通されて前後方向へ延びている。上段の長溝13は、ガイド手段5の前後動及びガイド手段5の揺動を案内するもので、後側から前側の一段高くなった手前まで延びている直線溝部13a及び、直線溝部13aの前端を上側に屈曲した屈曲溝部13bからなる。中段と下段の長溝14,15は、スライダー2の前後動を案内するもので、互いに平行に延びた直線溝である。長溝15は長溝14よりもケース1の前側まで延びている。また、両側面12の前側部分には、本発明の枠転倒防止手段6を構成する係合孔16が対向した状態で設けられている。下面17には、図3の如く前側の適位置に設けられたロック孔18と、前側に下設された取付部19とが設けられている。符号11bは、上面11前後方向に設けられた位置決と補強兼用のリブである。そして、このケース1は、パネルPに対し前開口を露出するよう全体をパネル凹所に埋設した状態に設置される。
【0011】
スライダー2は、高さより左右幅を小さくした略板状をなし、一段高い板前後の支持部21,22及び両支持部21,22の間を低くした載置部23とを形成している。また、スライダー2は、前端面に装着されるカバー24と、後支持部22の上後側に設けられたカム支持部25及びその手前に設けられた孔付きの枠支持部26と、側面に突設したピン27,28と、図3の如く後端面から前側に向けて切り欠かれた凹部2aとを有している。下面側は、後述するロック手段8の押しボタン81に対応した配置空間を前側部分に有し、その一部にロック片85を通す下孔が設けられている。下面の後側には、ロック孔18に軽く係脱する小突起29が設けられている。そして、ケース1に対し長溝14,15とピン27,28との嵌合、及び、長溝13と後述するカム手段5のトレースピン53との嵌合を介しケース1に組み付けられ、ケース1内の前後方向へ摺動されて格納位置と引出位置とに切り換えられる。カバー24は、スライダー2がケース1内に最終段階まで押し入られた格納位置でケース1の前開口を閉じる。
【0012】
以上のスライダー2には、バネ手段4などを介して周囲保持手段3が組み付けられると共に、周囲保持手段3の作動を制御する前記カム手段5及び枠転倒防止手段6と、スライダー2の前後摺動を制御する突出手段7及びロック手段8とがケース1と関連して設けられる。
【0013】
このうち、周囲保持手段3は、2個の枠半体3A,3Bからなり、両枠半体3A,3Bがそれぞれの両端を前後の支持部21,22に対し回動可能に支持した状態に組み付けられて、載置部23上で下へ折り畳まれると共に、載置部23上から左右にはみ出して略水平に展開される。すなわち、両枠半体3A,3Bは、図4の如く半円状枠部31と、枠部31後側から突出した片部32と、各片部32外側面に設けられた突起33とを有している。両枠部31の前端側には、軸部34及び貫通孔35の一方がそれぞれ設けられている。両片部32の内面側には、前後に配置される孔付きの連結部36が設けられている。そして、両枠半体3A,3Bは、前側において、軸部34が貫通孔35に挿通され、前支持部21に設けられた軸孔21aに嵌合されることにより回動可能に支持される。後側において、各片部32をカム支持部25と枠支持部26の間に配置した状態から、枢支ピン37が枠支持部26の孔から各連結部36の孔を共通に挿通されると共に、バネ手段4を軸装して、カム支持部25の前側対応部に螺着されることにより、回動可能に支持される。突起33は、上記した係合孔16と共に枠転倒防止手段6を構成する部分であり、枠半体3A,3Bに一体に形成されている。
【0014】
バネ手段4は、コイルバネが用いられており、両端4a,4bが異なる片部32にそれぞれバネ圧を発現した状態で係止されて、両枠半体3A,3Bを常に水平展開する方向に付勢している。従って、両枠半体3A,3Bは、スライダー2の格納位置において、バネ手段4の付勢力に抗して折り畳まれている。
【0015】
カム手段5は、スライダー2が引出位置から格納位置に切り換えられるとき、両枠半体3A,3Bをバネ手段4の付勢力に抗して下へ折り畳むよう作動する。この形態では、両側面を形成しているカム部51と、カム部51の内側面に突設された軸部52と、カム部51の外側面に突設されたトレースピン53などを有している。そして、カム手段5は、カム支持部25に対し軸部52をカム支持部25の対応部に設けられた軸穴25aに嵌合することにより、上から覆った状態で前後に揺動可能に組み付けられ、また、ケース1に対しスライダー2と共に組み込まれるときに、両側のトレースピン53が対応する上段の長溝13に嵌合されて、次のように作動する。スライダー2の格納位置において、トレースピン53は図3の如く直線溝部13aの後側に位置し、両カム部51は前屈み状態で間に後片部32を挟み込み、枠半体3A,3Bを折り畳み状態に規制している。スライダー2を引き出す過程において、トレースピン53は直線溝部13aから屈曲溝部13bに沿って移動すると、両カム部51は軸部52を介し上側に回転されて、後片部32の挟み込みを開放する。この結果、両枠半体3A,3Bは、バネ手段4の付勢力により、上方に持ち上げられ略水平の展開状態となる。スライダー2を再びケース1内に押し込む初期段階において、トレースピン53は屈曲溝部13bに沿って移動し、カム部51は軸部52を介し下方に回転される。すると、両枠半体3A,3Bは、両カム部51の内側部分によりバネ手段4の付勢力に抗し下方に押圧されて、下へ折り畳まれながらケース1内に収納される。
【0016】
突出手段7は、図4の如く、摺動子71及び摺動子71を後方へ付勢するバネ72からなり、スライダー2を格納位置から引き出すときにケース1より自動的に少し前方移動するものである。すなわち、摺動子71は、前側部分73が凹状の内部中空で、後側部分74が後方に向けて細くなっており、図3の如くスライダー2の後側凹部2aに摺動自在に組み込まれる。その際、前側部分73の内部にはバネ72が挿入される。バネ72は、その付勢力により摺動子71を凹部2aから後方向へ移動する。従って、スライダー2は、格納位置において、ケース1内にカバー24を含めて全体が収納され、その格納状態が後述するロック手段8によりロックされている。このときには、摺動子71がバネ72を圧縮しその付勢力に抗して凹部2a内にほぼ収まっており、後側部分74がケース1の対応後面に圧接している。ロック手段8のロック状態を解除すると、摺動子71がバネ72の圧縮復元力によって後方向へ押し出され、そのときの反力により、スライダー2は前方つまり引き出し方向に移動される。このスライダー2の移動量は、カバー24がケース1の前開口から突出して、ケース1の前側部分を余裕を持って掴むことができるよう設定されている。
【0017】
ロック手段8は、スライダー2の前側に摺動可能に支持される押しボタン81及び上記下面17側のロック孔18からなり、スライダー2が格納位置になったとき自動的に係止し、その格納状態をロックするものである。すなわち、押しボタン81は、スライダー2の前側に摺動可能に支持され、カバー24に設けられた前後貫通孔24aに通通される操作部81と、操作部81の後側に連結したシャフト部82と、シャフト部82の後側に連結したガイド片部83と、シャフト部82に出没可能に内設けられて、不図示のバネにより下へ突出するよう付勢されたロック片85とを有している。ロック片85は、操作部81が押されると、バネの付勢力に抗してシャフト部82内に退避し、又、操作部81の押し力を開放すると、シャフト部82内から突出する構成である。従って、ロック片85がロック孔18に係合した状態では、図3の如くスライダー2のケース1に対する格納状態が維持される。操作部81を後方へ押すと、ロック片85が退避してロック孔18との係合を解除する。すると、スライダー2は上記した如く突出手段7の作動により、ケース1の前開口から少し飛び出す。その後、スライダー2が手で引き出されるが、そのときにはロック片85が前記バネの圧により突出した状態となり、部材間のがたつき等を吸収する。なお、スライダー2の引出位置では、上記した小突起29がロック孔18に着脱自在に係合し、スライダー2の引出状態を維持する。この場合は、小突起29に加え、或いは、小突起29に代えて特開平10−59047号記載の係脱構造を採用することもある。
【0018】
枠転倒防止手段6は、上記した側面12の係合孔16と、枠半体3A,3Bの突起33とで構成され、枠半体3A,3Bがスライダー2の引出位置でバネ手段4に抗し下へ倒れないよう保持するものである。突起33は、枠半体3A,3Bの片部32に軸状に設けられて、枠半体3A,3Bの水平展開状態で横向きに突出し、下折り畳み状態で略下向きとなる。係合孔16は、ケース1の両側面12のうち前上側に設けられて、図2の如く後側が突起33を下向き状態で自在に通す大孔部16aになっている。係合孔16の前側は、前方に向かって次第に孔幅を狭くした小孔部16bになっている。この前側の小孔部16は、突起33の軸径と同じか若干大きく、かつ上向きに湾曲している。孔形状的には、例えば大孔部16aから立ち上がった前側の小孔部分を水平孔部に形成してもよい。
【0019】
(要部作動)そして、この係合孔16は、スライダー2がケース1から引き出されて最終段階の少し手前に達すると、枠半体3A,3Bがバネ手段4の付勢力により水平展開方向へ回動されるが、その回動時に対応する突起33を大孔部16aで逃がす。突起33は、スライダー2が最終段階まで引き出されると、小孔部16bに達して、枠半体3A,3Bが下向きに大きな荷重や衝撃を受けても、バネ手段4に抗し下へ倒れないよう保持する。このような枠転倒防止作用は、例えば、ドライバー(使用者)がカップ類や携帯電話等の物品を周囲保持手段3の枠孔38に出し入れするとき、走行振動などによりその物品が枠半体3A,3Bに直に当たったり、物品を把持している手が枠半体3A,3Bに当たることも多く、そのようなときにも、枠半体3A,3Bを水平展開状態に維持して、物品の倒れなどの異常事態の発生を確実に解消できる。これは、従来品の不安定要因をなくして、ホルダー品質及び信頼性を向上できることを意味する
【0020】
(第2,3形態)図5と図6、及び図7と図8は上記引出式ホルダーに下展開手段9を追加(図7では更に上記枠部31の形状も変更している)した2つの形態を示している。図5と図7は図1に対応した図で、図6と図8は各下展開手段9A,9Bの細部構成を模式的に示している。各形態説明では、上記した形態と同じか類似する部材又は部位に同一符号を付し、変更点について詳述する。従って、各形態でも段落0009から0019までの記載がそのまま当てはまる。
【0021】
図5と図6の下展開手段9A(9)は、2本の板部材91,92からなり、各板部材91,92が互いの一端基部側をピン93により同軸上に軸支して、他端側を開いて略扇状に展開される構成である。ここで、板部材91は、アーム状本体の基部91aが下側の一部を切り欠いた略円盤状となっていて、板部材92の基部92aをその切り欠き部に対しピン93を介し回動自在に組み付けるが、その際にピン93にバネ94が軸装される。このバネ94は、両端94aがバネ圧を発現した状態で各板部材91,92の内側に係止され、板部材91,92を展開状態に付勢している。
【0022】
また、スライダー2の載置部23Aは、両板部材91,92を配置する両側23a及び後側部分が一段低く形成されている。下展開手段9A(9)は、基部91a,92aがその一段低くなった前側に位置され、ピン93で枢支された状態で取り付けられる。従って、この構造では、スライダー2の引出位置において、両板部材91,92がバネ94の付勢力により図6(a)の如く展開されており、両部材91,92と両側23aの間の凸部23bとが同一高さとなった拡大された載置面を形成する。このため、カップ類S1は、その拡大された載置面で受けられ、より安定載置されることになる。スライダー2を格納位置に切り換える過程では、両板部材91,92がケース1の両側面12の前縁部に当たりながら、バネ94の付勢力に抗しつつ互いに近づく方向へ回動されて、図6(b)の如く一段低い両側23a、つまり載置部23aの幅内に収まる縮小状態となってスライダー2と共にケース1内に収納される。このため、このホルダーは、スライダー2の格納位置への摺動を損なうことがなく、図1から図4のホルダーと全く同じ要領で使用でき、しかも前述の利点を具備できる。なお、このような下展開手段9Aでは板部材を3本以上で構成することも可能である。
【0023】
図7と図8の下展開手段9B(9)は、2枚の平板部材95,96からなり、各平板部材91,92がピン97(ヒンジ部)を介して展開される構成である。ここで、平板部材95は、接合縁部の中間が凹状連結部95bとなっていて、平板部材96の接合縁部に設けられた凸状連結部96aをその連結部95bの凹状内に配置しピン98を介し回動自在に組み付けるが、その際にピン98にバネ97が軸装される。このバネ97は、両端がバネ圧を発現した状態で各平板部材95,96の対応部に係止され、平板部材95,96同士を図8(b)の如く上向きに近づけるよう付勢している。
【0024】
また、スライダー2の載置部23Bは、両平板部材95,96を取り付ける中間部分を一段低い凹状部23cに形成されている。下展開手段9B(9)は、連結部95a,96aがその一段低くなった凹状部23cに位置され、ピン98で枢支された状態で取り付けられる。そして、この構造では、スライダー2の引出位置において、両平板部材95,96がバネ97の付勢力により図8(b)の如く所定角立ち上がった縮小状態となっている。この縮小状態は、カップ類や携帯機器S2が所定角立ち上がった両平板部材95,96に載せられると、平板部材95,96がその荷重によりバネ97の付勢力に抗しつつ図8(a)の如く展開されるよう設定されている。このため、この構造でも、前記形態と同様、携帯機器類S2はその両平板部材95,96に対応した大きさの載置面で受けられ、より安定載置される。スライダー2を格納位置に切り換える際は、携帯機器類S2が取り除かれているため、両平板部材95,96がバネ97の付勢力により互いに近づく方向に回動され、図6(b)の如く所定角立ち上がる。この状態では、両平板部材95,96が載置部23Bの幅内に余裕を持って、しかも両側に枠半体3A,3Bの枠部31も載置部23Bの幅内に収まるよう縮小される。このため、このホルダーでも、スライダー2の格納位置への摺動を損なうことがなく、図1から図4のホルダーと全く同じ要領で使用でき、しかも前述の利点を具備できる。
【0025】
なお、この形態の枠部31は半矩形状となっており、枠半体3A,3Bが水平に展開されたとき角筒ないしは角柱状物品を保持するに好適な矩形枠孔38となっている。このように、本発明は、請求項で特定される技術要素を備えておればよく、細部的には、例えば、図9のサブホルダーdを設けるなど必要に応じ種々変形されるものである。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の乗物用引出式ホルダーは次の効果を有している。 請求項1では、両枠半体が水平展開された使用状態で、バネ手段の付勢力より大きな下向き荷重を受けても、枠転倒防止手段により水平展開状態を維持することから、仮に、物品やそれを把持している手が枠半体に当たっても、従来の如く下折り畳み方向に回動されない。これにより、従来品の不安定要因をなくして、ホルダー品質及び信頼性を向上できる。また、係合孔及び突起を共にケースや枠半体と一体に形成して、部材数と組み付け工数を増やすことなく前記の枠転倒防止手段を実現できる。
請求項2と3では、左右幅を小さくするというホルダーの基本を維持して、下展開手段によりカップ類や携帯機器類という各種の物品をより安定して載置でき、保持対象物を拡大したり、汎用性及び便利性を付与できる。また、各下展開手段は容易に実施され、請求項4の如く使い勝手を良好にして商品価値をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したホルダーを引出状態で示す模式外観図である。
【図2】 図1の枠転倒防止手段を拡大した模式構成図である。
【図3】 上記ホルダーを格納状態で示す模式側断面図である。
【図4】 上記ホルダーを分解した模式構成図である。
【図5】 上記ホルダーの他の形態例を図1と同様な態様で示す図である。
【図6】 図5の下展開手段を拡大した模式作動図である。
【図7】 上記ホルダーの更に他の形態例を示す模式構成図である。
【図8】 図7の下展開手段を拡大した模式作動図である。
【図9】 従来引出ホルダーを説明するための模式図である。
【符号の説明】
1…ケース(11は前側、12は側面、13は長溝)
2…スライダー(21,22は前後支持部、23,23A,23Bは載置部)
3…周囲保持手段(3A,3Bは枠半体、31は枠部、32は片部)
4…バネ手段(4a,4bは両端)
5…カム手段(51はカム部、53はトレースピン)
6…枠転倒防止手段(33は枠半体側の突起、16はケース側の係合孔)
7…突出手段(71は摺動子、72はバネ)
8…ロック手段(81は押しボタン、18はケース側のロック孔)
9,9A,9B…下展開手段(91,92は板部材、95,96は平板部材)
S1…カップ類(物品)
S2…携帯機器類(物品)

Claims (4)

  1. 高さより左右幅の小さな略板状をなし、前後の支持部及び両支持部の間を低くした載置部を有し、固定側ケースに前後方向へ摺動して格納位置と引出位置に切り換えられるスライダーと、2個の枠半体を有し、両枠半体がそれぞれの両端を前記前後の支持部に回動可能に支持して、前記載置部上で左右下へ折り畳まれると共に載置部上から左右にはみ出して略水平に展開される周囲保持手段と、前記両枠半体を水平展開する方向に付勢するバネ手段とを少なくとも備え、前記周囲保持手段が前記スライダーを前記ケースに格納するときに前記両枠半体を前記載置部上で下へ折り畳んで垂直状態となり、前記スライダーの引出位置で前記載置部の左右にはみ出して略水平に展開される水平展開状態となって、カップ類や携帯機器等の物品を、その水平展開状態で形成される前記両枠半体の枠孔に上から挿入し前記載置部で受ける乗物用引出式ホルダーであって、
    前記枠半体と前記ケースとの間に設けられて、前記枠半体が前記スライダーの引出位置で前記バネ手段に抗し下へ倒れないよう保持する枠転倒防止手段を有し、
    前記枠転倒防止手段が、前記枠半体の後側に設けられて枠半体の水平展開状態で横向きに突出し下折り畳み状態で略下向きとなる突起と、前記ケースの側面に設けられて前記引出位置の少し手前で前記突起と係合して枠半体の下折り畳みを阻止し、前記格納位置に切り換える初期過程で前記係合を自動的に解除可能な係合孔とからなることを特徴とする乗物用引出式ホルダー。
  2. 高さより左右幅の小さな略板状をなし、前後の支持部及び両支持部の間を低くした載置部を有し、固定側ケースに前後方向へ摺動して格納位置と引出位置に切り換えられるスライダーと、2個の枠半体を有し、両枠半体がそれぞれの両端を前記前後の支持部に回動可能に支持して、前記載置部上で左右下へ折り畳まれると共に載置部上から左右にはみ出して略水平に展開される周囲保持手段と、前記両枠半体を水平展開する方向に付勢するバネ手段とを少なくとも備え、前記周囲保持手段が前記スライダーを前記ケースに格納するときに前記両枠半体を前記載置部上で下へ折り畳んで垂直状態となり、前記スライダーの引出位置で前記載置部の左右にはみ出して略水平に展開される水平展開状態となって、カップ類や携帯機器等の物品を、その水平展開状態で形成される前記両枠半体の枠孔に上から挿入し前記載置部で受ける乗物用引出式ホルダーであって、
    前記載置部に取り付けられて、前記載置部の板幅内に収まる縮小状態から、載置部の左右外側に張り出して載置面積を増大可能にする下展開手段を有し、
    前記下展開手段が、2以上の板部材からなり、該各板部材が互いの一端側を同軸上に軸支して、他端側を開いて略扇状に展開されることを特徴とする乗物用引出式ホルダー。
  3. 高さより左右幅の小さな略板状をなし、前後の支持部及び両支持部の間を低くした載置部を有し、固定側ケースに前後方向へ摺動して格納位置と引出位置に切り換えられるスライダーと、2個の枠半体を有し、両枠半体がそれぞれの両端を前記前後の支持部に回動可能に支持して、前記載置部上で左右下へ折り畳まれると共に載置部上から左右にはみ出して略水平に展開される周囲保持手段と、前記両枠半体を水平展開する方向に付勢するバネ手段とを少なくとも備え、前記周囲保持手段が前記スライダーを前記ケースに格納するときに前記両枠半体を前記載置部上で下へ折り畳んで垂直状態となり、前記スライダーの引出位置で前記載置部の左右にはみ出して略水平に展開される水平展開状態となって、カップ類や携帯機器等の物品を、その水平展開状態で形成される前記両枠半体の枠孔に上から挿入し前記載置部で受ける乗物用引出式ホルダーであって、
    前記載置部に取り付けられて、前記載置部の板幅内に収まる縮小状態から、載置部の左右外側に張り出して載置面積を増大可能にする下展開手段を有し、
    前記下展開手段が、2枚の平板部材からなり、該各平板部材がヒンジ部を介し左右方向に展開されることを特徴とする乗物用引出式ホルダー。
  4. 前記下展開手段が、前記板部材や平板部材同士を展開状態から自動的に縮小状態に切り換え、前記スライダーの格納位置への摺動を損なわないように構成されている請求項2又は3に記載の乗物用引出式ホルダー。
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