JP4434340B2 - 顕微鏡の焦準装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡における観察標本のピント合わせに用いられる焦準装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、顕微鏡における観察標本のピント合わせに用いられる焦準装置として、標本を載置するステージまたは対物レンズの上下動をラックとピニオンの組み合わせた構成を用いて手動操作によりピント合わせを行なうものや、これらのラックとピニオンの駆動をステッピングモータなどのアクチュエータと連動させる電動操作によりピント合わせを行なうものが用いられている。
【0003】
特公昭63−56961号公報および特公平5−87804号公報は、自動合焦動作(オートフォーカス/AF)によるピント合わせを速やかに行なうためのもので、前者は、AF動作時の駆動制御において、撮影レンズが合焦点近傍の所定範囲内であるか否かで駆動速度を変化させたもの、後者は、合焦開始時に合焦検出のための画像情報が得られない場合は、予め合焦位置近傍の基準位置までステージを移動させ、その後、合焦動作を再開させるようにしたもので、このような焦準装置によれば、ピント合わせを速やかに、且つ手際よく行なうことができる。
【0004】
ところが、これらのものは、いずれもAF機能に付加されることを前提としており、つまり、AF動作時に限定して用いられるものであるため、例えば、観察標本の反射率や画像情報などの原因でピント合わせが不可能に陥ったような場合で、AF機能を外した状態でのピント合わせについては、依然として粗/微動スイッチを切換えて、合焦位置付近までのアプローチ、および合焦位置近傍でのピントの微調整を行なわなければならず、このため粗動状態のままでピント位置を通り過ぎてしまうことがあり、ピント合わせに時間がかかってしまうことになる。
【0005】
また、一般的な顕微鏡では、標本の交換時、対物レンズの交換時などでは、標本と対物レンズの衝突による標本破損を防ぐため、一旦ステージと対物レンズの間の距離を十分に離し、標本交換、対物レンズ交換を行なった後に再び元の位置まで復帰させるようにしているが、上述した公報に開示されるものは、このような場合の駆動動作に費やす効率の最適化は考えられておらず、例えばステージ退避スイッチなどを別途用意して、ステージの高速待機/復帰を行なっている。
【0006】
この結果として、粗/微動スイッチやステージ退避スイッチを取り扱わなければならず、効率のよい作業が望めないのが現状であった。
これに対して、特開平9−211335号公報では、合焦位置付近に位置検出センサを設け、センサが検出されている範囲、つまり合焦位置付近と、センサが検出されない範囲、つまり合焦位置範囲外とで駆動手段の移動量を変化させ、単一操作だけで粗/微動の切換を実現させ、標本交換、対物レンズ交換に費やす時間の短縮化を可能にしたものが考えられている。
【0007】
ところで、通常の顕微鏡では、倍率の異なる種々の対物レンズを装着するが、これら対物レンズは、その種類によってピント位置から対物レンズまでの距離(WD)や、画像のぼけ方が大きく異なる。例えば、100倍の高倍対物レンズは、5倍程度の低倍の対物レンズに対して極端にWDが小さく、標本のぼけ方も急峻である。すなわち、対物レンズの倍率が高くなるほど駆動手段における合焦位置付近の微動範囲が狭くなることから、正確なピント合わせを行なうには、微動範囲での移動速度を対物レンズの倍率に合わせて調整するなどの工夫が必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した構成のものでは、位置検出センサの物理的長さ(範囲)によって、駆動手段における微動範囲が一義的に決定されることから、位置センサの検出範囲が対物レンズの種類によって変更できなかった。このため、微動範囲を低倍対物レンズに対応させて、ピント位置から十分に距離をとった場合、高倍対物レンズの分解能に合わせて駆動手段のZ移動量を小さく設定すると、ピント合わせに時間がかかるという問題が生じる。そこで、スピードアップ化を図るため、駆動手段のZ移動量を大きく設定すると、今度は、高倍率での分解能が損なわれ、正確なピント合わせが困難になるという問題がある。さらに、位置検出センサが固定されていると、標本の厚みや対物レンズに応じた最適な微動範囲に設定することができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、焦準のための作業を効率よく短時間で行なうことができる顕微鏡の焦準装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、標本を載置するステージと対物レンズとの距離を調整してピント合わせを行なう顕微鏡の焦準装置において、前記ステージまたは対物レンズを、これらステージおよび対物レンズの間の距離を調整するように駆動する駆動手段と、前記対物レンズの焦点位置を基準にして前記ステージまたは対物レンズの微動範囲および粗動範囲初期設定する設定手段と、前記駆動手段による駆動を制御するとともに、前記設定手段で初期設定された微動範囲および粗動範囲対応させて前記ステージまたは対物レンズの微動駆動およびこの微動駆動よりも移動速度が高い粗動駆動を実行させる制御手段と具備しており、前記制御手段は、外部からの指示により、前記設定手段で初期設定された微動範囲を、該微動範囲より狭い新たな微動範囲に再設定する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、さらに自動合焦手段を有し、前記制御手段は、前記自動合焦手段での合焦検出をまって前記ステージまたは対物レンズの微動駆動を実行させることを特徴としている。
【0012】
この結果、請求項1記載の発明によれば、対物レンズごとに最適な粗/微動範囲を初期設定することにより、ピント合わせを効率よく短時間で行なうことができるとともに、標本交換などの作業でも、ステージ退避に特別な操作を行なうことなく、単一の操作のみで効率よく行なうことができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、自動合焦手段を組み合わせることで、ピント合わせのための一連の作業のフルオート化を実現できるとともに、対物レンズの交換時にも余計な設定作業を一切不要にできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用される顕微鏡の焦準装置の概略構成を示すものである。図において、1はステージで、このステージ1上には、標本Sを載置している。
【0016】
ステージ1の下方には、照明光学系201を設けている。この照明光学系201は、標本Sを照明するための光源2を備え、この光源2からの照明光をコレクタレンズ3、調光のためのNDフィルタ4、視野絞り5を介してミラー6に入射し、このミラー6で反射した照明光をコンデンサレンズ7を介して標本Sに照射するようにしている。
【0017】
一方、ステージ1の上方には、観察光学系801を配置している。この観察光学系801は、標本Sを透過した光束をレボルバ9に取付けられた対物レンズ8を通過させ、その一部を接眼レンズ10に導いて、標本観察を可能にするとともに、その他の光束をオートフォーカス(AF)ユニット11に導入するようにしている。このAFユニット11は、標本Sの画像を光電変換した信号に基づいて、合焦状態を検出するものである。
【0018】
AFユニット11には、CPU12を接続している。そして、CPU12には、るステージ駆動部13、下限センサ15および外部コントローラ16を接続している。
【0019】
ここで、ステージ駆動部13は、ステージ1を光軸方向、つまりZ軸方向に駆動するものである。下限センサ15は、フォトインタラプタからなるもので、ステージ1が最下限位置まで下降した時、ステージ1に設けられた遮光板14により光を遮られ、下限通知信号を出力するものである。外部コントローラ16は、ユーザにより操作されるもので、対物レンズ8の交換、オートフォーカス機能の開始/停止、対物レンズ8の種類などの設定および種々の設定/切換えなどを行なう複数のスイッチ17を有するとともに、回転操作により所定のパルス信号を出力するジョグ18を有している。
【0020】
CPU12は、AFユニット11からの信号に基づいて合焦判定を行ない標本Sを合焦位置に移動させるためのステージ移動量および方向信号を生成し、ステージ駆動部13に出力するとともに、外部コントローラ16のジョグ18からのパルス信号に基づいてステージ1をZ軸方向に駆動するための信号をステージ駆動部13に出力するなど、各種の制御を実行するものである。また、CPU12は、外部コントローラ16により設定される各対物レンズ8に対応するステージ1の最適な微動範囲aと粗動範囲bを、予め格納された装着対物レンズ情報とレボルバ9から受け取る対物レンズ装着穴情報から決定するようにしている。
【0021】
次に、このように構成した実施の形態の動作を説明する。
まず、図示しない電源スイッチを投入すると、図2に示すステージ位置初期化処理を示すフローチャートが実行される。
【0022】
この場合、ステップ201で、電源スイッチがオンになると、ステップ202で、ステージ駆動部13によりステージ1を下方向に駆動し、ステップ203で、下限センサ15からの下限通知信号が検出されるまでステージ1を移動させる。
【0023】
そして、ステップ203、204で、ステージ1の遮光板14が下限センサ15を遮った時点で、下限センサ15からの下限通知信号をCPU12が受け取ると、この時点の位置をステージ原点位置であるステージ最下限位置Cに設定する。
【0024】
ところで、図3に示すように対物レンズ8の焦点位置Aは、対物レンズ8の胴付き面Bから45mmで統一されている。このため、ステージ最下限位置Cから対物レンズ8の焦点位置Aまでの距離は一義的に決定されるが、ステージ1に載置される標本Sには、多少なりとも厚みがあるため、実際のステージ1上面を基準面とした場合のピント合わせ位置は、焦点位置Aより標本Sの厚さ分だけ下側になる。
【0025】
この状態で、CPU12は、焦点位置Aをおおよそのピント位置とし、このピント位置を基準にして、各種対物レンズ8の焦点深度に応じてに最適なステージ1の微動範囲aと粗動範囲bを決定する。ここでの微動範囲aと粗動範囲bは、外部コントローラ16により設定されたもので、ステップ205において、CPU12がレボルバ9から受け取る対物レンズ装着穴情報と予め格納された装着対物レンズ情報などの対物レンズ種類のデータに基づいて決定される。ここで、微動範囲aのうち焦点位置Aより上側の微動範囲部分は、標本Sが対物レンズ8に衝突しない範囲で予め設定されるものである。また、Dは、標本Sの厚みを考慮に入れ、対物レンズ8との接触の恐れがないようなステージ1上面の上限位置である。
【0026】
この場合、一例として、図4に示すように、焦点深度が深く、WDの大きな低倍の対物レンズ8’の場合は、その焦点深度の深さに対応させて、焦点位置Aを基準にした標本側を比較的広くした微動範囲a’に設定するとともに、この微動範囲a’でのステージ1の移動量を大きく設定する。また、焦点深度が浅く、WDの小さい高倍の対物レンズ8’’の場合には、焦点位置Aを基準にした標本側を比較的狭くし、微動範囲a’’に設定するとともに、この微動範囲a’’内でのステージ1の移動量を小さく設定するようになる。なお、粗動範囲bでのステージ1の移動量は、微動範囲a’での移動量に比して非常に大きく設定され、ステージ1のスピードアップ化が図れる。
【0027】
このようにして、対物レンズ8に対する微動範囲aと粗動範囲bが初期設定された状態から、図2に示すステップ206で、ステージ駆動部13によりステージ1をステージ最下限位置Cから上方向に駆動させ、粗動範囲bおよび微動範囲aを移動させる一連の動作を実行する。この時、ステップ207で、ステージ1のステージ最下限位置Cから上方向への移動にともなう位置と移動速度の関係をCPU12の図示しない記憶手段に記憶させ、ステップ208で、ステージ位置初期化処理を終了する。
【0028】
その後、標本観察を行なうような場合、観察開始指示とともに、標本Sを載置したステージ1をステージ最下限位置Cまで移動させる。
この状態から、今度は、外部コントローラ16のジョグ18を回転操作して、ジョグ18からのパルス信号をCPU12に入力する。すると、この時のジョグ18の操作により、ステージ駆動部13より駆動信号が出力され、ステージ1が上方向に駆動される。この場合、ステージ1の駆動状態は、CPU12により管理されるステージ位置初期化設定にしたがって、粗動範囲bでは高速移動する粗動駆動となり、また、微動範囲aでは、選択された対物レンズ8に最適な微動駆動になってピント合わせが行なわれる。つまり、ジョグ18を回転操作するのみで、標本Sのピント位置付近の微動範囲では微動駆動によるピント合わせが行なわれ、それ以外の粗動範囲では、高速の粗動駆動によるステージ1の移動が行なわれる。
【0029】
従って、このようにすれば、対物レンズ8の胴付き面Bから焦点位置Aまでの距離が統一されていることを着目して、ステージ原点位置であるステージ最下限位置Cからの位置管理と対物レンズ情報により、おおよそのピント位置を決定するとともに、この位置に基づいて対物レンズ8ごとに最適な粗/微動範囲を初期設定しているので、ピント合わせを効率よく短時間で行なうことができるとともに、標本交換などの作業でも、ステージ退避に特別な操作を行なうことなく、ジョグ18による単一の操作のみで効率よく行なうことができる。また、ステージ1がピント位置から離れていても、ジョグ18の少ない回転操作でピント位置付近までアプローチすることができるので、ピント位置調整に費やす時間が大幅に短縮でき、ピント位置付近までの素早いアプローチが可能になる。さらに、ピント位置付近の微動範囲では、対物レンズ8に応じて十分な分解能での微動駆動が可能であるため、ピント位置を通り過ごしてしまうといったわずらしい誤操作の発生も軽減でき、ピント位置を素早く確実に合わせることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。この場合、顕微鏡の焦準装置の構成については、第1の実施の形態で述べた図1と同様なので、ここでは、同図を援用して、説明を省略する。
【0030】
一般にステージ1に載置される標本Sは、均一の厚みを持つスライドガラスとカバーガラスで挟まれたものであったり、同一の厚みを持つ半導体ウェハなどであることが多い。
【0031】
このような標本Sは、ピント位置の範囲を狭く限定できるので、かかる標本Sを複数連続して観察するような場合は、始めの標本Sにおけるピント位置に相当するステージ1の位置をCPU12に記憶させることで、図3で述べたステージ1の微動範囲aを極めて狭くすることができる。
【0032】
この場合、第1の実施の形態で述べたステージ位置の初期設定を行なった後、例えば、図5に示すようにステージ1がスタート位置Eにある場合、最初の標本Sについて、初期設定により決定された微動範囲aと粗動範囲bの状態で、ピント合わせを行ない、標本Sがピント位置Fに来た状態で、外部コントローラ16のスイッチ17中の図示しないピント位置設定スイッチを操作する。
【0033】
すると、CPU12では、今度は、標本Sのピント位置Fを基準にして、初期設定された微動範囲aより狭い微動範囲a1を設定する。この微動範囲a1は、各標本Sの厚みのばらつきを考慮したものであるが、標本間の厚みにばらつきが少ない場合には、初期設定したものより、さらに狭くすることが可能である。
【0034】
従って、このようにすれば、初期設定により決定された微動範囲aと粗動範囲bでピント合わせを行なった後、外部コントローラ16により図示しないピント位置設定スイッチを操作するのみで、微動範囲をさらに絞り込むことができるので、厚みのばらつきの少ない標本Sに対しては、さらに素早いピント位置へのアプローチを行なうことができ、また、粗動範囲が広がるので、少ないジョグ18の回転操作で、ステージ1を速やかに退避位置まで移動させることもできる。
【0035】
また、ステージ1の微動範囲の基準位置(ピント位置F)を任意に変更できるので、厚みの異なる種々の標本Sについてもピント位置Fで設定動作を行なうのみで、最適な微動範囲を設定することもできる。
【0036】
つまり、第2の実施の形態によれば、微動範囲の基準位置を1アクションで設定でき、微動範囲の絞り込みを行なうことができるので、厚みが等しい複数の標本Sに対して、さらに効率のよいステージ退避、復帰、ピント合わせが可能になり、一方で、厚みの異なる種々の標本Sに対しても、粗/微動範囲の最適化を簡単に行なうことができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。この場合の顕微鏡の焦準装置の構成については、第1の実施の形態で述べた図1と同様なので、ここでも、同図を援用して、説明を省略する。
【0037】
第2の実施の形態では、ステージ微動範囲の設定は、外部コントローラ16のスイッチ17中の図示しないピント位置設定スイッチの操作により実現していたが、この第3の実施の形態では、AF機能が付加された顕微鏡において、自動設定できるようにしている。
【0038】
この場合、第1の実施の形態で述べたステージ位置の初期設定を行なった後、例えば、図6に示すようにステージ1がスタート位置Eにある場合、外部コントローラ16のスイッチ17中の図示しないAF開始スイッチを押し操作する。
【0039】
CPU12は、このAF開始スイッチの押し操作を検出すると、AFユニット11からの信号に基づいて合焦判定を行ない、この時の判定結果に応じて標本Sを合焦位置に移動させるためにステージ1の移動量および方向信号を求め、ステージ駆動部13に出力する。
【0040】
これにより、ステージ1は、標本Sのピント位置Fに相当するステージ位置へ移動される。そして、ステージ1が標本Sのピント位置Fに相当するステージ位置まで移動されると、CPU12は、このステージ位置を基準として、初期設定された微動範囲aより狭い微動範囲a2を設定する。
【0041】
一方、標本Sの画像コントラスト、反射率が低く、AFユニット11からの信号が不足して、自動合焦動作が失敗したような場合は、CPU12は、新たな微動範囲a2の自動設定は行なわず、初期設定の微動範囲aの下限Gの位置でステージ1を停止させ、外部コントローラ16の図示しないLEDなどを介してAF動作が失敗したことを報知する。
【0042】
この場合でも、初期設定時の微動範囲aによりピント合わせを行なうことができ、さらにピント位置Fを見つけた場合は、第2の実施の形態と同様に、外部コントローラ16のスイッチ17内の図示しないピント位置設定スイッチを押し操作することで、微動範囲aを、さらに狭い微動範囲a2に絞り込むことができる。
【0043】
また、外部コントローラ16のスイッチ17内の図示しない対物レンズ切換えスイッチを押し操作した場合は、CPU12は、予め設定されているステージ待機距離にしたがって対物交換時の標本接触を回避するに十分な距離だけステージ1を下方向に移動させた後、レボルバ9を回転させ、次の対物レンズ8が光軸中に挿入されたことを検出し、その後、再度AF動作を行なう。この場合においても、ピント位置を検出した場合は、上述した微動範囲の絞り込みを、またピント位置が検出できなかった場合は、上述したように現在の対物レンズ8に最適な粗動/微動範囲の初期設定値に基づいてステージ1を移動させるようになる。
【0044】
従って、このようにすれば、AF機能が付加された顕微鏡の場合、AF開始スイッチを操作するだけで、ピント位置の検出から微動範囲の絞り込みまでを、全て自動的に行なうことができ、しかも、AF動作後も対物レンズ8および標本Sに応じて最も効率のよいステージ駆動が得られるので、単一の操作(ジョグ18の回転操作)のみで、非常に効率のよい作業を行なうことができる。つまり、AFユニット11と組み合わせることで、ピント合わせのための一連の作業のフルオート化を実現できるとともに、対物レンズ8の交換時にも余計な設定作業をする必要がなくなり、より一層の作業効率の向上を実現できる。
【0045】
また、AF動作を失敗した場合でも、マニュアルでの効率のよいピント合わせを行なうことができるので、どんな種類の標本Sに対しても、良好なピント合わせを行なうことができる。
【0046】
なお、上述した実施の形態では、標本Sと対物レンズ8間の距離の調節は、ステージ1の上下移動により行なうようにしているが、対物レンズ8を装着するレボルバ9を上下動するようにしてもよい。この場合、図1に示すように対物レンズ8を上下動する対物レンズ駆動部19を設けるとともに、対物レンズ8が最上限位置まで上昇したときに上限通知信号を出力する上限センサ20を設けるようになる。また、上述した実施の形態では、対物レンズ8の種類情報は、外部コントローラ16から得るようにしているが、例えばレボルバ9の近くに対物レンズ8の種類を検出する検出手段を設け、この検出手段からの対物レンズ8の種類情報を得るようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上のべたように、本発明によれば、対物レンズごとに最適な粗/微動範囲を初期設定することにより、ピント合わせを効率よく短時間で行なうことができるとともに、標本交換などの作業でも、ステージ退避に特別な操作を行なうことなく、単一の操作のみで効率よく行なうことができる。また、ステージがピント位置から離れていても、マニュアルでのピント位置調整に費やす時間を大幅に短縮でき、ビント位置付近までの素早いアプローチが可能になる。さらに、ピント位置を通り過ごしてしまうといったわずらしい誤操作の発生も軽減できる。
【0048】
また、微動範囲の絞り込みを行なうことができるので、厚みが等しい複数の標本に対して、さらに効率のよいステージ退避、復帰、ピント合わせが可能になり、一方で、厚みの異なる標本に対しても粗/微動範囲の最適化を簡単に行なうことができる。
【0049】
さらに、自動合焦手段を組み合わせることで、ピント合わせのための一連の作業のフルオート化を実現できるとともに、対物レンズの交換時にも余計な設定作業する必要がなくなり、より一層の作業効率の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図3】第1の実施の形態の動作を説明するための図。
【図4】第1の実施の形態の動作を説明するための図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の動作を説明するための図。
【図6】本発明の第3の実施の形態の動作を説明するための図。
【符号の説明】
1…ステージ
201…照明光学系
2…光源
3…コレクタレンズ
4…NDフィルタ
5…視野絞り
6…ミラー
7…コンデンサレンズ
801…観察光学系
8…対物レンズ
9…レボルバ
10…接眼レンズ
11…AFユニット
12…CPU
13…ステージ駆動部
14…遮光板
15…下限センサ
16…外部コントローラ
17…スイッチ
18…ジョグ
19…対物レンズ駆動部
20…上限センサ

Claims (2)

  1. 標本を載置するステージと対物レンズとの距離を調整してピント合わせを行なう顕微鏡の焦準装置において、
    前記ステージまたは対物レンズを、これらステージおよび対物レンズの間の距離を調整するように駆動する駆動手段と、
    前記対物レンズの焦点位置を基準にして前記ステージまたは対物レンズの微動範囲および粗動範囲初期設定する設定手段と、
    前記駆動手段による駆動を制御するとともに、前記設定手段で初期設定された微動範囲および粗動範囲対応させて前記ステージまたは対物レンズの微動駆動およびこの微動駆動よりも移動速度が高い粗動駆動を実行させる制御手段と
    具備しており、前記制御手段は、外部からの指示により、前記設定手段で初期設定された微動範囲を、該微動範囲より狭い新たな微動範囲に再設定することを特徴とする顕微鏡の焦準装置。
  2. さらに自動合焦手段を有し、前記制御手段は、前記自動合焦手段での合焦検出をまって前記ステージまたは対物レンズの微動駆動を実行させることを特徴とする請求項1記載の顕微鏡の焦準装置。
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