本発明は、平面型表示装置及びその組立方法に関する。
現在主流の陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)を例示することができる。また、電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置の開発も進められている。ここで、電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子、金属/絶縁材料膜/金属型素子(MIM素子とも呼ばれる)、表面伝導型電子放出素子が知られており、これらの冷陰極電子源から構成された電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置は、高解像度、高輝度のカラー表示、及び、低消費電力の観点から注目を集めている。
電子放出素子としての冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置である冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する場合がある)は、一般に、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する場合がある)を備えたカソードパネルと、電界放出素子から放出された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体層を有するアノードパネルとが、高真空に維持された空間を介して対向配置され、カソードパネルとアノードパネルとが周縁部において接合部材を介して接合された構成を有する。ここで、カソードパネルは、2次元マトリクス状に配列された各サブピクセルに対応した電子放出領域を有し、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。電界放出素子として、スピント型、扁平型、エッジ型、平面型等を挙げることができる。
一例として、スピント型電界放出素子を有する従来の表示装置の概念的な一部端面図を図37に示し、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図を図39に示す。また、電子放出領域をアノードパネル側から眺めたときの、電子放出領域を構成する構成要素の配置状態を模式的に図40の(A)に示し、接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図44及び図45に示す。
この表示装置を構成するスピント型電界放出素子は、支持体10に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。
あるいは又、略平面状の電子放出部15Aを備えた、所謂扁平型電界放出素子を有する従来の表示装置の概念的な一部端面図を図38に示す。この電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された電子放出部15Aから構成されている。電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
これらの表示装置において、カソード電極11は、第1の方向(図37、図38あるいは図39のX方向参照)に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第1の方向とは異なる第2の方向(図37、図38あるいは図39のY方向参照)に延びる帯状である。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複領域が、電子放出領域EAであり、1サブピクセルに相当する。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域内に、通常、2次元マトリクス状に配列されている。
また、電子放出領域EAを除き、絶縁層12及びゲート電極13は、必要に応じて、窒化シリコン(Si3N4)から成る絶縁膜16で覆われている。種々の製造プロセスにおいてカソードパネルCPを構成する構成要素を保護するために、絶縁膜16を設けることが好ましいが、絶縁膜16を設けることは必須ではない。尚、このような構造に関しては、例えば、米国特許第6565400 B1を参照のこと。更には、絶縁膜16には絶縁膜開口部17が形成され、絶縁膜16の上には層間絶縁層18が形成され、その上に収束電極19が絶縁膜開口部17を取り囲むように設けられている。
ここで、有効領域とは、平面型表示装置としての実用上の機能である表示機能を果たす中央の表示領域を指す。また、無効領域とは、この有効領域の外側に位置し、有効領域を額縁状に包囲する領域を指す。更には、本明細書において、「内側」とは有効領域に近づく方向を指し、「外側」とは有効領域から遠ざかる方向を指す。以下の説明においても同様である。
一方、アノードパネルAPは、基板20上に所定のパターンを有する蛍光体層22(具体的には、赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、及び、青色発光蛍光体層22B)が形成され、蛍光体層22がアノード電極24で覆われた構造を有する。これらの蛍光体層22の間は、カーボン等の光吸収性材料から成る光吸収層(ブラックマトリックス)23で埋め込まれており、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止している。尚、図中、参照番号21は隔壁を表す。図38及び図39においては、隔壁の図示を省略した。また、図38、図39においては、層間絶縁層18、収束電極19の図示を省略しており、更には、図39においては、絶縁膜16の図示を省略している。
表示装置の組立においては、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから成るフリットガラス層32,33が底面及び頂面に形成された枠体31から成る接合部材30を準備する。あるいは又、フリットガラス層製の接合部材を準備する。そして、例えば、アノードパネルAPの周縁部(無効領域)に接合部材30を配置した後、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体層22とが対向するように位置合わせし、位置決めを行う。その後、フリットガラス層32,33を焼成することで(あるいは又、フリットガラス層製の接合部材を焼成することで)、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、それらの周縁部(無効領域)において接合部材30を介して接合する。次いで、カソードパネルCPの無効領域に相当する支持体10の部分に設けられた貫通孔(図示せず)、及び、支持体10に取り付けられたガラス管から成る排気管(図示せず)を介して、カソードパネルCPとアノードパネルAPによって挟まれた空間(より具体的には、カソードパネルCPとアノードパネルAPと接合部材30とによって囲まれた空間)を排気し、空間が所定の真空度に達した後、排気管を封じ切る。こうして、表示装置を作製することができる。
ところで、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材30近傍の拡大した模式的な一部端面図である図44に示すように、ゲート電極13は、その延在部である引出し電極13Aを介して外部回路との配線接続が行われる。また、第1の方向(X方向)に沿った接合部材30近傍の拡大した模式的な一部端面図である図45に示すように、例えば、カソード電極11は、その延在部である引出し電極11Aを介して外部回路との配線接続が行われる。そして、引出し電極11A,13Aは、必要に応じて、絶縁層12及びゲート電極13を被覆する絶縁膜16で覆われている。ここで、カソード電極11やゲート電極13、引出し電極11A,13Aは、例えば、クロム、ニオブ、アルミニウム、モリブデン、タングステン、あるいは、その合金から形成されている。尚、図44及び図45においては、アノードパネルAPを構成する蛍光体層22やアノード電極24等の構成要素の図示を省略しており、また、カソードパネルCPにおける電子放出部15,15A、開口部14、層間絶縁層18、収束電極19の図示を省略している。
フリットガラス層32,33の焼成時、フリットガラス層32がSi3N4から成る絶縁膜16と直接、接触している構成にあっては、以下の反応式(1)で示す反応によって生じた窒素ガスに起因して、フリットガラス層32が発泡し、カソードパネルCPとアノードパネルAPと接合部材30とによって囲まれた空間の気密性を保持できなくなるという問題が生じる虞がある。
Si3N4 + 6PbO → 3SiO2 + 6Pb + 2N2 (1)
また、フリットガラス層32の焼成時、フリットガラス層32がSi3N4から成る絶縁膜16と直接、接触している構成にあっても、フリットガラス層32が引出し電極11A,13Aと直接、接触している構成にあっても、フリットガラス層32の下方に位置する引出し電極11A,13Aを構成する金属がフリットガラス層32に含まれるPbOと反応して、PbOがPbとなり、遊離した酸素によって引出し電極11A,13Aを構成する金属が酸化され、引出し電極11A,13Aが、断線したり、高抵抗化する虞がある。
尚、全体がフリットガラス層から成る接合部材(フリットガラス層製の接合部材)を用いる場合にも、同様の問題が生じる。
これらの問題を解決するために、米国特許第6565400 B1には、フリットガラス層32と絶縁膜16との間に、SiO2から成るバリア材料層をスパッタリング法やCVD法によって形成する技術が開示されている。しかしながら、SiO2から成るバリア材料層によって、上述した問題点を解決するためには、厚いバリア材料層を形成しなければならず、製造コストの増加を招く。また、フリットガラス層の下方に位置すべき絶縁膜の領域に選択的にバリア材料層が形成され、その他の領域にはバリア材料層が形成されないようにするためには、エッチング技術やリフトオフ技術が必要とされ、あるいは又、高精度の機械的マスクが必要とされるといった問題がある。
従って、本発明の目的は、少なくとも一部にフリットガラス層を含む接合部材を用いて第1パネルと第2パネルとを接合して成る平面型表示装置であって、接合部材を構成するフリットガラス層の焼成時、フリットガラス層が発泡して平面型表示装置の気密性を保持できなくなるという問題や、接合部材の下方に位置する引出し電極が、断線したり、高抵抗化するという問題が発生することが無い構造を、容易な方法で、低製造コストにて達成することができる平面型表示装置、及び、係る平面型表示装置の組立方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様及び第2の態様に係る平面型表示装置は、
(A)電子を放出する電子放出領域が2次元マトリクス状に配された第1パネル有効領域、及び、該第1パネル有効領域を取り囲む第1パネル無効領域を備え、電子放出領域を駆動するために第1パネル無効領域に複数の引出し電極が設けられて成る第1パネルと、
(B)電子放出領域から放出された電子が衝突する蛍光体層及びアノード電極が形成された第2パネル有効領域、及び、該第2パネル有効領域を取り囲む第2パネル無効領域を備えた第2パネルと、
(C)少なくとも一部にフリットガラス層を含み、第1パネルと第2パネルとを、それらの無効領域において接合した接合部材、
を具備した平面型表示装置である。
そして、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置は、
接合部材の下方に位置する第1パネルの領域よりも内側の第1パネルの部分には、接合部材と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部が概ね連続的に形成されており、
接合部材の下方に位置する第1パネルの領域よりも外側の第1パネルの部分には、接合部材と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜は、第1の保護膜幅規定部と第2の保護膜幅規定部との間に位置する第1パネルの部分及び引出し電極の部分に形成され、接合部材の底面は保護膜と接していることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置は、
引出し電極の表面には絶縁膜が形成されており、
接合部材の下方に位置する絶縁膜の領域よりも内側の絶縁膜の部分には、接合部材と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部が概ね連続的に形成されており、
接合部材の下方に位置する絶縁膜の領域よりも外側の絶縁膜の部分には、接合部材と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜は、第1の保護膜幅規定部と第2の保護膜幅規定部との間に位置する絶縁膜の部分に形成され、接合部材の底面は保護膜と接していることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る平面型表示装置の組立方法は、
(A)電子を放出する電子放出領域が2次元マトリクス状に配された第1パネル有効領域、及び、該第1パネル有効領域を取り囲む第1パネル無効領域を備え、電子放出領域を駆動するために第1パネル無効領域に複数の引出し電極が設けられて成る第1パネルと、
(B)電子放出領域から放出された電子が衝突する蛍光体層及びアノード電極が形成された第2パネル有効領域、及び、該第2パネル有効領域を取り囲む第2パネル無効領域を備えた第2パネルと、
(C)少なくとも一部にフリットガラス層を含み、第1パネルと第2パネルとを、それらの無効領域において接合した接合部材、
を具備した平面型表示装置の組立方法であって、
接合部材の下方に位置すべき第1パネルの領域よりも内側の第1パネルの部分に、接合部材と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材の下方に位置すべき第1パネルの領域よりも外側の第1パネルの部分に、接合部材と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部を概ね連続的に形成し、
第1の保護膜幅規定部と第2の保護膜幅規定部との間に位置する第1パネルの領域に、塗布法に基づき保護膜を形成した後、
接合部材が、該保護膜と接し、且つ、第2パネル無効領域と接するように、第1パネルと第2パネルと接合部材とを組み立て、その後、
接合部材を構成するフリットガラス層を焼成し、以て、第1パネルと第2パネルとをそれらの無効領域において接合する、
工程を具備することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る平面型表示装置の組立方法は、
(A)電子を放出する電子放出領域が2次元マトリクス状に配された第1パネル有効領域、及び、該第1パネル有効領域を取り囲む第1パネル無効領域を備え、電子放出領域を駆動するために第1パネル無効領域に、表面に絶縁膜が形成された複数の引出し電極が設けられて成る第1パネルと、
(B)電子放出領域から放出された電子が衝突する蛍光体層及びアノード電極が形成された第2パネル有効領域、及び、該第2パネル有効領域を取り囲む第2パネル無効領域を備えた第2パネルと、
(C)少なくとも一部にフリットガラス層を含み、第1パネルと第2パネルとを、それらの無効領域において接合した接合部材、
を具備した平面型表示装置の組立方法であって、
接合部材の下方に位置すべき絶縁膜の領域よりも内側の絶縁膜の部分に、接合部材と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材の下方に位置すべき絶縁膜の領域よりも外側の絶縁膜の部分に、接合部材と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部を概ね連続的に形成し、
第1の保護膜幅規定部と第2の保護膜幅規定部との間に位置する絶縁膜の領域に、塗布法に基づき保護膜を形成した後、
接合部材が、該保護膜と接し、且つ、第2パネル無効領域と接するように、第1パネルと第2パネルと接合部材とを組み立て、その後、
接合部材を構成するフリットガラス層を焼成し、以て、第1パネルと第2パネルとをそれらの無効領域において接合する、
工程を具備することを特徴とする。
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る平面型表示装置の組立方法において、保護膜を形成するための塗布法として、スプレーコート法;ディスペンサーを用いたコート法;スクリーン版やインクジェットを用いたコート法、オフセットコート法、グラビアコート法;刷毛を用いたコート法を例示することができる。
第1の保護膜幅規定部及び第2の保護膜幅規定部は、接合部材と「略」平行に形成されるが、「略」平行とは、接合部材と厳密には平行でなくともよいことを意味する。また、第1の保護膜幅規定部及び第2の保護膜幅規定部は、「概ね」連続的に形成されているが、「概ね」連続的とは、実質的に問題が発生しない程度に、即ち、本来、保護膜を形成すべきではない第1パネルや絶縁膜の部分にまで保護膜が形成されるといった問題が生じない程度に、第1の保護膜幅規定部及び/又は第2の保護膜幅規定部に多少の途切れが存在してもよいことを意味する。
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法にあっては、第1の保護膜幅規定部及び第2の保護膜幅規定部のそれぞれは、突起部から成る構成とすることができる。そして、この場合、突起部は、感光性ポリイミド樹脂、非感光性ポリイミド樹脂、又は、セラミックス塗膜から成る構成とすることができる。突起部の高さとして、5μm乃至0.1mmを例示することができるし、突起部の幅として、10μm乃至2mmを例示することができるし、第1の保護膜幅規定部を構成する突起部(内側突起部)と第2の保護膜幅規定部を構成する突起部(外側突起部)との間の距離として、2mm乃至10mmを例示することができる。また、突起部の一般的な形成方法として、スリットコーターを用いた塗布法、スクリーン版を用いたコート法、ディスペンサーを用いたコート法を例示することができる。突起部を形成することで、保護膜を形成するための塗布法にもよるが、保護膜を形成すべき部分にのみ保護膜を確実に形成することができる。尚、突起部を感光性ポリイミド樹脂から構成する場合、第1パネル無効領域あるいは全面に液状の感光性ポリイミド樹脂を塗布し、露光、現像、乾燥、焼成を行うことで、突起部を形成することができる。
あるいは又、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法にあっては、第1の保護膜幅規定部及び第2の保護膜幅規定部のそれぞれは、濡れ性制御層から成る構成とすることができる。そして、この場合、濡れ性制御層は、シラン系化合物あるいはフッ素系化合物から成る構成とすることができる。濡れ性制御層の高さとして、0.05μm乃至1μmを例示することができるし、濡れ性制御層の幅として、10μm乃至0.1mmを例示することができるし、第1の保護膜幅規定部を構成する濡れ性制御層(内側濡れ性制御層)と第2の保護膜幅規定部を構成する濡れ性制御層(外側濡れ性制御層)との間の距離として、2mm乃至10mmを例示することができる。濡れ性制御層の一般的な形成方法として、スクリーン版を用いたコート法やオフセットコート法を例示することができる。濡れ性制御層を形成することで、保護膜を形成するための塗布法にもよるが、保護膜を形成すべき部分にのみ保護膜を確実に形成することができる。濡れ性制御層を構成する材料として、より具体的には、例えば、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルビニルトリクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリキシドキシプロピリトリメトリシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシシラン)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリクロロシラン、メタクリレートクロミッククロリド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)といったシラン系化合物;例えば、炭化水素基中の水素原子の全てあるいは一部をフッ素原子で置き換えたパーフルオロアルキル化合物といったフッ素系化合物を例示することができる。尚、保護膜を形成するための保護膜材料としての溶液と絶縁膜あるいは第1パネル(より具体的には、第1パネルを構成する支持体)との接触角をθ0、係る溶液と濡れ性制御層との接触角をθ1としたとき、θ0<θ1を満足する。より具体的には、例えば、0度≦θ0≦10度、50度≦θ1≦180度を満足することが好ましい。
以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法において、接合部材は、枠体、並びに、該枠体の底面及び頂面に形成された第1フリットガラス層及び第2フリットガラス層から成る構成とすることができ、あるいは又、接合部材の全体がフリットガラス層から成る構成とすることができる。枠体は、ムライトやアルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄といったセラミックスや、ソーダライムガラスといったガラス等の絶縁剛性材料から作製することができ、枠体の形状として、棒状、フレーム状(枠状)を例示することができる。即ち、複数の棒状の枠体を適切に配列することで最終的に接合部材を得ることもできるし、1つのフレーム状(枠状)の枠体を配置することで最終的に接合部材を得ることもできる。第1フリットガラス層、第2フリットガラス層、接合部材の全体を構成するフリットガラス層の構成材料として、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスといったフリットガラスを挙げることができる。尚、枠体の底面及び頂面にフリットガラス・ペーストを塗布し、350゜Cで20分、仮焼成することで、枠体、並びに、枠体の底面及び頂面に形成された第1フリットガラス層及び第2フリットガラス層から成る接合部材を得ることができる。
更には、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法にあっては、保護膜を構成する金属酸化物は、電気的絶縁性を有する金属酸化物、具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化クロム(CrOx)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化スズ(SnO2)、又は、酸化バナジウム(VOx)から成ることが好ましい。これらの金属酸化物は、フリットガラス層を構成するフリットガラスの成分であるPbOとの反応性が非常に低いので、好ましい材料である。また、塗布法にて保護膜を形成するための保護膜材料として、これらの金属酸化物から成る微粒子が分散された溶液[溶媒:例えば、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルセロソルブアセテート、NMP(N−メチルピロリジノン)]を挙げることができる。このような微粒子が分散された溶液を用いる場合、溶媒を蒸発させることによって、金属酸化物から成る保護膜を得ることができる。あるいは又、チタン、タンタル、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニオブ、バナジウムといった金属原子を含む金属アルコキシドの溶液(例えば、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムのアルコキシド化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート、チタニウムラクテートといったチタンのアルコキシド化合物;Ta(OC2H5)5、Ta(OCH3)5、Ta(O−iC3H7)5、Ta(O−nC3H7)5、Ta(O−iC4H9)5、Ta(O−nC4H9)5、Ta(O−secC4H9)5、Ta(O−tC4H9)5といったタンタルのアルコキシド化合物;Nb(OC2H5)5、Nb(OCH3)5、Nb(O−iC3H7)5、Nb(O−nC3H7)5、Nb(O−iC4H9)5、Nb(O−nC4H9)5、Nb(O−secC4H9)5、Nb(O−tC4H9)5といったニオブのアルコキシド化合物)を挙げることができる。金属アルコキシドの溶液を用いる場合、加水分解と脱水縮合に基づき、金属酸化物から成る保護膜を得ることができる。保護膜は、薄すぎると、例えば、フリットガラス層の焼成時における絶縁膜とフリットガラス層との反応を抑制することができず、一方、厚すぎると、第1パネルや絶縁膜から保護膜が剥離する虞がある。保護膜の平均厚さは、限定するものではないが、0.2μm乃至0.8μm、好ましくは、0.4μm乃至0.6μmとすることが望ましい。
更には、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明の第2の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法にあっては、絶縁膜を構成する材料として、シリコン窒化物を例示することができる。絶縁膜の形成方法として、スパッタリング法や化学的気相成長法(CVD法)を例示することができる。
また、以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法(これらを総称して、以下、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、第1パネル、第2パネルを構成する支持体、基板として、ガラス基板、表面に下地絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に下地絶縁膜が形成された石英基板、表面に下地絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に下地絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。
本発明における平面型表示装置として、冷陰極電界電子放出素子を備えた冷陰極電界電子放出表示装置を挙げることができるし、金属/絶縁材料膜/金属型素子(MIM素子)が組み込まれた平面型表示装置、表面伝導型電子放出素子が組み込まれた平面型表示装置を挙げることができる。
ここで、平面型表示装置を冷陰極電界電子放出表示装置とする場合、電子を放出する電子放出領域は、1又は複数の冷陰極電界電子放出素子から成り、
各冷陰極電界電子放出素子は、
(a)支持体上に形成され、第1の方向に延びる帯状のカソード電極、
(b)カソード電極及び支持体上に形成された絶縁層、
(c)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる帯状のゲート電極、
(d)カソード電極とゲート電極の重複する重複部分に位置するゲート電極及び絶縁層の部分に設けられ、底部にカソード電極が露出した開口部、及び、
(e)開口部の底部に露出したカソード電極上に設けられた電子放出部、
から成り、
カソード電極の延在部、及び、ゲート電極の延在部が、引出し電極に相当する構成とすることができる。尚、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法にあっては、電子放出領域を除き、絶縁層及びゲート電極は前記絶縁膜で覆われていることが好ましい。即ち、絶縁膜には絶縁膜開口部が設けられており、電子放出領域の射影像は、この絶縁膜開口部の射影像内に包含されることが好ましい。この絶縁膜は、複数の引出し電極上に形成された絶縁膜の延在部に相当する。
そして、平面型表示装置を冷陰極電界電子放出表示装置とする場合、電子放出領域を構成する冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)が、第1パネルあるいは第2パネル(カソードパネルと呼ぶ場合がある)に設けられ、一方、アノード電極及び蛍光体層が、第2パネルあるいは第1パネル(アノードパネルと呼ぶ場合がある)に設けられている。
電界放出素子の型式は特に限定されず、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)や、扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができる。
カソードパネルにおいて、カソード電極の射影像とゲート電極の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、冷陰極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。そして、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域が電子放出領域に該当し、電子放出領域がカソードパネルの有効領域(例えば、第1パネル有効領域)に2次元マトリクス状に配列されており、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、カソード電極及びゲート電極に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体層に衝突する。そして、蛍光体層への電子の衝突の結果、蛍光体層が発光し、画像として認識することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極は、カソード電極の延在部に相当する引出し電極を介してカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極は、ゲート電極の延在部に相当する引出し電極を介してゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。実動作時、アノード電極制御回路の出力電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をd0(但し、0.5mm≦d0≦10mm)としたとき、VA/d0(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは4以上8以下を満足することが望ましい。冷陰極電界電子放出表示装置の実動作時、カソード電極に印加する電圧VC及びゲート電極に印加する電圧VGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式を採用することができる。
電界放出素子は、一般に、以下の方法で製造することができる。尚、工程(4)と工程(5)の順序を逆にしてもよい。また、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法における平面型表示装置にあっては、工程(5)を省略することができる。
(1)支持体上に、カソード電極及びカソード電極の延在部に相当する引出し電極を形成する工程、
(2)支持体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極を形成し、併せて、ゲート電極の延在部に相当する引出し電極を支持体上に形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)全面に絶縁膜を形成し、絶縁膜に絶縁膜開口部を形成する工程、
(6)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
あるいは又、電界放出素子は、以下の方法で製造することもできる。尚、工程(5)と工程(6)の順序を逆にしてもよい。また、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置あるいはその組立方法における平面型表示装置にあっては、工程(6)を省略することができる。
(1)支持体上に、カソード電極及びカソード電極の延在部に相当する引出し電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)支持体及び電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極及び電子放出部上に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極を形成し、併せて、ゲート電極の延在部に相当する引出し電極を支持体上に形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程、
(6)全面に絶縁膜を形成し、絶縁膜に絶縁膜開口部を形成する工程。
電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。即ち、例えば絶縁層や絶縁膜上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている電界放出素子、あるいは又、絶縁層や絶縁膜の上方に収束電極が設けられている電界放出素子とすることもできる。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルト以上のオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的な負電圧(例えば、0ボルト)が印加される。収束電極は、必ずしも、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域に設けられた電子放出部あるいは電子放出領域のそれぞれを取り囲むように個別に形成されている必要はなく、例えば、電子放出部あるいは電子放出領域の所定の配列方向に沿って延在させてもよいし、電子放出部あるいは電子放出領域の全てを1つの収束電極で取り囲む構成としてもよく(即ち、収束電極を、冷陰極電界電子放出表示装置としての実用上の機能を果たす中央の表示領域である有効領域の全体を覆う薄い1枚のシート状の構造としてもよく)、これによって、複数の電子放出部あるいは電子放出領域に共通の収束効果を及ぼすことができる。場合によっては、層間絶縁層の形成と、内側突起部及び外側突起部の形成を、同じ材料を用いて、同時に行ってもよい。
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、真空蒸着法の他、例えばスパッタリング法やCVD法によっても形成することができる。
扁平型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。あるいは又、電子放出部を構成する材料として、係る材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択してもよい。扁平型電界放出素子にあっては、特に好ましい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的にはアモルファスダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチューブ構造体(カーボン・ナノチューブ及び/又はグラファイト・ナノファイバー)、ZnOウィスカー、MgOウィスカー、SnO2ウィスカー、MnOウィスカー、Y2O3ウィスカー、NiOウィスカー、ITOウィスカー、In2O3ウィスカー、Al2O3ウィスカーを挙げることができる。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
カソード電極、カソード電極の延在部に相当する引出し電極、ゲート電極、ゲート電極の延在部に相当する引出し電極、収束電極の構成材料として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状のカソード電極やゲート電極、引出し電極を形成することが可能である。
絶縁層や層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層や層間絶縁層の形成には、CVD法、各種の塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
第1開口部(ゲート電極に形成された開口部)あるいは第2開口部(絶縁層に形成された開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体膜を設けてもよい。抵抗体膜を設けることによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物を例示することができる。抵抗体膜の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×106〜1×1011Ω、好ましくは数十ギガΩとすればよい。
平面型表示装置において、アノード電極と蛍光体層の構成例として、(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構成、を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとは抵抗体層によって電気的に接続されていることが好ましい。抵抗体層を構成する材料として、カーボン、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物;アモルファスシリコン等の半導体材料;ITOを挙げることができる。また、SiC抵抗膜上に抵抗値の低いカーボン薄膜を積層するといった複数の膜の組み合わせにより、安定した所望のシート抵抗値を実現することも可能である。抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数(Q)は2以上であればよく、例えば、直線状に配列された蛍光体層の列の総数をq列としたとき、Q=qとし、あるいは、q=k・Q(kは2以上の整数であり、好ましくは10≦k≦100、一層好ましくは20≦k≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配設されるスペーサの数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。全体として1つのアノード電極の上に抵抗体層を形成してもよい。
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種の物理的気相成長法(PVD法);各種のCVD法;スクリーン印刷法;メタルマスク印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料から成る導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料をPVD法やスクリーン印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、抵抗体層も同様の方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料から抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこの抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料のPVD法やスクリーン印刷法に基づく形成により、抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至5×10-7m(0.5μm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至3×10-7m(0.3μm)を例示することができる。
アノード電極の構成材料として、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、抵抗体層を形成する場合、抵抗体層の抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、抵抗体層をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)から構成することが好ましい。
蛍光体層は、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。蛍光体層の配列様式は、例えば、ドット状である。具体的には、平面型表示装置がカラー表示の場合、蛍光体層の配置、配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。即ち、直線状に配列された蛍光体層の1列は、全てが赤色発光蛍光体層で占められた列、緑色発光蛍光体層で占められた列、及び、青色発光蛍光体層で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体層、緑色発光蛍光体層、及び、青色発光蛍光体層が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体層とは、平面型表示装置において1つの輝点を生成する蛍光体領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体層、1つの緑色発光蛍光体層、及び、1つの青色発光蛍光体層の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体層(1つの赤色発光蛍光体層、あるいは、1つの緑色発光蛍光体層、あるいは、1つの青色発光蛍光体層)から構成される。尚、隣り合う蛍光体層の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
蛍光体層は、発光性結晶粒子から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体層を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体層を形成する方法にて形成することができる。あるいは又、赤色発光蛍光体スラリー、緑色発光蛍光体スラリー、青色発光蛍光体スラリーを順次塗布した後、各蛍光体スラリーを順次露光、現像して、各蛍光体層を形成してもよいし、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により各蛍光体層を形成してもよい。基板上における蛍光体層の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。
蛍光体層からの光を吸収する光吸収層が、隣り合う蛍光体層の間、あるいは、隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体層からの光を90%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
蛍光体層から反跳した電子、あるいは、蛍光体層から放出された2次電子が他の蛍光体層に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するために、あるいは又、蛍光体層から反跳した電子、あるいは、蛍光体層から放出された2次電子が他の蛍光体層に向かって侵入することを防止するために、隔壁を設けることが好ましい。
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、キャスティング法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成(硬化)を行う方法である。キャスティング法(型押し成形法)とは、ペースト状とした有機材料あるいは無機材料から成る隔壁形成用材料層を型(キャスト)から基板上に押し出すことで隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やメタルマスク印刷法、ロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁頂面の平坦化を図ってもよい。
隔壁における蛍光体層を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)として、矩形形状、円形形状、楕円形状、長円形状、三角形形状、五角形以上の多角形形状、丸みを帯びた三角形形状、丸みを帯びた矩形形状、丸みを帯びた多角形等を例示することができる。これらの平面形状(開口領域の平面形状)が2次元マトリクス状に配列されることにより、格子状の隔壁が形成される。この2次元マトリクス状の配列は、例えば井桁様に配列されるものでもよいし、千鳥様に配列されるものでもよい。
隔壁形成用材料として、例えば、感光性ポリイミド樹脂や、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス、SiO2、低融点ガラスペーストを例示することができる。隔壁の表面(頂面及び側面)には、隔壁に電子ビームが衝突して隔壁からガスが放出されることを防止するための保護材料層(例えば、SiO2、SiON、あるいは、AlNから成る)を形成してもよい。
平面型表示装置にあっては、第1パネルと第2パネルによって挟まれた空間は高真空となっている。従って、第1パネルと第2パネルとの間に、例えば、セラミック材料やガラスといった高抵抗材料から作製されたスペーサを配設しておかないと、大気圧によって平面型表示装置が損傷を受けてしまう。スペーサは、例えばセラミックスやガラスから構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライトやアルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、係るグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサを製造することができる。また、スペーサを構成するガラスとして、ソーダライムガラスを挙げることができる。スペーサは、例えば、隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、第1パネルや第2パネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
スペーサの表面には、帯電防止膜が設けられていてもよい。帯電防止膜を構成する材料は、その2次電子放出係数が1に近いことが好ましく、帯電防止膜を構成する材料として、グラファイト等の半金属、酸化物、ホウ化物、炭化物、硫化物、及び、窒化物等を用いることができる。例えば、グラファイト等の半金属及びMoSe2等の半金属元素を含む化合物、CrOx、CrAlxOy、Nd2O3、LaxBa2-xCuO4、LaxBa2-xCuO4、LaxY1-xCrO3等の酸化物、AlB2、TiB2等のホウ化物、SiC等の炭化物、MoS2、WS2等の硫化物、及び、BN、TiN、AlN等の窒化物等を挙げることができるし、更には、例えば、特表2004−500688号公報等に記載されている材料等を用いることもできる。帯電防止膜は、単一の種類の材料から成るものであってもよいし、複数の種類の材料から成るものであってもよいし、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。帯電防止膜は、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等、周知の方法に基づき形成することができる。
第1パネルと第2パネルと接合部材の三者を接合する場合、三者を同時に接合することが望ましい。三者同時接合を高真空雰囲気中で行えば、第1パネルと第2パネルと接合部材とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、第1パネルと第2パネルと接合部材とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。
排気を行う場合、排気は、第1パネル及び/又は第2パネルに予め接続されたチップ管とも呼ばれる排気管を通じて行うことができる。排気管は、典型的にはガラス管、あるいは、低熱膨張率を有する金属や合金[例えば、ニッケル(Ni)を42重量%含有した鉄(Fe)合金や、ニッケル(Ni)を42重量%、クロム(Cr)を6重量%含有した鉄(Fe)合金]から成る中空管から構成され、第1パネル及び/又は第2パネルの無効領域に設けられた貫通孔の周囲に、フリットガラス又は次に述べる低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ、あるいは又、圧着することにより封じられる。尚、封じる前に、平面型表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
ここで、低融点金属材料とは、融点が120〜400゜C程度の材料であり、具体的には、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
本発明の平面型表示装置にあっては、少なくとも一部にフリットガラス層を含む接合部材が、金属酸化物から成る保護膜と接している。金属酸化物は、フリットガラス層の成分であるPbOとの反応性が非常に低い。従って、接合部材を構成するフリットガラス層の焼成時、上述した反応式(1)で示す反応が生じることを確実に防止することができ、その結果、窒素ガスが発生する虞がないので、接合部材を構成するフリットガラス層が発泡して気密性を保持できなくなるという問題が生じることがないし、SiO2から成るバリア材料層よりも、一層確実に、このような問題が発生することを防止することができる。また、接合部材を構成するフリットガラス層の焼成時、接合部材の下方に位置する引出し電極を構成する金属がフリットガラス層に含まれるPbOと反応することを、金属酸化物から成る保護膜の存在によって確実に阻止することができる。従って、引出し電極を構成する金属が酸化されて、引出し電極が、断線したり、高抵抗化するといった問題が発生することもないし、SiO2から成るバリア材料層よりも、一層確実に、このような問題が発生することを抑制することができる。しかも、本発明の平面型表示装置の組立方法にあっては、塗布法に基づき保護膜を形成するので、保護膜を極めて容易に形成することができるし、高価な成膜装置も必要とされないし、接合部材の下方に位置すべき第1パネルあるいは絶縁膜の領域に選択的に保護膜を形成し、その他の領域には保護膜を形成しないといった処理を容易に行うことができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、先ず、実施例1〜実施例8の平面型表示装置、及び、実施例1〜実施例8の平面型表示装置の組立方法における平面型表示装置の概要について、説明する。
実施例1〜実施例8の平面型表示装置は、より具体的には、冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)から成る。実施例1〜実施例8の表示装置を構成する第1パネルを、以下、カソードパネルCPと呼び、第2パネルを、以下、アノードパネルAPと呼ぶ場合がある。ここで、実施例1〜実施例8の表示装置におけるスピント型冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ)の模式的な一部断面図は図37に示したと同様であり、扁平型電界放出素子の模式的な一部断面図は図38に示したと同様である。但し、実施例1〜実施例4にあっては、絶縁膜16は設けられていない(本発明の第1の態様に係る平面型表示装置)。一方、実施例5〜実施例8にあっては、絶縁膜16が設けられている(本発明の第2の態様に係る平面型表示装置)。また、第1パネルP1(カソードパネルCP)及び第2パネルP2(アノードパネルAP)を分解したときの第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)の一部分の模式的な分解斜視図は、図39に示したと同様であるし、電子放出領域をアノードパネル側から眺めたときの、電子放出領域を構成する構成要素の配置状態は、図40の(A)に示したと同様である。尚、第1パネルP1(カソードパネルCP)における有効領域、無効領域、カソード電極、ゲート電極、引出し電極の配置を模式的に図40の(B)に示す。
即ち、実施例1〜実施例8の表示装置、あるいは、実施例1〜実施例8の表示装置の組立方法における表示装置は、
(A)電子を放出する電子放出領域EAが2次元マトリクス状に配された第1パネル有効領域EF1、及び、この第1パネル有効領域EF1を取り囲む第1パネル無効領域NE1を備え、電子放出領域EAを駆動するために第1パネル無効領域NE1に複数の引出し電極11A,13Aが設けられて成る第1パネルP1(カソードパネルCP)と、
(B)電子放出領域EAから放出された電子が衝突する蛍光体層22及びアノード電極24が形成された第2パネル有効領域EF2、及び、この第2パネル有効領域EF2を取り囲む第2パネル無効領域NE2を備えた第2パネルP2(アノードパネルAP)と、
(C)少なくとも一部にフリットガラス層を含み、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とを、それらの無効領域NE1,NE2において接合した接合部材30,130、
を具備している。
ここで、実施例1、実施例2、実施例5及び実施例6の平面型表示装置にあっては、接合部材30は、枠体31、並びに、この枠体31の底面及び頂面に形成された第1フリットガラス層32及び第2フリットガラス層33から成る。一方、実施例3、実施例4、実施例7及び実施例8の平面型表示装置にあっては、接合部材130の全体が、フリットガラス層から成る。
更には、実施例1及び実施例2の平面型表示装置においては、少なくとも、枠体31の底面に形成された第1フリットガラス層32の下方に位置する引出し電極11A,13Aの表面には、金属酸化物から成る保護膜40が形成されており、第1フリットガラス層32は保護膜40と接している。
また、実施例3及び実施例4の平面型表示装置においては、少なくとも、接合部材130の下方に位置する引出し電極11A,13Aの表面には、金属酸化物から成る保護膜40が形成されており、接合部材130は保護膜40と接している。
一方、実施例5及び実施例6の平面型表示装置においては、引出し電極11A,13Aの表面には絶縁膜16が形成されており、少なくとも、枠体31の底面に形成された第1フリットガラス層32の下方に位置する絶縁膜16の領域には、金属酸化物から成る保護膜40が形成されており、第1フリットガラス層32は保護膜40と接している。
また、実施例7及び実施例8の平面型表示装置においては、引出し電極11A,13Aの表面には絶縁膜16が形成されており、少なくとも、接合部材130の下方に位置する絶縁膜16の領域には、金属酸化物から成る保護膜40が形成されており、接合部材130は保護膜40と接している。
ここで、実施例1〜実施例8において、電子放出領域EAを構成する電界放出素子は、例えば、スピント型電界放出素子から構成されている。スピント型電界放出素子は、図37に示すように、
(a)支持体10に形成されたカソード電極11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極13、
(d)ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15、
から構成されている。
あるいは又、実施例1〜実施例8にあっては、電界放出素子は、例えば扁平型電界放出素子から構成されている。扁平型電界放出素子は、図38に示すように、
(a)支持体10上に形成されたカソード電極11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極13、
(d)ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された電子放出部15A、
から構成されている。尚、電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
カソードパネルCPにおいて、カソード電極11は、第1の方向(X方向)に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第1の方向とは異なる第2の方向(Y方向)に延びる帯状である。カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複領域が、電子放出領域EAである。カソード電極11の延在部が引出し電極11Aに相当し、ゲート電極13の延在部が引出し電極13Aに相当する。1サブピクセルに相当する電子放出領域EAには、複数の電界放出素子が設けられており、1サブピクセルに相当する電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域(第1パネル有効領域EF1)内に、2次元マトリクス状に配列されている。
また、実施例5〜実施例8にあっては、電子放出領域EAを除き、絶縁層12及びゲート電極13は、窒化シリコン(Si3N4)から成る絶縁膜16で覆われている。絶縁膜16は、種々の製造プロセスにおいて、カソードパネルCPを構成する構成要素の保護のために設けられている。更には、絶縁膜16には絶縁膜開口部17が形成され、絶縁膜16の上には層間絶縁層18が形成され、その上に収束電極19が絶縁膜開口部17を取り囲むように設けられており、収束電極19は、複数の電界放出素子に共通の収束効果を及ぼすことができる。カソードパネルCPの無効領域(第1パネル無効領域NE1)には、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔には、真空排気後に封じ切られるチップ管とも呼ばれる排気管(図示せず)が取り付けられている。一方、実施例1〜実施例4にあっては、絶縁層12及びゲート電極13の上には層間絶縁層18が形成され、その上に収束電極19が電子放出領域EAを取り囲むように設けられており、収束電極19は、複数の電界放出素子に共通の収束効果を及ぼすことができる。
実施例1〜実施例8において、第2パネルP2(アノードパネルAP)は、基板20、並びに、この基板20上に形成された蛍光体層22(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、青色発光蛍光体層22B)、及び、蛍光体層22を覆うアノード電極24から構成されている。即ち、アノードパネルAPは、より具体的には、基板20、基板20上に形成された隔壁21と隔壁21との間の基板20上に形成され、多数の蛍光体粒子から成る蛍光体層22(赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、青色発光蛍光体層22B)、及び、蛍光体層22上に形成されたアノード電極24を備えている。アノード電極24は、厚さ約70nmのアルミニウム(Al)から成り、有効領域(第2パネル有効領域EF2)を覆う薄い1枚のシート状であり、隔壁21及び蛍光体層22を覆う状態で設けられている。蛍光体層22と蛍光体層22との間であって、隔壁21と基板20との間には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。そして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とによって挟まれた空間は真空状態(圧力:例えば10-3Pa以下)とされている。
1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、これらの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル側の蛍光体層22とによって構成されている。有効領域には、画素(ピクセル)が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。尚、カラー表示の表示装置においては、1画素(1ピクセル)は、赤色発光サブピクセル、緑色発光サブピクセル、及び、青色発光サブピクセルの組から構成されている。
実施例1〜実施例8において、カソード電極11は、その延在部である引出し電極11Aを介してカソード電極制御回路61に接続され、ゲート電極13は、その延在部である引出し電極13Aを介してゲート電極制御回路62に接続され、収束電極19は収束電極制御回路(図示せず)に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路63に接続されている。これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。表示装置の実動作時、アノード電極制御回路63からアノード電極24に印加されるアノード電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。一方、表示装置の実動作時、カソード電極11に印加する電圧VC及びゲート電極13に印加する電圧VGに関しては、
(1)カソード電極11に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極13に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極13に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極13に印加する電圧VGも変化させる方式
のいずれを採用してもよい。
表示装置の実動作時、カソード電極11には相対的に負電圧(VC)がカソード電極制御回路61から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧(VG)がゲート電極制御回路62から印加され、収束電極19には収束電極制御回路から例えば0ボルトが印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路63から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路61から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路62からビデオ信号を入力する。尚、カソード電極11にカソード電極制御回路61からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路62から走査信号を入力してもよい。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15,15Aから電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体層22に衝突する。その結果、蛍光体層22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧VG、及びカソード電極11に印加される電圧VCによって制御され、第1パネル無効領域NE1に設けられた複数の引出し電極11A,13Aを介して電子放出領域EAが駆動される。
実施例1、実施例2、実施例5、実施例6におけるフリットガラス層32,33は、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから成る。また、枠体31は、ガラスあるいはセラミックスから作製されており、棒状あるいはフレーム状(枠状)である。尚、枠体31の底面及び頂面にフリットガラス・ペーストを塗布し、350゜Cで20分、仮焼成することで、枠体31、並びに、枠体31の底面及び頂面に形成された第1フリットガラス層32及び第2フリットガラス層33から成る接合部材30を得ることができる。一方、実施例3、実施例4、実施例7、実施例8における接合部材130の全体を構成するフリットガラス層は、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから成る。また、接合部材130を構成するフリットガラス層を350゜Cで20分、仮焼成することで、接合部材130を得ることができる。
実施例5〜実施例8にあっては、前述したとおり、引出し電極11A,13Aの表面には、Si3N4から成る絶縁膜16が形成されている。更には、少なくとも、接合部材30,130の下方に位置する絶縁膜16の領域には、金属酸化物から成る保護膜40が形成されており、接合部材30,130と保護膜40とが接している。
また、実施例1〜実施例8において、保護膜40は、具体的には、酸化チタン,TiO2の微粒子から構成されている。第1の保護膜幅規定部を構成する内側突起部41及び第2の保護膜幅規定部を構成する外側突起部42は、感光性ポリイミド樹脂から形成されており、第1の保護膜幅規定部を構成する内側濡れ性制御層(内側撥水層)43及び第2の保護膜幅規定部を構成する外側濡れ性制御層(外側撥水層)44は、シラン系化合物、より具体的には、オクタデシルトリエトキシシラン(ODSE)から成る。
実施例1〜実施例8における絶縁膜16の有無、接合部材30,130の構造、保護膜幅規定部の構成を、以下の表1に纏めた。
実施例1は、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置及びその組立方法に関する。実施例1の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図1に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図2に示す。尚、接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図においては、第2パネルP2(アノードパネルAP)を構成する蛍光体層やアノード電極等の構成要素の図示を省略している。また、第1パネルP1(カソードパネルCP)においては、電子放出部、開口部、層間絶縁層、収束電極の図示を省略している。
実施例1の表示装置にあっては、
接合部材30の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)が概ね連続的に(実施例1あるいは後述する実施例3、実施例5、実施例7にあっては連続的に)形成されており、
接合部材30の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)が概ね連続的に(実施例1あるいは後述する実施例3、実施例5、実施例7にあっては連続的に)形成されており(図1、図2参照)、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分及び引出し電極11A,13Aの部分に形成され、接合部材30の底面は保護膜40と接している。
以下、第1パネルP1の模式的な一部端面図である図3〜図6を参照して、実施例1の表示装置の組立方法を説明する。尚、図3及び図5は、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図であり、図4及び図6は、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。ここで、図3〜図6、あるいは、後述する図9〜図14、図21〜図24、図27〜図32においては、アノードパネルAPを構成する蛍光体層22やアノード電極24等の構成要素の図示を省略しており、また、カソードパネルCPにおける電子放出部15,15A、開口部14、層間絶縁層18、収束電極19の図示を省略している。
[工程−100]
先ず、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから成るフリットガラス層32,33が底面及び頂面に形成された枠体31から成る接合部材30を準備する。
[工程−110]
そして、実施例1にあっては、接合部材30下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)を概ね連続的に(実施例1あるいは後述する実施例3、実施例5、実施例7にあっては連続的に)形成し、且つ、接合部材30の下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)を概ね連続的に(実施例1あるいは後述する実施例3、実施例5、実施例7にあっては連続的に)形成する(図3及び図4参照)。具体的には、第1パネル無効領域NE1に液状の感光性ポリイミド樹脂をスリットコーターを用いて塗布し、露光、現像、乾燥、焼成を行うことで、内側突起部41及び外側突起部42を形成することができる。内側突起部41及び外側突起部42の高さを40μm、幅を100μm、内側突起部41と外側突起部42との間の距離(D)を5mmとした。
[工程−120]
次いで、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する。具体的には、平均粒径0.2μmの酸化チタン微粒子を0.5重量%、イソプロピルアルコール中に分散させた塗布溶液をディスペンサー50を使用して、内側突起部41と外側突起部42との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域に塗布する(図5及び図6参照)。この保護膜材料を含む塗布溶液の粘度は、1×10-3Pa・s〜4×10-3Pa・s(1〜4センチポイズ)程度と非常に低いので、内側突起部41と外側突起部42との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域の上に、塗布後、速やかに広がる。ディスペンサー50を用いた塗布法にあっては、塗布する保護膜材料の膜の幅の制御を行う必要はなく、塗布量の制御だけすればよい。その後、80゜C〜150゜Cで保護膜材料の膜の焼付けを行うことで、保護膜40を得ることができる。保護膜40の平均厚さを1.2μmとした。
[工程−130]
次に、接合部材30が、保護膜40と接し、且つ、第2パネル無効領域NE2と接するように、具体的には、第1フリットガラス層32が保護膜40と接し、第2フリットガラス層32が第2パネル無効領域NE2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とを組み立てる。より具体的には、第2パネル無効領域NE2に第2フリットガラス層33が接するように接合部材30が配され、スペーサ(図示せず)が所定の位置に取り付けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を図示しない載置台(パネルステージ)上に載置し、第1パネルP1及び第2パネルP2に設けられたアライメントマーク(図示せず)を光学的に読み取り、第2パネルP2に対する第1パネルP1の位置を調節しながら、第1フリットガラス層32と保護膜40とが接するように、接合部材30上に第1パネルP1(カソードパネルCP)を置く。そして、第1パネルP1と第2パネルP2とを、例えば、バネ付きのクリップで挟んで固定する。
[工程−140]
その後、第1パネルP1と第2パネルP2と接合部材30との組立体を焼成炉内に搬入し、焼成炉内で加熱処理を施すことで、接合部材30を構成する第1フリットガラス層32及び第2フリットガラス層33を、約390゜Cの温度にて約20分間、本焼成する。焼成時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。これによって、第1パネルP1と第2パネルP2とをそれらの無効領域NE1,NE2において接合することができる。
[工程−150]
その後、組立体全体を焼成炉から搬出し、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とによって囲まれた空間を、貫通孔(図示せず)及び排気管(図示せず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点で排気管を加熱溶融により封じ切る。尚、封じ切りを行う前に、表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので、好適である。このようにして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とによって囲まれた空間を真空にすることができる。その後、引出し電極11A,13Aと、必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっては、第1フリットガラス層32の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、第1フリットガラス層32と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
尚、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とを、それらの周縁部において接合部材30を介して接合する際の雰囲気を高真空雰囲気とすれば、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)との接合と同時に、空間を真空にすることができる。以下の実施例においても同様である。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図7に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図8に示す。
実施例2の表示装置にあっては、
接合部材30の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)が概ね連続的に(実施例2あるいは後述する実施例4、実施例6、実施例8にあっては連続的に)形成されており、
接合部材30の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)が概ね連続的に(実施例2あるいは後述する実施例4、実施例6、実施例8にあっては連続的に)形成されており、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分及び引出し電極11A,13Aの部分に形成され、接合部材30の底面は保護膜40と接している。
以下、第1パネルP1の模式的な一部端面図である図9〜図14を参照して、実施例2の表示装置の組立方法を説明する。尚、図9、図11及び図13は、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図であり、図10、図12及び図14は、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様に、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから成るフリットガラス層32,33が底面及び頂面に形成された枠体31から成る接合部材30を準備する。
[工程−210]
そして、実施例2にあっては、接合部材30の下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)を概ね連続的に(実施例2あるいは後述する実施例4、実施例6、実施例8にあっては連続的に)形成し、且つ、接合部材30の下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)を概ね連続的(実施例2あるいは後述する実施例4、実施例6、実施例8にあっては連続的に)に形成する。
具体的には、第1パネル無効領域NE1に、例えば、疎水性が高く下地の表面エネルギーを小さくする材料として知られているシラン系化合物であるオクタデシルトリエトキシシラン(ODSE)を含む濡れ性制御層形成溶液(溶媒:エチルアルコール)を塗布し、乾燥して、濡れ性制御膜45を形成した後(図9及び図10参照)、内側濡れ性制御層43及び外側濡れ性制御層44を形成すべき部分を除き、濡れ性制御膜45に波長240nm以下の紫外線を照射することで、ODSEから成る濡れ性制御膜45を分解する。これによって、ODSEから成る内側濡れ性制御層43及び外側濡れ性制御層44を得ることができる(図11及び図12参照)。こうして、保護膜40を形成すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分の表面エネルギーを大きく保持したまま、この部分に隣接する第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分の表面エネルギーを小さくすることができる。従って、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、塗布法に基づき保護膜材料を含む塗布溶液を塗布したとき、内側濡れ性制御層43と外側濡れ性制御層44との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分の上にあっては、塗布溶液は速やかに広がるが、内側濡れ性制御層43及び外側濡れ性制御層44の上まで広がることはない。このようにして、第1パネルP1(カソードパネルCP)上において塗布すべき部分を規制することができる。
内側濡れ性制御層43及び外側濡れ性制御層44の高さを0.5μm、幅を0.5μm、内側濡れ性制御層43と外側濡れ性制御層44との間の距離Dを5mmとした。尚、保護膜40を形成するための保護膜材料を含む塗布溶液と第1パネルP1(具体的には、支持体10)との接触角をθ0、係る塗布溶液と内側濡れ性制御層43あるいは外側濡れ性制御層44との接触角をθ1としたとき、θ0=5度、θ1=100度である。
[工程−220]
次いで、実施例1の[工程−120]と同様にして、第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)と第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する(図13及び図14参照)。その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、接合部材30が、保護膜40と接し、且つ、第2パネル無効領域NE2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とを組み立て、実施例1の[工程−140]と同様にして、接合部材30を構成するフリットガラス層(第1フリットガラス層32及び第2フリットガラス層33)を焼成し、以て、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とをそれらの無効領域NE1,NE2において接合する。次に、実施例1の[工程−150]と同様にして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とによって囲まれた空間を排気し、引出し電極11A,13Aと必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっても、第1フリットガラス層32の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、第1フリットガラス層32と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図15に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図16に示す。
実施例3の表示装置にあっては、
接合部材130の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)が概ね連続的に形成されており、
接合部材130の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分及び引出し電極11A,13Aの部分に形成され、接合部材130の底面は保護膜40と接している。
即ち、実施例3の表示装置は、接合部材130の構成、構造が、実施例1の表示装置における接合部材30の構成、構造と異なる点を除き、実施例1の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例3の表示装置の組立方法を説明する。
[工程−300]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから作製された、フリットガラス層から成る接合部材130を準備する。
[工程−310]
そして、実施例1の[工程−110]と同様にして、接合部材130の下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材130の下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)を概ね連続的に形成する。
[工程−320]
次いで、実施例1の[工程−120]と同様にして、内側突起部41と外側突起部42との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する。
[工程−330]
次に、実施例1の[工程−130]と同様にして、接合部材130の底面がこの保護膜40と接し、接合部材130の頂面が第2パネル無効領域NE2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とを組み立てる。
[工程−340]
その後、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130との組立体を焼成炉内に搬入し、焼成炉内で加熱処理を施すことで、接合部材130の全体を構成するフリットガラス層を、約390゜Cの温度にて約20分間、本焼成する。焼成時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。これによって、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とをそれらの無効領域NE1,NE2において接合することができる。
[工程−350]
その後、組立体全体を焼成炉から搬出し、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とによって囲まれた空間を、貫通孔(図示せず)及び排気管(図示せず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点で排気管を加熱溶融により封じ切る。尚、封じ切りを行う前に、表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので、好適である。このようにして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とによって囲まれた空間を真空にすることができる。その後、引出し電極11A,13Aと、必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっては、全体がフリットガラス層から成る接合部材130の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、接合部材130と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
実施例4は、実施例2及び実施例3の変形である。実施例4の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図17に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図18に示す。
実施例4の表示装置にあっては、
接合部材130の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)が概ね連続的に形成されており、
接合部材130の下方に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分には、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分及び引出し電極11A,13Aの部分に形成され、接合部材130の底面は保護膜40と接している。
即ち、実施例4の表示装置は、接合部材130の構成、構造が、実施例2の表示装置における接合部材30の構成、構造と異なる点を除き、実施例2の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例4の表示装置の組立方法を説明する。
[工程−400]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから作製された、フリットガラス層から成る接合部材130を準備する。
[工程−410]
そして、実施例2の[工程−210]と同様にして、接合部材130の下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも内側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材130の下方に位置すべき第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域よりも外側の第1パネルP1(カソードパネルCP)の部分に、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)を概ね連続的に形成する。
[工程−420]
次いで、実施例2の[工程−220]と同様にして、内側濡れ性制御層43と外側濡れ性制御層44との間に位置する第1パネルP1(カソードパネルCP)の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する。その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、接合部材130の底面がこの保護膜40と接し、接合部材130の頂面が第2パネル無効領域EF2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とを組み立て、実施例1の[工程−140]と同様にして、接合部材130の全体を構成するフリットガラス層を焼成し、以て、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とをそれらの無効領域NE1,NE2において接合する。次に、実施例1の[工程−150]と同様にして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とによって囲まれた空間を排気し、引出し電極11A,13Aと必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっても、全体がフリットガラス層から成る接合部材130の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、接合部材130と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
実施例5は、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置及びその組立方法に関する。実施例5の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図19に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図20に示す。
実施例5の平面型表示装置においては、
接合部材30の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分には、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)が概ね連続的に形成されており、
接合部材30の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分には、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する絶縁膜40の部分に形成され、接合部材30の底面は保護膜40と接している。
即ち、実施例5の表示装置は、絶縁膜16が形成されている点を除き、実施例1の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、第1パネルP1の模式的な一部端面図である図21〜図24を参照して、実施例5の表示装置の組立方法を説明する。尚、図21及び図23は、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図であり、図22及び図24は、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
[工程−500]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから成るフリットガラス層32,33が底面及び頂面に形成された枠体31から成る接合部材30を準備する。
[工程−510]
そして、実施例5にあっては、接合部材30の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分に、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材30の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分に、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)を概ね連続的に形成する(図21及び図22参照)。具体的には、実施例1の[工程−110]と同様にして、第1パネル無効領域NE1に液状の感光性ポリイミド樹脂をスリットコーターを用いて塗布し、露光、現像、乾燥、焼成を行うことで、内側突起部41及び外側突起部42を形成することができる。内側突起部41及び外側突起部42の高さを40μm、幅を100μm、内側突起部41と外側突起部42との間の距離(D)を5mmとした。
[工程−520]
次いで、実施例1の[工程−120]と同様にして、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する絶縁膜16の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する(図23及び図24参照)。
[工程−530]
次に、実施例1の[工程−130]と同様にして、第1フリットガラス層32が保護膜40と接し、第2フリットガラス層32が第2パネル無効領域NE2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とを組み立てる。
[工程−540]
その後、実施例1の[工程−140]と同様にして、第1パネルP1と第2パネルP2と接合部材30との組立体を焼成炉内に搬入し、焼成炉内で加熱処理を施すことで、接合部材30を構成する第1フリットガラス層32及び第2フリットガラス層33を、約390゜Cの温度にて約20分間、本焼成する。焼成時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。これによって、第1パネルP1と第2パネルP2とをそれらの無効領域NE1,NE2において接合することができる。
[工程−550]
その後、実施例1の[工程−150]と同様にして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とによって囲まれた空間を排気し、引出し電極11A,13Aと必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっては、第1フリットガラス層32とSi3N4から成る絶縁膜16との反応、第1フリットガラス層32の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、第1フリットガラス層32と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
実施例6は、実施例5の変形である。実施例6の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図25に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図26に示す。
実施例6の平面型表示装置においては、
接合部材30の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分には、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)が概ね連続的に形成されており、
接合部材30の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分には、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する絶縁膜40の部分に形成され、接合部材30の底面は保護膜40と接している。
即ち、実施例6の表示装置は、絶縁膜16が形成されている点を除き、実施例2の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、第1パネルP1の模式的な一部端面図である図27〜図32を参照して、実施例2の表示装置の組立方法を説明する。尚、図27、図29及び図31は、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図であり、図28、図30及び図32は、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
[工程−600]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様に、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから成るフリットガラス層32,33が底面及び頂面に形成された枠体31から成る接合部材30を準備する。
[工程−610]
そして、実施例2の[工程−210]と同様にして、接合部材30の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分に、接合部材30と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材30の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分に、接合部材30と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)を概ね連続的に形成する(図27、図28、図29及び図30参照)。
内側濡れ性制御層43及び外側濡れ性制御層44の高さを0.5μm、幅を0.5μm、内側濡れ性制御層43と外側濡れ性制御層44との間の距離Dを5mmとした。尚、保護膜40を形成するための保護膜材料を含む塗布溶液と絶縁膜16との接触角をθ0、係る塗布溶液と内側濡れ性制御層43あるいは外側濡れ性制御層44との接触角をθ1としたとき、θ0=5度、θ1=100度である。
[工程−620]
次いで、実施例2の[工程−220]と同様にして、内側濡れ性制御層43と外側濡れ性制御層44との間に位置する絶縁膜16の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する(図31及び図32参照)。その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、第1フリットガラス層32が保護膜40と接し、第2フリットガラス層が第2パネル無効領域EF2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とを組み立て、実施例1の[工程−140]と同様にして、接合部材30を構成する第1フリットガラス層32及び第2フリットガラス層33を焼成する。次に、実施例1の[工程−150]と同様にして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30とによって囲まれた空間を排気し、引出し電極11A,13Aと必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっても、第1フリットガラス層32の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、第1フリットガラス層32と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
実施例7も、実施例5の変形である。実施例7の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図33に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図34に示す。
実施例7の平面型表示装置においては、
接合部材130の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分には、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)が概ね連続的に形成されており、
接合部材130の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分には、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する絶縁膜40の部分に形成され、接合部材30の底面は保護膜40と接している。
即ち、実施例7の表示装置は、絶縁膜16が形成されている点を除き、実施例3の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例7の表示装置の組立方法を説明する。
[工程−700]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから作製された、フリットガラス層から成る接合部材130を準備する。
[工程−710]
そして、実施例1の[工程−110]と同様にして、接合部材130の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分に、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材130の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分に、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)を概ね連続的に形成する。
[工程−720]
次いで、実施例1の[工程−120]と同様にして、内側突起部41と外側突起部42との間に位置する絶縁膜16の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する。
[工程−730]
次に、実施例1の[工程−130]と同様にして、接合部材130の底面がこの保護膜40と接し、接合部材130の頂面が第2パネル無効領域EF2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とを組み立る。
[工程−740]
その後、実施例1の[工程−140]と同様にして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材30との組立体を焼成炉内に搬入し、焼成炉内で加熱処理を施すことで、接合部材130を構成するフリットガラス層を、約390゜Cの温度にて約20分間、本焼成する。焼成時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。これによって、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とをそれらの無効領域NE1,NE2において接合することができる。
[工程−750]
その後、実施例1の[工程−150]と同様にして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とによって囲まれた空間を排気し、引出し電極11A,13Aと必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっては、全体がフリットガラス層から成る接合部材130の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、接合部材130と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
実施例8は、実施例6及び実施例7の変形である。実施例8の表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図35に示し、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図を図36に示す。
実施例8の平面型表示装置においては、
接合部材130の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分には、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)が概ね連続的に形成されており、
接合部材130の下方に位置する絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分には、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)が概ね連続的に形成されており、
金属酸化物から成る保護膜40は、第1の保護膜幅規定部(内側突起部41)と第2の保護膜幅規定部(外側突起部42)との間に位置する絶縁膜40の部分に形成され、接合部材30の底面は保護膜40と接している。
即ち、実施例8の表示装置は、絶縁膜16が形成されている点を除き、実施例4の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例8の表示装置の組立方法を説明する。
[工程−400]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、電界放出素子が設けられた第1パネルP1(カソードパネルCP)、及び、アノード電極24や蛍光体層22等が設けられた第2パネルP2(アノードパネルAP)を準備し、更には、B2O3−PbO系フリットガラスやSiO2−B2O3−PbO系フリットガラスから作製された、フリットガラス層から成る接合部材130を準備する。
[工程−810]
そして、実施例2の[工程−210]と同様にして、接合部材130の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも内側の絶縁膜16の部分に、接合部材130と略平行に延びる第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層43)を概ね連続的に形成し、且つ、接合部材130の下方に位置すべき絶縁膜16の領域よりも外側の絶縁膜16の部分に、接合部材130と略平行に延びる第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層44)を概ね連続的に形成する。
[工程−820]
次いで、実施例2の[工程−220]と同様にして、内側濡れ性制御層43と外側濡れ性制御層44との間に位置する絶縁膜16の領域に、塗布法に基づき保護膜40を形成する。その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、接合部材130の底面がこの保護膜40と接し、接合部材130の頂面が第2パネル無効領域EF2と接するように、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とを組み立て、実施例1の[工程−140]と同様にして、接合部材130を構成するフリットガラス層を焼成し、以て、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)とをそれらの無効領域NE1,NE2において接合する。次に、実施例1の[工程−150]と同様にして、第1パネルP1(カソードパネルCP)と第2パネルP2(アノードパネルAP)と接合部材130とによって囲まれた空間を排気し、引出し電極11A,13Aと必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
こうして作製された表示装置にあっても、接合部材130を構成するフリットガラス層の発泡、引出し電極11A,13Aの酸化や断線は全く認められず、接合部材130と保護膜40との間に良好なる密着性を示した。また、気密性に関しても、ヘリウムガスを用いたリーク速度測定試験において、10-12トル・リットル/秒以下と非常に小さな値を示し、全く問題がなかった。
以下、図41の(A)〜(C)、及び、図42の(A)〜(C)を参照して、実施例5〜実施例8におけるスピント型電界放出素子の製造方法を説明するが、このスピント型電界放出素子は、基本的には、円錐形の電子放出部15を金属材料の垂直蒸着により形成する方法によって得ることができる。即ち、ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aに対して蒸着粒子は垂直に入射するが、第1開口部14Aの開口端付近に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮蔽効果を利用して、第2開口部14Bの底部に到達する蒸着粒子の量を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放出部15を自己整合的に形成する。ここでは、不要なオーバーハング状の堆積物の除去を容易とするために、ゲート電極13及び絶縁層12上に剥離層70を予め形成しておく方法について説明する。尚、電界放出素子の製造方法を説明するための図41の(A)〜(C)、及び、図42の(A)〜(C)、あるいは、後述する図43においては、1つの電子放出部のみを図示した。従って、第1開口部14Aと絶縁膜16、絶縁膜開口部17の位置関係等が、図37に示した関係と若干相違している。
[工程−A]
先ず、例えばガラス基板から成る支持体10の上に、例えばポリシリコンから成るカソード電極用導電材料層をプラズマCVD法にて成膜した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングして、帯状のカソード電極11を形成する。その後、全面にSiO2から成る絶縁層12をCVD法にて形成する。
[工程−B]
次に、絶縁層12上に、ゲート電極用導電材料層(例えば、クロム層)をスパッタリング法にて成膜し、次いで、ゲート電極用導電材料層をリソグラフィ技術及びドライエッチング技術にてパターニングすることによって、クロム(Cr)から成り、帯状のゲート電極13を得ることができる。帯状のカソード電極11は、図面の紙面左右方向に延び、帯状のゲート電極13は、図面の紙面垂直方向に延びている。
ゲート電極13を、真空蒸着法等のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メッキ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レーザアブレーション法、ゾル−ゲル法、リフトオフ法等の公知の薄膜形成と、必要に応じてエッチング技術との組合せによって形成してもよい。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状のゲート電極を形成することが可能である。
[工程−C]
その後、再びレジスト層を形成し、エッチングによってゲート電極13に第1開口部14Aを形成し、更に、絶縁層に第2開口部14Bを形成し、第2開口部14Bの底部にカソード電極11を露出させた後、レジスト層を除去する。こうして、図41の(A)に示す構造を得ることができる。
[工程−D]
次いで、全面に、Si3N4から成る絶縁膜16を形成した後、カソード電極11とゲート電極13の重複領域の上方に位置する絶縁膜16の部分を選択的に除去し、絶縁膜16に絶縁膜開口部17を形成する(図41の(B)参照)。
[工程−E]
次に、支持体10を回転させながら絶縁膜16上(更には、露出しているゲート電極13上)にニッケル(Ni)を斜め真空蒸着することにより、剥離層70を形成する(図41の(C)参照)。このとき、支持体10の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択することにより(例えば、入射角65度〜85度)、第2開口部14Bの底部にニッケルを殆ど堆積させることなく、絶縁膜16上(更には、露出しているゲート電極13上)に剥離層70を形成することができる。剥離層70は、第1開口部14Aの開口端から庇状に張り出しており、これによって第1開口部14Aが実質的に縮径される。
[工程−F]
次に、全面に例えば導電材料としてモリブデン(Mo)を垂直蒸着する(入射角3度〜10度)。このとき、図42の(A)に示すように、剥離層70上でオーバーハング形状を有する導電材料層71が成長するに伴い、第1開口部14Aの実質的な直径が次第に縮小されるので、第2開口部14Bの底部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に第1開口部14Aの中央付近を通過するものに限られるようになる。その結果、第2開口部14Bの底部には円錐形の堆積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部15となる。
[工程−G]
その後、図42の(B)に示すように、リフトオフ法にて剥離層70を絶縁膜16(更には、露出しているゲート電極13)から剥離し、絶縁膜16(更には、露出しているゲート電極13)の上方の導電材料層71を選択的に除去する。次いで、絶縁層12に設けられた第2開口部14Bの側壁面を等方的なエッチングによって後退させることが(図42の(C)参照)、ゲート電極13の開口端部を露出させるといった観点から、好ましい。尚、等方的なエッチングは、ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エッチング種として利用するドライエッチング、あるいはエッチング液を利用するウェットエッチングにより行うことができる。エッチング液としては、例えば49%フッ酸水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いることができる。こうして、スピント型電界放出素子を得ることができる。
[工程−D]を省略すれば、実施例1〜実施例4におけるスピント型電界放出素子を製造することができる。
電界放出素子において、絶縁膜16の上に更に層間絶縁層18を設け、層間絶縁層18上に収束電極19を設けてもよい。このような構造を有する電界放出素子の模式的な一部端面図を図43に示す。層間絶縁層18には、第1開口部14Aに連通した第3開口部14Cが設けられている。収束電極19の形成は、例えば、[工程−G]に引き続き、絶縁膜16上に層間絶縁層18を形成し、次いで、層間絶縁層18に第3開口部14Cを形成した後、斜め蒸着法に基づき、層間絶縁層18の上及び第3開口部14Cの側壁に導電材料層を形成することで、行うことができる。尚、図43においては、スピント型電界放出素子を図示したが、その他の電界放出素子とすることもできることは云うまでもない。
尚、感光性ポリイミド樹脂を用いて層間絶縁層18を形成する場合には、同時に、同じ材料を用いて、内側突起部41及び外側突起部42を形成することができる。
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、第1パネル、第2パネル、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。更には、表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。場合によっては、収束電極の形成を省略することもできる。
実施例においては、第1パネルを複数の冷陰極電界電子放出素子が形成されたカソードパネルCPから構成し、第2パネルをアノード電極及び蛍光体層が形成されたアノードパネルAPから構成したが、その代わりに、第1パネルをアノード電極及び蛍光体層が形成されたアノードパネルAPから構成し、第2パネルを複数の冷陰極電界電子放出素子が形成されたカソードパネルCPから構成してもよい。
塗布法にて絶縁膜上に保護膜材料を形成する際、保護膜を形成すべき部分にのみ保護膜を確実に形成することができるのならば、内側突起部41、外側突起部42、内側濡れ性制御層43、外側濡れ性制御層44の形成は不要な場合がある。例えば、高い粘度を有する塗布溶液を使用して印刷法に基づき保護層を形成すれば、内側突起部41、外側突起部42、内側濡れ性制御層43、外側濡れ性制御層44を形成すること無く、所望の絶縁膜の部分に保護膜を形成することができる。
また、電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層にかかる複数の第1開口部に連通した第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
平面型表示装置を、表面伝導型電子放出素子と通称される電子放出素子を備えた平面型表示装置とすることもできる。この表面伝導型電子放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In2O3)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の電極がマトリクス状に形成されて成る。それぞれの電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一対の電極の内の一方の電極に行方向配線が接続され、一対の電極の内の他方の電極に列方向配線が接続された構成を有する。一対の電極に電圧を印加することによって、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜から電子が放出される。係る電子をアノードパネル上の蛍光体層に衝突させることによって、蛍光体層が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。この場合、行方向配線の延在部、列方向配線の延在部が、引出し電極に相当する。あるいは又、平面型表示装置を、金属/絶縁材料膜/金属型素子を備えた平面型表示装置とすることもできる。
図1は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図2は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図3は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図4は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図5は、図3に引き続き、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図6は、図4に引き続き、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図7は、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図8は、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図9は、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図10は、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図11は、図9に引き続き、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図12は、図10に引き続き、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図13は、図11に引き続き、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図14は、図12に引き続き、実施例2の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図15は、実施例3の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図16は、実施例3の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図17は、実施例4の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図18は、実施例4の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図19は、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図20は、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図21は、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図22は、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図23は、図21に引き続き、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図24は、図22に引き続き、実施例5の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図25は、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図26は、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図27は、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図28は、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図29は、図27に引き続き、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図30は、図28に引き続き、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図31は、図29に引き続き、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図32は、図30に引き続き、実施例6の冷陰極電界電子放出表示装置の組立方法を説明するための第1パネルの模式的な一部端面図であり、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図33は、実施例7の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図34は、実施例7の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図35は、実施例8の冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図36は、実施例8の冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図37は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する従来の冷陰極電界電子放出表示装置から成る平面型表示装置の概念的な一部端面図である。
図38は、扁平型冷陰極電界電子放出素子を有する従来の冷陰極電界電子放出表示装置から成る平面型表示装置の概念的な一部端面図である。
図39は、冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソードパネルとアノードパネルの一部分の模式的な分解斜視図である。
図40の(A)は、電子放出領域をアノードパネル側から眺めたときの、電子放出領域を構成する構成要素の配置状態を模式的に示す図であり、図40の(B)は、第1パネル(カソードパネル)における有効領域、無効領域、カソード電極、ゲート電極、引出し電極の配置を模式的に示す図である。
図41の(A)、(B)及び(C)は、スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
図42の(A)、(B)及び(C)は、図41の(C)に引き続き、スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
図43は、収束電極を有するスピント型冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
図44は、冷陰極電界電子放出表示装置における、第2の方向(Y方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
図45は、冷陰極電界電子放出表示装置における、第1の方向(X方向)に沿った接合部材近傍の拡大した模式的な一部端面図である。
符号の説明
P1・・・第1パネル、P2・・・第2パネル、EF1・・・第1パネル有効領域、EF2・・・第2パネル有効領域、NE1・・・第1パネル無効領域、NE2・・・第2パネル無効領域、CP・・・カソードパネル(第2パネル)、AP・・・アノードパネル(第1パネル)、EA・・・電子放出領域、10・・・支持体、11・・・カソード電極、11A・・・引出し電極(カソード電極の延在部)、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、13A・・・引出し電極(ゲート電極の延在部)、14・・・開口部、14A・・・第1開口部、14B・・・第2開口部、14C・・・第3開口部、15,15A・・・電子放出部、16・・・絶縁膜、17・・・絶縁膜開口部、18・・・層間絶縁層、19・・・収束電極、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体層、23・・・光吸収層(ブラックマトリックス)、24・・・アノード電極、30,130・・・接合部材、31・・・枠体、32・・・第1フリットガラス層、33・・・第2フリットガラス層、41・・・第1の保護膜幅規定部(内側突起部)、42・・・第2の保護膜幅規定部(外側突起部)、43・・・第1の保護膜幅規定部(内側濡れ性制御層)、44・・・第2の保護膜幅規定部(外側濡れ性制御層)、45・・・濡れ性制御膜、50・・・ディスペンサー、61・・・カソード電極制御回路、62・・・ゲート電極制御回路、63・・・アノード電極制御回路、70・・・剥離層、71・・・導電材料層