JP4429790B2 - ウォークイン装置付の車両用シート - Google Patents

Description

本発明はウォークイン装置付の自動車用シートなどの車両用シートに関する。

従来のウォークイン装置には、例えば、特開平１１ー３０１３１８号公報に示すように、シートをウォークイン後にスライドレールのアンロック状態が保持され、シートを所定位置に後進させた際に前記アンロック状態を解除してスライドレールをロックするものが開示されている。

特開平１１ー３０１３１８号公報

前記ウォークイン装置はシートバックを前傾又は前倒してシートを前方に移動させた状態（ウォークイン後の状態）で、シートバックを起立させてもスライドレールのアンロック状態（ロック解除状態）を保持できる。そのため、シートバックを起立状態で後進できるので、シートの移動が容易になる利点がある。

ところが、ウォークイン装置を構成する構成部品の大部分はスライドレールのアッパーレール側に配設し、このアッパーレール側に配設した構成部品は、アッパーレールに一体に締結するシート側のウォークイン装置の構成部品と、リンク、ロッド、レバーなどによって一体に連結されている。

従って、ウォークイン装置はシートに、このシートの前後移動用スライドレールを一体に組付けた後に、シート側及びスライドレール側に取付けている。

そのため、ウォークイン装置のシート及びスライドレールに対する組付、車両への組付など、組付性が悪いばかりか、運搬、保管に工数を要する不具合があった。

そこで、本発明は斯様な従来品の不具合を除去することを目的とする。

以上の目的を達成するための本発明に係るウォークイン装置付の車両用シートは、
シートのウォークイン後にスライドレールのアンロック状態が保持され、シートを所定位置に後進させた際に前記アンロック状態を解除するウォークイン装置付の車両用シートにおいて、
上記ウォークイン装置が、シートバックの前傾に連動して回動されるウォークインレバーと、このウォークインレバーの作動窓に挿入された作動ピンを有し、この作動窓内における作動ピンの係合によりウォークインレバーをアンロック状態に保持するアンロック保持片と、アンロック保持片のスライドピンが挿通される長孔を有し、その回動により、アンロック保持片を前記作動窓に対する係合解除方向に揺動させる作動レバーと、シートを所定位置に後進させた際における回転により、作動レバーをアンロック保持片の係合解除方向に強制的に回動させるメモリープレートと、を備えてなり、
上記ウォークインレバー、アンロック保持片および作動レバーが、シートのベースプレートに対する組み付けにより、シート側において連動可能に構成されるのに対し、上記メモリープレートは、上記作動レバーから分離され、作動レバーとの係合を可能とする位置でスライドレールのアッパーレールに組み付けられたことを特徴とするものである。

以上の構成により、シートとスライドレールとを一体に締結する前に、各々にウォークイン装置を組付けることができる。

そして、車両にスライドレールを取付前又は後に、ウォークイン装置を備えたスライドレールにシートを一体に締結できる。

本発明によれば、シートにスライドレールを締結する前に、シート側及びスライドレール側にウォークイン装置を構成する構成部品を組付けできるため、ウォークイン装置のシート及びスライドレールに対する組付性が向上する。

ウォークイン装置の構成部品を組付後、シートとスライドレールを各々別個に保管、運搬できるので、保管、運搬性も良好となる。

以下、本発明の一実施例を図面を基に説明する。

図１はウォークイン装置をシート側であるベースプレート１とスライドレール２に組付けた状態を示す。
ベースプレート１にはシートクッションＳＣが支軸１０１を回転中心に跳上げ可能に、またシートバックＳＢがリクライニング装置Ｒを介して傾動可能に取付けられている。

スライドレール２は車体側に固定し底面に等間隔のロック孔を長手方向に開孔したロアレール２１と、このロアレール２１にスライド自在に支持するアッパーレール２２とから構成されている従来周知のスライドレールである。

このスライドレール２に、アッパーレール２２をロアレール２１にロックするロック機構が設けてあり、このロック機構は従来周知のロック片８１、揺動片８０、ロック孔などにより構成されているものである。

以上のアッパーレール２２には、下端のロック爪８１Ａが前記ロック孔に挿入するロック片８１が上下方向にスライド自在に設けてあり、このロック片８１の上端８１Ｂにはアッパーレール２１に回転自在に長手方向の略中央を軸着した揺動片８０の一端が連結され、揺動片８０の他端８０Ａは後述するベースプレート１側に設けた押圧片８２が上方より押圧するように当接するように配設される。

なお、このスライドレール２のアッパーレール２２は、全長が短く剥離荷重に対応できるように、図４に示すようにロアレール２１に係合する構造に形成されている。

そして、前記ロック片８１、揺動片８０は、スライドレール２の内側に配設し、外側には図４に示すように、揺動片８０と同軸７Ａにウォークイン装置を構成するメモリープレート７が回転自在且つ略起立状にバネ（不図示）の弾力によって保持され、後述するように、ウォークイン装置を構成する作動レバー６との係合を可能とする位置でスライドレールのアッパーレール２１に組み付けられている。

また、メモリープレート７の下端はロアレール２１内に挿入し、ロアレール２１の後部側底面に設けた突起２７に突き当たるように、また、上端はアッパーレール２２上に突出するように構成されている。

一方、ベースプレート１には、図２、図３に示すように、ウォークイン装置を構成する他の構成部品であるウォークインレバー４、ロック機構作動用の回動片４５、連結ロッド４４、アンロック保持片５、作動レバー６などが取付けられている。

ウォークインレバー４、アンロック保持片５、作動レバー６は、図７に示すような形状に形成されている。

ウォークインレバー４はシートバックＳＢのアーム３の回転中心である枢軸３Ａを回転中心に前後方向に回動可能に軸着され、上端にアーム３と一体の作動片３０が突き当たるように配設され、下部に逆Ｌ字状の作動窓４０が、また、下端には長孔４１が各々開孔されて、バネ４７の弾力により、図１の時計方向に付勢されているため、常に、上端が作動片３０に当接している。

アンロック保持片５はその通孔５０にピン５Ａが挿入し、ベースプレート１にピン５Ａを中心に回転自在且つバネ５１の弾力で時計方向に付勢され、前記ウォークインレバー４の作動窓４０内に挿入する作動ピン５４が外側に突設され、内側には作動レバー６に設けた長孔６５内に挿入するスライドピン５６が設けてある。従って、図６に示すように、作動レバー６はアンロック保持片５を作動窓４０に対する係合解除方向に揺動させる。

作動レバー６は通孔６０に挿通したピン６Ａにより回転自在にベースプレート１に枢着し、下端には前記メモリープレート７の上端が突き当たるローラ６７が取付けられている。

そして、ベースプレート１の前部の外側にはロック機構作動用の回動片４５の一端が支軸４６に固着され、この回動片４５の他端に連結ロッド４４が取付けられ、連結ロッド４４の他端はウォークインレバー４の長孔４１内にスライド自在に係合している。

回動片４５の支軸４６はベースプレート１に回転自在に挿通し、回動片４５の反対側であるベースプレート１の内側には支軸４６と一体のアーム８３が設けてあり、このアーム８３に当接するように押圧片８２がピン８２Ａでベースプレート１に回転自在に設けてある。

この押圧片８２はその一端が前記揺動片８２の他端８２Ａに当接して揺動片８２の他端８０Ａを下方に押圧するように配設されている。

そして、アッパーレール２２とベースプレート１に設けた締結孔２３、２３、１２、１２に締結部材２Ａを挿入してその両者を一体に締結することにより、ウォークイン装置を備えた自動車用シートが組付けられる。

次に、図示するウォークイン装置の動作を説明する。
図５はスライドレール２のロック状態、図６はウォークイン後の状態で、スライドレール２のアンロック状態を各々示す。

スライドレール２のロック状態においては、アッパーレール２２側に設けたロック片８１のロック爪８１Ａが、バネ（不図示）の弾力によってロアレール２１のロック孔に挿入して係止している。
ところが、この状態はウォークイン装置によって解除され、シートが前進可能となる。

即ち、シートバックＳＢを前傾させると作動片３０がウォークインレバー４を回動させるため、連結ロッド４４が引張られて回動片４５を図５の反時計方向に回転させる。これにより、回動片４５が回転してこの回動片４５と一体のアーム８３が同方向に回転して、アーム８３が当接する押圧片８２を時計方向に回転する。
そのため、押圧片８２が揺動片８０の他端８０Ａを下方に押圧するため、揺動片８０の一端８０Ｂが上方に移動してその一端に連結するロック片８１を持ち上げてロック爪８１Ａをロック孔から脱出する。これにより、スライドレール２のロックが解除され、アンロック状態である図６に示す状態となる。

そして、この状態において、前傾状態のシートバックＳＢを起立状態にしても、アンロック状態は保持される。
即ち、図６の状態において、アンロック保持片５の作動ピン５４がウォークインレバー４の作動窓４０における最下端位置に移動するために、連結ロッド４４の引張り状態は保持される。従って、ウォークインレバー４の作動窓４０内における作動ピン５４の係合によりウォークインレバー４の回動を防止するため、アンロック状態は保持される。

このアンロック状態またはウォークインの前後において、シートクッションＳＣを図６に示すように跳上げることにより、シートの前後方向の幅を狭めることができ、その後方スペースを拡大できる。

次に、シートを所定位置まで後進させると、ロアレール２１の突起２７にメモリープレート７の下端が突き当たる。これにより、メモリープレート７は起立状態からその上端が時計方向に回転して作動レバー６のローラ６７を後方に押圧する。

これにより、作動レバー６は反時計方向に回動してアンロック保持片５を上方に移動するため、ウォークインレバー４の下部は時計方向に回転して、アンロック保持片５の作動ピン５４は図５に示す位置になる。つまり、メモリープレート７は、回転により、作動レバー６をアンロック保持片５の係合解除方向に強制的に回動させる。

そのため、連結ロッド４４の引張り状態は解除されるため、ロック片８１のロック爪８１がロアレール２１のロック孔に係合してロックされる。つまり、アンロック状態は解除される。
この状態がシートに着座可能状態であり、この状態でスライドレール２のロック状態を解除してシートの前後位置を調節したり、リクライニング装置ＲによってシートバックＳＢを後傾したりすることが可能となる。

なお、本発明はスライドレール２のアッパーレール２２をシート側であるベースプレート１に締結する前に、各々にウォークイン装置を構成する構成部品を組付け、ベースプレート１にアッパーレール２２を締結することにより、ウォークイン装置が作動するものであれば、図示するウォークイン装置に限定されるものでない。

スライドレールをシートに組付ける前の状態を示す要部の側面図である。 図１のIIーII線断面図である。 図１のIIIーIII線断面図である。 図１のIVーIV線断面図である。 スライドレールのロック状態を示す側面図である。 スライドレールのアンロック状態を示す側面図である。 本発明に使用するウォークイン装置の構成部品の一例を示す斜視図である。

１…ベースプレート、２…スライドレール、２１…スライドレールのロアレール、２２…スライドレールのアッパーレール、４…ウォークインレバー、５…アンロック保持片、６…作動レバー、７…メモリープレート

Claims (1)

1. シートのウォークイン後にスライドレールのアンロック状態が保持され、シートを所定位置に後進させた際に前記アンロック状態を解除するウォークイン装置付の車両用シートにおいて、
   上記ウォークイン装置が、シートバックの前傾に連動して回動されるウォークインレバーと、このウォークインレバーの作動窓に挿入された作動ピンを有し、この作動窓内における作動ピンの係合によりウォークインレバーをアンロック状態に保持するアンロック保持片と、アンロック保持片のスライドピンが挿通される長孔を有し、その回動により、アンロック保持片を前記作動窓に対する係合解除方向に揺動させる作動レバーと、シートを所定位置に後進させた際における回転により、作動レバーをアンロック保持片の係合解除方向に強制的に回動させるメモリープレートと、を備えてなり、
   上記ウォークインレバー、アンロック保持片および作動レバーが、シートのベースプレートに対する組み付けにより、シート側において連動可能に構成されるのに対し、上記メモリープレートは、上記作動レバーから分離され、作動レバーとの係合を可能とする位置でスライドレールのアッパーレールに組み付けられたことを特徴とするウォークイン装置付の車両用シート。
   
   

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