JP4428776B2 - 鋼材用吊りクランプ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の梁や柱等に使用される構造用鋼材の吊り上げ、移動、反転等の作業に用いられる鋼材用吊りクランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来H形鋼等の鋼材を吊り上げるには、ワイヤロープを直接鋼材に巻き掛けてクレーン等で吊り上げる作業がなされていた。この方法は簡便ではあるが、吊り上げた際に鋼材が傾き、または揺れ動いて不安定状態となり、鋼材の落下等の危険を伴うという問題を有していた。
【0003】
したがって、側方に略U字形の開口部を有するクランプを用い、この開口部に鋼材の端部を挿入した状態で下方の旋回顎と上方の歯板との間に挟持して鋼材を吊り上げることが一般に行われてきた。このクランプの機構は吊荷重が増大するに従い倍力作用によってクランプ力が増大するため、吊り上げ時に旋回顎や歯板が鋼材に食い込んで落下を防止することができるが、反面、鋼材にクランプ傷跡が顕著に残存することを避けられず、この傷が構造強度を低下させて脆性破壊の遠因となることが懸念されると共に、所定場所に吊り下ろした後にこの傷跡の補修作業が必要となり、作業効率を低下させるという問題があった。
【0004】
そこで、特許第2936221号公報に記載されるように、略コの字形のクランプ本体の下面側凹部に鋼材のフランジを収容した状態で、本体の両端に回動自在に軸支した一対の略L字形の受け爪を鋼材フランジの裏面に係止させ、該位置で受け爪を止めピンにて回動不能に止着するようにしたクランプが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術のクランプでは、受け爪を鋼材のフランジ底面に係止させる際に該受け爪を回動させた後、止めピンをピン穴に合わせて挿入して該受け爪を係止位置に保持する作業が必要となるが、これらの作業はいずれも手動操作で行わなければならず、面倒であると共に危険を伴う作業となっていた。
【0006】
また、鋼材のフランジ幅は鋼材寸法によって多種多様に異なっているが、上記従来技術のクランプは一定のフランジ幅を有する鋼材の吊り上げに使用される専用品であって汎用性がなく、異なるフランジ幅の鋼材に対して各々適合する寸法のクランプを用意しなければならず、作業に不便であると共にコスト面での不利を伴うものであった。
【0007】
また、鋼材には切断、穴開け、溶接、組立、塗装等の各種加工が施されるため、各々の場合において鋼材を反転させる必要があるが、上記従来技術のクランプによると、各々の加工作業の際にワイヤロープの巻き掛けを解いて巻き直す作業が必要となり、作業性が悪く扱いにくいものであった。
【0008】
さらに、上記従来技術によるクランプは、鋼材のフランジをクランプ本体の下面側凹部と一対の受け爪とで包囲するように支持するにすぎず、鋼材の横滑りの問題に対する解決手段を備えていない。長尺体であるH形鋼等の鋼材の吊り上げには一般に2個のクランプが用いられ、これらクランプを各々ワイヤロープの先端に連結して、クレーン等でワイヤロープを吊り上げている。吊り上げにより2本のワイヤロープが張った時点でクランプに対して互いに近づく方向に移動させようとする力が働くため、上記従来技術のクランプを使用した場合、クランプに横滑りが生じ、バランスを崩して鋼材が落下する危険があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、安全性および作業性に優れると共にクランプ傷を残さない新規な構成の鋼材用吊りクランプを提供することを目的とする。
【0010】
この目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、本体板と、該本体板の両端部において回動自在に軸支される一対の吊金具とからなる鋼材用吊りクランプにおいて、本体板の下部には、少なくとも一対の支持ピン穴が両端部に設けられると共に、各支持ピン穴に対応してその内側に係止孔が設けられ、一方、各吊金具は、上記支持ピン穴嵌合される支持ピンにより本体板に回動自在に軸支されると共に上記係止孔に抜き差し可能な位置決めピンにより本体板に対して閉じた状態で回動不能に止着され、その内方には鋼材のフランジ上面と干渉する突起部と鋼材のフランジ下面を支持する爪部とが設けられており、一対の吊金具が上記支持ピンのみで本体板に回動自在に軸支されている開いた状態でこのクランプを吊り降ろしたときに、上記突起部が鋼材のフランジ上面に干渉して上記支持ピンを中心として一対の吊金具が互いに閉じる方向に回動し、それらの爪部が自動的に鋼材のフランジ下面に回り込んで吊金具の突起部と爪部との間に鋼材のフランジを挟み込むように構成され、これによって閉じた状態とされた吊金具が上記位置決めピンで本体板に固定されることを特徴とする。
【0011】
請求項2は、請求項1記載の鋼材吊りクランプにおいて、上記支持ピン穴および係止孔が本体板に複数対設けられて、吊金具の軸支位置を鋼材のフランジ幅に合わせて変更可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項3は、請求項1または2記載の鋼材用吊りクランプにおいて、上記支持ピンが小判形断面形状を有しており、上記支持ピン穴が両端に該小判形断面形状の支持ピンが回動可能な略円形部を有する長穴であることを特徴とする。
【0013】
請求項4は、請求項1または2記載の鋼材用吊りクランプにおいて、上記支持ピンが円形断面形状を有しており、上記支持ピン穴が該円形断面形状の支持ピンを嵌合可能な複数の丸穴であることを特徴とする。
【0014】
請求項5は、請求項1ないし4のいずれか記載の鋼材用吊りクランプにおいて、上記本体板の少なくとも片面に本体板と略直交方向に回動自在にハンドカムが軸支され、鋼材のフランジ上面をハンドカムで締め付けることによってクランプの横滑りを防止することを特徴とする。
【0015】
請求項6は、請求項1ないし4のいずれか記載の鋼材用吊りクランプにおいて、上記本体板の両面から本体板と略直交方向に延長する吊腕部が固着され、吊り上げ時にクランプが鋼材に対して傾くことにより吊腕部の先端が梃子となって鋼材のフランジ上面を押さえつけることによってクランプの横滑りを防止することを特徴とする。
【0016】
請求項7は、請求項6記載の鋼材用吊りクランプにおいて、上記吊腕部の両端に吊り具を脱着可能な吊孔が設けられることを特徴とする。
【0017】
請求項8は、請求項1ないし4のいずれか記載の鋼材用吊りクランプにおいて、上記本体板に対して略直交方向に延長する押さえカムが本体板の中央に回動自在に軸支され、該押さえカムの両端に設けられた吊孔のいずれか一方に吊り具をセットして吊り上げたときにクランプが鋼材に対して傾くことにより該押さえカムの他方の吊孔側の先端が梃子となって鋼材のフランジ上面を押さえつけることによってクランプの横滑りを防止することを特徴とする。
【0018】
請求項9は、請求項8記載の鋼材用吊りクランプにおいて、上記押さえカムが両端を下向きに折曲した略コの字形を有しており、本体板の上部で回動自在に軸支されていることを特徴とする。
【0019】
請求項10は、請求項1ないし9のいずれか記載の鋼材用吊りクランプを一対で使用し、これらを所定長さの連結棒の両端に回動自在に連結してなることを特徴とする鋼材用吊りクランプである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態としての鋼材用吊りクランプ(以下単にクランプと略称する)について説明する。
【0021】
クランプ1は、図3に示すように、クレーン等で吊り上げられるワイヤロープスリング2の下端に吊環3を介して着脱自在に連結され、H形鋼4等の構造用鋼材の吊り上げ、移動、反転等の作業に使用されるものである。
【0022】
このクランプ1は、本体板10と、その両端部において各々回動自在に軸支された一対のコの字形の吊金具12,12とを有して構成されている。本体板10の上部には吊環3を着脱するための吊孔が設けられており、鋼材の吊り上げや移動時に使用される中央の吊孔11aと、鋼材の反転時に使用される左右一対の吊孔11b,11bを有している。
【0023】
各吊金具12は図5に示すように一対の側板12c,12cを連結体12d(図2)で連結して一体化されてなり、その下部先端にはH形鋼4のフランジ下面を支持する先端爪部12aが設けられ、該先端爪部12aと対向する位置にH形鋼4のフランジ上面と干渉する突起部12bが設けられている。また、吊金具12の上部においては、先端爪部12aおよび突起部12bに対応する一端に後述する抜き差しピン17を挿入可能な係止孔16が設けられると共に、上部他端には後述する小判形断面形状の支持ピン13に対応した形状の小判形孔18が設けられている。
【0024】
一方、本体板10の両側には一対の長穴14,14が設けられると共に、これら長穴と略整列した位置に複数の係止孔15,15・・・が設けられている(図4参照)。そして、吊金具12,12は、長穴14,14のいずれかの略円形状端部に嵌合された小判形断面形状の支持ピン13,13で回動自在に軸支され、該支持ピンの嵌合位置に対応した位置の係止孔15,15に吊金具12,12の係止孔16,16を合わせて位置決め用の抜き差しピン17,17を挿入することによって閉じた状態(図1)に固定される。
【0025】
なお、図1では右側の吊金具12については支持ピン13を長穴14の外方端部に嵌合した位置で軸支すると共に左側の吊金具12については支持ピン13を長穴14の内方端部に嵌合した位置で軸支した状態が示されているが、これはクランプ1の一つの使用形態を示すにすぎない。図1の状態から、左側の吊金具12について支持ピン13を長穴14の外方端部に移動させた位置で軸支することにより、図1の場合よりもフランジ幅の広い鋼材の吊り上げに用いることができる。また、図1の状態から、右側の吊金具12について支持ピン13を長穴14の内方端部に移動させた位置で軸支する(図3参照)ことにより、図1の場合よりもフランジ幅の狭い鋼材の吊り上げに用いることができる。すなわち、長穴14,14に対する支持ピン13,13の嵌合位置を変えることによって、この構成例によれば3種類のフランジ幅を持つ鋼材の吊り上げに兼用することが可能である。支持ピン13,13が取り得る位置を多くし、それに対応して係止孔15の数を増やせば、より多くの種類のフランジ幅を持つ鋼材の吊り上げに兼用可能なクランプとなる。
【0026】
以下図3を参照してクランプ1によるH形鋼4の吊り上げ作業について説明すると、図3(A)はクレーンにワイヤロープスリング2と吊環3とで吊り下げられたクランプ1をH形鋼4のフランジの上方に位置させた状態を示す。この状態からクレーンでクランプ1を巻き下げると、吊金具12,12の突起部12bがH形鋼4のフランジ上面と干渉し(図3(B))、さらにクレーンを巻き下げると吊金具12,12が互いに閉じる方向に回動して、それらの先端爪部12a,12aは自動的にH形鋼4のフランジ下面側に回り込んでゆく(図3(C))。図3(D)はこのようにして吊金具12,12の先端爪部12a,12aが完全にH形鋼4のフランジに嵌まり込んだ状態であり、このときに吊金具12,12の係止孔16,16は支持ピン13,13の嵌合位置に対応する位置にある本体板10の係止孔15,15と整列しており、これらに抜き差しピン17,17を挿入することによって吊金具12,12を閉じた状態に位置決め固定する。
【0027】
図3(D)の状態でクレーンを巻き上げることによりH形鋼4を吊り上げることができる。吊金具12,12の先端爪部12a,12aは幅広であってフランジ下面に対して比較的広い面で当接するため、吊り上げ時にH形鋼4に傷跡を残存させない。
【0028】
前述のように、このクランプ1では左右の吊金具12,12をそれぞれ異なる2つの位置で軸支することが可能であり、その軸支位置を変えることによってフランジ幅の異なるH形鋼4の吊り上げに兼用可能としている。小判形断面形状の支持ピン13を長穴14内の一方の嵌合位置から他方の嵌合位置に移動させる場合の手順が図6に示されている。すなわち、一例として右側の吊金具12についてその軸支位置を外方位置から内方位置に移動させるには、吊金具12を図6(A)の位置から開く方向に回動させて図6(B)の位置とする。これによって小判形断面形状の支持ピン13が水平状態となり、長穴14内をスライド可能となるので、吊金具12の回転角度をこのまま維持しながら支持ピン13を内方(図において左方向)に移動させる。支持ピン13が長穴14の内方端部に到達する(図6(C))と、該位置の支持ピン13を中心として吊金具12は回動自在となって(図6(D))、図3を参照して既述した要領にてH形鋼4の吊り上げに用いることができる。この構成によれば、支持ピン13を装着したままで長穴14内を移動させることができるため、簡便な作業で吊り上げるH形鋼4のフランジ幅の変更に対応させることができる。
【0029】
ところで、図3(D)のようにしてクランプ1をH形鋼4のフランジにセットしてクレーンで吊り上げた場合、H形鋼4のフランジ下面が吊金具12,12の先端爪部12a,12aによって支持されるため、突起部12b,12とフランジ上面との間には隙間Sが生ずる(図7参照)。長尺のH形鋼を吊り上げるときはクランプ1を2個使って2点吊りを行うため、クレーン吊り上げに伴ってワイヤロープスリング2が張った時点で2個のクランプ1,1が互いに近づく方向に横滑りしようとする状況となる(図8参照)。
【0030】
そこで、クランプ1には横滑り防止手段を設けることが好ましく、その一例が図9に示されている。図9の横滑り防止手段は、本体板10の片面に延設した支持部19の軸支孔(符号なし)に回動自在に軸支されたハンドカム20として構成されており、吊金具12をH形鋼4のフランジにセットした(図3(D))後にハンドカム20を仮想線位置から実線位置に手動で倒すことによって、クランプ1をH形鋼4に対して固定するものである。これによってワイヤロープスリング2が張ったときにクランプ1,1同士が近づく方向に横滑りすることを防止し、安全な吊り上げ作業を確保することができる(図10参照)。
【0031】
図11〜図13は横滑り防止手段についての別の構成例を示し、本体板10の両側においてその中心線上に直交させて一対の吊腕部22,22を固定したものである。クランプ本体10の中央吊孔21に吊環3をセットして吊り上げてワイヤロープスリング2が張ると、図12に示すようにクランプ1全体が傾き、内側の吊腕部22の先端が梃子となってH形鋼4のフランジ面を抑える。
【0032】
すなわち、このときのクランプ1の傾きをα1とし、吊角度をβ1とすると、クランプ1と吊環3との間の角度θ1はθ1=β1−α1となり、クランプ1と吊腕部22にはθ1に相当するコジ力P1,R1が発生してH形鋼4のフランジ面を上下両面側から挟持するため、クランプ1の横滑りを防止することができる。
【0033】
吊腕部22,22の先端には吊環3を着脱するための吊孔22a,22aを設けることができる。そして、その一方の吊孔22aに吊環3をセットして吊り上げると、ワイヤロープスリング2が張ったときに図13に示すようにクランプ全体が傾き、同様に内側の吊腕部22の先端が梃子となってH形鋼4のフランジ面を押さえることができる。
【0034】
この場合のコジ力P2,R2は、クランプ1の傾きをα2、吊角度をβ2としたときのクランプ1と吊環3との間の角度θ2=β2−α2に相当し、図12の場合と同様にH形鋼4のフランジ面を上下両面側から挟持して、クランプ1の横滑りを防止することができる。
【0035】
一般に、中央吊孔21を使用した図12の場合よりも吊腕部先端の吊孔22aを使用した図13の場合の方が吊角度は大きくなり(β2>β1)、一方クランプ1の傾きは吊腕部の長さが一定であれば図12の場合も図13の場合もクランプ1の傾きは一定である(α1=α2)から、一般にθ2>θ1となり、図13の場合の方が大きな横滑り防止効果が得られる。しかしながら、吊腕部を長くすることにより、中央吊孔21を使用した場合(図12)でも十分な横滑り防止効果を得ることができる。したがって吊腕部22,22の先端に吊孔22a,22aを設けることは本発明において必須ではない。
【0036】
図14および図15は本発明のクランプに付設される横滑り防止手段についてのさらに別の構成例を示し、本体板10の両側にその中心線上に直交する押さえカム23をピン24で回動自在に軸支したものである。押さえカム23の両側には吊環3を着脱するための吊孔23a,23aが設けられ、その一方(外方)の吊孔23aに吊環3をセットして吊り上げると、押さえカム23の反対側(内方)でH形鋼4のフランジ上面を押さえることができ、クランプ1の横滑りを防止する。
【0037】
押さえカム23の形状は必ずしも細長の棒状でなくてもよく、図16および図17に示されるように両端部が下向きに折曲された略コの字形の押さえカム25を本体板10の上部にピン26で回動自在に軸支してもよい。押さえカム25の両側には吊環3を着脱するための吊孔25a,25aが設けられ、その一方(外方)の吊孔25aに吊環3をセットして吊り上げると、押さえカム25の反対側(内方)でH形鋼4のフランジ上面を押さえることができ、同様にクランプ1の横滑りを防止することができる。また、この場合にはクランプ1が大きな吊り角度(図12および図13における角度β1,β2参照)で吊り上げられたときであっても、ワイヤロープスリング2がクランプ本体板10と干渉することがない。
【0038】
図18に示される実施の形態は、長尺のH形鋼4を吊り上げる際にクランプ1,1を一対で使用し、各々のクランプ本体板10,10の相対する面に連結部27,27を設け、これらを連結棒28の両端に回動自在に連結したものである。この状態でH形鋼4を吊り上げると、連結棒28で連結された一対のクランプ1,1の間に一定間隔が確保されるため、クランプの横滑りを防止することができると共に、常に安定した状態で安全な吊り上げ作業を行うことができる。
【0039】
既述したクランプ1においては、本体板10の両端部に長穴14,14を設けて、各長穴14の略円形状両端部のいずれかに支持ピン13を嵌合させて吊金具12を回転自在に軸支するように構成されているが、長穴14に代えて、本体板10の両端部に各々一対の丸穴29,29を設け、そのいずれか一方に抜き差しピン(図示せず)を挿入することで吊金具12を軸支するようにしてもよく、このような構成であっても同様に3種類のフランジ幅に適合させることができる。異なるフランジ幅のH形鋼4を吊り上げようとするときは、抜き差しピンを一旦抜いた後に他方の丸穴29に挿入すればよい。この場合には、吊金具12側の係止孔は図5に示されるような小判形孔18ではなく、丸穴29に対応した円形の係止孔とされる。
【0040】
既述したように、クランプ本体板10には中央の吊孔11aだけでなく、左右一対の吊孔11b,11bが形成されているため、そのいずれかに吊環3をセットして吊り上げることによってH形鋼4の反転作業を行うことができる。
【0041】
以上に本発明のクランプの実施の形態を図面に基づいて詳述したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される範囲内において種々の変形態様をとることができる。たとえば本体板10は1枚構造のものとして説明したが、一対の本体板を一体的に連結した構造のものとしてもよく、この場合には一対の本体板の間に左右それぞれ一つの吊金具を回動自在に設けることができる。
【0042】
また、図示の構成例では3種類のフランジ幅に対応できるものとされているが、長穴14(図4)の中間部にも小判形支持ピン13が回動可能な膨大部を形成し、あるいは本体板の左右両端部に各々3個の丸穴29(図19)を設け、これに対応して係止孔15の位置および個数を変更することによって、計6種類のフランジ幅に対応させることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の鋼材用吊りクランプによれば、鋼材のセンターに合わせてクランプをクレーン等で巻き下げると自動的に吊金具が回動して鋼材のフランジを抱きかかえるようにセットされるため、手作業でのセットが不要となり、作業性および安全性に優れている。
【0044】
また、吊金具と位置決めピンの移動によって複数のフランジ幅の鋼材に対応することができるため、作業効率がよく、コストダウンが可能となる。
【0045】
また、本発明のクランプは吊り上げた後に鋼材に傷跡を残存させないためその後の補修作業が不要となる。
【0046】
さらに、横滑り防止手段を備えることによって吊り上げ時にクランプが鋼材に対して不動に固定され、クランプの横滑りが防止されるため、クランプから鋼材が脱落することがなく、安全な吊り上げ、移動、反転作業が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態による鋼材用吊りクランプを示す正面図である。
【図2】 このクランプの側面図である。
【図3】 このクランプを用いて行われるH形鋼の吊り上げ作業を時系列的に示す説明図である。
【図4】 このクランプの本体板を示す正面図である。
【図5】 このクランプの吊金具を示す斜視図である。
【図6】 このクランプにおいて吊金具の軸支位置を変更する作業を時系列的に示す説明図である。
【図7】 このクランプによりH形鋼を吊り上げた状態を示す正面図である。
【図8】 このクランプを2個用いて長尺のH形鋼を2点吊りしたときの状態を示す説明図である。
【図9】 このクランプに横滑り防止手段を付設した構成の一例を示す説明図である。
【図10】図9のクランプを2個用いて長尺のH形鋼を2点吊りしたときの状態を示す説明図である。
【図11】横滑り防止手段について別の構成例を採用したクランプによりH形鋼を吊り上げた状態を示す正面図である。
【図12】図11のクランプにおいて本体板中央の吊孔に吊環をセットして2点吊りしたときの状態を示す説明図である。
【図13】図11のクランプにおいて吊腕部の両端の吊孔の一方に吊環をセットして2点吊りしたときの状態を示す説明図である。
【図14】横滑り防止手段についてさらに別の構成例を採用したクランプによりH形鋼を吊り上げた状態を示す正面図である。
【図15】図14のクランプにおいて押さえカムの両端の吊孔の一方に吊環をセットして2点吊りしたときの状態を示す説明図である。
【図16】横滑り防止手段についてさらに別の構成例を採用したクランプによりH形鋼を吊り上げた状態を示す正面図である。
【図17】図16のクランプにおいて押さえカムの両端の吊孔の一方に吊環をセットして2点吊りしたときの状態を示す説明図である。
【図18】一対のクランプを連結棒で連結した実施形態により長尺H形鋼を2点吊りしたときの状態を示す説明図である。
【図19】長穴に代えて左右各々2個の丸穴を形成した変形例を示すクランプ本体板の正面図である。
【符号の説明】
1 鋼材用吊りクランプ
2 ワイヤロープスリング
3 吊環
10 本体板
11a 中央吊孔
11b 左右の吊孔
12 吊金具
12a 先端爪部
12b 突起部
13 支持ピン
14 長穴
15 係止孔
16 係止孔
17 抜き差しピン
18 小判形孔
20 ハンドカム
22 吊腕部
23 押さえカム
25 押さえカム
29 丸穴

Claims (10)

  1. 本体板と、該本体板の両端部において回動自在に軸支される一対の吊金具とからなる鋼材用吊りクランプにおいて、
    本体板の下部には、少なくとも一対の支持ピン穴が両端部に設けられると共に、各支持ピン穴に対応してその内側に係止孔が設けられ、
    一方、各吊金具は、上記支持ピン穴嵌合される支持ピンにより本体板に回動自在に軸支されると共に上記係止孔に抜き差し可能な位置決めピンにより本体板に対して閉じた状態で回動不能に止着され、その内方には鋼材のフランジ上面と干渉する突起部と鋼材のフランジ下面を支持する爪部とが設けられており、
    一対の吊金具が上記支持ピンのみで本体板に回動自在に軸支されている開いた状態でこのクランプを吊り降ろしたときに、上記突起部が鋼材のフランジ上面に干渉して上記支持ピンを中心として一対の吊金具が互いに閉じる方向に回動し、それらの爪部が自動的に鋼材のフランジ下面に回り込んで吊金具の突起部と爪部との間に鋼材のフランジを挟み込むように構成され、これによって閉じた状態とされた吊金具が上記位置決めピンで本体板に固定されることを特徴とする鋼材吊りクランプ。
  2. 上記支持ピン穴および係止孔が本体板に複数対設けられて、吊金具の軸支位置を鋼材のフランジ幅に合わせて変更可能であることを特徴とする請求項1記載の鋼材吊りクランプ。
  3. 上記支持ピンが小判形断面形状を有しており、上記支持ピン穴が両端に該小判形断面形状の支持ピンが回動可能な略円形部を有する長穴であることを特徴とする請求項1または2記載の鋼材用吊りクランプ。
  4. 上記支持ピンが円形断面形状を有しており、上記支持ピン穴が該円形断面形状の支持ピンを嵌合可能な複数の丸穴であることを特徴とする請求項1または2記載の鋼材用吊りクランプ。
  5. 上記本体板の少なくとも片面に本体板と略直交方向に回動自在にハンドカムが軸支され、鋼材のフランジ上面をハンドカムで締め付けることによってクランプの横滑りを防止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の鋼材用吊りクランプ。
  6. 上記本体板の両面から本体板と略直交方向に延長する吊腕部が固着され、吊り上げ時にクランプが鋼材に対して傾くことにより吊腕部の先端が梃子となって鋼材のフランジ上面を押さえつけることによってクランプの横滑りを防止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の鋼材用吊りクランプ。
  7. 上記吊腕部の両端に吊り具を脱着可能な吊孔が設けられることを特徴とする請求項6記載の鋼材用吊りクランプ。
  8. 上記本体板に対して略直交方向に延長する押さえカムが本体板の中央に回動自在に軸支され、該押さえカムの両端に設けられた吊孔のいずれか一方に吊り具をセットして吊り上げたときにクランプが鋼材に対して傾くことにより該押さえカムの他方の吊孔側の先端が梃子となって鋼材のフランジ上面を押さえつけることによってクランプの横滑りを防止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の鋼材用吊りクランプ。
  9. 上記押さえカムが両端を下向きに折曲した略コの字形を有しており、本体板の上部で回動自在に軸支されていることを特徴とする請求項8記載の鋼材用吊りクランプ。
  10. 請求項1ないし9のいずれか記載の鋼材用吊りクランプを一対で使用し、これらを所定長さの連結棒の両端に回動自在に連結してなることを特徴とする鋼材用吊りクランプ。
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