JP4428682B2 - アクリル酸製造用触媒の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、プロパンを気相接触酸化させてアクリル酸を製造する方法に用いられる金属酸化物触媒の製造方法の改良に関する。特に、この触媒の製造方法によって得られる触媒のアクリル酸収率を向上することを目的としてなす改良に関する。
【0002】
【従来技術】
アクリル酸は、従来、触媒の存在の下に、プロピレンと酸素とを接触反応させてアクロレインを製造し、さらに、これを酸素と接触反応させる二段酸化法を使用して製造されていた。しかし、近年、二段酸化法という不経済性を解消したいという理由と工程を簡素化したいという理由とにより、プロパンを出発原料とし、しかも、1段階でアクリル酸を製造する方法が検討されており、その製造方法に有効な触媒に関する提案が多数なされている。その代表例としては、〔V、P、Te〕系触媒[キャタリシス ツディー(Catalysis Today)、第13巻、第679頁(1992年)]、AgBiVMoO(特開平2−83348号公報)、BiMo12V5 Nb0.5 SbKOn (アメリカ合衆国特許第5198580号)、〔Mo、Te、V、Nb〕系(特開平6−279351号公報)、及び、〔Mo、Sb、V、Nb〕系(特開平9−316023号公報、特開平10−137585号公報)等が知られている。
【0003】
さらに、特開平10−230164号公報には、上記の特開平9−316023号公報または特開平10−137585号公報に開示されているアクリル酸製造用触媒の製造方法の改良として、水性溶媒中において、Mo+6の存在の下に、V+5とSb+3とを70℃以上の温度において反応させ、この反応期間中または終了後に、反応液中に分子状酸素または分子状酸素を含むガスを吹き込む第1工程と、この第1工程によって得られた反応混合物にNb化合物を加えて混合した後、これを焼成する第2工程とよりなる〔Mo、Sb、V、Nb〕系酸化物触媒の製造方法が開示されている。
【0004】
唯、上記の触媒では、目的生成物であるアクリル酸の収率が不十分であったり、また、触媒そのものゝ寿命が短いという欠点があった。例えば、前記の特開平6−279351号公報で提案されている〔Mo、Te、V、Nb〕系の触媒によれば、アクリル酸を高収率をもって得ることができるが、Teが蒸散し易いため触媒の活性が経時的に損なわれ易いという欠点があった。また、特開平9−316023号公報または特開平10−230164号公報に開示された〔Mo、Sb、V、Nb〕系触媒もアクリル酸の収率の面や触媒製造の再現性の面で改良の余地があり、さらに、これらの触媒を流動層反応用の触媒として使用する場合、触媒性能以外に耐摩耗性も要求されるが、その点でも改良の余地があった。
【0005】
そこで、本願の発明者等は、前記の特開平10−230164号公報に開示されたアクリル酸製造用の金属酸化物触媒の製造方法をさらに改良して、必須構成成分である金属化合物を、酸化剤(硝酸または硝酸アンモニウム水溶液または過酸化水素)の存在の下に湿式混合して、必須構成成分の金属酸化物を含む水性混合液を得て、この水性混合液またはその濃縮物を加熱・乾燥して、必須構成成分の酸化物を含む混合物を得て、さらに、これを焼成することゝして、耐摩耗性に優れ、しかも、アクリル酸収率が高い触媒が得られる、アクリル酸製造用触媒の製造方法を完成して、特許出願した(特開2000−254496号公報)。
【0006】
一方、マイクロ波を利用した触媒の製造方法として、プロピレンを原料とするアクロレイン及びアクリル酸製造用触媒である[Mo、Bi、Fe]系触媒の製造方法が開示されている(特開平11−57476号公報)。この製造方法においては、触媒成分を含む水性スラリーを乾燥処理した後焼成し、得られた焼成物を湿式賦形して得られる賦形体を、マイクロ波照射と熱風吹き付けとを併用して乾燥することにより、触媒が調製されることゝされている。
この製造方法によって製造される触媒は、本発明が目的とするプロパンを出発原料としてアクリル酸を製造する方法に使用され得る触媒ではない上、触媒の必須構成元素がMo、BiおよびFeであって、本発明が目的とする[Mo、Sb、Vと、NbまたはTa]系触媒とは必須構成元素を異にするものである。また、焼成物を湿式賦形して得られる賦形体にマイクロ波を照射することゝされているため、乾燥を均質に行い難く、触媒活性が必ずしも十分ではないという欠点もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、プロパンを原料としてアクリル酸を製造する方法に使用され得る触媒として、触媒活性が高くアクリル酸収率が高い、[Mo、Sb、Vと、NbまたはTa]系のアクリル酸製造用触媒を製造することができ得る触媒の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、プロパンを原料としてアクリル酸を製造する方法に使用される[Mo、Sb、V、Nb(またはTa)]系のアクリル酸製造用触媒の製造方法において、各金属化合物を湿式混合して得られる水性混合液またはその濃縮物にマイクロ波を照射する工程を加えることにより、この触媒製造方法を使用して製造した触媒の触媒活性が高くなりアクリル酸収率が顕著に高くなることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本願の第1の発明は、Mo、V、Sb、A(但しAはNbまたはTaである。)の酸化物を必須構成成分とし、プロパンを気相接触酸化させてアクリル酸を製造する工程に使用される、アクリル酸製造用触媒の製造方法において、上記の金属を構成元素とする金属化合物を、酸化剤の存在の下において湿式混合して水性混合液を得て、この得られた水性混合液またはその濃縮物にマイクロ波を照射して上記の必須構成成分を含む混合物を得て、この得られた混合物を焼成する工程を有するアクリル酸製造用触媒の製造方法である。
そして、本願の第2の発明は、水性媒体中で、Mo+6の存在の下において、V+5とSb+3とを、好ましくは70℃以上の温度において反応させる工程〔1〕と、この工程〔1〕によって得られた反応生成物に、NbまたはTaを構成元素とする化合物を含む溶液及び酸化剤を加えて均一に混合する工程〔2〕と、この工程〔2〕によって得られた水性混合液、または、この混合液を濃縮して得た濃縮物にマイクロ波を照射する工程〔3〕と、この工程〔3〕によって得られた混合金属化合物を焼成する工程〔4〕とを有する、プロパンを気相接触酸化させてアクリル酸を製造する工程に使用される、アクリル酸製造用触媒の製造方法である。
そして、上記の工程〔1〕において、Mo+6の存在の下においてV+5とSb+3とを反応させる反応の期間中または終了後に、反応液中に、分子状酸素または酸素を含むガスを吹き込むか、または、過酸化水素を加えることが好ましい。
また、マイクロ波の周波数は300MHz〜30GHzであり、照射量は約7.5W/g−cat〜100W/g−catであることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に就いて説明する。
【0010】
本発明において、上記の各金属化合物(Mo、Sb、V、Nb(またはTa))を湿式混合する方法には、特別の限定はないが、上記のとおり、水性媒体中で、Mo+6の存在の下において、V+5とSb+3とを、好ましい湿式混合方法は、70℃以上の温度において反応させる前記工程〔1〕と、この工程〔1〕によって得られた反応生成物に、NbまたはTaを構成元素とする化合物を含む溶液及び酸化剤を加えて均一に混合する工程〔2〕とよりなるものである。
【0011】
上記の工程〔1〕においては、Mo+6とV+5とSb+3との間で、酸化還元反応が発生する。好ましい反応温度は70℃以上であり、さらに好ましくは水性媒体の沸点付近であり、好ましい反応時間は5〜15時間程度である。
この反応における主な素反応は次式(イ)及び式(ロ)で表される。
V+5 + Sb+3 → V+3 + Sb+5 (イ)
V+3 + Mo+6 → V+4 + Mo+5 (ロ)
上記の工程〔1〕の反応期間中、または、反応終了後に、反応液中に、分子状酸素または分子状酸素を含むガスを吹き込むか過酸化水素を加えることが好ましく、酸化剤を加えることによって、反応(ロ)によって生成したMo+5を再びMo+6に転換し、Mo+5の濃度を適切に制御することができる。それによってアクリル酸収率の高い触媒の製造が可能となる。
【0012】
この反応に用いられるV+5を構成元素とするV+5化合物としては、メタバナジン酸アンモニウムまたは五酸化バナジウムが好ましく、Sb+3を構成元素とするSb+3化合物としては、三酸化アンチモンまたは酢酸アンチモンが好ましく、また、Mo+6を構成元素とするMo+6化合物としては、モリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、または、モリブデン酸等が挙げられるが、水溶性である点で、モリブデン酸アンモニウムが最も好ましい。
【0013】
酸化還元反応におけるMo+6化合物、V+5化合物及びSb+3化合物の好ましい使用割合は、目的とする触媒を構成するMo、V及びSbの原子比が下記の組成式となる割合である。
すなわち、MoViSbj(式中、iおよびjは0.01〜1.5である。)である。
【0014】
水性媒体における上記金属化合物の好ましい仕込み量は、水100重量部当たり、3種の金属化合物の合計量が3〜40重量部である。3種の金属化合物の合計量が30重量部を越えると、V化合物またはMo化合物の一部が不溶解物となり、酸化還元反応が不完全になり易い。
【0015】
反応の進行度は、特開2000−254496号公報等に記載されている公知の分析方法を使用して、反応液における5価のSbを定量分析し、その量と最初に仕込んだ3価のSbの量とを対比することにより知ることができる。
【0016】
上記の工程〔1〕において、上記の酸化還元反応液に酸素ガスまたは酸素ガスを含むガス(酸素含有ガスと総称する)を吹き込むことが好ましいことは上記のとおりであるが、酸素含有ガスの酸化還元反応液への吹き込みは、酸化還元反応の進行中と反応終了後とのいずれでもよい。酸素含有ガスの吹き込み中に、反応液を攪拌することが好ましい。
酸素含有ガスにおける好ましい酸素ガス濃度は、0.5容積 %以上であり、さらに好ましくは、1〜20容積 %であり、特に好ましくは、2〜15容積 %である。
好ましい吹き込み速度(流量)は、酸化還元反応液の反応液量に依存するが、反応液量が200ml〜500ml程度であれば、3〜12リットル/Hrが好ましい。
上記酸素含有ガスの反応液中への吹き込み時間は、4時間以上が好ましい。
【0017】
酸素含有ガスの吹き込みに代えて、過酸化水素を酸化還元反応液に添加してもよいことも上記のとおりであるが、過酸化水素濃度が0.01〜35%の過酸化水素水を使用することが好ましい。
過酸化水素の最適添加量については、原料中のSb化合物の使用量によって変化し、モル比でSbを1としたときの過酸化水素の好ましい使用量は、0.2〜1.2である。
【0018】
上記の工程〔2〕においては、上記反応の反応生成物であるMo、V、及び、Sbを含む分散液またはその濃縮物に、Nb化合物またはTa化合物を加えて均一に混合する。Nb化合物またはTa化合物としては、酸化ニオブ、ニオブ酸、酸化タンタル及びタンタル酸等が挙げられる。Nb化合物またはTa化合物は、これらを水に分散させた形で使用しても良いが、蓚酸等を併用した蓚酸塩の水溶液の形で用いることがさらに好ましい。Nb化合物またはTa化合物を蓚酸塩の水溶液として加える場合、蓚酸の使用量は金属Nbまたは金属Taに対して、モル比で4〜12が好ましい。
また、上記の工程〔2〕において、上記のNb化合物またはTa化合物以外に、以下に例示する酸化剤を加えることが好ましい。酸化剤を加える時期は、Nb化合物またはTa化合物の添加と同時であっても、それより後であってもよい。
酸化剤としては、硝酸・硝酸アンモニュウム・硝酸カリウム等の硝酸塩、過硫酸アンモニュウム、または、過酸化水素が挙げられ、好ましくは、硝酸または硝酸塩である。
酸化剤の好ましい使用量は、工程〔2〕に供されるSbに対して、モル比で0.5〜2.1であり、さらに好ましくは、1.0〜1.6である。
【0019】
Nb化合物またはTa化合物の好ましい使用量は、得られる触媒における金属の原子比で、Moを1としたとき、NbまたはTaが0.001〜3.0となる量である。触媒におけるMoを1としたときのNbまたはTaの割合が、0.001未満であると触媒の劣化が発生し、一方、3.0を越えると触媒の活性が低下することになり、プロパンの転換率が劣り、アクリル酸の収率が低下する。
【0020】
本発明においては、上記の工程〔1〕及び〔2〕によって得られる必須金属を構成元素とする金属化合物が混合して含まれる水性混合液またはその濃縮物にマイクロ波を照射することゝされている。通常、上記の水性混合液は、コロイド状の微粒子が分散した低粘度の液体であり、それを湯浴等で加熱し、水分を蒸発させると、最終的に含水量が50%程度のクリーム状物になる。
【0021】
本発明の要旨に係るマイクロ波照射の最適値は、製造される触媒の含水量・体積・重量等によって影響を受けるが、下記の知見が得られている。マイクロ波周波数は300MHz〜30GHzが使用可能であるが、一般に工業的に使用されている915MHzまたは2450MHz(所謂ラジオ周波数)が有利であると思われる。照射時間は、約1分〜約120分が適切である。マイクロ波照射の作用は必ずしも明らかではないが、水性混合物中の特定の成分による誘導加熱が有利に作用するとも考えられる。照射エネルギー量は、製造される触媒の量に当然支配される。実験の結果によれば、2.2W/g−catの場合、水分を蒸発させるに、90分必要であったが、得られた触媒のアクリル酸収率の顕著な向上は見られなかった。4.42W/g−catの場合、水分を蒸発させるに、35分必要であったが、アクリル酸収率は、2.2W/g−catの場合と同様であった。13.342W/g−catの場合、得られた触媒のアクリル酸収率は確実に向上した。照射量は、多すぎて不都合を招くことはないが、実用的な好ましい上限は100W/g−catである。
よって、工業的スケールにおいては、数KW〜10KW以上が適切であると思われる。1KW程度のマイクロ波発振器を複数個並列に使用してもよいことは言うまでもない。なお、マイクロ波照射と共に、熱風を吹き付けることも有効である。熱風を吹き付けることにより、蒸発した水性媒体の結露が抑制され、結露水によりマイクロ波が吸収されて、効果が低減することを避け得るからである。この場合、熱風の温度は50〜200℃が好ましい。実験の結果によれば、温度が50℃未満では、上記の効果は認められず、また、200℃超過では、触媒表面と触媒内部とで、乾燥速度の差が大きくなりすぎ、触媒全体に均一に作用することが望まれるマイクロ波照射の効果が不均一になることが認められたからである。
【0022】
本発明の要旨に係るマイクロ波照射を実行する前の水性混合液の含水量については、マイクロ波照射時間は一定にし、含水量を85%、77%、68%、64%、57%、53%と変化させて実験を試みたところ、含水量64%において、アクリル酸収率は、最良の結果が得られた。したがって、アクリル酸収率は、マイクロ波照射を実行する前の水性混合液の含水量に影響を受けることは明らかである。
【0023】
本発明においては、前述の金属と共に、例えばAg、Zn、Sn、Pb、Cu、Se、Tl、Na、K、Rb、Mg、C、Ba、Cr、W、Fe、Ru、Co、及び、Ni等の他の金属を使用することもできる。これらの金属は1種または2種以上組み合わせて、前記金属すなわちMo、V、SbおよびA(但しAはNbまたはTaである。)と併用することができる。
【0024】
本発明における焼成工程は、酸素存在下において温度250〜350℃好ましくは280〜320℃で2〜20時間(さらに好ましくは4〜10時間)の条件をもってなす焼成工程と、引き続く酸素不在下において温度500〜660℃好ましくは570〜620℃で1〜3時間の条件をもってなす焼成工程とを組み合わせることが好ましい。
【0025】
以下、本発明に係るアクリル酸製造用触媒の製造方法の二つの実施例とこれを使用して製造したアクリル酸製造用触媒の効果確認試験の結果とに就いて、三つの比較例の結果とゝもに、さらに詳細に説明する。
【0026】
なお、得られた触媒は、その1.5g(約1.1ml)を8mmφの石英製の反応管に充填した。そして、この反応管を400℃に加熱し、その中に、プロパン3.7容積%、酸素9.3容積%、窒素35.0容積%、及び、水蒸気52.0容積%の混合ガスを、2193hr−1の空間速度をもって供給して、アクリル酸を合成した。反応生成物を採取し、下記の計算式を使用して、プロパン転化率とアクリル酸選択率とアクリル酸収率とを算出して、表1にモル数をもって表示した。
プロパン転化率(%)=(供給プロパン量−未反応プロパン量)÷供給プロパン量×100
アクリル酸選択率(%)=生成アクリル酸量÷(供給プロパン量−未反応プロパン量)×100
アクリル酸収率(%)=プロパン転化率×アクリル酸選択率÷100
【0027】
【実施例1】
500mlのガラス製フラスコ内に蒸留水130mlを入れ、その中にメタバナジン酸アンモニュウム6.15gを加え、攪拌しながら、加熱・溶解した後、三酸化アンチモン5.87gとモリブデン酸アンモニュウム30.9gとを加えた。さらに、上記のフラスコ内に大量の窒素ガスを流通させて、十分に窒素置換した。このようにして生成した混合物溶液を360回転/分の速度で攪拌しながら、窒素ガス雰囲気中において、5時間、加熱還流し、反応させた。さらに加熱攪拌しながら、この溶液中に1.54重量%の過酸化水素水40gを2時間かけて滴下した。得られた青色コロイド分散液状の水性混合液を室温まで冷却し、それに、蓚酸8.82gとニオブ酸2.33gと蒸留水90mlとの溶液を加え、続いて、硝酸アンモニウム5.0gを蒸留水10mlに溶解した溶液を加えた。得られた混合液を、窒素ガス雰囲気中で30分激しく攪拌した後、蒸発乾固して、水性媒体の大部分を除去した。
得られたクリーム状物質に、周波数2.45GHz、出力600Wをもって、16分間、マイクロウェーブ照射をなして、残存する水性媒を除去した。得られた固体を300℃の空気中で5時間焼成した。その後、600℃の窒素ガス気流中で2時間焼成して、複合酸化物の触媒を得た。得られた触媒を粉砕した後、打鋲成形し、さらに、16〜30メッシュに粉砕して、本発明の実施例1に係るアクリル酸製造用触媒を完成した。この触媒の原子比は、Mo/V/Sb/Nbが1.0/0.3/0.23/0.08であった。この触媒を使用して実行したアクリル酸合成反応の結果は、表1にモル数をもって表示した。
【0028】
【実施例2】
実施例1において、蒸発乾固を実行せず、上記の青色コロイド分散液状の水性混合液に、蓚酸とニオブ酸との水溶液を加え、さらに、硝酸アンモニウムの水溶液を加えて得られた混合液に、周波数2.45GHz、出力600Wをもって、40分間、マイクロウェーブ照射をなし、得られた固体を焼成して、本発明の実施例2に係るアクリル酸製造用触媒を完成した。この触媒の原子比は、Mo/V/Sb/Nbが1.0/0.3/0.23/0.08であった。この触媒を使用して実行したアクリル酸合成反応の結果は、表1にモル数をもって表示した。
【0029】
【比較例1】
実施例1において、蒸発乾固を実行して得られた粘性物質にマイクロウェーブ照射を実行せず、これに代えて、120℃のオーブンの中で、2時間加熱乾燥処理をなした。このようにして得られた触媒の原子比は、Mo/V/Sb/Nbは、1.0/0.3/0.23/0.08であった。この触媒を使用して実行したアクリル酸合成反応の結果は、表1にモル数をもって表示した。
【0030】
【比較例2】
実施例1において、硝酸アンモニウムの添加を行わなかった。このようにして得られた触媒の原子比は、Mo/V/Sb/Nbが1.0/0.3/0.23/0.08であった。この触媒を使用して実行したアクリル酸合成反応の結果は、表1にモル数をもって表示した。
【0031】
【比較例3】
実施例1において、硝酸アンモニウムの添加を行わなかった。その上、蒸発乾固を実行して得られた粘性物質にマイクロウェーブ照射を実行せず、これに代えて、120℃のオーブンの中で、2時間加熱乾燥処理をなした。このようにして得られた触媒の原子比は、Mo/V/Sb/Nbは、1.0/0.3/0.23/0.08であった。この触媒を使用して実行したアクリル酸合成反応の結果は、表1にモル数をもって表示した。
【0032】
【表1】
【0033】
上記の表から明らかなように、本発明に係るアクリル酸製造用触媒の製造方法を使用して製造した触媒は、従来技術に比して、プロパン転化率及びアクリル酸収率において、それぞれ、約10%向上していることが確認された。この向上が極めて顕著であることは言うまでもない。
この顕著な効果の発生原因に就いては、鋭意、検討中であるが、第0021段落においても述べたとおり、マイクロ波照射にもとづく選択的誘導過熱の作用ではないかとも考えられる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係るアクリル酸製造用触媒の製造方法は、Mo、V、Sb、A(但しAはNbまたはTaである。)の酸化物を必須構成成分とし、プロパンを気相接触酸化させてアクリル酸を製造する工程に使用される、アクリル酸製造用触媒の製造方法において、Mo、V、Sb、A(但しAはNbまたはTaである。)を構成元素とする金属化合物を酸化剤の存在の下において湿式混合して得られる水性混合液またはその濃縮物にマイクロ波を照射して、前記の必須構成成分を含む混合物を得て、この混合物を焼成することゝされているので、この触媒製造方法を使用すれば、触媒活性がさらに向上しておりアクリル酸収率がさらに向上している〔Mo、V、Sb、A(但しAはNbまたはTaである。)〕系触媒(プロパンを原料としてアクリル酸を製造する方法に使用する触媒)を製造することができる。
Claims (5)
- Mo、V、Sb、A(但しAはNbまたはTaである。)の酸化物を必須構成成分とし、プロパンを気相接触酸化させてアクリル酸を製造する工程に使用される、アクリル酸製造用触媒の製造方法において、
Mo、V、Sb、A(但しAはNbまたはTaである。)を構成元素とする金属化合物を酸化剤の存在の下において湿式混合して得られる水性混合液またはその濃縮物にマイクロ波を照射して、前記必須構成成分を含む混合物を得て、
該混合物を焼成する
ことを特徴とするアクリル酸製造用触媒の製造方法。 - 水性媒体中で、Mo+6の存在の下において、V+5とSb+3とを反応させる工程〔1〕と、
該工程〔1〕によって得られた反応生成物に、NbまたはTaを構成元素とする化合物を含む溶液及び酸化剤を加えて均一に混合する工程〔2〕と、
該工程〔2〕によって得られた水性混合液、または、該混合液を濃縮して得た濃縮物にマイクロ波を照射する工程〔3〕と、
該工程〔3〕によって得られた混合金属化合物を焼成する工程〔4〕と
を有する
ことを特徴とする、プロパンを気相接触酸化させてアクリル酸を製造する工程に使用される、アクリル酸製造用触媒の製造方法。 - 前記工程〔1〕において、
前記Mo+6の存在の下においてV+5とSb+3とを反応させる反応の期間中または終了後に、反応液中に、分子状酸素または該酸素を含むガスを吹き込む
ことを特徴とする請求項2記載のアクリル酸製造用触媒の製造方法。 - 前記工程〔1〕において、
前記Mo+6の存在の下においてV+5とSb+3とを反応させる反応の期間中または終了後に、反応液中に、過酸化水素を加える
ことを特徴とする請求項2記載のアクリル酸製造用触媒の製造方法。 - 前記マイクロ波の周波数は300MHz〜30GHzであり、照射量は約7.5W/g−cat〜100W/g−catである
ことを特徴とする請求項1、2、3、または、4記載のアクリル酸製造用触媒の製造方法。
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