JP4428497B2 - 発泡飲料注出コック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、発泡飲料注出コックに関し、更に詳細には、ビールに代表される発泡飲料を操作レバーの操作により注出する発泡飲料注出機に使用され、ジョッキ等の容器に発泡飲料を所定量注出した後に、該容器中の発泡飲料に更に細かい泡を後注ぎし得るコックの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発泡飲料を操作レバーの操作で注出する装置、例えばビールサーバーに使用される発泡飲料注出コックには、自動または手動により操作レバーを手前方向へ傾倒してビールをジョッキに所定量注出した後、該操作レバーを反対方向へ倒してビールの細かい泡を前記ジョッキ中のビールに後注ぎする機能を備えたものがある。例えば図5に、ビールの注出および泡の注出を行なっていない停止位置にある発泡飲料注出コックを示す。発泡飲料注出コックはサーバー本体(図示せず)に着脱可能に取付けられたコック本体50と、注出を行なう操作レバー14と、該コック本体50内に形成されたビール供給路(発泡飲料供給路)12と、該ビール供給路12にスライド可能に内挿され、操作レバー14と連動するスライダ53と、このスライダ53に連結された弁棒52の端部に形成されてビール供給路12を開放または閉塞して発泡飲料の注出を制御する第1弁体60と、コック本体50に形成されてビール供給路12と連通する注出ノズル38と、コック本体50内に形成されてサーバー本体から供給されるビールをコック本体50内に導入するビール導入路(発泡飲料導入路)36とから構成される。前記弁棒52と前記第1弁体60間にはコイルバネ等の弾性部材62が介装されており、常には該弁体60に取付けられたゴム等から形成されるパッキン部材58は、前記ビール供給路12に形成される弁座56に圧着されて水密性を確保するようになっている。更に、前記弁棒52の軸中心に液体通路52bが穿設されると共に、該液体通路52bに連通する泡通路52aが径方向に貫通しており、該泡通路52aは、常には前記パッキン部材58によって閉塞されている。
【0003】
前述した泡付け機能を有するビールサーバーの注出操作は、図6に示すビール注出工程により行なわれるものであって、図6(a)は操作前で操作レバー14は停止位置にあって、ビールも泡も注出されない状態となっている。すなわち操作レバー14の操作前は、ビール供給路12の弁座56に第1弁体60が弾性部材62により弾圧されて着座し、前記ビール導入路36からビール供給路12へのビールの供給を遮断している。また、コック本体50に形成された泡通路52aはパッキン部材58で閉塞されている。このため注出ノズル38へのビールおよび泡の供給はなされない。
【0004】
図6(b)に示す如く、ビール注出を行なうべくビール注出位置(液体注出位置)まで操作レバー14を前方(図において左方向)に傾倒させると、スライダ53が連動して後方(図において右方向)へ移動する。また、スライダ53と連結されている弁棒52と、該弁棒52に連結されている第1弁体60も連動して後方へスライドする。このとき、第1弁体60に取付けられたパッキン部材58が弁座56から離間し、該ビール供給路12の入口が開放され、ビール導入路36から注出ノズル38まで連通状態となり、ビールが注出される。そして、図6(c)に示すように操作レバー14を停止位置まで戻した後、図6(d)に示す如く、泡注出を行なうべく泡注出位置まで前記操作レバー14を後方に傾倒させると、前記スライダ53、弁棒52、第1弁体60は反対に前方にスライドし、前記パッキン部材58は弁座56に押圧され、ビール供給路12とビール導入路36との連通状態は遮断される。このとき、前記第1弁体60と弁棒52間に介装されている弾性部材62が圧縮されて、第1弁体60に対して弁棒52が更に前方にスライドすることで前記泡通路52aが開放される。従って、ビール導入路36から前記液体通路52bに導入されているビールは、泡通路52aを通過する際に発泡され、得られた泡が前記注出ノズル38から注出される。
【0005】
前述の如く、操作レバー14の傾倒操作方向を切換えることによって、ビールだけを注出したり、泡を後注ぎすることで泡付けすることが可能である。ところが、図6(e)に示す如く、泡注出後にはビール供給路12および注出ノズル38内には残留した泡64が付着しており、この泡64が次のジョッキに滴下すると、ビールを注出したときにビールと泡が混ざることで液が泡に変化する泡呼び現象が生じて泡が多く発生し、所謂泡過多状態となってしまう。この対策として図6(f)に示す如く、操作者が泡注出後に操作レバー14を前述のビール注出位置まで傾倒し、再度ビール注出を瞬間的に行ない、残留している泡64をビールと共に流出させる泡流し操作を行ない、泡の滴下を原因とする前記泡呼び現象の発生を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く、ビールおよび泡をジョッキに注出するための操作レバー14の一連の操作は、図6に示す「停止位置(a)→ビール注出位置(b)→停止位置(c)→泡注出位置(d)→停止位置(e)→ビール注出位置(f)(泡流し操作)→停止位置(a)」となり、該操作レバー14の傾倒操作を停止位置を挟んで前後に傾倒操作する必要がある。更に、前記泡流し操作は一瞬で行なう必要があり、操作者の技術の習熟度に大きく左右される等の欠点があった。
【0007】
また、図7に示すような自動でビールをジョッキ42に注出した後に泡付けするビールサーバー(発泡飲料注出機)40を使用する場合には、前述の泡流し操作も自動で行なうことになるが、前述の如く、操作レバー14を前後方向に傾倒させる必要があることから、操作レバー14を動作させる駆動部44の制御や機構が複雑になる。更に、駆動モータの起動、停止頻度も増えるため、コストの上昇や耐久性の低下、駆動部44のサイズ増大による設置場所の確保等の問題がある。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、従来の技術に係る発泡飲料注出コックに内在している前記欠点を好適に解決するべく提案されたものであって、操作性を向上すると共に、発泡飲料供給路や注出ノズルに残留する泡を簡単に流出させ得る発泡飲料注出コックを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係る発泡飲料注出コックは、
コック本体に穿設した発泡飲料供給路から分岐する注出ノズルと、前記発泡飲料供給路にスライド可能に内装され、前記コック本体に組付けられた操作レバーに接続して進退駆動される弁本体と、該弁本体に配設されて前記操作レバーの停止位置では発泡飲料供給路と発泡飲料導入路との連通状態を遮断して該発泡飲料供給路への発泡飲料の流入を阻止する第1弁体とを備え、前記操作レバーを液体注出位置まで傾倒操作すると、前記第1弁体が発泡飲料供給路と発泡飲料導入路との連通状態の遮断を解除することで発泡飲料を前記発泡飲料供給路を介して前記注出ノズルから注出するよう構成した発泡飲料注出コックにおいて、
前記弁本体に、前記操作レバーを液体注出位置を越えて同一方向に傾倒操作した際にのみ発泡飲料導入路と注出ノズルとの連通状態を遮断する第2弁体が配設されると共に、該弁本体には、前記発泡飲料導入路と注出ノズルとを連通可能な泡通路が穿設され、
前記泡通路は、常にはコック本体の弁部により閉成され、前記操作レバーを液体注出位置を越えて同一方向に傾倒操作して前記発泡飲料導入路と注出ノズルとが前記第2弁体で遮断された際に開放し、該泡通路に導入した発泡飲料を発泡させて注出ノズルから注出させるよう構成したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る発泡飲料注出コックにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本実施例では、発泡飲料注出コックとしてビールサーバーに設けられる発泡飲料注出コックを例示して説明するが、これに限定されるものでなく、炭酸を含んだ清涼飲料等の発泡飲料(炭酸飲料)の注出機に用いることができることは勿論である。
【0011】
ビールサーバー(発泡飲料注出機)に取付けられる発泡飲料注出コックは、図1に示すように、コック本体10と、該コック本体10に内蔵されてビールや泡の流路を開閉する各種弁機構(後述)と、傾倒操作によりビールと泡の注出を切換える操作レバー14とから基本的に構成される。
【0012】
前記コック本体10は、その内部を水平に貫通する所要径のビール供給路(発泡飲料供給路)12と、ビールおよび泡を注出する斜め下方へ延出した注出ノズル38とを備え、この注出ノズル38は前記ビール供給路12に内部で連通している。また、コック本体10の後端部(サーバー本体に取付けられる側で図1の右側)は拡大直径部として構成され、この拡大直径部内に凹設した前側円錐状凹部に前記ビール供給路12が開口している。なお、この前側円錐状凹部は、後述する弁座26として機能する。前記コック本体10における注出ノズル38を挟んで拡大直径部と反対の前側上部に一体成形した立上がり部10aには、前記ビール供給路12に連通する垂直孔(図示せず)が形成され、この垂直孔に操作レバー14に固定されたコンロッド24が挿入されるようになっている。コンロッド24は、後述するスライダ22の挿通孔22aに挿入されて、前記操作レバー14の動きを該スライダ22に伝達するものである。
【0013】
前記ビール供給路12には、ビールや泡の流路を開閉する各種弁機構が内蔵される。この弁機構は、スライダ22、弁棒18,第1弁体16、第2弁体20等から構成される。すなわち、ビール供給路12に、略密着状態で円柱状のスライダ22が摺動可能に内挿されており、このスライダ22の所要部に、軸方向と交差する挿通孔22aが穿設されている。この挿通孔22aには、組付け時に前記操作レバー14のコンロッド24が挿入されて、操作レバー14の前後の傾倒操作により前記スライダ22はビール供給路12を進退移動する。スライダ22の後端部には軸中心に穴部22bが穿設されており、この穴部22bに弁棒18の前端部が嵌挿されて、該スライダ22と弁棒18とは一体に移動する弁本体15として構成される。なお、弁本体15は、前記挿通孔22aからコンロッド24を抜き外すことで、ビール供給路12から前方に引出し得るようようになっている。
【0014】
前記弁棒18の後端部には、コック本体10の拡大直径部内に臨む第1弁体16が一体的に移動するよう配設され、該第1弁体16が、弁座26として機能する前記前側円錐状凹部に着座して、サーバー本体から供給されるビールをコック本体10に導入するビール導入路(発泡飲料導入路)36とビール供給路12との連通を開閉可能に遮断し得るようになっている。第1弁体16の弁座26と対向する所要位置に環状溝が形成され、この環状溝にOリング等のパッキン部材32が配設してある。そして、ビール導入路36から供給される高圧(通常は2〜3Kg/cm2)のビールによって、前記第1弁体16およびパッキン部材32は前方(図1の左方向)へ押圧されることになり、常には前記弁座26にパッキン部材32が密着して水密性を確保するよう構成される。また、第1弁体16が弁座26に着座した状態で、前記操作レバー14は略垂直な停止位置(図2(a)参照)に保持され、該レバー14を前側に傾倒してスライダ22および弁棒18を介して第1弁体16を後側にスライドすることで、該第1弁体16が弁座26から離間してビール供給路12を開放するようになっている(図2(b)参照)。なお実施例では、第1弁体16を弁座26に押圧するよう作用するビールが、操作レバー14を常に停止位置に向けて付勢する付勢手段として機能する。
【0015】
前記スライダ22と第1弁体16との間に臨む弁棒18に、前記ビール供給路12に略密着してスライドする軸方向に短い略円柱状をなす第2弁体20が、その軸中心を貫通する通孔34を介して該弁棒18と一体的に移動するよう配設される。この第2弁体20は、操作レバー14が停止位置およびビール注出位置では、図2(a),(b)に示す如く、前記注出ノズル38を挟んでビール供給路12の入口(弁座26)とは反対側(前側)に位置して、ビール供給路12から注出ノズル38へのビールの供給を許容するよう設定される。また操作レバー14を、前記ビール注出位置を越えて更に前方(同一方向)に傾倒操作して泡注出位置に臨ませた際には、図2(c)に示す如く、注出ノズル38とビール供給路12の入口との間に臨み、ビール供給路12から注出ノズル38へのビールの供給を遮断(ビール導入路36と注出ノズル38との連通状態を遮断)するよう構成される。
【0016】
なお、前記第2弁体20における第1弁体16(ビール導入路36)を指向する端部には、円弧状の凹面形状とした円弧状凹部20aが形成されている。この円弧状凹部20aは、ビール供給路12に流入したビールを注出ノズル38へスムーズに案内し、ビールの流れが屈曲する際の液体密度のばらつきを原因としたビールの発泡を防止するべく機能する。
【0017】
図1に示す如く、前記第1弁体16には軸方向中心を貫通する通孔28が穿設されており、該通孔28が、前記弁棒18の軸中心に穿設された液体通路30に連通するよう構成される。また前記スライダ22に、前記液体通路30の前端部に連通する泡通路23が外周で開口するよう穿設され、液体通路30から到来したビールは、該泡通路23を通過する際に肌理の細かい泡とされるよう構成される。この泡通路23は、図2(a),(b)に示す如く、前記操作レバー14が停止位置またはビール注出位置にある場合には、前記注出ノズル38を挟んでビール供給路12の入口(弁座26)とは反対側(前側)における該供給路12の内面(スライダの摺動面)である弁部17で閉成される。そして、操作レバー14をビール注出位置から更に前方に設定される泡注出位置まで傾倒することで、図2(c)に示す如く、前記第2弁体20がビール導入路36と注出ノズル38との連通状態を遮断した際に、該泡通路23は開放されて注出ノズル38に連通して泡注出を行ない得るよう構成されている。
【0018】
【実施例の作用】
次に、実施例に係る発泡飲料注出コックの作用につき、以下説明する。図2は、前述の各種弁機構を組込んだコック本体10を用いたビール注出操作工程を示す。図2(a)においては、操作レバー14はビール注出操作前の停止位置にあって、ビールも泡も注出されていない状態である。すなわち、操作レバー14の操作前は、ビール導入路36から供給される高圧のビールによって第1弁体16は前方に押圧されてパッキン部材32が弁座26に密着し、ビール導入路36からビール供給路12へのビールの供給を遮断している。このため注出ノズル38へのビールの供給および泡の供給はなされない。
【0019】
図2(b)に示すように、前記操作レバー14をビール注出位置まで前方へ傾倒させるビール注出操作を行なうと、前記弁本体15がビール供給路12を後退移動し、該弁本体15に配設されている第1弁体16も供給されるビール圧に抗して後退移動する。これによって前記パッキン部材32が弁座26から離間してビール導入路36から注出ノズル38までが連通状態となり、ビール導入路36から供給されるビールは、ビール供給路12を介して注出ノズル38からジョッキに注出される。なお、弁本体15に配設されている前記第2弁体20も後退移動するが、ビール注出位置では注出ノズル38とビール供給路12とを遮断していない。
【0020】
次に、図2(c)に示す如く、前記操作レバー14をビール注出位置から更に前方の泡注出位置まで傾倒させる泡注出操作を行なうと、前記弁本体15および第2弁体20は更にビール供給路12を後退移動する。このとき第1弁体16も後退移動するので、弁座26に着座することはなく、該第1弁体16はビール供給路12を引続き開放した状態にあるが、第2弁体20が後退移動することでビール供給路12と注出ノズル38との連通状態、すなわちビール導入路36と注出ノズル38との連通状態が該第2弁体20によって遮断されてビール注出は停止する。またこのとき、弁本体15に穿設されている泡通路23がコック本体10の弁部17から開放され、注出ノズル38と連通する。従って、前記ビール導入路36から第1弁体16の通孔28および弁棒18の液体通路30を介して泡通路23に供給されるビールは、該泡通路23を通過する際に肌理の細かい泡となり、該泡が注出ノズル38からジョッキに貯留したビールに後注ぎされる。すなわち、実施例の発泡飲料注出コックでは、操作レバー14を前方に傾倒させるだけの操作で、ビールおよび泡の注出を行なうことができ、各操作の間に停止位置まで戻す操作を必要としない。
【0021】
なお、前記泡通路23は、常にはコック本体10の弁部17により閉成されると共に、前記操作レバー14をビール注出位置を越えて同一方向に傾倒操作して、前記第2弁体20が前記ビール導入路36と注出ノズル38との連通状態を遮断した際にのみ該泡通路23が注出ノズル38と連通するよう構成されているから、ビール注出時に泡注出が行なわれることはなく、逆に泡注出時にビール注出が行われることもない。
【0022】
前述したように泡を後注ぎした後、前記操作レバー14を停止位置に戻すために、後方に傾倒させる停止操作を行なう際には、前記弁本体15、第1弁体16および第2弁体20はビール供給路12を前進移動する。このとき前記泡通路23はコック本体10の弁部17で再び閉成されて泡注出が停止し、次に第2弁体20による注出ノズル38とビール供給路12との遮断が解除され、ビール導入路36と注出ノズル38とが連通状態になったビール注出位置になる。その後、第1弁体16が弁座26に着座することで、ビール注出、泡注出ともに完全に停止する。
【0023】
前述したように、操作レバー14が泡注出位置から停止位置に戻る間にビール注出位置になることで、所定量のビール注出が行なわれ、ビール供給路12および注出ノズル38に残留する泡をビールと共に完全に流出させる泡流しが実施される。なお、操作レバー14の泡注出位置から停止位置までの傾倒復帰動作は、前記第1弁体16に加わるビール圧によって自動的に行なわれるものであり、操作者は泡注出位置の操作レバー14から手を離せばよい。すなわち、前記の泡流しに際して注出ノズル38に供給されるビールの量は常に一定となり、操作者の熟練した技術を必要とすることなく常に一定した品質のビールを提供し得る。
【0024】
また、前記操作レバー14を駆動部44(図7参照)によって自動操作するビールサーバー40においても、実施例の発泡飲料注出コックを採用すれば、操作レバー14の操作方向は前方(一方向)のみとなるから、駆動部44の制御や機構が簡単になり、コストを低減し得る。更に、駆動部44における駆動モータの起動、停止頻度も減り、耐久性の向上を図ることができる。
【0025】
【別実施例】
図3は、別実施例に係る発泡飲料注出コックの要部を示すものであって、基本的な構成は前述した実施例と同じであるので、異なる部分についてのみ説明する。別実施例の発泡飲料注出コックでは、前記第1弁体16の後側、すなわちビール導入路36側に第2弁体21を配設すると共に、前記コック本体10の拡大直径部内における前側の円錐状凹部を第1弁座26として構成すると共に、後側の円錐状凹部を第2弁座33として構成している。また第2弁体21の第2弁座33と対向する所要位置に環状溝が形成され、この環状溝にOリング等のパッキン部材27を配設してある。更に、第1弁体16と第2弁体20には、その軸中心に貫通的に通孔31が穿設されており、この通孔31が弁棒18の前記液体通路30と連通している。
【0026】
そして、前記操作レバー14が停止位置では、図4(a)に示す如く、第1弁体16がパッキン部材32を介して第1弁座26に水密的に着座してビール導入路36とビール供給路12との連通状態を遮断するよう設定される。また操作レバー14を、ビール注出位置を越えて更に前方(同一方向)に傾倒操作して泡注出位置に臨ませた際に、図4(c)に示す如く、第2弁体21がパッキン部材27を介して第2弁座33に水密的に着座してビール導入路36とビール供給路12との連通状態を遮断するよう設定される。
【0027】
なお、前記操作レバー14をビール注出位置に臨ませた際には、図4(b)に示す如く、第1弁体16および第2弁体21の何れもが対応する弁座26,33から離間し、ビール導入路36から注出ノズル38までを連通状態としてビールの注出を許容するよう構成される。また第2弁体21が第2弁座33に着座した際に、弁本体15に形成された泡通路23が開放されて、泡の注出が可能となることは前記の実施例と同じである。
【0028】
【別実施例の作用】
次に、別実施例に係る発泡飲料注出コックの作用につき、以下説明する。図4(a)に示す如く、前記操作レバー14がビール注出操作前の停止位置に保持されている状態では、ビール導入路36から供給される高圧のビールによって第1弁体16は前方に押圧されてパッキン部材32が第1弁座26に密着し、ビール導入路36からビール供給路12へのビールの供給を遮断している。また、前記泡通路23はコック本体10の弁部17で閉成されている。このため、注出ノズル38へのビールの供給および泡の供給はなされない。
【0029】
図4(b)に示すように、前記操作レバー14をビール注出位置まで前方へ傾倒させると、前記弁本体15がビール供給路12を後退移動するのに伴って、第1弁体16も供給されるビール圧に抗して後退移動する。これによって前記パッキン部材32が第1弁座26から離間してビール導入路36から注出ノズル38までが連通状態となり、ビール導入路36から供給されるビールは、ビール供給路12を介して注出ノズル38からジョッキに注出される。なお、弁本体15に配設されている前記第2弁体21も後退移動するが、ビール注出位置では第2弁座33に着座していない。
【0030】
次に、図4(c)に示す泡注出を行なうべく、前記操作レバー14をビール注出位置から更に前方の泡注出位置まで傾倒させると、前記第2弁体21のパッキン部材27が前記第2弁座33に密着し、ビール導入路36と注出ノズル38との連通状態が遮断される。このとき、弁本体15に穿設されている前記泡通路23が注出ノズル38に開放されることになり、前記ビール導入路36から通孔31および液体通路30を介して泡通路23に供給されるビールは、該泡通路23を通過する際に肌理の細かい泡となり、注出ノズル38からジョッキに貯留されているビールに後注ぎされる。
【0031】
そして、泡注出位置の操作レバー14から操作者が手を離せば、該レバー14はビール圧によって自動的に停止位置に戻り、その途中でビール導入路36と注出ノズル38との遮断状態が瞬間的に解除されることで、ビール供給路12や注出ノズル38内に残留している泡を完全に流出させることができる。すなわち、別実施例においても、操作レバー14を前方にのみ傾倒するだけで、ビール注出と泡注出とを行なうことができ、操作が簡単になる。しかも、泡流しは自動で行ない得るから、操作者の熟練した技術を必要とすることなく常に一定した品質のビールを提供し得る。
【0032】
実施例や別実施例では、ビール圧(発泡飲料の圧力)によって常に操作レバーを停止位置に向けて付勢するよう構成したが、コック本体内に配設したバネやゴム等の弾性部材等を付勢手段としてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る発泡飲料注出コックによれば、同一方向に操作レバーを傾倒操作することで発泡飲料および泡の注出を行なうことができ、操作レバーを一旦停止位置に戻す操作を必要とせず、操作が簡単になる。また、泡を注出した位置から操作レバーを停止位置に戻すまでの間で、発泡飲料を注出ノズルに供給して泡流しを行ない得るから、煩雑な操作を行なうことなく、発泡飲料供給路や注出ノズル内に残留する泡を完全に流出させ、常に一定品質の発泡飲料を提供し得る。
【0034】
なお、操作レバーを自動操作して発泡飲料と泡とを注出する装置においても、該レバーの操作に関する制御や機構を簡略化することができ、コストを低減し得ると共に耐久性を向上し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る発泡飲料注出コックの断面図である。
【図2】 実施例に係る発泡飲料注出コックを使用してビールおよび泡を注出する工程を示す説明図である。
【図3】 本発明の別実施例に係る発泡飲料注出コックの断面図である。
【図4】 別実施例に係る発泡飲料注出コックを使用してビールおよび泡を注出する工程を示す説明図である。
【図5】 従来の技術に係る発泡飲料注出コックの断面図である。
【図6】 従来の技術に係る発泡飲料注出コックを使用してビールおよび泡を注出する工程を示す説明図である。
【図7】 操作レバーを自動操作するビールサーバーの全体図である。
【符号の説明】
10 コック本体,12 ビール供給路(発泡飲料供給路),14 操作レバー
15 弁本体,16 第1弁体,17 弁部,20 第2弁体
20a 円弧状凹部(端部),21 第2弁体,23 泡通路
36 ビール導入路(発泡飲料導入路),38 注出ノズル

Claims (2)

  1. コック本体(10)に穿設した発泡飲料供給路(12)から分岐する注出ノズル(38)と、前記発泡飲料供給路(12)にスライド可能に内装され、前記コック本体(10)に組付けられた操作レバー(14)に接続して進退駆動される弁本体(15)と、該弁本体(15)に配設されて前記操作レバー(14)の停止位置では発泡飲料供給路(12)と発泡飲料導入路(36)との連通状態を遮断して該発泡飲料供給路(12)への発泡飲料の流入を阻止する第1弁体(16)とを備え、前記操作レバー(14)を液体注出位置まで傾倒操作すると、前記第1弁体(16)が発泡飲料供給路(12)と発泡飲料導入路(36)との連通状態の遮断を解除することで発泡飲料を前記発泡飲料供給路(12)を介して前記注出ノズル(38)から注出するよう構成した発泡飲料注出コックにおいて、
    前記弁本体(15)に、前記操作レバー(14)を液体注出位置を越えて同一方向に傾倒操作した際にのみ発泡飲料導入路(36)と注出ノズル(38)との連通状態を遮断する第2弁体(20,21)が配設されると共に、該弁本体(15)には、前記発泡飲料導入路(36)と注出ノズル(38)とを連通可能な泡通路(23)が穿設され、
    前記泡通路(23)は、常にはコック本体(10)の弁部(17)により閉成され、前記操作レバー(14)を液体注出位置を越えて同一方向に傾倒操作して前記発泡飲料導入路(36)と注出ノズル(38)とが前記第2弁体(20,21)で遮断された際に開放し、該泡通路(23)に導入した発泡飲料を発泡させて注出ノズル(38)から注出させるよう構成した
    ことを特徴とする発泡飲料注出コック。
  2. 前記操作レバー(14)は、付勢手段により常には停止位置に向けて付勢されている請求項1記載の発泡飲料注出コック。
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