JP4268306B2 - 給液遮断弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビールボンベなどから加圧によって液体をサーバに供給する液ラインの途中に設けられるもので、ボンベの液体がなくなったときには確実かつ素早く閉弁することができる弁装置に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来から業務用のビールサーバでは、ビールを充填したタンクからビールを供給する際に炭酸ガスの加圧によってビールをタンクから押し出す態様である。そして、タンクにビールが残存しているうちは炭酸ガスがビールタンクの内液面を押し下げ、これによってビールは外部に向かって供給される。
【0003】
ところで、従来の装置ではビールがタンクに残っていて正常に機能しているときはよいが、ビールの残量がなくなったときには泡と炭酸ガスが勢いよくサーバ側に放出されることになり、不都合である。そこで、ビールをジョッキなどに注ぐ者はビール残量がなくなったことを経験的に知覚し、素早くノズルを閉止している。しかしながらビールは1気圧以上の炭酸ガスで加圧されているので、最後のほうは泡がノズルから多量に噴出することを回避することは困難である。そのためにビール残量がなくなった場合には自動的に炭酸ガスの供給を停止することも考えられるが、弁機構が複雑になってコストが嵩んでしまうという問題がある。
【0004】
本発明は上述した従来の課題を解決することを目的とするもので、ビールタンクのビールがなくなれば炭酸ガスの圧力によってビール流路を確実に閉止することができる遮断弁を開示する。
【0005】
本発明では上述した目的を達成するために、ガス圧によって付勢された液体流路途中にあって、ハウジングの下端側に連通する1次側流路と、ハウジングの上端側に連通する2次側流路と、ハウジングの両流路の中間には弁室を備える機構を採用した。そして、この弁室の前記2次側流路への出口部分に弁座を備え、前記弁室内には流路内を通過する液体より比重が小さく、前記弁座に着座可能な球体弁を備えた。また、前記弁室内の鉛直上方向に所定の高さ突出して前記1次側流路と連通する流入部を設けると共に、前記弁座を前記流入部の高さより低い位置に設けて、前記球体弁を前記弁座から離脱する一定の位置に引き込みながら2次側流路に流れ込む渦が形成されるようにした。弁室は球体弁の収納部を兼ねている。球体弁は弁座に対して着座することにより遮断弁として機能する。さらに球体弁は弁室内で渦を形成する流体によって一定の位置に静止することになり、液体が予定通り流れている間は当該遮断弁は単に流路の一部を形成する。一方、液体残量がなくなった場合には球体弁は自重によって降下し、ガス圧によって弁座に押し付けられ、遮断弁の機能を発揮する。1次側流路の弁室に対する流入部よりも弁座を低く位置させるという手段は、流入部から弁座を介して液体が2次側流路に直線的に流れるのを阻止し、液体が流れている間は弁室内に前記球体弁を前記弁座から離脱する一定の位置に引き込みながら2次側流路に流れ込む渦の流路が形成するようにするためである。
【0006】
さらに、弁座に球体弁が着座したときに、前記球体弁を弁室側に向かって押し込むためのリセット手段を備えるという構成も採用した。リセット手段はガス圧によって付勢されながら着座している球体弁を開弁状態に復帰させる機能を有する。
【0007】
また、1次側流路の流入部よりも2次側流路の流路断面積を大きくする請求項3の手段では、弁室を含む下流側を減速し、乱流の発生を抑制する作用を行うものである。球体弁を合成樹脂製とする手段では、大量生産時の各弁の精度を安定することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1は本発明を実現するための装置全体を示したもので、1はビールタンク、2はビールタンク1の内圧に対して加圧するための炭酸ガスボンベ、3は内部に冷却機構が内蔵された公知のビールサーバ、4はビールを注ぎだすためのノズルである。そして、5が本発明の給液遮断弁である。給液遮断弁5は、ビールタンク1およびこれに接続された炭酸ガスボンベ2の下流に位置している。
【0009】
図2〜図4は本発明の本質である給液遮断弁5の内部機構を示したもので、10は弁のハウジング、11はOリングからなる弁座、12はビールなどの液よりも比重が軽い球体弁、13は弁の1次側流路、14は2次側流路、15は弁室である。16はリセット棒であって、スプリング17によって常時図示した位置に付勢され、球体弁12が弁座11に着座した場合にこれを離脱させて通常の給液状態に復帰させるためのものである。ハウジング10の素材は自由であるが、量産のためには合成樹脂による成形が好ましい。その他の構造的な条件としては、1次側流路13から弁室15への流入部18の高さよりも弁座11の高さがより低く位置することによって弁室15内において液体が渦を形成することを必要とする。また、流入部18よりも2次側流路14の流路断面積を大きくして液体の流速を抑えることにより、過度の乱流が発生しないようにすることを必要とする。
【0010】
続いて上記構成の遮断弁の動作を説明する。図2はノズル4を開いてビールが炭酸ガスによって加圧された状態で流れているところを示している。この場合、ビールは矢印のように流入部18を通って弁室15内に流入し、大きな渦を形成しながら弁座11を介して2次側流路14に流れ込み、図1のビールサーバ3に供給される。球体弁12は液体よりも比重が小さいので浮力によって弁室15内で浮こうとするが、渦に引き込まれておよそ図示した位置で回転しながら安定する。弁室15内に形成された2つの凸部19は、球体弁12の位置を規制し、かつ渦を安定させるためにあるが、必須の構成ではない。
【0011】
次にノズル4を閉じてビールの供給を一時停止した場合には、遮断弁の態様は図3に移行する。ノズル4は最終の給液停止弁として機能するが、実施形態の遮断弁は流路の途中に位置するので、液密の状態で流体が安定する。そうすると、球体弁12は液体よりも比重が小さいので、その浮力によって弁室15内の最高位に浮き上がることになる。流体はノズル4を開くまで安定した状態を維持するので、球体弁12も図示した位置で停止する。そして、再びノズル4を開いてビールなどを供給すれば流体が流路を形成するので、球体弁12が流路に引き込まれて図2の状態に復帰する。この場合、前述したが流入部18の高さが弁座11よりも低い位置にあれば十分高い位置で球体弁12を静止させることができず、球体弁12は流れに沿って弁座11に着座する方向に引き込まれてしまう。従って、流入部18は少なくとも弁座11よりも高い位置に設定する必要がある。
【0012】
続いて、図2の状態を維持している間にビールタンク1の流体残量がなくなった場合、弁室15内の液体は乱流を形成しながら炭酸ガスによって2次側流路14に押し出されるが、液位が低下することにしたがって球体弁12の位置も降下することになる。そして、さらに炭酸ガスの加圧が継続しているため、球体弁12は瞬間的に弁座11に押し付けられて着座し、遮断弁の機能を発揮する。この後は炭酸ガスの加圧が継続しているので、球体弁12は弁座11から離脱することがない。
【0013】
さらに続いて、空のビールタンクを満杯のタンクに切り替えた場合には、弁室内にビールが充満した後に図5に示すようにリセット棒16を矢印方向に押し込めば、球体弁12は炭酸ガスの加圧に抗して弁座11から離脱し、液流が発生する。そして、その後は液流が安定した時点で図2の状態を再び維持することになる。
【0014】
なお、本実施形態では球体弁を復帰させる手段としてリセット棒を開示したが、これに限定する必要はなく、たとえば炭酸ガス圧よりも高い圧力を下流側から印加する手段や、カム機構によって実施態様のリセット棒を押す手段など、適宜変更して採用することができるのはいうまでもない。
【0015】
【発明の効果】
本発明では上述したように、1次側流路と2次側流路の中間に弁室を備え、この弁室の2次側流路には弁座、弁室内には流路内の液体よりも比重が小さい球体弁を備え、さらに1次側流路の弁室に対する流入部よりも弁座を低く位置させたので、液体が流れている間は球体弁が開弁状態で静止し、ノズル先端などを閉止した場合には球体弁の浮力によって上方に浮き上がった状態で安定する。また、液体がなくなればガス圧によって球体弁は弁座に確実に着座することになるので、信頼性が高い遮断弁とすることができた。
【0016】
また、弁座に球体弁が着座したときに、球体弁を弁室側に向かって押し込むためのリセット手段を備えたことにより、液体供給タンクを交換した後にこれを操作すれば、簡単に球体弁が復帰することになり、確実なリセット作業を行うことができる。
【0017】
さらに、1次側流路よりも2次側流路の断面積を大きくしたので弁室より下流の流速が遅くなり、弁室内の乱流の発生を抑制することができる。したがって、球体弁の安定した静止状態を維持することができる。さらにまた、球体弁を合成樹脂製とした場合には高精度の弁機構を量産することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビール供給装置全体を示す斜視図
【図2】本発明の遮断弁の一例で、給液時を示す断面図
【図3】同、給液停止時を示す断面図
【図4】同、ビール残量がなくなった状態を示す断面図
【図5】リセット手段を操作した状態を示す断面図
【符号の説明】
1 ビールタンク
2 炭酸ガスボンベ
3 ビールサーバ
4 ノズル
5 給液遮断弁
10 ハウジング
11 弁座
12 球体弁
13 1次側流路
14 2次側流路
15 弁室
16 リセット棒
17 スプリング
18 流入部
19 凸部
Claims (4)
- ガス圧によって付勢された液体流路途中にあって、ハウジングの下端側に連通する1次側流路と、ハウジングの上端側に連通する2次側流路と、ハウジングの両流路の中間には弁室を備えると共に、この弁室の前記2次側流路への出口部分に弁座を備え、前記弁室内には流路内を通過する液体より比重が小さく、前記弁座に着座可能な球体弁を備え、前記弁室内の鉛直上方向に所定の高さ突出して前記1次側流路と連通する流入部を設けると共に、前記弁座を前記流入部の高さより低い位置に設けて、前記球体弁を前記弁座から離脱する一定の位置に引き込みながら2次側流路に流れ込む渦が形成されるようにしたことを特徴とする給液遮断弁。
- 弁座に球体が着座したときに、前記球体弁を弁室側に向かって押し込むためのリセット手段をさらに備えた請求項1記載の給液遮断弁。
- 1次側流路の流入部よりも2次側流路の流路断面積を大きくして弁室を含む下流側の流速を減速した請求項1記載の給液遮断弁。
- 球体弁は合成樹脂製である請求項1〜3のいずれか記載の給液遮断弁。
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