JP2001206491A - 発泡飲料注出コック - Google Patents

発泡飲料注出コック

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JP2001206491A JP2000019102A JP2000019102A JP2001206491A JP 2001206491 A JP2001206491 A JP 2001206491A JP 2000019102 A JP2000019102 A JP 2000019102A JP 2000019102 A JP2000019102 A JP 2000019102A JP 2001206491 A JP2001206491 A JP 2001206491A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コック本体やノズル内に残留する泡を短時間
で完全に落下させ、次の飲料注出までの待ち時間を短縮
し得ると共に常に衛生的に保つ。 【解決手段】 ビール注出コック44のコック本体10
は、その内部を水平に貫通する所要径のビール供給路1
2と、斜め下方へ分岐して平行に延出するビール注出ノ
ズル14および泡注出ノズル16を備え、これら2本の
ノズル14,16はビール供給路12に内部で連通す
る。泡注出ノズル16には、その下端から所定高さ位置
まで同一幅寸法で延在する2本のスリット72,72
が、該ノズル16の側面に対向して形成される。このス
リット72,72が、泡注出後にコック本体10および
泡注出ノズル16内に残留する泡を短時間で完全に落下
させるべく機能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発泡飲料注出コ
ックに関し、更に詳細には、ビールに代表される発泡飲
料をレバー操作により注出する発泡飲料注出機に使用さ
れ、ジョッキ等の容器に発泡飲料を所定量注出した後
に、該容器中の発泡飲料に更に細かい泡を後注ぎし得る
コックの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発泡飲料をレバー操作で注出する装置、
例えばビールサーバーに使用されるビール注出コックに
は、手動によりレバーを一方向へ倒してビールをジョッ
キに所定量注出した後、該レバーを反対方向へ倒してビ
ールの細かい泡を前記ジョッキ中のビールに後注ぎする
機能を備えたものがある。この泡の後注ぎ機能を有する
注出コックとしては、特開平9−2590号公報に開示
される泡出し機能付きタップが存在する。このように細
かい泡をジョッキ中のビールに後注ぎ(所謂泡付け)する
理由は、適度に泡立ったビールは飲む際の咽越しが良好
になると共に、この泡がビールからの炭酸ガスの早期逃
出を防止する役目を果すからである。そして近年では、
一層肌理の細かいクリーム状の泡が後注ぎ用の泡として
要求されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述した泡付け機能を
有するビールサーバーでは、ビール注出コックに設けた
レバーの切換え操作により、該コックが備えるノズルか
らビールだけを注出したり、細かい泡を後注ぎしたりす
るものである。しかるに、泡注出後、ノズル内には泡が
残留し、この泡が次のジョッキに滴下すると、該ジョッ
キにビールを注出したときに該ビールに泡が混じって液
が泡に変化する泡呼び現象を生じて泡が多く発生し、所
謂泡過多状態となってしまう。この対策として注出ノズ
ルに空気導入孔を設け、該ノズル内に残留する泡を自然
落下させるようになっている。
【0004】先に述べたように、後注ぎ用の泡としては
クリーム状の肌理の細かいものが要求されているが、こ
の状態の泡は粘性が強いために、空気導入孔からの空気
によっても泡の排出には時間が掛かると共に完全に落下
させるのは困難である。すなわち、発泡過多状態としな
いためには、ビールを注出した後、次のビール注出まで
に長い待ち時間が必要になると共に、泡が長時間に亘り
コック本体やノズル内に残留することで不衛生となる問
題がある。
【0005】なお、ビールを注出して泡付け操作を行な
った後、操作者がレバーを瞬間的に操作してビールを一
瞬だけ流し、このビールによりコック本体やノズル内に
残留する泡を洗い流す操作をすることが行なわれてい
る。しかし、このビールを瞬時に流すという洗浄操作
は、非常に熟練が要求される作業であった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、従来の技術に係る発泡飲料注
出コックに内在している前記欠点を好適に解決するべく
提案されたもので、コック本体やノズル内に残留する泡
を短時間で完全に落下させ、次の飲料注出までの待ち時
間を短縮し得ると共に常に衛生的に保ち得る発泡飲料注
出コックを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し、所期
の目的を達成するため、本発明に係る発泡飲料注出コッ
クは、コック本体に形成され、該コック本体に穿設した
発泡飲料供給路に供給された発泡飲料から得られた泡
を、発泡飲料が貯留されている容器に後注ぎし得る注出
ノズルを備えた発泡飲料注出コックにおいて、前記注出
ノズルに、その下端から所定高さ位置まで延在するスリ
ットを形成したことを特徴とする。
【0008】また、前記課題を解決し、所期の目的を達
成するため、本願の別の発明に係る発泡飲料注出コック
は、コック本体に形成され、該コック本体に穿設した発
泡飲料供給路に供給された発泡飲料から得られた泡を、
発泡飲料が貯留されている容器に後注ぎし得る注出ノズ
ルを備えた発泡飲料注出コックにおいて、前記注出ノズ
ルの泡接触面に、撥水処理を施したことを特徴とする。
【0009】更に、前記課題を解決し、所期の目的を達
成するため、本願の更に別の発明に係る発泡飲料注出コ
ックは、コック本体に形成され、該コック本体に穿設し
た発泡飲料供給路に供給された発泡飲料から得られた泡
を、発泡飲料が貯留されている容器に後注ぎし得る注出
ノズルを備えた発泡飲料注出コックにおいて、前記注出
ノズルの泡接触面に、親水処理を施したことを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る発泡飲料注出
コックにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照
しながら以下説明する。この実施例では、発泡飲料注出
コックとしてビールサーバーに設けられるビール注出コ
ックを例示して説明するが、これに限定されるものでな
いことは勿論である。
【0011】図1は、好適な実施例に係るビール注出コ
ック44を分解状態で示す断面図であり、このビール注
出コック44は図8に示すビールサーバー(発泡飲料注
出機)46に取付けられる。また図2は、ビールサーバ
ー46から水平に延出するビール供給管48に接続した
ビール注出コック44の断面図であって、ビールも泡も
注出していない状態を示している。このビール注出コッ
ク44は、図1に示すように、コック本体10と、該コ
ック本体10に内蔵されてビールや泡の流路を開閉する
各種弁機構(後述)と、傾倒操作によりビールと泡の注出
を切換えるレバー18とから基本的に構成される。
【0012】(コック本体について)図1に示すコック本
体10は、その内部を水平に貫通する所要径のビール供
給路(発泡飲料供給路)12と、斜め下方へ分岐して平行
に延出するビール注出ノズル(発泡飲料注出ノズル)14
および泡注出ノズル(注出ノズル)16を備え、これら2
本のノズル14,16は前記ビール供給路12に内部で
連通している。図1では、コック本体10から斜め下方
へ延出する右側のノズルがビール注出ノズル14であ
り、左側のノズルが泡注出ノズル16である。
【0013】図1でコック本体10の右端は拡大直径部
として構成され、この拡大直径部に凹設した半球状凹部
26に前記ビール供給路12が開口している。この半球
状凹部26は、後述する第1弁座として機能するもので
ある。また拡大直径部の外周に螺設した雄ネジ10a
と、図2に示すユニオンナット50の雌ネジ50aとを
螺合させることで、コック本体10はビール供給管48
に取付けられる。コック本体10の左側に一体成形した
立上がり部52には、前記ビール供給路12に連通する
垂直孔52aが形成され、この垂直孔52aに注出操作
用レバー18の下端部に設けたボール54およびコンロ
ッド56が挿入されるようになっている。このコンロッ
ド56は、後述するスライダ20の挿通孔20aに挿入
されて、前記レバー18の動きを該スライダ20に伝達
するものである。なお、前記立上がり部52の外周に螺
設した雄ネジ52bと、前記レバー18のボール54に
被着したユニオンナット58の雌ネジ58aとを螺合さ
せることで、該レバー18はコック本体10に取付けら
れる。
【0014】更にコック本体10には、ビール供給路1
2を外部に連通する第1空気孔60および第2空気孔
(空気孔)62が穿設されている。これら2つの空気孔6
0,62は、後述するスリーブ24の外周に所要間隔で
周設した第1環状溝64および第2環状溝66との協働
作用下に、前記ビール注出ノズル14および泡注出ノズ
ル16を外部に連通させたり、非連通としたりする機能
を果たすものである。図1では、右側に位置するのが第
1空気孔60であって、この第1空気孔60の一方はコ
ック本体10の上面に開口すると共に、他方はビール注
出ノズル14に開口している。また第2空気孔62は、
図1で第1空気孔60の左側に所定間隔離間して位置す
ると共にコック本体10の上面に開口している。そして
ビール供給路12に開口する第1空気孔60および第2
空気孔62の間隔寸法は、第1環状溝64および第2環
状溝66(後述)の間隔寸法に対応的に合わせてある。
【0015】前記泡注出ノズル16には、その下端から
所定高さ位置まで同一幅寸法で延在する2本のスリット
72,72が、該ノズル16の側面に対向して形成され
ている。そして、このスリット72,72が、泡注出後
にコック本体10および泡注出ノズル16内に残留する
泡を短時間で完全に落下させるべく機能する。ちなみ
に、スリット72の長さ寸法に関しては、泡注出ノズル
16の全長に対して約30〜50%の長さが効果的であ
り、40〜50%が良り好適であることが確認されてい
る。例えば、内径10mmで全長が60mmの泡注出ノ
ズル16に対して、幅3mmで長さ25mmのスリット
を形成した実験では、コック本体10および泡注出ノズ
ル16内に残留する泡を3〜4秒で完全に落下させるこ
とができた。なお、スリットを形成しない同一サイズの
泡注出ノズルでは、数十秒経過しても泡が完全には落下
しなかった。
【0016】(各種弁機構について)コック本体10にお
けるビール供給路12には、ビールや泡の流路を開閉す
る各種弁機構が内蔵される。この弁機構は、図1に示す
ように、スライダ20,スリーブ24,弁棒34,第1弁
体30,第1弁座26,第1弾性部材28,第2弁体42,
第2弁座38,第2弾性部材40等から構成される。
【0017】(スライダについて)図1で符号20は、ビ
ール供給路12に略密着状態で摺動自在に内挿される円
筒状のスライダを示し、このスライダ20の略中間部に
軸方向に交差する挿通孔20aが穿設されている。この
挿通孔20aには、組付け時に前記レバー18の下端部
に設けたコンロッド56が挿入されて、該レバー18の
前後の傾倒操作により前記スライダ20はビール供給路
12を進退移動させられる。また図1でスライダ20の
右端部に凹設した円筒状凹部にシール体38が嵌挿さ
れ、このシール体38が、後述する第2弁体42の着座
を許容する第2弁座として機能する。なお前記スライダ
20の右端外周に螺設した雄ネジ20bは、後述するス
リーブ24の左端内周に螺設した雌ネジ25aに螺合し
て、該スライダ20とスリーブ24との接続がなされ
る。
【0018】(スリーブについて)図1で符号24は、同
じくビール供給路12に略密着状態で摺動自在に内挿さ
れる円筒状のスリーブを示し、このスリーブ24には軸
方向に貫通する円筒中空部25が形成されている。そし
て円筒中空部25の左側内周面に螺設した雌ネジ25a
が、前記スライダ20の雄ネジ20bに螺合される。ま
た円筒中空部25の右端は内側段部25bとして構成さ
れ、この内側段部25bは後述の第2弾性部材40を該
円筒中空部25に内挿した際の位置決め部として機能す
る。更に、内側段部25bには円筒中空部25に連通す
る弁棒挿入孔68が穿設されて、後述する弁棒34の挿
入を許容している。
【0019】スリーブ24の外周には、所定間隔で第1
環状溝64および第2環状溝66が周設され、これは前
述のコック本体10に穿設した第1空気孔60および第
2空気孔62との協働作用下に、ビール注出ノズル14
および泡注出ノズル16との連通・非連通を行なうもの
である。図1では、スリーブ24の右側に位置するのが
第1環状溝64であり、その左側に位置するのが第2環
状溝66である。そして第1環状溝64および第2環状
溝66の間隔寸法が、第1空気孔60および第2空気孔
62の間隔寸法に対応させてあるのは前述の通りであ
る。またスリーブ24における第2環状溝66に右側が
掛かった状態で、スリーブ外周の半径方向に4つの通孔
22が穿設されて前記円筒中空部25に連通している。
これらの通孔22は、後述するレバー18の泡注出操作
に際して、前記泡注出ノズル16と連通し得るものであ
る。
【0020】(第1弁体について)先に述べた如くコック
本体10の拡大直径部には、第1弁座26として機能す
る半球状凹部が凹設され、この第1弁座26は前記ビー
ル供給路12の入口に連通している。また第1弁座26
には第1弁体30が着座して、前記ビール供給管48と
ビール供給路12との連通を開閉自在に遮断し得るよう
になっている。この第1弁体30は、組付け時にビール
供給管48の円錐状開口面48aとの間に介装したコイ
ルバネ等の第1弾性部材28により弾圧されて、常には
前記第1弁座26に当接している。また図1で第1弁体
30は、その左側が半球状のゴムシール面30aをなし
て前記第1弁座26との液密を確保し、また右側が紡錘
状のヘッド30bとして形成されている。また第1弁体
30には軸方向中心を貫通する通孔31が穿設されて、
後述する弁棒34の液体通路32に連通するようになっ
ている。
【0021】(弁棒について)図1に符号34で示す弁棒
は長尺の棒材として構成され、その軸方向中心に液体通
路32が貫通的に穿設されている。この弁棒34は、図
1の右側端部において前記第1弁体30に接続されて、
前記液体通路32を第1弁体30の通孔31に連通させ
ている。また弁棒34の左端部外周には雄ネジ34aが
螺設され、後述する第2弁体42の内部に螺設した雌ネ
ジ42aと螺合することで、これら弁棒34と第2弁体
42とを接続するようになっている。なお弁棒34は、
図2に示すように、組付け時には前記スリーブ24の弁
棒挿入孔68を介して該スリーブ24に挿入される。ま
た弁棒34にはコイルバネ等の第2弾性部材40(後述)
が外挿され、該弁棒34に接続した第2弁体42(後述)
と前記スリーブ24の内側段部25bとの間に該第2弾
性部材40を弾力的に介装させることで、第2弁体42
を前記スライダ20の第2弁座38に強制着座させてい
る。
【0022】(第2弁体について)図1で符号42は、前
記スリーブ24に内挿される第2弁体を示している。こ
の第2弁体42は、スリーブ24に略密着的に内挿し得
る軸方向に短い円筒体をなし、図1において右側の端部
に軸方向の雌ネジ42aが螺設されている。この雌ネジ
42aを、先に述べた如く、弁棒34の左端部に螺設し
た雄ネジ34aに螺合することで、第2弁体42は該弁
棒34に接続される。また第2弁体42の中心には細孔
36が穿設され、組付け時に第2弁体42と弁棒34と
を接続することで、この細孔36は弁棒34に穿設した
前記液体通路32に連通する。そして液体通路32から
到来したビールは、前記細孔36を通過する際に肌理の
細かい泡とされるものであるから、この細孔36の内径
はオリフィス状に極めて小さく設定される。更に第2弁
体42の左側開放端は、図1に示すように縮径頭部とし
て構成され、この縮径頭部が前記スライダ20に設けた
第2弁座38に着座し得るようになっている。なお第2
弁体42を第2弁座38に圧接して常には着座させる力
は、前記第1弁体30の側に設けられる前記第1弾性部
材28により主として与えられる。
【0023】(各種弁機構の組付けについて)前述した各
部材は有機的に組付けられた後に、前記コック本体10
のビール供給路12に内挿される。実際の組付けに際し
ては、弁棒34の第1弁体30を備えていない側を、前
記スリーブ24に弁棒挿入孔68を介して挿通する。ス
リーブ挿通後の弁棒34は、前記コイルバネに代表され
る第2弾性部材40に挿通した後、該弁棒34の左端の
雄ネジ34aを前記第2弁体42の雌ネジ42aに螺合
させる。このときコイルバネ40は、図2に示すよう
に、前記スリーブ24の円筒中空部25に収納可能であ
って、かつ該コイルバネ40の右端部は前記内側段部2
5bにより規制されると共に、左端部は前記第2弁体4
2により規制される。
【0024】次いで前記スリーブ24の左端内周の雌ネ
ジ25aと、前記スライダ20の右端外周の雄ネジ20
bとを螺合することで、該スリーブ24とスライダ20
とが接続される。このとき前記コイルバネ40は、スリ
ーブ24の円筒中空部25において圧縮状態となり、該
スリーブ24を図2において軸方向右側に弾力的に付勢
すると共に、第2弁体42を第2弁座38に着座させて
いる。なおコイルバネ40の弾力は、前記スライダ20
を左方向へ付勢して前記レバー18を図2に示す直立位
置に保持し得るよう設定されている。但し、第1弾性部
材としてのコイルバネ28の弾力に比べて、第2弾性部
材としてのコイルバネ40の弾力は小さく設定してあ
る。
【0025】このように組付けた各種弁機構は前記コッ
ク本体10のビール供給路12に内挿され、その後に該
コック本体10へ前記レバー18の取付けがなされる。
またコック本体10は前記ビール供給管48に取付けら
れる。これらの取付け作業は公知であるので、その作業
の説明は省略する。なお組付け完了時に前記コイルバネ
28は、第1弁体30とビール供給管48の円錐状開口
面48aとの間に弾力的に介装されるので、この第1弁
体30は前記第1弁座26に着座して常にはビール供給
管48とビール供給路12との連通を開閉自在に遮断し
ている。
【0026】
【実施例の作用】次に、実施例に係るビール注出コック
の作用につき以下説明する。図2は、図1に示した各種
弁機構をコック本体10に組込んだ実施例に係るビール
注出コック44の断面図である。このときレバー18は
操作前の中立位置にあって、ビールも泡も注出されない
状態となっている。すなわちレバー18の操作前は、ビ
ール供給管48の円錐状開口面48aに配置したコイル
バネ28により第1弁体30は第1弁座26に弾圧され
て着座し、該ビール供給管48からビール供給路12へ
のビールの供給を遮断している。また前記弁棒34に接
続した第2弁体42は、前記コイルバネ28により軸方
向左へ付勢されているので、前記スライダ20に設けた
第1弁座26に着座して、第2弁体42の細孔36を閉
塞している。このためビール注出ノズル14へのビール
の供給および泡注出ノズル16への泡の供給はなされな
い。
【0027】また図3に示すように、レバー操作前の状
態にあっては、前記スリーブ24の外周に周設した第1
環状溝64および第2環状溝66は、前記コック本体1
0に穿設した第1空気孔60および第2空気孔62と対
応的に合致するよう位置設定されている。このため外部
の空気は、第1空気孔60→第1環状溝64→ビール
注出ノズル14へと導入されると共に、第2空気孔6
2→第2環状溝66→泡注出ノズル16へと導入され
る。すなわち直前のビール注出操作によりビール注出ノ
ズル14の内壁に残留したビールは導入空気により容易
に落下し、また直前の泡注出操作によりコック本体10
および泡注出ノズル16の内壁に残留した泡も導入空気
により落下する。
【0028】(ビール注出操作について)図4に示す如
く、前記レバー18を手前側(図示左方)へ傾倒させる第
1操作を行なうと、前記スライダ20がビール供給路1
2を右方向へ後退移動する。スライダ20はスリーブ2
4に接続され、第2弁体42に端部接続した弁棒34は
前記第2のコイルバネ40により左方向へ付勢されてい
るから、該弁棒34は該スライダ20と共に右方向へ移
動する。このため第1弁体30も第1のコイルバネ28
の弾力に抗して右方向へ移動し、従って第1弁座26を
開放する。これにより前記ビール供給管48からのビー
ルは、ビール供給路12を介して前記ビール注出ノズル
14から図8に示すジョッキ(容器)70へ注出される。
【0029】このとき図5の要部拡大図に示す如く、第
2弁体42は前記コイルバネ40により軸方向左へ付勢
されているから、第2弁座38に着座して前記細孔36
を閉塞している。従って本段階では、泡注出ノズル16
への泡の供給はなされない。また前記レバー18の第1
操作によりスライダ20は右方向へ移動したため、前記
スリーブ24の第1環状溝64とコック本体10の第1
空気孔60との連通は断たれるに至っている。このため
外部空気はビール注出ノズル14へ導入されることがな
く、ビール注出時における空気混入に起因する発泡過多
が有効に防止される。なお第1操作段階における前記ス
ライダ20の位置は、前記スリーブ24の第2環状溝6
6とコック本体10の第2空気孔62との連通は遮断す
るに至っておらず、泡注出ノズル16には外部空気の導
入がなされている。
【0030】(泡注出操作について)図6に示す如く、前
記レバー18を後方側へ傾倒させる第2操作を行なう
と、前記スライダ20が第2のコイルバネ40に抗しつ
つビール供給路12を左方向へ前進移動する。このとき
前記弁棒34は第1弁体30を介して第1のコイルバネ
28により左側へ弾圧されているから、該弁棒34の位
置はレバー操作前の図2に示す位置と変更はない。すな
わちスライダ20に設けた第2弁座38は、前記弁棒3
4に固定した第2弁体42から離間することになり、こ
の第2弁体42に開設した前記細孔36を開放するに至
る。このため前記ビール供給管48からのビールは、第
1弁体30を貫通する通孔31および弁棒34の液体通
路32を介して前記細孔36から流出しようとする。し
かるに前記細孔36は、前述の如くオリフィス状に充分
小さい内径に設定してあるので、ビールはここで肌理の
細かい泡となる。そして図7に示すように、この泡は前
記スリーブ24に開設した半径方向の通孔22を介して
前記泡注出ノズル16に入り、該ノズル16から前記ジ
ョッキ70に貯留したビールに後注ぎされる。
【0031】このとき図7の要部拡大図に示す如く、前
記レバー18の第2操作によりスライダ20は左方向へ
移動したため、前記スリーブ24の第2環状溝66とコ
ック本体10の第2空気孔62との連通は断たれるに至
っている。このため外部空気は泡注出ノズル16へ導入
されることがなく、該ノズル16を通過する細かい良質
の泡に空気が混入して泡崩れを生ずることがない。なお
第2操作段階における前記スライダ20の位置は、前記
第1環状溝64と第1空気孔60との連通は遮断するに
至っていない。すなわちビール注出ノズル14には外部
空気の導入がなされている。
【0032】前記ビールが貯留されているジョッキ70
に泡注出ノズル16から泡を後注ぎした後、前記レバー
18を中立位置に戻すと、図3に示す如く、前記コック
本体10の第2空気孔62がスリーブ24の第2環状溝
66を介して泡注出ノズル16に連通して外部空気の導
入がなされ、コック本体10および泡注出ノズル16の
内部に残留している泡が導入空気により落下する。この
場合に、泡注出ノズル16内に残留する泡は、クリーム
状の肌理の細かいものであるために粘性が強く、外部空
気の導入によっても全ての泡が落下するのには時間が掛
かる。
【0033】しかるに実施例の泡注出ノズル16には、
その下端から所定高さ位置までスリット72,72が形
成されているので、該スリット72,72が形成されて
いる部分に残留している泡は極めて容易に落下し、更に
この泡の落下による吸引力によってノズル上部およびコ
ック本体10に残留している泡が引張られて短時間で落
下する。すなわち、泡注出後においてコック本体10や
泡注出ノズル16内に残留する泡を短時間で完全に落下
させることができ、次のビール注出までの待ち時間を短
かくすることができる。また、コック本体10や泡注出
ノズル16内に泡が長時間に臨って残留することがない
ので衛生的であり、泡が乾燥してノズル内に汚れが付く
のも防止し得る。更に、スリット72を形成したことで
泡の流速が分散して、ビールの液面に対する泡の叩き付
けが軽減されることで、落下の衝撃で大きな泡が生ずる
のも抑制することができる。
【0034】なお、実施例では泡注出ノズルに形成され
るスリットを2本としたが、1本あるいは3本以上であ
ってもよく、またその形成位置は側面に限られるもので
なく、何れの位置であってもよい。またスリット自体の
形状としては、その全長に亘って同一幅のもの以外に、
上方に向かうにつれて幅が徐々に狭くなる形状であって
もよい。
【0035】
【別実施例】図9は、別実施例に係るビール注出コック
の要部を示すものであって、基本的な構成は前述した実
施例と同じであるので、異なる部分についてのみ説明す
る。別実施例のビール注出コック44では、前記泡注出
ノズル16における内壁面、すなわち泡が接触する面
(泡接触面)に、食品衛生的に問題のない各種の撥水性を
有する材料がコーティングされた処理層74が形成され
ている。
【0036】この構成によれば、泡注出に際して泡注出
ノズル16の処理層74に接触して残留している泡は、
該処理層74の撥水作用によって極め容易に落下し、該
ノズル16内に残留する泡は短時間で確実に排出され
る。すなわち、泡注出後においてコック本体10や泡注
出ノズル16内に残留する泡を短時間で完全に落下させ
ることができ、次のビール注出までの待ち時間を短かく
することができる。また、コック本体10や泡注出ノズ
ル16内に泡が長時間に臨って残留することがないので
衛生的であり、泡が乾燥してノズル内に汚れが付くのも
防止し得る。
【0037】前述した別実施例では、泡注出ノズル16
の内壁面に撥水処理(処理層74)を施した場合で説明し
たが、撥水処理に代えて、親水性を有する材料をコーテ
ィングした処理層を形成する親水処理を施すようにして
もよい。この場合は、泡注出に際して泡注出ノズル16
の親水性を有する処理層に接触して残留している泡は、
該処理層の親水作用によって短時間で液状に変化して極
めて容易に落下し、前述したと同様の作用効果が得られ
る。また、泡注出ノズル16の内壁面に撥水処理や親水
処理を施すことで、該内壁面に対して汚れが付き難くな
り、衛生的となる。
【0038】なお、前述した実施例のように泡注出ノズ
ルにスリットを形成したものにおいて、その内壁面(泡
接触面)に、撥水処理や親水処理を施すことで、より確
実に泡を落下させ得る。
【0039】実施例や別実施例では発泡飲料注出ノズル
(ビール注出ノズル)と泡注出ノズルとを別々に備えた発
泡飲料注出コックの場合で説明したが、同一の注出ノズ
ルから発泡飲料と泡とを注出する構成であっても、その
注出ノズルにスリットを形成したり、その泡接触面に撥
水処理や親水処理を施すことで、泡を短時間で完全に落
下させることができる。また同一の注出ノズルを用いる
場合では、ビールを瞬時に流すという熟練を要する洗浄
操作は必要なく、熟練者でなくても、常に良好な状態で
発泡飲料への泡付けをなし得る。
【0040】
【発明の効果】以上に説明した如く、請求項1の発明に
係る発泡飲料注出コックによれば、注出ノズルにスリッ
トを形成したことで、コック本体やノズル内に残留する
泡を短時間で完全に落下させることができる。すなわ
ち、泡を後注ぎした後、短時間で次の発泡飲料の供給を
行なうことができるので、適量の泡が後注ぎされた発泡
飲料を短時間でより多く提供し得る。また、泡がコック
本体やノズル内に長時間に亘って残留しないから、注出
コック自体を常に衛生的に保つことができる。更に、請
求項2の発明では、注出ノズルには、コック本体に形成
した空気孔から外部空気が導入されるため、ノズル内部
に残留する泡の落下が更に容易化される。
【0041】また、請求項3または請求項4の発明に係
る発泡飲料注出コックによれば、注出ノズルの泡接触面
に、撥水処理または親水処理を施したので、泡注出に際
して泡注出ノズルに残留している泡は、撥水作用または
親水作用によって速やかにノズルから落下し、短時間で
泡を完全に排出し得る。すなわち、泡を後注ぎした後、
短時間で次の発泡飲料の供給を行ない得ると共に、注出
コック自体を衛生的に保ち得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施例に係る発泡飲料注出コ
ックを構成する各部材を、分解状態で示す断面図であ
る。
【図2】 飲料注出機の飲料供給管に接続した実施例に
係る発泡飲料注出コックの断面図であって、レバーは操
作前の中立位置にあるため発泡飲料も泡も注出されない
状態を示している。
【図3】 図2におけるスリーブの位置関係を示す要部
拡大図である。
【図4】 飲料注出機の飲料供給管に接続した実施例に
係る発泡飲料注出コックの断面図であって、レバーの第
1操作により発泡飲料だけが注出されている状態を示し
ている。
【図5】 図4におけるスリーブの位置関係を示す要部
拡大図である。
【図6】 飲料注出機の飲料供給管に接続した実施例に
係る発泡飲料注出コックの断面図であって、レバーの第
2操作により細かい泡だけが注出されている状態を示し
ている。
【図7】 図6におけるスリーブの位置関係を示す要部
拡大図である。
【図8】 好適な実施例に係る発泡飲料注出コックを取
付けた発泡飲料注出機の側面図である。
【図9】 別実施例に係る発泡飲料注出コックを示す要
部断面図である。
【符号の説明】
10 コック本体 12 ビール供給路(発泡飲料供給路) 16 泡注出ノズル(注出ノズル) 62 第2空気孔(空気孔) 70 ジョッキ(容器)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 周藤 康治 愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ 電機株式会社内 (72)発明者 小川 明 愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ 電機株式会社内 (72)発明者 天野 猶太 愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ 電機株式会社内 (72)発明者 近藤 滋計 愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ 電機株式会社内 Fターム(参考) 3E082 BB02 CC01 DD01 FF03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コック本体(10)に形成され、該コック本
    体(10)に穿設した発泡飲料供給路(12)に供給された発泡
    飲料から得られた泡を、発泡飲料が貯留されている容器
    (70)に後注ぎし得る注出ノズル(16)を備えた発泡飲料注
    出コックにおいて、 前記注出ノズル(16)に、その下端から所定高さ位置まで
    延在するスリット(72)を形成したことを特徴とする発泡
    飲料注出コック。
  2. 【請求項2】 前記コック本体(10)に、前記注出ノズル
    (16)に外部空気を導入可能な空気孔(62)が形成されてい
    る請求項1記載の発泡飲料注出コック。
  3. 【請求項3】 コック本体(10)に形成され、該コック本
    体(10)に穿設した発泡飲料供給路(12)に供給された発泡
    飲料から得られた泡を、発泡飲料が貯留されている容器
    (70)に後注ぎし得る注出ノズル(16)を備えた発泡飲料注
    出コックにおいて、 前記注出ノズル(16)の泡接触面に、撥水処理を施したこ
    とを特徴とする発泡飲料注出コック。
  4. 【請求項4】 コック本体(10)に形成され、該コック本
    体(10)に穿設した発泡飲料供給路(12)に供給された発泡
    飲料から得られた泡を、発泡飲料が貯留されている容器
    (70)に後注ぎし得る注出ノズル(16)を備えた発泡飲料注
    出コックにおいて、 前記注出ノズル(16)の泡接触面に、親水処理を施したこ
    とを特徴とする発泡飲料注出コック。
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