JP4427964B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のロール角が過大となることを防止するための車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に過大なロール角(本明細書においては、ロール方向における車体の水平方向からの傾斜角のことを云う。)が発生することにより車両の走行状態が不安定にならないように車両(の運動)を制御することが要求されている。このロール角の大きさは、車両が旋回状態にあるときの同車両に働く加速度の車体左右方向の成分である実横加速度の大きさ(従って、遠心力の大きさ)等に依存し、同実横加速度の増加に応じて大きくなる。一方、車両に働く実横加速度の大きさは、車両の旋回方向と反対方向にヨーイングモーメントを発生させることにより、又は車両を減速させることにより小さくなる。
【0003】
以上のことから、例えば、特許文献1に開示された車両の制動装置は、車両に働く実横加速度を検出する横加速度センサを備え、車両が旋回状態にあって横加速度センサにより検出された実横加速度(の絶対値)が所定の横転防止閾値を越えたとき、同車両の旋回方向における外側の車輪に所定の制動力を付与する制御を実行するようになっている。これによれば、前記所定の制動力により車両の旋回方向と反対方向のヨーイングモーメントが同車両に対して付与されるから、車両に働く実横加速度の大きさが減少させられて、その結果、車両に過大なロール角が発生することが防止され得る。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−81215号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記開示された従来の装置は、車両が水平な(若しくは、水平に近い)路面上を旋回しながら走行しているときに同車両に働く実横加速度(従って、遠心力)が増大することに起因して過大なロール角が発生する場合を想定した制御が実行されている。この場合、一般に、比較的大きな実横加速度(従って、遠心力)が車両に働かないとロール角が過大とならないことから、上記横転防止閾値は、一般に比較的大きな値に設定されている。
【0006】
しかしながら、水平な路面上を走行している車両が略直進しながら同水平な路面よりも高さが低くなっている路肩へ徐々に逸脱していくような場合等においては、路肩の形状によってはロール角が過大となる場合がある一方で、車両に働く実横加速度は比較的小さい値に維持されるから同実横加速度は上記横転防止閾値を越えない可能性が高い。従って、この場合、上記過大なロール角の発生を防止する制御が開始されず、その結果、ロール角が過大となる可能性がある。
【0007】
換言すれば、車両に働く横加速度等の車両の運動状態を示す値に基づいた制御では、過大なロール角の発生を防止することが困難な場合があり、過大なロール角の発生を確実に防止するためには車両が走行している路面の傾斜等の路面状態が考慮された制御が実行される必要がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、車両が走行している路面の状態を考慮することで車両のロール角が過大となることを確実に防止することができる車両の制御装置を提供することにある。
【0009】
【発明の概要】
本発明に係る車両の制御装置は、車両が走行している路面における車体左側の車輪の接地位置と車体右側の車輪の接地位置との鉛直方向における高低差に応じた値を取得する路面状態取得手段と、前記取得された高低差に応じた値が同高低差が所定値より大きいことを示す値であるか否かを判定する判定手段と、前記取得された高低差に応じた値が同高低差が前記所定値より大きいことを示す値であるとの前記判定手段による判定結果に基づいて前記車両のロール角が過大となることを防止するための特定処理を実行し、前記取得された高低差に応じた値が同高低差が前記所定値より大きいことを示す値でないとの前記判定手段による判定結果に基づいて前記特定処理を実行しない特定処理実行手段とを備える。この場合、前記路面状態取得手段は、前記車両が走行している路面の車体ロール方向における傾斜の程度を示す値を前記高低差に応じた値として取得するように構成されることが好適である。
【0010】
これによれば、車両が走行している路面における車体左側の車輪の接地位置と車体右側の車輪の接地位置との鉛直方向における高低差に応じた値(例えば、路面の車体ロール方向における傾斜(カント)量(傾斜角度))、即ち、路面の状態が考慮されて同車両のロール角が過大となることを防止するための特定処理が開始・実行され得る。従って、上述した車両が路肩へ徐々に逸脱していくような場合等、車両に働く実横加速度が比較的小さい値に維持された状態でロール角が過大となり得る場合においても、確実にロール角が過大となることが防止され得る。
【0011】
上記車両の制御装置においては、前記路面状態取得手段は、前記車両の運動状態を示す運動状態量を取得する運動状態量取得手段と、前記取得された運動状態量に基づいて前記車両に働く加速度の車体左右方向の成分である横加速度の推定値を推定横加速度として算出する推定横加速度算出手段と、前記車両に働く外力の車体左右方向の成分の値を検出することにより前記横加速度の実際値を実横加速度として取得する横加速度センサとを備え、前記算出された推定横加速度と前記取得された実横加速度との比較結果に基づいて前記高低差に応じた値を取得するように構成されることが好適である。
【0012】
車両の運動状態を示す運動状態量(例えば、各車輪の車輪速度)に基づいて算出される推定横加速度は、路面の状態(前記高低差の大小)に拘わらず車両に実際に働く実横加速度と同一(若しくは、略同一)の値となり得る。一方、車両に働く外力(重力、遠心力等)の車体左右方向の成分の値を検出することにより車両に実際に働く実横加速度を取得するように構成された横加速度センサの出力は、路面の状態(前記高低差の大小)に依存する。
【0013】
より具体的に述べると、車両が走行している路面において車体左側の車輪の接地位置と車体右側の車輪の接地位置との鉛直方向における高低差が存在すると、同高低差に応じて車体はロール方向に傾斜する(即ち、車両が停止していても前記高低差に応じたロール角が発生する。)。そうすると、車両に働く重力の車体左右方向の成分が前記高低差に応じて発生するようになり、同高低差に応じて発生する同重力の車体左右方向の成分の影響が上記構成を有する横加速度センサの出力として現れるようになる。従って、かかる横加速度センサの出力に対応する実横加速度(検出実横加速度)の値は、前記高低差に応じて車両に実際に働く実横加速度(従って、前記推定横加速度)の値と異なるようになる。換言すれば、上述した車両が路肩へ徐々に逸脱していくような場合等のように前記高低差が発生した場合、前記推定横加速度と前記検出実横加速度との比較結果(例えば、差、比、等)は同高低差の程度を表すことになる。
【0014】
上記構成はかかる知見に基づいたものであり、上記のように、前記運動状態量(例えば、各車輪の車輪速度)に基づいて推定横加速度算出手段により算出された推定横加速度と前記構成を有する横加速度センサにより取得された実横加速度(検出実横加速度)とを比較すれば、その比較結果に基づいて前記高低差に応じた値を、簡易、且つ正確に取得することができる。
【0015】
この場合、前記運動状態量取得手段は、車両の各車輪の車輪速度を前記運動状態量として取得するように構成され、前記推定横加速度算出手段は、少なくとも前記取得された車体左側の車輪の車輪速度と車体右側の車輪の車輪速度との差に基づいて前記推定横加速度を算出するように構成されることが好適である。ここにおいて、前記車体左側の車輪の車輪速度と車体右側の車輪の車輪速度との差は、左右前輪(或いは、左右後輪)の車輪速度の差、左前後輪の車輪速度の平均と右前後輪の車輪速度の平均との差、左前輪の車輪速度と右後輪の車輪速度との差、右前輪の車輪速度と左後輪の車輪速度との差等である。
【0016】
車体左側の車輪の車輪速度と車体右側の車輪の車輪速度との差は、路面の状態(前記高低差の大小)に拘わらず、車両の旋回の程度(ヨーレイト等)を精度良く表す値となり得る。また、車両に実際に働く実横加速度は同車両の旋回の程度(ヨーレイト等)に応じて変化する。従って、上記のように、車体左側の車輪の車輪速度と車体右側の車輪の車輪速度との差に基づいて前記推定横加速度を算出するように構成すれば、ヨーレイトセンサ等の車両の旋回の程度を表す値を検出する高価なセンサを用いることなく精度良く車両に実際に働く実横加速度を算出することができる。
【0017】
また、上記何れかの車両の制御装置においては、前記特定処理実行手段は、警報を発する処理、及び前記車両を減速させる処理の少なくとも一つを前記特定処理として実行するように構成されることが好適である。ここで、前記車両を減速させる処理は、例えば、運転者によるブレーキペダル操作の有無に拘わらず車両の車輪にブレーキ液圧によるブレーキ力を発生させる処理、又は、車両の駆動源(例えば、内燃機関)の出力を低下させる処理等である。
【0018】
前記高低差に応じた値が同高低差が所定値より大きいことを示す値となったとき(例えば、路面の車体ロール方向におけるカント量が所定の値よりも大きい値になったとき)に実行される、車両のロール角が過大となることを防止するための特定処理として、警報を発する処理が実行されると、前記高低差が大きいこと(例えば、前記カント量が大きいこと)を運転者に知らしめることができ、その結果、同運転者に車両のロール角を小さくするための処置(例えば、前記カント量が小さい路面上を車両が走行するようにステアリングを操作すること)を促すことで車両のロール角が過大となることが防止され得る。
【0019】
また、前記特定処理として車両を減速させる処理が実行されると、車体速度が減少することで、例えば、運転者が前記ロール角を小さくするための処置を実行する際に同運転者に余裕を与えることができ、その結果、確実に車両のロール角が過大となることが防止され得るようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による車両の制御装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両の制御装置10を搭載した車両の概略構成を示している。この車両は、操舵輪であり且つ非駆動輪である前2輪(左前輪FL及び右前輪FR)と、駆動輪である後2輪(左後輪RL及び右後輪RR)を備えた後輪駆動方式の4輪車両である。
【0021】
この車両の制御装置10は、操舵輪FL,FRを転舵するための前輪転舵機構部20と、駆動力を発生するとともに同駆動力を駆動輪RL,RRに伝達する駆動力伝達機構部30と、各車輪にブレーキ液圧によるブレーキ力を発生させるためのブレーキ液圧制御装置40と、各種センサから構成されるセンサ部50と、電気式制御装置60とを含んで構成されている。
【0022】
前輪転舵機構部20は、ステアリング21と、同ステアリング21と一体的に回動可能なコラム22と、同コラム22に連結された転舵アクチュエータ23と、同転舵アクチュエータ23により車体左右方向に移動させられるタイロッドを含むとともに同タイロッドの移動により操舵輪FL,FRを転舵可能なリンクを含んだリンク機構部24とから構成されている。これにより、ステアリング21が中立位置(基準位置)から回転することで操舵輪FL,FRの転舵角が車両が直進する基準角度から変更されるようになっている。
【0023】
転舵アクチュエータ23は、所謂公知の油圧式パワーステアリング装置を含んで構成されており、ステアリング21、即ちコラム22の回転トルクに応じてタイロッドを移動させる助成力を発生し、同ステアリング21の中立位置からのステアリング角度θsに比例して同助成力によりタイロッドを中立位置から車体左右方向へ変位させるものである。なお、かかる転舵アクチュエータ23の構成及び作動は周知であるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0024】
駆動力伝達機構部30は、駆動力を発生するエンジン31と、同エンジン31の吸気管31a内に配置されるとともに吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁THの開度TAを制御するDCモータからなるスロットル弁アクチュエータ32と、エンジン31の図示しない吸気ポート近傍に燃料を噴射するインジェクタを含む燃料噴射装置33と、エンジン31の出力軸に接続されたトランスミッション34と、同トランスミッション34から伝達される駆動力を適宜分配して同分配された駆動力を後輪RR,RLにそれぞれ伝達するディファレンシャルギヤ35とを含んで構成されている。
【0025】
ブレーキ液圧制御装置40は、その概略構成を表す図2に示すように、高圧発生部41と、ブレーキペダルBPの操作力に応じたブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生部42と、各車輪FR,FL,RR,RLにそれぞれ配置されたホイールシリンダWfr,Wfl,Wrr,Wrlに供給するブレーキ液圧をそれぞれ調整可能なFRブレーキ液圧調整部43,FLブレーキ液圧調整部44,RRブレーキ液圧調整部45,RLブレーキ液圧調整部46とを含んで構成されている。
【0026】
高圧発生部41は、電動モータMと、同電動モータMにより駆動されるとともにリザーバRS内のブレーキ液を昇圧する液圧ポンプHPと、液圧ポンプHPの吐出側にチェック弁CVHを介して接続されるとともに同液圧ポンプHPにより昇圧されたブレーキ液を貯留するアキュムレータAccとを含んで構成されている。
【0027】
電動モータMは、アキュムレータAcc内の液圧が所定の下限値を下回ったとき駆動され、同アキュムレータAcc内の液圧が所定の上限値を上回ったとき停止されるようになっており、これにより、アキュムレータAcc内の液圧は常時所定の範囲内の高圧に維持されるようになっている。
【0028】
また、アキュムレータAccとリザーバRSとの間にリリーフ弁RVが配設されており、アキュムレータAcc内の液圧が前記高圧より異常に高い圧力になったときに同アキュムレータAcc内のブレーキ液がリザーバRSに戻されるようになっている。これにより、高圧発生部41の液圧回路が保護されるようになっている。
【0029】
ブレーキ液圧発生部42は、ブレーキペダルBPの作動により応動するハイドロブースタHBと、同ハイドロブースタHBに連結されたマスタシリンダMCとから構成されている。ハイドロブースタHBは、液圧高圧発生部41から供給される前記高圧を利用してブレーキペダルBPの操作力を所定の割合で助勢し同助勢された操作力をマスタシリンダMCに伝達するようになっている。
【0030】
マスタシリンダMCは、前記助勢された操作力に応じたマスタシリンダ液圧を発生するようになっている。また、ハイドロブースタHBは、マスタシリンダ液圧を入力することによりマスタシリンダ液圧と略同一の液圧である前記助勢された操作力に応じたレギュレータ液圧を発生するようになっている。これらマスタシリンダMC及びハイドロブースタHBの構成及び作動は周知であるので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。このようにして、マスタシリンダMC及びハイドロブースタHBは、ブレーキペダルBPの操作力に応じたマスタシリンダ液圧及びレギュレータ液圧をそれぞれ発生するようになっている。
【0031】
マスタシリンダMCとFRブレーキ液圧調整部43の上流側及びFLブレーキ液圧調整部44の上流側の各々との間には、3ポート2位置切換型の電磁弁である制御弁SA1が介装されている。同様に、ハイドロブースタHBとRRブレーキ液圧調整部45の上流側及びRLブレーキ液圧調整部46の上流側の各々との間には、3ポート2位置切換型の電磁弁である制御弁SA2が介装されている。また、高圧発生部41と制御弁SA1及び制御弁SA2の各々との間には、2ポート2位置切換型の常閉電磁開閉弁である切換弁STRが介装されている。
【0032】
制御弁SA1は、図2に示す第1の位置(非励磁状態における位置)にあるときマスタシリンダMCとFRブレーキ液圧調整部43の上流部及びFLブレーキ液圧調整部44の上流部の各々とを連通するとともに、第2の位置(励磁状態における位置)にあるときマスタシリンダMCとFRブレーキ液圧調整部43の上流部及びFLブレーキ液圧調整部44の上流部の各々との連通を遮断して切換弁STRとFRブレーキ液圧調整部43の上流部及びFLブレーキ液圧調整部44の上流部の各々とを連通するようになっている。
【0033】
制御弁SA2は、図2に示す第1の位置(非励磁状態における位置)にあるときハイドロブースタHBとRRブレーキ液圧調整部45の上流部及びRLブレーキ液圧調整部46の上流部の各々とを連通するとともに、第2の位置(励磁状態における位置)にあるときハイドロブースタHBとRRブレーキ液圧調整部45の上流部及びRLブレーキ液圧調整部46の上流部の各々との連通を遮断して切換弁STRとRRブレーキ液圧調整部45の上流部及びRLブレーキ液圧調整部46の上流部の各々とを連通するようになっている。
【0034】
これにより、FRブレーキ液圧調整部43の上流部及びFLブレーキ液圧調整部44の上流部の各々には、制御弁SA1が第1の位置にあるときマスタシリンダ液圧が供給されるとともに、制御弁SA1が第2の位置にあり且つ切換弁STRが第2の位置(励磁状態における位置)にあるとき高圧発生部41が発生する高圧が供給されるようになっている。
【0035】
同様に、RRブレーキ液圧調整部45の上流部及びRLブレーキ液圧調整部46の上流部の各々には、制御弁SA2が第1の位置にあるときレギュレータ液圧が供給されるとともに、制御弁SA2が第2の位置にあり且つ切換弁STRが第2の位置にあるとき高圧発生部41が発生する高圧が供給されるようになっている。
【0036】
FRブレーキ液圧調整部43は、2ポート2位置切換型の常開電磁開閉弁である増圧弁PUfrと、2ポート2位置切換型の常閉電磁開閉弁である減圧弁PDfrとから構成されており、増圧弁PUfrは、図2に示す第1の位置(非励磁状態における位置)にあるときFRブレーキ液圧調整部43の上流部とホイールシリンダWfrとを連通するとともに、第2の位置(励磁状態における位置)にあるときFRブレーキ液圧調整部43の上流部とホイールシリンダWfrとの連通を遮断するようになっている。減圧弁PDfrは、図2に示す第1の位置(非励磁状態における位置)にあるときホイールシリンダWfrとリザーバRSとの連通を遮断するとともに、第2の位置(励磁状態における位置)にあるときホイールシリンダWfrとリザーバRSとを連通するようになっている。
【0037】
これにより、ホイールシリンダWfr内のブレーキ液圧は、増圧弁PUfr及び減圧弁PDfrが共に第1の位置にあるときホイールシリンダWfr内にFRブレーキ液圧調整部43の上流部の液圧が供給されることにより増圧され、増圧弁PUfrが第2の位置にあり且つ減圧弁PDfrが第1の位置にあるときFRブレーキ液圧調整部43の上流部の液圧に拘わらずその時点の液圧に保持されるとともに、増圧弁PUfr及び減圧弁PDfrが共に第2の位置にあるときホイールシリンダWfr内のブレーキ液がリザーバRSに戻されることにより減圧されるようになっている。
【0038】
また、増圧弁PUfrにはブレーキ液のホイールシリンダWfr側からFRブレーキ液圧調整部43の上流部への一方向の流れのみを許容するチェック弁CV1が並列に配設されており、これにより、制御弁SA1が第1の位置にある状態で操作されているブレーキペダルBPが開放されたときホイールシリンダWfr内のブレーキ液圧が迅速に減圧されるようになっている。
【0039】
同様に、FLブレーキ液圧調整部44,RRブレーキ液圧調整部45及びRLブレーキ液圧調整部46は、それぞれ、増圧弁PUfl及び減圧弁PDfl,増圧弁PUrr及び減圧弁PDrr,増圧弁PUrl及び減圧弁PDrlから構成されており、これらの各増圧弁及び各減圧弁の位置が制御されることにより、ホイールシリンダWfl,ホイールシリンダWrr及びホイールシリンダWrl内のブレーキ液圧をそれぞれ増圧、保持、減圧できるようになっている。また、増圧弁PUfl,PUrr及びPUrlの各々にも、上記チェック弁CV1と同様の機能を達成し得るチェック弁CV2,CV3及びCV4がそれぞれ並列に配設されている。
【0040】
また、制御弁SA1にはブレーキ液の上流側から下流側への一方向の流れのみを許容するチェック弁CV5が並列に配設されており、同制御弁SA1が第2の位置にあってマスタシリンダMCとFRブレーキ液圧調整部43及びFLブレーキ液圧調整部44の各々との連通が遮断されている状態にあるときに、ブレーキペダルBPを操作することによりホイールシリンダWfr,Wfl内のブレーキ液圧が増圧され得るようになっている。また、制御弁SA2にも、上記チェック弁CV5と同様の機能を達成し得るチェック弁CV6が並列に配設されている。
【0041】
以上、説明した構成により、ブレーキ液圧制御装置40は、全ての電磁弁が第1の位置にあるときブレーキペダルBPの操作力に応じたブレーキ液圧を各ホイールシリンダに供給できるようになっている。また、この状態において、例えば、増圧弁PUrr及び減圧弁PDrrをそれぞれ制御することにより、ホイールシリンダWrr内のブレーキ液圧のみを所定量だけ減圧することができるようになっている。
【0042】
また、ブレーキ液圧制御装置40は、ブレーキペダルBPが操作されていない状態(開放されている状態)において、例えば、制御弁SA1,切換弁STR及び増圧弁PUflを共に第2の位置に切換るとともに増圧弁PUfr及び減圧弁PDfrをそれぞれ制御することにより、ホイールシリンダWfl内のブレーキ液圧を保持した状態で高圧発生部41が発生する高圧を利用してホイールシリンダWfr内のブレーキ液圧のみを所定量だけ増圧することもできるようになっている。このようにして、ブレーキ液圧制御装置40は、ブレーキペダルBPの操作に拘わらず、各車輪のホイールシリンダ内のブレーキ液圧をそれぞれ独立して制御し、各車輪毎に独立して所定のブレーキ力を付与することができるようになっている。
【0043】
再び図1を参照すると、センサ部50は、各車輪FL,FR,RL及びRRが所定角度回転する度にパルスを有する信号をそれぞれ出力するロータリーエンコーダから構成される運動状態量取得手段としての車輪速度センサ51fl,51fr,51rl及び51rrと、ステアリング21の中立位置からの回転角度を検出し、ステアリング角度θsを示す信号を出力するステアリング操作量取得手段としてのステアリング角度センサ52と、運転者により操作されるアクセルペダルAPの操作量を検出し、同アクセルペダルAPの操作量Accpを示す信号を出力するアクセル開度センサ53と、車両に働く実際の加速度の車体左右方向の成分である実横加速度を検出し、(検出)実横加速度Gy(m/s2)を示す信号Vaを出力する横加速度センサ54と、運転者によりブレーキペダルBPが操作されているか否かを検出し、ブレーキ操作の有無を示す信号を出力するブレーキスイッチ55とから構成されている。
【0044】
ステアリング角度センサ52が検出するステアリング角度θsは、ステアリング21が中立位置にあるときに「0」となり、同中立位置からステアリング21を(ドライバーから見て)反時計まわりの方向へ回転させたときに正の値、同中立位置から同ステアリング21を時計まわりの方向へ回転させたときに負の値となるように設定されている。
【0045】
横加速度センサ54は、その概略構成を表す図3に示すように、車両の重心位置近傍で車体に固定された内部に空間を有する基部54aと、基部54aの空間内にて車体前後方向に沿って同基部54aから車体上方に向けて立設された略直方体を呈する立設部材54bと、立設部材54bの車体左右方向を向いた各々の面にセラミック圧電素子54c,54cを介してそれぞれ接続されたおもり54d,54dとを含んで構成されている。
【0046】
セラミック圧電素子54c,54cは、おもり54d,54d(従って、車両)に働く外力(遠心力、重力等)の車体左右方向の成分の値に応じて発生する同セラミック圧電素子54c,54cの車体左右方向のひずみに応じた電圧(電位差)Vaを発生するようになっている。従って、横加速度センサ54は、かかる電圧(信号)Vaに基づいて車両が旋回しているときに同車両に発生する遠心力に応じた横加速度を検出実横加速度Gyとして検出することができる。
【0047】
また、車体ロール方向において傾斜している路面上を車両が走行することで車体がロール方向に傾斜していると(ロール角が「0」でないとき)、前記路面の傾斜の程度、即ち、路面における車体左側の車輪の接地位置と車体右側の車輪の接地位置との鉛直方向における高低差に応じた値(以下、「カント量CANT」と称呼する。)に応じておもり54d,54d(従って、車両)に働く重力の車体左右方向の成分が発生するようになり、横加速度センサ54が発生する電圧Vaは同カント量CANTに応じて変化する。この結果、横加速度センサ54は、前記カント量CANTに応じた分だけ車両に実際に発生している(旋回走行による遠心力に基づく)実横加速度と相違する加速度を検出実横加速度Gyとして検出するようになっている。
【0048】
なお、この検出実横加速度Gyは、車体右方向の外力がおもり54d,54d(従って、車両)に働くとき、即ち、例えば、車両が左方向へ旋回することで遠心力が車体右方向に働くとき、路面の傾斜により車体が車体右方向に傾斜(ロール)しているとき等に正の値となり、一方、車体左方向の外力がおもり54d,54d(従って、車両)に働くとき、即ち、例えば、車両が右方向へ旋回することで遠心力が車体左方向に働くとき、路面の傾斜により車体が車体左方向に傾斜(ロール)しているとき等に負の値となるように設定されている。
【0049】
電気式制御装置60は、互いにバスで接続されたCPU61、CPU61が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、定数等を予め記憶したROM62、CPU61が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM63、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM64、及びADコンバータを含むインターフェース65等からなるマイクロコンピュータである。インターフェース65は、前記センサ51〜55と接続され、CPU61にセンサ51〜55からの信号を供給するとともに、同CPU61の指示に応じてブレーキ液圧制御装置40の各電磁弁及びモータM、スロットル弁アクチュエータ32、及び燃料噴射装置33に駆動信号を送出するようになっている。また、インターフェース65は、CPU61の指示に応じてユーザーに車両横転の可能性が高いことを知らしめる警報をアラーム56に発生せしめるための警報指示信号を同アラーム56に送出するようになっている。
【0050】
これにより、スロットル弁アクチュエータ32は、スロットル弁THの開度TAがアクセルペダルAPの操作量Accpに原則的に応じてCPU61により設定される目標スロットル弁開度TAtになるように同スロットル弁THを駆動するとともに、燃料噴射装置33は、スロットル弁THの開度に応じて決定される吸入空気量に対して所定の目標空燃比(理論空燃比)を得るために必要な量の燃料を噴射するようになっている。
【0051】
(車両の運動制御の概要)
本発明による車両の制御装置10(以下、「本装置」と云うこともある。)は、車両の運動モデルから導かれる所定の規則としての理論式である下記数1に基づいて目標横加速度Gyt(m/s2)を算出する。この目標横加速度Gytは、車両が左方向へ旋回しているとき(ステアリング角度θs(deg)が正の値のとき)に正の値、車両が右方向へ旋回しているとき(ステアリング角度θsが負の値のとき)に負の値となるように設定される。なお、この理論式は、ステアリング角度及び車体速度が共に一定である状態で車両が旋回するとき(定常円旋回時)に車両に働く横加速度の理論値を算出する式である。
【0052】
【数1】
Gyt=(Vso2・θs)/(n・l)・(1/(1+Kh・Vso2))
【0053】
上記数1において、Vsoは後述するように算出される推定車体速度(m/s)である。また、nは操舵輪FL,FRの転舵角度の変化量に対するステアリング21の回転角度の変化量の割合であるギヤ比(一定値)であり、lは車体により決定される一定値である車両のホイールベース(m)であり、Khは車体により決定される一定値であるスタビリティファクタ(s2/m2)である。
【0054】
また、本装置は、下記数2に基づいて、上述したように計算した目標横加速度Gytの絶対値と横加速度センサ54により得られる検出実横加速度Gyの絶対値との偏差である横加速度偏差ΔGy(m/s2)を算出する。
【0055】
【数2】
ΔGy=|Gyt|-|Gy|
【0056】
そして、この横加速度偏差ΔGyの値が正の値であるとき、車両は目標横加速度Gytが同車両に発生していると仮定したときの旋回半径よりも同旋回半径が大きくなる状態(以下、「アンダーステア状態」と称呼する。)にあるので、本装置は、アンダーステア状態を抑制するためのアンダーステア抑制制御を実行する。具体的には、本装置は、旋回方向内側の後輪に上記横加速度偏差ΔGyの値に応じた所定のブレーキ力を発生させて車両に対して旋回方向と同一方向のヨーイングモーメントを強制的に発生させる。これにより、検出実横加速度Gyの絶対値が大きくなり、検出実横加速度Gyが目標横加速度Gytに近づくように制御される。
【0057】
また、横加速度偏差ΔGyの値が負の値であるとき、車両は目標横加速度Gytが同車両に発生していると仮定したときの旋回半径よりも同旋回半径が小さくなる状態(以下、「オーバーステア状態」と称呼する。)にあるので、本装置は、オーバーステア状態を抑制するためのオーバーステア抑制制御を実行する。具体的には、本装置は、旋回方向外側の前輪に上記横加速度偏差ΔGyの値に応じた所定のブレーキ力を発生させて車両に対して旋回方向と反対方向のヨーイングモーメントを強制的に発生させる。これにより、検出実横加速度Gyの絶対値が小さくなり、検出実横加速度Gyが目標横加速度Gytに近づくように制御される。
【0058】
このようにして、アンダーステア抑制制御又はオーバーステア抑制制御(以下、これらを併せて「制動操舵制御」と総称する。)を実行することにより、本装置は、各車輪に付与すべきブレーキ力を制御して検出実横加速度Gy(従って、旋回走行時に車両に発生する遠心力に基づく横加速度)が上記のように計算される目標横加速度Gytに近づく方向に車両に対して所定のヨーイングモーメントを発生させる。また、制動操舵制御を実行する際に、後述するアンチスキッド制御、前後制動力配分制御、及びトラクション制御のうちのいずれか一つも併せて実行する必要があるとき、本装置は、同いずれか一つの制御を実行するために各車輪に付与すべきブレーキ力をも考慮して各車輪に付与すべきブレーキ力を最終的に決定する。以上が、本装置による車両の運動制御の概要である。
【0059】
(横転防止のための処理)
水平な路面上を走行している車両が略直進しながら同水平な路面よりも高さが低くなっている路肩へ徐々に逸脱していくような場合等、車両が走行している路面における車体左側の車輪の接地位置と車体右側の車輪の接地位置との鉛直方向における高低差が大きくなると(従って、カント量CANTの絶対値が大きくなると)車両のロール角が過大となり易くなるから、同ロール角が過大となることを防止する必要がある。
【0060】
ここで、先に説明したように、車両が略直進走行している路面が車体ロール方向において傾斜していると(従って、カント量CANTが「0」でないとき)、横加速度センサ54は、車両に実際に発生している(旋回走行による遠心力に基づく)実横加速度(≒0)の絶対値よりも同カント量CANTに応じた分だけ絶対値が大きい加速度を検出実横加速度Gyとして検出する。従って、車両に実際に発生している(旋回走行による遠心力に基づく)実横加速度と横加速度センサ54による前記検出実横加速度Gyとの差はカント量CANTを表す値となる。
【0061】
また、車両に実際に発生している(旋回走行による遠心力に基づく)実横加速度は、各車輪がスリップしていないときにおける車体左側の車輪の車輪速度と車体右側の車輪の車輪速度との差に基づいて正確に推定することができる。具体的には、かかる推定横加速度Gyest(m/s2)は、車体左側の車輪の車輪速度としての車輪速度センサ51fl,51rlにより後述するように得られる左前輪FLの車輪速度Vwflと左後輪RLの車輪速度Vwrlの平均Vwlaveと、車体右側の車輪の車輪速度としての車輪速度センサ51fr,51rrにより後述するように得られる右前輪FRの車輪速度Vwfrと右後輪RRの車輪速度Vwrrの平均Vwraveとの差、前記推定車体速度Vso、及び、左右輪(例えば、左右後輪RL,RR)のタイヤ踏面の路面との接触面における各車体左右方向の中心線間の距離であるホイールトレッドT(m)の値とにより、下記数3に従って計算され得る。なお、この推定横加速度Gyestは、下記数3から理解できるように、横加速度センサ54が検出する検出実横加速度Gyと同様、車両が左方向へ旋回するときに正の値となり、車両が右方向へ旋回するときに負の値となるように計算される。このようにして、推定横加速度を算出する手段が推定横加速度算出手段に相当する。
【0062】
【数3】
Gyest=(Vwrave-Vwlave)・Vso / T
【0063】
そこで、本装置は、横加速度センサ54が検出する検出実横加速度Gyから上記数3により計算される推定横加速度Gyestを減じることで下記数4に従ってカント量CANTを計算する。このようにして、前記高低差に応じた値であるカント量CANTを計算する手段が路面状態取得手段に相当する。
【0064】
【数4】
CANT=Gy-Gyest
【0065】
そして、本装置は、検出実横加速度Gyの絶対値が推定横加速度Gyestの絶対値よりも大きく、且つ、上記数4に従って計算したカント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefよりも大きいときに車両が横転可能性大の状態にあると判定する。ここで、検出実横加速度Gyの絶対値が推定横加速度Gyestの絶対値よりも大きいことが条件に加えられているのは、推定横加速度Gyestの絶対値が検出実横加速度Gyの絶対値よりも大きくなることでカント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefよりも大きくなって車両が横転可能性大の状態にあると誤判定されることを防止するためである。
【0066】
即ち、各車輪のうちの何れかがスリップ等していると、推定横加速度Gyest(の絶対値)が誤って大きい値として計算されることがある。この場合、路面の実際のカント量(の絶対値)が小さくて車両が横転の可能性が低い状態にあるにも拘わらず、上記数4に従って計算されるカント量CANT(の絶対値)が横転防止閾値CANTrefよりも大きく計算される可能性があり、これを防止するためである。
【0067】
そして、本装置は、車両が横転可能性大の状態にあると判定した後に横転防止処理を実行する。この横転防止処理は、前記車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態が継続する時間に応じて異なる。以下、図4に示すタイムチャートを参照しながらより具体的に説明する。図4は、水平なアスファルト道路上を走行している車両が略直進しながら同アスファルト道路よりも高さが低くなっている右側の路肩へ徐々に逸脱していく場合における、横加速度センサ54が検出する検出実横加速度Gy、上記数3により計算される推定横加速度Gyest、及び上記数4により計算されるカント量CANTの変化を示したタイムチャートである。
【0068】
図4において、時刻t0から時刻t5以降までの間、車両は継続して略直進していてステアリング角度θsは継続して略「0」に維持されているものと仮定する。そうすると、時刻t0から時刻t5以降までの間、車体右側の車輪の車輪速度Vwraveと車体左側の車輪の車輪速度Vwlaveとの差は略「0」に維持される。従って、図4に示したように、この間において、上記数3に従って計算される推定横加速度Gyest(及び、車両に実際に働く(旋回走行による遠心力に基づく)実横加速度)は、終始、略「0」に維持されている。
【0069】
一方、車両は、時刻t0から時刻t1までの間、4輪の総てがアスファルト道路上にあるから車両が走行している路面における車体左側の車輪の接地位置と車体右側の車輪の接地位置との鉛直方向における高低差が「0」となっている(ロール角が「0」となっている)。従って、車両に働く重力の車体左右方向の成分(及び、車両に働く遠心力)が「0」になっているから、横加速度センサ54が検出する検出実横加速度Gyも略「0」に維持されている。よって、時刻t0から時刻t1までの間、上記数4に従って計算されるカント量CANTも略「0」に維持されている。
【0070】
時刻t1になると、車両の右側の車輪FR,RRのみがアスファルト道路上から右側の路肩に逸脱し始めて前記高低差が発生開始する。これにより、車体が右側に傾斜を開始して、前記高低差(路面の実際のカント量)に応じた車両(従って、横加速度センサ54のおもり54d,54d)に働く重力Wの車体右方向の成分Fが発生開始する。従って、検出実横加速度Gyは前記成分Fに応じた正の値を採るようになり、これに応じて上記数4に従って計算されるカント量CANTも同成分Fに応じた正の値を採るようになる。
【0071】
時刻t1以降、車両の右側の路肩への逸脱が徐々に進行するにつれて前記高低差(従って、前記成分F)が徐々に大きくなり、検出実横加速度Gy、従って、カント量CANTの値は、時刻t2になると前記横転防止閾値CANTrefに到達するとともに、時刻t2以降も同横転防止閾値CANTrefよりも大きい値に維持される。この結果、時刻t2以降、「検出実横加速度Gyの絶対値が推定横加速度Gyestの絶対値よりも大きく、且つ、カント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefよりも大きい」という条件が成立し続けるから、前記「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が継続するようになる。
【0072】
そして、本装置は、時刻t3になると、即ち、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が時刻t2から第1所定時間T1だけ継続すると、アラーム56を利用してユーザーに車両横転の可能性が高いことを知らしめる警報を発生開始するとともに、その後に同状態が継続する限りにおいて同警報を発生し続ける。
【0073】
更に、本装置は、時刻t4になると、即ち、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が時刻t2から第2所定時間T2だけ継続すると、運転者のアクセル操作量Accpに拘わらず目標スロットル弁開度TAtを「0」に固定することでエンジン31の出力の低下を開始させるとともに、その後に同状態が継続する限りにおいて同エンジン31の出力の低下処理を継続する。これにより、車両はエンジン31により発生するエンジンブレーキにより緩やかに減速せしめられる。
【0074】
更に、本装置は、時刻t5になると、即ち、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が時刻t2から第3所定時間T3だけ継続すると、運転者のブレーキペダルBPの操作の有無に拘わらず車両の各車輪にブレーキ液圧による所定のブレーキ力を強制的に発生開始させるとともに、その後に同状態が継続する限りにおいて同ブレーキ力の強制発生処理を継続する。これにより、車両は比較的急激に減速せしめられる。
【0075】
以上のように、本装置は、横転防止のための特定処理として、時刻t3以降時刻t4までの間、アラーム56による警報処理のみを実施し、時刻t4以降時刻t5までの間、アラーム56による警報処理に加えてエンジン31の出力の低下処理を実施するとともに、時刻t5以降、アラーム56による警報処理、及びエンジン31の出力の低下処理に加えてブレーキ力の強制発生処理を実施する。なお、時刻t3以降において、運転者がステアリング21を同運転者からみて反時計まわりに所定量回転させる等により前記高低差が(従って、前記成分F)が小さくなって検出実横加速度Gy、従って、カント量CANTの値が横転防止閾値CANTref以下になると、その時点にて上記特定処理は中止される。このようにして特定処理を実行する手段が特定処理実行手段に相当する。
【0076】
(実際の作動)
次に、以上のように構成された本発明による車両の制御装置10の実際の作動について、電気式制御装置60のCPU61が実行するルーチンをフローチャートにより示した図5〜図11を参照しながら説明する。なお、各種変数・フラグ・符号等の末尾に付された「**」は、同各種変数・フラグ・符号等が各車輪FR等のいずれに関するものであるかを示すために同各種変数・フラグ・符号等の末尾に付される「fl」,「fr」等の包括表記であって、例えば、車輪速度Vw**は、左前輪速度Vwfl, 右前輪速度Vwfr, 左後輪速度Vwrl, 右後輪速度Vwrrを包括的に示している。
【0077】
CPU61は、図5に示したスロットル弁THの開度TAを制御するためのルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ500から処理を開始し、ステップ505に進んで、アクセル開度センサ53が検出するアクセル操作量Accpを読み込む。
【0078】
次に、CPU61はステップ510に進み、前記読み込んだアクセル操作量Accpと、アクセル操作量Accpと目標スロットル弁開度TAtとの関係を規定するステップ510内に示したテーブルとに基づいて目標スロットル弁開度TAtを算出する。これにより、目標スロットル弁開度TAtの値が運転者によるアクセル操作量Accpの増加に応じて増加するように算出される。
【0079】
次いで、CPU61はステップ515に進み、ロール大継続時間表示フラグROLLの値が「1」以下であるか否かを判定する。ここで、後述するように、ロール大継続時間表示フラグROLLは、その値が「0」のとき上記「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が継続している時間が上記第1所定時間T1未満であることを示し、その値が「1」のとき同継続している時間が同第1所定時間T1以上であって上記第2所定時間T2未満であることを示し、その値が「2」のとき同継続している時間が同第2所定時間T2以上であって上記第3所定時間T3未満であることを示すとともに、その値が「3」のとき同継続している時間が同第3所定時間T3以上であることを示す。
【0080】
いま、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が発生しておらず(例えば、図4において時刻t0〜t2までを参照。)、ロール大継続時間表示フラグROLLの値が「0」になっているものとして説明を続けると、CPU61はステップ515にて「Yes」と判定してステップ520に進み、スロットル弁開度TAがステップ510にて算出したアクセル操作量Accpに応じた目標スロットル弁開度TAtになるようにスロットル弁アクチュエータ32に対して駆動指示を行った後、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0081】
以降、CPU61は図5のルーチンを繰り返し実行するが、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が発生しない(或いは、同状態が継続している時間が前記第2所定時間T2未満である)限りにおいて、ステップ515にて「Yes」と判定し続けるからスロットル弁開度TAはアクセル操作量Accpに応じた目標スロットル弁開度TAtになるように制御される。従って、燃料噴射装置33は、運転者によるアクセル操作量Accpに応じた量の燃料を噴射するからエンジン31は同アクセル開度Accpに応じた出力を発生し続ける。
【0082】
また、CPU61は図6に示した車輪速度Vw**等の計算を行うルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ600から処理を開始し、ステップ605に進んで運動状態量としての各車輪FR等の車輪速度(各車輪の外周の速度)Vw**をそれぞれ算出する。具体的には、CPU61は各車輪速度センサ51**が出力する信号が有するパルスの時間間隔に基づいて各車輪FR等の車輪速度Vw**をそれぞれ算出する。
【0083】
次いで、CPU61はステップ610に進み、各車輪FR等の車輪速度Vw**のうちの最大値を推定車体速度Vsoとして算出する。なお、各車輪FR等の車輪速度Vw**の平均値を推定車体速度Vsoとして算出してもよい。ここで、ステップ610は車体速度取得手段に対応している。
【0084】
次に、CPU61はステップ615に進み、ステップ610にて算出した推定車体速度Vsoの値と、ステップ605にて算出した各車輪FR等の車輪速度Vw**の値と、ステップ615内に記載した式とに基づいて各車輪毎の実際のスリップ率Sa**を算出する。この実際のスリップ率Sa**は、後述するように、各車輪に付与すべきブレーキ力を計算する際に使用される。
【0085】
次に、CPU61はステップ620に進んで、下記数5に基づいて推定車体速度Vsoの時間微分値である推定車体加速度DVsoを算出する。
【0086】
【数5】
DVso=(Vso-Vso1)/Δt
【0087】
上記数5において、Vso1は前回の本ルーチン実行時にステップ610にて算出した前回の推定車体速度であり、Δtは本ルーチンの演算周期である上記所定時間である。そして、CPU61はステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。以降も、CPU61は図6のステップを繰り返し実行する。
【0088】
次に、横加速度偏差の算出について説明すると、CPU61は図7に示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ700から処理を開始し、ステップ705に進んで、ステアリング角度センサ52により得られるステアリング角度θsの値と、図6のステップ610にて算出した推定車体速度Vsoの値と、上記数1の右辺に対応するステップ705内に記載した式とに基づいて目標横加速度Gytを算出する。ここで、ステップ705は、目標横加速度算出手段に対応している。
【0089】
次に、CPU61はステップ710に進んで、前記目標横加速度Gytの値と、横加速度センサ54により得られる検出実横加速度Gyの値と、上記数2の右辺に対応するステップ710内に記載した式とに基づいて横加速度偏差ΔGyを算出する。そして、CPU61はステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0090】
次に、上記した制動操舵制御のみを実行する際に各車輪に付与すべきブレーキ力を決定するために必要となる各車輪の目標スリップ率の算出について説明すると、CPU61は図8に示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ800から処理を開始し、ステップ805に進んで、横加速度センサ54により得られる検出実横加速度Gyの値が「0」以上であるか否かを判定し、検出実横加速度Gyの値が「0」以上である場合には同ステップ805にて「Yes」と判定してステップ810に進み、旋回方向表示フラグLを「1」に設定する。また、検出実横加速度Gyの値が負の値である場合には同ステップ805にて「No」と判定してステップ815に進み、旋回方向表示フラグLを「0」に設定する。
【0091】
ここで、旋回方向表示フラグLは、車両が左方向に旋回しているか右方向に旋回しているかを示すフラグであり、その値が「1」のときは車両が左方向に旋回していることを示し、その値が「0」のときは車両が右方向に旋回していることを示している。従って、旋回方向表示フラグLの値により車両の旋回方向が特定される。
【0092】
次いで、CPU61はステップ820に進み、図7のステップ710にて算出した横加速度偏差ΔGyの絶対値と、ステップ820内に記載したテーブルとに基づいて制動操舵制御により車両に発生させるべきヨーイングモーメントの大きさに応じた制御量Gを算出する。ステップ820内に記載したテーブルに示すように、制御量Gは、横加速度偏差ΔGyの絶対値が値Gy1以下のときには「0」になるように設定され、横加速度偏差ΔGyの絶対値が値Gy1以上であって値Gy2以下のときには同横加速度偏差ΔGyの絶対値が値Gy1から値Gy2まで変化するに従い「0」から正の一定値G1まで線形的に変化するように設定され、横加速度偏差ΔGyの絶対値が値Gy2以上のときには正の一定値G1に維持されるように設定される。換言すれば、横加速度偏差ΔGyの絶対値が値Gy1以下のときには制動操舵制御が実行されない一方で、横加速度偏差ΔGyの絶対値が値Gy1以上のときにはステップ820内に記載したテーブルに基づき、制御量Gが横加速度偏差ΔGyの絶対値に応じて決定される。
【0093】
次に、CPU61はステップ825に進んで、図7のステップ710にて算出した横加速度偏差ΔGyの値が「0」以上であるか否かを判定する。ここで、横加速度偏差ΔGyの値が「0」以上である場合には、CPU61は先に説明したように車両がアンダーステア状態にあると判定し、上記アンダーステア抑制制御を実行する際の各車輪の目標スリップ率を計算するためステップ830に進んで、旋回方向表示フラグLの値が「1」であるか否かを判定する。
【0094】
ステップ830の判定において旋回方向表示フラグLが「1」であるとき、CPU61はステップ835に進んで、正の一定値である係数Krにステップ820にて計算した制御量Gの値を乗算した値を左後輪RLの目標スリップ率Strlとして設定するとともに、その他の車輪FL,FR,RRの目標スリップ率Stfl,Stfr,Strrを総て「0」に設定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、車両が左方向に旋回している場合における旋回方向内側の後輪に対応する左後輪RLにのみ横加速度偏差ΔGyの絶対値に応じた目標スリップ率が設定される。
【0095】
一方、ステップ830の判定において旋回方向表示フラグLが「0」であるとき、CPU61はステップ840進んで、上記係数Krにステップ820にて計算した制御量Gの値を乗算した値を右後輪RRの目標スリップ率Strrとして設定するとともに、その他の車輪FL,FR,RLの目標スリップ率Stfl,Stfr,Strlを総て「0」に設定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、車両が右方向に旋回している場合における旋回方向内側の後輪に対応する右後輪RRにのみ横加速度偏差ΔGyの絶対値に応じた目標スリップ率が設定される。
【0096】
他方、ステップ825の判定において、横加速度偏差ΔGyの値が負の値である場合には、CPU61は先に説明したように車両がオーバーステア状態にあると判定し、上記オーバーステア抑制制御を実行する際の各車輪の目標スリップ率を計算するためステップ845に進んで、旋回方向表示フラグLの値が「1」であるか否かを判定する。
【0097】
ステップ845の判定において旋回方向表示フラグLが「1」であるとき、CPU61はステップ850に進んで、正の一定値である係数Kfにステップ820にて計算した制御量Gの値を乗算した値を右前輪FRの目標スリップ率Stfrとして設定するとともに、その他の車輪FL,RL,RRの目標スリップ率Stfl,Strl,Strrを総て「0」に設定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、車両が左方向に旋回している場合における旋回方向外側の前輪に対応する右前輪FRにのみ横加速度偏差ΔGyの絶対値に応じた目標スリップ率が設定される。
【0098】
一方、ステップ845の判定において旋回方向表示フラグLが「0」であるとき、CPU61はステップ855進んで、上記係数Kfにステップ820にて計算した制御量Gの値を乗算した値を左前輪FLの目標スリップ率Stflとして設定するとともに、その他の車輪FR,RL,RRの目標スリップ率Stfr,Strl,Strrを総て「0」に設定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、車両が右方向に旋回している場合における旋回方向外側の前輪に対応する左前輪FLにのみ横加速度偏差ΔGyの絶対値に応じた目標スリップ率が設定される。以上のようにして、制動操舵制御のみを実行する際に各車輪に付与すべきブレーキ力を決定するために必要となる各車輪の目標スリップ率が決定される。
【0099】
次に、車両の制御モードの設定について説明すると、CPU61は図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ900から処理を開始し、ステップ905に進んで、現時点においてアンチスキッド制御が必要であるか否かを判定する。アンチスキッド制御は、ブレーキペダルBPが操作されている状態において特定の車輪がロックしている場合に、同特定の車輪のブレーキ力を減少させる制御である。アンチスキッド制御の詳細については周知であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0100】
具体的には、CPU61はステップ905において、ブレーキスイッチ55によりブレーキペダルBPが操作されていることが示されている場合であって、且つ図6のステップ615にて算出した特定の車輪の実際のスリップ率Sa**の値が正の所定値以上となっている場合に、アンチスキッド制御が必要であると判定する。
【0101】
ステップ905の判定にてアンチスキッド制御が必要であると判定したとき、CPU61はステップ910に進んで、制動操舵制御とアンチスキッド制御とを重畳して実行する制御モードを設定するため変数Modeに「1」を設定し、続くステップ950に進む。
【0102】
一方、ステップ905の判定にてアンチスキッド制御が必要でないと判定したとき、CPU61はステップ915に進んで、現時点において前後制動力配分制御が必要であるか否かを判定する。前後制動力配分制御は、ブレーキペダルBPが操作されている状態において車両の前後方向の減速度の大きさに応じて前輪のブレーキ力に対する後輪のブレーキ力の比率(配分)を減少させる制御である。前後制動力配分制御の詳細については周知であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0103】
具体的には、CPU61はステップ915において、ブレーキスイッチ55によりブレーキペダルBPが操作されていることが示されている場合であって、且つ図6のステップ620にて算出した推定車体加速度DVsoの値が負の値であり同推定車体加速度DVsoの絶対値が所定値以上となっている場合に、前後制動力配分制御が必要であると判定する。
【0104】
ステップ915の判定にて前後制動力配分制御が必要であると判定したとき、CPU61はステップ920に進んで、制動操舵制御と前後制動力配分制御とを重畳して実行する制御モードを設定するため変数Modeに「2」を設定し、続くステップ950に進む。
【0105】
ステップ915の判定にて前後制動力配分制御が必要でないと判定したとき、CPU61はステップ925に進んで、現時点においてトラクション制御が必要であるか否かを判定する。トラクション制御は、ブレーキペダルBPが操作されていない状態において特定の車輪がエンジン31の駆動力が発生している方向にスピンしている場合に、同特定の車輪のブレーキ力を増大させる制御又はエンジン31の駆動力を減少させる制御である。トラクション制御の詳細については周知であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0106】
具体的には、CPU61はステップ925において、ブレーキスイッチ55によりブレーキペダルBPが操作されていないことが示されている場合であって、且つ図6のステップ615にて算出した特定の車輪の実際のスリップ率Sa**の値が負の値であり同実際のスリップ率Sa**の絶対値が所定値以上となっている場合に、トラクション制御が必要であると判定する。
【0107】
ステップ925の判定にてトラクション制御が必要であると判定したとき、CPU61はステップ930に進んで、制動操舵制御とトラクション制御とを重畳して実行する制御モードを設定するため変数Modeに「3」を設定し、続くステップ950に進む。
【0108】
ステップ925の判定にてトラクション制御が必要でないと判定したとき、CPU61はステップ935に進んで、現時点において上記制動操舵制御が必要であるか否かを判定する。具体的には、CPU61はステップ935において、図7のステップ710にて算出した横加速度偏差ΔGyの絶対値が図8のステップ820内に記載のテーブルにおける値Gy1以上となっている場合に、図8にて設定された目標スリップ率St**の値が「0」でない特定の車輪が存在するので制動操舵制御が必要であると判定する。
【0109】
ステップ935の判定にて制動操舵制御が必要であると判定したとき、CPU61はステップ940に進んで、制動操舵制御のみを実行する制御モードを設定するため変数Modeに「4」を設定し、続くステップ950に進む。一方、ステップ935の判定にて制動操舵制御が必要でないと判定したとき、CPU61はステップ945に進んで、車両の運動制御を実行しない非制御モードを設定するため変数Modeに「0」を設定し、続くステップ950に進む。この場合、制御すべき特定の車輪は存在しない。
【0110】
CPU61はステップ950に進むと、制御対象車輪に対応するフラグCONT**に「1」を設定するとともに、制御対象車輪でない非制御対象車輪に対応するフラグCONT**に「0」を設定する。なお、このステップ950における制御対象車輪は、図2に示した対応する増圧弁PU**及び減圧弁PD**の少なくとも一方を制御する必要がある車輪である。
【0111】
従って、例えば、ブレーキペダルBPが操作されていない状態であって上述した図8のステップ850に進む場合等、右前輪FRのホイールシリンダWfr内のブレーキ液圧のみを増圧する必要がある場合、図2に示した制御弁SA1,切換弁STR及び増圧弁PUflを共に第2の位置に切換るとともに増圧弁PUfr及び減圧弁PDfrをそれぞれ制御することにより、ホイールシリンダWfl内のブレーキ液圧を保持した状態で高圧発生部41が発生する高圧を利用してホイールシリンダWfr内のブレーキ液圧のみを増圧することになる。従って、この場合における制御対象車輪には、右前輪FRのみならず左前輪FLが含まれる。そして、CPU61はステップ950を実行した後、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。このようにして、制御モードが特定されるとともに、制御対象車輪が特定される。
【0112】
次に、各車輪に付与すべきブレーキ力の制御について説明すると、CPU61は図10に示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ1000から処理を開始し、ステップ1005に進んで、ロール大継続時間表示フラグROLLの値が「3」以外の値であるか否かを判定する。
【0113】
現時点では、先の仮定に従ってロール大継続時間表示フラグROLLの値が「0」に維持されているから、CPU61はステップ1005にて「No」と判定してステップ1010に進み、変数Modeが「0」でないか否かを判定する。ここで、変数Modeが「0」であれば、CPU61はステップ1010にて「No」と判定してステップ1015に進み、各車輪に対してブレーキ制御を実行する必要がないのでブレーキ液圧制御装置40における総ての電磁弁をOFF(非励磁状態)にした後、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、ドライバーによるブレーキペダルBPの操作力に応じたブレーキ液圧が各ホイールシリンダW**に供給される。
【0114】
一方、ステップ1010の判定において変数Modeが「0」でない場合、CPU61はステップ1010にて「Yes」と判定してステップ1020に進み変数Modeが「4」であるか否かを判定する。そして、変数Modeが「4」でない場合(即ち、制動操舵制御以外のアンチスキッド制御等が必要である場合)、CPU61はステップ1020にて「No」と判定してステップ1025に進み、図9のステップ950にてフラグCONT**の値が「1」に設定された制御対象車輪に対して図8にて既に設定した制動操舵制御のみを実行する際に必要となる各車輪の目標スリップ率St**を補正した後ステップ1030に進む。これにより、制動操舵制御に重畳される変数Modeの値に対応する制御を実行する際に必要となる各車輪の目標スリップ率分だけ図8にて既に設定した各車輪の目標スリップ率St**が制御対象車輪毎に補正される。
【0115】
ステップ1020の判定において変数Modeが「4」である場合、CPU61はステップ1020にて「Yes」と判定し、図8にて既に設定した各車輪の目標スリップ率St**を補正する必要がないので直接ステップ1030に進む。CPU61はステップ1030に進むと、図9のステップ950にてフラグCONT**の値が「1」に設定された制御対象車輪に対して、目標スリップ率St**の値と、図6のステップ615にて算出した実際のスリップ率Sa**の値と、ステップ1030内に記載の式とに基づいて制御対象車輪毎にスリップ率偏差ΔSt**を算出する。
【0116】
次いで、CPU61はステップ1035に進み、上記制御対象車輪に対して同制御対象車輪毎に液圧制御モードを設定する。具体的には、CPU61はステップ1030にて算出した制御対象車輪毎のスリップ率偏差ΔSt**の値と、ステップ1035内に記載のテーブルとに基づいて、制御対象車輪毎に、スリップ率偏差ΔSt**の値が所定の正の基準値を超えるときは液圧制御モードを「増圧」に設定し、スリップ率偏差ΔSt**の値が所定の負の基準値以上であって前記所定の正の基準値以下であるときは液圧制御モードを「保持」に設定し、スリップ率偏差ΔSt**の値が前記所定の負の基準値を下回るときは液圧制御モードを「減圧」に設定する。
【0117】
次に、CPU61はステップ1040に進み、ステップ1035にて設定した制御対象車輪毎の液圧制御モードに基づいて、図2に示した制御弁SA1,SA2、切換弁STRを制御するとともに制御対象車輪毎に同液圧制御モードに応じて増圧弁PU**及び減圧弁PD**を制御する。
【0118】
具体的には、CPU61は液圧制御モードが「増圧」となっている車輪に対しては対応する増圧弁PU**及び減圧弁PD**を共に第1の位置(非励磁状態における位置)に制御し、液圧制御モードが「保持」となっている車輪に対しては対応する増圧弁PU**を第2の位置(励磁状態における位置)に制御するとともに対応する減圧弁PD**を第1の位置に制御し、液圧制御モードが「減圧」となっている車輪に対しては対応する増圧弁PU**及び減圧弁PD**を共に第2の位置(励磁状態における位置)に制御する。
【0119】
これにより、液圧制御モードが「増圧」となっている制御対象車輪のホイールシリンダW**内のブレーキ液圧は増大し、また、液圧制御モードが「減圧」となっている制御対象車輪のホイールシリンダW**内のブレーキ液圧は減少することで、各制御車輪の実際のスリップ率Sa**が目標スリップ率St**に近づくようにそれぞれ制御され、この結果、図9に設定した制御モードに対応する制御が達成される。ここで、ステップ1040は、制動力制御手段に対応している。
【0120】
なお、図9のルーチンの実行により設定された制御モードがトラクション制御を実行する制御モード(変数Mode=3)又は制動操舵制御のみを実行する制御モード(変数Mode=4)であるときには、エンジン31の駆動力を減少させるため、CPU61は必要に応じて、図5のステップ510内に記載のテーブルに基づくアクセルペダルAPの操作量Accpに応じた目標スロットル弁開度TAtの代わりに同目標スロットル弁開度TAtよりも所定量だけ小さい開度を目標スロットル弁開度として設定する。これにより、燃料噴射装置33は、運転者によるアクセル操作量Accpに応じた量より少ない量の燃料を噴射するからエンジン31は同アクセル開度Accpに応じた出力よりも小さい出力を発生する。そして、CPU61はステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0121】
以降、ロール大継続時間表示フラグROLLの値が「3」以外の値である限りにおいて、CPU61は図8のルーチンにより設定された各車輪の目標スリップ率St**、或いは、ステップ1025により補正した各車輪の目標スリップ率St**に基づくブレーキ制御が実行される。
【0122】
次に、横転防止処理の開始判定等を行うための処理について説明すると、CPU61は図11に示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ1100から処理を開始し、ステップ1105に進んで、図6のステップ605にて算出された左前輪FLの車輪速度Vwflと左後輪RLの車輪速度Vwrlとの平均である車体左側の車輪の車輪速度Vwlaveと算出するとともに、続くステップ1110にて、図6のステップ605にて算出された右前輪FRの車輪速度Vwfrと右後輪RRの車輪速度Vwrrとの平均である車体右側の車輪の車輪速度Vwraveを算出する。
【0123】
次に、CPU61はステップ1115に進み、前記車体左側の車輪の車輪速度Vwlave、前記車体右側の車輪の車輪速度Vwrave、図6のステップ610にて算出された推定車体速度Vsoと、上記数3に対応するステップ1115内に記載の式とに基づいて推定横加速度Gyestを算出するとともに、続くステップ1120にて、横加速度センサ54が検出する検出実横加速度Gyと、前記推定横加速度Gyestと、上記数4に対応するステップ1120内に記載の式とに基づいてカント量CANTを算出する。
【0124】
次いで、CPU61はステップ1125に進み、前記検出実横加速度Gyの絶対値が前記推定横加速度Gyestの絶対値よりも大きこと、及び、前記カント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefよりも大きいこと、が2つの条件が共に成立しているか否かを判定し、同2つの条件が共に成立していないときステップ1125にて「No」と判定してステップ1135に進んでカウンタ値Nの値を「0」に設定した後にステップ1140に進む。
【0125】
一方、ステップ1125の判定において、前記2つの条件が共に成立しているとき(即ち、車両が前述した横転可能性大の状態にあるとき)、CPU61は「Yes」と判定してステップ1130に進み、その時点でのカウンタ値Nの値を「1」だけ増大した値を新たなカウンタ値として設定した後、ステップ1140に進む。これらステップ1125〜1135の処理により、カウンタ値Nは「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」の継続時間を表す。
【0126】
CPU61はステップ1140に進むと、カウンタ値Nの値が前記第1所定時間T1に相当する第1所定値N1未満であるか否かを判定し、カウンタ値Nの値が同第1所定値N1未満であるとき「Yes」と判定してステップ1145に進み、ロール大継続時間表示フラグROLLの値を「0」に設定した後、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0127】
一方、ステップ1140の判定において、カウンタ値Nの値が前記第1所定値N1以上であると、CPU61はステップ1140にて「No」と判定してステップ1150に進み、アラーム56に対してユーザーに車両横転の可能性が高いことを知らしめる警報を発生させるための指示を行った後、ステップ1155に進んで、カウンタ値Nの値が前記第2所定時間T2に相当する第2所定値N2未満であるか否かを判定する(即ち、カウンタ値Nの値が前記第1所定値N1以上前記第2所定値N2未満であるか否かを判定する)。
【0128】
ステップ1155の判定において、「Yes」と判定する場合、CPU61はステップ1160に進んでロール大継続時間表示フラグROLLの値を「1」に設定した後、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、ステップ1155の判定において、「No」と判定する場合、CPU61はステップ1165に進んで、カウンタ値Nの値が前記第3所定時間T3に相当する第3所定値N3未満であるか否かを判定する(即ち、カウンタ値Nの値が前記第2所定値N2以上前記第3所定値N3未満であるか否かを判定する)。
【0129】
ステップ1165の判定において、「Yes」と判定する場合、CPU61はステップ1170に進んでロール大継続時間表示フラグROLLの値を「2」に設定した後、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、ステップ1165の判定において、「No」と判定する場合(即ち、カウンタ値Nの値が前記第3所定値N3以上であると判定する場合)、CPU61はステップ1175に進んで、ロール大継続時間表示フラグROLLの値を「3」に設定した後、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0130】
このような処理を行う本ルーチンが繰り返し実行されることで、ロール大継続時間表示フラグROLLの値は、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」の継続時間に応じて異なる値に設定されていく。現時点では、先の仮定に従って、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」が発生していないから、CPU61はステップ1140にて「Yes」と繰り返し判定し続けてロール大継続時間表示フラグROLLの値を「0」に設定し続ける。
【0131】
一方、この状態から、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」の継続時間が前記第1所定時間T1以上になると(例えば、図4において時刻t3〜t4を参照。)、CPU61はステップ1140にて「No」と判定してステップ1150の処理を繰り返し実行するようになるから、アラーム56が警報を発し続けるようになるとともに、ステップ1160の処理によりロール大継続時間表示フラグROLLの値を「1」に設定するようになる。
【0132】
更に、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」の継続時間が前記第2所定時間T2以上になると(例えば、図4において時刻t4〜t5を参照。)、CPU61はステップ1150の処理によりアラーム56による警報を発し続けさせるとともにステップ1170の処理によりロール大継続時間表示フラグROLLの値を「2」に設定するようになる。従って、この時点以降、CPU61は図5のステップ515に進んだとき「No」と判定してステップ525に進み、目標スロットル弁開度TAtの値を繰り返し「0」に設定するようになるから、運転者によるアクセル操作量Accpに拘わらずステップ520にてスロットル弁開度TAが「0」になるように制御されることでエンジン31の出力が低減するようになる。
【0133】
更に、「車両が横転可能性大の状態にあると判定される状態」の継続時間が前記第3所定時間T3以上になると(例えば、図4において時刻t5以降を参照。)、CPU61はステップ1150の処理によりアラーム56による警報を発し続けさせるとともにステップ1175の処理によりロール大継続時間表示フラグROLLの値を「3」に設定するようになる。従って、この時点以降、CPU61は先に説明した図5のステップ525に進むことによりエンジン31の出力を低減する処理を実行することに加え、図10のステップ1005にて「No」と判定してステップ1045に進むようになる。
【0134】
ステップ1045に進むと、CPU61は総ての車輪を制御対象車輪にするため総てのフラグCONT**の値を「1」に設定するとともに、続く1050にて総ての車輪の目標スリップ率St**の値を一律に正の一定値emergeに設定する。従って、総ての車輪の目標スリップ率St**の値が正の一定値emergeに設定された状態でその後のステップ1035、及び1040の処理が繰り返し実行されることにより、総ての車輪に前記一定値emergeに相当するブレーキ液圧によるブレーキ力が強制的に付与されるようになる。
【0135】
以上、説明したように、本発明による車両の制御装置によれば、横加速度センサ54が、略直進走行している車両に実際に発生している(旋回走行による遠心力に基づく)実横加速度(≒0)の絶対値よりも路面の車体ロール方向におけるカント量CANTに応じた分だけ絶対値が大きい加速度を検出実横加速度Gyとして検出することを利用して、同横加速度センサ54が検出する検出実横加速度Gyと、車体左側の車輪の車輪速度Vwlaveと車体右側の車輪の車輪速度Vwraveとの差に基づいて推定される旋回走行による遠心力に基づく推定横加速度Gyestとの差として、同カント量CANTが計算される。そして、前記カント量CANTの値に応じて、即ち、路面の状態が考慮されて車両のロール角が過大となることを防止するための特定処理が開始・実行され得る。従って、上述した車両が略直進しながら路肩へ徐々に逸脱していくような場合等、車両に働く(旋回走行による遠心力に基づく)実横加速度が比較的小さい値に維持された状態でロール角が過大となり得る場合においても、確実にロール角が過大となることが防止できた。
【0136】
また、前記特定処理として、前記カント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefを越える状態が継続する時間が第1所定時間T1以上第2所定時間T2未満のときアラーム56による警報処理のみが実行され、同継続する時間が第2所定時間T2以上第3所定時間T3未満のときアラーム56による警報処理に加えてエンジン31の出力の低減処理が実行され、同継続する時間が第3所定時間T3以上のときアラーム56による警報処理、及びエンジン31の出力の低減処理に加えてブレーキ液圧によるブレーキ力発生処理が実行される。従って、車両のロール角が過大となる可能性が高まるにつれて同車両のロール角が過大となることを防止するための過不足のない処理を順次実行することができた。
【0137】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、左前輪FLの車輪速度Vwflと左後輪RLの車輪速度Vwrlとの平均車輪速度Vwlaveと右前輪FRの車輪速度Vwfrと右後輪RRの車輪速度Vwrrとの平均車輪速度Vwraveとの差に基づいて推定横加速度Gyestを算出しているが、左前輪FLの車輪速度Vwflと右前輪FRの車輪速度Vwfrとの差、左後輪RLの車輪速度Vwrlと右後輪RRの車輪速度Vwrrとの差、左前輪FLの車輪速度Vwflと右後輪RRの車輪速度Vwrrとの差、及び左後輪RLの車輪速度Vwrlと右前輪FRの車輪速度Vwfrとの差の何れか一つに基づいて推定横加速度Gyestを算出するように構成してもよい。
【0138】
また、推定横加速度Gyestを、図示しないヨーレイトセンサにより得られるヨーレイトYrに前記推定車体速度Vsoを乗じた値に基づいて算出するように構成してもよい。
【0139】
また、上記実施形態においては、横加速度センサ54が検出する検出実横加速度Gyと前記推定横加速度Gyestとの差に基づいてカント量CANTを計算しているが、同検出実横加速度Gyと同推定横加速度Gyestとの比に基づいてカント量CANTを計算するように構成してもよい。
【0140】
また、上記実施形態においては、前記カント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefを越える状態が継続する時間に応じて前記特定処理を異ならせているが、カント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefを越える状態が継続する時間に拘わらず同一の特定処理が実行されるように構成してもよい。この場合、前記アラーム56による警報処理、前記エンジン31の出力の低減処理、及び前記ブレーキ液圧によるブレーキ力発生処理の何れか一つ、又はこれらの任意の組み合わせにかかる処理が前記特定処理として実行される。
【0141】
また、上記実施形態においては、前記カント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefを越えることを条件に特定処理を実行しているが、同カント量CANTの絶対値が横転防止閾値CANTrefを越えることに加えて車両の車体速度(推定車体速度Vso)が所定車速以上であることを条件に同特定処理を実行するように構成してもよい。この場合、前記アラーム56による警報処理は車両の車体速度に拘わらず実行されるとともに、前記エンジン31の出力の低減処理、及び前記ブレーキ液圧によるブレーキ力発生処理は同車両の車体速度が所定車速以上であるときにのみ実行されるように構成されることが好適である。
【0142】
また、上記実施形態においては、特定処理としての車両を減速させる処理(エンジン31の出力の低減処理、及び前記ブレーキ液圧によるブレーキ力発生処理)は、カント量CANTの絶対値に拘わらず同車両を減速させる程度を一律に設定しているが、カント量CANT(前記高低差)の絶対値に応じて同車両を減速させる程度を変更してもよい。
【0143】
また、上記実施形態においては、特定処理実行手段として、車両が走行する路面のカント量(前記高低差)がより小さくなるように車両の進行方向を制御する進行方向制御手段を備えるように構成してもよい。この場合、進行方向制御手段は、車体左右方向のいずれかであって車輪の接地位置が鉛直方向において高い側の方向(図4に示す場合においては車体左方向)に車両を旋回させるためのヨーイングモーメントが同車両に発生するように(図4に示す場合においては、例えば、左前後輪にのみ所定のブレーキ力が発生するように)各車輪に付与するブレーキ力を制御するよう構成されることが好適である。或いは、進行方向制御手段は、車体左右方向のいずれかであって車輪の接地位置が鉛直方向において高い側の方向(図4に示す場合においては車体左方向)に車両を旋回させるように操舵輪の転舵角を変更するステアリングの位置を(自動)制御するように構成されることが好適である。
【0144】
また、上記実施形態においては、図8のステップ805において横加速度センサが検出する検出実横加速度Gyの符号に応じて車両の旋回方向を決定しているが、上記数3に従って計算される推定横加速度Gyestの符号に応じて車両の旋回方向を決定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両の制御装置を搭載した車両の概略構成図である。
【図2】 図1に示したブレーキ液圧制御装置の概略構成図である。
【図3】 図1に示した横加速度センサの概略構成図である。
【図4】 水平なアスファルト道路上を走行している車両が略直進しながら同アスファルト道路よりも高さが低くなっている右側の路肩へ徐々に逸脱していく場合における、横加速度センサが検出する検出実横加速度Gy、推定横加速度Gyest、及びカント量CANTの変化を示したタイムチャートである。
【図5】 図1に示したCPUが実行するスロットル弁の開度を制御するためのルーチンを示したフローチャートである。
【図6】 図1に示したCPUが実行する車輪速度等を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。
【図7】 図1に示したCPUが実行する横加速度偏差を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。
【図8】 図1に示したCPUが実行する目標スリップ率を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。
【図9】 図1に示したCPUが実行する制御モードを設定するためのルーチンを示したフローチャートである。
【図10】 図1に示したCPUが実行する各車輪に付与するブレーキ力を制御するためのルーチンを示したフローチャートである。
【図11】 図1に示したCPUが実行する横転防止処理の開始判定を行うためのルーチンを示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…車両の運動制御装置、20…前輪転舵機構部、30…駆動力伝達機構部、32…スロットル弁アクチュエータ、40…ブレーキ液圧制御装置、50…センサ部、51**…車輪速度センサ、52・・・ステアリング角度センサ、53・・・アクセル開度センサ、54・・・横加速度センサ、56・・・アラーム、60…電気式制御装置、61…CPU

Claims (5)

  1. 車両が走行している路面における車体左側の車輪の接地位置と車体右側の車輪の接地位置との鉛直方向における高低差に応じた値を取得する路面状態取得手段と、
    前記取得された高低差に応じた値が同高低差が所定値より大きいことを示す値であるか否かを判定する判定手段と、
    前記取得された高低差に応じた値が同高低差が前記所定値より大きいことを示す値であるとの前記判定手段による判定結果に基づいて前記車両のロール角が過大となることを防止するための特定処理を実行し、前記取得された高低差に応じた値が同高低差が前記所定値より大きいことを示す値でないとの前記判定手段による判定結果に基づいて前記特定処理を実行しない特定処理実行手段と、
    を備えた車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制御装置において、
    前記路面状態取得手段は、
    前記車両の運動状態を示す運動状態量を取得する運動状態量取得手段と、
    前記取得された運動状態量に基づいて前記車両に働く加速度の車体左右方向の成分である横加速度の推定値を推定横加速度として算出する推定横加速度算出手段と、
    前記車両に働く外力の車体左右方向の成分の値を検出することにより前記横加速度の実際値を実横加速度として取得する横加速度センサと、を備え、
    前記算出された推定横加速度と前記取得された実横加速度との比較結果に基づいて前記高低差に応じた値を取得するように構成された車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両の制御装置において、
    前記運動状態量取得手段は、車両の各車輪の車輪速度を前記運動状態量として取得するように構成され、
    前記推定横加速度算出手段は、少なくとも前記取得された車体左側の車輪の車輪速度と車体右側の車輪の車輪速度との差に基づいて前記推定横加速度を算出するように構成された車両の制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両の制御装置において、
    前記路面状態取得手段は、前記車両が走行している路面の車体ロール方向における傾斜の程度を示す値を前記高低差に応じた値として取得するように構成された車両の制御装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両の制御装置において、
    前記特定処理実行手段は、警報を発する処理、及び前記車両を減速させる処理の少なくとも一つを前記特定処理として実行するように構成された車両の制御装置。
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