JP4427116B2 - ピリジン塩基類の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒の存在下、脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン又はそれらの混合物をアンモニアと気相接触反応せしめてピリジン塩基類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
触媒の存在下、脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン又はそれらの混合物をアンモニアと気相接触反応せしめてピリジン塩基類を製造する方法は公知であり、触媒として不定形シリカ−アルミナを使用する方法やアルミノシリケート等のゼオライトを使用する方法等、種々報告されている。なかでもゼオライトは耐熱性に優れており、高温条件下での気相反応が実施されるピリジン塩基類製造の触媒として好適である。
【0003】
ピリジン塩基類の製造に触媒として使用されるゼオライトとしては、例えば、アルミノシリケートのほか、フェロシリケート、ボロシリケート及びガロシリケートのヘテロシリケートが知られており、これらゼオライトはそれらを単独で又はさらに銅、亜鉛、カドミウム、ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及び/又はイリジウム等の種々の元素のイオン及び/又は化合物を含有せしめて触媒として使用される。
【0004】
そして、ピリジン塩基類の製造においては、原料の脂肪族アルデヒド及び/又は脂肪族ケトンの組み合わせにより、生成するピリジン塩基類の主たる化合物が決定されることが知られている。これらの代表例を表1に示す。
【0005】
【表1】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のとおり、触媒としてのゼオライトの存在下、脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン又はそれらの混合物をアンモニアと気相接触反応せしめることにより種々のピリジン塩基類が製造できる。しかしながら、従来法により製造されるピリジン塩基類の収率は未だ低く、更なる収率の向上が望まれている。
例えば、アセトアルデヒドをアンモニアと反応させると主生成物としてα−ピコリン及びγ−ピコリンが製造されるが、本発明者が上記従来法におけるゼオライト、即ちアルミノシリート、フェロシリケート等を触媒として用いて、α−ピコリン及びγ−ピコリンの製造を行ったところ、後述の比較例に記載するとおり、α−ピコリン及びγ−ピコリンの収率は、アルミノシリケートを用いたときには17.6%及び18.5%、フェロシリケートを用いたときには18.6%及び17.5%、ガロシリケートを用いたときには17.3%及び19.3%であった。
このように従来の方法によると目的物とするピリジン塩基類の収率は未だ満足できるものではない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、さらに高い収率でピリジン塩基類を製造できる方法を見出すべく鋭意検討した。その結果、触媒の存在下に、脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン又はそれらの混合物をアンモニアと気相接触反応せしめてピリジン塩基類を製造するにあたり、触媒としてチタン及び/又はコバルト並びにケイ素をゼオライトの構成元素として含有し、チタン及び/又はコバルトに対するケイ素の原子比が約5〜約1000、かつ制御指数が約0.8〜約12のゼオライトを使用すると、意外にも、ピリジン塩基類製造用触媒として従来公知のアルミノシリケート、フェロシリケート等のゼオライトを用いたときに比べてピリジン塩基類をより高い収率で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、触媒の存在下、脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン又はそれらの混合物をアンモニアと気相接触反応せしめてピリジン塩基類を製造する方法において、触媒としてチタン及び/又はコバルト並びにケイ素をゼオライトの構成元素として含有し、チタン及び/又はコバルトに対するケイ素の原子比が約5〜約1000、かつ制御指数が約0.8〜約12のゼオライトを使用することを特徴とするピリジン塩基類の製造法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のピリジン塩基類の製造は、目的とするピリジン塩基類に応じた脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン又はそれらの混合物を用い、それらを本発明の触媒の存在下にアンモニアと気相接触反応せしめることによって行われる。
【0010】
脂肪族アルデヒドは、好ましくは炭素数1〜5の脂肪族アルデヒドであり、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等の飽和脂肪族アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド等の不飽和脂肪族アルデヒドが挙げられる。また、脂肪族ケトンは、好ましくは炭素数3〜5の脂肪族ケトンであり、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。脂肪族アルデヒド及び脂肪族ケトンは、それらのモノマーを発生するようなダイマー、トリマー、その他のオリゴマー及びポリマーを用いることもできる。原料の脂肪族アルデヒド及び/又は脂肪族ケトンの組み合わせと、主生成物であるピリジン塩基類の例は上記表1に示したとおりである。
【0011】
本発明には、触媒としてチタン及び/又はコバルト並びにケイ素をゼオライトの構成元素として含有し、チタン及び/又はコバルトに対するケイ素の原子比が約5〜約1000、かつ制御指数が約0.8〜約12のゼオライトを使用する。例えば、チタン及びケイ素をゼオライトの構成元素として含有するチタノシリケート、コバルト及びケイ素をゼオライトの構成元素として含有するコバルトシリケートのほか、チタン、コバルト及びケイ素をゼオライトの構成元素として含有するゼオライトが挙げられ、本発明の反応には、これらの1種又は2種以上を触媒として使用することができる。以下、本発明の触媒である上記ゼオライトをチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトと称する。本発明のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトにおけるチタン及び/又はコバルトに対するケイ素の原子比は、好ましくは約10〜約500である。尚、ここで言う「制御指数」とは、例えばFrillette等のJournal of Catalysis,67,218(1981)で定義されている触媒の細孔特性を表わすものである。この値は測定の方法により若干の幅があるが、Frillette等の測定の結果を次の表2に示す。
【0012】
【表2】
【0013】
本発明の触媒は、従来公知の方法によって調製することができ、チタン及び/又はコバルトに対するケイ素の原子比並びに結晶構造等が異なる種々のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトを容易に得ることができる。例えば、特開昭63−54358号公報、特開昭60−12135号公報、特開昭56−96720号公報、特開昭55−7598号公報、Journal of Catalysis,130,440(1991)、Applied Catalysis A:General,126,51(1995)、Zeolite,17(4),354(1996)等に記載の方法と同様にして調製すればよい。
【0014】
本発明の触媒の結晶構造に特に制限はないが、ペンタシル型の結晶構造を有するものが好ましく、中でもMFI型又はMEL型の結晶構造を有するものがより好ましい。
【0015】
本発明には、チタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトをそのまま使用することができるが、チタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトに、さらに1〜17族元素からなる群より選ばれる1種以上の元素のイオン及び/又は化合物を含有させたものを用いると、ピリジン塩基類の収率が向上する。
【0016】
本発明における1〜17族元素とは、18族型元素周期律表に掲げられる元素であり、具体的には、1族元素としてはLi、K、Rb及びCs、2族元素としてはMg、Ca、Sr及びBa、3族元素としてはSc、Y及びランタノイド元素(La、Ce、Pr、Nd、Er及びYb)、4族元素としてはTi、Zr及びHf、5族元素としてはV、Nb及びTa、6族元素としてはCr、Mo及びW、7族元素としてはMn、Tc及びRe、8族元素としてはFe、Ru及びOs、9族元素としてはCo、Rh及びIr、10族元素としてはNi、Pd及びPt、11族元素としてはCu及びAg、12族元素としてはZn及びCd、13族元素としてはAl、Ga、In及びTl、14族元素としてはGe、Sn及びPb、15族元素としてはSb及びBi、16族元素としてはPo、17族元素としてはF、Clが挙げられる。好ましくは、Tl、Pb及びCoである。
【0017】
これら1〜17族元素のイオン及び/又は化合物としては、それら元素のイオン、酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、水酸化物、硫化物、ケイ酸塩、チタン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩等が挙げられ、これらの1種或いは2種以上を含有することができる。これらの元素のイオン及び/又は化合物を、チタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトに含有せしめる方法としては、イオン交換法、混練法、含浸法、浸漬法、沈着法又は蒸発乾固法等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。具体的には、例えば、▲1▼イオン交換法により含有させるときには、上記元素の可溶性塩(例えば、塩化物、硝酸塩或いは酢酸塩等)を0.01〜2グラムイオン/リットルの濃度で水に溶解し、当該水溶液にアルカリイオン型、アンモニウムイオン(NH4+)型又はプロトン(H+)型のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライト、好ましくはNH4+型チタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトを浸し、所定温度で攪拌した後、濾過する工程を繰り返し、最終的に得られた濾滓を水で洗浄する。こうして得られた上記元素のイオンを含有するチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトを、乾燥し、必要に応じて焼成すればよい。▲2▼混練法により上記元素のイオン及び/又は化合物を含有させるときは、上記元素の化合物を、H+型或いはNH4+型のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトと、必要に応じて水と共に混練した後、乾燥し、必要ならば焼成すればよい。▲3▼浸漬法により上記元素のイオン及び/又は化合物を含有させるときは、上記元素の可溶性塩を水に溶解し、得られた溶液にNH4+型或いはH+型のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライト、好ましくはNH4+型チタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトを浸した後、乾燥し、必要ならば焼成すればよい。▲4▼沈着法により含有させるときは、上記元素の可溶性塩の水溶液にNH4+型或いはH+型のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトを分散させ、この混合物中にアンモニア水溶液を加えることによりNH4+型或いはH+型のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトの表面に上記元素の水酸化物を沈着させ、濾過した後、水で洗浄して乾燥し、必要ならば焼成すればよい。▲5▼蒸発乾固法により含有させるときは、上記元素の化合物並びにNH4+型或いはH+型のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトを水中で攪拌、混合し、蒸発乾固した後、必要ならば焼成すればよい。いずれの方法においても、焼成を行うときには、通常空気、窒素及び/又は二酸化炭素等の雰囲気下に、350〜800℃で数時間行われるが、触媒は気相接触反応時に反応器内で加熱されるため必ずしも触媒の焼成は必要でない。
【0018】
1〜17族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は化合物の含有量は、チタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトによって或いは含有させる元素の種類又はその形態によって好ましい範囲が異なるが、通常0.0005〜10mg当量/ゼオライトgである。
【0019】
本発明のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトは、そのまま又はシリカ、硅藻土、カオリン、ベントナイト、アルミナ及び/或いはシリカアルミナ等のバインダーや水、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルを加えた後、打錠機又は押し出し機で円柱状、円筒状等の所望の形状に成型して固定床触媒として使用することができる。またチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトを、シリカ、硅藻土、カオリン、ベントナイト、アルミナ及び/又はシリカアルミナ等のバインダー並びに水と混合してスラリーとし、これを噴霧乾燥して、球状のマイクロビーズにして流動床触媒として使用することができる。本発明のチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトが、1〜17族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は化合物を含有するものであるときは、上記のようにして所望の形状成型したチタン及び/又はコバルトシリケートゼオライトに、上記イオン交換法、含浸法、浸漬法等により、1〜17族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は化合物を含有させて、固定床触媒又は流動床触媒としてもよい。いずれの方法においても、空気、窒素及び二酸化炭素等の雰囲気下に、350〜800℃で数時間焼成して、成型品に強度を賦与し、バインダー等に含まれる揮発成分を除去する。しかし、触媒は気相接触反応時に反応器内で加熱されるため、この成形された触媒についても必ずしも焼成は必要でない。
【0020】
本発明のピリジン塩基類の製造は、固定床触媒反応器、流動床触媒反応器又は移動床触媒反応器で行うことができる。
本発明を固定床触媒反応器を用いて行う場合を例にとり以下に説明する。
本発明の触媒を反応管に充填し、当該反応管に脂肪族アルデヒド及び/又は脂肪族ケトン並びにアンモニアの混合ガスを導入して気相接触反応させる。脂肪族アルデヒド及び/又は脂肪族ケトン並びにアンモニアの混合ガスは、水、窒素等の不活性ガス及び/又はメタノールと共に供給しても、特に支障なく反応を行うことができる。脂肪族アルデヒド及び/又は脂肪族ケトンの組み合わせ、並びにそれらとアンモニアの使用割合は、目的とするピリジン塩基類に応じて適宜選択すればよい。例えば、ピリジン及びβ−ピコリンを主生成物として製造する場合は、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド及びアンモニアを用い、アセトアルデヒド:ホルムアルデヒド:アンモニアのモル比を好ましくは1:0.3〜3:0.5〜5とする。この際、さらにメタノールを用いるときは、アセトアルデヒド1モルに対してメタノールを0.5モル以下にすることが好ましい。ホルムアルデヒドは、ホルマリンの形態で反応に使用することができる。また、α−ピコリン及びγ−ピコリンを主生成物として製造する場合は、アセトアルデヒド及びアンモニアを用い、アセトアルデヒド:アンモニアのモル比を好ましくは1:0.8〜3とする。尚、本発明の方法によってアセトアルデヒド及びアンモニアを反応させると、特にα−ピコリンの選択性が向上する。
【0021】
そして脂肪族アルデヒド及び/又は脂肪族ケトン、アンモニア並びに所望により水、窒素等の不活性ガス及び/又はメタノールの混合ガスを、空間速度(SV)100〜10000hr-1、好ましくは300〜3000hr-1で触媒上に通じる。反応温度は300〜700℃であり、350〜600℃が好ましい。また反応の圧力は、大気圧以下から数気圧まで用いることができるが、通常大気圧から2気圧付近が至便である。
【0022】
上記のようにして反応を行った後、反応管から流出する反応ガスを、そのまま又は適当な溶媒と接触させて、反応ガスに含まれるピリジン塩基類等を凝縮及び/又は溶媒に溶解させる。得られた凝縮物及び/又は溶液を蒸留すれば、ピリジン塩基類が回収できる。
【0023】
また、反応を長時間実施すると触媒の劣化が生じる場合があるが、このようなときには従来の触媒再生方法に準じた方法、即ち、触媒の耐熱温度以下の高温、好ましくは、350〜800℃の温度で空気を触媒層に通じて触媒上の析出炭素を焼却する。必要ならば、空気を水蒸気、窒素、二酸化炭素等で希釈してもよい。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
触媒調製例1
チタノシリケートを、Journal of Catalysis,130,440(1991)に記載の方法に基づき、次のとおりにして合成した。
攪拌機及び滴下ロートを備えたパイレックス製反応器中の20重量%水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムのメタノール溶液566g(水酸化n−テトラブチルアンモニウム0.436モル)及びオルトケイ酸テトラエチル455g(2.18モル)の混合物に、攪拌下、0.5重量%チタン酸テトラブチルのイソプロピルアルコール溶液2300g(チタン酸テトラブチル0.033モル)を滴下ロートから滴下しながら混合した後、約30分攪拌を続けた。得られた混合物に、攪拌下、蒸留水790gを加えて75〜80℃でアルコールを除去しながら2時間反応を行った。得られた反応物を冷却してオートクレーブに移し、攪拌しながら170℃に2日間保持した。次いでオートクレーブを冷却し、内容物を濾過して生成した結晶を濾別した後、イオン交換水で洗浄し、100℃で8時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で16時間焼成した。得られた焼成物は、分析の結果、MEL型の結晶構造を有するチタノシリケートであり、Si/Ti(原子比)=50であった。
得られたチタノシリケートを、5%の塩化アンモニウム水溶液1リットル中に加えて、50〜60℃で1時間攪拌した後、濾過する方法によりイオン交換を行った。濾過により得られる濾滓について上記イオン交換をさらに3回繰り返した後、最終的に得られた濾滓を洗液中のCl-イオンが1ppm以下になるまで水洗し、次いで110℃で16時間乾燥してNH4+型チタノシリケートを得た。さらに空気中、550℃で6時間焼成を行いH+型チタノシリケートを得た。
【0026】
触媒調製例2
コバルトシリケートを、特開昭63−54358号公報の記載に基づき、次のとおりにして合成した。
オートクレーブ中でオルトケイ酸テトラエチル100g(0.48モル)、10重量%水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム水溶液217.5g(水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム0.96モル)を混合した。得られた混合物に、攪拌下、コバルト(III)アセチルアセトナート5.7g(0.016モル)及びエチレングリコールの混合溶液を加えた後、約30分攪拌を続け、次いで、105℃に昇温し、同温度で120時間攪拌して水熱合成を行った。オートクレーブを冷却し、内容物を濾過して生成した結晶を濾別した後、結晶をイオン交換水で洗液のpHが7.3になるまで洗浄した。その後、120℃で16時間乾燥し、空気気流中、550℃で4時間焼成した。得られた焼成物は、分析の結果、MFI型の結晶構造を有するコバルトシリケートであり、Si/Co(原子比)=25であった。
得られたコバルトシリケートについて、触媒調製例1と同様にしてイオン交換、水洗、乾燥及び焼成を行い、NH4+型コバルトシリケート及びH+型コバルトシリケートを得た。
【0027】
触媒調製例3
アルミノシリケートを特開平2−209867号公報の記載に基づき、次のとおりにして合成した。
蒸留水433.4g、硫酸アルミニウム4.6g、テトラ−n−プロピルアンモニウムブロミド55.8g及び硫酸40gを混合し、A液とした。蒸留水320g及び3号ケイ酸ソーダ453gを混合し、B液とした。蒸留水754g及び食塩189gを混合し、C液とした。ステンレス製オートクレーブにC液を投入し、激しく攪拌しながら、A、B両液を滴下混合した。混合物のpHが9.5〜11に保たれるように調節した。オートクレーブを密閉し、160℃に昇温、攪拌を継続し、20時間水熱合成を行った。この時ゲージ圧は、0.5〜0.6MPa(5〜6kg/cm2)を示した。反応終了後、室温まで冷却し、オートクレーブ内容物を濾過して生成した結晶を濾別した。得られた結晶を蒸留水中に投入し、攪拌して洗浄後、濾過した。濾液中のCl-イオン濃度が1ppm以下になるまで上記洗浄、濾過を繰り返し、110℃で16時間乾燥した後、空気気流中、530℃で4時間焼成した。得られた焼成物は、分析の結果、MFI型の結晶構造を有するNa+型アルミノシリケートであり、Si/Al(原子比)=100であった。
得られたNa+型アルミノシリケートについて、触媒調製例1と同様にしてイオン交換、水洗、乾燥及び焼成を行い、NH+型アルミノシリケート及びH+型アルミノシリケートを得た。
【0028】
触媒調製例4
フェロシリケートを特開平2−209867号公報の記載に基づき、次のとおりにして合成した。
硝酸鉄(III)・九水和物19g、テトラ−n−プロピルアンモニウムクロリド34g及び蒸留水からなる水溶液をA液とする。ヒュームシリカ70g及び蒸留水からなる懸濁液をB液とする。水酸化ナトリウム7.4g及び蒸留水50gからなる溶液をC液とする。ステンレス製オートクレーブにC液を投入し、攪拌下、A、B両液を加えて混合した。オートクレーブを密閉し、160℃に昇温、攪拌を継続し、60時間水熱合成を行った。pHは12.4から11.4へ変化した。オートクレーブ内容物を濾過して固形物を濾別し、得られた固形物を洗液のpHが7.3になるまで蒸留水で洗浄した。得られた固形物は、分析の結果、MFI型の結晶構造を有するNa+型フェロシリケートであり、Si/Fe(原子比)=25であった。
得られたNa+型フェロシリケートについて、触媒調製例1と同様にしてイオン交換、水洗、乾燥及び焼成を行い、NH4+型フェロシリケート及びH+型フェロシリケートを得た。
【0029】
触媒調製例5
触媒調製例4において硝酸鉄(III)・九水和物に代えて硝酸ガリウム(III)・八水和物19gを使用した以外は触媒調製例4と同様に行い、Na+型ガロシリケート、NH4+型ガロシリケート及びH+型ガロシリケートを得た。尚、Na+型ガロシリケートの分析により、このものがMFI型の結晶構造を有し、Si/Ga(原子比)=25であることを確認した。
【0030】
実施例1
触媒調製例1で得たH+型チタノシリケート(H+型Ti/Si)を圧力39MPaにて押し固めた後、粉砕して粒径1.0〜1.7mm(10〜16メッシュ)に揃えたものを触媒として、ピリジン塩基類の製造を行った。
上記触媒6gを内径20mmのガラス製反応管に充填した。反応管の触媒充填部を380℃に加熱し、当該触媒充填部にアンモニアガス2760ml/hr及びアセトアルデヒド2.48g/hrを供給した。アセトアルデヒド供給開始から30分後、反応管から流出する反応ガスを20分間水中に吹き込んで反応ガス中の可溶性成分を水に溶解した。得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表3に示す。
【0031】
尚、ピリジン塩基類の収率は、反応に供給したアセトアルデヒドの全炭素数を基準としたもので、次の計算式により求めた。
【0032】
【数1】
【0033】
【数2】
【0034】
実施例2
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて触媒調製例2で得たH+型コバルトシリケート(H+型Co/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表3に示す。
【0035】
比較例1
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて触媒調製例3で得たH+型アルミノシリケート(H+型Al/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表3に示す。
【0036】
比較例2
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて触媒調製例4で得たH+型フェロシリケート(H+型Fe/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表3に示す。
【0037】
比較例3
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて触媒調製例5で得たH+型ガロシリケート(H+型Ga/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
実施例3
硝酸鉛1.68gを水18.14gに溶解した溶液に、触媒調製例1で得たH+型チタノシリケート13.93gを加えて含浸した。これを120℃で5時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で5時間焼成して、金属に換算して7重量%のPbを含有するチタノシリケートを得た。
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて上記で得たPb含有チタノシリケート(7%Pb−Ti/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表4に示す。
【0040】
実施例4
硝酸鉛0.96gを水14.2gに溶解した溶液に、触媒調製例2で得たH+型コバルトシリケート19.4gを加えて混合した後、120℃で5時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で5時間焼成して、金属に換算して3重量%のPbを含有するコバルトシリケートを得た。
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて上記で得たPbを含有するコバルトシリケート(3%Pb−Co/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基の製造を行った。結果を表4に示す。
【0041】
実施例5
タングステン酸アンモニウム、パラ[5(NH4)2O・12WO3・5H2O]59.54gを水200gに溶解した溶液に、触媒調製例2で得たH+型コバルトシリケート7.44gを加えて混合した後、120℃で5時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で5時間焼成して、金属に換算して7重量%のWを含有するコバルトシリケートを得た。
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて上記で得たWを含有するコバルトシリケート(7%W−Co/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表4に示す。
【0042】
実施例6
硝酸亜鉛・六水和物2.55gを水10.4gに溶解した溶液に、触媒調製例2で得たH+型コバルトシリケート7.44gを加えて混合した後、120℃で5時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で5時間焼成して、金属に換算して7重量%のZnを含有するコバルトシリケートを得た。
実施例1においてH+型チタノシリケートに代えて上記で得たZnを含有するコバルトシリケート(7%Zn−Co/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表4に示す。
【0043】
実施例7
硝酸第一タリウム0.73gを水10.4gに溶解した溶液に、触媒調製例2で得たH+型コバルトシリケート7.44gを加えて混合した後、120℃で5時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で5時間焼成して、金属に換算して7重量%のTlを含有するコバルトシリケートを得た。
実施例1のH+型チタノシリケートに代えて上記で得たTlを含有するコバルトシリケート(7%Tl−Co/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表4に示す。
【0044】
実施例8
硝酸ランタン・六水和物1.75gを水10.4gに溶解した溶液に、触媒調製例2で得たH+型コバルトシリケート7.44gを加えて混合した後、120℃で5時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で5時間焼成して、金属に換算して7重量%のLaを含有するコバルトシリケートを得た。
実施例1のH+型チタノシリケートに代えて上記で得たLaを含有するコバルトシリケート(7%La−Co/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表4に示す。
【0045】
実施例9
硫酸インジウム・九水和物3.32gを水10.4gに溶解した溶液に、触媒調製例2で得たH+型コバルトシリケート7.44gを加えて混合した後、120℃で5時間乾燥し、次いで空気気流中、550℃で5時間焼成して、金属に換算して7重量%のInを含有するコバルトシリケートを得た。
実施例1のH+型チタノシリケートに代えて上記で得たInを含有するコバルトシリケート(7%In−Co/Si)を用いた以外は実施例1と同様にしてピリジン塩基類の製造を行った。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
Claims (4)
- 触媒の存在下、脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン又はそれらの混合物をアンモニアと気相接触反応せしめてピリジン塩基類を製造する方法において、触媒としてチタンに対するケイ素の原子比が約5〜約1000のチタノシリケート又はコバルトに対するケイ素の原子比が約5〜約1000のコバルトシリケートを使用することを特徴とするピリジン塩基類の製造法。
- チタノシリケート又はコバルトシリケートの結晶構造が、MFI構造又はMEL構造である請求項1記載の方法。
- 触媒が、チタノシリケート又はコバルトシリケートに1〜17族元素からなる群より選ばれる1種以上の元素のイオン及び/又は化合物を含有せしめたものである請求項1又は2記載の方法。
- アセトアルデヒドをアンモニアと気相接触反応せしめて、主生成物としてα―ピコリン及びγ―ピコリンを製造する請求項1、2又は3記載の方法
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