JP3888703B2 - ピリジン塩基類の製造方法、新規金属担持ゼオライトおよびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼオライトに特定の金属を組合せて担持させた触媒を使用して、脂肪族アルデヒド及び/又はケトンとアンモニアを気相で反応させてピリジン塩基類を製造する方法に関する。また、本発明は、ゼオライトに特定の金属を担持させた新規金属担持ゼオライトに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にピリジンの他、ピコリン類、ルチジン類等のアルキル置換ピリジンを総称してピリジン塩基類といい、これらは医農薬合成用の原料として、あるいは反応溶媒、さらには、溶剤として重要な化合物である。これらピリジン塩基類の製造方法として、脂肪族アルデヒド等とアンモニアを用いて気相中で縮合させる方法があり、その触媒として結晶性アルミノシリケート、いわゆるゼオライトを用いることは公知である。
また、近年においては、Si/Al原子比が10以上で、制御指数が1〜12であることを特徴とするものとして、USP 3,702,886号、特公昭46−10064号公報に開示されているモービルオイル(Mobil Oil)株式会社のZSMシリーズの「ZSM−5」に代表されるゼオライトが特に本反応に好適であることも知られている。
さらに、USP 4,861,894号、特公昭64−9974号公報では、ZSMシリ−ズのような結晶シリケ−トをバインダ−中に含み、触媒金属として銅、亜鉛、ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムを使用した触媒を用いてピリジン塩基類を製造する方法も開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらの触媒の使用にもかかわらず、反応収率は必ずしも工業的に満足できるものとはいい難い。具体的には、上記USP 4,861,894号の実施例にはアセトアルデヒドとホルムアルデヒドとを出発原料としてピリジン塩基類を合成しているが、ピリジンの収率は47%であり、ピコリンの収率は17%であり、合計収率は61%に過ぎなかった。
また、特公平6−92368号公報(特開昭62−181256号公報)、特公平6ー92369号公報(特開昭63−139168号公報)には、Tl、Co、Pb化合物を用いて修飾したゼオライトを用いる方法が記載されているが、これらの金属化合物、特にTl、Pb化合物は非常に毒性が強く、環境および人体への安全性に重大な問題を引き起こす危険性が高く、やはり工業的使用には問題がある。
かかる現状より、環境および人体への安全性を確保しつつ、製造収率が高いピリジン塩基類の製造方法の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記状況に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、ゼオライトを特定の金属化合物または金属イオンを組合せることにより修飾、混合またはイオン交換した新規金属担持ゼオライトを用いることにより、それらの金属イオンを単独で使用するよりもはるかに高い収率でピリジン塩基類が得られることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0005】
すなわち本発明は、脂肪族のアルデヒド及び/又はケトンとアンモニアを、触媒の存在下、気相で縮合させてピリジン塩基類を製造する方法において、制御指数が1〜12のゼオライトに、インジウムを第一成分としタングステンまたはモリブデンを第二成分とする組合せから選ばれる金属化合物の混合物または金属イオンの混合物を修飾、混合またはイオン交換して担持させた触媒を使用することを特徴とするピリジン塩基類の製造方法を提供するものである。また、ゼオライトのAl、B、Fe及び/又はGaに対するSiの原子比が12以上であることを特徴とする前記ピリジン塩基類の製造方法を提供するものである。また、ゼオライトのSi/Al原子比が少なくとも10以上である前記ピリジン塩基類の製造方法を提供するものである。また、ゼオライトの制御指数が5〜9の範囲であることを特徴とする前記ピリジン塩基類の製造方法を提供するものである。また、脂肪族のアルデヒド及び/又はケトンがアクロレインおよびアセトアルデヒドであることを特徴とする前記ピリジン塩基類の製造方法を提供するものである。さらに、制御指数が1〜12のゼオライトにインジウムを第一成分としタングステンまたはモリブデンを第二成分として、第一成分と第二成分を組み合わせたものの含有量が0.01〜10重量%の範囲であり、第一成分に対する第二成分の重量比率が0.1〜10の範囲であるように担持させたことを特徴とする新規金属担持ゼオライトを提供するものである。また、ゼオライトのAl、B、Fe及び/又はGaに対するSiの原子比が12以上であることを特徴とする前記新規金属担持ゼオライトを提供するものである。また、ゼオライトのSi/Al原子比が少なくとも10以上であることを特徴とする前記新規金属担持ゼオライトを提供するものである。また、ゼオライトの制御指数が5〜9の範囲であることを特徴とする前記新規金属担持ゼオライトを提供するものである。加えて、ゼオライトに、インジウムを第一成分としタングステンまたはモリブデンを第二成分とする組合せから選ばれる金属化合物の混合物または金属イオンの混合物を修飾、混合またはイオン交換して担持させることを特徴とする前記新規金属担持ゼオライトの製法を提供するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する脂肪族アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドのような炭素数1〜5の脂肪族アルデヒドを例示でき、これらは単独でも二種類以上を組み合わせてもよい。
また、本発明で使用する脂肪族ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルビニルケトン、ジエチルケトンのような炭素数3〜5の脂肪族ケトンが例示でき、これらは単独でも二種類以上を組み合わせてもよい。なお、本発明では上記脂肪族アルデヒドと脂肪族ケトンを組み合わせてもよい。
具体的には、ピリジンあるいはβ−ピコリンの製造のため特に好ましい脂肪族アルデヒドの組合せとしては、アクロレインとアセトアルデヒドの組合せ、アセトアルデヒドとホルムアルデヒドの組合せが好ましい。この場合、アクロレインとアセトアルデヒドを組合わせる場合は、アクロレイン:アセトアルデヒド:アンモニアのモル比が1:(0.2〜2):(0.5〜5)の範囲であることが好ましい。また、アセトアルデヒドとホルムアルデヒドを組合わせる場合は、アセトアルデヒド:ホルムアルデヒド:アンモニアのモル比が1:(0.3〜3):(0.5〜5)の範囲であることが好ましい。
【0007】
本発明で使用するゼオライトとしては、好ましくはSi/Al原子比が少なくとも10以上であり、さらに好ましくは12以上、特に好ましくは15以上である。さらに、制御指数が1から12であることが充分な金属担持効果を得るという観点から必要であり、好ましくは5〜9、さらに好ましくは5.5〜8.5の範囲である。特に好ましいものとして、Al、B、Fe、及び/又はGaに対するSiの原子比が12以上であり、かつ制御指数が1〜12である結晶シリケートが挙げられる。なお、ここでいう制御指数とはゼオライトの細孔構造を示す指標の一つである。
【0008】
制御指数の決定法は、前記米国特許4,016,218号等に記載されている方法を用いることができる。具体的には、予め1,000゜Fで15分間以上、空気流で処理し、次いでヘリウム洗浄したゼオライトを炭化水素の異性化率が10〜60%となるように550〜950゜Fの範囲に調節する。次いでn−ヘキサンと3−メチルペンテンの混合物をこれらの炭化水素全モル:ヘリウムモルが4:1になるように希釈して、1液時間空間速度(1時間当たり、触媒1体積当たり1体積の流量)でゼオライトに通す。20分後、流出試料を採取し、ガスクロ分析して2種の炭化水素の残留割合から、制御指数=(log(n−ヘキサン残留率)/log(3−メチルペンテン残留率)により算出する。表−1に代表的なゼオライトの制御指数を示したが、これらの内、特に好ましい性質を有するゼオライトとして、前記USP 3,702,886号に開示されているZSMシリ−ズを例示することができ、これは最も一般的でかつ入手も容易なものである。
なお、前記USP 3,702,886号によれば、ZSMシリ−ズ中の代表的なゼオライトであるZSM−5は下記式で示される。
【0009】
【化1】
【0010】
【表1】
【0011】
これらゼオライトは、一般に調製後の形は、カチオン成分としてナトリウム、アンモニウムイオン等を含むアルカリイオン型であるが、本発明の新規金属担持ゼオライトを調製する原料用ゼオライトとしては、前記ナトリウム等のアルカリイオンを公知の方法により、プロトンでイオン交換し、プロトン型として使用することが好ましい。
【0012】
本発明の新規金属担持ゼオライトは、前記ゼオライトにインジウムを第一成分とし、タングステンまたはモリブデンを第二成分とする組合せから選ばれる金属化合物の混合物または金属イオンの混合物を修飾、混合またはイオン交換して担持させたものである。これらの金属化合物または金属イオンを組合せることにより調製した触媒を使用してピリジン塩基類を製造すれば、それぞれの金属化合物または金属イオンを単独で調製した触媒を使用するよりもはるかに高い収率が得られる。その際に使用される金属化合物は、酸化物、塩化物、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、硅酸塩、チタン酸塩、炭酸塩、有機カルボン酸塩、有機キレ−ト、有機金属化合物、あるいは酢酸塩を挙げることができる。
これらにより原料ゼオライトを修飾、混合またはイオン交換処理した後、通常、焼成される。焼成は大気中あるいは窒素雰囲気下で、300〜850℃で数時間行われるが、本発明のピリジン塩基類の製造方法においては、触媒である新規金属担持ゼオライトは反応管で昇温されるため、必ずしも前記焼成は必要でない。
【0013】
前記修飾、混合の具体的方法としては、例えば、触媒講座「5触媒設計」触媒学会(講談社)に記載されている含浸法(平衡吸着法、ポアフィリング(pore−filling)法、インシピエントウェットネス(incipient wetness)法、蒸発乾固法、スプレ−法)、沈殿法(混練法、沈着法)、イオン交換法が挙げられる。
【0014】
その中で例えば、含浸法の一つである平衡吸着法により成型加工済みゼオライトあるいは粉末ゼオライトをインジウムを第一成分とし、タングステンまたはモリブデンを第二成分とする組合せから選ばれる塩化物、硝酸塩、水酸化物、酸化物、硫酸塩などの水溶液に浸漬し、吸着後に濾別、焼成する方法、インシピエントウェットネス法、ポアフィリング法、蒸発乾固法、スプレ−法等の含浸法によって前記新規金属担持ゼオライトを得ることができる。
【0015】
沈殿法の一つである混練法によりインジウム化合物とタングステン化合物あるいはインジウム化合物とモリブデン化合物の組合せから選ばれる金属化合物を粉末のままあるいは水等のバインダ−成分と共に粉末ゼオライトと混合または混練したあと焼成する方法でもよい。
【0016】
金属化合物としてインジウムとタングステンあるいはインジウムとモリブデンの組合せから選ばれる硝酸塩、酢酸塩からアンモニア水等による中和によって得られた水酸化物を粉末ゼオライトと混練後、焼成する方法も適用できる。
【0017】
さらに沈着法により、金属化合物としてインジウムとタングステンあるいはインジウムとモリブデンの組合せから選ばれる硝酸塩、酢酸塩の水溶液に粉末ゼオライトを分散させ、この中にアンモニア水等を加えることにより、ゼオライトの表面に金属水酸化物を沈着させ、水洗後、焼成する方法も適用できる。
【0018】
またイオン交換法により、インジウムとタングステンあるいはインジウムとモリブデンの組合せ型へのイオン交換は、濃度0.001〜15グラム/リットルでインジウムとタングステンあるいはインジウムとモリブデンの組合せを含む塩化物、硝酸塩、硫化物、水酸化物などの水溶液に前記のアルカリイオン型、アンモニウム型、プロトン型で、制御指数1〜12の原料用ゼオライトを浸し、所定の温度と時間で攪拌イオン交換、濾過の工程を繰り返し、最後に水洗することにより行なわれる。
【0019】
原料となるゼオライトによって、あるいは用いる金属化合物によって好ましい範囲が異なるが、前記修飾、混合あるいはイオン交換によってゼオライトに含有されるインジウム化合物とタングステン化合物あるいはインジウム化合物とモリブデン化合物の組合せたものの含有量は、およそ0.001〜15重量%の範囲、好ましくは、0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.2〜5重量%である。0.001重量%未満では担持金属による修飾が十分に得られず、得られる効果が小さくなり、逆に、15重量%を越えると経済性が悪くなるばかりか収率の向上も担持量に比例しなくなるので、いずれも好ましくない。
【0020】
また、ゼオライトに担持させたインジウムとタングステンあるいはインジウムとモリブデンの原子の重量比率はインジウムに対して0.001〜1,000の範囲、好ましくは0.1〜10である。この範囲をはずれると2種類の金属を担持させることにより得られるピリジン塩基類を製造する触媒としての相乗効果を得ることができない。
【0021】
インジウム化合物とタングステン化合物、インジウム化合物とモリブデンから選ばれる金属化合物または金属イオンにより含浸法(平衡吸着法、ポアフィリング法、インシピエントウェットネス法、蒸発乾固法、スプレ−法)、沈殿法(混練法、沈着法)、イオン交換法よる修飾または混合あるいはイオン交換されたゼオライトの形態は通常は粉末であるが、そのままでは、一般に本反応の工業的な実施形態である固定床気相反応器用の触媒として使用することは困難である。したがって、粉末を適当なバインダーと混合し、打錠、押出し、転動等の方法により適当な粒形のペレット状に成型することが好ましい。なお、本発明のピリジン塩基の製造に使用する触媒としてゼオライトにこれらの金属を含有させて調製するとき、原料用ゼオライトが工業的な実施形態、例えばペレットに成型されていたとしても何等差し支えないことはいうまでもない。
【0022】
すなわち、工業的な実施形態に成型加工済みのゼオライト、またはインジウム、タングステン若しくはモリブデンを上記方法により含有済みのゼオライトに、さらにインジウム化合物とタングステン化合物あるいは、インジウム化合物とモリブデン化合物から選ばれる組み合わされた金属化合物で、含浸法(平衡吸着法、ポアフィリング(pore−filling)法、インシピエントウェットネス(incipient wetness)法、蒸発乾固法、スプレ−法)、沈殿法(混練法、沈着法)、イオン交換法による修飾または混合あるいはイオン交換してもよい。この場合も原料ゼオライトを修飾、混合またはイオン処理した後、通常、焼成される。
【0023】
焼成は大気中あるいは窒素雰囲気下で、300〜850℃で数時間行われるが、前記のように、本発明のピリジン塩基類の製造方法においては、触媒は反応管で昇温されるため、必ずしも触媒の前記焼成は必要ではない。
【0024】
Si/Al原子比の調整は前記USP 3,702,886号に開示されている方法や「触媒」、23(3)、232(1981)に開示された八嶋法に基づいてゼオライトを水熱合成するときの原料であるSiO2、あるいはケイ酸ソ−ダとアルミン酸ソ−ダ、あるいは硫酸アルミニウムの比をコントロ−ルしながら仕込むことにより行なう。
【0025】
本発明により脂肪族のアルデヒド及び/又はケトンとアンモニアからピリジン塩基類を製造するには、上述のように、通常固定床気相反応器が用いられる。
【0026】
原料は、脂肪族アルデヒド、ケトンあるいはこれらの混合物に対してアンモニアをモル比で約0.5ないし2倍程度混合したガスを使用する。空間速度(GHSV)は100〜10,000、好ましくは200〜3,000が用いられる。反応温度は300℃〜600℃、好ましくは400℃〜550℃の範囲である。反応ガスの圧力は大気圧以下ないし数気圧の加圧下で実施できるが、大気圧付近が装置的に至便である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の反応成績の計算方法は、原料の脂肪族アルデヒドおよびケトンの全炭素原子数を基準としたもので、以下の式による。
【数1】
【0028】
(比較例1)
米国特許第3,702,886号に開示されている方法に従って、以下のようにZSM−5を調製した。即ち、22.9gのSiO2を100mlの2.18規定テトラプロピルアンモウムヒドロキシ水溶液に加え、100℃で一部溶解状態とした。さらに3.19gのアルミン酸ナトリウム(42.0重量%のAl2O3、30.9重量%のNa、27.1重量%のH2Oの組成物)を53.8mlの水に溶かしたものを加えた混合物をガラス円筒を有するオートクレーブに入れ、150℃で6日間保持した。得られた固体を濾過、水洗後、110℃で乾燥し、530℃で4時間焼成して、白色の結晶を得た。分析の結果、この結晶のSi/Al原子比は60であり、X線回折パターンは、米国特許第3,702,886号に記載のものと一致した。このものの制御指数は6.9を示した。
このZSM−5を5%塩化アンモニウム水溶液により50〜60℃でイオン交換した後、500℃で焼成し、HZSM−5を得た。このHZSM−5とα−アルミナ一水和物および水とを混練したものを押出成型し、さらに転動機により球状に成型した。成型後、530℃で焼成し、HZSM−5が75重量%、アルミナバインダーが25重量%からなるゼオライト−1を製造した。
上記のゼオライト−1を触媒として用い、原料組成(モル比)がアクロレイン:アセトアルデヒド:アンモニア=1:0.5:2になるように配合し、大気圧下、反応温度450℃、GHSV500で反応を6時間継続した。得られた反応粗液をガスクロマトグラフにより分析し、ピリジン40%、β−ピコリン26%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率67%)を確認した。
【0029】
(実施例1)
ZSM−5をイオン交換した後HZSM−5を得る段階までは、比較例1と全く同様に実施し、得られたHZSM−5(40g)を10%硝酸インジウム(In)水溶液に浸漬し、80℃において2時間処理を行い、濾別した後に、500gの水(プロセスウオーター)で洗浄した。そして、大気下において120℃で乾燥後、タングステン(W)酸アンモニウム水溶液(濃度5%)に浸漬し、80℃において2時間処理を行い、濾別した後に、500gの水(プロセスウオーター)で洗浄した。
次いで、大気下において120℃で乾燥後、α−アルミナ一水和物および水とを混練したものを押出成型し、さらに転動機により球状に成型した。成型後、550℃で2時間焼成し、ゼオライト−2を得た。このゼオライト−2は原子吸光分析の結果、In含量4.0重量%、W含量1.0重量%であった。上記ゼオライト−2を触媒としてを比較例1に準じて試験し、ピリジン53%、β−ピコリン28%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率82%)を得た。
【0030】
(比較例2)
タングステン酸アンモニウム水溶液を使用しなかった以外は実施例1と同様にしてゼオライト−3を得た。このゼオライト−3は、原子吸光分析の結果、In含量4.0重量%であった。上記のゼオライト−3を触媒として実施例1に準じて試験し、ピリジン50%、β−ピコリン27%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率78%)を得た。
【0031】
(実施例2)
実施例1で使用したタングステン酸アンモニウム水溶液をモリブデン(Mo)酸アンモニウム水溶液に変更した以外は同様にして、ゼオライト−4を得た。このゼオライト−4は原子吸光分析の結果、In含量4.0重量%、Mo含量1.0重量%であった。上記のゼオライト−4を触媒として実施例1に準じて試験し、ピリジン52%、β−ピコリン27%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率80%)を得た。
【0032】
(比較例3)
硝酸インジウム水溶液を使用しなかった以外は実施例1と同様にして、ゼオライト−5を得た。このゼオライト−5は原子吸光分析の結果、W含量1.0重量%であった。上記のゼオライト−5を触媒として実施例1に準じて試験し、ピリジン47%、β−ピコリン26%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率74%)を得た。
【0033】
(比較例4)
硝酸インジウムを使用しなかった以外は実施例2と同様にして、ゼオライト−6を得た。このゼオライト−6は原子吸光分析の結果、Mo含量1.0重量%であった。
上記のゼオライト−6を触媒として実施例1に準じて試験し、ピリジン42%、β−ピコリン26%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率69%)を得た。なお、上記実施例1、2および比較例2〜4において使用したHZSM−5は比較例1におけるものと同じSi/Al原子比と制御指数を有するものを使用した。
【0034】
(比較例5)
市販の成形加工済みフォ−ジャサイトY型ゼオライト(Si/Al原子比2.3、制御指数0.4)を触媒として使用した以外は比較例1に準じて試験し、ピリジン25%、β−ピコリン27%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率53%)を得た。
【0035】
(比較例6)
市販の成形加工済みUSY型ゼオライト(Si/Al原子比160、制御指数0.5)を触媒として使用した以外は比較例1に準じて試験し、ピリジン25%、β−ピコリン30%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率56%)を得た。
【0036】
(比較例7)
実施例1におけるHZSM−5を比較例6と同じUSY型ゼオライトとした以外は実施例1と同様にしてゼオライト−7を得た。このゼオライト−7は原子吸光分析の結果、In含有量4.0重量%、W含有量1.0重量%であった。比較例1に準じて試験し、ピリジン26%、β−ピコリン30%、α−ピコリン1%の各収率(合計収率57%)を得た。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、特定のゼオライトをインジウムとタングステン、あるいはインジウムとモリブデンの化合物またはその金属イオンを用て修飾、混合あるいはイオン交換して得られる工業的使用に安全な触媒を用いて、脂肪族アルデヒド及び/又はケトンとアンモニアを気相で反応させて、安全性高く、しかも高い収率でピリジン塩基類が得られた。
Claims (10)
- 脂肪族のアルデヒド及び/又はケトンとアンモニアを、触媒の存在下、気相で縮合させてピリジン塩基類を製造する方法において、制御指数が1〜12のゼオライトに、インジウムを第一成分としタングステンまたはモリブデンを第二成分とする組合せから選ばれる金属化合物の混合物または金属イオンの混合物を修飾、混合またはイオン交換して担持させた触媒を使用することを特徴とするピリジン塩基類の製造方法。
- ゼオライトのAl、B、Fe及び/又はGaに対するSiの原子比が12以上であることを特徴とする請求項1記載のピリジン塩基類の製造方法。
- ゼオライトのSi/Al原子比が少なくとも10以上である請求項1または2記載のピリジン塩基類の製造方法。
- ゼオライトの制御指数が5〜9の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のピリジン塩基類の製造方法。
- 脂肪族のアルデヒド及び/又はケトンがアクロレインおよびアセトアルデヒドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のピリジン塩基類の製造方法。
- 制御指数が1〜12のゼオライトにインジウムを第一成分としタングステンまたはモリブデンを第二成分として、第一成分と第二成分を組み合わせたものの含有量が0.01〜10重量%の範囲であり、第一成分に対する第二成分の重量比率が0.1〜10の範囲であるように担持させたことを特徴とする新規金属担持ゼオライト。
- ゼオライトのAl、B、Fe及び/又はGaに対するSiの原子比が12以上であることを特徴とする請求項6記載の新規金属担持ゼオライト。
- ゼオライトのSi/Al原子比が少なくとも10以上であることを特徴とする請求項6または7記載の新規金属担持ゼオライト。
- ゼオライトの制御指数が5〜9の範囲であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の新規金属担持ゼオライト。
- ゼオライトに、インジウムを第一成分としタングステンまたはモリブデンを第二成分とする組合せから選ばれる金属化合物の混合物または金属イオンの混合物を修飾、混合またはイオン交換して担持させることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の新規金属担持ゼオライトの製法。
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