JP4424774B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに係り、特に、氷雪路面での優れた走行性能を有する、空気入りタイヤの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパイクタイヤの使用禁止に伴い、より優れたスタッドレスタイヤを求めて、トレッドに関する種々の改良がなされてきた。
【0003】
このスタッドレスタイヤにほぼ共通する特徴として、トレッドに深さ方向にストレートに延びるサイプが多数施されている。
【0004】
このサイプによりトレッド表面が多数のブロックに区分され、これらのブロック角部による氷上摩擦係数(μ)の向上(エッジ効果)を狙いサイプの幅方向の形状が検討されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術でより高い氷上摩擦係数を狙うには、サイプの本数を増加させる方法と、除水機能を向上させる方法とがある。
【0006】
従来技術でサイプ本数を増加させると、ブロック剛性の低下に伴い接地性が悪化し、それほどの効果は望めない。しかも、接地性の悪化による偏摩耗(ヒールアンドトウ摩耗)が生じてしまう。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、サイプ本数を増加させた際の接地性悪化を抑制でき、これにより、ウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、周方向に延びる複数の主溝と、これらの主溝と交わる多数のラグ溝によって区分されたブロック状陸部を含み、前記ブロック状陸部が夫々複数のサイプを有するトレッドを備えた空気入りタイヤにおいて、前記サイプは、少なくとも深さ方向の何れかの位置においてサイプ長手方向と直交方向に振幅を有し、サイプ深さ方向位置の1箇所または複数箇所で振幅が大小大または小大小に変化しており、前記サイプは、踏面において振幅が零であり、前記サイプの踏面よりも底部側の位置で振幅が最大となる部分の深さAと、前記サイプの深さBとの関係が、1/10<A/B<2/3であることを特徴としている。
【0009】
次に請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0010】
一般的に、サイプは溝幅が狭いので、駆動制動時等においてブロック状陸部が接地したとき、サイプの壁面同士が接触してサイプで分割された小陸部の倒れ込みはある程度抑制される。
【0011】
請求項1に記載の空気入りタイヤのサイプは、深さ方向の何れかの位置においてサイプ幅方向の振幅を有しているので、深さ方向に真っ直ぐ延びる従来形状のサイプに比較してサイプ壁面の接触面積が増加し、制動駆動時のブロック状陸部の倒れ込み抑制作用が高い。
【0012】
また、このサイプは、振幅が深さ方向で変化するので、実質的にはサイプ断面形状(長手方向に対して直角)が深さ方向に屈曲した形状となり、ブロック状陸部が圧縮変形を受けるだけでも対向するサイプ壁面同士が容易に接触するため、ブロック変形時のサイプ接触力が更に強くなり、深さ方向に真っ直ぐに延びるサイプを備えた従来のブロック状陸部に比較してブロック状陸部の倒れ込み抑制作用が高まる。
【0013】
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、振幅を有することによるサイプ壁面の接触面積の増加と、圧縮変形を受けたときのサイプ接触力の増加とにより、サイプ本数を増加した際にも、タイヤ幅方向に延びるサイプの場合では制動駆動時等におけるブロック状陸部の倒れ込み(タイヤ周方向)を従来よりも抑制することができ、タイヤ周方向に延びるサイプの場合ではコーナリング時におけるブロック状陸部の倒れ込み(タイヤ幅方向)を従来よりも抑制することができる。
【0014】
即ち、請求項1に記載の空気入りタイヤでは、サイプ本数を増加させた際のブロック状陸部の変形量拡大を減少できるので、タイヤ幅方向に延びるサイプの場合では接地性の悪化を抑制することができ、ウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができ、タイヤ周方向に延びるサイプの場合ではコーナリング性能を向上させることができる。
【0015】
また、サイプは踏面において振幅が零であるので、踏面ではなくて踏面よりも底部側の位置で振幅が零となる部分を有する場合に比べ、ブロック状陸部の内部で発生するサイプ接触力が接触面積大の為強い。これにより、ブロック状陸部の変形が抑制され、接地性が良化する。
【0016】
また、A/B<1/10になると、摩耗初期に振幅が最大となる部分が消滅してしまうため、それ以降、ブロック状陸部の変形抑制作用が得られなくなる。
一方、2/3<A/Bになると、サイプで分割された小陸部の付け根部分のみの剛性が低下してしまい、付け根付近の変形が集中してしまうため、ブロック状陸部の倒れ込み変形を抑制することが出来なくなる。
したがって、1/10<A/B<2/3とすることが好ましい。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記サイプはタイヤ幅方向に沿って延びていることを特徴としている。
【0018】
次に請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0019】
請求項2に記載の空気入りタイヤのようにブロック状陸部にタイヤ幅方向に沿って延びたサイプを設けた場合には、サイプで分割された小陸部のタイヤ周方向への倒れ込みを抑制でき、主に直進時の性能、具体的にはウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下に本発明の空気入りタイヤの第1実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
【0021】
本実施形態の空気入りタイヤ10の内部構造は、一般的なラジアルタイヤの構造であるので内部構造に付いての説明は省略する。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド12には、タイヤ周方向(矢印S方向)に延びる複数の主溝14と、これらの主溝14と交わる多数のラグ溝16とが形成されており、これらの主溝14とラグ溝16とによってブロック状陸部18が区分されている。
【0023】
本実施形態では、主溝14、ラグ溝16共ストレートのものを使用しているが、主溝14はジグザグ状、クランク状など左右に所定の間隔をもってタイヤ周方向に連なる公知の溝を用いることができ、またラグ溝16も同様に、クランク状、への字状溝など他の形状のものを用いることができる。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態のブロック状陸部18は、タイヤ周方向長さL1 とタイヤ幅方向(矢印W方向)長さL2 とが同じに設定された正方形状であるが、長方形等の他の形状であっても良い。
【0025】
図2に示すように、ブロック状陸部18には、タイヤ幅方向に延びてブロック状陸部18を横断する複数のサイプ20が形成されており、各ブロック状陸部18はこれら複数のサイプ20によって複数の小ブロック(小陸部)18Bに分割されている。
【0026】
図1に示すように、本実施形態のサイプ20は、踏面18においてジグザグ形状(三角波形状)であり、その振幅aは、底部側へ向かって漸減して深さ方向中央部分(A=0.5B)で零となり、深さ方向中央部分から底部側へ向かって漸増している。
【0027】
なお、サイプ20の踏面18Aに現れる形状はジグザグ形状に限らず、例えば、サインカーブ等の他の形状であっても良い。
【0028】
本実施形態では、各サイプ20のサイプ深さBは全て同じに設定されており、また、踏面18Aに最も近い振幅aが零となる位置までの寸法Aは全て同じ寸法に設定されている。
【0029】
なお、サイプ深さBと寸法Aとの関係は、1/10<A/B<2/3に設定されている。
【0030】
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
【0031】
本実施形態の空気入りタイヤ10のサイプ20は、深さ方向に真っ直ぐ延びる従来形状のサイプ(サイプ20と同一深さの条件)に比較してサイプ壁面の接触面積が増加し、制動駆動時にブロック状陸部18の倒れ込みを抑制する作用が高い。
【0032】
さらに、このサイプ20は、振幅aが深さ方向で変化するので、実質的にはサイプ断面形状(長手方向に対して直角)が深さ方向に屈曲した形状となり、ブロック状陸部18が圧縮変形を受けるだけでも対向するサイプ壁面同士が容易に接触するため、ブロック変形時のサイプ接触力が更に強くなり、深さ方向に真っ直ぐに延びるサイプを備えた従来のブロック状陸部に比較して本実施形態のブロック状陸部18は倒れ込みが少なくなる。
【0033】
本実施形態の空気入りタイヤ10では、振幅aを有することによるサイプ壁面の接触面積の増加と、圧縮変形を受けたときのサイプ接触力の増加とにより、サイプ本数を増加した際にも制動駆動時におけるブロック状陸部18の倒れ込みを従来よりも抑制することができる。
【0034】
このように、本実施形態の空気入りタイヤ10では、サイプ本数を増加させた際のブロック状陸部18の変形量拡大を少なくし、接地性悪化を抑制できるため、ウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができる。
【0035】
なお、A/B<1/10になると、摩耗初期に振幅が零になる部分(本発明でいう大小大に変化する箇所)が消滅してしまうため本発明の効果が無くなり、摩耗中期においてブロック剛性の低下によりヒール・アンド・トー摩耗が生じてしまう。
【0036】
一方、2/3<A/Bになると、サイプ20で分割された小ブロックの付け根部分(基部)のみの剛性が低下してしまい、付け根付近に変形が集中してしまうためブロック状陸部18の倒れ込み変形を抑制することができない。このため、摩耗初期からヒール・アンド・トー摩耗が生じてしまう。
【0037】
また、一般的に、タイヤ幅方向に直線状のサイプでは、エッジ長さが十分でないため水膜を十分に切ることができない。一方、深さ方向に一定振幅のサイプでは、ブロック踏面のジグザグ形状で水膜を切り、サイプ内部に水を吸い上げることは可能であるが、特にブロック中央部で吸い上げた水をスムーズにブロック外部へ排水することができない。
【0038】
しかし、本実施形態の空気入りタイヤ10では、振幅aが深さ方向で変化することで、踏面18Aで水膜を切り、サイプ内部に吸い上げた水を振幅aが零または小の部分を介してブロック状陸部18の側面(サイプ20の長手方向端部)から主溝14へスムーズに排水することが可能となり、これにより排除水性能が向上する。
【0039】
なお、このようにサイプ20の振幅aが零または小の部分を介してサイプ内に吸い上げた水をスムーズに排水するには、サイプ深さBと寸法Aとの関係を、1/10<A/B<1/2に設定することが好ましい。
【0040】
A/B<1/10になると摩耗初期に効果が無くなり、1/2<A/Bになるとサイプ20が水を十分に吸い上げることが出来ず、これほどの効果が望めない。
【0041】
なお、本実施形態では、ブロック状陸部18に4本のサイプ20が形成されていたが、一つのブロック状陸部18に4本以上のサイプ20を形成しても良く、一つのブロック状陸部18におけるサイプ20の形成数は本実施形態の数には限定されるものではない。
【0042】
また、サイプ20は、図1に示すようにブロック状陸部18を横断することなく、例えば、サイプ20の長手方向一端がブロック状陸部18内に止まる行き止まり横向きサイプを互い違い千鳥状に設けたり、またサイプ20のような所謂横断サイプと行き止まりサイプとを適宜併用することなども可能である。
【0043】
[第2の実施形態]
次に本発明の空気入りタイヤの第2の実施形態を図3にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成については同一符号を付しその説明は省略する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態のサイプ24は、踏面18においてジグザグ形状であり、その振幅aは、底部側へ向かって漸減してある一定深さ(A)で零となり、そこから底部側へ向かって漸増してある一定深さ(A+λ)で踏面18Aと同じ振幅となり、更にそこから底部側へ向かって漸減して底部において零となる。
【0045】
本実施形態のサイプ24においても、第1の実施形態と同様に深さ方向に真っ直ぐ延びる従来形状のサイプ(サイプ24と同一深さの条件)に比較してサイプ壁面の接触面積が増加するので、制動駆動時にブロック状陸部18の倒れ込みを抑制する作用が高い。
【0046】
また、このサイプ24も、振幅aが深さ方向で変化するので、実質的にはサイプ断面形状(長手方向に対して直角)が深さ方向に屈曲した形状となり、ブロック状陸部18が圧縮変形を受けるだけでも対向するサイプ壁面同士が容易に接触するため、ブロック変形時のサイプ接触力が更に強くなり、深さ方向に真っ直ぐに延びるサイプを備えた従来のブロック状陸部に比較して本実施形態のブロック状陸部18は倒れ込みが少なくなる。
【0047】
したがって、本実施形態においても、振幅aを有することによるサイプ壁面の接触面積の増加と、圧縮変形を受けたときのサイプ接触力の増加とにより、サイプ本数を増加した際にも制動駆動時におけるブロック状陸部18の倒れ込みを従来よりも抑制することができ、第1の実施形態と同様にウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができる。
【0048】
なお、本実施形態のサイプ24のように、その振幅変化位置が1箇所ではなく複数箇所ある場合には、踏面18A側から数えて1番目の振幅変化位置が摩耗により消滅しても、更にその下に振幅変化位置があるので、摩耗時の性能低下を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態のサイプ24のように、その振幅変化位置が複数箇所ある場合、踏面18Aから数えて2つ目以降の振幅変化位置は前記第1の実施形態で説明したサイプ内部に吸い上げた水をスムーズに排水できる条件1/10<A/B<1/2から外れても良いが、サイプ振幅変化位置の隣接距離λは、少なくとも0.125B以上であることが望ましい。
【0050】
[第3の実施形態]
次に本発明の空気入りタイヤの第3の実施形態を図4にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成については同一符号を付しその説明は省略する。
【0051】
本実施形態のサイプ26は、踏面18において一直線状であり、底部側へ向かってジグザグ形状(三角波形状)となり、その振幅aは、底部側へ向かって漸増して深さ方向中央部分で最大値となり、深さ方向中央部分から底部側へ向かって漸減して底部にて零となる。
【0052】
本実施形態においては、サイプ深さBと寸法Aとの関係は、1/10<A/B<2/3に設定されている。
【0053】
本実施形態のサイプ26においても、前述した第1の実施形態と同様に深さ方向に真っ直ぐ延びる従来形状のサイプ(サイプ26と同一深さの条件)に比較してサイプ壁面の接触面積が増加するので、制動駆動時にブロック状陸部18の倒れ込みを抑制する作用が高い。
【0054】
また、このサイプ26も、振幅aが深さ方向で変化するので、実質的にはサイプ断面形状(長手方向に対して直角)が深さ方向に屈曲した形状となり、ブロック状陸部18が圧縮変形を受けるだけでも対向するサイプ壁面同士が容易に接触するため、ブロック変形時のサイプ接触力が更に強くなり、深さ方向に真っ直ぐに延びるサイプを備えた従来のブロック状陸部に比較して本実施形態のブロック状陸部18は倒れ込みが少なくなる。
【0055】
したがって、本実施形態においても、振幅aを有することによるサイプ壁面の接触面積の増加と、圧縮変形を受けたときのサイプ接触力の増加とにより、サイプ本数を増加した際にも制動駆動時におけるブロック状陸部18の倒れ込みを従来よりも抑制することができ、第1の実施形態と同様にウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができる。
【0056】
また、サイプ26の接触面積が大の為、サイプ接触力がより強まる。
【0057】
これにより、ブロック状陸部18の変形が抑制され、接地性が良化する。特に、耐偏摩耗性能が向上する。
【0058】
なお、前述した実施形態のサイプの振幅aは、1〜3mmが好ましい。振幅aが1mm未満ではサイプ壁面の接触面積が小となるため効果が少なくなる。一方、振幅aが3mmよりも大きいと、サイプ間隔が広がるためブロック状陸部に形成されるサイプ本数が減少する。
【0059】
なお、上記実施形態では、ブロック状陸部にタイヤ幅方向に延びるサイプを形成したが、ブロック状陸部にタイヤ周方向に延びるサイプを形成しても良い。
【0060】
タイヤ周方向に延びる本発明のサイプをブロック状陸部に形成することにより、ストレートサイプを形成した従来のタイヤよりもコーナリング性能を向上させることができる。
[試験例]
本発明の効果を確かめるために、従来例の空気入りタイヤと本発明の適用された実施例の空気入りタイヤとを用意し、氷上ブレーキ性能についてテストを行った。何れのタイヤもタイヤサイズは185/70R14のものを用いた。
【0061】
氷上ブレーキ性能はタイヤを車輛に装着し時速20km/hで走行中急ブレーキをかけ、かけた地点から停止した地点までの距離を測定し、その逆数を氷上ブレーキ性能として、指数表示(従来例を100とする)し表1に示した。なお、数値が大きい程性能が良いことを示す。また、測定は新品時と50%摩耗時で各々2回ずつ行った。
【0062】
実施例1:図1に示されるブロック状陸部をトレッドに備えた空気入りタイヤであって、ブロック状陸部は、タイヤ周方向長さL1 が20mm、タイヤ幅方向長さL2 が20mm、高さHが10mmである。また、サイプは、サイプ深さBが7mm、踏面からの振幅変化位置までの寸法Aが3.5mm、振幅aが1.5mmである。
【0063】
実施例2:図5に示されるブロック状陸部をトレッドに備えた空気入りタイヤであって、ブロック状陸部の寸法は実施例1と同一である。サイプ28は、深さBが7mmであり、踏面と底部との間で振幅変化位置が3箇所あり、サイプ振幅変化位置の隣接距離λが0.25B(=1.75mm)、振幅a(最大部分)が1.5mmである。
【0064】
従来例:図6に示される如く、実施例1,2と同一寸法のブロック状陸部70に、ストレートサイプ72を形成した空気入りタイヤである。ストレートサイプ72のサイプ深さBは実施例と同一の7mmである。
【0065】
【表1】
【0066】
表1の結果から、本発明の実施例タイヤ1,2の氷上ブレーキ性能が従来例タイヤよりも優れていることが明らかになった。
【0067】
また、実施例2のタイヤが実施例1のタイヤよりも50%摩耗時氷上ブレーキ性能に優れているのは、振幅変化位置が複数箇所あるためである。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、タイヤ幅方向に延びるサイプの場合ではウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができ、タイヤ周方向に延びるサイプの場合ではコーナリング性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
また、サイプは踏面において振幅が零であるので、踏面ではなくて踏面よりも底部側の位置で振幅が零となる部分を有する場合に比べて変形抑制作用が大であるため耐偏摩耗性能が良く、サイプの振幅が増加するため摩耗時の氷上性能がより向上する、という優れた効果を有する。
また、摩耗初期から摩耗後期に至るまでブロック状陸部の変形抑制作用が確実に得られる、という優れた効果を有する。
【0069】
請求項2に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、主に直進時の性能、具体的にはウェットグリップ性能、氷上制動駆動性能、耐偏摩耗性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状陸部の斜視図である。
【図2】 第1の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの一部を示す平面図である。
【図3】 第2の実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状陸部の斜視図である。
【図4】 第3の実施形態に係る空気入りタイヤのブロック状陸部の斜視図である。
【図5】 試験に用いた実施例2に係る空気入りタイヤのブロック状陸部の斜視図である。
【図6】 従来例に係る空気入りタイヤのブロック状陸部を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
14 主溝
16 ラグ溝
18 ブロック状陸部
18A 踏面
20 サイプ
24 サイプ
26 サイプ
28 サイプ
Claims (2)
- 周方向に延びる複数の主溝と、これらの主溝と交わる多数のラグ溝によって区分されたブロック状陸部を含み、前記ブロック状陸部が夫々複数のサイプを有するトレッドを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記サイプは、少なくとも深さ方向の何れかの位置においてサイプ長手方向と直交方向に振幅を有し、サイプ深さ方向位置の1箇所または複数箇所で振幅が大小大または小大小に変化しており、
前記サイプは、踏面において振幅が零であり、
前記サイプの踏面よりも底部側の位置で振幅が最大となる部分の深さAと、前記サイプの深さBとの関係が、1/10<A/B<2/3であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記サイプはタイヤ幅方向に沿って延びていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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