JP4423540B2 - 重合性多分岐ポリエステルの製造方法 - Google Patents

重合性多分岐ポリエステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塗料、コーティング材料、接着剤、フィルム、シート、成型品、電子材料、等、広範な用途に有用な重合性多分岐ポリエステルの製造方法に関する。
中心点に存在する分岐点から延びた分子鎖がさらに分岐点を有し、中心点から遠くなるに従って末端数が増加していく多分岐ポリマーは、その末端の多さや特有の分子形状から、種々の用途への展開が期待されている。
多分岐ポリマーとしては、分子鎖末端に水酸基を有する多分岐ポリエステルポリオールが知られており(例えば、特許文献1など)、この水酸基の反応性を利用して、分子鎖にさらに反応性の高い官能基あるいは反応性の型が異なる官能基を導入する試みがなされている。特に、分子鎖やその末端に重合性不飽和二重結合を導入した多官能性の多分岐ポリマーは、マクロモノマー、ポリマー改質剤、機能性ポリマー、あるいは多官能性反応中間体として有用である。
この多分岐ポリエステルポリオールの水酸基をエステル化することによって、多分岐ポリエステルポリオールの分子末端に重合性不飽和二重結合を導入したポリエステルを製造する多くの試みがなされている。その代表例としては、以下の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)多分岐ポリエステルポリオールとアクリル酸とをメタンスルホン酸の存在下に脱水エステル化させる方法。(例えば、特許文献2参照。)
(2)多分岐ポリエステルポリオールと無水メタクリル酸とを、N,N−ジメチルアミノピリジンの存在下にエステル化させる方法。(例えば、非特許文献1参照。)、
(3)多分岐ポリエステルポリオールとアクリル酸クロリドとを、トリエチルアミン又はN,N−ジメチルアミノピリジンの存在下にエステル化させる方法。(例えば、非特許文献2及び非特許文献3参照。)
(4)多分岐ポリエステルポリオールと無水メタクリル酸とを反応させた後、生成物を一旦分離精製し、さらにトリエチルアミンの存在下にメタクリル酸クロリドを反応させる二段階エステル化法。(例えば、非特許文献4参照。)、
しかしながら、上記(1)の方法のように、(メタ)アクリル酸の如き電子密度が低い重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸を使用する場合には、脱水エステル化反応以外に、副反応として、重合性不飽和二重結合の熱重合反応のみならず多分岐ポリエステルポリオールの水酸基と重合性不飽和二重結合との求核付加反応が生じ、その結果、反応系のゲル化や分子末端への重合性不飽和二重結合の導入量の減少が起こりやすいという問題点があった。
また、上記(1)の方法のように、酸触媒を用いた脱水エステル化反応を行う場合には、副反応として、分子鎖のエステル結合が加水分解するという問題点があった。
さらに、上記(2)、(3)及び(4)の各方法のように、酸無水物や酸ハロゲン化物を使用したエステル化反応では、触媒もしくは酸受容体として用いる塩基性化合物に起因して、上記(1)の場合と同様に、反応系のゲル化や分子末端への重合性不飽和二重結合の導入量の減少が起こりやすいという問題点があった。
また、上記(2)、(3)及び(4)の各方法のように酸無水物や酸ハロゲン化物を使用する場合は、カルボン酸エステルを使用する場合に比べて、(a)工業用原料として入手が困難である、あるいは使用できる化合物種が限定される、(b)これらの化合物は、反応性が高い為に、空気中の水分等との反応に注意する必要があるなど、取り扱いも容易ではない、(c)反応中に生成する酸ハロゲン化物と酸受容体との塩を除去しなければならない、等の工業的製造方法上の問題点があった。
上記の如き問題点を引き起こすことなく、エステル交換反応により、多分岐ポリエステルポリオールの分子末端に重合性不飽和二重結合を導入することができるなら、それは工業的に極めて有利な方法となる。
しかしながら、かかる工業的に有利なエステル交換反応は未だ知られていない。その主な理由は次の(a)及び(b)にあると推測される。すなわち、(a)多分岐ポリエステルポリオールは、その極度に高い分岐密度の故に、エステル交換反応中に強い立体障害を受け、その結果、分子末端への重合性不飽和二重結合の導入量が満足できるレベルに到達しないという問題、(b)多分岐ポリエステルポリオールは、その高い水酸基含有量の故に、水酸基と重合性不飽和二重結合との求核付加反応が生じ易く、その結果、反応系のゲル化や分子末端への重合性不飽和二重結合の導入量の減少が起こりやすいという問題がある。
一方、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの如き重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステルと1分子中に2〜6個の水酸基を有する低級アルコール単量体とを、エステル交換反応触媒のスタノキサンの存在下にエステル交換反応させて、低級アルコール単量体末端に重合性不飽和二重結合を導入する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献3には、多分岐ポリエステルポリオールへの重合性不飽和二重結合の導入についての記載はない。それ故に、特許文献3が存在しても、スタノキサンからなるエステル交換反応触媒の使用により上記(a)及び(b)の問題を解決できるか否か不明であった。
米国特許第3669939号明細書 米国特許第5418301号明細書 特開平9−183751号(米国特許第5606103号明細書) マッツ・ヨハンソン(Mats Johansson)、外3名,「ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)」,(米国),2000年,第75巻,p.612 ジェイ・ラング(J. Lang)、外3名,「ポリマー(Polymer)」,(英国),2001年,第42巻,p.7403 マッツ・ヨハンソン(Mats Johansson)、外1名,「ジャーナル・オブ・コーティング・アンド・テクノロジー(Journal of Coating and Technology)」,(米国),1995年,第67巻,p.35 チーチュン・ワン(Qichun Wan)、外2名,「ジャーナル・オブ・マクロモレキュラー・サイエンス ピュアー・アンド・アプライド・ケミストリー(Journal of Macromolecular Science Pure and Applied Chemistry)」,(米国),2000年,第A37巻,p.1301
本発明が解決しようとする課題は、少なくとも2個の水酸基を有し、カルボキシ基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換されているポリヒドロキシモノカルボン酸を重縮合させて得られる多分岐ポリエステルポリオール(以下、「多分岐ポリエステルポリオール(A)」という。)の分子末端に、エステル交換反応により、重合性不飽和二重結合を導入して重合性多分岐ポリエステルを製造する方法において、以下の(i)〜(iv)の条件を満足する製造方法を提供することにある。
(i)多分岐ポリエステルポリオール(A)の末端水酸基と重合性不飽和二重結合との間の求核付加反応や、前記重合性不飽和二重結合の熱重合反応などの副反応を引き起こさない。
(ii)多分岐ポリエステルポリオール(A)の分子鎖の基本骨格構造が加水分解などの変化を受けない。
(iii)入手容易な工業用原料を使用できる。
(iv)高効率で反応が進行する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エステル交換反応触媒として特定の触媒を使用した場合に限って、上記課題をすべて解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は上記課題を解決するために、多分岐ポリエステルポリオール(A)と、重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)とを、ジアルキル錫オキシド及びスタノキサンから成る群から選ばれる少なくとも1種のエステル交換反応触媒(C)の存在下に、エステル交換反応させることにより、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)の分子末端に重合性不飽和二重結合を導入することを特徴とする重合性多分岐ポリエステルの製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、多分岐ポリエステルポリオール(A)の末端水酸基と重合性不飽和二重結合との間の求核付加反応や、前記重合性不飽和二重結合の熱重合などの副反応を引き起こすことなく、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)の分子末端に前記重合性不飽和二重結合を導入した重合性多分岐ポリエステルを製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、工業用原料として入手容易な重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)を使用し、高効率でエステル交換反応が可能で、しかも、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)の分子鎖の基本骨格構造が加水分解などの変化を受けることなく、前記重合性多分岐ポリエステルを製造することができる。
本発明の製造方法に用いる多分岐ポリエステルポリオール(A)は、少なくとも2個の水酸基を有し、カルボキシ基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換されているポリヒドロキシモノカルボン酸を重縮合させることによって得られる。また、本発明の製造方法に用いる多分岐ポリエステルポリオール(A)は、質量平均分子量(Mw)が1500〜60000のものが好ましい。また、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)は、数平均分子量(Mn)が750〜55000のものが好ましい。さらに、本発明の製造方法に用いる多分岐ポリエステルポリオールは、MwとMnとの比が、1.1〜2.5のものが特に好ましい。さらにまた、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)は、1分子当たりの12〜600個の水酸基を有するものが好ましい。
また、本発明の製造方法に用いる多分岐ポリエステルポリオール(A)は、その分岐度(DB)が0.25〜1.0のものが好ましい。なお、本発明において、前記分岐度(DB)は、下記式から算出される値を採用した。
Figure 0004423540
(式中、Dは、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)1分子中の分岐部分を構成する前記ポリヒドロキシモノカルボン酸単位の数を表わし、
Lは、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)1分子中の線状部分を構成する前記ポリヒドロキシモノカルボン酸単位の数を表わし、
Tは、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)1分子中の末端部分を構成する前記ポリヒドロキシモノカルボン酸単位の数を表わす。)
上記D、L及びTは、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)から得られる前記3種類のポリヒドロキシモノカルボン酸単位の2位の炭素原子に由来する固有のピークシフトの積分値から算出することができる。その詳細は、「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」(第1698頁、第28巻、1995年)などに開示されている。
前記ポリヒドロキシモノカルボン酸としては、例えば、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ジ(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ジ(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ジ(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、2,2−ジ(3−ヒドロキシプロピル)ブタン酸、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)吉草酸、2,2−ジ(2−ヒドロキシエチル)吉草酸、2,2−ジ(3−ヒドロキシプロピル)吉草酸、2,2,2−トリ(ヒドロキシメチル)酢酸、2,2,2−トリ(2−ヒドロキシエチル)酢酸、2,2,2−トリ(3−ヒドロキシプロピル)酢酸、などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシモノカルボン酸を重縮合させる際に、必要に応じて、カルボキシ基と反応して化学結合する官能基を有し、かつ、水酸基に対して活性を有する官能基を有しない化合物を核として用いてもよい。そのような核となる化合物に、ポリヒドロキシモノカルボン酸を重縮合させることによって、得られる多分岐ポリエステルポリオール(A)の分子量や分子量分布を制御することができる。そのような核となる化合物としては、一分子中に、カルボキシ基と反応して化学結合する官能基を1又は2以上有するアルコール、エポキシ化合物又はアミンなどが挙げられる。そのような核となる化合物としては、例えば、2,2‘−[オキシビス(メチレン)]ビス[2−エチル−1,3−プロパンジオール](慣用名「ジトリメチロールプロパン」)、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン(慣用名「トリメチロールプロパン」)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ビスフェノールAや、これらのアルキレンオキシド変性体である多官能アルコール、あるいはこれらのグリシジルエーテル体;エチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2,3−トリス−(3−アミノプロポキシ)プロパン、フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン等のアミン化合物や、これらのアルキレンオキシド変性体である多官能アルコールが挙げられる。
本発明の製造方法に用いる多分岐ポリエステルポリオール(A)は、上記ポリヒドロキシモノカルボン酸と、必要に応じて上記核となる化合物とを混合し、公知のエステル化触媒の存在下に脱水重縮合させることによって得られる。具体的には、米国特許第3669939号明細書、米国特許第5136014号明細書、あるいは米国特許第5418301号明細書等に記載されている方法を、そのまま適用することができる。
多分岐ポリエステルポリオール(A)の市販品としては、例えば、Perstorp社製の商品名「Boltorn(ボルトーン)」などが挙げられる。前記商品名「Boltorn(ボルトーン)」は、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を重縮合して得られる多分岐ポリエステルポリオールであって、そのグレードによって異なるが、質量平均分子量(Mw)が1500〜60000、数平均分子量(Mn)が750〜55000、前記分岐度(DB)が0.25〜0.96、Mw/Mnが1.2〜2.1の範囲にある材料である。
本発明の製造方法に用いるエステル交換反応は、多分岐ポリエステルポリオール(A)と、重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)とを反応させるアルコーリシスである。
前記重合性不飽和二重結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、マレイミド基が挙げられる。前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)としては、例えば、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、(以下、「アクリル酸又はメタクリル酸」を「(メタ)アクリル酸」と略称する。)、マレイミドカルボン酸のアルキルエステルが挙げられ、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミルの如き(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜5のアルキルエステル、マレイミド酢酸メチル、マレイミド酢酸エチル、マレイミド酢酸プロピル、マレイミド酢酸ブチル、マレイミド酢酸ペンチル、マレイミド酢酸イソアミル、マレイミドプロピオン酸メチル、マレイミドプロピオン酸エチル、マレイミドプロピオン酸プロピル、マレイミドプロピオン酸ブチル、マレイミドプロピオン酸ペンチル、マレイミドプロピオン酸イソアミル、マレイミド酪酸メチル、マレイミド酪酸エチル、マレイミド酪酸プロピル、マレイミド酪酸ブチル、マレイミド酪酸ペンチル、マレイミド酪酸イソアミル、マレイミドカプロン酸メチル、マレイミドカプロン酸エチル、マレイミドカプロン酸プロピル、マレイミドカプロン酸ブチル、マレイミドカプロン酸ペンチル、マレイミドカプロン酸イソアミル、マレイミドウンデカン酸メチル、マレイミドウンデカン酸エチル、マレイミドウンデカン酸プロピル、マレイミドウンデカン酸ブチル、マレイミドウンデカン酸ペンチル、マレイミドウンデカン酸イソアミル、の如きマレイミド基を有する炭素原子数2〜10のカルボン酸の炭素原子数1〜5のアルキルエステル、などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、マレイミド酢酸ブチル、マレイミド酢酸ペンチルが特に好ましい。
本発明の製造方法に用いる特定のエステル交換反応触媒(C)は、ジアルキル錫オキシド及びスタノキサンから成る群から選ばれるエステル交換反応触媒である。これらの触媒は、単独で用いることも、2種類以上を併用して用いることもできる。
ジアルキル錫オキシドとしては、例えば、ジメチル錫オキシド、ジエチル錫オキシド、ジプロピル錫オキシド、ジブチル錫オキシド、ジプロピル錫オキシド、などが挙げられる。
スタノキサンとしては、例えば、一般式(1)
Figure 0004423540
(式中、Rは、炭素原子数が1〜10の直鎖状又は分岐状アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わし、Xは置換基を表わす。mは1〜8の整数を表わす。)
で表わされる化合物から成るエステル交換反応触媒が挙げられる。前記一般式(1)で表わされるスタノキサンは、本発明のエステル交換反応に優れた触媒活性を示し、脱水エステル化反応に比べて穏やかな条件で反応が進み、副反応が起こりにくいので、特に好ましい。
前記一般式(1)中、Xで表わされる置換基には特に限定はないが、Xが、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子及びフッ素原子から選択されるハロゲン原子、あるいは、炭素原子数1〜4のアシルオキシ基、水酸基、メルカプト基、チオシアナト基など、錫原子に隣接する原子上に孤立電子対を有する基であるスタノキサンは、高い触媒活性を示すので、好ましい。これらの中でも、Xがハロゲン原子、アシルオキシ基又はチオシアナト基であるスタノキサンは特に好ましい。
一般式(1)で表わされるスタノキサンの中でも、特にRがメチル基であり、mが1又は2のものが特に好ましい。これらのジスタノキサン又はトリスタノキサンは、温水への溶解性が良好であり、エステル交換反応終了後に反応混合物から温水で抽出することによって、触媒活性を失活させることなく回収することができる。同時に、反応生成物中に残存する該触媒を容易に除去し、反応生成物の精製が容易となる利点を有する。また、ジスタノキサンとトリスタノキサンとを比較すると、トリスタノキサンの方がジスタノキサンよりも温水中での安定性に優れ、分解されにくいので、本発明の製造方法において、より好適に使用することができる。
前記ジスタノキサンあるいはトリスタノキサンとしては、例えば、
ClSn(CHOSn(CHCl、
ClSn(CHOSn(CHOCOCH
ClSn(CHOSn(CHOCH
CHCOOSn(CHOSn(CHOCOCH
ClSn(CHOSn(CHOCOCHCH
ClSn(CHOSn(CHSCN、
NCSSn(CHOSn(CHSCN、
Cl(Sn(CHO)Sn(CHCl、
Cl(Sn(CHO)Sn(CHOCOCH
Cl(Sn(CHO)Sn(CHOCH
CHCOO(Sn(CHO)Sn(CHOCOCH
Cl(Sn(CHO)Sn(CHOCOCHCH
Cl(Sn(CHO)Sn(CHSCN、
NCS(Sn(CHO)Sn(CHSCN、
などが挙げられる。
本発明の製造方法におけるエステル交換反応触媒(C)の使用量は、エステル交換反応触媒(C)の種類、前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)の種類、多分岐ポリエステルポリオール(A)の分子量や所望の官能基導入量に応じて適宜決定すればよい。
本発明のエステル交換反応における反応溶媒の種類及び量は、当該エステル交換反応の妨げとならない限り、特に限定されない。使用する多分岐ポリエステルポリオール(A)と前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)との混合物が反応温度下で液状であり流動性を有していれば、必ずしも溶媒を使用する必要はない。一般的に、高い転化率が必要とされる場合は、エステル交換反応で生成するアルコールやエステルを系外に除去することが好ましく、特にアルコールが生成する場合には、これと共沸可能な有機溶媒を用いることが好ましい。
使用できる反応溶媒としては、例えば、炭素原子数4〜10の脂肪族又は脂環式の炭化水素、又はその混合物が挙げられ、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。これらの炭化水素系溶媒の中でも、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンなどが好ましい。これらの反応溶媒は、単独で用いることも、2種類以上を併用して用いることもできる。
本発明においては、穏やかな条件下でエステル交換反応を行うために、前記重合性不飽和二重結合が熱重合を起こしにくいが、さらに反応中の熱重合を完全に抑制するために、重合禁止剤を併用することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ベンゾキノン、ハイドロキノン、カテコール、ジフェニルベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ナフトキノン、t−ブチルカテコール、t−ブチルフェノール、ジメチル−t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾール、フェノチアジン等が挙げられる。これらの重合禁止剤を用いる場合、単独で用いることも、2種類以上を併用して用いることもできる。
重合禁止剤の使用量は、反応系中の重合性重合性不飽和二重結合の量に依存するが、反応物に対して、通常、質量基準で5〜10000ppm、特に20〜7000ppmの範囲であることが好ましい。
また、反応中の熱重合を抑制するために、上記重合禁止剤を添加したうえで、さらにエステル交換反応を酸素含有気体雰囲気下で行うことが好ましい。ここで、酸素含有気体は、空気であっても構わないが、酸素含有率が高くなると引火爆発の危険性が生じる他、生成物の着色を招くおそれもあるため、酸素含有率が5〜13体積%の気体を使用することが好ましい。
上記エステル交換反応における反応温度は、前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)、反応溶媒又は反応圧力に応じて適宜決定すればよい。通常、反応温度は、20〜150℃の範囲で、できる限り低温が好ましく、120℃を超えない温度が好ましい。
本発明の製造方法における多分岐ポリエステルポリオール(A)と、前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)との仕込み割合は、多分岐ポリエステルポリオール(A)への前記重合性不飽和二重結合の導入率に応じて、適宜決定する。例えば、多分岐ポリエステルポリオール(A)の全水酸基に、ビニル基又はイソプロペニル基を導入する場合は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのモル数を、多分岐ポリエステルポリオール(A)が有する水酸基のモル数に対して、少なくとも1.2倍とするのが好ましい。
また、エステル交換反応の進み具合は、反応によって生成したアルコールの量をガスクロマトグラフィー分析等で追跡することによって知ることができる。
本発明の製造方法によれば、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)中の全水酸基に対する重合性不飽和二重結合の導入率が25〜100%である重合性多分岐ポリエステルが容易に得られる。
本発明の製造方法によって得られる重合性多分岐ポリエステルの精製方法は、その用途に応じて多様である。前記精製方法としては、例えば、下記(1)〜(3)の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
(1)エステル交換反応終了後、反応混合物中に残存する前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)又は反応溶媒を反応器内から留去して、そのまま用いる方法。
(2)必要に応じて、不活性な溶剤を加えて希釈した後、酸もしくは塩基性水溶液で洗浄することによって、反応に用いたエステル交換反応触媒(C)を除去する方法。
(3)反応に使用したエステル交換反応触媒(C)が、前述の水溶性の高いスタノキサンである場合には、反応混合物を、あるいは、必要に応じて反応混合物に水と非相溶性で、かつ、前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)と不活性な有機溶媒を加えて希釈した混合物を、30〜80℃の温水で洗浄した後、有機溶媒層から有機溶媒を留去することによって、本発明の重合性多分岐ポリエステルを得る方法。
上記(3)の方法によれば、洗液から該触媒を回収することができる。回収した触媒は、ほとんど失活しておらず、再使用することができる。
本発明の製造方法によれば、質量平均分子量(Mw)が1700〜90000で、数平均分子量(Mn)が850〜85000で、MwとMnとの比(以下、(Mw/Mn)PEという。)が1.1〜2.5で、かつ、1分子当たり、5〜600個、好ましくは8〜600個の重合性不飽和二重結合が分子末端に導入された重合性多分岐ポリエステルを製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、MwとMnとの比(以下、(Mw/Mn)POという。)が1.1〜2.5の多分岐ポリエステルポリオールを用いることにより、前記(Mw/Mn)PEが前記(Mw/Mn)POとほぼ同じ値を有する重合性多分岐ポリエステルを製造することができる。前記(Mw/Mn)PEと前記(Mw/Mn)POとの差[(Mw/Mn)PE−(Mw/Mn)PO]は、0〜0.5の範囲が好ましい。
本発明の製造方法によって得られる重合性多分岐ポリエステルは、その特徴的な構造から、コーティング材料、接着剤、フィルム、シート、成型品、電子材料、などの広範な用途に有用である。また、本発明の重合性多分岐ポリエステルは、活性エネルギー線、熱、ラジカル重合開始剤などにより重合するので、これを、ビニル重合性単量体の重合時に少量添加して共重合させることにより、得られる共重合体からなる熱可塑性樹脂の溶融時の流動特性を改善することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表わす。
<多分岐ポリエステルポリオール(A)>
以下の実施例及び比較例において、多分岐ポリエステルポリオール(A)は、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を重縮合して得られる多分岐ポリエステルポリオールの市販品であって、Perstorp社製の「Boltorn H30」(質量平均分子量(Mw)=4280、数平均分子量(Mn)=2920、Mw/Mn=1.47、分岐度=0.34、1分子当たりの水酸基の数=25)及び「Boltorn H40」(質量平均分子量(Mw)=6730、数平均分子量(Mn)=3440、Mw/Mn=1.96、分岐度=0.34、1分子当たりの水酸基の数=30)を用いた。
<分岐度>
以下の実施例及び比較例で使用した多分岐ポリエステルポリオール(A)の分岐度は、下記条件下でのNMR測定結果に基づき、算出した。
装置:日本電子製「LAMBDA300」(300MHz)
参照物質:テトラメチルシラン(0ppm)
測定溶媒:アセトンd6
D単位ピーク:、T単位ピーク:、L単位ピーク:
<ゲル浸透クロマトグラフィー>
以下の実施例及び比較例において、多分岐ポリエステルポリオール(A)及び生成した重合性多分岐ポリエステルの分子量及び分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)によって測定した。測定条件は下記の通りである。
装置:東ソー(株)製「HPLC8010」
カラム:Shodex KF802×2+KF803+KF804
溶離液:THF 1.0ml/分
<ガスクロマトグラフィー>
以下の実施例及び比較例において、エステル交換反応の反応率の計算に用いた留出液中のエタノール量はガスクロマトグラフィーによって測定した。測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製「GC−17A」
カラム:J&W社製 DB−5
(長さ:30m、内径:0.25mm、液相厚み:0.25μm)
キャリアーガス:He
<核磁気共鳴スペクトル>
以下の実施例及び比較例において、多分岐ポリエステルポリオール(A)に導入した重合性不飽和二重結合の導入量は、核磁気共鳴スペクトル(以下、「NMR」と略す。)による測定結果から算出した。
装置:日本電子製「LAMBDA300」(300MHz)
参照物質:テトラメチルシラン(0ppm)
(合成例1)〔Cl(Sn(CHO)Sn(CHClの合成〕
「工業化学雑誌」(第73巻、第1010頁、1970年)に記載された方法に従って合成した。生成物は、元素分析値の結果、Sn=64.7%(理論値:64.8%)、Cl=12.7%(理論値:12.9%)であり、Cl(Sn(CHO)Sn(CHClの理論値と一致した。(以下、この化合物を「合成例1で得たトリスタノキサン」という。)
(実施例1)
酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H40」10部、合成例1で得たトリスタノキサン0.25部、アクリル酸エチル100部及びヒドロキノン0.05部を加え、混合溶液中に酸素導入管から窒素酸素混合気体(酸素含有率7体積%)を3ml/分の速度で吹き込みながら、撹拌下に加熱した。その際、デカンターへの留出液量が1時間当たり15〜20部となるように加熱量を調節(反応温度:92〜95℃)し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のアクリル酸エチルを加えながら20時間反応させた。
反応終了後、反応混合物から未反応のアクリル酸エチルを減圧下で留去して得られた残留物を酢酸エチル70部に溶解し、50℃の温水30部で3回洗浄して触媒を抽出した。その後、酢酸エチル溶液中のヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20部で4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液20部で1回、水20部で2回洗浄した。得られた酢酸エチル溶液にメトキノン0.0045部を加えた後、減圧下に、窒素酸素混合気体(酸素含有率7体積%)を導入しながら酢酸エチル溶液から有機溶媒を留去して、重合性多分岐ポリエステル(A−1)13部を得た。得られた重合性多分岐ポリエステル(A−1)の質量平均分子量は7730、数平均分子量は3880であり、多分岐ポリエステルポリオール(A)へのビニル基の導入率は85モル%(1分子当たり25.5個のビニル基に相当)であった。
(実施例2)
酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H40」10部、ジブチル錫オキシド1.25部、メタクリル酸メチル100部及びヒドロキノン0.05部を加え、酸素導入管から窒素酸素混合気体(酸素含有率7体積%)を3ml/分の速度で吹き込みながら、撹拌下に加熱した。その際、デカンターへの留出液量が1時間当たり15〜20部になるように加熱量を調節(反応温度:92〜95℃)し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメタクリル酸メチルを加えながら12時間反応させた。
反応終了後、反応混合物から未反応のメタクリル酸メチルを減圧下で留去した。次に、多分岐ポリエステルポリオール(A)中の未反応の水酸基をキャッピングするために、残留物に無水酢酸10部及びスルファミン酸2部を加えて室温で、10時間撹拌した。スルファミン酸を濾別し、減圧下で濾液から無水酢酸及び酢酸を留去した。得られた残留物を酢酸エチル70部に溶解し、50℃の温水30部で3回洗浄して触媒を抽出した。その後、酢酸エチル溶液中に含まれるヒドロキノンを除去する為に、酢酸エチル溶液を5%水酸化ナトリウム水溶液20部で4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液20部で1回、水20部で2回洗浄した。得られた酢酸エチル溶液にメトキノン0.0045部を加えた後、減圧下、窒素酸素混合気体(酸素含有率7体積%)を導入しながら酢酸エチル溶液から有機溶媒を留去して、イソプロペニル基及びアセチル基を有する重合性多分岐ポリエステル(A−2)12部を得た。得られた重合性多分岐ポリエステル(A−2)の質量平均分子量は7540、数平均分子量は3770であり、多分岐ポリエステルポリオール(A)へのイソプロペニル基及びアセチル基の導入率は、それぞれ55モル%(1分子当たり16.5個のイソプロペニル基に相当)及び40モル%であった。
(比較例1)
酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H40」10部、パラトルエンスルホン酸0.8部、アクリル酸エチル100部及びヒドロキノン0.05部を加えた後、混合溶液中に酸素導入管から窒素酸素混合気体(酸素含有率7体積%)を3ml/分の速度で吹き込みながら、常圧下で撹拌し、加熱した。その際、デカンターへの留出液量が1時間当たり15〜20部になるように加熱量を調節(反応温度:92〜95℃)し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、相当する量のアクリル酸エチルを加えながら20時間反応させた。反応溶液中には、ゲル化物と思われる多量の固体が浮遊していた。
反応終了後、濾過してゲル化物を濾別した。濾液から未反応のアクリル酸エチルを減圧下で留去して得られた残留物を酢酸エチル30部に溶解した。その後、酢酸エチル溶液中のヒドロキノンを除去する為に、酢酸エチル溶液を5%水酸化ナトリウム水溶液10部で2回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液10部で1回、水10部で2回洗浄した。得られた酢酸エチル溶液にメトキノン0.002部を加えた後、減圧下、窒素酸素混合気体(酸素含有率7体積%)を導入しながら酢酸エチル溶液から有機溶媒を留去して、重合性多分岐ポリエステル(a−1)3部を得た。得られた重合性多分岐ポリエステル(a−1)の質量平均分子量は14070、質量平均分子量は4330であり、多分岐ポリエステルポリオール(A)へのビニル基の導入率は85モル%であった。
(比較例2)
比較例1において、反応を減圧下(26.6kPa)で行った以外は、比較例3と同様にして20時間反応させたが、エタノールの留出はほとんどなく、反応容器中には原料がほとんど未反応のまま残っていた。
Figure 0004423540
表1に示した結果から、以下のことが判る。
(1)各実施例において、反応前後のMw/Mnの値に変化がないことから、本発明の製造方法によれば、多分岐ポリエステルポリオール(A)中の分子鎖の基本骨格構造が加水分解などの変化を受けていないことが判る。
(2)本発明の製造方法によれば、多分岐ポリエステルポリオール(A)の末端水酸基と重合性不飽和二重結合との間の求核付加反応や、前記重合性不飽和二重結合の熱重合反応などの副反応を引き起こさないことも判る。
(3)エステル交換反応触媒(C)として、p−トルエンスルホン酸の如き酸触媒を用いた比較例1の製造方法では、反応後のMw/Mnの値が大きく上昇することから、多分岐ポリエステルポリオール(A)中の分子鎖の基本骨格構造が加水分解などの変化を受けていることが判る。
(4)酸触媒を用いた比較例1の製造方法では、ゲル化していることから、多分岐ポリエステルポリオール(A)の末端水酸基と重合性不飽和二重結合との間の求核付加反応や前記重合性不飽和二重結合の熱重合反応などの副反応を引き起こしていることが判る。
(実施例3)
実施例1において、「Boltorn H40」に代えて、「Boltorn H30」を用いた以外は、実施例1と同様にして、16時間反応させた。その際、1時間おきに、エステル交換反応によって生じるエタノールを計量し、エタノールの量から計算した重合性不飽和二重結合の導入率に相当する反応転化率を求めた。その結果を図1にまとめて示した。図1に示した結果から、10時間反応させた段階及び16時間反応させた段階におけるポリエステルポリオール(A)中の全水酸基に対するエステル交換反応による重合性不飽和二重結合の導入率(反応転化率)は、それぞれ、61%以上及び78%であった。
(比較例3)
実施例3において、合成例1で得たトリスタノキサンに代えて、ジブチル錫ジラウリレート1.53部を用いた以外は、実施例3と同様にして、10時間反応させた。実施例3と同様にして重合性不飽和二重結合の導入率(反応転化率)を求め、その結果を図1にまとめて示した。比較例3の反応系では、10時間反応させても重合性不飽和二重結合の導入率は10%に留まった。
(比較例4)
実施例3において、合成例1で得たトリスタノキサンに代えて、ジメチルジクロロ錫0.97部を用いた以外は、実施例3と同様にして、5時間反応させた。実施例3と同様にして重合性不飽和二重結合の導入率(反応転化率)を求め、その結果を図1にまとめて示した。比較例4の反応系では、5時間反応させても重合性不飽和二重結合の導入率は0%であった。
図1に示した結果から、ジブチル錫ジラウリレート及びジメチルジクロロ錫は、本発明の製造方法に用いるエステル交換反応の触媒として不適であることが判る。
実施例3、比較例3及び比較例4におけるエステル交換反応において、反応時間と、重合性不飽和二重結合の導入率に相当する反応転化率の関係を示した図表である。

Claims (13)

  1. 少なくとも2個の水酸基を有し、カルボキシ基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換されているポリヒドロキシモノカルボン酸を重縮合させて得られる多分岐ポリエステルポリオール(A)と、重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)とを、ジアルキル錫オキシド及びスタノキサンから成る群から選ばれる少なくとも1種のエステル交換反応触媒(C)の存在下に、エステル交換反応させることにより、前記多分岐ポリエステルポリオール(A)の分子末端に重合性不飽和二重結合を導入することを特徴とする重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  2. 前記多分岐ポリエステルポリオール(A)の質量平均分子量が1500〜60000である請求項1記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  3. 前記多分岐ポリエステルポリオール(A)の質量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)POが1.1〜2.5である請求項2記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  4. 前記多分岐ポリエステルポリオールの分岐度が0.25〜1.0である請求項1記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  5. 前記多分岐ポリエステルポリオール(A)が1分子当たり12〜600個の水酸基を有するものである請求項1記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  6. 前記多分岐ポリエステルポリオール(A)中の全水酸基に対する重合性不飽和二重結合の導入率が25〜100%である請求項1記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  7. 前記重合性多分岐ポリエステルの質量平均分子量が1700〜90000である請求項1記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  8. 前記重合性多分岐ポリエステルの質量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)PEが1.1〜2.5である請求項7記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  9. 前記重合性多分岐ポリエステルの質量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)PEと前記多分岐ポリエステルポリオール(A)の質量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)POとの差が0〜0.5である請求項8記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  10. 前記重合性多分岐ポリエステルが1分子当たり5〜600個の重合性不飽和二重結合を有するものである請求項1記載の重合性多分岐ポリエステルの製造方法。
  11. 前記スタノキサンが一般式(1)
    Figure 0004423540
    (式中、Rは、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わし、Xはハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアシルオキシ基、水酸基、メルカプト基又はチオシアナト基を表わし、mは1〜8の整数を表わす。)
    で表わされる化合物である請求項1に記載の製造方法。
  12. Rがメチル基であり、かつ、mが1又は2である請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸のアルキルエステル(B)が、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル及びマレイミドカルボン酸のアルキルエステルからなる群から選ばれる化合物である請求項1に記載の製造方法。

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