JP4423261B2 - エレベータのガバナデバイス - Google Patents

Description

本発明は、一般的にエレベータのガバナに関する。特に、本発明は保守作業中のような特定の条件下で選択的に使用できる、エレベータのガバナデバイスに関する。

エレベータ装置は通常、ガバナデバイスを備え、このデバイスは、エレベータかごが好ましくない高速運転で昇降路を移動することを防止する。一般的な構成は、ガバナシーブならびにテンションシーブを含む。ガバナロープは、対向する端部に２つのシーブを備えるループの周りを移動する。ガバナロープは、エレベータかごとともに昇降路を移動する。ガバナデバイスは、フライウエイトまたはフライボールを備え、エレベータかごが過度に高速移動していることを示す速度でガバナシーブが回転すると、このウエイトまたはボールが移動する。フライウエイトまたはフライボールの移動によって、ガバナロープにリンク機構が作動し、この機構は、エレベータかごを停止させるように安全装置に係合する。

種々のガバナデバイスが知られている。各々のガバナデバイスは、特定の利点もしくは欠点を有する。しかしながら、どのデバイスも、エレベータかごの速度を制御するための全ての要求に応えていない。例えば、通常の運転の際に、エレベータかごの速度を、選択した制限速度以下に維持しておく必要があり、また一般的なガバナは、かごの移動速度がこの制限速度を越えないように設定される。このようなガバナは、種々の制限速度において容易に使用するのに適していない。保守作業のような他の状況が存在している際に、エレベータかごの速度を、より低い制限速度以下に維持しておく必要がある。例えば、頂部が低いエレベータ装置に対する最近の安全規定では、点検や保守の際に、エレベータかごの速度を０．７ｍ／ｓに制限する必要がある。一般的なガバナデバイスは、この低い制限速度を大幅に超過する速度で移動するエレベータかごを妨げない。

従って、異なる条件や状況の際に、異なる速度制御の制限値に対応する改良したエレベータのガバナ装置が必要である。本発明は、これらの要求に対応する。

広く言えば、本発明は、選択的に電源供給されるスイッチを備える実用的なエレベータ装置用のガバナデバイスであり、前記スイッチは、エレベータかごの移動速度を制御するようにガバナデバイスを作動させる。

本発明に従って設計された一実施例であるデバイスは、エレベータかごの移動に応じて回転する回転部材を備える。選択的に電源供給されるスイッチは、この回転部材の近くに配置される。移動部材は、この選択的に電源供給されるスイッチと相互作用しない位置に付勢されている。移動部材は、回転部材の選択した回転速度に応答してスイッチを起動させる位置に移動する。スイッチが起動すると、ガバナデバイスが、エレベータかごの移動を減速もしくは停止させるように作用する。

ある実施例においては、移動部材は、主ガバナシーブに対して移動するように支持される。別の実施例においては、移動部材は、主ガバナのテンションシーブに対して移動するように支持される。

ある実施例においては、エレベータの保守や点検が必要なときに、選択的に電源供給されるスイッチが、整備士または技術者によって起動される。本発明におけるガバナデバイスは、このような状況の際に、エレベータかごの速度を、選択した制限速度以下で選択的に維持することを可能にする。通常のエレベータ装置の運転の際に、選択的に電源供給されるスイッチに電源供給するかどうか選択することによって、通常のエレベータの運転で要求されるエレベータかごの高速運転を妨げることなく、本発明におけるガバナデバイスを通常のエレベータの運転に用いることが可能となる。

ある実施例においては、選択的に電源供給されるスイッチは、コイルを備え、このコイルは、スイッチが速度超過状態を示す指標を出力するように、選択的に電源供給される。ある実施例においては、遠隔信号デバイスが、スイッチのコイルに選択的に電源供給するのに有用である。別の実施例においては、エレベータが、点検や保守モードとなったことに応答してコイルが待機状態となる。

本発明における種々の特徴ならびに長所は、後述する実施例の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。

図１は、従来の方法でガイドレール２６に沿って移動するエレベータかごアセンブリ２４を備えるエレベータ装置２０を示す。ガバナデバイス３０は、エレベータかごが選択した最高速度を越えて移動するのを防止し、エレベータかご２４の移動を制御する。実施例であるガバナデバイス３０は、ガバナロープ３２を備え、エレベータかご２４がガイドレール２６に沿って移動する際に、このロープ３２が、エレベータかご２４とともに移動する。ガバナシーブ３４ならびにテンションシーブ３６は、ガバナロープ３２が追従するループの両端部に位置する。

図示されたガバナデバイス３０は、主ガバナ部分を備え、通常のエレベータの運転の際に、この部分が、過速状態を防止するために既知の方法で作動する。例えば、従来のガバナ起動装置（図示せず）は、フライウエイトを備えるハウジング３８によって支持され、ガバナシーブ３４が、エレベータかご２４の移動によって選択した速度を越えて回転すると、このフライウエイトが移動する。主ガバナロック装置は、このような条件下でガバナロープ３２を締め付ける従来技術であるジョー（図示せず）を備える。エレベータかご２４が更に移動すると、ガバナロープ３２が機械式リンク機構４０を引っ張り、この機構４０が安全装置４２を作動させる。この実施例における安全装置４２は、エレベータかご２４の更なる移動を阻止するために、ガイドレール２６に対してブレーキ力を作用させる。

ガバナデバイス３０における主ガバナ機能は、既知の方法で作動する従来の構成要素によって提供される。

この実施例におけるガバナデバイス３０は、選択した状況下でエレベータかごの速度を制御するための更なる特徴を備える。実施例であるガバナデバイスは、選択的に電源供給されるスイッチを備え、このスイッチによって、ガバナデバイス３０が、選択した制限速度より高速でのエレベータかご２４の移動を防止するようになる。この制限速度は、通常のエレベータ装置の運転の際に要求ないし予測される通常のエレベータかごの速度より低く選択される。ある実施例においては、ガバナデバイスは、エレベータ装置の点検や保守の際にガバナ機能を与えるために選択的に電源供給されるスイッチを備える。

図２は、実施例であるガバナデバイス３０の選択した構成要素を概略的に示している。この実施例におけるテンションシーブ３６は、アーム５２上に支持されたテンションウエイト５０と結合しており、このアーム５２は、ブラケット５４によって回転可能に支持される。テンションシーブ３６は、アーム５２上に支持された軸５６の周りを回転し、またガバナロープ３２の移動に応じて回転する。

スイッチ６０は、エレベータかごの速度が、通常のエレベータかごの運転速度より遅い選択した制限速度を超過しないように、ガバナデバイス３０を選択的に作動可能とするために、選択的に電源供給される。スイッチ６０は、電力モジュール６２を備え、電力が電力モジュール６２に供給されると、スイッチ６０が起動する。ある実施例においては、電力モジュール６２は、リアーミングコイル（ｒｅａｒｍｉｎｇ ｃｏｉｌ）を備え、このコイルは、スイッチ６０を作動状態に設定するように電力供給される。スイッチアーム６４は、テンションシーブ３６の近くに配置され、エレベータかごの速度が選択した制限速度を超過すると、フライウエイト６６が、スイッチ６０を起動させるようにスイッチアーム６４に接触する。この実施例においては、フライウエイト６６は、レバー６８上に支持され、このレバー６８は、テンションシーブ３６上に支持された軸７０の周りを回転する。

ばね７２は、テンションシーブ３６が選択した制限速度を越えて回転しない限り、スイッチアーム６４と接触しない位置にフライウエイト６６を付勢する。この実施例においては、ばね７２は、レバー６８に固定された一端部、ならびにテンションシーブ３６に固定された第２の端部７４を有する。本明細書の利点を把握した当業者であれば、適切な構成要素を選択し、選択した制限速度を越えてエレベータかごが移動することに応答してガバナデバイスが、スイッチ６０を起動させることができよう。

通常のエレベータ装置の運転の際に、スイッチ６０は、好ましくは電源供給されない。従って、エレベータかごが、例えば、乗客に望ましい営業運転を提供するように要求された速度で乗り場の間を移動する際に、フライウエイト６６は、スイッチアーム６４に接触する位置に移動する。スイッチ６０は電源供給されていないため、ガバナデバイス３０は、このような速度においてエレベータかご２４の移動を阻止しない。しかしながら、保守や点検の際には、スイッチ６０が、好ましくは電源供給され、低速である点検速度を越えてエレベータかご２４が移動しないように、通常の運転速度より遅いある速度を越えてエレベータかご２４が移動すると、スイッチ６０がトリガつまり起動する。

ある実施例においては、点検速度を超過し、かつスイッチ６０が起動しているときに、スイッチ６０が、エレベータかごを完全に停止させるように従来の安全装置を作動させる。別の実施例においては、スイッチ６０の起動により、例えば、必要に応じてエレベータかご２４の移動を減速させるために、トラクションシーブの回転を減速させるようにシーブブレーキが作動する。本明細書を鑑みると、当業者であれば、種々の安全装置またはブレーキ装置が、点検速度を超過する状態に対して望ましい対応を実現するために、本発明に従って設計されたガバナデバイスと組み合わせて使用されることが想到できるだろう。

図３は、別の実施例を概略的に示している。この実施例においては、フライウエイト６６は、ガバナシーブ３４に対して移動するように支持される。この実施例におけるばね７２は、フライウエイト６６に直結しており、レバー６８を備えない。スイッチ６０は、ハウジング３８上に支持され、エレベータかご２４が望ましい制限速度を超過すると、フライウエイト６６によりスイッチアーム６４が接触する位置に設けられている。通常のエレベータの運転の際は、スイッチ６０は、好ましくは電源供給されない。これは、ガバナシーブ３４が通常の速度（通常のエレベータ装置の運転中における予想されるエレベータかごの速度）に対応する速度で回転すると、フライウエイト６６が、スイッチアーム６４に接触するからである。

図４は、別の実施例を概略的に示しており、スイッチ６４は、アーム７５によって接触される。アーム７５は、テンションシーブ３６の適切な回転速度に応じて半径方向外側に移動する。アーム７５は、ばね７６によって内側に付勢されており、かつウエイト７８を備える。このウエイト７８は、アーム７５の適切な外側への移動をもたらすように選択される。リンク機構７９は、アーム７５を同時に移動させる。

図５は、電力モジュール６２を起動させるための２つの可能な方法を示している。整備士もしくは技術者８０は、ガバナデバイス３０がより低い制限速度において速度超過を防止するように、スイッチ６０の電力モジュール６２に選択的に電源供給するための通信デバイス８２を使用する。この実施例においては、通信デバイス８２は、少なくとも一つのスイッチ８４を備え、このスイッチ８４は、電力モジュール６２をオンにし、またはオフにする要求を示す無線通信信号８６を発生させるように、個人８０によって選択的に作動させられる。スイッチ６０は、このような信号に応答し、特定の状況における必要性に応じて、オンまたはオフとなる。通信デバイス８２用の種々の構成要素は、実現可能であり、また本発明の範囲内である。

別の実施例においては、個人８０は、スイッチ６０に電源供給するか否かを選択するために、エレベータかご２４内の制御盤や、制御装置、エレベータかご２４の上部に取り付けられた制御装置、もしくはＥＲＯボックス、に設けられたスイッチを使用する。図５は、これら全てを意味する制御装置９０を概略的に示している。ある実施例においては、システム制御装置９０は、エレベータ装置が点検モードとなるたびに、電力モジュール６２を自動的に起動させる。別の実施例においては、昇降路ドアが開くと、電力モジュール６２が、自動的にスイッチ６０に電源供給する。本明細書の利点を把握した当業者であれば、点検モードに対応するためにスイッチ６０を遠隔設定する機能を備えるように、最適な選択肢もしくは組み合わせを選択することができよう。

本発明は、通常のエレベータ装置の運転の際の、エレベータかごの許容運転速度の範囲内に収まるある制限速度において、選択的にエレベータかごの移動速度を制御するエレベータのガバナデバイスを提供する。図示されているように、本発明におけるガバナデバイスは、主ガバナデバイスに備えられ、かつこのデバイスの一部となり得る。別の実施例においては、本発明におけるガバナデバイスは、主ガバナ機構の構成要素から独立して作動する独立型デバイスである。

上記の説明は、限定的ではなく例示的な性質のものである。当業者には、開示された実施例に対して本発明の趣旨から逸脱することなく加え得る種々の変更及び改良が明らかとなろう。本発明に与えられる法的保護の範囲は、以下の請求範囲を検討することによって定められる。

本発明に従って設計されたガバナデバイスを備えるエレベータ装置の選択した構成要素を示す概略図。 本発明に従って設計されたガバナデバイスの一実施例を示す概略図。 本発明に従って設計されたガバナデバイスの別の実施例を示す概略図。 別の実施例の図。 本発明に従って設計されたガバナデバイスにおいて選択的にスイッチに電源供給するための実施例である方法を示す概略図。

Claims (16)

1. エレベータかご（２４）の移動に応じて回転する回転部材（３４，３６）と、
   回転部材（３４，３６）に近接して配置され、通常のエレベータ装置の運転以外における所定の条件にあるときにのみ作動可能となるように構成されたスイッチ（６０）と、
   前記スイッチ（６０）と接触しない位置に付勢された移動部材（６６，７５）と、
   を備え、
   前記所定の条件において、エレベータかご（２４）の移動に対応した回転部材（３４，３６）の回転速度か、通常のエレベータ装置の運転におけるかご（２４）の望ましい速度未満で、かつ前記所定の条件に対応した所定の制限速度よりも大きい速度のときに、移動部材（６６，７５）は、前記スイッチ（６０）に接触して起動させる位置に移動することを特徴とするエレベータ装置用のガバナデバイス。
2. 前記スイッチ（６０）は、前記所定の条件において該スイッチ（６０）を作動可能にする電力モジュール（６２）を備えることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
3. 電力モジュール（６２）は、リアーミングコイルを備えることを特徴とする請求項２に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
4. 移動部材（６６，７５）によって起動したスイッチ（６０）に応答して、エレベータかご（２４）の移動を制限するように、エレベータかご（２４）に関連した構成要素に作用するブレーキを備えることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
5. 回転部材（３４，３６）に対して、移動部材（６６，７５）を半径方向内側に付勢する付勢部材（７２，７６）を備えることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
6. 付勢部材（７２，７６）は、ばねを備えることを特徴とする請求項５に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
7. 回転部材（３４，３６）上に回動可能に支持された一方の端部と、移動部材（６６，７５）に関連した第２の端部と、を有するレバー（６８，７９）を備え、
   付勢部材（７２，７６）は、前記レバー（６８，７９）を回転部材（３４，３６）の外側エッジから離れるように付勢することを特徴とする請求項５に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
8. 移動部材（７５）は、外側に同時に移動するように互いに結合した複数のアームを備えることを特徴とする請求項５に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
9. 回転部材（３４）は、ガバナシーブであることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
10. 回転部材（３６）は、テンションプーリであることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
11. 前記所定の条件において前記スイッチ（６０）を有効にするようにモジュール（６２）を指令する制御装置（８２，９０）を備えることを特徴とする請求項２に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
12. 制御装置（８２，９０）は、前記スイッチ（６０）の望ましい動作状況を示す無線通信信号を発生させることを特徴とする請求項１１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
13. 制御装置（８２）は、携帯信号デバイスを備えることを特徴とする請求項１２に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
14. 制御装置（８２，９０）は、前記所定の条件において前記スイッチ（６０）を有効にするようにモジュール（６２）を自動的に指令することを特徴とする請求項１１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
15. エレベータかご（２４）の速度が第１の制限速度を超過したときに、前記スイッチ（６０）とは無関係にエレベータかご（２４）の移動を阻止する主ガバナを備え、
    前記移動部材（６６，７５）は、エレベータかご（２４）の速度がより低い第２の制限速度を超過したときに、スイッチ（６０）を起動させる位置に移動することを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。
16. 前記スイッチ（６０）は、点検作業中、保守作業中、昇降路のドアが開いている間、の少なくとも１つにおいて作動可能となることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ装置用のガバナデバイス。

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