JP4421877B2 - Co−Ni基高弾性合金及びCo−Ni基高弾性合金を用いた動力ぜんまいとその製造方法 - Google Patents

Co−Ni基高弾性合金及びCo−Ni基高弾性合金を用いた動力ぜんまいとその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、小型精密機器等に使用される高弾性、高耐食性を有するCo−Ni基合金、及びCo−Ni基合金を用いた動力ぜんまいとその製造方法に関するものである。
従来、小型精密機器に使用される高弾性材料としては、Co基合金、あるいはそれよりも性能を向上させたCo−Ni基合金等があった(例えば、特許文献1参照)。
また、腕時計の動力ぜんまいは、高い出力トルクと耐久性、耐食性を要求されるため、その材料にはヤング率や材料強度が高く、耐食性にも優れ、良好な塑性加工性を有しているCo基合金やCo−Ni基合金が用いられていた。従来腕時計の動力ぜんまいに多く用いられているCo基合金のヤング率は、おおよそ2.0〜2.1×10MPaであった。これよりも出力トルクアップを図った腕時計の動力ぜんまいを製造する方法として、組成が質量%で、Co30.9〜37.2%、Ni31.4〜33.4%、Cr19.5〜20.5%、Mo9.5〜10.5%、Mn0.1〜0.5%、Ti0.3〜0.7%、Fe1.1〜2.1%、Nb0.8〜1.2%、ミッシュメタル0.01〜0.02%、及び不可避不純物からなり、ヤング率が2.3〜2.4×10MPaであるCo−Ni基合金を、真空溶解にて溶製し、鋳造、鍛造、熱間圧延、熱間線引、溶体化処理、冷間線引、焼鈍の工程を経た後、断面減少率で表わされる最終加工率30〜90%の冷間線引加工によりできた線をぜんまいの仕上がり厚さに冷間圧延し、400〜620℃の温度で2〜3時間真空中または無酸化雰囲気中で時効硬化処理を行う方法が知られていた(例えば、特許文献2参照)。
特許第3190566号公報(第2項から第3項) 特許第3041585号公報(第2項から第3項)
小型精密機器の性能向上、使用条件の過酷化に伴って高弾性材料にもなお一層の性能向上が求められてきた。
機械式腕時計の性能向上あるいは付加機構の多様化に伴い、エネルギー源である動力ぜんまいにはより一層の高い出力トルクが求められており、従来の動力ぜんまいでは不十分であるという課題があった。しかし、機械式腕時計内のスペースは限られており、ぜんまいの厚さや、幅を増やすことは好ましくない。
動力ぜんまいの出力トルクは次の式で表わされる。
T=Ebt3πN/6L
T:出力トルク
E:材料のヤング率
b:ぜんまいの幅
t:ぜんまいの厚さ
N:ぜんまいの有効巻き数
L:ぜんまいの長さ
この式からわかるように、ぜんまいの厚さ、幅を増さずに高い出力トルクを得るためにはヤング率の高い材料が必要になる。また、腕時計の動力ぜんまいは、おおよそ厚さ0.1mm、幅1mmと非常に小さい。従って、腕時計の動力ぜんまい材料には、ヤング率が高いことに加えて、厚さが薄くて幅が狭いフープ(帯状材)に加工できる良好な塑性加工性を有していることが求められる。このため、高いヤング率を有し、かつ良好な塑性加工性を有する材料、及びその材料を用いた出力トルクの高い動力ぜんまいとその製造方法が求められている。同時に、動力ぜんまいの耐久性、耐食性の改善も求められている。
本発明は、Co−Ni基合金において、新たに強化元素を加えて組成を限定することにより、機械的強度を著しく高めた合金を供するものである。Co−Ni基合金において、Co、Ni、Cr、Mo等の主元素に、強化元素としてW単独で、あるいはWとNbを複合で加えて新たに組成範囲を限定することにより、従来のCo−Ni基合金例よりも材料強度が顕著に高くなることを見出した。さらに、本願発明に係るCo−Ni基高弾性合金を用いて前記圧延材の圧延方向のヤング率が高くなるように塑性加工を施し、成形加工後時効硬化処理することにより、高性能な動力ぜんまいが得られることを見出した。
本発明に係るCo−Ni基合金は超塑性特性を有しており、高い機械的強度と疲労強度、及び優れた耐食性を兼ね備えている。合金の組成が少なくともCo、Ni、Cr、Mo、W、Feからなり、その組成の質量%がCo25〜45%、Ni25〜40%、Cr18〜26%、Mo3〜11%、W0.5〜9%、MoとWの質量%の合計が4〜13%、Fe1.1〜5%であり母相内に変形双晶を有する前記合金によって動力ぜんまいを作製した。さらに好ましくは、前記合金の組成がNb、Mn、B、Zr、Tiのうち一種類以上の元素を含み、前記合金に含まれる元素の質量%がNb≦2%、Mn≦2%、B≦0.02%、Zr≦0.2%、Ti≦1%のものである。
この合金は良好な塑性加工性を有し、積層欠陥エネルギーが低いために加工硬化能が大きい。冷間塑性加工を施すと、母相であるFCC相内に微細な変形双晶が高密度に形成される等により加工硬化して合金強度が増大する。また、この微細な変形双晶の存在により超塑性現象を発現する。
動力ぜんまいの製造方法は、合金の組成が質量%でCo25〜45%、Ni25〜40%、Cr18〜26%、Mo3〜11%、W0.5〜9%、MoとWの質量%の合計が4〜13%、Fe1.1〜5%となるように混合し前記合金を溶解する工程と、前記合金を冷間線引加工する工程と、前記合金を冷間圧延加工する工程と、前記合金を成形加工する工程と、前記合金を時効硬化処理する工程とを含む。
さらに好ましくは、前記冷間線引加工の加工率は、断面減少率で10%以上である。また、前記時効硬化処理において、処理温度は400〜700℃で、真空中または無酸化雰囲気中で処理を施すことが好ましい。
本発明に係るCo−Ni基合金は、従来のCo−Ni基合金に比べ材料強度が向上している。このため高負荷、高信頼性、高耐食性を必要とする精密機器用ばね等に用いるのに有効であり、小型化への対応、メンテナンスフリー化等を可能にするという効果を有している。本願発明に係るCo−Ni基合金を加工することにより、高い出力トルクと優れた耐久性、及び耐食性を有する動力ぜんまいが得られる。本発明に係る動力ぜんまいを腕時計の動力源として用いた場合、ぜんまいの厚さ、幅を増さずに大きな駆動トルクを得ることができるので、テンプの慣性モーメントを大きくすることが可能になり、振動や衝撃などの外乱の影響による腕時計の歩度の狂いを小さくすることができる。また、腕時計の付加機構の多様化や持続時間の増加を可能にする。さらに、繰り返し使用しても特性の低下が少ないために高い出力トルクを維持し、強靭で破損し難く、気候や人間の汗等による多湿環境下においても高い防錆性を発揮する。
本発明に係るCo−Ni基合金の組成は、少なくともCo、Ni、Cr、Mo、W、Feからなり、その組成の質量%がCo25〜45%、Ni25〜40%、Cr18〜26%、Mo3〜11%、W0.5〜9%、MoとWの質量%の合計が4〜13%、Fe1.1〜5%であり、かつFCC相である母相内に微細な変形双晶を有する。さらに好ましくは、前記合金の組成がNb、Mn、B、Zr、Tiのうち一種類以上の元素を含み、合金に含まれる前記元素の質量%が0≦Nb≦2%、0≦Mn≦2%、0≦B≦0.02%、0≦Zr≦0.2%、0≦Ti≦1%のものである。これらの組成のCo−Ni基合金から動力ぜんまいが作られる。
本発明に係る動力ぜんまいの材料となっている合金は良好な塑性加工性を有し、積層欠陥エネルギーが低いために加工硬化能が大きい。冷間塑性加工を施すとFCC相内に微細な変形双晶が高密度に形成される等により、加工硬化して合金強度が増大する。強化元素としてW単独で、あるいはWとNbを複合で加えた合金を用いて動力ぜんまいを製造した場合に、高いトルクの動力ぜんまいが得られる。
この合金はFCC相である母相にMoが固溶することによりこれを強化し、Crが固溶することにより積層欠陥エネルギーを低下させて高い加工硬化能を発現させるものであるが、さらにWが固溶することにより母相をより一層強化する。そして冷間塑性加工を施すと、母相内に微細な変形双晶が高密度に形成されること、及び溶質原子が積層欠陥に偏析することにより転位運動がブロックされるために加工硬化して合金強度が増大する。加工硬化した状態で時効硬化処理を施すと、溶質原子が積層欠陥に偏析して転位を固着する、いわゆるひずみ時効硬化によりさらに合金強度が増大する。Nbの添加はひずみ時効硬化能を高める。このようにして強度を増大させることにより、引張り強さ、耐力、ヤング率が高くなるので、この合金を用いて動力ぜんまいを製造すれば、高い出力トルクと優れた耐久性を有する動力ぜんまいを得ることができる。
この合金を真空溶解にて溶製し、鋳造、鍛造、熱間圧延、熱間線引、溶体化、冷間線引、焼鈍の工程を経た後、断面減少率で表わされる加工率で10%以上となる冷間線引加工を施す。この合金は比較的変形抵抗が大きいので、逆張力伸線機で線引加工を施すのがよい。それによりできた線に焼鈍を施すことなくぜんまい仕上がり厚さになるまで冷間圧延加工を施す。ここで線引加工を施してから圧延加工を施すのは、これにより圧延材の圧延方向のヤング率が線引加工を施さずに圧延加工を施した圧延材に比べて高くなり、動力ぜんまいの出力トルクを高くすることができるからである。線引加工率を10%以上としたのは、10%が圧延材の圧延方向のヤング率が高くなる効果が出現する下限値であることによる。そしてこのように冷間塑性加工を施すと、圧延材の組織の母相内に微細な変形双晶が高密度に形成される等により加工硬化して強度が増大する。この圧延材をぜんまい仕上がり幅に幅断ちしてエッジ研磨を施し、ラウンドコーナーを有するフープにする。このフープを用いて、定寸、成形、溶接、時効硬化処理、表面処理の工程を経て動力ぜんまいを製造する。時効硬化処理は400〜700℃の温度で1〜10時間真空中または無酸化雰囲気中で行う。これによりひずみ時効硬化して強度がさらに増大する。このようにして、出力トルクが高く耐久性と靭性に優れた動力ぜんまいを得ることができる。
次に組成範囲の限定理由を述べる。Co25〜45%、Ni25〜40%の限定理由は、安定なFCC相を形成し、良好な塑性加工性と高い加工硬化能を得るための最適範囲であることによる。Cr18〜26%の限定理由は、優れた耐食性と高い加工硬化能を得るためには18%以上であることが望ましく、26%を超えるとσ相を析出して脆化する恐れがあることによる。
次にMoとWの限定理由を述べる。MoとWはFCC相の固溶強化に最も寄与する元素である。Co、Ni、Crが上記範囲にある組成において、Mo3〜11%、W0.5〜9%であり、かつMoとWの合算の質量%が4%以上の領域がFCC相の固溶強化に適した範囲である。しかし、MoとWの質量%の合計が多過ぎるとσ相を析出して脆化する恐れがある。このため、MoとWが上記範囲にあって、さらにMoとWの質量%の合計が4〜13%であることが高い出力トルクと優れた靭性を有する動力ぜんまいを得る最適範囲である。
次に0≦Nb≦2%の限定理由を述べる。この合金はW単独でも、WとNbを複合で加えてもよい。Nbはひずみ時効硬化能を高める他に、Cと結合して炭化物を形成して結晶粒界に析出し、結晶粒の粗大化を抑制したり粒界の強化にも寄与する。このためNbは動力ぜんまい用合金の特性向上に寄与するが、Nbが質量%で2%を越えるとδ相が生成し動力ぜんまい用合金の特性が低下する。このため含有するNbの質量%を0≦Nb≦2%にすることにより、δ相を析出せずに良好な塑性加工性を維持し、時効硬化処理後の強度を増大して動力ぜんまいの出力トルクを高くする。また、WとNbを複合で加えれば、結果的にWを単独で加えるよりもW量を減らすことができるので、鋳造組織のデンドライトの成長をおさえ鍛造加工性が良くなる。
Fe1.1〜5%の理由は、耐酸化性を劣化させずにFCC相を固溶強化する最適範囲であることによる。Mnは脱酸剤、脱硫剤としての合金清浄効果と積層欠陥エネルギーを低下させて加工硬化能を向上させる効果があるが、多過ぎると耐食性が悪くなる。このためMnの質量%は、0≦Mn≦2%が最適範囲である。Bは結晶粒界強度を上げて加工性を向上させる効果があるが、多過ぎると逆に加工性が悪くなる。このためBの質量%は、0≦B≦0.02%が最適範囲である。Zrは高温での結晶粒界強度を上げて熱間加工性を向上させる効果があるが、多過ぎると逆に加工性が悪くなる。このためZrの質量%は、0≦Zr≦2%が最適範囲である。Tiは脱酸剤としての合金清浄効果と結晶粒の粗大化を抑制する効果があるが、多過ぎるとη相を形成して加工性を阻害する。このためTiの質量%は、0≦Ti≦1%が最適範囲である。
以下実施例を説明する。表1に従来例と本実施例のCo−Ni基合金の組成を質量%で示す。これらの合金を真空溶解炉にて溶解し、鋳造した。このようにして得た合金鋳塊に鍛造、熱間圧延、冷間圧延を施し、冷間圧延加工率が50%、75%で厚さ0.5mmの圧延材にした。その圧延材を用いてJIS規格に基づく試験片を作製し、その試験片に真空熱処理炉により200〜1000℃の温度で2時間の時効硬化処理を施した。これらの試験片を用いて引っ張り試験を行った。表2に、各合金における冷間加工のままと、500℃×2時間時効硬化処理を施した後の引っ張り強さσB(MPa)と伸びε(%)を示す。
Figure 0004421877
Figure 0004421877
表2から解るように、本発明に係るCo−Ni基高弾性合金(実施例1〜実施例7)は、従来のCo−Ni基合金(従来例a〜従来例c)に比べると500℃×2時間時効硬化処理後の引っ張り強さが約12〜15%高い値を示している。つまり、合金組成にWを加えた効果として材料強度が増大していることがわかる。
従来の動力ぜんまいに使用のCo基合金例(従来例d)、従来の動力ぜんまいに使用のCo−Ni基合金例(従来例e)、及び本発明の動力ぜんまいに使用の合金例(実施例1〜実施例7)とを用いて腕時計の動力ぜんまいを製造してぜんまい特性の比較を行った。表3、4に実施例dと実施例eそれぞれの合金例の組成を示す。
Figure 0004421877
Figure 0004421877
上記各合金は、真空溶解炉を用いて溶製し、鋳造、鍛造、熱間圧延、熱間線引、溶体化処理、冷間線引、焼鈍、の各工程を経た後、逆張力伸線機を用いて常温で断面減少率60%の線引加工を施して線径3mmの線にした。その線に動力ぜんまい仕上がり厚さになるまで圧延加工を施し、ぜんまい仕上がり幅に幅断ち加工して厚さ0.12mm、幅0.95mmのフープにし、フープのエッジ部に研磨加工を施した。次に、このフープを370mmの長さに切断して先端部に角穴を開け、成形加工して、端部に外掛けを溶接した。その後、400、500、600、650、700℃のそれぞれの温度で2時間、真空中において時効硬化処理を施し、最後にテフロンをコーティングする表面処理を施した。このようにして各種動力ぜんまいを製造した。この動力ぜんまいを香箱車に挿入してぜんまい特性を調べた。香箱車の内径は10.60mm、巻き芯径は2.80mmである。
表5に、500℃で時効硬化処理した従来例d、従来例e、及び本発明の実施例1〜実施例7のT0.5(動力ぜんまいをいっぱいに巻き上げてから0.5時間分巻き戻した状態での出力トルク)、T24(24時間分巻き戻した状態での出力トルク)、持続時間に関係するぜんまいの有効巻き数Nを示す。図1に、本発明に係る実施例における時効硬化処理温度とT0.5との関係のグラフを示す。
Figure 0004421877
表5からわかるように、本発明の実施例は、従来例dに比べT0.5で約33%、T24で約38%出力トルクが高く、従来例eに比べT0.5で約15%、T24で約17%出力トルクが高い。出力トルクを同じにする場合には、本発明は従来例d及び従来例eよりもぜんまい厚さを薄くできるので、限られたスペースでぜんまいの有効巻き数Nを増やすことができ、腕時計の持続時間を延ばすことができる。また、図1からわかるように、本実施例はいずれも400〜700℃の温度範囲の時効硬化処理でT0.5が増大し、500〜600℃でT0.5が最大になる。
次に、ぜんまい耐久試験(全巻き締め−全巻き戻し繰り返し加速試験)を行い、500回繰り返し後の出力トルクと巻き数、及び破断に到る繰り返し回数を調べた。表6に、従来例d、従来例e、及び本実施例の代表として実施例1、実施例2において、500℃で2時間時効硬化処理した場合の500回繰り返し後の出力トルクと巻き数を、表7に破断に到る繰り返し回数を示す。本実施例は、いずれも従来例1、従来例2に比べると500回繰り返し後のぜんまいへたりによるトルク低下や巻き数の減少が小さく、また、破断に到るまでの繰り返し回数が同等かそれ以上であり、耐久性に優れていることがわかる。
Figure 0004421877
Figure 0004421877
尚、本発明動力ぜんまいの実施例は手巻き動力ぜんまいのみを記したが、自動巻き動力ぜんまいでも同様に優れたぜんまい特性が得られている。また、本発明動力ぜんまいは、Cr等耐食性を高める元素を多量に含みFeの含有量が少ないために、非常に優れた耐食性を有しており、人工汗浸漬試験、塩水噴霧試験においても錆びや変色の発生はなかった。
本発明に係る合金の時効硬化処理温度とトルク(T0.5)との関係を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 合金の組成が少なくともCo、Ni、Cr、Mo、W、Feを含み、その組成の質量%がCo25〜45%、Ni25〜40%、Cr18〜26%、Mo3〜11%、W0.5〜9%、MoとWの質量%の合計が4〜13%、Fe1.1〜5%、及びNb、Mn、B、Zr、Tiのうち一種類以上の元素を質量%で各々、Nb≦2%、Mn≦2%、B≦0.02%、Zr≦0.2%、Ti≦1%の範囲で含み、残部が不可避不純物よりなることを特徴とするCo−Ni基高弾性合金。
  2. 冷間塑性加工を施されたことを特徴とする請求項1に記載のCo−Ni基高弾性合金。
  3. 前記冷間塑性加工の加工率は50%以上であることを特徴とする請求項に記載のCo
    −Ni基高弾性合金。
  4. 時効硬化処理を施されたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一つに記載
    のCo−Ni基高弾性合金。
  5. 前記時効硬化処理の温度は200〜700℃であることを特徴とする請求項に記載のCo−Ni基高弾性合金。
  6. 母相内に変形双晶を有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一つに記載のCo−Ni基高弾性合金。
  7. 請求項1から請求項のいずれか一つに記載のCo−Ni基高弾性合金からなることを
    特徴とする動力ぜんまい。
  8. 合金の組成が質量%でCo25〜45%、Ni25〜40%、Cr18〜26%、Mo3〜11%、W0.5〜9%、MoとWの質量%の合計が4〜13%、Fe1.1〜5%、及びNb、Mn、B、Zr、Tiのうち一種類以上の元素を質量%で各々、Nb≦2%、Mn≦2%、B≦0.02%、Zr≦0.2%、Ti≦1%の範囲で含み、残部が不可避不純物となるように混合し前記合金を溶解する工程と、前記合金を冷間線引加工する工程と、前記合金を冷間圧延加工する工程とを含むCo−Ni基合金の製造方法。
  9. 合金の組成が質量%でCo25〜45%、Ni25〜40%、Cr18〜26%、Mo3〜11%、W0.5〜9%、MoとWの質量%の合計が4〜13%、Fe1.1〜5%、及びNb、Mn、B、Zr、Tiのうち一種類以上の元素を質量%で各々、Nb≦2%、Mn≦2%、B≦0.02%、Zr≦0.2%、Ti≦1%の範囲で含み、残部が不可避不純物となるように混合し前記合金を溶解する工程と、前記合金を冷間線引加工する工程と、前記合金を冷間圧延加工する工程と、前記合金を成型加工する工程と、前記合金を時効硬化処理する工程とを含む動力ぜんまいの製造方法。
  10. 前記冷間線引加工の加工率は、断面減少率で10%以上であることを特徴とする請求項に記載の動力ぜんまいの製造方法。
  11. 前記時効硬化処理において、処理温度は400〜700℃であり、真空中または無酸化雰囲気中で処理を施すことを特徴とする請求項に記載の動力ぜんまいの製造方法。
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