JP2021025085A - 高温疲労特性に優れたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた高温疲労特性を備えたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材を提供する。【解決手段】このAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の組成は、Cu:3.0〜4.0質量%、Mg:1.0〜2.2質量%、Ni:0.7〜1.5質量%、Fe:0.4〜1.2質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.3〜0.5質量%、Zr:0.1〜0.18質量%以下、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなる。【選択図】なし
Description
本発明は、高温疲労特性に優れたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材に関する。
特許文献1には、Cu:2.9〜5.5質量%、Mg:1.0〜2.5質量%、Ni:0.5〜3.0質量%、Fe:0.3〜1.4質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.15〜0.4質量%、Zr:0.13質量%以下、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、必要に応じてさらにCr:0.3質量%以下、V:0.2質量%以下及びSc:0.25質量%以下から1種以上を合計で0.3質量%以下を含み、残部Al及び不可避不純物からなるAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材が記載されている。
特許文献1によれば、このAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材は、高強度で、高い常温疲労強度及び優れた切削性を有し、かつ高温特性(高温疲労特性及び高温クリープ特性)に優れ、エンジン、コンプレッサー、インペラー等の回転、直動部材の製造に適する。このアルミニウム合金押出材は、鍛造することなく直接切削加工して前記部材を製造することも、鍛造(熱間、冷間)してニアネット形状を得た後切削して前記部材を製造することもできる。
エンジン、コンプレッサー、ターボチャージャー、インペラー等の回転、直動部材は、高温で継続的に使用されるものが多い。このため、これらの部材の素材であるアルミニウム合金押出材には、優れた高温疲労特性が求められる。特許文献1に記載されたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材は、同文献に記載されているとおり、それなりに優れた高温疲労特性を有するが、一層の改善が求められている。
従って、本発明は、優れた高温疲労特性を備えたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材を提供することを目的とする。
従って、本発明は、優れた高温疲労特性を備えたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献1に記載されたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材が、ある特定のMn及びZr含有量の範囲内において、顕著に優れた高温疲労特性を示すことを見出した。本発明はその知見を元になされたものである。
本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材は、Cu:3.0〜4.0質量%、Mg:1.0〜2.2質量%、Ni:0.7〜1.5質量%、Fe:0.4〜1.2質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.3〜0.5質量%、Zr:0.1〜0.18質量%、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする。上記アルミニウム合金押出材は、必要に応じてさらにCr:0.2質量%以下を含み得る。
本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材は、Cu:3.0〜4.0質量%、Mg:1.0〜2.2質量%、Ni:0.7〜1.5質量%、Fe:0.4〜1.2質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.3〜0.5質量%、Zr:0.1〜0.18質量%、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする。上記アルミニウム合金押出材は、必要に応じてさらにCr:0.2質量%以下を含み得る。
本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材は、上記組成範囲内において顕著に優れた高温疲労特性を備える。
本発明に係るアルミニウム合金押出材は、切削用又は鍛造用素材として用いられ、所定長さに切断し、鍛造することなく直接切削加工して前記部材を製造することも、鍛造(熱間、冷間)してニアネット形状を得た後切削して前記部材を製造することもできる。
本発明に係るアルミニウム合金押出材は、切削用又は鍛造用素材として用いられ、所定長さに切断し、鍛造することなく直接切削加工して前記部材を製造することも、鍛造(熱間、冷間)してニアネット形状を得た後切削して前記部材を製造することもできる。
以下、本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材について具体的に説明する。なお、本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の合金組成のうちCu、Mg、Ni、Fe、Si、Tiの含有量は、特許文献1に記載されたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材における各元素の含有量の範囲内に含まれる。
[合金組成]
Cu:3.0〜4.0質量%
Cuは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Cuの含有量が3.0質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、4.0質量%を越えて含有すると押出加工性が低下する。従って、Cu含有量は3.0〜4.0質量%とする。
[合金組成]
Cu:3.0〜4.0質量%
Cuは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Cuの含有量が3.0質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、4.0質量%を越えて含有すると押出加工性が低下する。従って、Cu含有量は3.0〜4.0質量%とする。
Mg:1.0〜2.2質量%
MgはCuと同様、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Mgの含有量が1.0質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、一方、2.2質量%を越えて含有すると押出加工性が低下する。従って、Mg含有量は1.0〜2.2質量%とする。Mg含有量の下限値は好ましくは1.2質量%、上限値は好ましくは2.0質量%である。
MgはCuと同様、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Mgの含有量が1.0質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、一方、2.2質量%を越えて含有すると押出加工性が低下する。従って、Mg含有量は1.0〜2.2質量%とする。Mg含有量の下限値は好ましくは1.2質量%、上限値は好ましくは2.0質量%である。
Ni:0.7〜1.5質量%
Niは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Feと共に添加することでその効果が生じる。Niの含有量が0.7質量%未満では強度向上の効果が少なく、一方、1.5質量%を越えると合金中のCuと結びついて晶出物を形成し、逆に強度が低下する。従って、Ni含有量は0.7〜1.5質量%とする。
Niは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Feと共に添加することでその効果が生じる。Niの含有量が0.7質量%未満では強度向上の効果が少なく、一方、1.5質量%を越えると合金中のCuと結びついて晶出物を形成し、逆に強度が低下する。従って、Ni含有量は0.7〜1.5質量%とする。
Fe:0.4〜1.2質量%
Feは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Niと共に添加することでその効果が生じる。Feの含有量が0.4質量%未満ではその効果が少なく、一方、1.2質量%を越えて含有すると巨大晶出物を形成し、逆に強度が低下する。従って、Fe含有量は0.4〜1.2質量%とする。
Feは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Niと共に添加することでその効果が生じる。Feの含有量が0.4質量%未満ではその効果が少なく、一方、1.2質量%を越えて含有すると巨大晶出物を形成し、逆に強度が低下する。従って、Fe含有量は0.4〜1.2質量%とする。
Mn:0.3〜0.5質量%
Zr:0.1〜0.18質量%
Mn及びZrは、アルミニウム合金押出材の再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材を繊維組織化し、アルミニウム合金押出材の強度、高温疲労特性及び高温クリープ特性を向上させる作用がある。特に、Mn含有量が0.3〜0.5質量%、かつZr含有量が0.1〜0.18質量%のとき、その範囲外の場合に比べて、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性が顕著に改善される。Mn及びZrの含有量が上記下限値未満の場合、高温疲労特性を顕著に改善する効果がなく、Mn及びZrの含有量が上記上限値を超える場合、粗大な金属間化合物が生成され、かえって高温疲労特性の改善を阻害する。Mn含有量は、好ましくは下限値が0.35質量%であり、上限値が0.45質量%である。Zr含有量は、好ましくは下限値が0.13質量%、上限値が0.17質量%である。
Zr:0.1〜0.18質量%
Mn及びZrは、アルミニウム合金押出材の再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材を繊維組織化し、アルミニウム合金押出材の強度、高温疲労特性及び高温クリープ特性を向上させる作用がある。特に、Mn含有量が0.3〜0.5質量%、かつZr含有量が0.1〜0.18質量%のとき、その範囲外の場合に比べて、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性が顕著に改善される。Mn及びZrの含有量が上記下限値未満の場合、高温疲労特性を顕著に改善する効果がなく、Mn及びZrの含有量が上記上限値を超える場合、粗大な金属間化合物が生成され、かえって高温疲労特性の改善を阻害する。Mn含有量は、好ましくは下限値が0.35質量%であり、上限値が0.45質量%である。Zr含有量は、好ましくは下限値が0.13質量%、上限値が0.17質量%である。
Si:0.4質量%以下(0質量%の場合を含む)
Siは、時効処理でMgと金属間化合物Mg2Siを生成し、強度を向上させる元素であり、本発明合金に必要に応じて添加され、又は不可避不純物として含有される。一方、Mg2Siは高温での使用が続くうちに粗大化し、これにより特に高温強度及び高温疲労強度が低下する可能性がある。添加元素又は不可避不純物としてのSi含有量を0.4%以下に制限することにより、Mg2Siの生成そのものを抑え、高温使用に伴うMg2Siの粗大化を回避し、エンジン、コンプレッサー等の回転、直動部材の高温強度及び高温疲労強度の低下(高温不安定性)を防止することができる。Si含有量は、好ましくは0.3質量%以下である。
Siは、時効処理でMgと金属間化合物Mg2Siを生成し、強度を向上させる元素であり、本発明合金に必要に応じて添加され、又は不可避不純物として含有される。一方、Mg2Siは高温での使用が続くうちに粗大化し、これにより特に高温強度及び高温疲労強度が低下する可能性がある。添加元素又は不可避不純物としてのSi含有量を0.4%以下に制限することにより、Mg2Siの生成そのものを抑え、高温使用に伴うMg2Siの粗大化を回避し、エンジン、コンプレッサー等の回転、直動部材の高温強度及び高温疲労強度の低下(高温不安定性)を防止することができる。Si含有量は、好ましくは0.3質量%以下である。
Ti:0.005〜0.15質量%
Tiは、鋳塊組織を微細化して機械的性質を安定化させる元素である。しかし、含有量が0.15%質量を超えると粗大なAl−Ti系晶出物を生成し、強度を低下させる。また含有量が0.005%未満では効果が得られない。従って、Ti含有量は0.005〜0.15質量%であり、好ましくは下限値が0.01質量%、上限値が0.1質量%である。
Tiは、鋳塊組織を微細化して機械的性質を安定化させる元素である。しかし、含有量が0.15%質量を超えると粗大なAl−Ti系晶出物を生成し、強度を低下させる。また含有量が0.005%未満では効果が得られない。従って、Ti含有量は0.005〜0.15質量%であり、好ましくは下限値が0.01質量%、上限値が0.1質量%である。
Cr:0.2質量%以下(0質量%の場合を含む)
Crは、アルミニウム合金押出材の組織を微細化し、再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性を向上させる作用があり、必要に応じて添加される。しかし、Cr含有量が0.2質量%を超えると粗大な晶出物が発生し、高温疲労特性及び高温クリープ特性が低下する。
Crは、アルミニウム合金押出材の組織を微細化し、再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性を向上させる作用があり、必要に応じて添加される。しかし、Cr含有量が0.2質量%を超えると粗大な晶出物が発生し、高温疲労特性及び高温クリープ特性が低下する。
不可避不純物
実操業のアルミニウム合金には、種々の不可避不純物元素が含まれるが、本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金でも、JIS2000系アルミニウム合金とほぼ同様に、Znが0.05質量%未満、Pb,Bi,Snが個々に0.01質量%未満、その他の元素が個々に0.05質量%未満、Siを除く不可避不純物トータルで0.15質量%未満であれば特に問題は生じない。
実操業のアルミニウム合金には、種々の不可避不純物元素が含まれるが、本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金でも、JIS2000系アルミニウム合金とほぼ同様に、Znが0.05質量%未満、Pb,Bi,Snが個々に0.01質量%未満、その他の元素が個々に0.05質量%未満、Siを除く不可避不純物トータルで0.15質量%未満であれば特に問題は生じない。
[製造方法]
以下、本発明に係るアルミニウム合金押出材の好ましい製造方法を説明する。なお、この製造方法は、実質的に特許文献1に記載された方法と同じである。
前記組成のアルミニウム合金を溶解し、DC鋳造によりビレットに造塊する。
得られたビレットについて、450〜520℃の温度で1〜20時間の均質化処理を行う。450℃未満の温度では十分な均質化が得られない。また、520℃を超える温度では、偏在するミクロ偏析が共晶融解を起こすため、疲労強度低下の原因となる。均質化処理時間が1時間未満では十分な均質化が得られず、20時間を超える均質化処理は、熱処理炉の占有時間が長くなり製造コストを増大させる。好ましくは450〜520℃、5〜15時間の均質化処理を行う。
以下、本発明に係るアルミニウム合金押出材の好ましい製造方法を説明する。なお、この製造方法は、実質的に特許文献1に記載された方法と同じである。
前記組成のアルミニウム合金を溶解し、DC鋳造によりビレットに造塊する。
得られたビレットについて、450〜520℃の温度で1〜20時間の均質化処理を行う。450℃未満の温度では十分な均質化が得られない。また、520℃を超える温度では、偏在するミクロ偏析が共晶融解を起こすため、疲労強度低下の原因となる。均質化処理時間が1時間未満では十分な均質化が得られず、20時間を超える均質化処理は、熱処理炉の占有時間が長くなり製造コストを増大させる。好ましくは450〜520℃、5〜15時間の均質化処理を行う。
均質化処理後、ビレットをそのまま押出温度まで冷却し、又はいったん室温まで冷却した後押出温度に再加熱して、押出加工を行う。押出加工は、押出温度320〜500℃、押出速度:2〜8m/min、押出比10〜60で行う。
押出温度が320℃未満では、加工ひずみが材料内部に蓄積され、溶体化処理を行う際に結晶粒の粗大化が生じ強度が低下する。押出温度が500℃を超えると、加工変形中の加工発熱が加わり、部分的に共晶融解が発生して疲労強度が低下する。望ましい押出温度は350〜450℃である。
押出速度が2m/min未満では、生産性が低く実用的ではない。押出速度が8m/minを超えると、加工発熱のため結晶粒の粗大化が生じるため、疲労強度が低下する。望ましい押出速度は2.5〜5m/minである。
押出比が10未満では、導入される加工ひずみが小さいため、微細な結晶粒が得られない。押出比が60を超えると、加工ひずみが大きく、加工発熱で結晶粒の粗大化が生じ疲労強度が低下する。望ましい押出比は20〜50である。
押出温度が320℃未満では、加工ひずみが材料内部に蓄積され、溶体化処理を行う際に結晶粒の粗大化が生じ強度が低下する。押出温度が500℃を超えると、加工変形中の加工発熱が加わり、部分的に共晶融解が発生して疲労強度が低下する。望ましい押出温度は350〜450℃である。
押出速度が2m/min未満では、生産性が低く実用的ではない。押出速度が8m/minを超えると、加工発熱のため結晶粒の粗大化が生じるため、疲労強度が低下する。望ましい押出速度は2.5〜5m/minである。
押出比が10未満では、導入される加工ひずみが小さいため、微細な結晶粒が得られない。押出比が60を超えると、加工ひずみが大きく、加工発熱で結晶粒の粗大化が生じ疲労強度が低下する。望ましい押出比は20〜50である。
押出加工後、480〜540℃×0.5〜4時間の加熱条件で溶体化処理を行う。溶体化温度が480℃未満では、溶体化不足のため、所定の強度が得られない。溶体化温度が540℃を超えると、部分的に共晶融解が発生して疲労強度が低下する。
溶体化処理後、焼き入れを行い、その後、人工時効処理を行う。人工時効処理は、190〜200℃×5〜25時間程度の通常の条件で行えばよい。
溶体化処理後、焼き入れを行い、その後、人工時効処理を行う。人工時効処理は、190〜200℃×5〜25時間程度の通常の条件で行えばよい。
表1に示す各組成のAl−Cu−Mg系アルミニウム合金をDC鋳造して、直径155mmに造塊し、300mmの長さに切断して押出ビレットを得た。各押出ビレットに均質化処理を施した後、再加熱して熱間押出加工し(押出速度3m/分)、直径29mmのアルミニウム合金押出材(丸棒)を得た。均質化処理の条件及び押出温度は、各押出ビレットにおいて同一とした。続いて、得られた各アルミニウム合金押出材に対し、溶体化処理及び人工時効処理を行った。溶体化処理及び人工時効処理の条件は、各アルミニウム合金押出材において同一とした。
人工時効処理後の押出材を供試材とし、下記要領で高温疲労試験を行った。その結果を表1に示す。
(高温疲労試験)
供試材(押出材)の断面中心部から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、円径断面を有し、平行部直径が8mm、平行部長さが15.4mm、肩部半径が15mm、掴み部直径が12mmの試験片(1号試験片相当)を採取した。この試験片を用いて、JISZ2274に準拠して小野式回転曲げ疲労試験機で疲労試験を行い、高温疲労寿命(試験片が破断に至るまでの繰り返し曲げ回数)の測定を行った。測定条件は、試験回転数を2000rpm、試験温度(試験片の温度)を180℃、付加応力を170MPaとした。
(高温疲労試験)
供試材(押出材)の断面中心部から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、円径断面を有し、平行部直径が8mm、平行部長さが15.4mm、肩部半径が15mm、掴み部直径が12mmの試験片(1号試験片相当)を採取した。この試験片を用いて、JISZ2274に準拠して小野式回転曲げ疲労試験機で疲労試験を行い、高温疲労寿命(試験片が破断に至るまでの繰り返し曲げ回数)の測定を行った。測定条件は、試験回転数を2000rpm、試験温度(試験片の温度)を180℃、付加応力を170MPaとした。
表1に示すように、合金組成が本発明例の範囲外であるNo.2〜6,8〜12は高温疲労寿命(高温疲労寿命)が特許文献1の実施例とほぼ同水準である。なお、No.2〜6,8〜12は、いずれもMn含有量とZr含有量の一方又は双方が本発明の範囲外であり、No.12は従来のA2618合金からなる。
一方、合金組成が本発明の範囲内であるNo.1,7は、No.2〜6,8〜12に比べて高温疲労特性が顕著に優れる(高温疲労寿命が30%以上延びている)。
一方、合金組成が本発明の範囲内であるNo.1,7は、No.2〜6,8〜12に比べて高温疲労特性が顕著に優れる(高温疲労寿命が30%以上延びている)。
表2のNo.13に示す組成のAl−Cu−Mg系アルミニウム合金をDC鋳造して、直径245mmに造塊し、切断して所定長さの押出ビレットを得た。この押出ビレットに485℃×6hの均質化処理を施した後、再加熱して熱間押出加工し(押出速度6m/分)、直径約54mmのアルミニウム合金押出材(丸棒)を得た。続いて、得られたアルミニウム合金押出材に対し、溶体化処理及び人工時効処理を行った。
また、表2のNo.14に示す組成(A2618)の鋳塊から押出ビレットを得て、均質化処理を施した後、熱間押出加工し、直径約54mmのアルミニウム合金押出材(丸棒)を得た。得られたアルミニウム合金押出材に対し、T6511調質(JISH0001参照)を行った。
また、表2のNo.14に示す組成(A2618)の鋳塊から押出ビレットを得て、均質化処理を施した後、熱間押出加工し、直径約54mmのアルミニウム合金押出材(丸棒)を得た。得られたアルミニウム合金押出材に対し、T6511調質(JISH0001参照)を行った。
人工時効処理後の押出材を供試材とし、下記要領で高温疲労試験を行った。その結果を図2に示す。
(高温疲労試験)
人工時効処理後の押出材(供試材)の断面のd/4(d:直径)の部位から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、前記実施例1と同形状の試験片を採取した。この試験片を用い、JISZ2274に準拠して小野式回転曲げ疲労試験機で試験温度180℃で疲労試験を行い、応力振幅(σa)と破断繰り返し数(Nf)の関係を求めた。得られた値を、日本材料学会の金属材料疲労信頼性評価標準JSMS−SD−6−08の連続低下型曲線回帰モデルにあてはめ、S−N線図を作成した。
(高温疲労試験)
人工時効処理後の押出材(供試材)の断面のd/4(d:直径)の部位から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、前記実施例1と同形状の試験片を採取した。この試験片を用い、JISZ2274に準拠して小野式回転曲げ疲労試験機で試験温度180℃で疲労試験を行い、応力振幅(σa)と破断繰り返し数(Nf)の関係を求めた。得られた値を、日本材料学会の金属材料疲労信頼性評価標準JSMS−SD−6−08の連続低下型曲線回帰モデルにあてはめ、S−N線図を作成した。
作成したS−N線図から、No.13,14について、繰り返し数1×107(1.0E+07)回の応力振幅を求めた。その結果を表2に併せて示す。
表2に示すように、合金組成が本発明の範囲内であるNo.13は、繰り返し数1×107(1.0E+07)回の応力振幅が、合金組成が従来材のNo.14に比べ、顕著に改善している。
表2に示すように、合金組成が本発明の範囲内であるNo.13は、繰り返し数1×107(1.0E+07)回の応力振幅が、合金組成が従来材のNo.14に比べ、顕著に改善している。
Claims (2)
- Cu:3.0〜4.0質量%、Mg:1.0〜2.2質量%、Ni:0.7〜1.5質量%、Fe:0.4〜1.2質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.3〜0.5質量%、Zr:0.1〜0.18質量%、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする高温疲労特性に優れたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材。
- さらに、Cr:0.2質量%以下を含むことを特徴とする請求項1に記載された高温疲労特性に優れたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材。
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JP2019143505A JP2021025085A (ja) | 2019-08-05 | 2019-08-05 | 高温疲労特性に優れたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材 |
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