JP2017128789A - 耐熱性アルミニウム合金形材及びアルミニウム合金部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた高温疲労特性及び高温クリープ特性を備えたAl−Cu−Mg系耐熱性アルミニウム合金形材の提供。【解決手段】耐熱性アルミニウム合金形材の組成が、Cu:2.9〜5.5質量%、Mg:1.0〜2.5質量%、Ni:0.5〜3.0質量%、Fe:0.3〜1.4質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.15〜0.4質量%、Zr:0.13質量%以下、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなり、NiとFeの合計含有量が3.0質量%以下、NiとFeの質量比が1.1以上である耐熱性アルミニウム合金形材。更にCr:0.3質量%以下、V:0.2質量%以下及びSc:0.25質量%以下から1種以上を合計で0.3質量%以下含むことが好ましい耐熱性アルミニウム合金形材。【選択図】なし
Description
本発明は、高強度で、かつ高温疲労特性及び高温クリープ特性に優れた耐熱性アルミニウム合金形材、及び同アルミニウム合金形材からなるアルミニウム合金部材に関する。
特許文献1には、Cu:2.9〜5.5質量%、Mg:1.0〜2.5質量%、Ni:0.5〜3.0質量%、Fe:0.5〜1.5質量%、Si:0.4質量%以下、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、さらにMn:0.05〜0.6質量%、Cr:0.05〜0.3質量%、Zr:0.05〜0.3質量%、V:0.05〜0.3質量%の1種又は2種以上を合計で0.7質量%以下含み、残部Al及び不可避不純物からなるAl−Cu−Mg系切削用アルミニウム合金形材(押出材)が記載されている。
特許文献1によれば、このアルミニウム合金形材は、切削性に優れ、高強度で、押出方向に対し垂直方向(LT方向)に高い疲労強度を示し、エンジン、コンプレッサー、インペラー等の回転、直動部材の製造に適する。特にインペラー等の回転部材は、使用時に遠心力がかかる方向が押出材のLT方向であることから、このアルミニウム合金形材は、A2618等の従来材に比べ回転部材の疲労特性を改善することができる。また、このアルミニウム合金形材は、鍛造することなく直接切削加工して前記部材を製造することも、鍛造(熱間、冷間)してニアネット形状を得た後切削して前記部材を製造することもできる。
エンジン、コンプレッサー、ターボチャージャーインペラー等の回転、直動部材は、高温で継続的に使用されるものも多い。従って、これらの部材の素材であるアルミニウム合金形材(押出材)には、特許文献1に記載された切削性、高強度、高い常温疲労強度のほか、優れた耐熱性(高温疲労特性及び高温クリープ特性)が求められる。なお、特許文献1には、同文献に記載されたアルミニウム合金形材が、高い高温強度及び高温疲労強度を有することが記載されている(段落0009等)が、実施例等にそれ以上の具体的な開示はない。
本発明は、優れた高温疲労特性及び高温クリープ特性を備えたAl−Cu−Mg系耐熱アルミニウム合金形材を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献1に記載されたAl−Cu−Mg系アルミニウム合金形材(押出材)が、ある特定の組成範囲内において、その範囲外に比べて顕著に優れた高温疲労特性及び高温クリープ特性を示すことを見出し、本発明に到達した。
本発明に係る耐熱アルミニウム合金形材は、Cu:2.9〜5.5質量%、Mg:1.0〜2.5質量%、Ni:0.5〜3.0質量%、Fe:0.3〜1.4質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.15〜0.4質量%、Zr:0.13質量%以下、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなり、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%以下、NiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1以上であることを特徴とする。上記アルミニウム合金形材は、必要に応じてさらにCr:0.3質量%以下、V:0.2質量%以下及びSc:0.25質量%以下のうち1種又は2種以上を合計で0.3質量%以下含む。
本発明に係る耐熱アルミニウム合金形材は、Cu:2.9〜5.5質量%、Mg:1.0〜2.5質量%、Ni:0.5〜3.0質量%、Fe:0.3〜1.4質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.15〜0.4質量%、Zr:0.13質量%以下、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなり、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%以下、NiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1以上であることを特徴とする。上記アルミニウム合金形材は、必要に応じてさらにCr:0.3質量%以下、V:0.2質量%以下及びSc:0.25質量%以下のうち1種又は2種以上を合計で0.3質量%以下含む。
本発明に係る耐熱アルミニウム合金形材は、特許文献1に開示された特性(高強度、LT方向に高い疲労強度、優れた切削性)を備えるだけでなく、優れた高温疲労特性及び高温クリープ特性を備える。
本発明において形材とは、全長にわたり実質的に均一な断面(円形、多角形、その他)をもつ材料を意味し、主として押出材がこれに含まれる。以下、本発明に係る耐熱アルミニウム合金形材について、押出材を例にしてより具体的に説明する。なお、本発明に係る耐熱アルミニウム合金形材の合金組成は、引用文献1に記載された切削用アルミニウム合金形材(押出材)の合金組成の範囲内にほぼ含まれる。
[合金組成]
Cu:2.9〜5.5質量%
Cuは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Cuの含有量が2.9質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、5.5質量%を越えて含有すると押出加工性が劣化する。従って、Cu含有量は2.9〜5.5質量%とする。好ましくは3.0〜4.5質量%、さらに好ましくは3.4〜4.5質量%である。
[合金組成]
Cu:2.9〜5.5質量%
Cuは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Cuの含有量が2.9質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、5.5質量%を越えて含有すると押出加工性が劣化する。従って、Cu含有量は2.9〜5.5質量%とする。好ましくは3.0〜4.5質量%、さらに好ましくは3.4〜4.5質量%である。
Mg:1.0〜2.5質量%
MgはCuと同様、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Mgの含有量が1.0質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、一方、2.5質量%を越えて含有すると押出加工性が劣化する。また、Mg含有量が1.0質量%以上となることで再結晶化が進む。さらに晶出物分布が均一化し、疲労強度の改善にもつながる。従って、Mg含有量は1.0〜2.5質量%とする。好ましくは、1.2〜2.2質量%である。
MgはCuと同様、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の常温及び高温強度を向上させるのに必要不可欠の元素である。Mgの含有量が1.0質量%未満では上記特性の向上効果が少なく、一方、2.5質量%を越えて含有すると押出加工性が劣化する。また、Mg含有量が1.0質量%以上となることで再結晶化が進む。さらに晶出物分布が均一化し、疲労強度の改善にもつながる。従って、Mg含有量は1.0〜2.5質量%とする。好ましくは、1.2〜2.2質量%である。
Ni:0.5〜3.0質量%
Niは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Feと共に添加することでその効果が生じる。Niの含有量が0.5質量%未満では強度向上の効果が少なく、一方、3.0質量%を越えると合金中のCuと結びつき晶出物となるため、逆に強度が低下する。従って、Ni含有量は0.5〜3.0質量%とする。好ましくは、0.9〜1.5質量%である。
Niは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Feと共に添加することでその効果が生じる。Niの含有量が0.5質量%未満では強度向上の効果が少なく、一方、3.0質量%を越えると合金中のCuと結びつき晶出物となるため、逆に強度が低下する。従って、Ni含有量は0.5〜3.0質量%とする。好ましくは、0.9〜1.5質量%である。
Fe:0.3〜1.4質量%
Feは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Niと共に添加することでその効果が生じる。Feの含有量が0.3質量%未満ではその効果が少なく、一方、1.4質量%を越えて含有すると巨大晶出物が発生し、強度は低下する。従って、Fe含有量は0.3〜1.4質量%とする。好ましくは0.4〜1.2質量%である。
Feは、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温強度を向上させる元素であり、Niと共に添加することでその効果が生じる。Feの含有量が0.3質量%未満ではその効果が少なく、一方、1.4質量%を越えて含有すると巨大晶出物が発生し、強度は低下する。従って、Fe含有量は0.3〜1.4質量%とする。好ましくは0.4〜1.2質量%である。
Ni+Fe≦3.0質量%
Ni/Fe≧1.1
NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%を超え、又はNiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1未満の場合、Fe系の巨大晶出物が発生し、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の強度及び高温クリープ特性が低下する。また、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%を超え、かつNiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1未満の場合、さらにAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温疲労特性も低下する。従って、Ni及びFeの含有量は、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%以下となり、NiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1以上となるように調整する。NiとFeの質量比(Ni/Fe)の上限値は特に限定されないが、好ましくは5.0、より好ましくは3.0である。
Ni/Fe≧1.1
NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%を超え、又はNiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1未満の場合、Fe系の巨大晶出物が発生し、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の強度及び高温クリープ特性が低下する。また、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%を超え、かつNiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1未満の場合、さらにAl−Cu−Mg系アルミニウム合金押出材の高温疲労特性も低下する。従って、Ni及びFeの含有量は、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)が3.0質量%以下となり、NiとFeの質量比(Ni/Fe)が1.1以上となるように調整する。NiとFeの質量比(Ni/Fe)の上限値は特に限定されないが、好ましくは5.0、より好ましくは3.0である。
Mn:0.15〜0.4質量%
Zr:0〜0.13質量%
Mn及びZrは、アルミニウム合金押出材を繊維組織化し、再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材の強度、高温疲労特性及び高温クリープ特性を向上させる作用がある。しかし、アルミニウム合金押出材が繊維組織化している場合でも、Mn含有量が0.15質量%未満では高温クリープ特性が低下する。一方、Mn含有量が0.4質量%を超えた場合は、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性及び高温クリープ特性が低下し、Zr含有量が0.13質量%を超えた場合は、高温クリープ特性が低下する。従って、本発明に係るアルミニウム合金押出材に、Mnは必須元素として0.15〜0.4質量%添加される。また、Zrは必要に応じて0.13質量%以下添加され、又は不可避不純物として含有される。
Zr:0〜0.13質量%
Mn及びZrは、アルミニウム合金押出材を繊維組織化し、再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材の強度、高温疲労特性及び高温クリープ特性を向上させる作用がある。しかし、アルミニウム合金押出材が繊維組織化している場合でも、Mn含有量が0.15質量%未満では高温クリープ特性が低下する。一方、Mn含有量が0.4質量%を超えた場合は、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性及び高温クリープ特性が低下し、Zr含有量が0.13質量%を超えた場合は、高温クリープ特性が低下する。従って、本発明に係るアルミニウム合金押出材に、Mnは必須元素として0.15〜0.4質量%添加される。また、Zrは必要に応じて0.13質量%以下添加され、又は不可避不純物として含有される。
Si:0〜0.4質量%
Siは、時効処理(190〜200℃程度)でMgと金属間化合物Mg2Siを生成し、強度を向上させる元素であり、本発明合金に必要に応じて添加され、又は不可避不純物として含有される。一方、Mg2Siは高温での使用が続くうちに粗大化し、これにより特に高温強度及び高温疲労強度が低下する可能性がある。添加元素又は不可避不純物としてのSi含有量を0.4%以下に制限することにより、Mg2Siの生成そのものを抑え、高温使用に伴うMg2Siの粗大化を回避し、エンジン、コンプレッサー等の回転、直動部材の高温強度及び高温疲労強度の低下(高温不安定性)を防止することができる。Si含有量は、好ましくは0.30質量%以下である。
Siは、時効処理(190〜200℃程度)でMgと金属間化合物Mg2Siを生成し、強度を向上させる元素であり、本発明合金に必要に応じて添加され、又は不可避不純物として含有される。一方、Mg2Siは高温での使用が続くうちに粗大化し、これにより特に高温強度及び高温疲労強度が低下する可能性がある。添加元素又は不可避不純物としてのSi含有量を0.4%以下に制限することにより、Mg2Siの生成そのものを抑え、高温使用に伴うMg2Siの粗大化を回避し、エンジン、コンプレッサー等の回転、直動部材の高温強度及び高温疲労強度の低下(高温不安定性)を防止することができる。Si含有量は、好ましくは0.30質量%以下である。
Ti:0.005〜0.15質量%
Tiは、鋳塊組織を微細化して機械的性質を安定化させる元素である。しかし、含有量が0.15%質量以上では粗大なAl−Ti系晶出物を生成し、強度を低下させる。また含有量が0.005%以下では効果が得られない。従って、Ti含有量は0.005〜0.15質量%であり、好ましくは0.01〜0.1質量%である。
Tiは、鋳塊組織を微細化して機械的性質を安定化させる元素である。しかし、含有量が0.15%質量以上では粗大なAl−Ti系晶出物を生成し、強度を低下させる。また含有量が0.005%以下では効果が得られない。従って、Ti含有量は0.005〜0.15質量%であり、好ましくは0.01〜0.1質量%である。
Cr:0.3質量%以下
V:0.2質量%以下
Sc:0.25質量%以下
Cr、V、Scの合計:0.3質量%以下
Cr、V及びScは、アルミニウム合金押出材の組織を微細化し、再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性を向上させる作用があり、これらのうち1種又は2種以上が必要に応じて添加される。しかし、Cr含有量が0.3質量%を超え又はVが0.2質量%を超えると、粗大な晶出物が発生し、高温疲労特性及び高温クリープ特性が低下する。Sc含有量が0.25質量%を超えると、上記効果が飽和し、また、Scは高価な元素であることから合金のコストがアップする。従って、本発明に係るアルミニウム合金押出材にCr、V及びScのうち1種を含有させる場合、その含有量はそれぞれ0.3質量%以下、0.2質量%以下、0.25質量%以下とする。また、Cr、V及びScのうち2種以上を含有させる場合、同様の理由で合計含有量を0.3質量%以下とする。
V:0.2質量%以下
Sc:0.25質量%以下
Cr、V、Scの合計:0.3質量%以下
Cr、V及びScは、アルミニウム合金押出材の組織を微細化し、再結晶化を抑制する元素であり、アルミニウム合金押出材の高温疲労特性を向上させる作用があり、これらのうち1種又は2種以上が必要に応じて添加される。しかし、Cr含有量が0.3質量%を超え又はVが0.2質量%を超えると、粗大な晶出物が発生し、高温疲労特性及び高温クリープ特性が低下する。Sc含有量が0.25質量%を超えると、上記効果が飽和し、また、Scは高価な元素であることから合金のコストがアップする。従って、本発明に係るアルミニウム合金押出材にCr、V及びScのうち1種を含有させる場合、その含有量はそれぞれ0.3質量%以下、0.2質量%以下、0.25質量%以下とする。また、Cr、V及びScのうち2種以上を含有させる場合、同様の理由で合計含有量を0.3質量%以下とする。
不可避不純物
実操業のアルミニウム合金には、種々の不可避不純物元素が含まれるが、本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金でも、JIS2000系アルミニウム合金とほぼ同様に、Znが0.05質量%未満、Pb,Bi,Snが個々に0.01質量%未満、その他の元素が個々に0.05質量%未満、Siを除く不可避不純物トータルで0.15質量%未満であれば特に問題は生じない。
実操業のアルミニウム合金には、種々の不可避不純物元素が含まれるが、本発明に係るAl−Cu−Mg系アルミニウム合金でも、JIS2000系アルミニウム合金とほぼ同様に、Znが0.05質量%未満、Pb,Bi,Snが個々に0.01質量%未満、その他の元素が個々に0.05質量%未満、Siを除く不可避不純物トータルで0.15質量%未満であれば特に問題は生じない。
[製造方法]
以下、本発明に係るアルミニウム合金形材(押出材)の好ましい製造方法を説明する。なお、この製造方法は、実質的に特許文献1に記載された方法とほぼ同じである。
前記組成のアルミニウム合金を溶解し、DC鋳造によりビレットに造塊する。
得られたビレットについて、450〜520℃の温度で1〜20時間の均質化処理を行う。450℃未満の温度では十分な均質化が得られない。また、520℃を超える温度では、偏在するミクロ偏析が共晶融解を起こすため、疲労強度低下の原因となる。均質化処理時間が1時間未満では十分な均質化が得られず、20時間を超える均質化処理は、熱処理炉の占有時間が長くなり製造コストを増大させる。好ましくは450〜520℃、5〜15時間の均質化処理を行う。
以下、本発明に係るアルミニウム合金形材(押出材)の好ましい製造方法を説明する。なお、この製造方法は、実質的に特許文献1に記載された方法とほぼ同じである。
前記組成のアルミニウム合金を溶解し、DC鋳造によりビレットに造塊する。
得られたビレットについて、450〜520℃の温度で1〜20時間の均質化処理を行う。450℃未満の温度では十分な均質化が得られない。また、520℃を超える温度では、偏在するミクロ偏析が共晶融解を起こすため、疲労強度低下の原因となる。均質化処理時間が1時間未満では十分な均質化が得られず、20時間を超える均質化処理は、熱処理炉の占有時間が長くなり製造コストを増大させる。好ましくは450〜520℃、5〜15時間の均質化処理を行う。
均質化処理後、ビレットをそのまま押出温度まで冷却し、又はいったん室温まで冷却した後押出温度に再加熱して、押出加工を行う。押出加工は、押出温度320〜500℃、押出速度:2〜8m/sec、押出比10〜40で行う。
押出温度が320℃未満では、加工ひずみが材料内部に蓄積され、溶体化処理を行う際に結晶粒の粗大化が生じ強度が低下する。押出温度が500℃を超えると、加工変形中の加工発熱が加わり、部分的に共晶融解が発生して疲労強度が低下する。望ましい押出温度は350〜450℃である。
押出速度が2m/sec未満では、生産性が低く実用的ではない。押出速度が8m/secを超えると、加工発熱のため結晶粒の粗大化が生じるため、疲労強度が低下する。望ましい押出速度は2.5〜5m/secである。
押出比が10未満では、導入される加工ひずみが小さいため、微細な結晶粒が得られない。押出比が40を超えると、加工ひずみが大きく、加工発熱で結晶粒の粗大化が生じ疲労強度が低下する。望ましい押出比は20〜30である。
押出温度が320℃未満では、加工ひずみが材料内部に蓄積され、溶体化処理を行う際に結晶粒の粗大化が生じ強度が低下する。押出温度が500℃を超えると、加工変形中の加工発熱が加わり、部分的に共晶融解が発生して疲労強度が低下する。望ましい押出温度は350〜450℃である。
押出速度が2m/sec未満では、生産性が低く実用的ではない。押出速度が8m/secを超えると、加工発熱のため結晶粒の粗大化が生じるため、疲労強度が低下する。望ましい押出速度は2.5〜5m/secである。
押出比が10未満では、導入される加工ひずみが小さいため、微細な結晶粒が得られない。押出比が40を超えると、加工ひずみが大きく、加工発熱で結晶粒の粗大化が生じ疲労強度が低下する。望ましい押出比は20〜30である。
押出加工後、480〜540℃×0.5〜4時間で溶体化処理を行う。溶体化温度が480未満では、溶体化不足のため、所定の強度が得られない。溶体化温度が540℃を超えると、部分的に共晶融解が発生して疲労強度が低下する。
溶体化処理後、焼き入れを行い、その後、人工時効処理を行う。人工時効処理は、190〜200℃×5〜25×時間程度の通常の条件で行えばよい。
溶体化処理後、焼き入れを行い、その後、人工時効処理を行う。人工時効処理は、190〜200℃×5〜25×時間程度の通常の条件で行えばよい。
[アルミニウム合金部材]
本発明に係る耐熱アルミニウム合金形材は、鍛造することなく直接切削加工し、又は鍛造(熱間、冷間)してニアネット形状を得た後切削加工し、エンジン、コンプレッサー、インペラー等の回転、直動部材(アルミニウム合金部材)を製造することができる。
本発明に係る耐熱アルミニウム合金形材は、鍛造することなく直接切削加工し、又は鍛造(熱間、冷間)してニアネット形状を得た後切削加工し、エンジン、コンプレッサー、インペラー等の回転、直動部材(アルミニウム合金部材)を製造することができる。
表1に示す組成のAl−Cu−Mg系アルミニウム合金をDC鋳造して、各組成ごとに直径155mmに造塊し、480℃×8hの均質化処理を施した後、長さ300mmに切断して押出ビレットを得た。押出ビレットを410℃の押出温度で押出加工し、直径30mmのアルミニウム合金押出材(丸棒)を得た。続いて、押出材に対し、溶体化処理及び人工時効処理を行った。溶体化処理と人工時効処理の条件は、No.1〜24が、520℃×2hの加熱後、水冷、続いて200℃×10hの加熱であり、No.25が、530℃×2hの加熱後、水冷、続いて200℃×20hの加熱である。
得られた押出材を供試材とし、下記要領で高温疲労試験及び高温クリープラプチャー試験を行った。その結果及び総合評価を表2に示す。
(高温クリープラプチャー試験)
供試材(押出材)の中心部から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、平行部が直径6mmの円径断面で、標点距離が30mmの試験片を採取した。この試験片を用いて、JISZ2271の規定に準拠して高温クリープラプチャー試験を行い、高温クリープ破断時間(試験片が破断するまでの時間)を測定した。測定条件は、試験温度(試験片の温度)を180℃、付加応力を250MPaとした。高温クリープ破断時間が150時間以上を合格(○)と評価し、150時間以上を不合格(×)と評価した。
供試材(押出材)の中心部から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、平行部が直径6mmの円径断面で、標点距離が30mmの試験片を採取した。この試験片を用いて、JISZ2271の規定に準拠して高温クリープラプチャー試験を行い、高温クリープ破断時間(試験片が破断するまでの時間)を測定した。測定条件は、試験温度(試験片の温度)を180℃、付加応力を250MPaとした。高温クリープ破断時間が150時間以上を合格(○)と評価し、150時間以上を不合格(×)と評価した。
(高温疲労試験)
供試材(押出材)の中心部から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、平行部直径が8mmの円径断面で、平行部長さが15.4mmの試験片(1号試験片相当)を採取した。この試験片を用いて、JISZ2274に準拠して小野式回転曲げ疲労試験機で疲労試験を行い、高温疲労寿命(試験片が破断に至るまでの繰り返し曲げ回数)の測定を行った。測定条件は、試験回転数を2000rpm、試験温度(試験片の温度)を180℃、付加応力を170MPaとした。繰り返し曲げ回数(高温疲労寿命)が100万回以上(1.00E+06以上)を合格(○)と評価し、100万回未満を不合格(×)と評価した。
供試材(押出材)の中心部から、長手方向が押出方向に平行方向になるように、平行部直径が8mmの円径断面で、平行部長さが15.4mmの試験片(1号試験片相当)を採取した。この試験片を用いて、JISZ2274に準拠して小野式回転曲げ疲労試験機で疲労試験を行い、高温疲労寿命(試験片が破断に至るまでの繰り返し曲げ回数)の測定を行った。測定条件は、試験回転数を2000rpm、試験温度(試験片の温度)を180℃、付加応力を170MPaとした。繰り返し曲げ回数(高温疲労寿命)が100万回以上(1.00E+06以上)を合格(○)と評価し、100万回未満を不合格(×)と評価した。
表1,2に示すように、比較例であるNo.16は、Mn含有量が少なく、高温クリープ特性が劣る。
No.17は、Mn含有量が過剰で、高温疲労特性及び高温クリープ特性が劣る。
No.18は、Zr含有量が過剰で、高温クリープ特性が劣る。
No.19,21,22は、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)又はNiとFeの質量比(Ni/Fe)が本発明の規定を満たさず、いずれも高温クリープ特性が劣る。また、No.20は、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)及びNiとFeの質量比(Ni/Fe)が共に本発明の規定を満たさず、高温クリープ特性及び高温疲労特性が劣る。
No.23は、Cr含有量が過剰で、高温クリープ特性及び高温疲労特性が劣る。
No.24は、V含有量が過剰で、高温疲労特性が劣る。
No.25は従来材であるA2618合金であるが、高温クリープ特性及び高温疲労特性が劣る。
No.17は、Mn含有量が過剰で、高温疲労特性及び高温クリープ特性が劣る。
No.18は、Zr含有量が過剰で、高温クリープ特性が劣る。
No.19,21,22は、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)又はNiとFeの質量比(Ni/Fe)が本発明の規定を満たさず、いずれも高温クリープ特性が劣る。また、No.20は、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)及びNiとFeの質量比(Ni/Fe)が共に本発明の規定を満たさず、高温クリープ特性及び高温疲労特性が劣る。
No.23は、Cr含有量が過剰で、高温クリープ特性及び高温疲労特性が劣る。
No.24は、V含有量が過剰で、高温疲労特性が劣る。
No.25は従来材であるA2618合金であるが、高温クリープ特性及び高温疲労特性が劣る。
一方、No.1〜15は、アルミニウム合金の組成が本発明の範囲内であり、高温クリープ特性及び高温疲労特性が優れる。特に高温クリープ特性については、Zr含有量が本発明の規定を満たさない比較例No.18、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)又はNiとFeの質量比(Ni/Fe)が本発明の規定を満たさないNo.19,21,22に比べて顕著に優れる。また、高温疲労特性については、NiとFeの合計含有量(Ni+Fe)及びNiとFeの質量比(Ni/Fe)が本発明の規定を満たさない比較例No.20及び従来材である比較例No.25に比べて顕著に優れる。
Claims (3)
- Cu:2.9〜5.5質量%、Mg:1.0〜2.5質量%、Ni:0.5〜3.0質量%、Fe:0.3〜1.4質量%、Si:0.4質量%以下、Mn:0.15〜0.4質量%、Zr:0.13質量%以下、Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部Al及び不可避不純物からなり、NiとFeの合計含有量が3.0質量%以下、NiとFeの質量比が1.1以上であることを特徴とする高温クリープ特性及び高温疲労特性に優れた耐熱性アルミニウム合金形材。
- さらにCr:0.3質量%以下、V:0.2質量%以下及びSc:0.25質量%以下のうち1種又は2種以上を合計で0.3質量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載された耐熱性アルミニウム合金形材。
- 請求項1又は2に記載された耐熱性アルミニウム合金形材からなるアルミニウム合金部材。
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