JP5103107B2 - 高弾性合金 - Google Patents

高弾性合金 Download PDF

Info

Publication number
JP5103107B2
JP5103107B2 JP2007241184A JP2007241184A JP5103107B2 JP 5103107 B2 JP5103107 B2 JP 5103107B2 JP 2007241184 A JP2007241184 A JP 2007241184A JP 2007241184 A JP2007241184 A JP 2007241184A JP 5103107 B2 JP5103107 B2 JP 5103107B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
modulus
texture
young
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007241184A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009074104A (ja
Inventor
晶彦 千葉
洋明 松本
修 高橋
量 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Tohoku University NUC
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, Seiko Instruments Inc filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2007241184A priority Critical patent/JP5103107B2/ja
Publication of JP2009074104A publication Critical patent/JP2009074104A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5103107B2 publication Critical patent/JP5103107B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Springs (AREA)

Description

本発明は、高弾性Co-Ni基合金に関する。
Co-Ni基合金は、高弾性率、高強度、高耐蝕性、高耐熱性でありながら、塑性加工性に優れているため、発電用機械装置の部品、エレクトロニクス、医療分野での応用に期待がかけられている。Co基合金は、高ヤング率材料として知られていることから、優れた特性を発揮するCo-Ni基合金につき、高ヤング率合金を開発することへの期待が持たれている。
特に、Co-Ni-Cr-Mo合金は優れた特性を有しており、精密機械のバネ、ゼンマイなどの他、医療用具の部材などとしても注目されている。
従来、特開2005-273001号公報(特許文献1)では、圧延方向においてヤング率の高い鋼板の開発に関する技術が開示されている。また、特開平10-60527号公報(特許文献2)では微細な析出物(炭化物)を分散させ、押し出し加工を施すことにより<111>集合組織を発達させることを特徴とする高ヤング率鋼材開発に関する技術の開示がなされている。さらに、特開2007-51341号公報(特許文献3)では、溶製時に高ヤング率特性を示す硼化物、炭硼化物を微細に晶出させ、高強度かつ高ヤング率鋼の製造方法に関する技術の開示がなされている。以上の高ヤング率化の技術は、全て鉄鋼材料に関するものである。
Co基合金の高強度化と、それを動力ぜんまいとして利用するための技術が、特開2004-307993号公報(特許文献4)に開示されている。当該Co基合金系は、高い加工硬化性能を有する合金であり、冷間で強い塑性変形を施した後に、高温(400℃〜700℃)領域において時効熱処理を施すことにより、ひずみ時効硬化により強化されるために、動力ぜんまいとしての利用が可能であるとされる。ただし、そこでは高強度化のための技術開示を行っているのであって、ヤング率の向上のための技術的な開示はない。
特開2005-273001号公報 特開平10-60527号公報 特開2007-51341号公報 特開2004-307993号公報
Co-Ni基合金は、高弾性率、高強度、高耐蝕性、高耐熱性で、優れた塑性加工性を有することから、ハイテク産業用の部品素材、エレクトロニクス材料、医療用素材として注目され、高強度であると共に、高ヤング率材料のものを開発することが求められている。
特に、Co-Ni-Cr-Mo合金は優れた特性を有しており、注目されている。こうしたCo-Ni-Cr-Mo合金ではあるが、再結晶まま材では弾性率(ヤング率)が230〜240GPa程度であり、また、室温で強加工することのより、高強度化されるが、ヤング率は220GPa程度に低下するため、高強度化と高弾性率化を両立させることが難しいという問題があった。
弾性率は物質固有の特性値であり、従来、塑性加工、熱処理などの加工によって影響されないと考えられている。
本発明者は、Co-Ni基合金の性状の更なる改善、特には高弾性合金を目的に鋭意研究を進めた結果、本Co-Ni基合金系に塑性加工を加えると、高強度のものとなるが、弾性率は一度低下する。しかし、こうして得られたものを、400℃〜850℃の温度領域で、数十分〜数時間の熱処理を施すことにより弾性率が上昇し、これにより、強度を損なうことなく、260GPaを超える弾性率を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。。
本発明は、Co-Ni−Cr-Moを主な構成元素とする合金に、室温において塑性加工を加え、その後の熱処理を施すことにより、高強度特性を維持したまま弾性率を上昇させる技術を提供するものである。
本発明では、次なる態様が提供される。
[1] (1)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、W、Feからなり、該合金組成が、重量比で、
Ni: 25〜40%、Co: 25〜45%、Cr: 18〜26%、Mo: 3〜11%、W: 0.5〜9%、Mo+W: 4〜13%、Fe: 1.1〜5%、
(2)合金が、Ni、Co、Cr、Moからなり、該合金組成が、重量比で、
Ni: 20〜50%、Co: 20〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、又は
(3)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、Mn、Ti、Al、Fe、Nb、希土類元素からなり、該合金組成が、重量比で、
Ni: 20〜50%、Co: 25〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、Mn: 0.1〜5%、Ti: 0.1〜5%、Al: 0.1〜5%、Fe: 0.1〜5%、Nb: 0.1〜3%、希土類元素: 0.01〜1%
であって、該合金の強加工で、圧延方向に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織が形成された合金であって、強加工後の400〜850℃の熱処理により圧延方向のヤング率が210GPa以上、TD方向のヤング率が245GPa以上に上昇せしめてあり、引張り強さが1200MPa以上にされていることを特徴とするCo-Ni基合金。
[2] (1)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、W、Feからなり、該合金組成が、重量比で、
Ni: 25〜40%、Co: 25〜45%、Cr: 18〜26%、Mo: 3〜11%、W: 0.5〜9%、Mo+W: 4〜13%、Fe: 1.1〜5%、
(2)合金が、Ni、Co、Cr、Moからなり、該合金組成が、重量比で、
Ni: 20〜50%、Co: 20〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、又は
(3)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、Mn、Ti、Al、Fe、Nb、希土類元素を含有し、該合金組成が、重量比で、
Ni: 20〜50%、Co: 25〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、Mn: 0.1〜5%、Ti: 0.1〜5%、Al: 0.1〜5%、Fe: 0.1〜5%、Nb: 0.1〜3%、希土類元素: 0.01〜1%
であって、該合金の強加工後に、圧延方向に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織が形成された合金で、且つ、該合金に対して、400〜850℃の温度範囲で、30分〜2.5時間の熱処理が施してあり、圧延方向のヤング率が210GPa以上、TD方向のヤング率が245GPa以上に上昇せしめてあり、引張り強さが1200MPa以上にされていることを特徴とするCo-Ni基合金。
〔3〕 強加工が、スエージ加工又は線引き加工であり、該強加工により、丸棒材又は線材の長さ方向(L方向)に<111>集合組織、TD方向に<110>集合組織を発達させてあることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の合金。
〔4〕 強加工が、圧延加工であり、該強加工により、板材、角棒材、丸棒材又は線材の圧延方向である長さ方向(RD方向)に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織を発達させてあることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の合金。
〔5〕 該合金(1)が、Nb、Mn、B、Zr、Ti及びCからなる群から選択された元素の少なくとも一種類以上の元素を含み、該合金組成において、重量比で、
0≦Nb≦2%、0≦Mn≦2%、0≦B≦0.02%、0≦Zr≦0.2%、0≦Ti≦1%、0≦C≦0.1%
であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載の合金。
〔6〕 該合金(2)の組成が、重量比で、
Ni: 31.4〜33.4%、Co: 30.9〜37.2%、Cr: 19.5〜20.5%、Mo: 9.5〜10.5%、Mn: 0.1〜0.5%、Nb: 0.8〜1.2%、Ti: 0.3〜0.7%、Fe: 1.1〜2.1%、ミッシュメタル: 0.01〜0.07%、B: 0.003〜0.01%、不可避不純物
であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載の合金。
〔7〕 該合金(3)において、希土類元素が一種又は二種以上を同時に複合添加してあることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載の合金。
〔8〕 希土類元素が、Y、La、Ce、ミッシュメタルからなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔7〕に記載のCo-Ni基合金。
〔9〕 600〜750℃の温度範囲で熱処理が施してあり、TD方向のヤング率が245GPa以上に上昇せしめてあることを特徴とする上記〔2〕に記載の合金。
〔10〕 600〜750℃の温度範囲で、30分〜2.5時間の熱処理が施してあり、TD方向のヤング率が245GPa以上に上昇せしめてあることを特徴とする上記〔2〕に記載の合金。
〔11〕 TD方向のヤング率が250GPa以上に上昇せしめてあることを特徴とする上記〔2〕に記載の合金。
〔12〕 上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一記載の合金であって、<110>集合組織を形成してあるTD方向が長手方向となっていることを特徴とする合金からなるゼンマイ。
〔13〕 上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一記載の合金であって、<110>集合組織を形成してあるTD方向が長手方向となっていることを特徴とする合金からなる板バネ。
〔14〕 上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一記載の合金、上記〔12〕に記載のゼンマイ又は上記〔13〕に記載の板バネの製造法であって、当該合金組成を持つCo-Ni基合金を、(1)強加工、あるいは、(2)強加工後に該合金に対して、400〜850℃の温度範囲で、数分〜数時間の熱処理を施し、(i)圧延方向に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織を発達せしめ、及び/又は、(ii)TD方向のヤング率を245GPa以上に上昇せしめることを特徴とする前記合金の製造法。

本発明により、引張り強さが2.5GPa以上、ヤング率が230GPa以上のCo-Ni-Cr-Mo合金の厚板材、薄板材、線材、棒材、パイプなどの加工素材を提供することが可能である。
かくして、高強度及び高弾性の合金材を利用して、発電用機械装置の部品、エレクトロニクス、医療分野の部材、精密機械用材料、血管用ステント用材、さらには、航空機用ジェットエンジン、ガスタービン部材、自動車用エンジン、化学プラントなどに利用される。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明の高弾性Co-Ni基合金、特にはCo-Ni-Cr-Mo合金は、Co-Ni-Cr-Mo合金に室温で、強い塑性加工を施すことによって高密度の転位を導入する。それと同時に、集合組織が形成される。例えば、圧延材では強加工により、圧延方向(RD方向)には、<100>集合組織が形成され、その直角方向(TD方向)には<110>集合組織が形成される。このとき、TD方向のヤング率(237GPa)はRD方向のそれ(183GPa)に比べて約30%程度高い値を示す。さらに、強加工後に400〜850℃の温度領域において、数分〜数時間の熱処理を施すことにより、ヤング率が、TD方向において240〜265GPa、RD方向において210GPa程度まで上昇する。上述の強い塑性加工(例えば、圧延などの強加工)により、引張り強さは、2500MPa程度あるいはそれ以上(例えば、3000MPa程度まで)に上昇させることができ、強加工後に熱処理を施すことにより、高強度と高ヤング率を兼ね備えた、Co-Ni-Cr-Mo合金を作製することが可能となる。本Co-Ni-Cr-Mo合金で、ヤング率が、TD方向において300GPaあるいはそれ以上を得ることも可能である。本発明のCo-Ni基合金は、強加工に対する方向〔例えば、圧延方向(RD方向)に対して60°以上とか、そのRD方向に対して直角方向(TD方向)〕を選択して、合金材料をゼンマイ、板バネなどの製品に適用することで、大きな引張り強さを持つなどの高い強度と高いヤング率とを兼ね備えた合金材料・合金製品を得ることができ、加えて、強加工後にひずみ時効熱処理などの熱処理による効果もその方向に応じてコントロールし、大きな引張り強さを持つなどの高い強度を保持しつつ高いヤング率を得るようにでき、引張り強さが、少なくとも1200MPa以上、さらには1380MPa以上、そして2200MPa程度あるいはそれ以上、最大で2500MPa程度に上昇させ、且つ、ヤング率が、少なくとも210GPa以上、さらには230GPa以上、そして245GPa程度あるいはそれ以上、最大で260GPa程度あるいはそれ以上に上昇させたものとすることができる。本発明の技術では、当該合金系で、例えば、実質的に<110>集合組織が形成されている方向を利用して、高強度と高ヤング率を持つことの要求される合金材料・合金製品(例えば、実質的に<110>集合組織が形成されているTD方向を利用して該TD方向を長手方向とするゼンマイ、板バネなど)を得ることが可能であり、本発明は、こうした合金組織の方向選択(強加工による形成組織の方向選択を含む)、強加工後に熱処理を施すことにより、高強度と高ヤング率を兼ね備えた、Co-Ni-Cr-Mo合金を作製する技術を提供しているので、当該技術を利用することは、当該方向選択をして高強度と高ヤング率の合金材料・合金製品を得ることを含め、すべて本発明の範囲内である。
本発明のCo-Ni基合金は、本発明の技術を適用して、所望の性状が得られるものであれば、特に制限されることなく、当該分野で知られたものが挙げられる。該Co-Ni基合金は、重量比(wt%)で、Ni:20〜50%、Cr:18〜26%且つMo:3〜11%、あるいはCr + Mo:20〜40%で、任意に、微量元素として、5%以下の、W、Mn、Nb、Fe及びTiからなる群から選択されたもの、さらに任意に、希土類元素及びミッシュメタルから選択されたもの、そして不可避不純物、並びに、Co:残部からなるものが挙げられる。当該組成のうちには、微量の炭素、ホウ素、Zrなどのチタン族元素などが添加されていてもよい。
該Co-Ni基合金は、少なくともNi、Co、Cr、Moを含有し、該合金組成が、重量比で、Ni: 25〜40%、Co: 25〜45%、Cr: 18〜26%、Mo: 3〜11%、W: 0.5〜9%、Mo+W: 4〜13%、Fe: 1.1〜5%であるものであってよい。例えば、特開2004-307993号公報に開示の合金が包含されてよい。該合金は、少なくともNi、Co、Cr、Moを含有し、該合金組成が、重量比で、Ni: 25〜40%、Co: 25〜45%、Cr: 18〜26%、Mo: 3〜11%、W: 0.5〜9%、Mo+W: 4〜13%、Fe: 1.1〜5%で、Nb、Mn、B、Zr、Ti及びCからなる群から選択された元素の少なくとも一種類以上の元素を含み、該合金組成において、重量比で、0≦Nb≦2%、0≦Mn≦2%、0≦B≦0.02%、0≦Zr≦0.2%、0≦Ti≦1%、0≦C≦0.1%であるものであってよい。また、該Co-Ni基合金は、少なくともNi、Co、Cr、Moを含有し、該合金組成が、重量比で、Ni: 20〜50%、Co: 20〜45%、Cr + Mo: 20〜40%であるものであってよい。例えば、特許第3190566号に開示の合金が包含されてよい。該合金は、その組成が、重量比で、Ni: 31.4〜33.4%、Co: 30.9〜37.2%、Cr: 19.5〜20.5%、Mo: 9.5〜10.5%、Mn: 0.1〜0.5%、Nb: 0.8〜1.2%、Ti: 0.3〜0.7%、Fe: 1.1〜2.1%、ミッシュメタル: 0.01〜0.07%、B: 0.003〜0.01%、不可避不純物ものであってもよい。さらに、該Co-Ni基合金は、少なくともNi、Co、Cr、Moを含有し、該合金組成が、重量比で、Ni: 20〜50%、Co: 25〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、Mn: 0.1〜5%、Ti: 0.1〜5%、Al: 0.1〜5%、Fe: 0.1〜5%、Nb: 0.1〜3%、希土類元素: 0.01〜1%であるものであってよい。例えば、特開昭57-194237号公報に開示の合金が包含されてよい。該合金において、希土類元素が一種又は二種以上を同時に複合添加してあるものであってよいし、希土類元素が、Y、La、Ce、ミッシュメタルからなる群から選択されたものであってもよい。
所定の合金組成のものは、原料混合物を真空溶解するなどして溶融した後、合金を造塊する。合金は、インゴット、ビュレット、スラブ、ブルームなどとして、それを出発材としてよいが、板材、角棒材、丸棒材、帯状材、線材などの形態のものであってよく、特に限定されない。
本合金のビュレットなどは、熱間鍛造を行い、次いで熱間スウェージ加工、冷間スウェージ加工を施すことにより、棒材や線材にすることができる。そして、適宜、熱処理されることができる。
熱間鍛造は、ハンマ、プレスなどの工具を介して材料に圧力を加え、結晶粒を微細化し、組織を均等にして強化するものであることが好ましい。本処理は、鋳塊の外側部に存在する大きな結晶粒や、内部の巣や収縮管あるいは偏析などの欠陥につき、結晶粒を機械的に細粒化したり、再結晶により均一化したり、諸欠陥を除くことができるものであることが好ましい。本熱間鍛造は、当該分野で知られた手法、装置を使用して行うことができ、自由鍛造、型鍛造を包含するものであることができるが、伸展鍛錬を加えることもできる。本熱間乱造では、所定の効果が得られるように、適宜、鍛造比や鍛造温度を選択することができる。本処理では、適宜、適切な潤滑剤を選定して使用できるし、加熱温度及び鍛造終了温度も、適切に選択できる。加熱温度は高過ぎると結晶粒が粗大化するので好ましくなく、また、鍛造終了温度が低いと内部ひずみが残ることになるので好ましくないが、例えば、再結晶温度よりやや高めの温度で終了すれば内部ひずみが残らないので好ましい。
本合金のビュレット、板材(薄板材、厚板材、平板材、広幅帯板材を包含する)、棒材(丸棒材、角棒材を包含する)などは、強い塑性加工(強加工)に付される。当該強加工は、好適には、所謂、冷間加工であり、室温で強加工することを包含している。塑性加工とは、金属材料に大きな力を加えて変形させることにより加工することを指しており、鍛造加工、圧延加工(板圧延及び型圧延を含む)、押出し加工、引抜き加工、プレス加工、転造加工などなどが包含される。典型的な場合、本合金では、ビュレット、板材、棒材などは、冷間圧延される。また、該冷間圧延の結果得られたものは、熱処理、好ましくは、ひずみ時効熱処理に付されることができる。
冷間圧延は、回転するロールに間に材料を通して成形する加工であり、適宜、平らなロールあるいは所望の孔型を持ったロールを使用してもよい。圧延は、一回のパスあるいは数回ないし十数回のパスを行うものでもよく、材料の速度も適宜、適したものを選択できる。本発明では、圧延方向(RD)に対して90°の方向であるTD方向に優れたヤング率を持つ集合組織が配向することから、TD方向に幅広くされた板材(例えば、薄板材)を得るようにすることも好ましい。例えば、クロス圧延などを適用することも好ましい。冷間圧延は、当該分野で知られた圧延機を使用して行うことができ、圧延荷重、圧延のパスの数、圧延速度、圧延率などの条件を、実験を行うなどして、最適な条件を選択して行うことができる。例えば、Reduction 70%以上、ある場合にはReduction 80%以上、好ましくはReduction 85%以上、さらに好ましくはReduction 90%以上などの加工が挙げられる。
材料中の結晶粒径は、圧延前で50μmであるものが、本冷間圧延後では、一般的には、より細かになっており、例えば、10μm以下となっている場合などが挙げられる。材料中の結晶粒径は、10μm以上であっても、所定のヤング率が得られれば問題は無い。
当該熱処理は、再結晶化温度以下が好ましく、ひずみ時効熱処理であることが好ましい。該ひずみ時効熱処理の温度としては、400〜850℃の温度範囲で、ある場合には600〜850℃の温度範囲で、好ましくは600〜750℃の温度範囲が挙げられる。処理時間は、数分〜数時間であり、より低い温度で処理する場合にはより長時間としたり、より高温で処理する場合には比較的短時間とすることもできる。熱処理時間は、例えば、30分〜2.5時間としてもよい。
本発明の技術で得られる高弾性合金は、引張り強さが少なくとも1.2GPa以上、さらには1.38GPa以上、そして2.2GPa程度あるいはそれ以上のCo-Ni-Cr-Mo合金、ヤング率が、少なくとも210GPa以上、さらには230GPa以上、そして245GPa程度あるいはそれ以上のCo-Ni-Cr-Mo合金、さらには引張り強さが2.5GPa以上、ヤング率が230GPa以上のCo-Ni-Cr-Mo合金、ある場合には引張り強さが2.5GPa以上、ヤング率が240GPa以上(あるいは245GPa以上)のCo-Ni-Cr-Mo合金、より好ましくは引張り強さが2.5GPa以上、ヤング率が250GPa以上のCo-Ni-Cr-Mo合金が挙げられる。本発明の合金材は、弾性が非常に高いものであり、さらに、強度、耐久性、耐蝕性、耐熱性の高いという特性を持っている。
本発明は、上記合金組成を持つCo-Ni基合金を、(1)強加工、あるいは、(2)強加工後に該合金に対して、400〜850℃の温度範囲で、数分〜数時間の熱処理を施し、(i)圧延方向に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織を発達せしめ、及び/又は、(ii)TD方向のヤング率を245GPa以上に上昇せしめることを特徴とする合金の製造法を提供している。
さらに、本発明では、強加工で形成させる集合組織の特性を利用し、<110>集合組織の発達した方向を選択する技術及び<110>集合組織の発達した方向を利用し、熱処理、例えばひずみ時効熱処理を施して優れた特性を引き出す技術を提供する。代表的な態様では、例えば、冷間圧延での圧延方向(RD方向)に対して60°以上の方向を選択して、その方向を長手方向とした部材・製品を提供する技術も提供される。特に好ましい態様では、本発明は、冷間圧延での圧延方向(RD方向)に対して90°の方向(TD方向)を、長手方向として選択してある部材・製品、例えば、ゼンマイ、板バネを提供する。さらに、本発明は、強加工後の集合組織の分析で、<110>集合組織が発達した方向、例えば、TD方向を利用し、該TD方向を部材・製品についてより高い強度及びより高いヤング率の要求される方向として採用することにも関する。かくして、本発明の合金であって、<110>集合組織が発達せしめてあるTD方向が長手方向となっていることを特徴とするゼンマイや、本発明の合金であって、<110>集合組織が発達せしめてあるTD方向が長手方向となっていることを特徴とする板バネが提供される。該集合組織の分析は、当該分野で知られた方法・装置でなされたものであってよく、例えば、パナリティカル社製集合組織解析装置(解析ソフト、Philips社製、X'pert textureを使用)を使用して、<110>集合組織が発達していることなどが判定される。
当該合金材は、発電用機械装置の部品、エレクトロニクス、医療機器などを含む医療分野、精密機器、電子機器、精密機械用材料、血管用ステント用材、内視鏡用ワイヤなど医療機器用材料などに応用されて有用であり、具体的には、半導体製造用ウルトラクリーンバルブの部品、例えば、メタルダイヤフラムなど、圧力センサー、歯列矯正用ワイヤなどの歯科用精密部品、小型精密バネなどの各種精密バネ、例えば、時計用バネ、コイルバネ、板バネ、コンタクトプローブ用バネ、時計用ゼンマイ、例えば、機械式腕時計用ゼンマイ、ロボット機器駆動用ケーブルガイドなどに有用である。本発明の高弾性合金は、さらには、航空機用ジェットエンジン、ガスタービン部材、自動車用エンジン、化学プラントをはじめ、高負荷又は耐摩耗性を要する機械部品、耐熱性又は耐蝕性を要する機械部品などに使用されよう。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
Co-Ni基合金の高弾性率化を図る目的で、合金組成及び時効熱処理条件について調べた。
Co-Ni基合金の組成(重量比)としては、Ni:20〜50%、Cr:18〜26%且つMo:3〜11%、あるいはCr + Mo:20〜40%で、任意に、微量元素として、5%以下の、W、Mn、Nb、Fe及びTiからなる群から選択されたもの、さらに任意に、希土類元素及びミッシュメタルから選択されたもの、そして不可避不純物、並びに、Co:残部からなるものとした。
代表的なCo-Ni基合金であるSPRON510(登録商標:セイコーインスツル株式会社)の化学組成(wt%)は表1に示すようなものである。
該SPRON合金は、これまでの研究で、過飽和固溶体であることが報告されており、Thermo-calc.によるCo-Ni基合金の計算状態図は、図1に示すようなものである。そして析出相と強度との関連についての調査報告がなされている。
本実施例では、Co-Ni基合金として、W、Mo、Cr、Niの添加量を変えた、表2で示す化学組成(wt%)のものを作製使用した。
該合金組成については、d電子合金設計法(図2)で組成検討を行い、結合次数(B0)を求めてみる。結合次数(B0)とは、原子間の電子雲の重なりを示す値であって、この値が高いほど結合力が大きくなる。d電子軌道エネルギーレベル(Md)は、金属Mのd軌道のエネルギーレベルを示しており、Mdが高いと電気陰性度は小さい。ai: 合金化元素iの原子率を示し、Mdiが合金化元素iのMdを示し、B0iが合金化元素iのB0を示すと、次の式:
で所定の合金の結合次数B0及びd電子軌道エネルギーレベルMdが計算できる。得られた合金組成(試料#1〜18)と結合次数B0との関係を図3に示す。原子間力が強い合金では、ヤング率(Young's modulus)が高い材料が得られると期待できるので、本合金系でもヤング率の向上が図れるのではないかと期待でき、以下さらに検討を行った。
各組成の元素から成る混合物を真空溶解して合金を造塊する。合金7 kgのインゴットを1180℃×10時間(hr)の均質化処理を行った後、熱間鍛造を行い、次に熱間スウェージ加工を施した。本熱間鍛造は加熱温度1180℃、打ち止め900℃以上の条件で行った。そして該熱間スウェージ加工では、加工パスを経てφ(mm)= 78 → 26 で行った。ついで得られた丸棒材は、冷間スウェージ加工を施し、途中に中間焼鈍を入れて、加工パスを経てφ(mm)= 26 → 7 で行った。最終的には、φ(mm)= 10 → 7の冷間スウェージ加工により、減面率=51%の線材を得た。これを長手方向45mmに切断して、「予ひずみまま材」とした。
この予ひずみまま材を試料として、熱処理、すなわち、(1)ひずみ時効熱処理、又は(2)焼鈍を行った。ひずみ時効熱処理は、それぞれ400、500、600、700、800℃(30、60、120min)にAr雰囲気中で加熱し、その後炉冷した。これを、「ひずみ時効材」とした。焼鈍は、1050℃(240min)にAr雰囲気中で加熱し、その後炉冷した。これを、「焼鈍材」とした。
金属材試料のヤング率の計測は、図4に概念図を示してあるようにして、共振周波数を計測して行った。内部摩擦の計測は、ヤング率の計測に使用した測定装置を使用して行った。すなわち、結晶中の欠陥により、振動の減衰が生じる。結晶の欠陥が無い状態と比較すると振動の減衰が速いことから、内部摩擦(Q-1)が高いこととなる。つまり、高い内部摩擦を持つものは、高い結晶欠陥密度を持つものであることがわかる。図5参照。X線回折装置(XRD)(パナリティカル社製集合組織解析装置(解析ソフト、Philips社製、X'pert textureを使用))及び光学顕微鏡観察用試料は、図6に示すようにして行った。すなわち、φ7の丸棒を長手方向に対して垂直に切断し、切断面に対して垂直方向をNDとした。光学顕微鏡観察は切断面に対して行い、また、XRD、集合組織の測定も切断面について行った。
実験により、以下のような結果が得られた。図7には、結合次数(Bo)と本試験試料合金のヤング率との関係を示す。図7に示された結果からは、d電子合金設計法とヤング率の相関についての報告とは異なることが見出された。また、予ひずみまま材の試料は、熱処理でヤング率が向上することが認められた。図8には、ひずみ時効熱処理後のヤング率(図8上側)及び内部摩擦(図8下側)がどのような値となるかを測定した結果を、試料#1の合金ついて示す。試料#1の合金の場合、400℃×120minのひずみ時効熱処理で、ヤング率245GPaが得られ、800℃×60minのひずみ時効熱処理で、ヤング率248GPaが得られた。これから、適した時効処理条件を選択することにより、ヤング率向上が大きく図れることが期待できる。また、内部摩擦の計測より、熱処理を施すことで、内耗の値が著しく低下することがわかった。つまり、結晶欠陥密度が熱処理で低下する。図9には、光学顕微鏡による合金試料の切断面の観察の結果の一例(試料#1の合金)を示す。図10には、XRD測定の結果の一例(試料#1の合金)を示す。熱間スウェージ加工により、(111)がND向きに強くは配向していることがわかり、熱処理により<111>繊維集合組織(texture)が僅かに分散していることが認められた。
結晶構造から予想されるヤング率の方位依存性は、図11に示したfccを参照して考察できる。ヤング率は、原子間力と関係があり、また、原子間力の大きさと原子間距離には関係があり、fccでは原子間距離が<111>は最大であり、よって、原子間力は小さいこととなり、<110>は原子間距離が最小であり、よって、原子間力は大きいこととなる。かくして、<111>の配向が減少し、<110>の配向が相対的に増えるためにヤング率が向上すると考えられる。
以上より、本合金系では、合金組成とヤング率の関係をみると、合金組成を選択することによりヤング率の向上が可能であり、さらに、加工及び再結晶集合組織によるヤング率への影響を考慮することも必要であることが認められた。強加工によるヤング率の低下は、多くの転位が導入され、生成された原子空孔が多くなるため、原子間力が低下すると考えられる。本合金系では、時効熱処理によりヤング率の向上が図れる。すなわち、<111>の配向が減少し、<110>の配向が相対的に増え、ヤング率が向上する。また、強加工後の熱処理でXRDで検知されないほどの析出物等の発生で、ヤング率向上に効果をもたらすと考えられる。かくして、本合金系では、合金元素の添加を適宜選択して集合組織を制御したり、及び/又は、ひずみ時効熱処理により、ヤング率の大幅な向上が期待できる。
本Co-Ni基合金につき、集合組織と時効熱処理によるヤング率への影響を検討した。
実施例1で説明した合金組成のものにつき、検討を加えた。合金試料の作成は、次のような工程で行った。実施例1の表2で示す化学組成の合金、例えば、SPRON510(登録商標:セイコーインスツル株式会社)の鋳造材−熱間鍛造材(板材)を出発材として使用し、1050℃×24時間(hr)の均質化処理を行った後、一方向に冷間圧延した。本冷間圧延では、厚さ10mmから厚さ1.0mm(Red: 90%)に加工した。得られた薄板より試料を切り出し、「冷間圧延まま材」とした。試料の切り出しは、圧延方向(RD)、30°、60°、90°(TD)で、43.0mm×7.0mm×1.0mmのサイズで行った。図12には、出発板材(図12上側)及び冷間圧延された薄板材(図12下側)、そして切り出し方向が示されている。
この冷間圧延まま材を試料として、熱処理、すなわち、(1)ひずみ時効熱処理、又は(2)焼鈍を行った。ひずみ時効熱処理は、それぞれ650、700、750、800、850℃(各温度1時間保持)にAr雰囲気中で加熱し、その後炉冷した。これを、「冷間圧延ひずみ時効材」とした。焼鈍は、1050℃(1時間保持)にAr雰囲気中で加熱し、その後炉冷した。これを、「冷間圧延焼鈍材」とした。
金属材試料は、ヤング率計測、光学顕微鏡による組織観察、XRD測定、集合組織の分析、電子後方散乱パターン法 (Electron Back-Scattering Pattern: EBSP)による結晶方位調査を行った。ヤング率計測は、自由共振式ヤング率及び内部摩擦測定装置(JE-RT)で行った。
図13に時効条件ごとのヤング率計測結果を示す。図13では、それぞれの熱処理条件で、左からRD、30°、60°、90°(TD)の角度の順に示してある。図14にRDに対する角度ごとのヤング率計測結果を示す。図14では、それぞれRD、30°、60°、90°(TD)の角度条件で、左からa:熱間圧延まま材、それぞれの熱処理条件(b:650、c:700、d:750、e:800、f:850℃)の順に示してある。図15には、冷間圧延まま材(TD方向)、冷間圧延まま材をひずみ時効熱処理したもの〔700℃×1時間材(TD方向)及び700℃×1時間材(TD方向)〕、そして冷間圧延焼鈍材(再結晶材)について、引張り試験の結果を示す。
XRD計測の結果は、図16に示す。図17には、冷間圧延前の集合組織の分析の結果を示してある。均質化処理後の試料は、集合組織が形成されていない。図18は、冷間圧延まま材(reduction: 90%)の集合組織の結晶方位を分析した結果を示す。図18の右下側の図は、金属材試料の切り出し方位を模式的に示すものである。
図19は、本合金系での冷間圧延後のヤング率と方位依存性との関係を考察したものである。冷間圧延焼鈍材についてEBSPによる結晶方位分析の結果を、図20に示す。試料表面の再結晶集合組織は{110}であり、RD方向は<111>と<100>であった。図21には、光学顕微鏡による組織観察の結果を示す。
図13より明らかな如く、冷間圧延のままで、TD方向材が最大のヤング率を示している。また、図14より、TD方向材であって、ひずみ時効熱処理を行うことで、高いヤング率の値を持ち、且つ、高強度を有するものが得られることが判明した。なお、RD方向に対して60°以上であれば、高いヤング率を有し優れている。さらに、TD方向であれば、より高いヤング率を得られ好ましい。
本Co-Ni基合金では、強加工により、加工後のヤング率は減少するが、時効熱処理によりヤング率を上昇させることが可能であり、また、適正な熱処理条件を選択することにより、焼鈍材よりもヤング率を向上させることができる。また、RDよりも、TDでヤング率が高いし、圧延方位に対する角度により、ひずみ時効熱処理後のヤング率上昇の傾向が異なることから、高強度と高ヤング率を兼ね備えた合金材を製造できる。
本発明の技術は、Co-Ni基合金で、高強度化と高弾性率化を達成せしめるものであり、得られた合金は、高負荷又は耐摩耗性を要する機械部品、運送機器、発電用機械装置の部品、医療機器などを含む医療分野、精密機器、電子機器、精密機械などのための材料として有用である。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Thermo-Calc (Thermo-Calc Software社)により求めたCo-Ni基合金の計算状態図を示す。 d電子合金設計法につき説明する図である。 本Co-Ni基合金の合金組成と結合次数Boとの関係を示す。 金属材料のヤング率計測に使用する装置の概略並びにヤング率計測の手法(自由共振法)の概略を示す。 金属材料の内部摩擦計測の手法の概略を示す。 金属材料のXRD及び光学顕微鏡観察用試料作製を説明するもので、丸棒材よりの切り出しの様子を示す。 本Co-Ni基合金の結合次数Boとヤング率との関係を示す。 本Co-Ni基合金の試料#1をひずみ時効熱処理により、ヤング率(上図)及び内部摩擦(下図)がどのように変化するかをプロットしたものである。 本Co-Ni基合金の試料#1の光学顕微鏡観察の結果を示す。 本Co-Ni基合金の試料#1のものを、XRDで繊維集合組織につき分析した結果を示す。 本Co-Ni基合金の結晶構造を示す。 本Co-Ni基合金につき、集合組織と時効熱処理による高ヤング率化の検討に使用した試料作製の様子を説明するものである。上図は厚さ10mmの板材を示し、下図は冷間圧延後の薄板と試料の切出しの方向を説明する。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延まま材及びそれに熱処理を加えたもののヤング率の結果を示す。時効条件ごとに示してある。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延まま材及びそれに熱処理を加えたもののヤング率の結果を示す。RDに対する角度ごとに示してある。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延まま材及びそれに熱処理を加えたものの引張り試験の結果を示す。引張強さ(又は耐力:σ)と伸び〔ε(%)〕で示してある。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延まま材及びそれに熱処理を加えたもののXRD計測の結果を示す。 本Co-Ni基合金(板材)につき、冷間圧延前の集合組織の分析の結果を示す。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延まま材の集合組織の分析の結果を示す。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延後のヤング率と方位依存性の検討を示す。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延焼鈍材の集合組織の分析の結果を示す。 本Co-Ni基合金につき、冷間圧延まま材、冷間圧延ひずみ時効材及び冷間圧延焼鈍材の光学顕微鏡観察の結果を示す。

Claims (10)

  1. (1)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、W、Feからなり、該合金組成が、重量比で、
    Ni: 25〜40%、Co: 25〜45%、Cr: 18〜26%、Mo: 3〜11%、W: 0.5〜9%、Mo+W: 4〜13%、Fe: 1.1〜5%、
    (2)合金が、Ni、Co、Cr、Moからなり、該合金組成が、重量比で、
    Ni: 20〜50%、Co: 20〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、又は
    (3)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、Mn、Ti、Al、Fe、Nb、希土類元素からなり、該合金組成が、重量比で、
    Ni: 20〜50%、Co: 25〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、Mn: 0.1〜5%、Ti: 0.1〜5%、Al: 0.1〜5%、Fe: 0.1〜5%、Nb: 0.1〜3%、希土類元素: 0.01〜1%
    であって、該合金の強加工で、圧延方向に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織が形成された合金であって、強加工後の400〜850℃の熱処理により圧延方向のヤング率が210GPa以上、TD方向のヤング率が245GPa以上に上昇せしめてあり、引張り強さが1200MPa以上にされていることを特徴とするCo-Ni基合金。
  2. (1)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、W、Feからなり、該合金組成が、重量比で、
    Ni: 25〜40%、Co: 25〜45%、Cr: 18〜26%、Mo: 3〜11%、W: 0.5〜9%、Mo+W: 4〜13%、Fe: 1.1〜5%、
    (2)合金が、Ni、Co、Cr、Moからなり、該合金組成が、重量比で、
    Ni: 20〜50%、Co: 20〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、又は
    (3)合金が、Ni、Co、Cr、Mo、Mn、Ti、Al、Fe、Nb、希土類元素を含有し、該合金組成が、重量比で、
    Ni: 20〜50%、Co: 25〜45%、Cr + Mo: 20〜40%、Mn: 0.1〜5%、Ti: 0.1〜5%、Al: 0.1〜5%、Fe: 0.1〜5%、Nb: 0.1〜3%、希土類元素: 0.01〜1%
    であって、該合金の強加工後に、圧延方向に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織が形成された合金で、且つ、該合金に対して、400〜850℃の温度範囲で、30分〜2.5時間の熱処理が施してあり、圧延方向のヤング率が210GPa以上、TD方向のヤング率が245GPa以上に上昇せしめてあり、引張り強さが1200MPa以上にされていることを特徴とするCo-Ni基合金。
  3. 強加工が、スエージ加工又は線引き加工であり、該強加工により、丸棒材又は線材の長さ方向(L方向)に<111>集合組織、TD方向に<110>集合組織を発達させてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の合金。
  4. 強加工が、圧延加工であり、該強加工により、板材、角棒材、丸棒材又は線材の圧延方向である長さ方向(RD方向)に<100>集合組織、TD方向に<110>集合組織を発達させてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の合金。
  5. 該合金(1)が、Nb、Mn、B、Zr、Ti及びCからなる群から選択された元素の少なくとも一種類以上の元素を含み、該合金組成において、重量比で、
    0≦Nb≦2%、0≦Mn≦2%、0≦B≦0.02%、0≦Zr≦0.2%、0≦Ti≦1%、0≦C≦0.1%
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の合金。
  6. 該合金(2)の組成が、重量比で、
    Ni: 31.4〜33.4%、Co: 30.9〜37.2%、Cr: 19.5〜20.5%、Mo: 9.5〜10.5%、Mn: 0.1〜0.5%、Nb: 0.8〜1.2%、Ti: 0.3〜0.7%、Fe: 1.1〜2.1%、ミッシュメタル: 0.01〜0.07%、B: 0.003〜0.01%、不可避不純物
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の合金。
  7. 該合金(3)において、希土類元素が一種又は二種以上を同時に複合添加してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の合金。
  8. 希土類元素が、Y、La、Ce、ミッシュメタルからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項7に記載のCo-Ni基合金。
  9. 請求項1〜7のいずれか一記載の合金であって、<110>集合組織を形成してあるTD方向が長手方向となっていることを特徴とする合金からなるゼンマイ。
  10. 請求項1〜7のいずれか一記載の合金であって、<110>集合組織を形成してあるTD方向が長手方向となっていることを特徴とする合金からなる板バネ。
JP2007241184A 2007-09-18 2007-09-18 高弾性合金 Active JP5103107B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007241184A JP5103107B2 (ja) 2007-09-18 2007-09-18 高弾性合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007241184A JP5103107B2 (ja) 2007-09-18 2007-09-18 高弾性合金

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009074104A JP2009074104A (ja) 2009-04-09
JP5103107B2 true JP5103107B2 (ja) 2012-12-19

Family

ID=40609372

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007241184A Active JP5103107B2 (ja) 2007-09-18 2007-09-18 高弾性合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5103107B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5456427B2 (ja) * 2009-10-02 2014-03-26 セイコーインスツル株式会社 ばね部材及びその製造方法
CN102666367B (zh) * 2009-12-16 2015-03-25 佳能电子株式会社 振动元件、光扫描装置、致动装置、视频投影装置及图像形成装置
JP2011208210A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Seiko Instruments Inc ステント用合金及びステント
JP5736140B2 (ja) * 2010-09-16 2015-06-17 セイコーインスツル株式会社 Co−Ni基合金およびその製造方法
JP5700476B2 (ja) * 2014-01-08 2015-04-15 セイコーインスツル株式会社 ばね部材及びその製造方法
CN105671282A (zh) * 2014-11-20 2016-06-15 中国航空工业第六八研究所 一种高弹性合金微槽制件的稳定化处理方法
JP6817228B2 (ja) * 2016-01-27 2021-01-20 グローブライド株式会社 高硬度の表面層を有する釣糸ガイド及び当該釣糸ガイドを備える釣竿
JP6999934B2 (ja) * 2018-02-27 2022-02-04 国立研究開発法人物質・材料研究機構 ステント用合金及びステント
JP7218270B2 (ja) * 2019-10-18 2023-02-06 株式会社神戸製鋼所 銅合金圧延板及びその良否判定方法
US20230313354A1 (en) * 2020-07-17 2023-10-05 National Institute For Materials Science Cobalt-chromium alloy member, method of producing the same, and medical or aerospace device
CN113431856B (zh) * 2021-06-23 2022-08-16 珠海华粤传动科技有限公司 一种膜片弹簧的防衰减工艺
JP7398415B2 (ja) * 2021-10-22 2023-12-14 トクセン工業株式会社 Co-Ni-Cr-Mo系合金からなるばね用線

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51110422A (en) * 1975-03-25 1976-09-30 Otsuka Shosuke Kodanseikobaruto kuroomuchuzoyogokin
JPS61552A (ja) * 1984-06-11 1986-01-06 Seiko Electronic Components Ltd 高硬度を有する高弾性合金
JPH06240384A (ja) * 1993-02-19 1994-08-30 Toshiba Corp 装飾体
JPH10140279A (ja) * 1996-09-13 1998-05-26 Seiko Instr Inc Co−Ni基合金
BR0006970A (pt) * 1999-01-28 2001-06-12 Sumitomo Electric Industries Arame de liga resistente ao calor
JP4421877B2 (ja) * 2003-03-26 2010-02-24 セイコーインスツル株式会社 Co−Ni基高弾性合金及びCo−Ni基高弾性合金を用いた動力ぜんまいとその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009074104A (ja) 2009-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5103107B2 (ja) 高弾性合金
KR101615844B1 (ko) 내열변형성이 우수한 고강도 스테인리스 강선, 고강도 스프링 및 그 제조 방법
EP2481823B1 (en) Nanocrystal titanium alloy and production method for same
US10400311B2 (en) Wrought material comprising Cu—Al—Mn-based alloy excellent in stress corrosion resistance and use thereof
EP0440948B1 (en) Chromium-nickel steel for surgical needles
EP3118338B1 (en) Rod made of cu-al-mn-based alloy and method for producing same
EP2226406B1 (en) Stainless austenitic low Ni alloy
JP5419098B2 (ja) ナノ結晶含有チタン合金およびその製造方法
US12000021B2 (en) α+β type titanium alloy wire and manufacturing method of α+β type titanium alloy wire
KR101418775B1 (ko) 저탄성 고강도 베타형 타이타늄 합금
EP2679694A1 (en) Ti-mo alloy and method for producing same
CN110546292B (zh) 高强度低热膨胀合金线
US6527883B1 (en) Steel wire and method of manufacturing the same
JP2005298952A (ja) 制振材料およびその製造方法
EP0604062A2 (en) Martensitic stainless steel alloy for use with surgical needles
Mataya et al. The Bauschinger effect in a nitrogen-strengthened austenitic stainless steel
JP2002194506A (ja) ステンレス鋼板およびその製造方法
JP6673121B2 (ja) α+β型チタン合金棒およびその製造方法
JP6812460B2 (ja) 高強度低熱膨張合金
Jiménez et al. High temperature mechanical behaviour of δ–γ stainless steel
JP5835079B2 (ja) フェライト系耐熱鋼の製造方法
JP5430993B2 (ja) ジルコニウム材料
Akinay et al. Effect of Ni on the mechanical behavior of a high-Mn austenitic TWIP steel
Hoseini et al. RESEARCH PAPER EFFECT OF DIFFERENT STRAIN ROUTES ON MECHANICAL PROPERTIES AND MICROSTRUCTURE OF COPPER
Rohit et al. Influence of Reverted Austenite on Tensile Deformation and Fracture in 18Ni 250 Maraging Steel

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100709

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120612

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120918

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121001

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151005

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5103107

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250