JPH10140279A - Co−Ni基合金 - Google Patents

Co−Ni基合金

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JPH10140279A
JPH10140279A JP25006997A JP25006997A JPH10140279A JP H10140279 A JPH10140279 A JP H10140279A JP 25006997 A JP25006997 A JP 25006997A JP 25006997 A JP25006997 A JP 25006997A JP H10140279 A JPH10140279 A JP H10140279A
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alloy
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cold
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JP25006997A
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Osamu Takahashi
修 高橋
Yutaka Koyama
豊 児山
Masaki Takahashi
正氣 高橋
Masahiko Chiba
晶彦 千葉
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Seiko Instruments Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型精密機器用ばね、医療機器部品、半導体
製造用特殊ガス供給用バルブのダイヤフラム等に用いら
れる高弾性合金は、機器の小型化や使用条件の苛酷化に
伴い益々高い機械的強度や疲労強度、耐食性を要求され
るようになってきた。 【解決手段】 主たる相が面心立方相から成り、主成分
のCo、Ni、Crよりも原子半径が大きいかあるいは
近似している元素の溶質原子が転位芯ないしは拡張転位
の積層欠陥に偏析し、厚さ1μmから0.1μmの微細
な変形双晶が母相内に形成されているCo−Ni基合
金。少なくとも最終的に室温で冷間加工を施し、その
後、200℃以上再結晶温度以下の温度で時効処理す
る。合金の組成は次の通りである。重量比で少なくと
も、Co28〜40%、Cr18〜25%、Mo7〜1
2%、Mn、Tiの1種以上0.1〜1.0%、Fe
1.1〜3.0%、Nb0.5〜2.0%、C≦0.0
5%、Ni26〜45%、及び不可避不純物より成るC
o−Ni基合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型精密機器のば
ね、医療機器部品、半導体製造用特殊ガス供給用バルブ
のダイヤフラム、耐熱部品等に用いられる高弾性合金で
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、高耐食性を有する高弾性合金とし
て、Co基合金、Ni基合金、析出硬化型ステンレス鋼
等があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の高弾性合金の中
でもCo基合金は機械的強度が高く、疲労強度も高く、
耐食性に優れ、最高の性能を有することで知られている
が、機器の小型化、使用条件の苛酷化等に伴い、Co基
合金よりも更に高い性能を有する高弾性合金が要求され
るようになってきた。
【0004】
【課題を解決するための手段】Co基合金やNi基合金
あるいはステンレス鋼において、材料の強度を上げる方
法としては、 (1)冷間塑性加工により加工誘起マルテンサイト相を
形成させる。(例えば、アメリカ特許4,795,50
4の合金) (2)(Co、Ni)3 (Al、Ti、Nb)等のγ′
相を析出させる。
【0005】(例えば、日本特許第1374564号の
合金) (3)炭化物を析出させる。 (4)その他の金属間化合物を析出させる。 等が一般的である。本発明はこのような方法とは異な
り、Co、Ni、Crを主成分とするCo−Ni基合金
を冷間塑性加工することにより、Mo、Nb、Fe等の
溶質原子を転位芯ないしは拡張転位の積層欠陥に偏析さ
せて交差すべりを起き難くすること、及び微細な変形双
晶を形成させてすべり転位を阻止することの二つの方法
により加工硬化させ、その後、時効処理により静的ひず
み時効硬化させて強化するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明Co−Ni基合金は、C
o、Ni、Crをマトリクスに、Mo、Nb、Fe等を
添加して強化するものである。主たる相は面心立方格子
相から成り、微量の第二相が存在する場合もある。しか
し、本発明Co−Ni基合金は、加工誘起マルテンサイ
ト相(ε相)やη相のような最密六方格子相は、透過電
子顕微鏡(日立製作所製H−800)による1千〜5万
倍での組織観察や、X線回折装置(理学電機製ロータフ
レックス・ディフラクトメーター)によるX線回折でも
存在は認められない。
【0007】本発明Co−Ni基合金は、積層欠陥エネ
ルギーが低く、周囲温度が室温であるような冷間塑性加
工を施すことにより、原子半径の大きさが1.25Åで
あるCo、Ni、Crに比べ、原子半径が大きいかある
いは近似しているMo、Nb、Fe等の溶質原子が、転
位芯ないしは拡張転位の積層欠陥に強く引き付けられて
偏析して交差すべりが起き難くなるため、高い加工硬化
能が発現する。即ち、原子半径の大きさが1.2Å以上
の元素であればこの効果は顕著になる。
【0008】また、加工による塑性変形に伴って、母相
に厚さ1μmから0.1μmの微細なΣ3双晶(その他
にΣ9双晶が形成されている場合がある)の変形双晶が
高密度に形成され、すべり転位を阻止する働きをするこ
とによっても高い加工硬化能が得られる。さらに本発明
Co−Ni基合金は、冷間塑性加工により高強度特性を
付与した後、200℃以上再結晶温度以下の温度で時効
処理することにより、転位芯ないしは拡張転位の積層欠
陥にMo、Nb、Fe等の溶質原子が引き付けられ転位
を固着する、いわゆる静的ひずみ時効により、一層高い
強度特性が得られる。
【0009】なお、本発明Co−Ni基合金の高い加工
硬化能は室温のみならず高温下においても発現するた
め、高温強度特性も高いという特徴を有している。本発
明Co−Ni基合金は、室温から高温までの温度領域に
おける引張試験の真応力−真ひずみ曲線上に、室温から
約700℃までの温度領域で降伏後に直線的な加工硬化
挙動が現れる。そして、室温から温度上昇とともに降伏
強度、引張強さは低下して約500℃で極小となる。そ
の極小となる温度で応力振動(セレーション)が現れ、
その温度以上では温度の上昇とともに降伏強度、引張強
さ、応力振動の振幅は増大し、約700℃で極大とな
る。この応力振動の発現と降伏強度、引張強さの増大は
動的ひずみ時効によるものであり、温度が上昇するにつ
れてMo、Nb、Fe等の溶質原子と転位の相互作用が
強くなる結果、変形中に溶質原子が転位芯や拡張転位の
積層欠陥に偏析するため拡張転位の収縮が起き難くな
り、転位の交差すべりあるいは上昇運動が起き難くなる
ことによる。
【0010】組成は重量比で少なくとも、Co28〜4
0%、Cr18〜25%、Mo7〜12%、Mn、Ti
の1種以上0.1〜1.0%、Fe1.1〜3.0%、
Nb0.5〜2.0%、C≦0.05%、Ni26〜4
5%、及び不可避不純物より成る。この組成に、ミッシ
ュメタル、Y、Ce、B、Mgの1種以上を0.000
5〜0.0500%加えてもよい。
【0011】次に組成範囲を前記のように限定した理由
を説明する。Coはそれ自体加工硬化能が大きく、切り
欠け脆さを減じ、疲労強度を高め、高温強度を高める効
果があるが、28%未満ではその効果が弱く、40%を
越えるとマトリクスが硬くなり過ぎて加工困難となり、
また、面心立方格子相が最密六方格子相に対して不安定
になるため、28〜40%とした。
【0012】Niは面心立方格子相を安定化し、加工性
を維持し、耐食性を高める効果があるが、本発明合金の
Co、Cr、Mo、Nb、Feの組成範囲において、N
iが26%未満では安定した面心立方格子相を得ること
が困難であり、45%を越えると機械的強度が低下する
ことから、26〜45%とした。Crは耐食性を確保す
るのに不可欠な成分であり、またマトリクスを強化する
効果があるが、18%未満では優れた耐食性を得る効果
が弱く、25%を越えると加工性及び靱性が急激に低下
することから、18〜25%とした。
【0013】Moはマトリクスに固溶してこれを強化す
る効果、加工硬化能を増大させる効果、及びCrとの共
存において耐食性を高める効果があるが、7%未満では
所望する効果が得られず、12%を越えると加工性が急
激に低下すること、及び脆いσ相が生成しやすくなるこ
とから、7〜12%とした。Nbはマトリクスに固溶し
てこれを強化する効果、及び加工硬化能を増大させる効
果があるが、0.5%未満ではこの効果が弱く、2.0
%を越えると硬くなり過ぎ加工性が低下することから、
0.5〜2.0%とした。
【0014】Feはマトリクスに固溶してこれを強化す
る効果があるが、多過ぎると耐酸化性が低下する。1.
1〜3.0%で好ましい結果が得られた。なお、Moと
NbとFeとを複合して用いれば、MoとNb、Moと
Feの複合で用いるよりもマトリクスの固溶強化と加工
硬化を著しく増大させ、室温及び高温において得られる
引張最大強度を著しく高め、また、高温における引張強
度の極大が現れる温度を高温側に移行させる効果も大き
くなることがわかった。
【0015】Mnは脱酸、脱硫の効果、及び面心立方格
子相を安定化する効果があるが、多過ぎると耐食性、耐
酸化性を劣化させる。0.1〜1.0%で好ましい結果
が得られた。Tiは強い脱酸、脱窒、脱硫の効果、及び
鋳塊組織の微細化の効果があるが、0.1%未満ではそ
の効果が弱く、例えば0.7%では問題がないが、多過
ぎると合金中に介在物が増えたり、η相(Ni3 Ti)
が析出して靱性が低下することから、0.1〜1.0%
とした。
【0016】ミッシュメタル、Y、Ceはいずれも合金
の清浄度を向上し、熱間加工性を著しく改善する。二次
的効果として靱性の向上、粒界腐食の改善の効果もあ
る。本発明Co−Ni基合金は、これらの元素を加えな
くても靱性及び耐食性に優れているが、これらの元素を
加えることによりさらに向上する。0.0005〜0.
0500%で好ましい結果が得られた。
【0017】B、Mgは共に熱間加工性を改善する効果
があるが、多過ぎると逆に熱間加工性が低下し割れ易く
なる。いずれも0.0005〜0.0500%で好まし
い結果が得られた。Cはマトリクスに固溶するほか、C
r、Mo、Nb等と炭化物を形成するが、0.05%を
越えると靱性の低下、耐食性の劣化の原因となるので、
0.05%以下とした。
【0018】なお、本発明Co−Ni基合金の最適組成
の一例は次の通りである。組成は重量比で、Co31〜
37%、Cr19〜21%、Mo9〜11%、Mn0.
1〜0.5%、Ti0.3〜0.7%、Fe1.1〜
2.1%、Nb0.8〜1.2%、ミッシュメタル0.
001〜0.020%、B0.001〜0.010%、
Mg0.001〜0.010%、C≦0.03%、Ni
29〜35%、及び不可避不純物より成る。
【0019】前記組成のCo−Ni基合金を真空溶解炉
で溶製する。溶製したインゴットを一般的な加工により
塑性加工するが、最終的に室温で加工率20〜90%の
冷間塑性加工を施す。ここで加工率を20%以上とした
のは、前記の理由による加工硬化が発現する下限値を示
しているからであり、加工率を90%以下としたのは、
加工率が90%を越えると靱性が急激に低下するからで
ある。本発明Co−Ni基合金における、最適組成での
望ましい冷間加工率は、30〜80%である。本発明C
o−Ni基合金は冷間塑性加工のままでも優れた強度特
性を有する高弾性合金であるが、冷間塑性加工後、20
0〜730℃の温度で真空中または無酸化雰囲気中で時
効処理することにより、静的ひずみ時効により時効硬化
して一層高い強度特性を有する高弾性合金になる。ここ
で、温度を200℃以上としたのは、時効硬化が発現す
る下限温度を示しているからであり、730℃以下とし
たのは、この温度を越えると再結晶により軟化が始まる
からである。本発明Co−Ni基合金における最適組成
での十分な時効硬化と靱性が得られる望ましい時効処理
温度は、440〜650℃である。
【0020】
【実施例】以下実施例に基づいて詳細に説明する。本発
明のCo−Ni基合金と、比較材として代表的なCo基
合金とを用い、冷間圧延加工率と時効処理温度を変えて
厚さ0.13mmの圧延材を幾種類か作成した。また、
同様に冷間線引き加工率と時効処理温度を変えて線径
0.4mmの線材を幾種類か作成した。
【0021】図8に、用いた合金の組成を重量比で示
す。A〜Fは本発明Co−Ni基合金例であり、G、H
は比較材としてのCo基合金である。図9に、各合金の
塑性加工性と、加工率が80%で、600℃で2時間時
効処理した場合の、時効処理後の引張強さとビッカ−ス
硬度を示す。本発明Co−Ni基合金は、Co基合金に
比べ塑性加工性はほぼ同等であり、引張強さ、ビッカー
ス硬度が高く機械的強度に優れていることがわかる。
【0022】図1に、本発明Co−Ni基合金の実施例
合金Cの均一化熱処理(1050℃×24hr)後の光
学顕微鏡組織を示す。これから面心立方格子相であるこ
とがわかる。図2に、均一化熱処理後、室温で70%の
加工率で圧延した実施例合金Cの電子顕微鏡暗視野像
(a)と電子回折図形(b)を示す。(a)で観察され
る厚さが1μm以下の薄い板状組織2は圧延加工前には
認められないことから、塑性加工によって生じた変形双
晶であり、(b)の電子回折図形を指数づけした図3に
よりΣ3双晶であることがわかる。また、マトリクスは
70%の冷間圧延を施しても面心立方格子相のままであ
ることがわかる。
【0023】図4に、実施例合金Cにおける加工率80
%の圧延材を、温度を変えながら時効処理した場合の引
張強さと時効処理温度との関係を示す。時効処理温度が
200℃から730℃の間で時効硬化しており、特に、
440℃から650℃の間で時効硬化が顕著であること
がわかる。図5に、均一化熱処理した実施例合金Cの、
室温(R.T.)から1123K(850℃)までの温
度下での引張試験における真応力−真ひずみ曲線を示
す。室温から973K(700℃)までの温度領域で降
伏後に直線的な加工硬化挙動が現れ、室温から温度を上
昇させるとともに降伏強度、引張強さは低下して773
K(500℃)で極小を示す。773Kで曲線上に波状
が現れ、応力振動を起こしていることが認められる。7
73Kから温度の上昇とともに降伏強度、引張強さ、応
力振動の振幅は増大し、973K(700℃)で極大と
なる。さらに温度が上昇し1073Kでは、400MPa
付近までは直線的な加工硬化挙動を示すが600MPa付
近を過ぎてからは放物線的な加工硬化挙動を示し、強度
も低下している。1123Kでは、直線的な加工硬化挙
動を示す応力範囲が200MPa付近までと非常に狭くな
り、強度はさらに低下している。(kgf/mm2 とM
Paとの換算は次の通りである。1kgf/mm2 =9.80
665 MPa) 図6に、均一化熱処理した実施例合金Cに室温で約10
%の伸び変形を与えた場合の透過電子顕微鏡組織を示
す。転位は平面性が高く均一に分布しており、積層欠陥
エネルギーが低いことを示唆している。
【0024】図7に、均一化熱処理した実施例合金Cに
973K(700℃)で約10%の伸び変形を与えた場
合の透過電子顕微鏡組織を示す。転位のほとんどは幅の
広い拡張転位の積層欠陥をともなっていることがわか
る。さらに、電界放射型透過電子顕微鏡(日立製作所製
HF−2000)による元素の定量分析から、拡張転位
の積層欠陥面あるいはその近くにMo、Nb、Fe等の
溶質原子が偏析していることが確認されている。
【0025】次に、Co−Ni−Cr合金にMo、N
b,Feを単独あるいは複合添加した場合の室温及び高
温における強度に与える効果を示す。図10に、均一化
熱処理した実施例合金C(Co−Ni−Cr合金にM
o、Nb、Feが複合同時添加されている)、Co−N
i−Cr合金、Co−Ni−Cr−Mo合金、Co−N
i−Cr−Mo−Nb合金、Co−Ni−Cr−Mo−
Fe合金の室温(R.T.)、873K(600℃)、
及び973K(700℃)における降伏応力(0.2%
流動応力σ0.2)と引張強さ(σm)を示す。Co−
Ni−Cr合金にMoとNbを複合同時添加した合金
は、Moの単独添加よりも降伏応力、引張強さいずれも
増大する。Co−Ni−Cr合金にMoとFeを複合同
時添加した合金は、Moの単独添加に比べて、降伏応力
は増大するが引張強さは減少する。このことは、Mo、
Nbはマトリクスの固溶強化と加工硬化能を増大する二
つの効果を有するが、Feはマトリクスの固溶強化にの
み効果があることを示唆している。Co−Ni−Cr合
金にMo、Nb,Feが複合同時添加されている実施例
合金Cは、降伏応力、引張強さが他の合金よりも高く、
また、高温における強度の極大が得られる温度が973
Kと高温側に移行して、得られる最大強度を著しく高く
するという、Mo、NbあるいはMo、Feの複合同時
添加では得られない効果があることがわかる。
【0026】次に、厚さ0.13mmの圧延材を105
0℃で3時間真空中で焼鈍した後、粒度1000番のサ
ンドペーパーで表面を研磨した試料を用いて、各種薬液
(濃度10%、液温60℃)に浸漬し、単位時間、単位
面積当たりの腐食減量(mg/cm2 ・hr)を調べ
た。その結果を図11に示す。本発明Co−Ni基合金
はCo基合金に比べ腐食減量が小さく、耐食性に優れて
いることがわかる。
【0027】次に、厚さ0.13mmの圧延材の時効処
理後の試料を用いて、両振りの曲げ疲労試験により疲労
強度を調べた。図12に各合金の疲労限界を示す。本発
明Co−Ni基合金の疲労限界は95〜103kgf/
mm2 であり、Co基合金の疲労限界75〜81kgf
/mm2 に比べ遥かに高く、疲労強度に優れていること
がわかる。
【0028】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。本発明
Co−Ni基合金は、機械的強度が高く、疲労強度も高
く、耐食性に優れ、さらに、耐熱性にも優れている高弾
性合金なので、精密機器用ばね、医療機器、半導体製造
に用いる特殊ガス供給用バルブのダイヤフラム、耐熱部
品等、高負荷、高耐食性、高信頼性を必要とする機器に
利用して有効であり、小型化への対応、メンテナンスフ
リー化等を可能にするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明Co−Ni基合金の均一化熱処理(10
50℃×24hr)後の光学顕微鏡写真による組織図の
代用写真である。
【図2】均一化熱処理後、70%の加工率で冷間圧延し
た本発明Co−Ni基合金の電子顕微鏡写真(暗視野
像)による組織図の代用写真(a)と、電子回折図形
(b)である。
【図3】(b)の電子回折図形を指数づけして、[11
0]を回転軸として71°の回転関係を持つΣ3双晶を
示す図である。
【図4】本発明Co−Ni基合金の実施例である合金C
における、冷間加工率が80%で、厚さ0.13mmの
圧延材の、引張強さと時効処理温度との関係を示す図で
ある。
【図5】本発明Co−Ni基合金の実施例である合金C
における、室温(R.T.)から1123K(850
℃)までの温度下での、真応力−真ひずみ曲線を示す図
である。
【図6】本発明Co−Ni基合金の実施例である合金C
における、室温で約10%の伸び変形を与えた場合の、
透過電子顕微鏡写真による組織図の代用写真である。
【図7】本発明Co−Ni基合金の実施例である合金C
における、973K(700℃)で約10%の伸び変形
を与えた場合の、透過電子顕微鏡写真による組織図の代
用写真である。
【図8】各合金の組成を重量比で示した表である。
【図9】各合金の特性を示した表である。
【図10】均一化熱処理した各合金の特性を示す表であ
る。
【図11】各合金の各種薬液に浸漬した時の腐食減量を
示す表である。
【図12】各合金の疲労限界を示す表である。
【符号の説明】
1 マトリクス 2 Σ3双晶
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 623 C22F 1/00 623 625 625 630 630F 630B 630A 630C 630G 640 640A 641 641B 675 675 685 685 686 686 691 691B 694 694A (72)発明者 千葉 晶彦 岩手県盛岡市北松園一丁目13−12

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる相が面心立方格子相から成り、原
    子半径の大きさが1.2Å以上の元素、即ち、主成分の
    Co、Ni、Crよりも原子半径が大きいかあるいは近
    似している元素の溶質原子が転位芯ないしは拡張転位の
    積層欠陥に偏析し、厚さ1μmから0.1μmの微細な
    変形双晶が母相内に形成されていることを特徴とするC
    o−Ni基合金。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のCo−Ni基合金におい
    て、最密六方格子相を含まないことを特徴とするCo−
    Ni基合金。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の溶質原子は少なくともM
    o、Nb、Feを含み、塑性変形により転位芯ないしは
    拡張転位の積層欠陥に偏析することを特徴とするCo−
    Ni基合金。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の変形双晶には少なくとも
    Σ3双晶が含まれ、塑性変形により母相内に形成される
    ことを特徴とするCo−Ni基合金。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれか一項記
    載のCo−Ni基合金において、少なくとも最終の塑性
    加工は冷間加工であることを特徴とするCo−Ni基合
    金。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の冷間加工において、周囲
    温度が室温で加工されることを特徴とするCo−Ni基
    合金。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれか一項記
    載のCo−Ni基合金において、冷間塑性加工の後、2
    00℃以上再結晶温度以下の温度で時効処理されること
    を特徴とするCo−Ni基合金。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の時効処理において、静的
    ひずみ時効により時効硬化することを特徴とするCo−
    Ni基合金。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8のいずれか一項記
    載のCo−Ni基合金において、室温から高温までの温
    度領域における引張試験の真応力−真ひずみ曲線上に、
    室温から約700℃までの温度領域で降伏後に直線的な
    加工硬化挙動が現れ、室温から温度上昇とともに降伏強
    度、引張強さは低下して約500℃で極小となり、その
    極小となる温度で応力振動(セレーション)が現れ、そ
    の温度以上では温度の上昇とともに降伏強度、引張強
    さ、応力振動の振幅は増大し、約700℃で極大となる
    ことを特徴とするCo−Ni基合金。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の加工硬化挙動と応力振
    動は、動的ひずみ時効によるものであることを特徴とす
    るCo−Ni基合金。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項10のいずれか一
    項記載のCo−Ni基合金において、組成は重量比で少
    なくとも、Co28〜40%、Cr18〜25%、Mo
    7〜12%、Mn、Tiの1種以上0.1〜1.0%、
    Fe1.1〜3.0%、Nb0.5〜2.0%、C≦
    0.05%、Ni26〜45%、及び不可避不純物より
    成ることを特徴とするCo−Ni基合金。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のCo−Ni基合金
    に、ミッシュメタル、Y、Ce、B、Mgの1種以上を
    0.0005〜0.0500%加えたことを特徴とする
    Co−Ni基合金。
  13. 【請求項13】 請求項11、または請求項12記載の
    Co−Ni基合金において、冷間加工率を20〜90%
    とすることを特徴とするCo−Ni基合金。
  14. 【請求項14】 請求項11から請求項13のいずれか
    一項記載のCo−Ni基合金において、冷間塑性加工の
    後、200〜730℃の温度で時効処理されることを特
    徴とするCo−Ni基合金。
  15. 【請求項15】 請求項11から請求項14のいずれか
    一項記載のCo−Ni基合金において、組成は重量比
    で、Co31〜37%、Cr19〜21%、Mo9〜1
    1%、Mn0.1〜0.5%、Ti0.3〜0.7%、
    Fe1.1〜2.1%、Nb0.8〜1.2%、ミッシ
    ュメタル0.001〜0.020%、B0.001〜
    0.010%、Mg0.001〜0.010%、C≦
    0.03%、Ni29〜35%、及び不可避不純物より
    成ることを特徴とするCo−Ni基合金。
  16. 【請求項16】 請求項15記載のCo−Ni基合金に
    おいて、冷間加工率を30〜80%とすることを特徴と
    するCo−Ni基合金。
  17. 【請求項17】 請求項15、または請求項16記載の
    Co−Ni基合金において、冷間塑性加工の後、440
    〜650℃の温度で時効処理されることを特徴とするC
    o−Ni基合金。
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