JP4084946B2 - ばね用ステンレス鋼線 - Google Patents

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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にオーステナイト相(γ)金属組織を有するばね用ステンレス鋼線、この鋼線により製造されたばね、及びばねの製造方法に関するものである。特に、耐水素脆性が要求されるばねの素材に最適なばね用ステンレス鋼線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車や小型発電機などに使用される水素燃料電池システムの開発が盛んに行われている。この水素燃料電池システムに用いられる金属素材として、従来、耐水素脆性及び耐食性に優れるSUS304やSUS316などのオーステナイト系ステンレスが知られている。
【0003】
例えば、燃料電池を構成する内部金属部材に関する技術として特開平4-306564号公報に記載の技術(従来技術1)がある。この技術では、溶融炭酸塩型燃料電池のカレントコレクタやセパレータとして、ステンレス鋼、鉄基合金、Ni基合金などの中間材に耐溶融塩性、耐水素脆性に優れる銅や銅合金の被覆を施したものを用いている。
【0004】
特開平7-169470号公報に記載された技術(従来技術2)では、溶融炭酸塩型燃料電池のセパレータとして、オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に前駆体セラミックス層を形成したものを用い、耐溶融炭酸塩性の向上を図っている。
【0005】
特開平11-106892号公報に記載された技術(従来技術3)では、溶融炭酸塩型燃料電池のセパレータ材や集電板として、ステンレス鋼などの基材表面に少なくともCr酸化物、Al酸化物、Ti酸化物を含む酸化被膜を形成したものを用い、高温で長時間使用する場合の信頼性や安定性の向上を図っている。
【0006】
特開2001-76740号公報に記載された技術(従来技術4)では、高分子電解質型燃料電池のセパレータ板として、ステンレス材の表面に導電性粒子を分散した導電性樹脂層を形成したものを用い、接触抵抗の増大や腐食による出力低下を抑制している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では、以下の問題があった。
従来技術1及び2は、いずれもステンレス鋼材の表面に被覆などの加工を伴うため、ばねを製造する場合、ばね加工後に被覆工程が必要となり、工程が増加して作業性が悪くなるだけでなく、コスト高になる恐れがある。一方、ばね用ステンレス鋼線に被覆を施した後、ばね加工を行った場合、鋼線表面の被覆が剥離して、被覆の性能が発揮されない恐れがある。更に、高圧水素を用いる燃料電池である場合の耐水素脆性に対する考慮もなされていない。これらの事項から、従来技術1及び2をばね用鋼線に適用することは困難である。
【0008】
また、従来技術3及び4も、上記従来技術1及び2と同様に、ステンレス鋼材の表面に被覆処理を行う工程が必要であり、ばねを形成する鋼線に適用することが困難である。また、これら技術は、耐水素脆性の向上についても全く考慮していない。
【0009】
そこで、本発明の主目的は、水素雰囲気において耐疲労性、耐水素脆性に優れ、かつ低コストなばね用ステンレス鋼線を提供することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、水素雰囲気での耐疲労性や耐水素脆性に優れると共に低コストなばね、及びばねの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Fe基であるオーステナイト系ステンレスに対し、特に、C、Nの含有量、及び加工誘起マルテンサイト相の含有量を規定することで上記の目的を達成する。
【0012】
即ち、本発明は、質量%でC:0.01〜0.25、N:0.01〜0.25、Mn:0.5〜4.0、Cr:16〜20、Ni:8.0〜14.0を含有し、残部がFe及び不純物からなるステンレス鋼を線引き加工して得られるばね用ステンレス鋼線である。C及びNを0.15質量%≦C+N≦0.35質量%とし、線引き加工により誘起されるマルテンサイト相を10体積%以下、残部をオーステナイト相とする。そして、線引き加工後の引張強さが1300N/mm2以上2000N/mm2未満である。更に、質量%でMo:0.1〜3.0、Nb:0.1〜2.0、Ti:0.1〜2.0、Si:0.9〜2.0のうち、少なくとも1種を含有することが好ましい。より好ましくは、更に、質量%でCo:0.2〜2.0を含有することである。
【0013】
また、本発明ばねの製造方法は、上記ばね用ステンレス鋼線をばね加工した後、400℃以上600℃以下で低温焼きなましを行うことを特徴とする。
【0014】
上記構成を具える本発明ばね用ステンレス鋼線は、ステンレス鋼線の化学成分及び金属組織を規定することで、従来のようにステンレス鋼材の表面に別途被覆を設けることなく、優れた耐疲労性や耐水素脆性を有する。また、被覆工程を省略できることで、生産性にも優れ、コストの削減も可能である。
【0015】
本発明ばね用ステンレス鋼線、及びこの鋼線から製造されるばねが優れた耐水素脆性や機械的特性、特に耐疲労性を有する理由を以下に説明する。C、Nなどの侵入型固溶元素は、基地であるオーステナイト相に含有することで、オーステナイト相の相安定化を行うと共に、結晶格子にひずみを生成して強化する固溶強化や、金属組織中の転位を固着させる効果(コットレル雰囲気:転位と溶質原子との弾性的相互作用により転位周辺に溶質原子が集まった状態であり、エネルギー的に安定な状態)がある。そのため、本発明ばね用ステンレス鋼線、及びこの鋼線から製造されるばねは、Fe基であるオーステナイト系ステンレスにC、Nを比較的多量に添加することでオーステナイト相(γ)安定化による耐水素脆性が向上する。かつ、C、Nなどの侵入型固溶元素やMo、Nb、Ti、Siなどのフェライト生成元素の添加から得られる固溶強化によって、SUS316などと同等の高い耐食性と、耐水素脆性、そして機械的特性の両立が可能である。加えて、本発明ばね用ステンレス鋼線やばねは、線引き加工による組織強化によっても機械的特性の向上を促進する。
【0016】
また、本発明ばねの製造方法では、上記転位の固着効果を更に促進するためにばね加工(コイリング)を行った後、ひずみ取りテンパーを行う。すると、ばね加工といった塑性加工に加え、金属組織中に導入された転位を適切な温度で低温焼きなまししてC、Nによるコットレル雰囲気(転位の固着)の形成から得られる組織強化によって、機械的特性の向上を促進させる。また、400℃以上600℃以下の低温焼きなましは、水素が集中する転位をなくして水素脆化を抑制すると共に、ほとんどの転位を固着させてばねの機械的特性を向上させることで、脆化による特性の低下を防止することに有効である。
【0017】
以下、本発明ばね用ステンレス鋼線の規定事項の限定理由を説明する。
上記転位の固着効果を得るためには、鋼中のC、Nの含有量(質量%)は0.15≦C+N≦0.30であることが適する。より好ましくは、0.23≦C+N≦0.30である。従来のSUS304やSUS316などのオーステナイト系ステンレスのC+N含有量は、0.15質量%未満であり、本発明者らが検討した結果、C+N含有量が0.15質量%以上であると、転位の固着がより有効に行われるとの知見を得た。しかし、C+N含有量が0.30質量%を超えると、鋼線の靭性が不足するため、上限を0.30質量%に規定する。
【0018】
耐水素脆性の低下を抑制するためには、線引き加工によって誘起されるマルテンサイト相が鋼全体に対して10体積%以下であることが適する。水素高温高圧において鋼中に吸蔵される水素は、マルテンサイト相中では比較的短時間で拡散して転位、格子欠陥、介在物などの周辺や結晶粒界に集中することで、鋼の水素脆化を引き起こす起因となる。燃料電池システムを用いた自動車や家庭用発電機などの環境に用いられるばねにおいて、特に、ばねの表面に水素脆化が生じると、疲労折損の原因となり得る。そこで、水素脆化の要因となるマルテンサイト相の含有率の上限を設け、ばね自身が水素雰囲気に曝される場合や、ばね表面が水素の拡散速度が比較的小さいオーステナイト相によって占められる場合などであっても、水素脆化の発生を抑制することが可能である。本発明ばね用ステンレス鋼線の金属組織においてマルテンサイト相を除く残部は、実質的にオーステナイト相からなるものとし、マルテンサイト相及びオーステナイト相以外の不可避的な相も含む。
【0019】
加工誘起マルテンサイトの量は、オーステナイト相安定性と加工時の温度とが相互に影響する。そこで、例えば、通常の室温での加工において加工誘起マルテンサイトを10体積%以下に制御するには、C+Nを上記規定の範囲に含有させることが有効である。
【0020】
線引き加工後の引張強さは、ばね用ステンレス鋼線としてばね加工(コイリングなど)を施すのに必要な1300N/mm2以上に規定する。但し、靭性を考慮して上限を2000N/mm2未満とする。
【0021】
更に疲れ強さの向上を得るために線引き方向の表面粗さをRzで20μm以下に規定する。より好ましくは、Rzで7.0μm以下である。鋼線に負荷される応力には増減があり、特に、この応力の増減が比較的短時間に繰り返されるばねは、鋼線の表面疵などに応力集中が発生し、結果として発生する局所的なすべりに水素が集中して、水素脆化を起こす起因となる。そこで、本発明は、鋼線の表面粗さを低減することで応力集中をより低減し、耐水素脆性の改善を図る。
【0022】
上記耐水素脆性の向上及び機械的特性の向上は、線引き加工方向と垂直な横断面が円形はもちろんのこと、楕円、矩形、正方形、及び長方形などの異形断面を有する鋼線においても成立する。
【0023】
以下、本発明における構成元素の選定及び成分範囲を限定する理由を述べる。
Cは強力なオーステナイト形成元素である。また、結晶格子中に侵入型固溶し、ひずみを導入して強化する効果をもつ。更に、コットレル雰囲気を形成し、金属組織中の転位を固着させる効果がある。しかし、Cr炭化物が結晶粒界に存在する場合、オーステナイト相中のCrの拡散速度が低いため、粒界周辺にCr欠乏層が生じ、靭性及び耐食性の低下が生じる。この現象は、Nb、Tiの添加によって抑制することが可能であるが、Nb、Tiといった添加元素が過剰に存在すると、オーステナイト相の不安定を引き起こす。そこで、本発明では、有効な含有量としてC:0.01質量%以上0.25質量%以下とした。
【0024】
NもCと同様に強力なオーステナイト形成元素であり、侵入型固溶強化元素でもある。また、コットレル雰囲気の形成元素でもある。ただし、オーステナイト相中への固溶には限度があり、多量の添加(0.20質量%以上、特に0.25質量%超)は、溶解、鋳造の際にブローホール発生の要因となる。この現象は、Cr、MnなどのNとの親和力が高い元素を添加することで固溶限を上げ、ある程度の抑制が可能である。しかし、過度に添加する場合、溶解の際に温度や雰囲気制御が必要となって、コストの増加を招く恐れがあるため、本発明ではN:0.01質量%以上0.25質量%以下とした。
【0025】
Mnは、溶解精錬時の脱酸剤として使用される。また、オーステナイト系ステンレスのオーステナイト相(γ)の相安定にも有効であり、高価なNiの代替元素となり得る。そして、上記のようにオーステナイト相中へのNの固溶限を上げる効果も有する。ただし、高温での耐酸化性に悪影響を及ぼすため、Mn:0.5質量%以上4.0質量%以下とした。なお、Mnの含有量は、特に耐食性を重視した場合、Mn:0.5質量%以上2.0質量%以下が好ましい。一方、Nの固溶限を上げる、即ち、Nのミクロブローホールを極めて少なくするためには、Mn:2.0質量%超4.0質量%以下の添加が大きな効果を有するが、若干耐食性の低下がみられることがある。従って、用途に応じて、含有量を調整することが好ましい。
【0026】
Crは、オーステナイト系ステンレスの主要な構成元素であり、耐熱特性、耐酸化性を得るために有効な元素である。本発明では、他の構成元素成分から、Ni当量、Cr当量を算出し、オーステナイト相(γ)の相安定性を考慮した上で必要な耐熱性を得るために16質量%以上、靭性劣化を考慮して20質量%とした。
【0027】
Niは、オーステナイト相(γ)の安定化に有効である。本発明において、Nの含有量を0.2質量%以上とする場合、多量のNi含有は、ブローホール発生の原因となり得る。この場合、Nと親和力の高いMnを添加することが有効であり、オーステナイト系ステンレスを得るためにMnの添加量を考慮してNiを添加する必要がある。そこで、オーステナイト相(γ)の安定化のために8.0質量%以上、ブローホール抑制とコスト上昇の抑制のために14.0質量%以下とする。上記のようにNiは、8.0質量%以上14.0質量%以下が好ましいが、10.0質量%未満の範囲では、特に、溶解鋳造工程において、Nを容易に固溶させることが可能になるため、コストをより低減できるというメリットがある。
【0028】
Moは、オーステナイト相(γ)中に置換型固溶し、耐食性の向上に大きく寄与する。また、鋼中でNと共存することで疲れ強さ向上に寄与する。そこで、耐食性の向上に最低限必要な0.1質量%以上、加工性の劣化を考慮して3.0質量%以下とした。
【0029】
NbもMoと同様にオーステナイト相(γ)中に固溶し、機械的特性をより向上させることで疲れ強さの向上に大きく寄与する。また、上記のようにN、Cとの親和力が高く、オーステナイト相(γ)中に微細析出することで、高温での耐へたり性の向上に寄与する。更に、結晶粒径の粗大化の抑制、Cr炭化物の粒界析出抑制の効果もある。ただし、過剰に添加するとFe2Nb(ラーバス)相を析出する。このとき、強度劣化が見込まれるため、Nb:0.1質量%以上2.0質量%以下とした。
【0030】
Tiは、Mo、Nb、後述のSiと同様にフェライト生成元素であり、オーステナイト相(γ)中に固溶することで機械的特性をより向上させることができる。ただし、オーステナイト相(γ)の安定性を低下させるため、Ti:0.1質量%以上2.0質量%以下とした。
【0031】
Siは、固溶することで機械的特性の向上に効果がある。また、溶解精錬時の脱酸剤としても有効であり、通常のオーステナイト系ステンレスには、0.6〜0.7質量%程度含有される。更に固溶強化による機械的特性を得るためには、0.9質量%以上必要である。そこで、本発明では、Siの含有量を0.9質量%以上とする。ただし、靭性劣化を考慮して、2.0質量%以下とした。
【0032】
Coは、オーステナイト生成元素であり、固溶強化の効果は、前述のMo、Nb、Ti、Siといったフェライト生成元素ほど得られないが、金属間化合物を構成し、析出強化が起こる。また、塩素イオンによる腐食に対して抑制効果がある。ただし、多量の添加は、硫酸、硝酸に対する耐酸性や大気腐食性を低下させるため、Co:0.2質量%以上2.0質量%以下とした。
【0033】
上記に規定する構成元素を除く残部は、Fe及び不純物とからなる。ここで、不純物とは、有意的に含有させる元素以外の元素、及び不可避的不純物を含むものとする。従って、残部は、実質的にFe及び不可避的不純物からなるものとする。
【0034】
本発明ばね用ステンレス鋼線から製造されるばねは、水素燃料電池システムを用いた自動車、小型発電機等の耐水素脆性が要求される部位への使用が適する。特に、本発明ばね用ステンレス鋼線やばねにおける耐水素脆性を向上させるメカニズムは、ばねの使用環境が温度-30℃以上400℃以下、水素分圧0.5atm以上400atm以下の水素雰囲気において有効である。ばねの使用環境が上記温度範囲外、即ち-30℃未満又は400℃超の場合、或いは上記水素分圧の範囲外、即ち0.5atm未満又は400atm超の場合、水素が金属中の他のサイトに侵入する可能性があるからである。実際、水素製造・供給ステーションでは250atmの水素が作られており、今後更に高い圧力も考えられるため、後述するように本発明は、水素分圧400atm程度といった水素高圧環境を検討し、優れた耐水素脆性を有することを確認している。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
表1に示す化学成分(不可避的不純物を含む)の鋼材を溶解鋳造、鍛造、熱間圧延により線材を作製した後、溶体化と線引き加工とを繰り返し、最終的に線引き加工の断面減少率が約60%、線径3.0mmの試験片を作製した。以下、表1に各試料の化学成分(質量%)、引張強さ(N/mm2)、加工誘起マルテンサイト量(体積%)を示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004084946
【0037】
表1において、比較材1はSUS304-WPB、比較材2はSUS316-WPAである。比較材3は、線引き加工を液体窒素中で冷却しながら行うことで、加工誘起マルテンサイト量を変化させた。そのほかの試料は、通常の室温で線引き加工(断面減少率約60%)を行った。この加工誘起マルテンサイト量は、X線回折によるピーク強度から計測した。また、本実施例では、ダイスの構成や線速などや、熱処理の際における鋼線の取り扱いなどの従来行われている工程管理により線引き方向の表面粗さがRzで20μm以下になるように設定しており、各試料の線引き方向の表面粗さは、Rzで約15μmであった。
【0038】
(試験例1)
表1に示す各試料において、疲れ強さを評価した。試験は、ばねでの疲労特性を評価した。まず、上記溶体化と線引き加工とを繰り返して得られた線径3.0mmの各試料を圧縮ばねに加工し、その後、ひずみ取り低温焼きなましを行った。なお、ショットピーニングや窒化などの表面処理は行っていない。得られたばねを用いて水素吸蔵試験を行い、水素吸蔵前後で疲れ強さを調べてみた。以下、試験に用いたコイルばね、水素吸蔵試験の条件、疲労試験の条件を示す。また、表2に低温焼きなまし条件、水素吸蔵により得られた水素吸蔵量、水素吸蔵前後の疲れ強さ、及び水素吸蔵前後の振幅応力差を示す。
【0039】
(コイルばね)
コイル中心径:20mm
総巻数:6.5巻き
有効巻数:4.5巻き
ばね自由長:50mm
【0040】
(水素吸蔵試験条件)
試験温度:50℃
水素分圧:350atm
保持時間:100時間
【0041】
(疲労試験条件)
本試験では、星型ばね疲労試験機を用い、平均応力を600MPaとして、1.0×107回まで未折損であるときの振幅応力を疲れ強さとして測定した。また、本試験では、精度を高めるために、1条件につきn数=8とし、試験機の回転速度を1800rpmで行った。
【0042】
【表2】
Figure 0004084946
【0043】
加工誘起マルテンサイト量が大きい試料No8及び10は、水素吸蔵量が若干小さくなっている。これは、加工誘起マルテンサイト相中の水素溶解度が小さいためと考えられる。そして、鋼線中の水素拡散速度が大きくなっていると予想されることで金属組織の欠陥などに水素が移動して集中し、水素脆化が起こり易いと考えられる。
【0044】
表2から、試料No1〜7は、一般的な耐熱ステンレス鋼である試料No8及び9と比較して、水素吸蔵の前後で疲れ強さに優れることが分かる。また、試料No6とほぼ同じ化学成分である試料No10も、疲れ強さが高めであることが確認できる。更に、強化元素を添加していない試料No1、Mo、Nb、Ti、Siなどの強化元素を添加した試料No2〜5、更にCoを添加した試料No6及び7の順に疲れ強さが高くなる傾向にあることが分かる。
【0045】
次に水素吸蔵前後における疲れ強さの変化をみると、試料No1〜7は、いずれも疲れ強さの低減がわずかしか起こっていない。また、強化元素を添加していない試料No1、強化元素を添加した試料No2〜5、更にCoを添加した試料No6及び7の順に、疲れ強さの低下量が少なくなる傾向にあることが確認できる。
【0046】
これに対し、試料8〜10は、50〜150MPaと疲れ強さの減少が著しい。この傾向は、加工誘起マルテンサイト量に依存していることが試料8及び10から確認できる。
【0047】
この試験から、特に、0.15質量%≦C+N≦0.35質量%で、かつ加工誘起マルテンサイト量が10体積%以下を満たす本発明ばね用ステンレス鋼線は、水素雰囲気下でも高い疲れ強さを有し、優れた耐水素脆性を有するばねの製造が可能であることが分かる。
【0048】
(試験例2)
表1に示す試料No1と同様の化学成分(不可避的不純物を含む)で、試験例1と同様に作製した鋼線の線引き方向の表面粗さを変化させ、試験例1と同様にばね加工後、低温焼きなましを施した試料について、疲れ強さを評価した。試料No11は、電解研磨により表面粗さをRz3μm程度とした。試料No12は、研磨紙で表面粗さをRz25μm程度にした。試験は、試験例1と同様に行った。表3に本試験で用いた各試料の化学成分(質量%)、引張強さ(N/mm2)、加工誘起マルテンサイト量(体積%)、表4に各試料の線引き方向の表面粗さ、表5に低温焼きなまし条件、水素吸蔵により得られた水素吸蔵量、水素吸蔵前後の疲れ強さ、及び水素吸蔵前後の振幅応力差を示す。
【0049】
【表3】
Figure 0004084946
【0050】
【表4】
Figure 0004084946
【0051】
【表5】
Figure 0004084946
【0052】
表5から、線表面の表面粗さが小さいほど、疲れ強さは水素吸蔵の前後で高いことが確認できる。試料No1及び11は、水素吸蔵後の疲れ強さの低下がほぼ同等の30MPaであった。表面を荒らした試料No12は、水素吸蔵後の疲れ強さの低下が10MPaと小さかった。これは、試料No1や11と比較して疲れ強さが低下していることで、水素脆化の影響が小さくなってしまったためと考えられる。より詳しく調べてみると、表面粗さが20μm以下の場合に、疲れ強さにより優れることが分かった。
【0053】
(試験例3)
表1に示す試料No1と同様の化学成分(不可避的不純物を含む)で、試験例1と同様に作製した鋼線を試験例1と同様にばね加工し、その後、低温焼きなまし条件を変化させて、疲れ強さを評価した。試料No13は、低温焼きなまし条件を500℃×30分、試料No14は同条件を600℃×30分、試料No15は同条件を300℃×30分とした。試験は、試験例1と同様に行った。表6に本試験で用いた各試料の化学成分(質量%)、引張強さ(N/mm2)、加工誘起マルテンサイト量(体積%)、表7に低温焼きなまし条件、水素吸蔵により得られた水素吸蔵量、水素吸蔵前後の疲れ強さ、及び水素吸蔵前後の振幅応力差を示す。
【0054】
【表6】
Figure 0004084946
【0055】
【表7】
Figure 0004084946
【0056】
表7から低温焼きなましの温度が高いほど、鋼線中の転位や格子欠陥などが消滅することで水素のトラップサイトが減少し、水素吸蔵量が低下する傾向にあることが分かる。このように金属組織の欠陥などに移動して集中するべき水素量が少ないことで、水素脆化が起こりにくいと考えられる。
【0057】
疲れ強さをみると、低温焼きなましの温度が500℃である試料No13が最も疲れ強さが高い。これは、500℃においてステンレス鋼のひずみ時効が最も進むことに起因すると考えられる。低温焼きなましの温度を更に高くした試料No14は、試料No13と比較して疲れ強さが低下している。これは、鋼線中の転位がなくなることで機械的特性が低下し、疲れ強さも低下するためと考えられる。また、水素吸蔵前後における疲れ強さの変化をみると、低温焼きなまし温度が500℃である試料No13が最も優れていることが分かる。
【0058】
この試験から、低温焼きなましの温度を400〜600℃とすると、疲労特性の向上や耐水素脆性の改善を得ることが分かる。特に、低温焼きなまし温度を変化させるとき、鋼線の引張強さや耐水素脆性は500℃付近をピークとしていることが確認できた。従って、実際に低温焼きなましの条件を決定する際は、試験温度、ひずみ速度、水素雰囲気などといった使用環境に応じて、適切な温度を選択するとよい。
【0059】
(試験例4)
表1に示す試料No1〜7と同様の化学成分(不可避的不純物を含む)で、鋼線の線引き加工方向と垂直な横断面が長径4mm、短径2mmの楕円型の鋼線を試験例1と同様に作製した試料について、試験例1と同様の疲労試験を行った。この結果、試料No1〜7とほぼ同様の結果であり、異形断面を有する鋼線でも、水素雰囲気下で高い疲れ強さ及び優れた耐水素脆性を有していることが確認できた。
【0060】
(試験例5)
表1に示す試料No1〜10と同様の化学成分(不可避的不純物を含む)で、試験例1と同様に作製した鋼線にばね加工、低温焼きなましを施した試料について、水素吸蔵試験条件を変更して、試験例1と同様の疲労試験を行った。水素吸蔵試験条件は、試験温度100℃、水素分圧100atmの雰囲気で100時間保持した。この結果、全ての試料において、疲れ強さの低下量が試験例1と比較して±10MPaの範囲で変化していた。しかし、疲れ強さ傾向、疲れ強さの低下量の傾向は試験例1とほぼ同様であり、強化元素を添加していない試料、強化元素を添加した試料、更にCoを添加した試料の順に疲れ強さが高くなり、疲れ強さの低下量は減少した。更に、水素吸蔵試験条件において、▲1▼試験温度-30℃、水素分圧350atm、保持時間100時間、▲2▼試験温度400℃、水素分圧100atm、保持時間100時間として試験例1と同様の疲労試験を行った。その結果、全ての試料において、疲れ強さの低下量が試験例1と比較して、それぞれ▲1▼±20MPa(試験温度-30℃)、▲2▼ほぼ同等である±0MPa(試験温度400℃)の範囲で変化していたが、疲れ強さ傾向、疲れ強さの低下量の傾向は試験例1とほぼ同様であった。
【0061】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明ばね用ステンレス鋼線によれば、Fe基であるオーステナイト系ステンレスの基地強化とC、Nなどの侵入型固溶元素とによって、安価で、かつ水素雰囲気において耐疲労特性、耐水素脆性に優れるという効果を奏し得る。特に、Mo、Ti、Nb、Siといったフェライト生成元素の添加による固溶強化、更にCo添加によって上記耐疲労特性、耐水素脆性により優れる。
【0062】
このように本発明ばね用ステンレス鋼線は、水素雰囲気において耐疲労特性、耐水素脆性に優れることから、燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車や家庭用小型発電機などに用いられるばね材に最適である。また、被覆処理を施した特別な合金線を用いないことでコストの上昇を小さくすることが可能であり、工業的価値が高いものである。

Claims (6)

  1. 質量%でC:0.01〜0.25、N:0.01〜0.25、Mn:1.2 2.5、Cr:16〜20、Ni:8.0〜14.0 Si 0.6 1.10を含有し、更に、質量%で Mo 0.1 3.0 Nb 0.1 2.0 Ti 0.1 2.0 のうち、少なくとも 1 種を含有し、残部がFe及び不純物からなり、C及びNが0.15質量%≦C+N≦0.35質量%であり、線引き加工により誘起されるマルテンサイト相が3.3体積%以下、残部がオーステナイト相であり、線引き加工後の引張強さが1300N/mm2以上2000N/mm2未満であることを特徴とするばね用ステンレス鋼線。
  2. 更に、質量%でCo:0.2〜2.0を含有することを特徴とする請求項 1に記載のばね用ステンレス鋼線。
  3. 表面粗さがRzで20μm以下であることを特徴とする請求項 1 または 2 に記載のばね用ステンレス鋼線。
  4. 線引き加工方向と垂直な横断面が楕円、矩形、正方形、長方形のいずれかであることを特徴とする請求項 1 3のいずれかに記載のばね用ステンレス鋼線。
  5. 請求項1 4のいずれかに記載のばね用ステンレス鋼線を用いて製造されたことを特徴とするばね。
  6. 請求項1 4のいずれかに記載のばね用ステンレス鋼線をばね加工した後、400℃以上600℃以下で低温焼きなましを行うことを特徴とするばねの製造方法。
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