JP5600502B2 - ボルト用鋼、ボルトおよびボルトの製造方法 - Google Patents

ボルト用鋼、ボルトおよびボルトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐遅れ破壊特性のなかでも耐水素脆化特性に優れ、特に腐食環境下における鋼中への水素浸入抑制効果に優れるとともに、浸入した水素の拡散を抑制することによって、耐遅れ破壊特性が改善された高強度ボルト及びその製造方法に関するものである。
鉄鋼材料に応力が与えられてから一定時間を経過した後に発生する遅れ破壊の原因については、種々の原因が複雑に絡み合っておりその原因を特定することは難しい。しかし、一般的に遅れ破壊は水素脆化現象が主な原因となっていると考えられている。この水素脆化現象を左右する因子として、焼戻し温度、組織、材料硬さ、結晶粒度、各種合金元素の影響等が認められているものの、水素脆化を防止する手段が確立されているわけではなく、種々の方法が試行錯誤されているに過ぎないのが実情である。
例えば特許文献1〜3には、各種合金元素を調整することにより、引張強さが140kgf/mm2以上でも耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼が得られることが開示されている。また、特許文献4には、鋼中に微細な化合物を分散させることによって耐遅れ破壊特性を改善できる技術が開示されている。特許文献4では、合金鋼を焼入れ後、高温焼戻しすることによって微細な合金系化合物を数多く析出させ、その析出物に鋼中を動きまわる水素(拡散性水素)をトラップさせることによって耐遅れ破壊特性を改善している。しかし、特許文献1〜4のように合金元素を多く添加する技術ではコストが高くなって経済性が損なわれるとともに、近年要求されている、より厳しい腐食環境下における耐遅れ破壊特性を実現するためには、上記特許文献1〜4には未だ改善の余地があった。
特開昭60−114551号公報 特開平2−267243号公報 特開平3−243745号公報 特許第4031068号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的はMoやNiといった高価な合金元素を多量に使用することなく、優れた耐遅れ破壊特性を有する引張強さ1400MPa以上の高強度ボルト、該ボルトを実現するためのボルト用鋼、および該ボルトの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、C:0.3〜0.50%(質量%の意味。以下、同じ。)、Si:0.5〜2.5%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.015%以下(0%を含まない)、S:0.015%以下(0%を含まない)、Cr:0.15〜2.4%、Al:0.10%以下(0%を含まない)、N:0.015%以下(0%を含まない)を含有し、Cu:0.1〜0.50%およびNi:0.1〜1.0%を、[Ni]/[Cu]≧0.5を満たすように含有するとともに、Ti:0.05〜0.2%および/またはV:0.05〜0.2%を[Ti]+[V]≧0.085%となるように含有し、残部が鉄および不可避不純物であることを特徴とするボルト用鋼である。本発明のボルト用鋼はさらにMo:0.1%以下(0%を含まない)を含有することも好ましい。
また本発明は、上記の化学組成を有し、ボルト軸部のオーステナイト結晶粒度番号が9.0以上であり、ボルト軸部の表面にSiおよびCuを含有するFe酸化層を有し、該酸化層の厚さが2〜100nmであることを特徴とするボルトも包含する。前記ボルトは、引張強さが1400MPa以上であることも好ましい。
さらに本発明は、上記の化学組成を有する鋼をボルト形状に成形加工し、焼入れ焼戻し処理を行う方法であって、軸部表面にはFe酸化層が存在しないか、またはFe酸化層が存在していても100nm以下となっているボルトを、酸素濃度が10ppm(体積基準)以下である不活性ガス雰囲気下、400〜550℃の温度で焼戻しを行うことを特徴とするボルトの製造方法も包含する。
本発明によれば、鋼の化学成分を適切に制御した上で製造条件を適切に調整しているため、水素の浸入を抑制する緻密なFe酸化層を形成させることができるとともに、浸入してしまった水素については析出した合金化合物でトラップさせることができるため、優れた耐遅れ破壊性を実現することができる。
図1は、実施例における遅れ破壊試験に用いる試験片の形状を示した概略図である。
本発明者は、高強度ボルトの遅れ破壊現象の要因の一つである水素脆化現象について、鋼材の組織、各種合金成分の含有量に加え、特に鋼材の表面状態の影響を検討した。その結果、ボルト製造時の焼入れ焼戻し工程で生成する酸化層の種類と厚さによって、鋼中への水素浸入特性に著しい差が生じることを見出した。そこで、水素浸入を抑制する効果に優れた酸化層について更に検討したところ、SiおよびCuを含有するFe酸化層であって、その厚さが100nm以下であるものは耐食性に優れた緻密な層であり、鋼中への水素浸入を抑制する効果が非常に高いことが判明した。
さらに本発明では、酸化層による水素の浸入抑制に加えて、鋼中に浸入してしまった水素については、合金元素を適切に調整して合金化合物を形成させることによって水素をトラップすることができる。すなわち、水素浸入抑制と水素トラップという2段機構により一層の耐遅れ破壊性の向上が可能となる。
本発明のボルトにおけるFe酸化層について以下に説明する。本発明のFe酸化層はSiおよびCuを含有するものであり、主に(Fe、Si)34、(Fe、Cr)34等を含有する。また、本発明にFe酸化層はEDX(Energy Dispersive X−ray Spectrometer)で分析したとき、加速電圧20kVでのSi、Cuのスペクトルが、ノイズ成分と明らかに区別できる量を含有している。
本発明のFe酸化層は、緻密なものであり、水素浸入抑制作用を有しており、その作用を十分に発揮させるため、本発明のFe酸化層の厚みは2nm以上と定め、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。本発明に係る緻密なFe酸化層は非常に薄いものであり、その上限は100nm以下である。
本発明のボルトは、上記したFe酸化層の水素浸入抑制作用に加えて、水素が浸入してしまった場合には、Ti系、V系、Cr系、Mo系の炭化物、炭窒化物および窒化物(以下、「炭化物等」と呼ぶ場合がある。)によって水素をトラップできるとともに、これら炭化物等が結晶粒の粗大化を抑制しているため、耐遅れ破壊性を高めることができる。水素トラップサイトとして機能する上記炭化物等は、微細なものであって、円相当径でおよそ2〜50nmの炭化物等である。このような炭化物等を確保するためには、後記するように化学成分組成および製造条件を適切に調整することが重要である。
さらに本発明のボルトは、ボルト軸部のオーステナイト結晶粒度番号が9.0以上である。オーステナイト結晶粒を微細化することによって靭性が向上するため、耐遅れ破壊性を向上させることができる。該オーステナイト結晶粒度番号は、好ましくは9.5以上であり、より好ましくは10.0以上である。該オーステナイト結晶粒度番号は大きいほど好ましく上限は特に限定されないが、通常は15番以下である。
次に、本発明に係るボルト用鋼の化学成分組成について述べる。
C:0.3〜0.50%
Cは、鋼の引張強さを確保するとともに、Ti、V、Cr、Moなどの元素と炭化物を形成することによって水素トラップ作用を発揮する元素である。特にHv430以上(引張強さ1400MPa以上)の引張強さを確保するためC量は0.3%以上と定めた。C量は、好ましくは0.35%以上であり、より好ましくは0.39%以上である。一方、C量が過剰になると、炭化物の粗大化を招くとともに靭性の低下を招くため、耐遅れ破壊性が劣化する。そこでC量を0.50%以下と定めた。C量は、好ましくは0.48%以下であり、より好ましくは0.45%以下である。
Si:0.5〜2.5%
Siは、溶製時の脱酸材として作用するとともに、鋼を強化する固溶元素として必要な元素である。また本発明においては、ボルト軸部の表面に形成されるFe酸化層を構成する元素としても重要である。このような作用を有効に発揮させるため、Si量は0.5%以上と定めた。Si量は、好ましくは0.8%以上であり、より好ましくは1.3%以上である。一方、Si量が過剰になると鋼材の冷間加工性が低下するとともに、焼入れ時における粒界酸化を助長して遅れ破壊特性を低下させる。そこで、Si量は2.5%以下と定めた。Si量は、好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.8%以下である。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは、焼入れ性向上元素であり、高強度化を達成する上で重要な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Mn量は0.1%以上と定めた。Mn量は、好ましくは0.15%以上であり、より好ましくは0.18%以上である。一方、Mn量が過剰になると、粒界への偏析を助長して粒界強度が低下し耐遅れ破壊性が低下する。そこで、Mn量を1.5%以下と定めた。Mn量は、好ましくは1.2%以下であり、より好ましくは0.6%以下である。
P:0.015%以下(0%を含まない)
Pは、粒界偏析を起こして粒界強度を低下させ、耐遅れ破壊性を低下させる。そこで、P量は0.015%以下と定めた。P量は好ましくは0.010%以下であり、より好ましくは0.008%以下である。P量は少なければ少ない程好ましいが、鋼材の製造コストの増加を招くため0%とすることは難しく、0.001%程度の残存は許容される。
S:0.015%以下(0%を含まない)
Sは、硫化物(MnS)を形成し、鋼中に微細分散する。S量が過剰になると粗大なMnS等が形成して応力集中箇所となり、耐遅れ破壊性が低下する。そこでS量は、0.015%以下と定めた。S量は、好ましくは0.010%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。Sは、Pと同様に少なければ少ない程好ましいが、鋼材の製造コストの増加を招くため0%とすることは難しく、0.001%程度の残存は許容される。
Cr:0.15〜2.4%
Crは、耐食性を向上させて水素浸入を抑制する作用を有する元素であり、靭性および焼入れ性を向上させる上でも有用である。このような作用を有効に発揮させるため、Cr量は0.15%以上と定めた。Cr量は、好ましくは0.2%以上であり、より好ましくは0.4%以上である。一方、Crは過剰に添加しても耐食性の向上効果は飽和するため、Cr量は2.4%以下と定めた。Cr量は、好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.5%以下である。
Al:0.10%以下(0%を含まない)
Alは、鋼中のNと結合してAlNを生成し、結晶粒成長を抑制する効果を有し、結晶粒の微細化によって耐遅れ破壊性を向上させることができる。そこで、Al量は0.010%以上とするのが好ましく、より好ましくは0.015%以上である。一方、Al量が過剰になるとAl23などの酸化物系介在物を生成し、応力集中源となって耐遅れ破壊性を低下させる。そこで、Al量は0.10%以下と定めた。Al量は、好ましくは0.07%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
N:0.015%以下(0%を含まない)
Nは、窒化物を形成して結晶粒を微細化し、ひいては耐遅れ破壊性を向上させる元素である。このような作用を有効に発揮させるため、N量は0.001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.002%以上であり、さらに好ましくは0.004%以上である。一方、N量が過剰になると鋼中に固溶するN量が増大し、冷間加工性および耐遅れ破壊性を低下させる。従って、N量は0.015%以下と定めた。N量は、好ましくは0.007%以下であり、より好ましくは0.006%以下である。
Cu:0.1〜0.50%およびNi:0.1〜1.0%、かつ[Ni]/[Cu]≧0.5
Cuは、耐食性を高め、遅れ破壊に悪影響を及ぼす水素浸入を抑制する上で有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Cu量は0.1%以上と定めた。Cu量は、好ましくは0.15%以上であり、より好ましくは0.20%以上である。一方、Cu量が過剰になると、前記効果が飽和するとともに、靭性が低下して冷間加工性の低下や耐遅れ破壊性の低下を招く。また、ボルト加工時の鋼材硬さが増加して金型寿命の低下をもたらす。そこでCu量は0.50%以下と定めた。Cu量は、好ましくは0.4%以下であり、より好ましくは0.3%以下である。
Niは、腐食時に生成する錆層を緻密化する作用を有し、耐食性を向上させる元素である。また、靭性を高める作用があり、Cu増量に伴う熱間延性の低下を補う作用を有する。上記作用を有効に発揮させるため、Ni量は0.1%以上と定めた。Ni量は、好ましくは0.20%以上であり、より好ましくは0.25%以上である。一方、Ni量が過剰になっても上記効果が飽和し、製造コストの増加を招くため、Ni量は1.0%以下と定めた。Ni量は、好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.45%以下である。
さらに、Cu量とNi量はそれぞれ上記範囲を満たすとともに、[Ni]/[Cu]≧0.5となるようにする。Cu量に対してNi量を所定以上とすることによって、上記した通り、Cu増量に伴う熱間延性の低下を補うことができる。[Ni]/[Cu]は、好ましくは0.8以上であり、より好ましくは1.3以上である。
Ti:0.05〜0.2%および/またはV:0.05〜0.2%を含有し、かつ[Ti]+[V]≧0.085%
TiおよびVはいずれも、微細な炭化物等を生成し、結晶粒を微細化することで靭性を向上する作用を有する元素である。またそれらが析出強化によって強度増加に寄与するとともに、鋼材中に浸入してきた水素を固定するトラップサイトとして作用するため、耐遅れ破壊性の向上に有用である。このような効果を有効に発揮させるため、Ti量およびV量はいずれも0.05%以上と定めた。Ti量は、好ましくは0.060%以上であり、より好ましくは0.070%以上である。V量は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.14%以上である。一方、Ti量およびV量はいずれも、過剰になっても効果が飽和し、製造コストの増加を招くため、0.2%以下と定めた。Ti量は、好ましくは0.15%以下であり、より好ましくは0.1%以下である。V量は、好ましくは0.18%以下であり、より好ましくは0.17%以下である。さらにTiとVの上記作用を有効に発揮させるため、Ti量とV量の合計量は0.085%以上とする。Ti量とV量の合計量は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.2%以上である。
本発明に係るボルト用鋼の基本成分は上記の通りであり、残部は実質的に鉄である。但し、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物が鋼中に含まれることは当然に許容される。さらに本発明に係るボルト用鋼は、必要に応じてMoを含んでいても良い。
Mo:0.1%以下(0%を含まない)
Moは、焼入れ性を向上させるとともに、耐食性を向上させるのに有用な元素である。このような効果を有効に発揮させるため、Mo量は0.01%以上が好ましく、より好ましくは0.03%以上である。一方、Mo量が過剰になると、鋼材コストおよびボルトの製造コストの増加をもたらすため、Mo量は0.1%以下とするのが好ましく、より好ましくは0.08%以下であり、さらに好ましくは0.07%以下である。
本発明に係るボルトは、上記化学成分を有する鋼を通常の溶製法に従って溶製し、鋳造、熱間圧延、伸線した後、球状化焼鈍等の軟質化熱処理を行い、脱スケールと仕上げ伸線の後、冷間圧造または冷間鍛造などによってボルト成型し、さらに焼入れ焼戻し処理することによって製造できる。上記化学成分組成を有する鋼材を用いることによって、高強度と耐遅れ破壊性に優れたボルトを得ることができるが、特に、本発明のボルトの要件(ボルトのオーステナイト結晶粒度、Fe酸化層、水素トラップサイトとなる炭化物等の析出、および好ましくは引張強度)を実現させ、高強度で耐遅れ破壊性に一層優れたボルトを得るためには、上記した一連の工程において、軸部表面にFe酸化層が存在しないか、またはFe酸化層が存在していても所定以下となっているボルトを、焼戻し条件を適切に制御して製造することが重要である。また焼入れ条件を制御することも好ましい。以下、焼入れ条件および焼戻し条件について説明する。
焼入れ時の加熱温度は850〜980℃とすることが好ましい。焼入れ時の加熱温度が低すぎると、析出硬化元素が十分に固溶せず焼戻しをしても十分な炭化物等の析出が確保できないため、強度が低下するとともに、炭化物等による水素トラップの効果が十分に得られないためである。また、通常、焼入れ前の組織は球状化組織であるため、焼入れ時の加熱温度が低すぎると球状化炭化物等が残存し、このような点からも強度低下を招く。一方、焼入れ温度が高すぎると、結晶粒が粗大化して耐遅れ破壊性が低下する。より好ましい加熱温度は、900℃以上、950℃以下であり、さらに好ましくは910℃以上、930℃以下である。
焼入れ時の雰囲気は、特に限定されず、大気中で行っても良いし、酸素濃度を低減した(例えば体積基準で10ppm以下)不活性ガス中で行っても良い。但し、後述する焼戻し工程で上記した本発明の緻密な酸化層を効率よく生成させるためには、焼戻し前のボルト軸部にFe酸化層が存在しないか、またはFe酸化層が存在していても100nm以下となっていることが重要である。100nmを超えるような疎なFe酸化層の存在は、本発明の緻密な酸化層の形成を妨げるためである。このような観点から、疎なFe酸化層を形成させないような条件、すなわち酸素濃度を低減した不活性ガス中で焼入れしても良いし、もしくは大気中で焼入れを行った場合は、疎な酸化層が形成するので、形成した疎な酸化層を除去すれば良い。疎な酸化層の除去方法は特に限定されず、例えば酸洗いしてもよいし、機械的に除去しても良い。
焼戻しは、酸素濃度が10ppm(体積基準)以下である不活性ガス雰囲気下、400〜550℃の温度で行うことが重要である。酸素濃度が10ppmを超えるような雰囲気下で焼戻しを行うと、疎な酸化層が形成する。そこで、本発明の緻密なFe酸化層を得るためには、酸素濃度を10ppm以下にまで低減した不活性ガス雰囲気下で焼戻しを行うことが重要である。不活性ガスとしては、例えばN2やアルゴンなどを用いることができる。焼戻し温度は、低すぎると結晶粒界に板状セメンタイトが析出して粒界強度を低下させる他、炭化物等の析出が不十分となり耐遅れ破壊性が低下する。そこで焼戻し温度は400℃以上とする。一方、焼戻し温度が高すぎると目的とする強度を満足できない。そこで焼戻し温度は550℃以下とする。焼戻し温度は、好ましくは415℃以上、510℃以下であり、より好ましくは430℃以上、490℃以下である。
また、焼入れ焼戻しの他の条件は、上記した温度範囲と析出硬化元素の特性を考慮して適宜設定できるが、例えば以下の範囲から選択できる。
焼入れ条件
加熱後の保持時間:10分以上、1時間以下(より好ましくは20分以上、40分以下)
炉内雰囲気:N2ガス
冷却条件:油冷または水冷
焼戻し条件
加熱後の保持時間:30分以上、3時間以下(より好ましくは70分以上、2時間以下)
冷却条件:油冷または水冷
上記のようにして得られる本発明のボルトは引張強さが1400MPa以上の高強度を達成することができ、オーステナイト結晶粒度番号が9.0以上になって微細化されている。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表1に示す化学成分の鋼を、通常の溶製法に従って溶製し鋳造した後、熱間圧延を行ってφ14mmの圧延材を得た。前記圧延材から、切削加工によって遅れ破壊試験片と引張試験片を採取し、表2および3に示す条件で焼入れ焼戻しを行った。その他の焼入れ焼戻し条件については、焼入れの加熱時間:30分、焼入れの炉内雰囲気:N2、焼入れの冷却条件:油冷(70℃)、焼戻し時間:1時間、焼戻しの冷却条件:空冷とした。なお、焼入れおよび焼戻しにおいて炉内雰囲気をN2としたものについては、以下の手順で雰囲気を制御した。まずφ400mm×L400mmの円筒形の炉内(1.013×105Paの大気)をロータリーポンプによって0.4Paまで減圧した。次いで、1.013×105PaのN2ガスで置換した。大気中の酸素濃度を約21体積%とすると、置換後のN2雰囲気中の酸素濃度は0.4/(1.013×105)×0.21=0.8×10-6となり、酸素濃度は0.8ppm(体積基準)と算出できる。
Figure 0005600502
焼入れ焼戻しを行った試験片について、以下の要領で、軸部の結晶粒度、引張強さ、表面酸化層の状態の分析、冷間鍛造性および耐遅れ破壊性を評価した。
(1)結晶粒度および引張強さの測定
引張試験片(JIS14A号)を試験片の長手方向に垂直な断面(横断面)で切断後、D/4位置(Dは軸部の直径)の任意の0.039mm2の領域を光学顕微鏡で観察し(倍率:400倍)、JIS G0551に従って結晶粒度番号を測定した。測定は4視野について行い、これらの平均値をオーステナイト結晶粒度とした。また、引張試験はJIS Z2241に従って引張強さを測定した。また、前記したオーステナイト結晶粒度測定と同じ領域を、ビッカース硬度計で測定(荷重:10kg)して硬度を測定した。測定は4箇所について行い、これらの平均値をボルト軸部の硬さとした。
(2)表面酸化層の分析
軸部の表面酸化層の分析は、上記試験片を横断面(軸心に垂直な断面)で切断して樹脂に埋め込み、まず、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所製、S−4500)を用いて倍率500倍で表面全周を観察し、熱処理後の軸部に特異箇所のないことと、100nmを超える酸化層の生成がないことを確認した。その後、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、JEMS−2100F)で倍率30万倍と150万倍で確認した90°毎に2箇所を写真撮影し(150万倍)、画像解析で表面酸化層の面積を算出した。算出した酸化層の面積を、酸化層直下の地鉄層の長さで除すことによって酸化層の平均厚さとし、2箇所の平均値を求めた。更に酸化物層の組成について、EDX分析を行い、酸化物層に含有される元素の分析を行った。表2および3において、「Si、Cu含有」が「○」と示されているものは、加速電圧20kVでのSi、Cuのスペクトルが、ノイズ成分と明らかに区別できる量を含有していた。
(3)冷間鍛造性の評価
前記圧延材を球状化焼鈍(780℃で6時間保持、冷却速度10℃/時間)し、冷間圧縮試験片(φ10mm×L15mm)を作製し、70%圧縮時の割れ発生の有無によってボルト加工性を評価した。なお、冷間圧縮時のひずみ速度は10s-1とした。
(4)耐遅れ破壊性の測定
耐遅れ破壊性の測定に用いる試験片は、ねじ部の応力集中を模擬できるように、前記試験片に図1に示すような切欠を設けたものを用いた。耐遅れ破壊試験の試験片を15%HCl溶液に30分間浸漬し、水洗・乾燥させた後、一定荷重を負荷し、100時間以上破断しない最大荷重を測定した。そして、酸浸漬後に100時間以上破断しない最大荷重を、酸浸漬前に引張試験した際の破断荷重で除した値を、遅れ破壊強度比とし、耐遅れ破壊性を評価した。また、酸浸漬前後の試験片の質量変化量を測定し、質量の変化量を酸浸漬前の試験片の質量で除した値に100を掛けたものを腐食減量(%)とした。
結果を表2および3に示す。
Figure 0005600502
Figure 0005600502
表2の実験No.1〜3、7〜11は、鋼の成分組成も製造条件も適切に調整されているため、いずれも1400MPa以上の高強度を達成し、ボルト成型に十分な冷間加工性を有し、かつ遅れ破壊強度比が0.70以上の優れた耐遅れ破壊性を実現している。
一方、実験No.4〜6、12〜33は、鋼の化学成分組成および製造条件の少なくともいずれかが不適切であったために、強度または耐遅れ破壊性において劣る結果となったものである。
No.4は、焼戻し温度が低かった例であり、炭化物等の析出が不十分となり耐遅れ破壊性が低下した。
No.5では焼戻しの雰囲気の影響を見ることができる。No.5では大気中で焼戻しを行ったため、厚く疎な酸化物層が生成するため、耐食性に劣り、耐遅れ破壊性が低下した。
No.6では焼入れ時の加熱温度の影響を見ることができる。No.6では、焼入れ時の加熱温度が高かったために結晶粒が粗大化し、靭性が低下したため耐遅れ破壊性が低下した。
No.12は成分組成が本発明要件を満たさず、結晶粒度番号が小さくなり、強度が低下した。
No.13〜17は、成分組成が本発明要件を満たさず、結晶粒度、Fe酸化層の厚さおよびFe酸化層の組成の少なくともいずれかが本発明要件を満たさなかったため、耐遅れ破壊性が低下した。
No.18はCu量が多かった例であり、靭性が低下することにより冷間鍛造性が低下した。
No.19はNi/Cuの値が小さかった例であり、熱間脆性が低下して内部に微小亀裂等が残存したことにより、耐遅れ破壊性が低下したものと考えられる。
No.20は、C量が少なく、N量が多かった例であり、焼戻し温度を低くすることによって1400MPa以上の引張強さを確保することはできたものの、焼戻し温度が低かったために焼戻し後に板状のセメンタイトが残存して粒界強度が低下するため、耐遅れ破壊性が低下した。
No.21、22、24は、Si量が少なかった例である。焼戻し温度を400〜550℃の要件を満たすようにすると(No.21)、強度が不足し、一方、強度を確保するために焼戻し温度を低くすると(No.22、24)、上記No.20と同様に耐遅れ破壊性が低下した。
No.23はC量が多かった例であり、耐食性が低下して鋼中への水素供給が増加するのに加え、遅れ破壊感受性が高まるため、耐遅れ破壊性が低下した。
No.25はMn量が少なかった例であり、No.26はMn量が多かった例である。No.25では、結晶粒界の一部にFeSが生成し、粒界強度が低下したため耐遅れ破壊性が低下した。またNo.26では、Mnの粒界偏析が粒界強度の低下をもたらすこととなったため、No.26も耐遅れ破壊性が低下した。
No.27はCr量が少なかった例であり、Fe酸化層の厚さが不十分であり、耐食性が低下したため、耐遅れ破壊性が低下した。
No.28はCr量が多かった例であり、焼戻し後に粗大な炭化物等が残存し、水素トラップサイトとしての機能を十分に発揮できなかったために、耐遅れ破壊性が低下したと考えられる。
No.29は、V量が少なかった例であり、水素トラップサイトの析出が不十分となって、鋼中に浸入した水素の悪影響を完全には抑制できなかったため、耐遅れ破壊性が低下することとなった。
No.30、31は、V量、Ti量が多かった例であり、析出する炭化物等が粗大になり、水素トラップサイトとしての機能を十分に発揮できないとともに、一部が結晶粒界に析出して粒界強度を低下させるため、耐遅れ破壊性が低下する結果となった。
No.32は、Al量が多かった例であり、粗大なAlNが生成するため、焼入れ時に結晶粒が粗大化して靭性が低下し、耐遅れ破壊性が低下した。
No.33は、N量が多かった例であり、Al、TiおよびV等と結合して粗大な窒化物生成を招くため、水素トラップサイトとしての機能を十分に発揮できず、さらに応力集中源の増加をもたらし、耐遅れ破壊性が低下する結果となった。

Claims (6)

  1. C :0.35〜0.50%(質量%の意味。以下、同じ。)、
    Si:0.5〜2.5%、
    Mn:0.1〜1.5%、
    P :0.015%以下(0%を含まない)、
    S :0.015%以下(0%を含まない)、
    Cr:0.15〜2.4%、
    Al:0.10%以下(0%を含まない)、
    N :0.015%以下(0%を含まない)を含有し、
    Cu:0.1〜0.50%およびNi:0.1〜1.0%を、[Ni]/[Cu]≧1.3を満たすように含有するとともに、
    Ti:0.05〜0.2%および/またはV:0.05〜0.2%を[Ti]+[V]≧0.085%となるように含有し、残部が鉄および不可避不純物であることを特徴とするボルト用鋼。
  2. 更に、Mo:0.1%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載のボルト用鋼。
  3. C :0.35〜0.50%
    Si:0.5〜2.5%、
    Mn:0.1〜1.5%、
    P :0.015%以下(0%を含まない)、
    S :0.015%以下(0%を含まない)、
    Cr:0.15〜2.4%、
    Al:0.10%以下(0%を含まない)、
    N :0.015%以下(0%を含まない)を含有し、
    Cu:0.1〜0.50%およびNi:0.1〜1.0%を、[Ni]/[Cu]≧1.3を満たすように含有するとともに、
    Ti:0.05〜0.2%および/またはV:0.05〜0.2%を[Ti]+[V]≧0.085%となるように含有し、残部が鉄および不可避不純物であり、
    ボルト軸部のオーステナイト結晶粒度番号が9.0以上であり、
    ボルト軸部の表面にSiおよびCuを含有するFe酸化層を有し、該酸化層の厚さが2〜100nmであることを特徴とするボルト。
  4. 更に、Mo:0.1%以下(0%を含まない)を含有する請求項3に記載のボルト。
  5. 引張強さが1400MPa以上である請求項3または4に記載のボルト。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載のボルトを製造する方法であって、
    請求項1または2に記載の化学組成を有する鋼をボルト形状に成形加工し、焼入れ焼戻し処理を行うに当たり、
    軸部表面にはFe酸化層が存在しないか、またはFe酸化層が存在していても100nm以下となっているボルトを、
    焼入れ時の加熱温度を850〜980℃に制御して焼入れを行った後、
    酸素濃度が10ppm(体積基準)以下である不活性ガス雰囲気下、400〜550℃の温度で焼戻しを行うことを特徴とするボルトの製造方法。
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