JP6454635B2 - 耐遅れ破壊性および疲労特性に優れた高強度ボルト、およびその製造方法 - Google Patents

耐遅れ破壊性および疲労特性に優れた高強度ボルト、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車や各種産業機械等に用いられるボルトに関する。詳細には、引張強度が1500MPa以上の高強度ボルトについて、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善する技術に関する。
自動車や各種産業機械等に用いられるボルトには、高強度化が望まれており、近年では、1500MPa以上の引張強度が必要となっている。
上記ボルトには、高強度化と共に、耐遅れ破壊性の向上も望まれている。遅れ破壊とは、鉄鋼材料に応力が与えられてからある時間を経過した後に発生する破壊であり、この原因については、種々の要因が複雑に絡み合っていると考えられるので、その原因を特定することは難しい。即ち、遅れ破壊現象を左右する因子としては、焼戻し温度、組織、材料硬さ、結晶粒度、各種合金元素の影響等が一応認められているが、遅れ破壊の防止手段が確立されている訳ではなく、種々の方法が試行錯誤的に提案されているに過ぎないのが実情である。しかし、一般的には、水素脆化現象が関与しているという点で共通の認識が持たれている。
耐遅れ破壊性を改善する技術として、特許文献1、2が提案されている。これらのうち、特許文献1には、引張強さが1400MPa以上で、圧縮残留応力が引張強さの20〜95%であり、表面の十点平均粗さが10μm以下に制御した高強度ボルトが提案されている。上記圧縮残留応力を付与する方法としては、ボルト表面にパルスレーザービームを集光、照射する方法が記載されている。
一方、特許文献2には、成分組成として、Moを0.2〜1.2%含有したうえで、引張強度125kgf/mm2以上で、鋼材の表面から200μm以内の圧縮残留応力の最大値(σr)が素材の引張強度(σB)に対して、σr/σB≧0.6を満足する高強度機械構造用鋼が提案されている。上記圧縮残留応力を付与する方法としては、ショットピーニングが記載されている。
特開2006−291295号公報 特開平7−292434号公報
上記特許文献1では、圧縮残留応力を付与する方法として、ボルト表面にパルスレーザービームを照射する方法を採用しているため、生産性が極めて悪く、工業的に量産することは難しい。また、上記特許文献1の実施例では、焼入れ温度を950℃として熱処理を行っているため、ボルトの旧オーステナイト結晶粒が粗大化し、耐遅れ破壊性を充分に改善できていないと考えられる。
上記特許文献2では、鋼の焼入れ性を得るとともに、焼戻し軟化抵抗を有し、400℃以上の焼戻し温度で125kgf/mm2以上の引張強度を得るためにMoを0.2〜1.2%含有しているが、強度を高めるためにSiを1.5〜3.0%含有する鋼種においてMoを0.2%以上添加すると、熱間延性が著しく低下することがあり、工業的に量産することが難しくなることがある。
遅れ破壊は、一般的に、C量が高くなるほど生じやすくなるため、例えば、ボルトの表層を意図的に脱炭させることが考えられる。しかし、表層を脱炭すると、表層の硬さが低下するため、疲労特性が悪化する。よって、耐遅れ破壊性と疲労特性を高いレベルで両立することは困難である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1500MPa以上の引張強度を確保したうえで、耐遅れ破壊性および疲労特性に優れた高強度ボルト、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る高強度ボルトとは、母材の成分組成が、質量%で、C:0.25〜0.5%、Si:1.5〜3.0%、Mn:0.1〜1.5%、P:0%超0.03%以下、S:0%超0.03%以下、Cr:0.05〜1.5%、Mo:0%以上0.2%未満、Al:0.01〜0.1%、およびN:0.002〜0.020%を含有し、更に、Ti:0.02〜0.1%、およびNb:0.02〜0.1%の1種または2種を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなるボルトである。そして、上記ボルトは、引張強度が1500MPa以上で、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力が、引張強度×0.15MPa以上であり、ボルトの軸部における直径をDとしたとき、D/4位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が5〜15μmである点に要旨を有する。
上記ボルトは、更に、他の元素として、質量%で、
(a)Cu:0%超0.5%以下、およびNi:0%超1%以下の1種または2種、
(b)V:0%超0.5%以下、およびW:0%超0.5%以下の1種または2種
等を含有してもよい。
上記ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量の割合は、前記母材のC量に対して50〜110%であることが好ましい。
本発明に係る高強度ボルトは、焼入れ焼戻し後に、転造加工、またはショットピーニングより選ばれる少なくとも一つを行うことによって圧縮残留応力を付与することにより製造できる。前記焼入れは、カーボンポテンシャルが母材のC量に対して50〜110%の雰囲気で行なうことが好ましい。上記圧縮残留応力を付与した後は、更に焼鈍してもよい。
本発明によれば、ボルトの成分組成、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力、およびボルトの軸部における直径Dに対するD/4位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を適切に制御しているため、1500MPa以上の引張強度を確保したうえで、耐遅れ破壊性および疲労特性を高いレベルで両立した高強度ボルトを提供できる。また、本発明によれば、上記高強度ボルトの製造方法も提供できる。
本発明者は、引張強度が1500MPa以上の高強度ボルトにおける耐遅れ破壊性および疲労特性を改善するために、鋭意検討を重ねた。その結果、ボルトの成分組成、特に、Si量を1.5〜3.0%と高く、Mo量を0.2%未満と低く制御すると共に、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力と、ボルトの軸部におけるD/4位置の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を適切に制御すれば、耐遅れ破壊性および疲労特性に優れた引張強度が1500MPa以上の高強度ボルトを実現できることを見出し、本発明を完成した。
まず、本発明に係るボルトの母材の成分組成について説明する。本発明に係るボルトは、基本成分として、C:0.25〜0.5%、Si:1.5〜3.0%、Mn:0.1〜1.5%、P:0%超0.03%以下、S:0%超0.03%以下、Cr:0.05〜1.5%、Mo:0%以上0.2%未満、Al:0.01〜0.1%、およびN:0.002〜0.020%を含有し、更に、Ti:0.02〜0.1%、およびNb:0.02〜0.1%の1種または2種を含有する。以下、成分組成における%は質量%を意味する。
Cは、ボルトの強度を確保するのに必要な元素であり、引張強度を1500MPa以上とするために、C量は0.25%以上とする。C量は、好ましくは0.30%以上、より好ましくは0.33%以上である。しかし、Cを過剰に含有すると耐遅れ破壊性および疲労特性が悪化するため、C量は0.5%以下とする。C量は、好ましくは0.45%以下、より好ましくは0.43%以下である。
Siは、脱酸剤として作用すると共に、ボルトの強度を確保するために必要な元素である。また、Siは、粗大なセメンタイトの析出を抑制し、耐遅れ破壊性の向上にも寄与する元素である。また、Siを含有することで、焼入れ焼戻し後の転造加工や、転造加工のショットピーニング等によってボルトの表層に高圧縮残留応力を付与できるため、耐遅れ破壊性および疲労特性を向上できる。こうした効果を発揮させるために、Si量は1.5%以上とする。Si量は、好ましくは1.6%以上、より好ましくは1.7%以上である。しかし、Siはフェライトを安定化させる元素であるため、過剰に含有すると焼入れ後にフェライトが析出し、疲労特性が悪化する。従って、本発明では、Si量は3.0%以下とする。Si量は、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.0%以下である。
Mnは、ボルトの強度を高めると共に、Sと化合物を形成することによって耐遅れ破壊性を悪化するFeSの生成を抑制する元素である。こうした効果を発揮させるため、Mn量は0.1%以上とする。Mn量は、好ましくは0.13%以上、より好ましくは0.15%以上である。しかし、Mnを過剰に含有するとMnSが粗大化し、応力集中源となって耐遅れ破壊性および疲労特性が悪化する。従って、本発明では、Mn量は1.5%以下とする。Mn量は、好ましくは1.3%以下、より好ましくは1.1%以下である。
Pは、不可避的不純物であり、結晶粒界に濃化して鋼の靭延性を低下させ、ボルトの耐遅れ破壊性を悪化する元素である。従って、本発明では、P量は0.03%以下とする。P量は、好ましくは0.015%以下、より好ましくは0.010%以下である。P量はできるだけ少ない方が好ましいが、0%とするのは製造上困難であり、通常、0.003%程度は含有する。
SもPと同様、不可避的不純物であり、結晶粒界に濃化して鋼の靭延性を低下させ、ボルトの耐遅れ破壊性を悪化する元素である。従って、本発明では、S量は0.03%以下とする。S量は、好ましくは0.015%以下、より好ましくは0.010%以下である。S量はできるだけ少ない方が好ましいが、0%とするのは製造上困難であり、通常、0.003%程度は含有する。
Crは、ボルトの耐食性を向上させ、耐遅れ破壊性を改善するために必要な元素である。こうした効果を得るため、本発明では、Cr量は0.05%以上とする。Cr量は、好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.20%以上である。しかし、Crを過剰に含有しても効果が飽和するため、コスト高となる。従って、本発明では、Cr量は1.5%以下とする。Cr量は、好ましくは1.3%以下、より好ましくは1.1%以下である。
Moは、焼戻し時に微細析出して鋼の靭延性を高め、ボルトの耐遅れ破壊性および疲労特性を改善する元素であるため、必要に応じて含有してもよい。Moを含有する場合は、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.004%以上、更に好ましくは0.01%以上である。しかし、本発明で規定する成分組成においてMoを0.2%以上含有すると、熱間延性が低下し製造できなくなる。また、Moは高価な元素であるため、過剰な添加はコスト高となる。従って、本発明では、Mo量は0.2%未満とする。Mo量は、好ましくは0.15%以下、より好ましくは0.10%以下である。
Alは、脱酸剤として作用すると共に、窒化物を形成してピンニング効果により旧オーステナイト結晶粒の粗大化を防止する元素であり、鋼の靭延性が向上し、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できる。こうした効果を発揮させるため、Al量は0.01%以上とする。Al量は、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.020%以上である。しかし、Alを過剰に含有すると粗大な窒化物を形成し、疲労特性を悪化させる。従って、本発明では、Al量は0.1%以下とする。Al量は、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.06%以下である。
Nは、Al、Ti、またはNb等と化合して窒化物を形成し、ピンニング効果により旧オーステナイト結晶粒の粗大化を防止する元素であり、鋼の靭延性が向上し、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できる。これらの効果を発揮させるため、N量は0.002%以上とする。N量は、好ましくは0.003%以上、より好ましくは0.0035%以上である。しかし、Nを過剰に含有すると粗大な窒化物を形成し、疲労特性を悪化させる。従って、本発明では、N量は0.02%以下とする。N量は、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.008%以下である。
TiおよびNbは、CやNと炭窒化物を形成し、ピンニング効果により旧オーステナイト結晶粒の粗大化を防止する元素であり、鋼の靭延性が向上するため、耐遅れ破壊性および疲労特性が向上する。TiとNbは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
Ti量は、0.02%以上とし、好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.05%以上である。Nb量は、0.02%以上とし、好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.05%以上である。しかし、TiおよびNbを過剰に含有すると、粗大な炭窒化物が形成し、疲労特性が悪化する。従って、本発明では、Ti量は、0.1%以下とし、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.06%以下である。Nb量は、0.1%以下とし、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.06%以下である。
本発明に係るボルトの基本成分は上記の通りであり、残部は実質的に鉄である。
但し、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避的不純物が鋼中に含まれることは当然に許容される。
本発明に係るボルトは、必要に応じて、更に、他の元素として、
(a)Cu:0%超0.5%以下、およびNi:0%超1%以下の1種または2種、
(b)V:0%超0.5%以下、およびW:0%超0.5%以下の1種または2種、
等を含有してもよい。
(a)CuおよびNiは、鋼の耐食性を向上させ、ボルトの耐遅れ破壊性を改善するのに作用する元素である。CuとNiは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
Cuは、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上、更に好ましくは0.13%以上である。しかし、Cuを過剰に含有しても上述した効果は飽和する。また、過剰に含有すると、熱間延性が低下して鋼の生産性が低下する。従って、本発明では、Cu量は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.35%以下である。
Niは、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上、更に好ましくは0.15%以上である。しかし、Niを過剰に含有しても上述した効果は飽和し、コスト高となる。従って、本発明では、Ni量は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.7%以下である。
(b)VおよびWは、炭窒化物を形成してピンニング効果により旧オーステナイト結晶粒の粗大化を防止する元素であり、耐遅れ破壊性および疲労特性を向上させるのに作用する。VとWは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
Vは、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上、更に好ましくは0.05%以上である。しかし、Vを過剰に含有しても上述した効果は飽和する。また、過剰に含有すると、焼入れ性が高くなりすぎて生産性が悪化する。従って、本発明では、V量は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
Wは、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.1%以上である。しかし、Wを過剰に含有しても上述した効果は飽和する。また、過剰に含有すると、焼入れ性が高くなりすぎて生産性が悪化する。従って、本発明では、W量は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
以上、ボルトの母材の成分組成について説明した。
本発明に係るボルトは、引張強度が1500MPa以上を前提としている。引張強度は、好ましくは1600MPa以上、より好ましくは1700MPa以上である。引張強度の上限は特に限定されないが、例えば、2200MPa程度である。
そして、本発明に係るボルトは、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力が、引張強度×0.15MPa以上であると共に、ボルトの軸部における直径をD(mm)としたとき、D/4位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が、5〜15μmであることが重要である。
(圧縮残留応力:引張強度×0.15MPa以上)
遅れ破壊と疲労破壊は、ボルトの中心部ではなく、表層部が破壊の起点となって発生することが多い。そこで、本発明では、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力を制御する。具体的には、ねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力が、引張強度×0.15MPa以上である。
上記深さ0.05mm位置に、引張強度×0.15MPa以上の圧縮残留応力を付与することによって、耐遅れ破壊性および疲労特性を向上できる。上記圧縮残留応力は、好ましくは引張強度×0.25MPa以上、より好ましくは引張強度×0.30MPa以上である。上記深さ0.05mm位置における圧縮残留応力は、高ければ高いほど好ましいが、ボルトの引張強度より高くなることはない。上記圧縮残留応力は、おおむね引張強度×0.90MPa以下である。
上記深さ0.05mm位置における圧縮残留応力は、X線残留応力測定法によって測定できる。
(平均粒径:5〜15μm)
ボルトの軸部における直径をD(mm)としたとき、D/4位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を15μm以下とすることも重要である。D/4位置における金属組織を適切に制御することによって、ボルトの靭延性を向上させることができ、耐遅れ破壊性および疲労特性を向上させることができる。上記平均粒径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。上記D/4位置における旧オーステナイト結晶粒はできるだけ小さい方が好ましいが、本発明の成分組成および製造条件を考慮すると、上記平均粒径は、おおむね5μm以上である。
本発明に係るボルトは、更に、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量(質量%)の割合が、ボルトの母材におけるC量(質量%)に対して、50〜110%であることが好ましい。上記ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量の割合を、前記母材のC量に対して、50%以上とすることによって、表層硬さを一段と高めることができ、疲労特性を一層向上させることができる。上記ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量(質量%)の割合は、前記母材のC量(質量%)に対して、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上である。一方、上記ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量の割合を、前記母材のC量に対して、110%以下とすることによって、表面硬さが硬くなり過ぎるのを抑制できる。その結果、耐遅れ破壊性を一層改善できる。上記ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量(質量%)の割合は、前記母材のC量(質量%)に対して、好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下である。
また、本発明のボルトは、更に、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が0.01〜5μmであることが好ましい。ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を5μm以下とすることによって、遅れ破壊の起点となる部分の靭延性を向上させることができるため、耐遅れ破壊性を向上させることができる。上記平均粒径は、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは2μm以下である。ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における旧オーステナイト結晶粒は、できるだけ小さい方が好ましいが、本発明の成分組成および製造条件を考慮すると、上記平均粒径は、おおむね0.01μm以上である。
次に、本発明に係るボルトの製造方法について説明する。
まず、上記化学成分を有する鋼を常法に従って溶製し、鋳造して鋼材とし、熱間圧延して圧延線材を製造する。熱間圧延前の鋼材の加熱温度は特に限定されないが、例えば、900〜1100℃とし、線材または棒鋼形状に仕上げ圧延すればよい。仕上げ圧延温度も特に限定されないが、例えば、800〜1000℃とすればよい。
次に、得られた圧延線材に、必要に応じて脱スケール処理、球状化焼鈍等の熱処理、皮膜処理、仕上げ伸線加工を施して鋼線を製造する。
次に、得られた鋼線を用い、冷間圧造などによってボルト形状に成形する。
次に、ボルト形状に成形して得られた中間製品に圧縮残留応力を付与することによって本発明のボルトが得られる。
本発明では、上記中間製品を焼入れ焼戻し後に、転造加工、またはショットピーニングより選ばれる少なくとも一つを行うことによって圧縮残留応力を付与することが推奨される。即ち、(a)焼入れ焼戻ししてから転造加工を行うか、(b)焼入れ焼戻ししてからショットピーニングを行うか、(c)焼入れ焼戻ししてから、転造加工とショットピーニングを順不同で行うことによって圧縮残留応力を付与すればよい。
(焼入れQ)
焼入れ時の加熱温度は、安定的にオーステナイト化処理するために、850℃以上とすることが好ましい。焼入れ時の加熱温度は、より好ましくは880℃以上、より好ましくは890℃以上である。しかし、950℃以上の高温に加熱すると、Al、Ti、Nb等によるピンニング効果が低下し、旧オーステナイト結晶粒が粗大化するため、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善しにくくなる。従って、本発明では、焼入れ時の加熱温度は、950℃未満とすることが好ましい。焼入れ時の加熱温度は、より好ましくは940℃以下、更に好ましくは930℃以下である。
焼入れ加熱時の雰囲気は特に限定されないが、カーボンポテンシャル(以下、「CP」という)は、例えば、ボルトの母材のC量に対して、50〜110%に制御することが好ましい。即ち、過度な脱炭が進行すると表層の結晶粒が粗大化し、耐遅れ破壊性および疲労特性が悪化することがある。また、脱炭が更に進行すると、表層にフェライトが析出し、疲労特性が一段と悪化する。過度の脱炭を抑制するためには炉内雰囲気を一酸化炭素と二酸化炭素の混合気とし、炉内のカーボンポテンシャルを制御することが好ましい。CPはボルトの母材のC量に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上である。一方、CPが高くなりすぎると過度な浸炭により耐遅れ破壊性が悪化することがある。従って、本発明では、CPはボルトの母材のC量に対して好ましくは110%以下、より好ましくは100%以下、更に好ましくは90%以下である。なお、CPは炉内に設置したコイル状のピアノ線(CPコイル)の炭素量を測定した値である。
(焼戻しT)
焼入れしたままのボルトは、靭性および延性が低いため、焼戻し処理を施す必要がある。焼戻し温度は、300℃以上とすることが好ましい。焼戻し温度は、より好ましくは330℃以上、更に好ましくは350℃以上である。しかし、焼戻し温度が高くなりすぎると旧オーステナイト結晶粒界に粗大なセメンタイトが析出し、耐遅れ破壊性を改善しにくくなる。従って、本発明では、焼戻し温度は、480℃以下とすることが好ましい。焼戻し温度は、より好ましくは460℃以下、更に好ましくは450℃以下である。
(転造加工R)
焼入れ焼戻しした後、転造加工してねじ部を形成することによって、圧縮残留応力を付与できる。
(ショットピーニングSP)
焼入れ焼戻しした後、ショットピーニングすることによって、圧縮残留応力を付与できる。
ショットピーニングの条件は特に限定されないが、例えば、ショット粒径、投射速度、投射時間を次のように制限することが好ましい。
ショット粒径は、30〜150μmとすることが好ましい。ショット粒径を小さくすると、ボルトの表層における圧縮残留応力を大きくすることができ、ショット粒径を大きくすると、ボルトの深部まで圧縮残留応力を付与できる。そこで、本発明では、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力を、引張強度×0.15MPa以上とするために、ショット粒径を選択すればよい。上記ショット粒径は、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上、更に好ましくは45μm以上である。しかし、ショット粒径を大きくし過ぎると、ボルトのねじ部の変形量が大きくなり、ねじの精度が悪くなる。従って、本発明では、上記ショット粒径は、150μm以下とすることが好ましい。上記ショット粒径は、より好ましくは130μm以下、更に好ましくは120μm以下である。
投射速度は、30〜150m/秒とすることが好ましい。投射速度を大きくすると、ボルトの表層における圧縮残留応力を大きくすることができる。そこで、本発明では、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力を、引張強度×0.15MPa以上とするために、投射速度を設定すればよい。上記投射速度は、好ましくは30m/秒以上、より好ましくは35m/秒以上、更に好ましくは40m/秒以上である。投射速度は大きければ大きいほど推奨されるが、設備上の制約により、上限は、概ね150m/秒以下となる。
投射時間は、10〜60分とすることが好ましい。投射時間を長くするほど、均一な圧縮残留応力を付与できる。従って、本発明では、投射時間は、10分以上とすることが好ましい。投射時間は、より好ましくは15分以上、より好ましくは20分以上である。しかし、投射時間を長くしすぎても効果は飽和するため、上限は、例えば、60分以下とすることが好ましい。投射時間は、より好ましくは50分以下、更に好ましくは40分以下である。
ショットピーニングの回数は、1回に限定されず、複数回でもよい。ショットピーニングを複数回行うことで、ボルトの表層の圧縮残留応力を一層高めることができるため、耐遅れ破壊性および疲労特性を一段と改善できる。ショットピーニングを複数回行う場合は、粒径が相対的に大きいショットを用いてボルトの深部まで圧縮残留応力を付与した後、粒径が相対的に小さいショットを用いてボルトの表面粗さを低下させると共に、ボルトの表層に大きな圧縮残留応力を付与することが有効である。
(焼鈍A)
ボルトの表層に圧縮残留応力を付与した後は、必要に応じて焼鈍してもよい。焼鈍することによってボルトの表層における歪みが均一化するため、耐遅れ破壊性および疲労特性を更に向上させることができる。
焼鈍条件は特に限定されないが、焼鈍温度は、例えば、150〜300℃の低温とし、焼鈍時間は、例えば、15〜60分とすればよい。
こうして得られたボルトは、引張強度が1500MPa以上で、しかも耐遅れ破壊性および疲労特性に優れているため、自動車や各種産業機械等に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
母材が、下記表1−1または表1−2に示す成分組成の鋼(残部は、鉄および不可避的不純物)を溶製してビレットとし、得られたビレットを熱間圧延して直径φが14mmの圧延線材を製造した。ビレットの加熱温度は1100℃、仕上げ圧延温度は850℃とした。尚、下記表1−1および表1−2において、「−」で表した箇所は無添加を意味する。
得られた圧延線材を、常法に従って、脱スケール処理、球状化焼鈍、脱スケール処理、皮膜処理、伸線加工、球状化焼鈍、脱スケール処理、皮膜処理、仕上げ伸線加工の順で金属組織および線径を整え、直径φが11.8mmの鋼線を製造した。
得られた鋼線から多段フォーマーを用いて冷間圧造にて、M12mm×P1.25mm、首下長さL70mmのフランジボルトを作製した。なお、Mは軸部の直径、Pはピッチを意味する。
得られたフランジボルトを、焼入れQ、焼戻しT、転造加工R、ショットピーニングSP、焼鈍A、の条件および順番を変えて処理した。下記表2に条件と工程順を示す。下記表2において、Qは焼入れ、Tは焼戻し、Rは転造加工、SPはショットピーニング、Aは焼鈍を意味している。
焼入れQは、下記表2に示す温度に加熱し、焼入れ加熱時のカーボンポテンシャル(CP)を下記表2に制御し、焼入れを行った。焼入れの加熱時間は20分とし、焼入れは60℃の油冷で行った。
焼戻しTは、下記表2に示す温度に加熱して行った。焼戻しの加熱時間は、45分とした。
ショットピーニングSPは、下記SP1またはSP2の条件を組み合わせて行った。下記表2にショットピーニングSPにおける具体的な組み合わせを示す。
SP1=ショット粒径:100μm、投射速度:50m/秒、投射時間:10分
SP2=ショット粒径:50μm、投射速度:50m/秒、投射時間:10分
ショットピーニングSPの後、必要に応じて、加熱温度:190℃、加熱時間:30分として焼鈍Aを行った。
得られたボルトについて、以下の手順で、(1)引張強度、(2)ねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力、(3)ねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量、(4)D/4位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径、および(5)ねじ底表面から深さ0.05mm位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を測定した。
(1)ボルトの引張強度は、JIS B1051(2009年)に従って測定した。結果を下記表3−1または表3−2に示す。本発明では、引張強度が1500MPa以上を合格とした。
(2)ボルトのねじ部について、ねじ底表面から深さ0.05mm位置が露出するように電解研磨し、露出面における圧縮残留応力を、以下の条件でX線残留応力測定法にて測定した。結果を下記表3−1または表3−2に示す。
X線入社方向:ボルト円周方向
出力 :40kV、40mA
照射時間 :60sec
スリット :1.0mm
また、上記引張強度に対する上記圧縮残留応力の比(圧縮残留応力/引張強度)を算出し、結果を下記表3−1または表3−2に示す。本発明では、上記比が0.15以上を合格とする。
(3)ボルトのねじ部を縦断面(ボルトの軸に対して平行な断面)で切断し、ねじ底表面から深さ方向に、EPMA(Electron Probe Micro Anlyzer)ライン分析を行い、ねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量を測定した。結果を下記表3−1または表3−2に示す。
また、母材のC量に対するねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量の割合を算出した。結果を下記表3−1または表3−2に示す。なお、ボルトの母材のC量としては、表1−1または表1−2に示したC量を用いて上記割合を算出した。
(4)ボルトの軸部を横断面(ボルトの軸に対して垂直な断面)で切断し、軸部の直径をDとしたとき、D/4位置における任意の0.039mm2の領域を、光学顕微鏡で、観察倍率400倍で観察した。画像解析してD/4位置における旧オーステナイト結晶粒の粒径を測定し、平均値を求めた。結果を下記表3−1または表3−2に示す。
(5)ボルトのねじ部を縦断面(ボルトの軸に対して平行な断面)で切断し、ねじ底表面から深さ0.05mm位置を、走査型電子顕微鏡で、観察倍率5000倍で観察し、電子線後方散乱回折法(Electron Backscatter Diffraction:EBSD)にて観察視野内における旧オーステナイト結晶粒の粒径を測定し、平均値を求めた。EBSD法による測定条件は、次の通りである。結果を下記表3−1または表3−2に示す。
装置名 :TSL製 OIM 結晶方位解析装置(EBSD)
加速電圧:15kV
分析範囲:幅50μm×縦52.5μm
Step:0.15μm
次に、得られたボルトについて、(6)耐遅れ破壊性および(7)疲労特性を評価した。
(6)まず、得られたボルトを、ロードセルを組み込んだ冶具にセットし、ナットランナーで締め付けることによってボルトの回転角度と軸力の関係について調べた。次に、以下2水準の遅れ破壊試験を行なった。下記遅れ破壊試験2の条件は、下記遅れ破壊試験1の条件よりも過酷な条件であり、下記遅れ破壊試験1で不合格となったボルトは、下記遅れ破壊試験2は実施しなかった。本発明では、下記遅れ破壊試験1で合格(○)となったボルトを耐遅れ破壊性に優れると評価し、下記遅れ破壊試験2で合格(○)となったボルトを耐遅れ破壊性に極めて優れると評価した。
(遅れ破壊試験1)ボルトを冶具に降伏点狙いで締め付けた後、冶具ごと1%HClに200時間浸漬することにより耐遅れ破壊性を評価した。ボルトは10本ずつ評価した。10本中1本も破断しなかった場合を合格とし、下記表3−1および表3−2では○と表記した。10本中1本でも破断した場合を不合格とし、下記表3−1および表3−2では×と表記した。
(遅れ破壊試験2)上記遅れ破壊試験1において、ボルトを冶具に降伏点狙いで締め付ける代わりに、ボルトを冶具に最大軸力(ボルト回転角度−軸力線図における最大軸力)狙いで締め付けた後、更に+90°締め付ける以外は同じ条件で試験を行ない、同じ基準で耐遅れ破壊性を評価した。結果を下記表3−1および表3−2に示す。
(7)油圧サーボパルサーを用いて以下2水準の疲労試験を行なった。下記疲労試験2の条件は、下記疲労試験1の条件よりも過酷な条件であり、下記疲労試験1で不合格となったボルトは、下記疲労試験2は実施しなかった。本発明では、下記疲労試験1で合格(○)となったボルトを疲労特性に優れると評価し、下記疲労試験2で合格(○)となったボルトを疲労特性に極めて優れると評価した。
(疲労試験1)ボルトの引張強度の0.5倍を平均応力とし、振幅応力は平均応力の16%として2×106回まで実施することで疲労特性を評価した。ボルトは5本ずつ評価し、5本中1本も破断しなかった場合を合格とし、下記表3−1および表3−2では○と表記した。5本中1本でも破断した場合を不合格とし、下記表3−1および表3−2では×と表記した。
(疲労試験2)上記疲労試験1において、ボルトの引張強度の0.5倍を平均応力とする代わりに、ボルトの引張強度の0.6倍を平均応力とする以外は同じ条件で試験を行ない、同じ基準で疲労特性を評価した。結果を下記表3−1および表3−2に示す。
下記表1−1、表1−2、表2、表3−1、および表3−2から、次のように考察できる。
No.1〜23、42〜44は、本発明で規定する要件を満足する例であり、高強度で、且つ優れた耐遅れ破壊性および疲労特性を発揮していることが分かる。即ち、No.1〜23、42〜44は、いずれも遅れ破壊試験1および疲労試験1による基準で合格となっている。特に、No.42、43と、No.1〜23、44を比較すると、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量の割合が、母材のC量に対して50〜110%に調整することによって、耐遅れ破壊性および疲労特性を一段と向上できることが分かる。即ち、No.1〜23、44は、遅れ破壊試験2および疲労試験2による基準においても合格となっている。
これに対し、No.24〜41は、本発明で規定するいずれかの要件を満足しない例であり、ボルトの製造自体ができないか、ボルトを製造しても、強度、耐遅れ破壊性、または疲労特性のうち少なくとも一つの特性が劣化している。
これらのうち、No.24〜26は、転造してから焼入焼戻しを行ったため、ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力が、引張強度との関係で低すぎた例である。その結果、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できなかった。
No.27は、C量が少なすぎる例であり、焼戻し温度を300℃としても1500MPa以上の引張強度を確保できなかった。
No.28は、C量が多すぎる例であり、鋼の靭延性が低下したため、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できなかった。
No.29は、Si量が少なすぎる例であり、結晶粒界に粗大なセメンタイトが析出したため、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できなかった。
No.30は、Si量が多すぎる例であり、フェライトが析出したため、疲労特性を改善できなかった。
No.31は、Mn量が多すぎた例であり、粗大なMnSが生成したため、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できなかった。
No.32は、P量が多すぎた例であり、Pが結晶粒界に濃化し、鋼の靭延性が低下したため、耐遅れ破壊性を改善できなかった。
No.33は、S量が多すぎた例であり、Pと同様、Sが結晶粒界に濃化し、鋼の靭延性が低下したため、耐遅れ破壊性を改善できなかった。
No.34は、Cr量が少なすぎた例であり、鋼の耐食性が低下したため、耐遅れ破壊性を改善できなかった。
No.35は、Mo量が多すぎた例であり、熱間延性が低下し、線材自体を製造できなかった。
No.36は、Al量が多すぎた例であり、粗大な窒化物が形成されたため、疲労特性を改善できなかった。
No.37は、N量が多すぎた例であり、粗大な窒化物が形成されたため、疲労特性を改善できなかった。
No.38〜40は、Ti量およびNb量が本発明で規定する範囲を下回り、少なすぎた例であり、D/4位置における旧オーステナイト結晶粒が粗大化したため、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できなかった。
No.41は、焼入れ温度が高すぎたため、D/4位置における旧オーステナイト結晶粒が粗大化し、鋼の靭延性が低下した例である。その結果、耐遅れ破壊性および疲労特性を改善できなかった。
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Claims (7)

  1. 母材の成分組成が、質量%で、
    C :0.25〜0.5%、
    Si:1.5〜3.0%、
    Mn:0.1〜1.5%、
    P :0%超0.03%以下、
    S :0%超0.03%以下、
    Cr:0.05〜1.5%、
    Mo:0%以上0.2%未満、
    Al:0.01〜0.1%、および
    N :0.002〜0.020%を含有し、
    更に、
    Ti:0.02〜0.1%、および
    Nb:0.02〜0.1%の1種または2種を含有し、
    残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    引張強度が1500MPa以上で、
    ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置における圧縮残留応力が、引張強度×0.15MPa以上であり、
    ボルトの軸部における直径をDとしたとき、D/4位置における旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が5〜15μmであることを特徴とする耐遅れ破壊性および疲労特性に優れた高強度ボルト。
  2. 更に、他の元素として、質量%で、
    V :0%超0.5%以下、および
    W :0%超0.5%以下の1種または2種を含有する請求項1に記載の高強度ボルト。
  3. ボルトのねじ底表面から深さ0.05mm位置におけるC量の割合が、前記母材のC量に対して50〜110%である請求項1または2に記載の高強度ボルト。
  4. 更に、他の元素として、質量%で、
    Cu:0%超0.5%以下、および
    Ni:0%超1%以下の1種または2種を含有する請求項3に記載の高強度ボルト。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高強度ボルトの製造方法であって、
    焼入れ焼戻し後に、転造加工、またはショットピーニングより選ばれる少なくとも一つを行うことによって圧縮残留応力を付与することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高強度ボルトの製造方法。
  6. 前記焼入れは、カーボンポテンシャルが母材のC量に対して50〜110%の雰囲気で行なう請求項5に記載の製造方法。
  7. 圧縮残留応力を付与した後、焼鈍する請求項5または6に記載の製造方法。
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