本発明は、電話による伝言の登録および再生方法に関し、特に登録されている伝言の中から再生するべき伝言データを抽出するためのコンピュータを利用した伝言方法に関する。
災害時に、被災地の住民と緊急連絡を行なうための仕組みとして、例えば東日本電信電話株式会社が提供する災害用伝言ダイヤルというサービスがある。このサービスは、地震などの被災地域に属する電話番号を登録対象として、登録者から例えば被災地域内にある自宅の電話番号など、ある電話番号と対応付けて電話網を介して伝言を受け付けて蓄積し、伝言の再生を希望する利用者からその電話番号の指定を受けると、電話番号と対応付けて登録されている伝言を再生するというものである(例えば非特許文献1参照。)。
また、インターネットを介して利用可能な伝言ボックスとして、グループに分けられたユーザからの暗証番号の入力に応じて、グループ毎に管理されている伝言ボックスに、ユーザから受信した情報を書き込んだり、ユーザから要求されたメッセージを読み出したりする技術が提示されている(例えば特許文献1参照。)。
特開平11−261629号公報
東日本電信電話株式会社、災害用伝言ダイヤル インターネット情報、[online]、[平成16年8月13日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt-east.co.jp/voiceml/>
しかし、これら従来の方法による伝言システムにおいては、伝言の再生を希望する利用者は、伝言登録者が登録した電話番号(登録者の自宅の電話番号)や利用者が所属するグループの暗証番号を知っていなければならない。伝言再生者が伝言登録者の自宅の電話番号を知っている場合は良いが、伝言再生者も被災者であるような場合には、手元にアドレス帳などが無いことが容易に想定され、伝言を再生しようにも登録者の電話番号を覚えていないために伝言を再生できない事態が発生することが考えられる。
本発明は、このような状況に鑑み、伝言が登録者の電話番号と対応づけて格納されている場合に、登録者の電話番号が不明でも伝言再生者が伝言を再生できるようにするための方法を提供することを目的とする。
そこで上記課題を解決するために、本発明は、第一の電話番号と対応づけて蓄積されている伝言データに対する、第二の電話番号からの該伝言データの再生要求に応じて、発信電話番号と着信電話番号とを対応づけて通話履歴を予め記録している履歴DBの中から、該発信電話番号が該第二の電話番号または該第二の電話番号の電話機から指示された電話番号と同一であるデータの該着信電話番号、または、該着信電話番号が該第二の電話番号または該第二の電話番号の電話機から指示された電話番号と同一であるデータの該発信電話番号として記録されている第三の電話番号を参照するステップと、前記伝言データのうち、前記第一の電話番号が前記第三の電話番号と同一であるデータの伝言データを再生するステップとを備える。
上述の通り、本発明の伝言方法では、伝言再生者は自分の電話番号さえわかれば過去に自分と通話したことがある人の伝言を再生することが可能になる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき説明する。なお、以下の実施例では本発明を実現するコンピュータの一例としてサーバと、利用者が利用する電話機やコンピュータとして利用者端末とを挙げ、これらのサーバや電話機はネットワークを介して接続されている。利用者端末は複数台存在してもよい。また、サーバが保持する各プログラムやデータを、ネットワークによってサーバと接続されている他のコンピュータに保持させ、サーバはそれら他のコンピュータからデータを読み出して処理を実施してもよい。
図1は、本発明による伝言方法をコンピュータで実現させるための一実施例の構成図である。図1の伝言システムは、本発明の処理を実施するサーバ1と、電話機である利用者端末4aから4nと、サーバ1および利用者端末4aから4nを接続するネットワーク3から構成されている。サーバ1はコンピュータであって、処理を実施するためのプログラムとして電話交換プログラム11や履歴登録プログラム12や伝言登録プログラム13や伝言再生プログラム14を、処理を実施する際に利用するデータファイルとして、履歴DB21や伝言DB22をそれぞれ記憶手段に保持している。また、利用者から直接操作を受け付けるための入力装置18や、情報を出力するための出力手段19を備えている。
電話交換プログラム11は、複数の利用者端末間で行なわれる電話回線の接続や切断などを行なうためのプログラムである。サーバ1は電話交換プログラム11によって利用者からの電話発呼を受け付けたり、着呼先の利用者端末へ回線を接続させたりする。
履歴登録プログラム12は、電話交換プログラム11が発呼を受け付けた利用者端末の電話番号や、着呼先の電話番号など回線接続の履歴データを履歴DB21に登録する。
伝言登録プログラム13は、伝言登録者である利用者が利用する利用者端末から受け付けた伝言を、伝言DB22に登録する。
伝言再生プログラム14は、伝言再生者である利用者が利用する利用者端末から受け付けた伝言の再生要求を受け付け、伝言DB22の中から再生対象となる伝言を抽出し出力する。
履歴DB21は、利用者端末の通話履歴に関する情報を管理するためのデータファイルであり、発呼元の電話番号である発呼番号と、着呼先の電話番号である着呼番号と、発呼を受け付けた日時と、回線が接続されていたすなわち通話がなされていた時間である通話時間とに関する情報を対応付けて格納している。また、発呼元の電話機および着呼先の電話機がどの位置からの発信または着呼であったかに関する発呼位置の情報および着呼位置の情報を併せて格納してもよい。
伝言DB22は、利用者端末から受け付けた伝言を管理するためのデータファイルであり、伝言登録者の電話番号である登録番号と、伝言登録日時と、伝言内容である音声データとを対応付け格納している。また、伝言を登録する際に利用した電話機の位置情報に関する情報を格納してもよい。
ネットワーク3は、電話回線やインターネットなどの通信網であって、サーバ1や複数の利用者端末同士を互いに通信が可能なように接続している。ネットワーク3は接続されたコンピュータや電話機同士が互いに通信可能であれば、どのような形態のネットワークであっても良い。
利用者端末4aから4nは、利用者同士の電話通話を行なったり、利用者からの伝言登録や伝言再生の指示をサーバ1へ送信したり、サーバ1から送信されてきた伝言を音声出力したりする電話機である。電話機は固定電話であっても携帯電話であっても電話機能を備えたコンピュータであっても構わない。
なお、サーバ1は、図示しない以下のようなハードウェア構成を備えている。すなわち、サーバ1は、それぞれバスで相互に接続されている入力装置や、出力装置や、ドライブ装置や、補助記憶装置や、メモリ装置や、演算処理装置や、インターフェース装置を有するように構成されている。なお、これらコンピュータを構成する各種デバイスは、1つの筐体に収容してもよいし複数の筐体に分散して収容されていてもよい。
入力装置は例えばキーボードやマウスなどで構成され、様々な操作指示をコンピュータに入力するために用いられる。出力装置は例えばディスプレイやプリンタなどで構成され、操作に必要な各種ウインドウやデータ等を出力する。インターフェース装置は、ネットワーク3に接続する為のインターフェースであり、例えばモデムやルータ等で構成される。
これらコンピュータを制御するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体によって提供されることもできる。プログラムを記録した記録媒体は、ドライブ装置にセットされ、プログラムがドライブ装置を介して補助記憶装置にインストールされる。プログラムを記録した記録媒体としては、例えばCD−ROMやフレキシブルディスクや光磁気ディスク(MO)等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、又はROMやフラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることが可能である。
また、プログラムはインターフェース装置を介して接続される他のコンピュータの記録媒体等に記録されているものも含まれる。他のコンピュータの記録媒体等に記録されているプログラムは、インターフェース装置を介してダウンロードされて補助記憶装置にインストールされる。補助記憶装置は、インストールされたプログラムと、そのプログラムの処理に必要な各種ファイル等を格納する。メモリ装置は、起動時に補助記憶装置からプログラムを読み出して格納する。演算処理装置は、メモリ装置に格納されたプログラムに従って、サーバ1が実施すべき処理を各種プロセスで実現する。
図2は、サーバ1が保持しているデータファイルの例である。図2(A)は、履歴DB21の例である。この例では、電話をかけてきた発呼元の電話番号である発呼番号と、電話のかけ先の電話番号である着呼番号と、発呼日時と、通話時間と、発呼元電話機の位置に関する情報である発呼位置と、着呼先電話機の位置に関する情報である着呼位置とに関する情報が対応付けて記録されている。これらの情報は、通常の通話が行なわれるに応じて履歴登録プログラム12によって登録される。
発呼位置および着呼位置のデータは、発呼元および着呼先の電話機が存在する位置または地域が判明した場合に登録されるものであり、例えば、発呼元および着呼先電話機が携帯電話であれば、どの基地局を利用したかによって求められるおよその存在範囲を示す情報が登録される。このようなデータを参照することで、伝言再生プログラム14は、どの発呼番号からどの着呼番号へ電話がかけられたか、ある2つの電話機間では互いに電話を掛けあっているのかまたはどちらかが一方的に電話を掛けているのか、発呼時または着呼時にどの位置にいたかなどを判断することができる。
図2(B)は、伝言DB22の例である。この例では、伝言を登録した電話機の電話番号である登録番号と、伝言を登録した登録日時と、実際の伝言内容を示す情報と、伝言を登録した電話機の位置に関する情報である位置情報とが対応付けて記録されている。これらの情報は、伝言登録プログラム13によって登録される。
伝言内容のデータは、利用者が利用者端末を介して登録した音声データそのものが登録されていても良いし、音声データの所在を示すアドレスが登録されていても良い。
位置情報のデータは、伝言を登録した電話機が存在する位置または地域が判明した場合に登録されるものであり、例えば、伝言を登録した電話機が携帯電話であれば、どの基地局を利用したかによって求められるおよその存在範囲を示す情報が登録され、避難所に設けられた仮設の電話機であれば、電話番号から求められる避難所の情報が登録される。このようなデータを参照することで、伝言再生プログラム14は、伝言再生対象とする電話番号が登録番号として記録されているデータの伝言内容の情報を読み出して出力することができる。
次に、本発明の伝言方法について、図を参照しつつ説明していく。
図3は、図1のコンピュータシステムにおいてサーバ1が行なう履歴登録処理の一例のフローチャートである。この処理は伝言の登録に先立って行なわれるもので、通話履歴を履歴DB21に登録するための処理である。
まずステップS11で電話交換プログラム11が、利用者端末4aから利用者端末4nを掛け先としたの発呼を受け付けると、ステップS12で履歴登録プログラム12は、利用者端末4aの電話番号である発呼番号と、電話の掛け先である利用者端末4nの電話番号である着呼番号と、発呼を受け付けた日時とを対応づけて新たに履歴DB21に登録する。なお、発呼元または着呼先の電話機が携帯電話などで位置情報を取得できた場合には、あわせて発呼位置または着呼位置の情報も登録する。
次にステップS13で着呼先の利用者端末4nから応答があった場合に、電話交換プログラム11は、通話時間のカウントを開始する。そしてステップS14で通話が終了した場合に、電話交換プログラム11は通話時間のカウントを終了し、履歴登録プログラム12は先にステップS12で登録したデータの通話時間の情報として、通話時間を登録する。
なお、ステップS12はステップS13の後に行なわれても良く、ステップS14の処理と一緒に行なわれても構わない。また、上記説明は、利用者端末4aを発呼元電話機として、利用者端末4nを着呼先電話機として説明したが、いずれの電話機が発呼元もしくは着呼先であっても構わない。
図4は、従来例の伝言登録および伝言再生処理のフローチャートである。上述の災害用伝言ダイヤルでは、ステップS21で、特別な電話番号である「171」番を着呼番号とした発呼を受け付けると、ステップS22で利用者が操作する電話機からの指示に応じて、伝言の登録処理もしくは再生処理のいずれを行なうかを判断する。伝言登録の指示がなされた場合には、ステップS23で電話番号(利用者の自宅の電話番号)の入力を受け付け、ステップS24で伝言の音声入力を受け付け、ステップS25で上記受け付けた電話番号と伝言の音声データとを対応づけてデータベースへ格納して終了する。
ステップS22で再生の指示を受け付けた場合には、ステップS26で伝言再生対象の電話番号すなわち伝言を聞きたい相手の電話番号(伝言登録者の自宅の電話番号)の入力を受け付け、ステップS27で入力された電話番号を元にステップS25で格納したデータベースを検索し、該当するデータが見つかった場合には、ステップS28でその電話番号に対応付けて登録されていた伝言音声を再生して終了する。
従来例では、ステップS26で受け付ける再生対象電話番号は、伝言登録者がステップS23で入力した電話番号と同一である必要があるため、伝言登録者の電話番号を知っている利用者しか伝言を再生できないことになる。
図5は、図1のコンピュータシステムにおいてサーバ1が行なう伝言登録処理の一例のフローチャートである。ステップS31で、電話交換プログラム11が特別な電話番号として例えば「171」番を着呼番号とした発呼を利用者が操作する利用者端末4aから受け付けると、ステップS32で利用者端末4aからの指示に応じて、伝言の登録処理もしくは再生処理のいずれを行なうかを判断する。
ステップS31では、例えば図7の61に示すような音声案内を出力し、利用者端末4aの利用者へ、登録処理もしくは再生処理のいずれを行なうかを指示入力させる。
伝言登録の指示がなされた場合には、ステップS33へ進み、伝言登録プログラム13が電話番号(利用者の自宅の電話番号)の入力を受け付け、ステップS34で伝言の音声入力を受け付け、ステップS35で発呼してきた電話機である利用者端末4aの位置情報を取得し、ステップS36で上記受け付けた電話番号を伝言DB22の登録番号欄へ、伝言の音声データを伝言内容欄へ、登録日時を登録日時欄へ、電話機の位置情報が取得できた場合はその情報を位置情報欄へそれぞれ対応づけて格納して終了する。登録番号欄に登録された電話番号が請求項の第1の電話番号に相当する。
図5に示した本発明における伝言登録処理は、図4の従来例と比較すると、ステップS35において位置情報を取得し、ステップS36で該位置情報も格納する点で異なっている。
図6は、図1のコンピュータシステムにおいてサーバ1が行なう伝言再生処理の一例のフローチャートである。図5のステップS31において、利用者端末4nからの発呼を受け付け、ステップS32において伝言再生の指示を受け付けた場合には、伝言再生プログラム14へ処理を引き継ぎ、端子1を介して図6に示したフローへ処理を移行する。
伝言再生プログラム14はステップS41で、ステップS31で電話交換プログラム11が受け付けた利用者端末4nの電話番号、すなわち発呼元の電話番号を元に、履歴DB21を参照し、発呼番号もしくは着呼番号が利用者端末4nの電話番号と同一であるデータを検索する。利用者端末4nが避難所に設けられた仮設電話などの場合には、利用者端末4nを利用する利用者から自宅の電話番号の入力を受け付け、それを発呼元の電話番号として履歴DB21を検索する。この伝言再生を要求してきた発呼元の電話番号が請求項の第2の電話番号に相当する。
利用者端末4nの利用者が被災者であって手元にアドレス帳などを保持していなかったとしても、自宅の電話番号は覚えている可能性が非常に高いと想定されるため、利用者端末4nの利用者にとって、ステップS41で自宅の電話番号を入力することは容易なことである。
なお、この際に、自宅の電話番号を入力した利用者の本人確認を行なうための手段が設けられても良い。本人確認を行なうための手段としては、例えば本人の誕生日など他人が知っている可能性の低い情報を電話番号の入力と併せて、利用者に入力させても良い。
そしてステップS42で、履歴DB21で検索されたデータからステップS41で得た発呼元の電話番号の通話相手として、すなわち、発呼元の電話番号が履歴DB21の発呼番号欄にあればそのデータの着呼番号として、発呼元の電話番号が履歴DB21の着呼番号欄にあればそのデータの発呼番号として登録されている電話番号を得る。ここで得た電話番号が伝言の再生対象電話番号であり、請求項の第3の電話番号に相当する。
例えば、利用者端末4nの電話番号もしくは利用者端末4nから入力された電話番号が「03−1234−5678」であった場合、ステップS41で図2(A)に示すような履歴DB21から、発呼番号もしくは着呼番号が「03−1234−5678」であるデータを検索する。図2(A)の例では、1,2,3,4行目とn行目のデータが検索される。そしてステップS42で、検索されたデータから通話相手の電話番号すなわち着呼番号もしくは発呼番号に登録されている電話番号として、「03−9877−6543」「03−5555−5555」「011−333−3333」「090−1234−5678」を得る。これら4つの電話番号が再生対象電話番号となる。
第1の実施例では、ステップS42の次は、AのルートをたどってステップS43へ進む。ステップS43で、伝言再生プログラム14は、ステップS42で得た伝言の再生対象電話番号である電話番号を元に、伝言DB22に対する検索順序を生成する。この検索順序は、運用状況に応じて適宜決定されればよく、例えば、履歴DB21において現在日時から一ケ月以内で発呼日時が最新のものからの順番でもよいし、一ケ月以内での出現回数が多いすなわち多く通話した相手先からの順番でもよいし、一ケ月以内で累積の通話時間が多い順からの順番でもよい。
ステップS44で伝言再生プログラム14は、ステップS42で得た再生対象電話番号につき、ステップS43で設定した順序に応じて伝言DB22の登録番号欄をキーとして検索する。そしてステップS45で、検索できたデータについて伝言内容を読み出し、利用者端末4nへネットワーク3を介して再生出力する。
例えば、ステップS43で再生対象候補を履歴DB21において現在日時から一ケ月以内で出現回数が多い通話相手からの順番にした場合には、図2(A)に示す履歴DB21の例では、ステップS42で検索した「03−9877−6543」「03−5555−5555」「011−333−3333」「090−1234−5678」のうち、「03−5555−5555」が出現回数が2で一番多いので、これを順番の最初に設定する。他の番号はこの例では出現回数がそれぞれ1回で同じなので、どのような順番にしても良いが、例えば発呼日時が最新のものから順番にしたとすると、「090−1234−5678」「011−333−3333」「03−9877−6543」の順に設定する。
そして、ステップS44で、ステップS43で設定した順番に伝言DB22の中からデータを検索する。最初の検索対象として伝言DB22の登録番号欄の中から「03−5555−5555」を検索し、伝言DB22の2行目のデータを得て、相手の電話番号、伝言登録日時、伝言登録場所、伝言内容を音声出力する。音声出力としては、例えば図7の62に示すような案内音声に続き、図7の63に示すような出力をしてもよい。
続いて、2番目の検索対象として「090−1234−5678」を検索し、伝言DB22の3行目のデータを得て、最初の結果と同様に音声出力する。続いて3番目の検索対象として「011−333−3333」を検索し、この電話番号は伝言DB22には登録されていなかったので何も出力せず、4番目の検索対象として「03−9877−6543」を検索し、伝言DB22の1行目のデータを得て、最初の結果と同様に利用者端末4nに向けてネットワーク3を介して音声出力する。
第1の実施例では以上述べた方法により、サーバ1は、利用者端末4aから登録された伝言を伝言DB22に記録する。また、利用者端末4nから再生の指示を受け付けた場合に、通話履歴を元に抽出した通話相手の電話番号を再生対象電話番号として伝言DB22から検索し再生する。従って、従来例では図4のステップS26に示すように、伝言再生者が再生対象の電話番号を直接に入力する必要があるのに対し、本発明では、図6のステップS41およびS42において、伝言再生者の通話履歴を元に伝言再生者が過去に通話したことがある相手の電話番号を抽出し、該抽出した電話番号を再生対象の電話番号として伝言DB22の中から検索するようにしているので、伝言再生者は自分の電話番号のみわかっていればよく、再生対象の電話番号を入力する必要がなくなる。
第2の実施例では、伝言登録処理は第1の実施例と同様であって、伝言再生処理の一部が第1の実施例と異なり、図6のステップS42とステップS43の間にBのルートの処理が付加されている。Bのルートでは、履歴DB21に登録されていた通話相手であっても、通話を行なった2台の電話機間では互いに電話を掛けあっているのか、またはどちらかが一方的に電話を掛けているのかによって、伝言の再生内容を変化させるための処理を行なっている。
ステップS42の次は、BのルートをたどってステップS51へ進む。ステップS51において、伝言再生プログラム14は、ステップS42で得た伝言の再生対象電話番号である通話相手の電話番号とステップS41で検索対象とした利用者端末4nから示された電話番号との関係を履歴DB21から参照し、該2つの電話番号は互いに発呼元および着呼先の両方として登録されているすなわち互いに電話を掛けあっているのか、どちらか一方のみが発呼元として登録されているすなわちどちらかが一方的に電話を掛けているのかを判断する。
互いに電話をかけあっていると判断された場合には、ステップS52へ進み、バッファ上に一時的に記憶している再生対象電話番号である該相手先電話番号について伝言をフル再生するフル再生フラグを付与する。どちらかが一方的に電話を掛けていると判断された場合には、ステップS53へ進み、バッファ上に一時的に記憶している再生対象電話番号である該相手先電話番号について伝言を一部のみ再生する一部再生フラグを付与する。
ステップS52またはS53の処理が終わると、第1の実施例で述べたステップS43の処理へ移行する。そして、ステップS44の処理の後ステップS45で伝言を再生する際に、付与したフラグに基づいて伝言の再生を行なう。フル再生フラグが付与されている電話番号については出力できる情報を全て出力するものとし、例えば、伝言に対応づけられている電話番号、伝言の登録日時、位置情報、伝言の音声を、ネットワーク3を介して利用者端末4nへ出力する。一部再生フラグが付与されている電話番号については、一部の情報のみを出力するものとし、例えば、伝言に対応づけられている電話番号、伝言の登録日時、位置情報のみを、ネットワーク3を介して利用者端末4nへ音声出力する。
一部再生フラグは、伝言内容については出力しないが、伝言が登録されているという情報のみを出力することで、伝言再生者は、自分に関連がある伝言登録者が伝言を登録しているすなわち生存しているということを知ることができる。
例えば、ステップS42で得た通話相手番号のうち、「03−5555−5555」については、履歴DB21の中に図2(A)の1、2、3、4、n行目に示す以外に、この番号を発呼番号とし、「03−1234−5678」を着呼番号とするデータがあったとすれば、これら2つの電話番号の電話機は互いに電話を掛け合っていることがわかるためステップS51の判断はYESとなり、ステップS52で「03−5555−5555」の番号についてはフル再生フラグを付与する。また、「090−1234−5678」については、「03−1234−5678」を発呼番号とするデータが無かったとすれば、これら2つの電話番号の電話機では「090−1234−5678」の電話機が一方的に電話を掛けていることがわかるためステップS51の判断はNOとなり、ステップS53で「090−1234−5678」の番号については一部再生フラグを付与する。
そして、このフラグの付与状態に基づき、ステップS45でフル再生フラグを付与されている「03−5555−5555」の番号については、例えば図7の63に示すように、伝言DB22から電話番号、伝言の登録日時、位置情報、伝言の音声のデータを全て出力する。また、一部再生フラグを付与されている「090−1234−5678」の番号については、例えば図7の64に示すように、電話番号、伝言の登録日時、位置情報のみを音声出力する。
第2の実施例では以上述べた方法により、利用者端末4aから登録された伝言を伝言DB22に記録する。また、利用者端末4nから再生の指示を受け付けた場合に、通話履歴を元に抽出した通話相手の電話番号を再生対象電話番号として伝言DB22から検索し、再生する。さらに、伝言の再生を、通話履歴を元に得られる2つの電話番号間の関係に応じて、全て出力するのか一部のみ出力するのか変化させる。
従って、本発明では、伝言再生者は自分の電話番号のみわかっていればよく、再生対象の電話番号を入力する必要がなくなるとともに、通話履歴から求められる自分と相手との通話関係に応じて伝言を再生させることができる。通話関係において、どちらかが一方的に電話を掛けている関係、すなわち電話機を利用している利用者間で互いに電話を掛け合っている関係よりも希薄な関係の場合の伝言は、伝言DB22の一部の情報のみを出力するようにしているので、伝言出力にかかる時間を削減することができ、ひいては、再生対象の伝言が複数ある場合には、短時間に多くの伝言を再生することができるようになる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更や応用が可能である。
第1の実施例と第2の実施例のいずれにおいても、存在位置の情報をサーバ1が把握できる例えば携帯電話などについては、伝言DB22に該当するデータが記録されていなくても、履歴DB21に記録されている情報を利用して他の情報を提供することも考えられる。例えば、履歴DB21の発呼日時と発呼位置または着呼位置に記録された位置情報とを元にすれば、伝言DB22に伝言再生対象の携帯電話の番号が登録されていなくても、伝言再生者にとって携帯電話利用者の安否確認として有用な情報を提供することができる。
具体的には、例えば、履歴DB21に、発呼番号または着呼番号が対象とする携帯電話の番号であって、発呼日時が災害発生直前の例えば1時間以内で携帯電話の位置が被災地域内、すなわち発呼番号が携帯電話の番号であれば発呼位置が、着呼番号が携帯電話の番号であれば着呼位置が被災地域内であるデータが登録されていれば、「xxx番の携帯電話は、災害発生直前に被災地域内で通話したことが確認されました。伝言は登録されていません。」というような音声を、ネットワーク3を介して利用者端末4nへ出力する。これにより、利用者端末4nを利用する伝言再生者に、自分の過去の通話相手であった該携帯電話の利用者が被災した可能性が高く、安否は不明であることを類推させることができる。
また、履歴DB21に、発呼番号または着呼番号が対象とする携帯電話の番号であって、発呼日時が災害発生時以後で携帯電話の位置が被災地域内であるデータが登録されていれば、「xxx番の携帯電話は、災害発生後に被災地域内で通話したことが確認されました。伝言は登録されていません。」というような音声を出力する。これにより、伝言再生者に該携帯電話の利用者は被災したものの生存している可能性が高いことを類推させることができる。
また、履歴DB21に、発呼番号または着呼番号が対象とする携帯電話の番号であって、発呼日時が災害発生時以後で携帯電話の位置が被災地域外であるデータが登録されていれば、「xxx番の携帯電話は、災害発生後に被災地域外で通話したことが確認されました。」というような音声を出力する。これにより、伝言再生者に該携帯電話の利用者は被災していない可能性が高いことを類推させることができる。
図1に示した図は一例であって、実際のプログラムモジュールの構成に合致しない場合もある。さらに、図2(A)乃至(B)に示したデータの保持の仕方についても、同様のデータを管理可能な限りにおいて他の方式を用いても構わない。
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)コンピュータに、登録されている伝言データを再生させるための方法であって、第一の電話番号と対応づけて蓄積されている伝言データに対する、第二の電話番号からの該伝言データの再生要求に応じて、発信電話番号と着信電話番号とを対応づけて通話履歴を予め記録している履歴DBの中から、該発信電話番号が該第二の電話番号または該第二の電話番号の電話機から指示された電話番号と同一であるデータの該着信電話番号、または、該着信電話番号が該第二の電話番号または該第二の電話番号の電話機から指示された電話番号と同一であるデータの該発信電話番号として記録されている第三の電話番号を参照するステップと、前記伝言データのうち、前記第一の電話番号が前記第三の電話番号と同一であるデータの伝言データを再生するステップとを備えたことを特徴とする伝言方法。
(付記2)さらに、前記履歴DBに記録されている内容に応じて、前記伝言データの再生順序を決定するステップを備え、前記再生するステップは、前記決定された再生順序に従って伝言データを再生することを特徴とする請求項1記載の伝言方法。
(付記3)さらに、前記履歴DBの中に、前記第三の電話番号と前記第二の電話番号とが、互いに前記発信電話番号と前記着信電話番号の両方として登録されているデータが存在するかどうかに応じて、前記伝言データの再生レベルを決定するステップを備え、前記再生するステップは、前記決定された再生レベルに従って前記伝言データを再生することを特徴とする請求項1記載の伝言方法。
(付記4)前記再生レベルを決定するステップは、前記履歴DBの中に、前記第三の電話番号と前記第二の電話番号とが、互いに前記発信電話番号と前記着信電話番号の両方として登録されているデータが存在する場合は前記伝言データの内容を全て再生し、前記第三の電話番号と前記第二の電話番号とのどちらか一方のみが前記発信電話番号として登録されている場合は前記伝言データの内容を一部再生すると決定することを特徴とする請求項1記載の伝言方法。
(付記5)コンピュータに、登録されている伝言データを再生させるためのプログラムであって、コンピュータに、第一の電話番号と対応づけて蓄積されている伝言データに対する、第二の電話番号からの該伝言データの再生要求に応じて、発信電話番号と着信電話番号とを対応づけて発呼履歴を予め記録している履歴DBの中から、該発信電話番号が該第二の電話番号または該第二の電話番号の電話機から指示された電話番号と同一であるデータの該着信電話番号、または、該着信電話番号が該第二の電話番号または該第二の電話番号の電話機から指示された電話番号と同一であるデータの該発信電話番号として記録されている第三の電話番号を参照するステップと、前記伝言データのうち、前記第一の電話番号が前記第三の電話番号と同一であるデータの伝言データを再生するステップとを機能させることを特徴とするプログラム。
本発明による伝言システムの一実施例の構成図である。
本発明のデータファイルのデータ例である。
本発明による履歴登録処理のフローチャートである。
従来例による伝言登録および伝言再生処理のフローチャートである。
本発明による伝言登録処理のフローチャートである。
本発明による伝言再生処理のフローチャートである。
本発明による音声の出力例である。
符号の説明
1 サーバ
3 ネットワーク
4a 利用者端末
11 電話交換プログラム
12 履歴登録プログラム
13 伝言登録プログラム
14 伝言再生プログラム
18 入力手段
19 出力手段
21 履歴DB
22 伝言DB