以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。
ユーザが自席にいる場合は、パーソナルコンピュータ(PC)からインターネットやイントラネット等のネットワークを経由して電子掲示板にアクセスし、従来から一般的なウェブサービスの形で電子掲示板に対する閲覧やメッセージ投稿などの作業を行うことができる。ところが、ユーザが外出した場合、携帯型のPCを持っていなければ、自席と同様の電子掲示板へのアクセス環境を得ることはできない。一方、最近は電子メールの送受信機能を備えた携帯電話機が広く普及しているので、携帯電話機で電子掲示板の情報を提供したり、電子掲示板へメッセージを投稿できたりすると、ユーザに対する利便性を向上できる。
この実施の形態では、電子掲示板に対し、メッセージの登録などのような電子掲示板内容の更新がなされた場合に、その更新の通知の緊急性などの状態に応じて、ユーザが持つ複数の通知先(例えば電子メールアドレス)のうちの適切な通知先にその更新が通知されるようにする。
また、この実施の形態では、電子掲示板に登録されたメッセージを電子メール及び音声でユーザに提供する機能と、電子掲示板に対して音声でメッセージを登録する機能をユーザに提供することで、携帯電話機やそれに類する機能が限定された端末から、電子掲示板の利用をしやすくする。
図1は、この実施の形態のシステム構成例を示す図である。この実施の形態のシステムは、電子掲示板システム10、通知処理装置20、及びCTI装置30を備える。
電子掲示板システム10は、ユーザに対して電子掲示板サービスを提供するシステムであり、一般的なウェブ経由での電子掲示板サービスの機能に加え、音声メッセージの登録及び提供の機能を備える。
電子掲示板システム10は、例えば企業での各業務(タスク)ごとの情報共有に利用することができる。この場合、例えば、業務ごとに異なる電子掲示板をシステム10内に作成し、各業務の関係者を、対応する電子掲示板の参加者として登録する。電子掲示板の参加者は、例えば掲示板の閲覧のみが許されるオブザーバと、書込(メッセージ登録)も許されるメンバー、メンバーの中で当該掲示板を主催するリーダー等というように、権限に応じて分類される。
電子掲示板システム10の内部構成の一例を図2に示す。図2において、掲示板アプリケーションサーバ12は、インターネット70経由でウェブアプリケーション等の形で電子掲示板の閲覧や電子掲示板へのメッセージ登録(投稿)のサービスをユーザに提供するサーバである。掲示板アプリケーションサーバ12は、従来から知られた電子掲示板管理機能に加え、この実施の形態では、電子掲示板に対して加えられた更新、例えば掲示板へのメッセージの登録や既登録メッセージの内容更新などについて、その更新の関係ユーザへの通知の緊急度を求める機能を備える。緊急度は、例えば、ユーザがメッセージを登録したり更新したりする際のユーザインタフェース画面に、緊急度選択用のGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)部品を設け、そのGUI部品を用いて緊急度の選択肢の中からそのユーザに選択してもらえばよい。緊急度の選択肢としては、例えば「通常」、「緊急」の2段階を例示することができるが、更に詳細な段階を設けてもよい。GUI部品では、デフォルトの緊急度は「通常」としておき、特に緊急性が高い場合などにユーザがそれを変更するようにすればよい。また、電子掲示板に既に登録されているメッセージに対して返信メッセージを登録する場合には、その返信メッセージが、親である既登録メッセージの緊急度を継承するようにすることも好適である。緊急性が高いと指定されたメッセージに対する返信は、やはり関係ユーザに素早く伝わるようにした方がよいからである。
掲示板アプリケーションサーバ12は、求めた緊急度の情報を、通知処理装置20に渡す。
掲示板DB(データベース)14は、電子掲示板システム10が管理する各電子掲示板の情報(当該電子掲示板に登録されたメッセージやその属性情報のリストなど)が登録されるデータベースであり、テキストのメッセージだけでなく音声メッセージも登録できる。また、掲示板DB14に対しては、CTI装置30経由での電子掲示板への音声メッセージの登録、及び電子掲示板に登録されたメッセージの取得のために、それぞれ音声登録インタフェース104及び音声取得インタフェース106というライブラリプログラム或いはAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)を用意する。これらの点以外は、掲示板DB14は、従来一般的な掲示板DBと同様のものでよい。
ユーザDB16は、電子掲示板システム10に対する登録ユーザのユーザ情報を管理するデータベースである。ユーザDB16が管理するユーザ情報には、例えばユーザID、ユーザ名、パスワード等の認証情報、当該ユーザの電子メールアドレス等の個人情報が含まれる。
特に電子メールアドレスに関しては、この実施の形態では、図3に示すように、ユーザごとに通常時用と緊急時用の2種類のアドレスをユーザDB16で管理する。通常時用の電子メールアドレスは、例えば、自席のパーソナルコンピュータなど、ユーザが通常使用する端末に対応したメールアドレスであり、緊急時用の電子メールアドレスは、ユーザが携帯する携帯電話機等の携帯端末に対応したメールアドレスである。緊急度として、「通常」、「緊急」の2段階よりも更に詳細な段階を設け、各段階毎にそれぞれ通知先メールアドレスを登録できるようにしてももちろんよい。
また、ユーザDB16で、各ユーザが掲示板DB14内のどの電子掲示板に対してどのようなアクセス権(閲覧のみ可能、閲覧及び投稿が可能、閲覧も投稿も不可など)を持つかというアクセス権情報、言い換えれば各ユーザが各電子掲示板に対してどのような権限種別のユーザであるかを示す情報を管理することもできる。なお、このアクセス権の情報は掲示板DB14で管理してもよい。
認証サーバ18は、電子掲示板システム10に対してアクセスしようとするユーザの認証を行うサーバである。認証サーバ18は、ユーザから入力された認証情報を受け取り、これが正しいものか否かをユーザDB16の登録情報を参照して判定する。認証サーバ18は、インターネット70経由でのアクセスに対してユーザ認証を行う機能に加え、CTI装置30から認証要求を受け付ける機能を備える。後者の機能を呼び出すためのライブラリプログラム又はAPIとして認証インタフェースが用意されている。
再び図1に戻り、通知処理装置20について説明する。通知処理装置20は、電子掲示板システム10において掲示板の更新(メッセージの投稿(登録)、既存メッセージの削除や変更など)があった場合に、その更新内容を関連するユーザに知らせる電子メール(「通知メール」と呼ぶ)を作成し、配信する装置である。関連するユーザは、例えば、更新された掲示板に対して閲覧や投稿のアクセス権を持つユーザである。また、掲示板ごとに、その掲示板が更新された場合に通知メールを送るユーザを登録しておくこともできる。掲示板の更新内容や、通知メールの送り先のユーザの情報は、掲示板アプリケーションサーバ12から提供される。
掲示板の更新を電子メールで知らせるシステムは従来より存在しているが、従来のシステムが提供する通知メールは、投稿者や投稿されたメッセージ、そのメッセージへのURL(Uniform Resource Locator)を提供するものが一般的である。ユーザ端末40がPCであれば、このURLを用いて投稿されたメッセージを閲覧し、更にウェブブラウザ経由で返信を投稿したりすることができるが、ウェブブラウザ機能を持たない携帯電話機では、そのようなことはできない。また、仮にウェブブラウザ機能を持つ携帯電話機でも、投稿された音声メッセージを再生したり、それに対する返信のメッセージを登録したりするのに、電子掲示板のウェブページのリンクをたどる操作をするのは煩わしいことである。そこで、この実施の形態では、電子掲示板が更新された場合、更新の対象となったメッセージだけでなく、そのメッセージに対して可能な電子掲示板上の操作を呼び出すためのアクセス情報を含んだ通知メールを作成し、関係者に提供する。ここでは携帯電話機での利用を想定しているので、電子掲示板上の操作としては、音声メッセージの再生、音声メッセージの登録(返信、又は当該掲示板への新規メッセージ登録)が主な例となる。テキストのメッセージは、その通知メールに示されているので改めて閲覧する必要はないし、メッセージに対してテキストで返信や新規のメッセージを入力するのは携帯電話機では煩雑である。アクセス情報としては、ユーザ端末40のメールクライアント・ソフトウエアがURL等のようにリンク情報として認識できる書式のものを用いる。例えば、一般的なPC用のメールクライアントは、"http://"で始まる文字列をウェブページのURLと認識し、この文字列がクリックされた場合にウェブブラウザを起動してそのURLにアクセスする機能を備えるが、それと同様に携帯電話機のメールクライアントは、"TEL:"から始まる数字列や、"0"から始まり桁数が電話番号の条件に該当する数字列を電話番号と解釈し、この数字列がクリックされた場合に電話番号に対して発呼を行う機能を一般に備える。この実施の形態では、アクセス情報として、この電話番号の書式を利用することで、電話回線を介して音声メッセージの再生(取り出し、ダウンロード)や登録(アップロード)を行えるようにする。
図4及び図5に、通知処理装置20から携帯電話機に送信される通知メールの内容の例を示す。図4は音声メッセージが電子掲示板に投稿(登録)された場合に、図5はテキストメッセージが投稿された場合に、それぞれ関係者に送信される通知メールの例である。まず、図4を例にとって、通知メール200の情報内容について説明する。
図4に示すように、通知メール200は、メッセージが投稿された電子掲示板の名称202,メッセージ投稿者のユーザ名204,投稿されたメッセージのタイトル206,そのメッセージのテキスト内容208に加え、このメッセージに対する返信操作を指示するためのアクセス情報210a,そのメッセージの再生操作を指示するためのアクセス情報210b,及び当該掲示板への新規のメッセージ(投稿メッセージへの返信ではない)の登録操作を指示するためのアクセス情報210cが含まれる。
例えばアクセス情報210aは、"039876543*1195"という文字列であるが、このうち初めの"039876543"は、ユーザ端末40からの指示を受け付けるCTI装置30の電話番号である。また、"*"は電話番号とその後に続くサブアドレス(内線番号或いは拡張番号とも呼ばれる)とを区切る所定の文字である。"1195"はサブアドレスであり、この実施の形態では、このサブアドレスに、操作の種類や操作の対象となるメッセージや電子掲示板の識別情報(それぞれメッセージID、掲示板IDと呼ぶ)を含める。例えば、図示例では、サブアドレスの先頭の1つの数字が操作の種類を示しており、例えば"0"は、通知メールで通知された音声メッセージの再生操作を意味する。また、"1"は通知メールで通知されたメッセージに対して音声メッセージで返信する操作を意味し、"2"は通知されたメッセージが登録された掲示板に対し新規の、すなわち返信でない音声メッセージを登録する操作を意味する。通知メールを読んだユーザが、そのメールで通知されたメッセージに触発され、そのメッセージの返信ではないが、当該電子掲示板に対して発言を行いたい場合は、この新規登録操作を利用する。なお、通知メール200にアクセス情報を載せる操作としては、以上に例示した音声再生、音声返信、新規音声登録の他に、通知メールに示されたメッセージを当該ユーザが閲覧したことを電子掲示板システム10に通知する操作や、そのメッセージの削除操作などがある。ユーザからの閲覧通知は、電子掲示板システム10により記録される。電子掲示板システム10は、各ユーザからの閲覧通知を集計し、個々のメッセージにつき、関係ユーザのうちのどの程度がそのメッセージを閲覧したかを求めて電子掲示板に表示することができる。また削除操作の場合、電子掲示板システム10は、ユーザ認証により当該メッセージの投稿者(あるいはその投稿者のメッセージを削除する権限を有する他の者)と判定された場合にのみ、その操作を許可する。
サブアドレスの先頭の数字の後に続く3桁乃至2桁の数字列は、操作の対象となるメッセージ又は電子掲示板の識別番号である。この識別番号は、掲示板DB14に登録された複数の電子掲示板、及びそれら掲示板中の多数のメッセージに対し、それぞれ一意的に付与された番号である。なお、操作の対象となるメッセージは、言い換えれば再生又は返信の対象となるメッセージのことであり、これはすなわち通知メールでの通知の対象となったメッセージのことである。また、操作の対象となる電子掲示板は、新規のメッセージが登録される電子掲示板であり、すなわちその通知の対象のメッセージが属する電子掲示板のことである。
アクセス情報210aを例にとって説明したが、アクセス情報210b,210cも同様の構成である。なお、各アクセス情報210a〜cの隣には、そのアクセス情報の操作内容を示す説明(「返信」など)が記述されており、ユーザはこの記述を見ることで所望の操作に対応したアクセス情報を特定することができる。
また、図5に示すテキストメール投稿時の通知メッセージも図4と同様の内容構成を持っている。図4の例との最も大きな相違は、図4の例の場合通知メールの対象であるメッセージが音声メッセージであるため、再生操作のためのアクセス情報210aが含まれるのに対し、図5の例の場合は再生操作のためのアクセス情報210aが含まれない点である。掲示板に投稿されたメッセージがテキストである場合、そのメッセージの内容は、通知メール200中のテキスト内容208の欄に示されるので、再生操作は必要ないからである。
なお、掲示板に音声メッセージが投稿された場合、そのメッセージのタイトルやテキスト内容は電子掲示板システム10が自動生成し、それらタイトル及びテキスト内容と関連づけてその音声メッセージのデータを掲示板DB14に登録する。したがって、図4に例示した通知メールでも、メッセージのタイトル206やテキスト内容208は電子掲示板システム10で自動生成された内容となっている。
なお、以上では、携帯電話機向けの通知メールについて説明したが、PC向けの通知メールについてはメッセージのURL等を含んだ従来のものでよい。図6にPC向けの通知メール300の内容の一例を示す。この例では、通知メール300は、携帯電話機向けの場合と同様、掲示板名302、メッセージ投稿者のユーザ名304,メッセージのタイトル306,メッセージのテキスト内容308,及びアクセス情報310を含む。ただし、アクセス情報300は、携帯電話機向けの通知メールの場合と異なり、電子掲示板システム10が提供する当該メッセージを表示するウェブページのURLである。ユーザがこの通知メール300を受け取り、PCのメールクライアント上でこのURLをクリックすれば、PCのウェブブラウザがそのURLを用いてそのウェブページにアクセスする。そして、そのウェブページ上のリンクやボタンをマウス等のポインティングデバイスで操作することで、返信や新規メッセージ登録、音声再生等といった各種の操作を行うことができる。
図1の説明に戻ると、そのような通知メールを生成し配信するため、通知処理装置20は、アクセス情報作成部22,メッセージ・操作対応情報記憶部24,及び通知メール作成・配信部26を備える。
アクセス情報作成部22は、電子掲示板システム10から掲示板の更新、例えばメッセージの投稿や更新の通知を受けた場合、通知メール200に記述するアクセス情報210a,210b,210c、又はアクセス情報310を作成する。この場合、電子掲示板システム10は、掲示板に対してメッセージの投稿や更新があると、その掲示板の掲示板名及び掲示板ID、投稿又は更新したユーザのユーザ名、メッセージのメッセージID、タイトル及びテキスト内容、その投稿又は更新されたメッセージの種別、及び緊急度を通知処理装置20に渡す。メッセージの種別は、例えばテキストか音声かを示す種別である。アクセス情報作成部22は、その掲示板ID、メッセージID及びメッセージ種別の情報に基づき、メッセージ・操作対応情報記憶部24を参照することで、通知メール200に組み込むべきアクセス情報210a等を生成する。
なお、アクセス情報作成部22は、アクセス情報210a,210b,210cを作成するのか、アクセス情報310を作成するのかを、通知メールの送り先のアドレスの種類に応じて判定する。送り先が携帯電話機のメールアドレスであればアクセス情報210a,210b,210cを作成し、送り先がPCに対応するメールアドレスであればアクセス情報310を生成する。送り先が携帯電話機であるかPCであるかは、例えば携帯電話機向けのメールサーバのPC向けのメールサーバのサーバ名をあらかじめ通知処理装置20に登録しておき、送り先メールアドレスのメールサーバ名に基づき判定すればよい。また、緊急度が「通常」の場合はPCのメールアドレスに、「緊急」の場合は携帯電話のメールアドレスに送るように取り決める場合は、電子掲示板システム10から知らされた緊急度に応じてどちらのアクセス情報を作成するかを判定できる。
メッセージ・操作対応情報記憶部24には、メッセージの種類ごとに、その種類のメッセージに対して可能な操作の種類が登録されている。図7にその例を示す。図7の例では、テキストメッセージに対しては音声による返信と新規の音声メッセージ登録の操作が、音声メッセージに対してはそれら音声返信及び新規音声登録に加え、その音声メッセージの再生操作が登録されている。これは携帯電話向けの通知メールを作成する際に利用される。アクセス情報作成部22は、電子掲示板システム10から通知された投稿又は更新されたメッセージの種別に対応する操作種別をメッセージ・操作対応情報記憶部24から求める。そして、それら操作種別ごとに、その操作種別のコード(前述の例では0,1,又は2)と、電子掲示板システム10から通知されたメッセージID(再生又は返信の場合)又は掲示板ID(新規登録の場合)とを組み合わせることで、アクセス情報のサブアドレスを生成する。そして、アクセス情報作成部22は、CTI装置30の受付電話番号の後にそれら各サブアドレスを追加することで、各操作に対応したアクセス情報210a等を生成する。
通知メール作成・配信部26は、電子掲示板システム10から通知された掲示板名、ユーザ名、メッセージのタイトル及びテキスト内容と、アクセス情報作成部22が生成した各アクセス情報210a等とを本文に含んだ通知メールを作成する。通知メールの宛先は、当該メッセージが登録された掲示板の各登録ユーザ(該掲示板にアクセス権を持つユーザ)であるが、これら各登録ユーザの電子メールアドレスは、電子掲示板システム10のユーザDB16から取得すればよい。
この通知メールの宛先は、電子掲示板システム10から知らされた緊急度に応じて選択する。すなわち、通知メール作成・配信部26は、電子掲示板システム10のユーザDB16から、宛先となるユーザの各々について、当該緊急度に対応する通知先の電子メールアドレスを取得する。
通知メール作成・配信部26は、このようにして作成した各ユーザ宛の通知メールを、SMTPサーバなどのメールサーバ50を介して各ユーザに向けて送信する。
通知メールを受け取ったユーザ端末40は、その通知メールに示されたアクセス情報210a等やURLを用いてメッセージに対する各種操作を行うことができる。ユーザ端末40が携帯電話機である場合、ユーザが通知メール200上のアクセス情報210a等を選択すると、メールクライアントが選択されたアクセス情報を用いて発呼処理を行う。発呼された呼は公衆回線網60(携帯電話網も含む)を介してCTI装置30に受信される。
CTI装置30は、携帯電話機等のユーザ端末40から、電話回線(公衆回線網60)を介して、音声又は公衆回線網60の制御信号を用いた操作要求を受け取り、その操作要求に対する処理を実行する。CTI装置30の中核となるのがCTI処理部32であり、例えばユーザ端末40からのDTMF(Dual Tone Multi-Frequency )信号や各種制御信号から発信元ユーザの情報やユーザの入力情報を取り出し、それら情報に基づいて電子掲示板システム10に対する処理を実行する。音声応答処理部34は、CTI処理部32が処理を行うに当たってユーザに提供する案内その他のための音声応答を生成する。アクセス情報解析部36は、ユーザ端末40からの送信されてくるサブアドレスを解析することで、ユーザが要求する操作の種類と、その操作の対象となるメッセージ又は掲示板のIDを求める。
CTI処理部32の詳細を、図8を参照して説明する。CTI処理部32の中の認証処理部322は、電話回線から得たユーザの発番号(発信者電話番号)や、PIN(Personal Identification Number)情報の情報に基づき、ユーザ認証やユーザのアクセス権確認のための処理を行う。すなわち、認証処理部322は、発番号、PIN情報、及びサブアドレス(又はこれを解析して得た操作種別と、メッセージID又は掲示板ID)の情報を引数にして認証インタフェース102(ライブラリプログラム又はAPI)を呼び出すことで、電子掲示板システム10の認証サーバ18にユーザ認証及び当該ユーザの当該メッセージに対するアクセス権の確認を依頼する。ユーザ認証は発番号及びPIN情報に基づき行われる。また、アクセス権の確認は、操作の対象となるメッセージID又は掲示板IDと、その操作種別の情報とに基づき、当該ユーザがそのメッセージ又は掲示板に対しその操作種別の操作が許可されるのかを判定する。これらユーザ認証及びアクセス権確認は従来周知の技術なのでこれ以上の説明は省略する。
認証処理部322は、認証サーバ18から認証成功の回答を受けた場合はユーザからの操作要求の処理を進め、認証失敗の場合は所定のエラー処理を実行する。また、認証サーバ18からアクセス権確認の結果として、ユーザが要求した操作が認められる旨の回答を受けた場合は、その旨を操作制御部324に渡す。アクセス確認の結果、ユーザが要求した操作が認められない場合は、CTI処理部32は所定のエラー処理を実行する。
操作制御部324は、ユーザ端末40から送られてきたサブアドレスに基づきユーザの要求内容を判定し、その判定結果に応じて音声情報変換・登録部326や音声情報再生部328を起動する。サブアドレスからの要求内容の判定は、アクセス情報解析部36に依頼する。
その判定の結果、要求された操作種別が音声返信や新規音声登録である場合は、音声情報変換・登録部326を起動し、その操作の対象となるメッセージID又は掲示板ID(これらはサブアドレスから抽出できる)を音声情報変換・登録部326に渡す。音声情報変換・登録部326は、ユーザ端末40から電話回線を介して送られてくる音声を所定の音声ファイル形式のファイルに変換し、このファイルと操作対象のメッセージID(返信の場合)又は掲示板ID(新規登録の場合)とを引数として音声登録インタフェース104を呼び出す。呼び出された音声登録インタフェース104は、掲示板DB14にアクセスし、その音声ファイルを、当該メッセージIDのメッセージに対する返信として、又は当該掲示板IDの掲示板に対する新規メッセージとして、掲示板DB14に登録する。返信の場合は、その返信メッセージを、当該掲示板のメッセージ群が構成するスレッド群に対し、元のメッセージ(通知メールに示されたもの)の子として登録する。新規メッセージの場合は、これを当該掲示板の新規スレッドの最上位に登録する。
また、ユーザから要求された操作種別が音声再生の場合は、操作制御部324は音声情報再生部328を起動し、対象となるメッセージIDを渡す。音声情報再生部328は、そのメッセージIDを引数として音声取得インタフェース106を呼び出す。音声取得インタフェース106は、掲示板DB14からそのメッセージIDに対応して登録された音声ファイルを取得し、音声情報再生部328に渡す。音声情報再生部328は、その音声ファイルを再生し、その再生音声を電話回線経由で要求元のユーザ端末に送る。
また、図示は省略したが、ユーザから要求された操作の種別が、ユーザが当該メッセージを閲覧したことを示す閲覧通知である場合、CTI処理部32は、対象となるメッセージIDと当該ユーザのユーザIDを引数として閲覧通知登録用のAPIを呼び出すことで、掲示板DB14に対してそのユーザがそのメッセージを閲覧した旨を登録する。要求された操作がメッセージの削除である場合は、CTI処理部32は、対象となるメッセージIDを引数として削除用のAPIを呼び出すことで、掲示板DB14からそのメッセージを削除する。
次に、図9及び図10を参照して、この実施の形態における処理の流れを説明する。まず、図9を参照して、音声メッセージの再生が行われる場合の処理の流れを説明する。
この処理の流れでは、まず電子掲示板システム10にメッセージが登録されると、そのメッセージに関係するユーザに対して通知処理装置20から通知メールが送信される(S1)。通知メールには、そのメッセージに関連する各種操作を呼び出すアクセス情報が含まれる。例えば、その音声メッセージを「聴く」(再生)という操作に対しては、CTI装置30の電話番号と「聴く」操作を示すコードと操作対象のメッセージのIDとを含んだアクセス情報となる。通知メールを受け取ったユーザ端末40で、ユーザがメールクライアントの表示画面上で所望の操作に対応するアクセス情報を選択すると(S2)、そのメールクライアントがユーザ端末40の発呼機能を呼び出し、そのアクセス情報を用いてCTI装置30に電話を掛ける(S3)。このとき、CTI装置30は、ユーザ端末40の発番号、サブアドレスなどの情報を電話回線から取得する。
CTI装置30は、ユーザ端末40に対してPINコードを要求する(S4)。この要求は、音声応答生成部34が「PINコードを入力してください」等といった案内音声を生成し、それを電話回線経由でユーザ端末40に送る。これを受けたユーザ端末40で、ユーザがテンキーを操作してPINコードを入力すると、そのPINコードがDTMF信号としてCTI装置30に送信される(S5)。なお、回線提供業者によっては、発呼に含まれるサブアドレスを交換局等で除去する場合もあるが、そのような場合には、このPINコード要求と同様にして、音声案内に従ってユーザにサブアドレスを入力してもらってもよい。
PINコードを受け取ったCTI装置30は、電子掲示板システム10を呼び出し、発番号、PINコード、サブアドレスのデータを渡してユーザ認証及びアクセス権確認を依頼する(S6)。この例は、電子掲示板システム10がサブアドレスから操作種別と操作対象を判定する場合の例であるが、CTI装置30側でその判定を行い、その判定結果の操作種別及び操作対象の情報を電子掲示板システム10に渡してもよい。これにより、電子掲示板システム10では、認証サービスのためのサーブレットが起動される。このサーブレットは、ユーザ認証・アクセス権確認を行う。認証サーブレットは、例えばPINコードが発番号に対応した正しいものでない場合、正当なユーザでないと判定する(認証失敗)。なお、この判定のため、ユーザDB16には、各ユーザの電話番号とPINコードとが登録されている。また、認証サーブレットは、「非通知」モードなどによりユーザ端末40から発番号が送られてこない場合は、認証失敗とする。また、認証サーブレットは、発番号とPINコードのよるユーザ認証が成功した場合、操作対象のメッセージIDに対応する掲示板のIDを掲示板DB14から求め、その掲示板IDに対してそのユーザがR(読み出し)権を持つかどうかをユーザDB16又は掲示板DB14から求める。R権がなければ、認証失敗とする。認証が失敗した場合、認証サーブレットはその旨をCTI装置30に通知し、CTI装置30はそれに従って所定のエラー処理を実行する(図示省略)。
ユーザ認証が成功し、操作に対しユーザがアクセス権を持つことが確認されると、認証サーブレットは、認証が成功した旨の情報と、そのユーザのユーザID及びユーザ名(及びそのふりがな)、再生対象メッセージが登録された掲示板の掲示板ID及び掲示板名、及びその掲示板に対してそのユーザが持つアクセス権の情報をCTI装置30に渡す(S7)。ユーザ名のふりがなの情報は、その後の処理で音声案内を行う際にその中でユーザの名前を呼ぶ時などに利用する。
認証が成功した場合、CTI装置30は、操作対象のメッセージIDを指定してそのIDに対応する音声メッセージの取得要求を電子掲示板システム10に送る。これを受けた電子掲示板システム10では、その要求に対応するサーブレットが起動され、そのサーブレットがそのメッセージIDに対応する音声ファイルを掲示板DB14から取り出し、CTI装置30に渡す(S8)。
CTI装置30は、この音声ファイルのダウンロード(S8)中に、これからメッセージを再生する旨を示す音声案内を電話回線経由でユーザ端末40に対して行う(S9)。図示例ではユーザ名と、掲示板名と、メッセージID(又はメッセージタイトル)を含んだ音声案内を行っている。そして、音声ファイルがダウンロードできると、CTI装置30は、その音声ファイルを再生し、再生された音声を電話回線経由でユーザ端末40に提供する(S10)。
そして、再生が完了すると、CTI装置30は、終了確認処理を行う(S11)。終了確認処理では、例えば、「再度聴きたい場合は1番を、再生を終了する場合は2番を、返信を吹き込む場合は3番を押してください。」などといった案内音声をユーザ端末40に対して送る。ユーザ端末40は、この案内に対するユーザの選択結果をDTMF信号としてCTI装置30に送信する(S12)。ここで、再度聴くことが選択された場合CTI装置30は音声ファイルを再度再生し、返信吹き込みが選択された場合CTI装置30はユーザ端末40から送信されてくる音声をファイルに変換し、電子掲示板システム10に登録する。なお、返信の吹き込みは、当該ユーザが当該掲示板に対してW(書込)権を持っている場合にのみに許可され、この返信吹き込みの音声案内も同様の場合にのみ行われる。
次に、図10を参照して、音声メッセージに対する返信が行われる場合の処理の流れを説明する。図10において、図9に示したステップと同様のステップには同一符号を付してその説明を適宜省略する。
電子掲示板システム10へのメッセージの投稿に応じてユーザ端末40に通知メールが送られ(S1)、それに対してユーザが返信のためのアクセス情報を選択すると(S2)、ユーザ端末40からCTI装置30に電話が掛けられる(S3)。CTI装置30は、ユーザからPINコードの入力を受け(S4,5)、このPINコード等の情報を用いて電子掲示板システム10からユーザ認証及びアクセス権の確認を受ける(S6,7)。
ユーザ認証が成功すると、CTI装置30は、音声メッセージの吹き込みを促すメッセージをユーザ端末40に送り、ユーザに吹き込みを促し(S21)、これに応じてユーザが音声メッセージを吹き込む(S22)。CTI装置30は、吹き込み開始から所定時間が経過したり、或いは通話の無音状態が所定時間続いたりするなどの所定の終了条件が満足されると、終了確認処理を行う(S23)。終了確認処理では、例えば「音声吹き込みを終了してよろしいですか。OKの場合は1番を、やり直しの場合は2番を、吹き込んだ音声を確認したい場合は3番を押してください」などといった案内音声をユーザ端末40に送り、それに対するユーザの回答をDTMF信号として受け取る。やり直しが指示された場合は吹き込み処理(S21,22)を繰り返し、確認が指示された場合は、吹き込まれた音声を再生してユーザ端末40に送り、再度終了確認処理(S23)を行う。OKが選択された場合は、CTI装置30は、吹き込まれた音声の音声ファイルを電子掲示板システム10に送り登録を要求する(S24)。電子掲示板システム10では、音声登録処理のためのサーブレットが起動される。このサーブレットは、掲示板DB14に対しその音声ファイルと、自動生成したメッセージタイトル及びメッセージテキスト内容を登録し、通知処理装置20に対して必要な情報を渡して、その登録した音声メッセージに対する通知メールの送信を指示する(S25)。
図10では、返信の場合を説明したが、音声メッセージを掲示板に新規登録する場合も同様の流れでよい。
また、図9,図10の例では、ユーザ認証のためにPINコードの入力をユーザに要求していたが、これは必須のことではない。
以上説明したように、この実施の形態では、電子掲示板の更新(メッセージの登録や、既登録メッセージの更新など)を知らせる通知メールに対し、その更新内容を示す情報に加え、その更新に対してユーザが実行可能なアクション、例えば音声メッセージの再生や音声返信の吹き込みなどの操作、を示すアクセス情報を操作ごとに組み込んだ。これにより、ユーザは、ウェブページのリンクを何段階もたどるなどといった煩雑な作業をしなくても、単に通知メールを読んだらその画面上で所望の操作を示すアクセス情報を選択するだけで、掲示板に対して所望の操作を行うことができる。
また、この実施の形態によれば、メッセージ登録やメッセージ更新などのような電子掲示板の更新イベントの緊急度(関係者への周知の緊急性)に応じて、適切な通知先のメールアドレスに通知メールを送ることができる。例えば、緊急性の高い更新イベントが起こった場合は、あらかじめユーザDB16に登録された緊急用のメールアドレス(例えばユーザが普段携帯する携帯端末のメールアドレス)に通知メールを送るので、通知が素早くユーザに届くことが期待できる。
なお、素早く届く可能性が高いからといって、常に緊急用のメールアドレスに通知を送ったのでは、受け取ったユーザは常に携帯電話機等の比較的能力の小さい端末で作業を行わなければならないのでかえって不便である。このため、上記実施の形態では、緊急でない場合には、通常時用のメールアドレスに送信するようにしている。
また、以上の例では、ユーザ端末40が携帯電話機である場合を主たる例として説明したが、携帯電話機以外でも、電話回線を介して音声を送受信できる端末であれば、上記実施の形態における電話回線を経由した操作方式を適用可能である。また、緊急度に応じて適切な通知先を選択する方式については、携帯電話機に限らず、音声送受信機能の有無によらず携帯端末一般に適用可能である。
以上の例では、電子掲示板更新イベントを関係ユーザに通知する際の緊急度に応じて通知先を選択したが、通知先の選択基準はこれに限らない。例えばユーザに、投稿又は更新したメッセージの重要度を指定させ、その重要度に応じて通知メールの通知先を選択してもよい。また、電子掲示板に登録されたメッセージの他の属性に基づいて通知先を選択してもよい。
以上の例では、電子掲示板の更新を電子メールで関連ユーザに通知する場合を例にとったが、電子メール以外にも、インスタントメッセージやショートメールなど、様々な通知手段があり、そのような他の通知手段にも上記実施の形態の方式は適用可能である。
また、以上の例では、電子掲示板システム10、通知処理装置20、及びCTI装置30がそれぞれ別々の装置であるとして説明したが、これはあくまで役割上の分担を示すものに過ぎない。それら各役割を実際のハードウエア装置として実現するに当たっては、実施の形態通りそれら各役割を別々の装置にしてもよいし、それら役割のうち2つ乃至3つを1つの装置にまとめてもよいし、また個々の役割を複数の装置に分けて実装してもよい。
10 電子掲示板システム、12 掲示板アプリケーションサーバ、14 掲示板DB、16 ユーザDB、18 認証サーバ、20 通知処理装置、22 アクセス情報作成部、24 メッセージ・操作対応情報記憶部、26 通知メール作成・配信部、30 CTI装置、32 CTI処理部、34 音声応答処理部、36 アクセス情報解析部、40 ユーザ端末、50 メールサーバ、60 公衆回線網、102 認証インタフェース、104 音声登録インタフェース、106 音声取得インタフェース。