JP4418556B2 - 二重加熱恒温槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、LCD製造工程で用いられるガラス基板等の板状製品を熱処理する二重加熱恒温槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
板状の被加熱物の熱処理を行う熱処理炉には、例えば実開平5−9639号公報に開示されているように、熱風循環式の二重加熱恒温槽が用いられる。
上記二重加熱恒温槽は、板状の発熱体であるホットプレートが恒温槽の内部に設けられた構造であり、被加熱物はホットプレートに、その板面を密着させて載置される。ホットプレートは板状被加熱物の板面に熱を均等に伝えるもので、恒温槽は板状被加熱物の周囲の温度を均一に維持するためのものである。特に二重になった恒温槽は、外槽と内槽との隙間に第2の加熱装置としてヒータが設けられ、このヒータで加熱された空気を、同じく隙間に設けたファンを用いて、上記隙間と内槽の内部との間を強制的に循環させて炉内温度をさらに均一に維持するものである(例えば実開平5−9639号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記二重加熱恒温槽では、板状被加熱物が、例えばLCDの配向膜のような表面塗布層を有するものである場合、ホットプレートで加熱された時に、表面塗布層から溶剤成分が蒸発する。このときに、循環している熱風によって塗布層の表面が内部よりも早く硬化するので、溶剤成分が膜内に残留して、製品欠陥が発生する問題がある。このような問題が生じるのを防止するためにホットプレートのみで加熱処理を行うと、蒸発した溶剤成分が加熱チャンバーの低温部で結露して加熱チャンバー内に残留することにより、製品欠陥を引き起こす問題がある。
上記のような従来の問題点に鑑み、この発明は、表面塗布層を有する板状被加熱物を熱処理する際に、溶剤成分に起因する製品欠陥を発生し難い二重加熱恒温槽を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明の二重加熱恒温槽は、外部チャンバーと、この外部チャンバーの内部に全周に亘って隙間を設けて収納され、上記隙間から内部への通風が阻止された内部チャンバーと、内部チャンバー内に設けられたホットプレートからなる第1の加熱装置と、上記内部チャンバーを周囲から加熱して恒温保持する第2の加熱装置とを備えることを特徴とするものである。
上記構成の二重加熱恒温槽によれば、前記隙間から内部チャンバー内への通風が阻止されているので、第2の加熱装置で暖められた空気が板状被加熱物の表面に当たって、板状被加熱物の表面を内部よりも早く硬化させることはない。また、外部チャンバーと内部チャンバーとの間に、全周に亘って隙間が設けられ、この隙間の空気層を加熱装置によって加熱するので、内部チャンバーは、低温部を発生することなく均一に保温される。このため、内部チャンバーの内壁に結露が生じるのを防止することができる。
【0005】
上記第2の加熱装置は、上記内部チャンバーと外部チャンバーとの間の隙間に熱風を循環させる熱風循環装置であるのが好ましい(請求項2)。
この場合、熱風を内部チャンバーの外周にくまなく接触させることができるので、内部チャンバー全体をより均一に保温できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳述する。図1はこの発明の二重加熱恒温槽の一つの実施の形態を示す断面図である。
この発明の二重加熱恒温槽は、板状被加熱物Aを加熱するための第1の加熱装置としてのホットプレート3と、ホットプレート3を内部に設け輻射熱で内部全体を保温するための内部チャンバー1と、内部チャンバー1を隙間を設けて収納する外部チャンバー2と、内部チャンバー1と外部チャンバー2との隙間に熱風を循環させるための熱風循環装置4(第2の加熱装置)とから構成されている。
【0008】
上記外部チャンバー2は、断熱壁で構成された上部ハウジング21と下部ハウジング22とからなる。当該上部ハウジング21は、これを持ち上げて上記外部チャンバー2を開くことができ、上記下部ハウジング22に重ねて外部チャンバー2を密閉状態にすることができる。
上記上部ハウジング21と下部ハウジング22との側面には、熱風を導入するための熱風供給孔2aと、これを排出するための熱風排出孔2bとがそれぞれ設けられ、これらは、上記外部チャンバー2の外側に設置された上記熱風循環装置4にパイプを介して接続されている。
【0009】
上記内部チャンバー1は、良好な熱伝導性を有する材料で構成され、上に持ち上げて当該内部チャンバー1を開く上蓋11と、板状被加熱物Aを収納する収納部12とに分割されている。当該内部チャンバー1は上記外部チャンバー2との間で全周に亘って隙間を形成できるように、支持部13によって上記外部チャンバー2内の中空位置に保持されている。このため、上記熱風循環装置4によって供給された熱風は、上記内部チャンバー1の周囲をくまなく循環して、内部チャンバー1全体を均一に加熱する。
【0010】
ホットプレート3は、上記内部チャンバー1の内部の中央部に設けられている。
【0011】
上記構成であれば、熱風循環装置4によって、外部チャンバー2の熱風供給孔2aから外部チャンバー2の内部に送風された熱風は、外部チャンバー2と内部チャンバー1との隙間の熱風循環経路aを経由して、熱風排出孔2bから排出される。この熱風により内部チャンバー1が加熱される。内部チャンバー1の内部は、隙間からの熱風の侵入が阻止されているので、壁面からの輻射熱によって全体に均一温度に維持され、この状態で板状被加熱物Aが加熱される。
このため、ホットプレート3からの伝熱によって下方から加熱される板状被加熱物Aには、熱風が直接当たることがなく、上面が内部より早く硬化することがない。さらに、内部チャンバー1全体が熱風循環装置4により均一に加熱され、
内部チャンバー1の内壁に部分的な低温部が発生しないので、蒸発した溶剤成分は内部チャンバー1の内壁で再び結露することがない。
【0012】
なお、上記実施の形態では、熱風循環装置4を用いて内部チャンバー1を加熱したが、溶剤成分が蒸発する温度に保持できるテープヒータや加熱ランプ等によって内部チャンバー1を加熱しても同じ効果が得られる。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る二重加熱恒温槽によれば、塗布膜の表面が内部よりも早く硬化して溶剤成分が膜内に残留したり、内部チャンバー内に溶剤の結露が発生したりすることがない。このため、例えばLCDの配向膜が、溶剤に起因する製品欠陥を起し難いので、歩留まりの向上が図れる。
【0014】
請求項2に係る二重加熱恒温槽によれば、熱風を内部チャンバーの外周にくまなく接触させて、内部チャンバーをさらに均一な温度分布で保温できるので、熱処理の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の二重加熱恒温槽の一つの実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内部チャンバー
2 外部チャンバー
2a 熱風供給孔
2b 熱風排出孔
3 ホットプレート(第1の加熱装置)
4 熱風循環装置(第2の加熱装置)
A 板状被加熱物
Claims (2)
- 外部チャンバーと、
この外部チャンバーの内部に全周に亘って隙間を設けて収納され、上記隙間から内部への通風が阻止され、良好な熱伝導性を有する材料で構成された内部チャンバーと、
内部チャンバー内に設けられたホットプレートからなる第1の加熱装置と、
上記内部チャンバーを周囲から加熱して恒温保持する第2の加熱装置と
を備えることを特徴とする二重加熱恒温槽。 - 上記第2の加熱装置が、上記内部チャンバーと外部チャンバーとの間の隙間に熱風を循環させる熱風循環装置である請求項1記載の二重加熱恒温槽。
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1999
- 1999-06-28 JP JP18171099A patent/JP4418556B2/ja not_active Expired - Fee Related
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