JP3807047B2 - 加熱炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造工程などに用いると好適な加熱炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例として、LCD用カラーフィルタの製造プロセスでは、基板上に顔料などで着色したポジ型またはネガ型の感光性樹脂、あるいは着色した非感光性樹脂の上に感光性樹脂を積層状態に塗布し、フォトリソグラフィ法によって所望のパターンを形成させる製造方法が主流となっている。
【0003】
フォトリソグラフィ法では樹脂のウェット塗膜を形成し、これを加熱炉によって乾燥・硬化させる工程が非常に多く、また加熱炉での基板の均熱化がパターン精度に大きく影響することが知られている。
【0004】
加熱炉の種類としては、ホットプレート方式、熱風オーブン方式、真空乾燥方式など様々な方法があり、樹脂の種類や目的に応じて適宜選択される。
【0005】
ホットプレート方式は、電熱ヒーター等で加熱したプレート上に、直接またはプレート上に設置したピン等の治具上に被加熱体を保持し、主にホットプレートからの輻射伝熱によって被加熱体を加熱する方式である。
【0006】
熱風オーブン方式は、伝熱ヒーターと伝熱ヒーターによって加熱した熱風を加熱炉内で循環させ、炉内に保持した被加熱体を主に対流伝熱により加熱する方式である。
【0007】
真空乾燥方式は、真空状態にしたチャンバーの中に乾燥を要する物体を保持し、チャンバー内を減圧にすることによって、溶媒の気化を促進する乾燥方式である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来法では以下に示すような問題点が見られた。
【0009】
ホットプレート方式の加熱炉は、加熱部を有したホットプレートが下部に存在し、さらに、反射板がホットプレートの上部にあり、被加熱部を両者の間に保持して加熱する方式を用いている。しかし、ホットプレートは主として輻射伝熱により加熱を行うため、ホットプレートと反射板との間に被加熱体が存在する時は、ホットプレートからの輻射伝熱は被加熱体に吸収されるが、被加熱体が存在しないときは、ホットプレートからの輻射伝熱は直接反射板に伝わり、反射板の過昇温を引き起こした。連続的に被加熱体を処理する場合、被加熱体はホットプレートと反射板の間に存在するときと存在しないときがあるため、炉内の雰囲気温度を一定に保つことは非常に困難であった。
【0010】
そこで、反射板に伝熱ヒーターや冷却水等の温度制御するための機能を付加することも考えられる。しかし、伝熱ヒーターは高価である上、大量の消費電力が必要となる。さらに、被加熱体から可燃性の溶媒等は蒸発する場合、伝熱ヒーターが上部にあると、燃焼してしまうことも考えられる。また、伝熱ヒーターや冷却水を用いた場合、反射板の均熱化が不十分になってしまうため、その温度ムラが被加熱体の乾燥状態を悪化させる結果となった。
【0011】
本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、炉内の雰囲気温度を常に一定に保持し、被加熱体の均熱性を保つ加熱炉を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)加熱源を有するホットプレートと、該ホットプレートの対向側に設置した加熱源を有しない反射板と、前記ホットプレートと反射板との間に形成された被加熱体が通過する通路とを有し、前記ホットプレートにより被加熱体を加熱する構成からなる加熱炉において、前記反射板に対して気体を直接および/または間接的に接触させて反射板の温度を制御する温度制御手段を設けたことを特徴とする加熱炉。
【0013】
(2)前記反射板の温度制御手段が、反射板のホットプレートに面しない側から気体を直接および/または間接的に反射板に接触させる構造を有することを特徴とする前記(1)に記載の加熱炉。
【0014】
(3)前記反射板の温度制御手段が、反射板に気体を吹き付ける手段からなり、該気体が非爆発気体であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の加熱炉。
【0015】
(4)前記反射板に温度を検知する手段を設け、さらに該反射板が所定温度以上に上昇したことを前記温度検知手段によって検知し、この検知結果に基づいて、前記気体を一定量または前記反射板の温度に応じて気体の吹き付け量を変化させる手段を設けたことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の加熱炉。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0017】
本発明を構成する加熱炉は1枚、もしくは複数枚のホットプレートから構成されている。
【0018】
上記のホットプレートの材質としては、アルミニウム、鉄、銅等の金属類や、金属の合金、さらに金属類にセラミック等の表面処理を行ったものが好適に用いられる。
【0019】
ホットプレートの加熱方法は特に限定されるわけではないが、伝熱ヒーターが好適に用いられる。
【0020】
基板を保持する方法としては、ホットプレートに密着させる方法や、ホットプレートと基板との間隔を保つためにピン等を立てて保持する方法などがある。基板の面内温度のばらつきはホットプレートに密着させた方が小さくなるが、ホットプレートに密着させることによって静電気の発生や基板裏面の汚染等の問題が発生するため、適宜選択すればよい。
【0021】
ホットプレートと基板の間隔は、好ましくは0.5〜20mmの範囲であり、さらに好ましくは0.5〜10mmの範囲での使用であるが、間隔が広くなるほど基板の面内温度のばらつきは大きくなる傾向になる。
【0022】
さらにホットプレートと基板の間隔を保つピンの材質については、SUS、鉄、銅、アルミニウム等の金属類、ベスペルなどの耐熱性高分子等が好適に用いられる。
【0023】
反射板を温度制御するために用いる気体としては、ドライエア、N2 、Ar等の希ガス等があり、その目的に応じて適宜選択される。特に、基板から発生する気体が爆発性物質である場合は、N2 や希ガス等の防爆性の気体を使用することが重要である。
【0024】
気体の反射板への噴射方法は、反射板に直接吹き付ける方法や、反射板の上部に直接気体が噴射されないように、囲いを取り付けて気体を充満させて間接的に反射板に気体を接触させる方法があり、適宜選択されるが、気体を反射板に直接吹き付けるよりも間接的に吹き付ける方が基板内の温度ばらつきが小さくなるので好ましい。この場合、反射板のホットプレートに面しない側から気体を直接および/または間接的に反射板に接触させる構造を有することが好ましい。
【0025】
また、噴射ノズルは、SUS、アルミニウム等の金属類や、テフロン、カプトン等の耐熱性高分子の配管を反射板上に配置し配管の所々に1mm程度の孔をあけて噴射する等の方法で、反射板全体が均等に温度制御されるような方法を選択することが好ましい。
【0026】
気体の噴射量は、噴射される気体の温度、反射板の材質、制御温度の範囲を考慮して設定する。気体の温度は、0〜50℃の範囲での使用が好ましく、20〜25℃の範囲での使用がさらに好ましい。
【0027】
反射板はホットプレートからの輻射伝熱によって加熱されるため、基板が連続的に通過するときは基板によってホットプレートからの輻射熱が遮られ、反射板は低い温度で安定した状態となる。しかし基板が通過しないときは基板による遮蔽がないため、反射板の温度が上昇し、最終的に高い温度で安定した状態となる。よって加熱炉内の温度分布を一定にするためには、反射板の温度が常に低い温度で一定となるように制御することが重要である。
【0028】
気体の噴射のタイミングとしては、加熱炉内に基板が無くなった時点で噴射するか、もしくは反射板に熱電対を設置して、一定温度以上になった段階で噴射する方法が有効である。とくに反射板に設置した熱電対によって反射板の温度を測定して反射板の温度に応じて気体の噴射量を変化させる手段を設けると、反射板の温度の変動幅がより小さなものとなる。
【0029】
【実施例】
以下、好ましい実施態様を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、用いた実施態様によって本発明の効力はなんら制限されるものではない。
【0030】
[実施例]
被現像膜として非感光性のポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液とカーボンブラック(MA100、三菱化成(株)製)とを分散して調整したブラックペーストを用いた。
【0031】
300×350mmのサイズの無アルカリガラス(日本電気ガラス(株)製、OA−2)基板上にスピナーを用いてブラックペーストの塗布を行い、本発明のホットプレート型加熱炉を用いてソフトベークを行った。
【0032】
本発明の加熱炉の全体図、側面図および上面図をそれぞれ図1、図2、および図3に示す。
【0033】
図において、2は基板4を加熱するためのホットプレートで合計10枚設置されている。3はホットプレート2の下流に設けられた基板を冷却するための冷却プレートで合計2枚設置されている構成とした。N2 発生管5は反射板1と上蓋6の間に配置され、基板4の搬送方向に対して直交方向に、かつ反射板に平行にN2 を一様な風量で吹き出す構造とした。
【0034】
基板4はホットプレート1(HP−1)から投入され、60秒ごとに1段ずつ次のホットプレート(HP−2)に移動するような運用方法とした。基板4は、基板の下側をフォークにより支持して搬送する図示しないフォークリフトなどにより搬送することができる。各プレートの設定温度を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003807047
表1の条件で基板4を連続的に流した場合、反射板1の温度はHP−1で190℃から110℃、HP−2で170℃から130℃に変化した。
【0036】
ホットプレート2、冷却プレート3および反射板1の材質はそれぞれセラミック被覆したアルミニウムプレートを用い、ホットプレート2には伝熱ヒーターを埋め込んでホットプレートの加熱を行った。
【0037】
3段目のホットプレート以降は基板の通過による反射板の温度変化がほとんど見られなかったため、反射板の温度制御は1段目(HP−1)および2段目(HP−2)のホットプレートみ行った。
【0038】
反射板1の冷却に使用した気体は、基板4のソフトベークの際に可燃性の溶媒が発生するためN2 とした。またN2 の温度は23℃とした。N2 の反射板1への噴射はホットプレート2の側とは反対側に2本のアルミ配管を通し、ホットプレートに直接かからないように、つまりホットプレートと平行方向に吹き出すようにアルミ配管の側面に孔を開けて行った。また反射板1の温度は反射板に熱電対を設置して常に管理し、反射板の温度がHP−1で115℃、HP−2で135℃以上に温度が上昇したときにN2 をHP−1で100l/min、HP−2で45l/min噴射するように設定した。
【0039】
ソフトベーク後、フォトリソグラフィー法を用いて所定のパターンを形成した。
【0040】
基板は60秒タクトで連続的に搬送を行い、上記の方法で所定のパターンの形成を行った。
【0041】
[比較例]
反射板1の温度が上昇した場合についても反射板へのN2 の噴射を行わない、つまり反射板の温度コントロールを行わずにソフトベークを行った。
【0042】
その他の条件については、実施例と同様とした。
【0043】
上記方法により作成した基板の評価を以下の要領で行った。
【0044】
加工開始後1枚目、50枚目、100枚目の基板についてパターンの加工精度、基板端面に発生する画素残膜、さらに基板の到達温度について検討を行った。
結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
Figure 0003807047
気体を反射板に吹き付けることによって反射板の温度を制御した場合、加工開始後100枚目の基板までのパターン精度の変化は全く見られず、また基板端面の残膜も存在しなかった。しかし反射板の温度を制御しなかった場合、加工開始後1枚目から100枚目までの間で、パターン精度は+1.8μmの変化が見られ、さらに1枚目および50枚目の基板には基板端部に残膜が見られた。
【0046】
また同様の条件で基板の到達温度の測定を行った。加工開始1枚目では、反射板の温度制御を行った場合に比べて温度制御を行わなかった場合の方が、HP−3の到達温度で12℃高くなり、加工開始50枚目では5℃の変化、さらに加工開始100枚目では1℃の変化となった。つまり反射板の温度が過剰に高くなり、その結果基板の温度も高くなったため、パターン精度の変化および残膜の発生が起こったことがわかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成とすることにより、基板開始直後のパターン精度の変化および残膜の発生が無く、良好にパターンの形成を行うことができる。また、反射板の温度制御を加熱のみの制御とし、さらに可燃性の溶媒が発生する場合に用いるN2 パージ等を反射板の冷却に使用しているので、非常に安価な温度制御方式とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱炉の一例を示す全体概略図である。
【図2】本発明に係る加熱炉の一例を示す側面概略図である。
【図3】本発明に係る加熱炉の一例を示す上面概略図である。
【符号の説明】
1:反射板
2:ホットプレート
3:冷却プレート
4:基板
5:N2 発生管
6:上蓋

Claims (4)

  1. 加熱源を有するホットプレートと、該ホットプレートの対向側に設置した加熱源を有しない反射板と、前記ホットプレートと反射板との間に形成された被加熱体が通過する通路とを有し、前記ホットプレートにより被加熱体を加熱する構成からなる加熱炉において、前記反射板に対して気体を直接および/または間接的に接触させて反射板の温度を制御する温度制御手段を設けたことを特徴とする加熱炉。
  2. 前記反射板の温度制御手段が、反射板のホットプレートに面しない側から気体を直接および/または間接的に反射板に接触させる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱炉。
  3. 前記反射板の温度制御手段が、反射板に気体を吹き付ける手段からなり、該気体が非爆発気体であることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱炉。
  4. 前記反射板に温度を検知する手段を設け、さらに該反射板が所定温度以上に上昇したことを前記温度検知手段によって検知し、この検知結果に基づいて、前記気体を一定量または前記反射板の温度に応じて気体の吹き付け量を変化させる手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱炉。
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