JP2001012856A5 - - Google Patents

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空気循環式の装置は、加熱された空気を循環させ、これを基板にほぼ平行に流して基板を加熱し熱処理するという簡単かつ安定した方式の装置であると共に、スループット(基板処理量)の拡大の容易な装置であるが、基板サイズが大きくなると、基板の昇温過程で問題が生じる。すなわち、基板の熱容量が大きくなるために、加熱空気の流れ方向において基板の上流部分の昇温速度が速く下流部分の昇温速度が遅くなり、基板に温度差ができたり温度プロファイルがばらつくことになる。そして、基板サイズが1m角にもなると、例えば熱処理温度が230℃の場合には、この温度差が±10℃程度にもなる。その結果、基板に形成されている樹脂の厚みにむらができたり、不等温熱膨張に伴う残留歪みによって回路破壊のおそれを生ずる等の不具合が発生する。また、熱処理装置内に、被加熱物を搬送するための駆動機構があるため、クラス10などの高クリーン度に対応するのはなかなか困難である。
ワーク3のピン状の支持体であるピン4は、平面でみたときワーク3の投影面内に含まれる加熱体の加熱面上に複数設けられている。ピン状の支持体を設置する位置は、ワーク端部ばかりでなく、中央部付近も必要である。ワークが大型化すると、端部だけの支持ではワークが変形し、加熱面に接触したり、大きくたわんだりするからである。ワークが加熱面に接触すれば、接触部分の昇温速度が速くなり、焼きむらの原因となる。一方、ワークのたわみ量が大きくなると、ワーク変形による応力が加わった状態で加熱されるため、ワーク上に形成された回路などに回路破壊のおそれが発生するなどの不具合がでてくる。上記理由で、ワークに対応する加熱面の端部及び中央部付近に、直接ピン状の支持体を設けることによってワークを効果的に支持することができる。図1の例ではホットプレート2の面上にX方向に5列設置されていて、図示していないが、X方向と直角のY方向では3列設置されていて、これら多数の先端部分でワークを支持している。ピン4は、ホットプレート2上に差し込まれて保持されている。なおピン状の支持体をこのように加熱体表面に直接設けるのではなく、細長い棒状の支持部材を加熱体上部に渡して、この支持部材上に複数のピン状支持体を差し込んで加熱体の加熱面上に設けてもよい。
開扉閉7は図1及び図2の例では保温体5の外に設置された扉支持体14に取り付けられている。図7に開閉機構の一例を示したが、開閉扉7は扉回転軸20に固定されている。各扉回転軸20は、軸受け21で保持されカップリング22を介しロータリーアクチュエイタ23に接続されている。ロータリーアクチュエイタ23が、約90度回転することにより開閉扉が開閉する。なお、この他の扉開閉機構として、保温体の外あるいは内で上下にスライドする扉を設ける構造を採用してもよい。
図9の例では、熱処理室1に雰囲気流体を供給するための供給管11を設けている。図13にこの拡大図の例を示した。供給管11の断面形状は、円形あるいは角形などの形状であり、また、開口部は複数個の口やスリット状のノズルであるが、必要な流量を放出できれば特に規定するものではない。供給管11は、熱処理室の側板10内側に取り付け、雰囲気流体を供給する。供給管11の上流側には、図示を省略したが、ラインからの供給口、調圧弁、流量計、オリフィス、流体の加熱装置などの流体制御装置や加熱装置を必要に応じ設置する。流体の加熱装置は、ガラス管やステンレス管の外側にヒータ線を巻いて作った加熱管により加熱する機構のものや、フィン付きヒータの間に流体を流して加熱する機構のものなどがあるが、流量に応じて使用するので特に規定するものではない。流体の排気については、保温体の上部あるいは下部に設置された排気口より適宜行われる。
以上のような熱処理装置は、次のように運転される。保温室13に設置されたホットプレート2は、例えば熱処理に必要な200℃に制御されている。この状態で、炉内をクリーンに保つために、炉内温度と同一になるように制御された窒素ガスを、一定の流量で供給管11のノズルから供給する。
以上のような装置でワークを熱処理するときの温度プロファイルについて説明する。図14は、LCD基板を、上記装置で熱処理したときの測定データを示すグラフである。基板端部と中央部を比較すると、中央部は最初昇温が遅く面内で最も低い部分であり、昇温終了近くなると端部を抜き去り最高温度となる。基板の測定点数を増やしても、この傾向は変わらない。従って、基板内の温度精度を向上させるためには、この温度差を小さくする必要がある。このワークの加熱は、熱放射と対流によって行われる。熱放射は、原理的には距離に無関係であるが、端部と中央部では幾何学的相違から中央部に昇温の遅れが発生する。対流伝熱でも、中央部で空気の温度低下が発生するため、中央部での昇温遅れが発生する。これらが中央部で昇温遅れが発生する原因である。
平行平板での熱放射は原理的には距離と無関係であるため、ホットプレートとワーク間の距離を大きくしても、放射熱量は大きく変わらない。変化するのは、対流による熱量であるが、熱放射より少ないため、昇温速度にはあまり影響を与えない。一方ホットプレート上に温度むらがある場合には、ホットプレートとワーク間距離を大きくすると、幾何学的要素よりむらの影響は減少する。この効果を検討するとホットプレートとワーク間距離は10mm以上にすることが好適である。さらに好ましくは15〜50mmである。また、ホットプレートとワーク間距離を10mm以上にすれば、ピンの昇降なしにハンドからワークの受け渡し・受け取りができるため好適である。
熱処理室では、入り口に対する奥側か両側の側板に供給管を設ける。この供給管より、クリーンガスを熱処理室に供給すれば、ワークから発生するガスを処理室外に放出することができるため、処理室を常にクリーンに保つことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の熱処理装置によれば、被加熱物はハンドにより、保温室内の加熱体に設けられたピン状の支持体上に移載され、加熱体と対向して適度な間隔をあけて保持され加熱される。加熱体は、上下両面あるいは片面は必ず同一の加熱体に保温されて、温度分布は均一となっている。このため、被加熱物は、加熱体により上下両面より効率的で均一に加熱される。また、保温体内に設置された加熱体の側面周辺部に、仕切り用の側板を設けることによって、保温室内のより低い温度の流体が、熱処理室に流入しないように熱的二重構造とする場合は、さらにいっそう均一に熱効率よく被加熱物を熱処理することができる。また、外部から供給された流体を加熱する加熱器と、加熱された流体を熱処理室内に流出させる供給管を有することによって、熱処理室内にクリーンな流体を導入することができる。本発明の装置は、前述の如く保温体内には駆動部がないため、駆動部からの発塵はない。被加熱物が処理されると、被加熱物中に含まれる水分、有機溶剤、昇華物、モノマーなどのガス、パーティクルが発生するので、これらをクリーンガスで熱処理室外に放出すれば、常に熱処理室内をクリーンの状態に保つことができる。このため、本発明ではクレーンの状態で、被加熱物を均一に熱処理することができる。
【図7】
本発明の熱処理装置の開閉扉駆動部の一部を拡大して示した面説明図である。
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