JP4417648B2 - 水栓の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はカウンター等取付基体への水栓の取付構造に関し、詳しくは取付基体の裏面側に配した挟持具で、取付基体を裏面側から挟持して取付けを行う水栓の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、カウンター等取付基体の裏面側に部分環状の挟持具を配して、これを取付ボルトにより上向きに締め上げ、かかる挟持具により取付基体を裏面側から挟み込む状態に、水栓本体を取付基体の上面に取付固定することが行われている。
図8はその具体例を示している。
図において200は水栓で、202は水栓本体、204は水栓本体202から延び出した吐水管である。
【0003】
206は水栓本体202に水,湯を供給するサプライ管で、可撓性のホース208と金属管(銅管)210とから成っており、その金属管210の上端部において水栓本体202に水密に接続されている。
212は馬蹄形をなす挟持具で、水栓本体202から下向きに延び出した取付ボルト214が、この挟持具212を貫通して下向きに突き出しており、そこにナット216が螺合されている。
【0004】
この水栓の取付構造では、挟持具212をカウンター等の取付基体の裏面側に配し、そしてサプライ管206を挟持具212の凹所218に通した状態で、ナット216を回転操作して挟持具212を取付ボルト214により上向きに締め上げることで、挟持具212と水栓本体202とが取付基体を表裏両側から挟持する状態に水栓200を取付基体上に取り付ける。
【0005】
しかしながらこの水栓の取付構造の場合、水栓本体202の回転方向の固定力が十分でなく、吐水管204や水栓本体202上部のレバーハンドル等に回転方向の力が加わったとき、水栓本体202が取付ボルト214回りに回転し易い問題があった。
【0006】
下記特許文献1には、この問題を解決することを目的とした水栓の取付構造が開示されている。
図9はその具体例を示している。
図示のようにこの水栓の取付構造では、水栓本体202から接続部220を下向きに突出させて、その接続部220を、馬蹄形をなす挟持具212の内側面に当接させるようにし、その当接作用によって、挟持具212に対する水栓本体202の相対回転を規制するようになしている。
【0007】
この接続部220の下面には接続ポート222が設けられており、そこに金属管からなるサプライ管206の上端部が接続されるようになっている。
尚図中224は、水栓本体202の上部に設けられたレバーハンドルである。
【0008】
この水栓の取付構造にあっては、水栓本体202と馬蹄形をなす挟持具212とが回転方向に一体的に連繋しており、これにより水栓本体202の取付基体226に対する回転方向の固定力が高くなって、水栓本体202の回転移動を効果的に抑制できるものの、水栓本体202に対して回転力が加わったとき、その力が直接接続部220、つまりサプライ管206の上端部の接続箇所に作用することとなってサプライ管206に負荷がかかり、当初の良好な接続状態が損われる恐れのある問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−246522号公報
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の水栓の取付構造はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、カウンター等取付基体の裏面側に配した部分環状の挟持具を、取付ボルトにより上向きに締め上げて該挟持具により該取付基体を裏面側から挟み込む状態に水栓本体を該取付基体上に取付固定するようになした水栓の取付構造において、前記挟持具は、周方向の各端部間に形成される開口部の幅が、該挟持具における内側面間の距離よりも小幅をなす形状の馬蹄形となすとともに、前記水栓本体の中心に対して該開口部と前記取付ボルトの挿通孔とを互いに反対の側に位置させ、前記水栓本体に給水,給湯を行うサプライ管との接続部とは別の個所から前記取付ボルト及び突出部としての2本の棒状部を、該水栓本体より前記取付基体の取付穴を挿通して下向きに突出させて、前記取付ボルトを前記挟持具の前記挿通孔に挿通させ、また前記2本の棒状部のそれぞれを、前記開口部近傍で前記内側面の直近且つ該開口部の両側に位置させて、一方の棒状部と他方の棒状部とが前記挟持具の内側面に対して互いに反対の回転方向においてそれぞれ当接するようになしてあって、該棒状部と該挟持具の内側面との当接により前記水栓本体と該挟持具とを回転方向に一体的に連繋してあり、前記サプライ管は、前記棒状部よりも前記挟持具の奥側の位置において該挟持具の内側を挿通し前記水栓本体に接続してあることを特徴とする。
【0011】
また請求項2のものは、請求項1において、前記挟持具の内側面から当り部を内向きに突出させて、該当り部に対し前記2本の棒状部のそれぞれを当接させるようになしてあることを特徴とする。
【0012】
【作用及び発明の効果】
以上のように請求項1の水栓の取付構造は、サプライ管との接続部とは別の箇所から水栓本体より突出部を下向きに突出させて、これを取付基体の取付穴を挿通させ、そしてその突出部の挟持具の内側面への当接作用で、水栓本体と挟持具とを回転方向に一体的に連繋したもので、この取付構造によれば、水栓本体と挟持具との挟持による、取付基体に対する大きな摩擦力に基づいて、水栓本体の回転方向の固定強度を高強度となすことができ、水栓本体の回転移動を良好に防止することができる。
【0013】
またこの取付構造では、水栓本体の回転防止をなす突出部がサプライ管の接続部とは別の箇所に設けてあるため、水栓本体に対し回転方向の力が加わった場合にも、その力が水栓本体とサプライ管との接続箇所に働いて、サプライ管の接続箇所の良好な接続状態が損われるといった問題を解決することができる。
【0014】
本発明では、上記突出部を2本の棒状部から成るものとして、各棒状部を周方向の異なった位置において水栓本体から突き出させ、そして一方の棒状部と他方の棒状部とが、挟持具の内側面に対し互いに反対の回転方向においてそれぞれ当接するようになしてある。
このようにしておけば、水栓本体から下向きに突き出した突出部が、挟持具におけるサプライ管等を通すための凹所のスペースを広く塞いでしまって、サプライ管等を通すためのスペースが狭められてしまうのを防止できる利点が得られる。
【0015】
本発明において、上記挟持具は馬蹄形のものとなしてあり、これを上記棒状部とは周方向の異なった位置で水栓本体から下向きに突き出した取付ボルトにて水栓本体と締結する。
【0016】
この場合においてその取付ボルトは取付穴の内側面の直近位置を通って水栓本体より突き出すようになしておき、その取付ボルトと2本の棒状部とが協働して水栓本体を取付穴に位置合わせするようになしておくことができる。
このようにすることで、より確実に水栓本体を取付穴に対し位置合わせ即ち芯合わせすることができる。
【0017】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は本例のシングルレバー式の水栓で、12は水栓本体、14は水栓本体12から前方斜め上向きに延び出した吐水管で、先端に吐水口16が下向きに形成されている。
【0018】
また水栓本体12の吐水管14とは反対側の後部には、洗面器等水槽底部のポップアップ式の排水栓を開閉操作するための引棒18が、水栓本体12を貫通する状態で設けられている。
【0019】
一方水栓本体12の上部には、主弁操作部としてのレバーハンドル20がキャップ22とともに左右及び上下に回動可能に設けられている。
【0020】
図2に示しているように、水栓本体12の内部には固定弁体23と可動弁体24とを有する主弁26が設けられており、その主弁26に対して上記レバーハンドル20が作動的に連結されている。
【0021】
この例では、レバーハンドル20を左右回動操作することで吐水口16からの吐水の温度調節が行われ、また上下回動操作することで吐水口16からの吐水と止水、更に流量調節が行われる。
【0022】
図1において、28は水栓本体12に対して水,湯をぞれぞれ供給するサプライ管で、各下端部が止水栓30を介して給水元管32及び給湯元管34にそれぞれ接続されている。
【0023】
このサプライ管28は、実質的にその全体が可撓性のホースから成っており、その上端部には図2に示しているように管状の金属製の接続金具36が固定されていて、この接続金具36において水栓本体10に水密に接続されている。
詳しくはこれら接続金具36が図5にも示しているように水栓本体12に形成された雌ねじ孔38にねじ結合されて、各サプライ管28が水栓本体12に接続されている。
【0024】
水栓本体12の下端部には台座40が設けられており、図2に示しているようにこの台座40と、カウンター等取付基体44の裏面側に配した馬蹄形状(部分環状)をなす挟持具42とが取付基体44を表裏両側から挟み込む状態に、水栓10が取付穴46において取付基体44に取付固定されている。
【0025】
詳しくは、これら図1及び図2に示しているように水栓本体12からは取付ボルト48が下向きに突き出していて、その取付ボルト48が、挟持具42の挿通孔50を突き抜けて下向きに挿通し、そしてその下端部に筒状のナット52がねじ込まれることで、挟持具42が図中上向きに締め上げられ、その力によって水栓本体12、詳しくはその下端の台座部40と挟持具42とがパッキン54を介して取付基体44を表裏両側から強く挟みつける状態に水栓本体12が取付基体44に取付固定されている。
【0026】
尚取付ボルト48は、図5に示しているように水栓本体12の下部に設けられた雌ねじ孔56にねじ込まれて、水栓本体12に固定されている。
またこの取付ボルト48の下端部には工具掛部58が設けられている。
【0027】
図6に示しているように、取付穴46は円形を成しており、また馬蹄形を成す挟持具42はこれに対応した形状をなしていて、図6(B)に示す凹所の内側面45が取付穴46の形状に沿った湾曲形状をなしている。
ここで挟持具40は、図1及び図4に示しているように端部60間の開口部が後方向きとなるように配向されている。そしてその前部に上記取付ボルト48を挿通するための挿通孔50が設けられている。
【0028】
上記取付ボルト48は、図6(A)に示すように取付穴46の内側面直近を通る位置において、水栓本体12から下向きに突き出している。
【0029】
水栓本体12からはまた一対の芯出棒(棒状部)62が下向きに突き出している。
これら一対の芯出棒62は、図2,図3及び図6に示しているようにサプライ管28の水栓本体12への接続部とは別の個所から且つ取付穴46及び挟持具42における凹所の内側面45の直近を通る位置において水栓本体12から突き出しており、図6(A)に示しているようにそれら一対の芯出棒62と取付ボルト48とが三角形の頂点をなす位置に配置されている。
【0030】
ここで一対の芯出棒62は、それぞれ水栓本体12とは別体に構成されていて、図4及び図5にも示しているようにその上端部に形成された雄ねじ部が水栓本体12の雌ねじ孔64にねじ込まれ、以て水栓本体12に固定されている。
尚これら一対の芯出棒62の下端部には、平坦な切り落とし形状の工具掛部66が設けられている。
【0031】
本例においてこれら一対の芯出棒62は、水栓本体12から下向きに突出する本発明の突出部を構成するものである。
而してこれら一対の芯出棒62は、図6(B)に示しているように挟持具42の内側面45への当接作用によって、水栓本体12と挟持具42とを回転方向に一体化する働きを成す。
【0032】
即ち吐水管14やレバーハンドル20に対し回転方向の力が加わったとき、それら芯出棒62が挟持具42の内側面45に当接することによって、水栓本体12の挟持具42に対する相対回転を防止する。
【0033】
本例において、一対の芯出棒62はその一方が正方向の回転に対してこれを防止する働きをなし、また他方の芯出棒62は逆方向の回転を防止する働きを成す。即ちこれら一対の芯出棒62は、それらが協働して水栓本体12と挟持具42との互いに反対向きの正逆両方向の回転を防止する働きを成す。
【0034】
而してこのように一対の芯出棒62によって水栓本体12と挟持具42とが相対回転防止されることによって、水栓本体12自体の取付基体44周りの回転運動が良好に防止される。
【0035】
水栓本体12が取付基体44上で回転運動するためには、詳しくは取付ボルト48周りに回転運動するためには、挟持具42もともに回転運動しなければならないが、水栓本体12、具体的にはその下端の台座40と挟持具42とがパッキン54を介して取付基体44を表裏両側から強く挟み込んでいるため、それらの間に大きな摩擦力が生じており、このため水栓本体12はその摩擦力に基づいて取付基体44上で良好に回転防止されるのである。
【0036】
この例の一対の芯出棒62はまた、水栓10を取付穴46において取付基体44に取り付ける際、取付ボルト48と協働して水栓本体12を取付穴46に正しく位置合せする働きもなす。
即ち取付ボルト48と一対の芯出棒62とを取付穴46に下向きに挿通させることで、水栓本体12が取付穴46に自動的に正しく位置合せされる。
そしてそのような正確な位置合せ状態の下で、水栓10が挟持具42と取付ボルト48及びナット52とにより取付基体44に強固に取付固定される。
【0037】
以上の本例の水栓の取付構造によれば、水栓本体12と挟持具42との挟持による、取付基体44に対する大きな摩擦力に基づいて、水栓本体12の回転方向の固定強度を高強度となすことができ、水栓本体の回転ずれを良好に防止することができる。
【0038】
また本例の取付構造では、水栓本体12の回転防止をなす芯出棒62がサプライ管28の接続部とは別の箇所に設けてあるため、水栓本体12に対し回転方向の力が加わった場合にも、その力が水栓本体12とサプライ管28との接続箇所に働いて、サプライ管28の接続箇所の良好な接続状態が損われるといった問題も生じない。
【0039】
また本例では一対の芯出棒62及び取付ボルト48が位置合わせ機能を有しているため、取付穴46に合わせて水栓本体12を取付基体44に取付施工する際に施工ミスが起こらず、取付基体44と水栓本体12との間の確実なシールを確保することができる。
【0040】
本例ではまた、回転規制及び位置合せを行うための突出部が2本の芯出棒62にて構成してあるため、突出部が挟持具42におけるサプライ管28等を通すための凹所のスペースを広く塞いでしまって、サプライ管28等を通すためのスペースが狭められてしまうといったことを防止できる利点が得られる。
【0041】
尚、図7に示しているように挟持具42における凹所の内側面45から当り部68を内向きに突出させて、その当り部68に対し、一対の芯出棒62を回転方向に当接させるようになすこともできる。
【0042】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明は上例以外の他の種々水栓の取付けに際して適用することが可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である水栓の取付構造を水栓の外観形状とともに示す斜視図である。
【図2】 同実施例の取付構造を水栓とともに示す断面図である。
【図3】 同実施例の取付構造を拡大して周辺部とともに示す斜視図である。
【図4】 同実施例の取付構造を各部材に分解して示す斜視図である。
【図5】 同実施例の取付構造を各部材に分解して示す断面図(一部側面図)である。
【図6】 (A) 図2のア−ア断面図である。
(B) 図2のイ−イ視図である。
【図7】 本発明の他の実施例の要部を示す図である。
【図8】 従来公知の水栓の取付構造の一例を示す図である。
【図9】 従来公知の水栓の取付構造の、図8とは異なる例を示す図である。
【符号の説明】
10 水栓
12 水栓本体
28 サプライ管
42 挟持具
44 取付基体
46 取付穴
48 取付ボルト
62 芯出棒(棒状部)
64 雌ねじ孔
Claims (2)
- カウンター等取付基体の裏面側に配した部分環状の挟持具を、取付ボルトにより上向きに締め上げて該挟持具により該取付基体を裏面側から挟み込む状態に水栓本体を該取付基体上に取付固定するようになした水栓の取付構造において、
前記挟持具は、周方向の各端部間に形成される開口部の幅が、該挟持具における内側面間の距離よりも小幅をなす形状の馬蹄形となすとともに、前記水栓本体の中心に対して該開口部と前記取付ボルトの挿通孔とを互いに反対の側に位置させ、
前記水栓本体に給水,給湯を行うサプライ管との接続部とは別の個所から前記取付ボルト及び突出部としての2本の棒状部を、該水栓本体より前記取付基体の取付穴を挿通して下向きに突出させて、
前記取付ボルトを前記挟持具の前記挿通孔に挿通させ、また前記2本の棒状部のそれぞれを、前記開口部近傍で前記内側面の直近且つ該開口部の両側に位置させて、一方の棒状部と他方の棒状部とが前記挟持具の内側面に対して互いに反対の回転方向においてそれぞれ当接するようになしてあって、該棒状部と該挟持具の内側面との当接により前記水栓本体と該挟持具とを回転方向に一体的に連繋してあり、
前記サプライ管は、前記棒状部よりも前記挟持具の奥側の位置において該挟持具の内側を挿通し前記水栓本体に接続してあることを特徴とする水栓の取付構造。 - 請求項1において、前記挟持具の内側面から当り部を内向きに突出させて、該当り部に対し前記2本の棒状部のそれぞれを当接させるようになしてあることを特徴とする水栓の取付構造。
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