JP4417501B2 - カーブベルトコンベヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、曲線の軌道を有するカーブベルトコンベヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーブベルトコンベヤとしては、始点プーリと終点プーリとに巻き掛けられると共に、軌道が曲線となる湾曲したベルトと、このベルトの上側部分を下方から支持する上側ローラと、上記ベルトの下側部分を下側から支持する下側ローラと、上記湾曲したベルトの幅方向の内側端部を保持するサイドローラとを備えて、上記湾曲したベルトの上面に運搬物を載せて、この運搬物を曲線となる軌道に沿って運ぶようにしたものがある。上記湾曲したベルトは、幅方向の外側部分の進行経路が幅方向の内側部分の進行経路よりも長いので、ベルトの幅方向の外側部分と内側部分とでベルトの張力がアンバランスになって、ベルトが幅方向の内側に移動しようとする。上記サイドローラは、上記ベルトの幅方向の内側端部を保持して、ベルトが幅方向の内側に向って動かないようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のカーブベルトコンベヤは、上記サイドローラはベルトが幅方向の内側向きに移動しようとする力に対抗するのみであって、上記ベルトの幅方向の外側部分と内側部分の進行経路の長さは夫々異なったままで、上記ベルトの幅方向の外側部分と内側部分との間のベルトの張力のアンバランスは解消していない。そのため、上記カーブベルトコンベヤの軌道の曲率が大きいと、上記ベルトが幅方向の内側向きに移動しようとする力が過大になって、上記ベルトの幅方向の内側端部が上記サイドローラに強く押し付けられて、上記ベルトの進行が止まるという問題がある。そのため、カーブベルトコンベヤの軌道の曲率を大きくすることができないという問題がある。
【0004】
そこで、この発明の目的は、ベルトの幅方向の内側部分と外側部分の張力のアンバランスを解消することによって、ベルトの軌道の曲率が大きくてもベルトが幅方向の内側向きに移動しなくて、大きな曲率の軌道を実現できるカーブベルトコンベヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のカーブベルトコンベヤは、
その軌道が曲線となるよう始点プーリと終点プーリとに巻き掛けられたベルトと、上記ベルトの上側部分を下方から支持する上側ローラと、上記ベルトの下側部分を下方から支持する複数の下側ローラとを備えたカーブベルトコンベヤにおいて、
上記湾曲したベルトの下側部分の幅方向の内側部分を、上記隣り合う下側ローラ間において上方から押し付ける押えローラを備え、
上記ベルトの下側部分の幅方向の内側端部に対応する位置に、上記押えローラは一端のみで回転可能に支持されていることを特徴としている。
【0006】
この請求項1の発明のカーブベルトコンベヤによれば、上記ベルトの下側部分において、幅方向の内側部分を、上記押さえローラによって上記複数の下側ローラとの間で上方から押しつける。そうすると、上記ベルトの下側部分において、ベルトの幅方向の内側部分が上下方向に蛇行する。すなわち、ベルトの幅方向の内側部分が、ベルトの上記蛇行によって進行経路の長さが長くなって、上記ベルトの幅方向の外側部分と内側部分との間で、ベルトの進行経路の長さの差が少なくなる。そうすると、上記ベルトの幅方向の外側部分と内側部分との間で、ベルトの張力のアンバランスが少なくなって、ベルトが幅方向の内側に向って移動しようとする力が少なくなる。したがって、上記押えローラがベルトの下側部分を押圧する力を上記ベルトの湾曲の曲率に対応させて、このベルトの幅方向内側に向う力を殆ど生じさせずにカーブベルトコンベヤの曲率を大きくすることができる。
【0007】
請求項2の発明のカーブベルトコンベヤは、請求項1によるカーブベルトコンベヤにおいて、上記押えローラは、上記ベルトの下側部分に、その下側部分の幅方向の内側端部に近い程強く押圧するように傾斜していることを特徴としている。
【0008】
この請求項2の発明のカーブベルトコンベヤによれば、上記押さえローラは傾斜して、上記ベルトの下側部分を、幅方向の内側端部に近い程強く押圧するので、上記ベルトの下側部分の上下方向への蛇行の振幅が、ベルトの幅方向の内側に向うにしたがって徐々に大きくなる。すなわち、緩みが大きくなろうとするベルトの幅方向の内側程、押えローラによって上下方向の蛇行の振幅が大きくなるので、ベルトの張力が幅方向の全ての位置において、略等しくなる。そうすると、上記ベルトが幅方向の内側に向って移動しようとする力が少なくなる。したがって、カーブベルトコンベヤの曲率を大きくすることができる。
【0009】
請求項3の発明のカーブベルトコンベヤは、請求項1によるカーブベルトコンベヤにおいて、上記押えローラは、上記ベルトの下側部分の幅方向の内側に向かって次第に大径となる円錐台形であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施形態により詳細に説明する。
【0011】
図1は、曲線の軌道を有するカーブベルトコンベヤを幅方向の内側から見た正面図である。このカーブベルトコンベヤ1は、始点プーリ2と終点プーリ3とに巻き掛けられると共に、軌道が曲線となる湾曲したベルト6(図2の平面図を参照)を備える。また、上記ベルト6の上側部分7を下方から支持する上側ローラとしての複数のキャリアローラ8,8,8・・・を備えると共に、上記ベルト6の下側部分11を下方から支持する下側ローラとしての複数のリターンローラ12,12,12と、下側ローラとしてのテンションローラ13,13を備える。さらに、図3の底面図に示すように、上記ベルト6の下側部分11で曲線の軌道の幅方向の内側を、テンションローラ13とリターンローラ12との間、リターンローラ12,12の間、およびリターンローラ12とテンションローラ13との間において、夫々上方から押しつける押えローラ16,16,16・・・を備える。
【0012】
図2に示すように、上記ベルト6の上側部分7には、湾曲したベルト6の幅方向の内側端部に接してサイドローラ17,17,17・・・を備えている。また、上記終点プーリ3は、駆動ベルト21を介してモータ22に接続している。
【0013】
図4は、図1に示したカーブベルトコンベヤ1のX−X線における断面図であり、図4において左側が、湾曲したベルト6の幅方向の内側である。上記ベルト6の上側部分7は、キャリアローラ8が下方から支持している。このキャリアローラ8は、軸方向に互いに角度をなして連結した3個のローラ部8a,8b,8cからなる。上記ベルト6の上側部分7は、これらのローラ部8a,8b,8cが支持して幅方向の中央部に凹部を形成して、この凹部に運搬物23を積載するようにしている。上記ベルト6の下側部分11は、リターンローラ12が下方から支持している。さらに、図4において左側、つまり、ベルト6の湾曲の幅方向内側に配置した押えローラ16が、上記ベルトの下側部分11を、上記ベルト6の下側部分11の幅方向の内側程強く押圧するように傾斜して、上方から押圧している。上記キャリアローラ8およびリターンローラ12、押えローラ16は、フレーム25,25によって支持されている。
【0014】
上記構成のカーブベルトコンベヤの動作を以下に説明する。
【0015】
上記モータ22を起動して、図1に示すように、駆動ベルト21を介して終点プーリ3を矢印27に示す方向に回動する。そうすると、このベルト6の上側部分7は、キャリアローラ8,8,8・・・およびサイドローラ17,17,17・・・にガイドされて、曲線の軌道を有して矢印28で示す方向に進行する。上記ベルト6の上面に積載した運搬物23もまた、上記矢印28で示す方向に、上記始点プーリ2側から終点プーリ3側に向って移動する。一方、上記ベルト6の下側部分11は、テンションローラ13,13およびリターンローラ12,12,12にガイドされて、上記ベルト6の上側部分7と同じ曲線の軌道を有して、矢印29で示す方向に進行する。
【0016】
上記テンションローラ13は、上記ベルト6の下側部分11の下面を所定の付勢力で上方に向って付勢して、ベルト6が運搬する運搬物の量あるいはベルト6の進行速度が変化しても、ベルト6の張力が進行方向において一定になるようにしている。
【0017】
さらに、上記ベルト6の下側部分11は、押えローラ16が、湾曲したベルト6の幅方向の内側端部が最も下になるように上方から押圧している。この押えローラ16は、テンションローラ13とリターンローラ12、およびリターンローラ12とリターンローラ12、リターンローラ12とテンションローラ13の間に夫々配置されている。そのため、ベルト6の下側部分11をテンションローラ13およびリターンローラ12が上向きに支持する方向と、押えローラ16が下向きに押圧する方向とが交互に入れ替わる。そうすると、上記ベルト6の下側部分11は、幅方向の内側端部程大きくなる振幅で上下方向に蛇行しながら進行する。この蛇行によるベルト6の進行経路の増加分は、幅方向の外側から内側に向うにつれて長くなる。一方、このベルト6は曲線の軌道を有して湾曲していて、特にベルト6の上側部分7は、進行方向に向って蛇行することなく湾曲しているので、ベルト6の幅方向の外側から内側に向うにつれて、ベルト6の進行経路の長さは短くなっている。したがって、上記ベルト6の下側部分11の蛇行による幅方向内側に向う進行経路の長さの増加が、ベルト6の湾曲による幅方向内側に向う進行経路の長さの減少を補償する。そのため、上記ベルト6の幅方向の全ての位置において、ベルト6の進行経路の長さが略等しくなる。そうすると、上記ベルト6の幅方向の全ての位置で、ベルト6の張力が略等しくなる。すなわち、上記ベルト6は幅方向において張力のアンバランスが殆どないので、ベルト6の幅方向内側に向う力が殆ど生じない。つまり、このカーブベルトコンベヤ1は、ベルト6が曲線の軌道を有して湾曲していても、幅方向内側に向う力がベルト6に殆ど生じないので、ベルトがサイドローラに強く押し付けられて止まるという従来のカーブベルトコンベヤの問題がない。
【0018】
上記押えローラ16の傾斜角度を調整すると、ベルト6の下側部分11に生じる蛇行の振幅を、ベルト6の湾曲による幅方向外側部分と内側部分との進行経路の長さの差に対応させることができる。すなわち、大きい曲率の湾曲を有するベルトであっても、押えローラの傾斜角度を調節して、ベルトの幅方向の内側に向う力を殆ど生じないようにすることができる。したがって、カーブベルトコンベヤの曲率を大きくすることができる。
【0019】
上記実施形態のカーブベルトコンベヤの押えローラ16は、ベルト6の下側部分11の幅方向内側程強く押しつけるように傾斜していたが、押えローラ16は水平に配置されていてもよい。要は、押えローラ16を、ベルト6の幅方向内側部分の進行経路の長さが、幅方向外側部分の進行経路の長さよりも大きくなるように設けていればよい。
【0020】
上記実施形態のカーブベルトコンベヤの押えローラ16は、円筒形であったが、幅方向の内側が大径となる円錐台形であってもよく、要は、ベルト6の下側部分11の幅方向内側程強く押圧できれば、どのような形状でもよい。
【0021】
上記実施形態のカーブベルトコンベヤは、リターンローラ12が所定の角度に傾斜して配置されていたが、リターンローラ12は水平に配置されていてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1によれば、ベルトの下側部分の幅方向の内側部分を、押さえローラによって複数の下側ローラの間で上方から押しつけるので、上記ベルトの下側部分において、ベルトの幅方向の内側部分を上下方向に蛇行させて、ベルトの幅方向の内側部分の進行経路の長さを増大でき、したがって、ベルトが湾曲していることに起因するベルトの幅方向における進行経路の長さの差を解消して、ベルトの張力の幅方向のアンバランスを少なくして、ベルトが幅方向の内側に向って移動するのを防止でき、カーブベルトコンベヤの曲率を大きくすることができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、上記押さえローラを傾斜させて、上記ベルトの下側部分を、幅方向の内側端部に近い程強く押圧するので、上記ベルトの下側部分の蛇行の振幅が、ベルトの幅方向の内側に向うにしたがって徐々に大きくなるので、ベルトの幅方向の全部分において、ベルトの湾曲に起因する進行経路の長さの差が生じないようにでき、幅方向の全部分についてベルトの張力を略一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態のカーブベルトコンベヤを、ベルトの湾曲の幅方向内側から示した正面図である。
【図2】 図1に示したカーブベルトコンベヤの平面図である。
【図3】 図1に示したカーブベルトコンベヤの底面図である。
【図4】 図1のX−X線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 カーブベルトコンベヤ
2 始点プーリ
3 終点プーリ
6 ベルト
7 上側部分
8 キャリアローラ
11 下側部分
12 リターンローラ
13 テンションローラ
16 押えローラ
21 駆動ベルト
22 モータ
25 フレーム
Claims (3)
- その軌道が曲線となるよう始点プーリと終点プーリとに巻き掛けられたベルトと、上記ベルトの上側部分を下方から支持する上側ローラと、上記ベルトの下側部分を下方から支持する複数の下側ローラとを備えたカーブベルトコンベヤにおいて、
上記湾曲したベルトの下側部分の幅方向の内側部分を、上記隣り合う下側ローラ間において上方から押し付ける押えローラを備え、
上記ベルトの下側部分の幅方向の内側端部に対応する位置に、上記押えローラは一端のみで回転可能に支持されていることを特徴とするカーブベルトコンベヤ。 - 請求項1によるカーブベルトコンベヤにおいて、上記押えローラは、上記ベルトの下側部分に、その下側部分の幅方向の内側端部に近い程強く押圧するように傾斜していることを特徴とするカーブベルトコンベヤ。
- 請求項1によるカーブベルトコンベヤにおいて、上記押えローラは、上記ベルトの下側部分の幅方向の内側に向かって次第に大径となる円錐台形であることを特徴とするカーブベルトコンベヤ。
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