JP4416201B2 - 出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置 - Google Patents

出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4416201B2
JP4416201B2 JP07491399A JP7491399A JP4416201B2 JP 4416201 B2 JP4416201 B2 JP 4416201B2 JP 07491399 A JP07491399 A JP 07491399A JP 7491399 A JP7491399 A JP 7491399A JP 4416201 B2 JP4416201 B2 JP 4416201B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotation
rotated
input shaft
output shaft
lock pin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07491399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000266152A (ja
Inventor
清正 高橋
Original Assignee
東都興業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 東都興業株式会社 filed Critical 東都興業株式会社
Priority to JP07491399A priority Critical patent/JP4416201B2/ja
Publication of JP2000266152A publication Critical patent/JP2000266152A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4416201B2 publication Critical patent/JP4416201B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)
  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、入力軸を回転することにより出力軸を正逆双方向へ自在に回転できるが、出力軸は大きな負荷回転力を受けても正逆いずれの方向にも回転しない、いわゆる出力軸を入力軸によってのみ回転可能な回転伝達装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、出力軸を入力軸によってのみ回転可能な回転伝達装置は、一例として本出願人の実公平8−7162号公報に記載されて公知である。この回転伝達装置は、図8〜図11に例示したように、出力軸2と入力軸1はケーシング3内で各々の中心線が一致する配置に組み合わされている。
【0003】
前記被回転体6は、図9に示したように、ピン受円板6cとピン押円板6dとを一体的に設けた構成とされ、ピン受円板6cにロックピン6aが軸線方向の向きに設けられている。ロックピン6aは、半円形状の線バネ6bの両端を折り曲げて軸線方向に向け、円周方向に略対称に配置した2本から成る。線バネ6bの弾力性により半径方向外向きへの作用力を受け、半径方向へ変位可能とされている。前記ピン押円板6dには、前記ロックピン6aの半径方向への変位を案内する細長いスリット形状の貫通孔6eが2個設けられている。
【0004】
前記ロックピン6aを軸線方向に貫通させる中空構造で、同ロックピン6aが前記作用力で半径方向外向きに噛み込む谷部7aと、同谷部7aよりも半径が小さい山部7bとを同心円に沿って形成された内歯車形状のロック板7が、その外周部をケーシング3に固定されている(図8、図10)。
【0005】
一方、前記入力軸1の内端部に回転ディスク8が設けられている(図8)。この回転ディスク8には、前記ロック板7の中空部を貫通して軸線方向に配置された前記ロックピン6aが進入する山形状(または半月形状)の伝達孔8aが、図11のように底辺8bを回転ディスク8の回転円に沿う配置とし、山形頂部8cが半径方向外向きの配置で形成されている。前記山形状の伝達孔8aにおける山形頂部8cの回転中心からの半径は、前記ロック板7における谷部7aの底までの半径と同一か少し大きい。同伝達孔8aにおける底辺8bの両側の隅角部8d、8eの回転中心からの半径は、ロック板7における山部7bの半径と同一か少し小さく形成されている。前記被回転体6及び回転ディスク8は入力軸1及び出力軸2と共に前記ケーシング3内で組立てられ、ケーシング3の回転は止められている。
【0006】
従って、この回転伝達装置は、出力軸2が負荷回転力によって正逆いずれかの方向へ回転するときは、被回転体6のロックピン6aがロック板7の谷部7aへ強力に噛み込んでいるため出力軸2の回転は正逆いずれの方向にも回転不能である。
【0007】
逆に、入力軸1により回転ディスク8を回転させると、ロックピン6aは伝達孔8aの斜辺8f又は8gを滑って回転方向後方位置の隅角部8dまたは8eへ行き着く。その間に同ロックピン6aは半径方向内方へ変位されてロック板7の谷部7aから解放され、ロックピン6aと出力軸2は回転可能となる。入力軸1及び回転ディスク8の前記回転は、ロックピン6aから被回転体6を経て出力軸2へと伝達され、出力軸2は入力軸1と同一方向へ同一速度で回転される。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】
上記図8〜図11に示した従来の回転伝達装置の場合、被回転体6のロックピン6aが、ロック板7の谷部7aへ強力に噛み込んで出力軸2の回転をロックする。一方、入力軸1と回転ディスク8の回転によって前記ロックが解除され、出力軸2へ回転力を伝達する。要するに、回転ロック機能と回転力伝達機能の二つともロックピン6aに負わせている。このため回転伝達装置の用途や要求性能に応じて、回転をロックする機能だけ、又は回転力を伝達する機能だけを一方的に独立して所要の強度、能力に設計、製作することは至難である。即ち、回転力伝達機能を大きくするためロックピン6aの外径を大きく(太く)すると、必然的に線バネ6bのバネ作用力が増大して回転ロック機能の解除抵抗が大きくなる。逆に、ロックピン6aの外径を小さく(細く)すると、その剪断剛性に依存する回転力伝達機能が低下する、という具合に二律背反の関係にある。
【0009】
そこで本発明の目的は、回転ロック機能と回転力伝達機能とを明快な構造で分離、独立せしめ、回転伝達装置の用途や要求性能に応じて前記の各機能を個別的に適切に発揮するように設計、製作することができ、用途に応じて適正な性能と信頼性を発揮する回転伝達装置を提供することにある。
【0010】
本発明の次の目的は、ロックピンの半径方向への移動を、線材の撓み変形ではなく機構運動として実現し、もってロックピンによる回転の阻止、又はその解除の動きを円滑に鋭敏なものとし、入力軸による回転操作、又はその停止の操作に鋭敏に、円滑に、良好に応答して使い勝手の良い回転伝達装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更なる目的は、大きな負荷回転力のために出力軸の回転速度が入力軸の回転操作の速度よりも速く先走る不具合、即ち、出力軸の回転が先行するが故に、一旦は解除したはずのロックピンがすぐさまロック板の次の谷部へと食い込み、それを後から追いついた入力軸の回転によって再び解除して回転を進める、云うなればロック板の内歯形状をなす山部のピッチ毎にガチガチとうるさい衝撃騒音を発生し、ギクシャクした回転動作を発生する不具合を解消するように、出力軸の回転に適度なブレーキを働かせて回転の先走りを防ぐ構成とした、回転伝達装置を提供することにある。
【0012】
本発明の次の目的は、入力軸を回転して出力軸を回転させ、その後入力軸の回転を止めた際に、ロックピンがロック板の本来入るべき位置の谷部へ入らず、その先の山部へ当たって弾かれて次位の谷部へ入るか、場合によっては更に次位の山部にも弾かれて次々と空回りして回転が進み、目的の停止位置よりも不用意に回転が進む不具合、即ち、ロックピンの回転速度と、同ロックピンが谷部に向かって半径方向外向きに移動する速度との関係にバランスを欠くと、ロックピンが谷部へ食い込むよりも先に次位の山部の頂部へ当たって弾かれ、更に次の山部にも弾かれるなどして所謂空回りが続き、操作者の意思通りの位置で回転が止まらない操作性の悪さ、応答性の悪さを解消した回転伝達装置を提供することである。
【0013】
本発明の究極の目的は、構造的にも、実用的にも完成度の高い回転伝達装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明に係る出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置は、
a) 出力軸と入力軸は各々の中心線が一致する配置とされ、入力軸の内端部に回転ディスクが設けられ、出力軸の内端部に第1被回転体と第2被回転体が設けられていること、
b) 出力軸の第1被回転体には、半径方向へ移動自在な少なくとも2本のロックピンが円周方向にほぼ対称な配置で軸線方向の向きに、各々半径方向外向きへの作用力を受けて設けられていること、
c) 前記第2被回転体は、前記第1被回転体のロックピンが軸線方向へ貫通する貫通孔を半径方向の長孔として形成した回転板との組合わせから成り、第2被回転体には円周方向にほぼ対称な配置で軸線方向の向きに、入力軸の回転ディスクから回転力の伝達を受ける被回転凸部が設けられていること、
d) 前記第1被回転体のロックピン、及び第2被回転体の被回転凸部が軸線方向へ貫通することを許容する内径で、前記ロックピンが半径方向外向きに噛み込む谷部と、同谷部よりも半径が小さい山部とが同心円に沿って内歯車形状に形成された孔をもつロック板が、その外周部をケーシングに固定されていること、
e) 入力軸の回転ディスクには、前記ロック板を貫通した第1被回転体のロックピンが進入する山形状のロック解除孔が、その底辺を回転ディスクの回転円に沿う配置とされ山形頂部が半径方向外向きとなる配置で前記ロックピンと対応する配置で同数形成されており、前記ロック解除孔における半径方向外側の山形頂部の回転中心からの半径は、前記ロック板における谷部の底までの半径と同一か少し大きく、該ロック解除孔における底辺両側の隅角部の回転中心からの半径はロック板における山部の半径と同一か少し小さく形成されていること、
f) 前記回転ディスクには更に、前記ロック板を貫通した第2被回転体の被回転凸部が進入する扇形状の回転伝達孔が前記被回転凸部と対応する配置で同数形成されており、該回転伝達孔の外辺部と内辺部が回転ディスクの回転円に沿う配置で形成され、その回転方向の両端部は、前記ロックピンがロック解除孔の隅角部に位置するのと同時期に被回転凸部が当接し第2被回転体と第1被回転体を回転させる配置で半径方向に形成されていること、
g) 前記被回転凸部の回転に摩擦力を発生する摩擦リングが、ケーシングに固定した円筒部内に設置され、該摩擦リングの離隔部近傍の内側縁に形成された傾斜カム部に、前記被回転凸部がほぼ当接する関係に組み合わされていること、
h) 前記第1被回転体及び第2被回転体並びに回転ディスクは前記出力軸及び入力軸と共にケーシング内で組立てられ、該ケーシングの回転は止められていること、
をそれぞれ特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置において、ロックピンは、第1被回転体へ回動自在に取り付けたレバーの一端部に設けられ、同レバーの他端は、ロックピンに半径方向外向きへの作用力を付与する弾性体と連結れていることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置において、ロック板の内歯形状を形成する谷部と山部は、谷部の円周方向幅が、山部の円周方向幅よりも大きい異形歯形状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置において、ロック板の一側面部に、摩擦リングの外径とほぼ同じ内径で、且つ摩擦リングの厚さと略同じ長さの円筒部が設けられ、該円筒部内に摩擦リングが設置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置において、摩擦リングのCリングの如く一部分を切断した離隔部近傍に突起が設けられ、入力軸の回転ディスクには、その回転伝達孔の回転方向の両端部と共通な半径線上に前記突起へ当たる縁を有する切欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
請求項1〜5に記載した発明に係る回転伝達装置の実施形態及び実施例を図1〜図7に示した。
【0020】
出力軸2と入力軸1は、図1と図3に示したように、ケーシング3内において各々の中心線が一致する配置で組立られている。出力軸2の内端部に第1及び第2被回転体12、13が設けられ、他方、入力軸1の内端部に回転ディスク14が設けら、両者の中間部にロック板25が設置されている。
【0021】
前記第1被回転体12には、その内側面に、半径方向へ移動自在な2本のロックピン15、15が、円周方向にほぼ対称な配置で軸線方向の向きに、しかも各々半径方向外向きへの作用力を受けて設けられている。
【0022】
図示した実施例の場合、各ロックピン15は、第1被回転体12へ中間部を支点ピン17により回動自在に取り付けたレバー16の一端部に設けられ、同レバー16の他端は、ロックピン15に半径方向外向きへの作用力を付与する弾性体としての引張り用コイルバネ18と連結されている。図4に示したように、第1被回転体12の中心を通る垂直線の左右に対称な配置とされたロックピン15、15及びレバー16、16に対して、左右2個のレバー16の他端同士が、共通な1本の引張り用コイルバネ18と連結され、レバー16を通じてその一端のロックピン15に常時半径方向外向きの作用力が付与されている(請求項2記載の発明)。
【0023】
次に、第2被回転体13は、前記第1被回転体12のロックピン15が軸線方向へ貫通する貫通孔20を半径方向の長孔として形成した回転板19との組合わせからなり、回転板19は出力軸2に対してルーズな関係とされている。第1、第2被回転体12、13は出力軸2と一体的構造とされている。
【0024】
第2被回転体13の円周方向にほぼ180度対称な配置で軸線方向の向きに、入力軸1の回転ディスク14から回転力の伝達を受ける被回転凸部21が2個設けられている。図1と図5で明かなように、被回転凸部21は、回転力の伝達に必要十分な剪断剛性を具備する厚さ及び幅寸の板状に回転体13の板材の一部を折曲げて形成されている。前記回転板19には、前記被回転凸部21を軸方向に通す切り欠き22が、被回転凸部21の回転半径の位置から、同被回転凸部21の幅寸に若干の回転余裕の間隔を加算した幅の扇形に形成されている。
【0025】
なお、図示した実施例の場合、第1被回転体12のロックピン15と、第2被回転体13の被回転凸部21は、回転方向に約90度隔てた関係に組み合わされている(図5、図7参照)。
【0026】
前記第1被回転体12のロックピン15、及び前記第2被回転体13の被回転凸部21がそれぞれ軸線方向へ貫通することを許容する内径の中空孔を有するロック板25は、中空孔の内径部に、前記ロックピン15が前記引張り用コイルバネ18の作用力で半径方向外向きに噛み込む谷部23と、同谷部23よりも半径が小さい山部24とを同心円に沿って交互に連続させ内歯車形状に形成されている。該ロック板25は、その外周部をケーシング3に固定されている。
【0027】
前記ロック板25の内歯形状を形成する谷部23と山部24は、谷部23の円周方向幅が、山部24を1個分除去した程度に大きい異形歯形状に形成されている(請求項3記載の発明=図5参照)。その理由は、入力軸1を回転操作して出力軸2を回転させ、その後入力軸1の回転を止めた際に、ロックピン15がロック板25の本来入るべき直近位置の谷部23へ、その先の山部24へ当たる手前で確実に入り込み、回転が目的の停止位置できちんと止まり、不用意な回転をさせないためである。即ち、従来技術の不具合であった、ロックピン15の回転速度と、同ロックピン15が谷部23に向かって半径方向外向きに移動する速度とのバランスを欠いた場合に、ロックピン15が直近位置の谷部へ入る隙もなく、その先の山部へ当たって弾かれ回転が進んでしまう所謂空回りを防止し、操作者の意思通りの位置で回転がきっちり止まる操作性の良さ、応答性の良さを実現するための工夫である。幅を広く形成し山部24のピッチを広げた谷部23には、ロックピン15が確実に食い込み、出力軸2の回転をきちんと止める。
【0028】
次に、入力軸1の内端部に設けられた回転ディスク14には、前記のロック板25の中空孔を貫通してきた前記第1被回転体12のロックピン15が進入する山形状のロック解除孔26が、その底辺26aを当該回転ディスク14の回転円に沿う配置とし、且つ山形頂部26bが半径方向外向きとなる配置で、前記2個のロックピン15、15と対応する配置で同数形成されている(図7)。前記ロック解除孔26における半径方向外側の山形頂部26bの回転中心からの半径は、前記ロック板25における谷部23の底までの半径と同一かそれよりも少し大きく形成されている。該ロック解除孔26における底辺両側の隅角部26c、26dの回転中心からの半径は、ロック板25における山部24の半径と同一かそれよりも少し小さく形成されている。従って、入力軸1と共に回転ディスク14が回転されると、ロック解除孔26の回転に伴ってロックピン15は貫通孔20に案内されて半径方向内方へ変位され、山部25と干渉しない、ロック解除の状態となる。
【0029】
前記回転ディスク14には更に、前記ロック板25の中空孔を貫通してきた第2被回転体の被回転凸部21が進入する扇形状の回転伝達孔27が前記被回転凸部21と対応する配置で同数形成されている(図7)。該回転伝達孔27の外辺部と内辺部はそれぞれ回転ディスク14の回転円に沿う同心円配置で形成されていると共に、その回転方向の両端部27a、27bは、前記ロックピン15がロック解除孔26の隅角部26c、26dへ到達しロック解除になると同時期に被回転凸部21が当接し、第2被回転体13を、ひいては出力軸2を回転させる形状、配置で半径方向に形成されている。
【0030】
次に、図示した実施例の場合は、前記ロック板25と前記入力軸1の回転ディスクと14の中間部に、前記被回転凸部21の回転に摩擦力を発生する摩擦リング30が設置されている。図示例の場合は、前記ロック板25と隣接した位置に同ロック板25と一体的関係でケーシング3へ固定した補助板40に、摩擦リング30の外径とほぼ同じ内径で、且つ摩擦リング30の厚さ(板厚)と略同じ長さ(但し、摩擦リング30が複数の場合は、前記板厚に個数を乗じた長さ)の円筒部41が設けられ、該円筒部41の内周面に摩擦リング30が略内接するように設置されている(請求項4記載の発明)。
【0031】
なお、摩擦リング30の使用数は1個の限りではなく、必要に応じて2個以上を使用可能である。また、摩擦リング30の内径は、上述したロックピン15及び被回転凸部21が軸方向へ貫通し、回転することを許容する大きさとされている。
【0032】
摩擦リング30は、所謂Cリングの如く一部分を切除した離隔部を有する形状で、同離隔部近傍の内側縁に左右対称形状に形成された傾斜カム部31、31を有する。そして、左右の傾斜カム部31、31の間の位置に、前記被回転凸部21の両縁が略当接する関係に組み立てられている(図6参照)。従って、出力軸2が受ける負荷回転力によって第2被回転体13の被回転凸部21が正逆いずれの方向へ回転しようとすると、直ちに摩擦リング30の傾斜カム部31へ当たって迫り生ずる。その結果、円筒部41の内周面にほぼ内接している摩擦リング30の外径縁を円筒部41の内周面に圧接させて摩擦力(制動力)を発生する。この制動力が出力軸2の大きな負荷回転力による回転の先走りを抑制する。
【0033】
その結果、従来の大きな問題であった、大きな負荷回転力によって出力軸2の回転速度が入力軸1の回転操作の速度よりも先走り、解除したはずのロックピン15がすぐさまロック板25の次位の谷部23へ食い込んで止まり、それを後から追いついた入力軸1の回転によって再び解除して回転を進める、云うなればロック板25の内歯形状をなす山部24のピッチ毎にガチガチとうるさい衝撃騒音を発生し、出力軸2がギクシャクとした回転動作することを解消するのである。
【0034】
なお、摩擦リング30の離隔部近傍の位置には、入力軸1の回転ディスク14の方へ突き出る突起60、60が、各々の両外縁が前記被回転凸部21の両縁と共通な半径線上の位置に設けられている。そして、入力軸1の回転ディスク14の外縁部には、回転伝達孔27の回転方向両端27a、27bと共通な半径線上に前記突起60へ同時に当たる縁70a、70bを有する切欠き部70が形成され、入力軸1の回転ディスク14が出力軸2を正逆の方向に回転する通常状態では切欠き部70の縁70a又は70bが突起60を押して摩擦リング30を半ブレーキ状態で軽く回転させる構成とされている(請求項5記載の発明)。
【0035】
図2、図3の場合、補助板40と円筒部41はロック板25の右側(入力軸の側)に設置されているが、左側へ設置して実施することも出来る。補助板40を使用することなく、ロック板25へ直接円筒部41を付設するか、或いは円筒部に相当する内径の孔をあけるか凹面を削り込んで実施することもできる。
【0036】
上記の第1被回転体12及び第2被回転体13、回転板19並びに回転ディスク14はそれぞれ、図2、図3に示したように、前記出力軸2及び入力軸1と共に、前記ケーシング3内で組立てられている。そして、当該回転伝達装置の使用条件として、ケーシング3の回転は何らかの手段で絶対的に止められてる。
【0037】
従って、この回転伝達装置は、入力軸1の停止時には、第1被回転体12のロックピン15が回転ディスク14のロック解除孔26における半径方向外側の山形頂部26bに位置し(図7)、ロック板25の谷部23へ噛み込んでいる(図5)。よって、負荷回転力が出力軸2を回転させようとしても、正、逆いずれの方向へも回転不能である。
【0038】
一方、入力軸1によって回転ディスク14を回転させると、ロックピン15はロック解除孔26の斜辺26eを滑って回転方向後方に位置する隅角部26c又は26d(図7)へ行き着く。このときのロックピン15の前記変位は、回転板19の貫通孔20に案内されて半径方向内向きへの変位である。前記変位の間に、同ロックピン15はロック板25の谷部23から山部24を乗り越える位置となり、出力軸2は回転可能となる。同時期に、回転ディスク14の回転伝達孔27の回転方向後ろ側の端部27a又は27b(図7)が、第2被回転体13の被回転凸部21へ当接し、同被回転凸部21を回転方向へ押し進め、同時に切欠き部70の縁70a又は70bが突起60を押して摩擦リング30を回転させる。よって、第2被回転体13は出力軸2と共に回転する。即ち、入力軸1及び回転ディスク14の回転は、被回転凸部21から出力軸2へと伝達され、出力軸2は入力軸1と同一方向へ同一速度で回転される。
【0039】
なお、上述したようにロックピン15がロック板25の谷部23から山部24を乗り越える位置まで変位し、出力軸2が回転可能となったとき、同出力軸2へ負荷している大きな回転力によって入力軸1の回転速度よりも高速で出力軸2が同方向へ先行回転すると、被回転凸部21が回転方向前方に接近して位置する摩擦リング30の傾斜カム部31へ先行して押し当たることになる。そのため同傾斜カム部31のカム作用により同摩擦リング30の外径面を円筒部41の内周面へ押し付けて摩擦力を発生し、それが適度なブレーキ作用となって出力軸2の先走り回転を阻止する。その結果、出力軸2の回転は常に入力軸1の回転速度と同一に保たれ、ロックピン15がロック板25の山部24へカチカチと当たる騒音を発生せず、出力軸2は円滑に回転動作する。
【0040】
上述したように、ロックピン15は、出力軸2の回転を阻止し、入力軸1の回転時にロックを解除する機能にだけ使用されている。入力軸1の回転力を出力軸2へ伝達する機能は、回転ディスク14の回転伝達孔27へ嵌まった第2被回転体13の被回転凸部21のみが独立して働く。このように回転ロック機能と回転力伝達機能の構成が夫々分離独立しているので、回転伝達装置の用途や要求性能に応じて、ロックピン15、及び被回転凸部21の大きさや強度等を独立して適宜に設計、変更できる自由度がある。
【0041】
なお、図1と図2に示した入力軸1と出力軸2は、夫々軸受ブッシュ50によりケーシング3に支持されている。ケーシング3は、四角形に形成されたロック板25(図5)の回転を止める便宜上、角筒状に形成されているが、その形態は限定されない。
【0042】
入力軸1と回転ディスク14との中間に公知の減速機構、例えば遊星歯車式減速機構を組入れ、入力軸1の回転負荷を数分の一に減らす構成で実施することもできる。或いは、傘歯車機構を使用して90゜変換した入力軸への回転を伝えることも行われる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1〜5記載の発明に係る出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置は、出力軸の回転を阻止するロックピンと、入力軸の回転を出力軸へ伝達する被回転凸部を各々独立の構成で設けたので、回転ロック機能と回転力伝達機能の構成が夫々独立している。したがって、回転ロック機能と、回転力伝達機能は各々別個独立に、当該回転伝達装置の用途や要求性能に応じて自由に設計、製作できる。
【0044】
本発明によれば、ロックピンの半径方向への移動を、線材の撓み変形ではなく、機構運動として実現したので、ロックピンによる回転阻止機能、又はその解除の動作が円滑、鋭敏である。従って、入力軸による回転操作、又はその停止の操作に鋭敏に応答して使い勝手の良い回転伝達装置を提供する。
【0045】
本発明はまた、大きな負荷回転力により出力軸の回転速度が入力軸の回転操作の速度よりも先走る不具合、即ち、ロック板の内歯形状をなす山部のピッチ毎にガチガチとうるさい衝撃騒音を発生したり、ギクシャクとした回転動作しないように出力軸の回転に適度なブレーキを働かせる回転伝達装置を提供する。
【0046】
本発明はさらに、入力軸を回転して出力軸を回転させ、その後入力軸の回転を止めた際には空回りせず、操作者の意思通りの位置で回転が止まる操作性の良さ、応答性の良さに優れ、構造的にも、実用的にも完成度の高い回転伝達装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転伝達装置の構成要素を分解して示した斜視図である。
【図2】本発明の回転伝達装置を図7のA−A線方向に切断した断面図である。
【図3】同じ回転伝達装置を図7のB−B線方向に切断した断面図である。
【図4】図3のC―C線矢視断面図である。
【図5】図3のD−D線矢視断面図である。
【図6】図3のE−E線矢視断面図である。
【図7】図3のF−F線矢視断面図である。
【図8】従来の回転伝達装置を示した断面図である。
【図9】従来の被回転体を示した分解斜視図である。
【図10】従来のロック板とロックピンを示した正面図である。
【図11】従来の回転ディスクとロックピンの関係を示した正面図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2 出力軸
12 第1被回転体
13 第2被回転体
15 ロックピン
20 貫通孔
21 被回転凸部
14 回転ディスク
23 谷部
24 山部
25 ロック板
26 ロック解除孔
26b 山形頂部
26a 底辺
27 回転伝達孔
30 摩擦リング
31 傾斜カム部
3 ケーシング
16 レバー
18 弾性体
41 円筒部

Claims (5)

  1. a) 出力軸と入力軸は各々の中心線が一致する配置とされ、入力軸の内端部に回転ディスクが設けられ、出力軸の内端部に第1被回転体と第2被回転体が設けられていること、
    b) 出力軸の第1被回転体には、半径方向へ移動自在な少なくとも2本のロックピンが円周方向にほぼ対称な配置で軸線方向の向きに、各々半径方向外向きへの作用力を受けて設けられていること、
    c) 前記第2被回転体は、前記第1被回転体のロックピンが軸線方向へ貫通する貫通孔を半径方向の長孔として形成した回転板との組合わせから成り、第2被回転体には円周方向にほぼ対称な配置で軸線方向の向きに、入力軸の回転ディスクから回転力の伝達を受ける被回転凸部が設けられていること、
    d) 前記第1被回転体のロックピン、及び第2被回転体の被回転凸部が軸線方向へ貫通することを許容する内径で、前記ロックピンが半径方向外向きに噛み込む谷部と、同谷部よりも半径が小さい山部とが同心円に沿って内歯車形状に形成された孔をもつロック板が、その外周部をケーシングに固定されていること、
    e) 入力軸の回転ディスクには、前記ロック板を貫通した第1被回転体のロックピンが進入する山形状のロック解除孔が、その底辺を回転ディスクの回転円に沿う配置とされ山形頂部が半径方向外向きとなる配置で前記ロックピンと対応する配置で同数形成されており、前記ロック解除孔における半径方向外側の山形頂部の回転中心からの半径は、前記ロック板における谷部の底までの半径と同一か少し大きく、該ロック解除孔における底辺両側の隅角部の回転中心からの半径はロック板における山部の半径と同一か少し小さく形成されていること、
    f) 前記回転ディスクには更に、前記ロック板を貫通した第2被回転体の被回転凸部が進入する扇形状の回転伝達孔が前記被回転凸部と対応する配置で同数形成されており、該回転伝達孔の外辺部と内辺部が回転ディスクの回転円に沿う配置で形成され、その回転方向の両端部は、前記ロックピンがロック解除孔の隅角部に位置するのと同時期に被回転凸部が当接し第2被回転体と第1被回転体を回転させる配置で半径方向に形成されていること、
    g) 前記被回転凸部の回転に摩擦力を発生する摩擦リングが、ケーシングに固定した円筒部内に設置され、該摩擦リングの離隔部近傍の内側縁に形成された傾斜カム部に、前記被回転凸部がほぼ当接する関係に組み合わされていること、
    h) 前記第1被回転体及び第2被回転体並びに回転ディスクは前記出力軸及び入力軸と共にケーシング内で組立てられ、該ケーシングの回転は止められていること、
    をそれぞれ特徴とする、出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置。
  2. ロックピンは、第1被回転体へ回動自在に取り付けたレバーの一端部に設けられ、同レバーの他端は、ロックピンに半径方向外向きへの作用力を付与する弾性体と連結されていることを特徴とする、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置。
  3. ロック板の内歯形状を形成する谷部と山部は、谷部の円周方向幅が、山部の円周方向幅よりも大きい異形歯形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置。
  4. ロック板の一側面部に、摩擦リングの外径とほぼ同じ内径で、且つ摩擦リングの厚さと略同じ長さの円筒部が設けられ、該円筒部内に摩擦リングが設置されていることを特徴とする、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置。
  5. 摩擦リングのCリングの如く一部分を切断した離隔部近傍に突起が設けられ、入力軸の回転ディスクには、その回転伝達孔の回転方向の両端部と共通な半径線上に前記突起へ当たる縁を有する切欠き部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置。
JP07491399A 1999-03-19 1999-03-19 出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置 Expired - Fee Related JP4416201B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07491399A JP4416201B2 (ja) 1999-03-19 1999-03-19 出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07491399A JP4416201B2 (ja) 1999-03-19 1999-03-19 出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000266152A JP2000266152A (ja) 2000-09-26
JP4416201B2 true JP4416201B2 (ja) 2010-02-17

Family

ID=13561114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07491399A Expired - Fee Related JP4416201B2 (ja) 1999-03-19 1999-03-19 出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4416201B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000266152A (ja) 2000-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3948086B2 (ja) シートリクライニング装置
JP3931404B2 (ja) シートリクライニング装置
JP4331409B2 (ja) 締め付けローラ式ラチェット送り機構
US7214161B2 (en) One-way clutch
JPH0327479Y2 (ja)
JP4416201B2 (ja) 出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置
US5485903A (en) Reversal preventive mechanism of a silent type for use in a fishing reel
US6830208B2 (en) Gear shift mechanism for fishing reel
US4236753A (en) Seat reclining apparatus
JP3061932U (ja) 出力軸を入力軸によって回転可能な回転伝達装置
JPH0728239U (ja) ワンウェイクラッチの外輪の固定構造
JPS5999123A (ja) 伝達歯車付円板クラッチ装置
JP2002005201A (ja) ラチェット型ワンウェイクラッチ
JPH067213Y2 (ja) 歯車変速機の異音防止装置
JPH0756292B2 (ja) バツクトルク低減装置
JPS6210494Y2 (ja)
JPH0160696B2 (ja)
JPH0226796Y2 (ja)
JPS6129062Y2 (ja)
JP4225443B2 (ja) ハンドル駆動装置
JPS6242880Y2 (ja)
JPH0110506Y2 (ja)
JP3739922B2 (ja) リクライニング装置
JPH0645730Y2 (ja) 手動変速機のリバ−スギヤ鳴り防止装置
JPS61205586A (ja) 変速操作装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060309

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060309

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090317

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090407

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4416201

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121204

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121204

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151204

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees