JPS6242880Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自転車用変速操作装置、詳しくは、操
作レバーの回転による動きを操作ワイヤーを介し
て変速機に伝達し、所定の変速段位に切換えるご
とくした変速操作装置に関する。

一般に、自転車における変速操作装置は、自転
車用フレームに固定する固定部材に前記操作レバ
ーを回転自由に支持し、該操作レバーの往動によ
る前記操作ワイヤーの牽引操作により、リターン
ばね及びチエンガイドを備えた変速機の前記チエ
ンガイドを、前記リターンばねの引張力に抗し
て、例えば低速段位側に往動させ、前記操作レバ
ーの復動による前記リターンばねの引張力によ
り、前記チエンガイドを例えば高速段位側に復動
させるごとく構成されている。

所が以上の如く構成した場合、前記操作レバー
に、変速機におけるリターンばねに打勝つ回転抵
抗を与えて、前記レバーの往動操作時、即ち、前
記リターンばねの引張方向と逆方向への回転操作
時、このレバーの回転操作による変速操作位置を
前記回転抵抗により維持する必要があるため、前
記リターンばねの引張方向と逆方向への変速操作
時、非常に大きな操作力を必要とし、その変速操
作を軽快に行なうことができなかつたのである。

そこで従来、実公昭56−3268号公報に記載され
ているように、固定部材に回転自由に支持する操
作レバーを、ワイヤー巻取部をもつレバー本体
と、グリツプ取付片をもつグリツプとにより形成
して、前記グリツプを前記レバー本体に相対回転
可能に枢着すると共に、前記レバー本体と前記固
定部材との間に、前記レバー本体の変速機におけ
るリターンばねの引張方向への回転を阻止する回
転阻止機構を設け、かつ前記レバー本体とグリツ
プとに、レバー本体の前記リターンばねの引張方
向と逆方向の回転時、前記グリツプの回転をレバ
ー本体に伝動する連動部を設ける一方、前記グリ
ツプに、該グリツプの前記リターンばねの引張方
向への回転時、前記回転阻止機構による回転阻止
作用を解除する解除体を設けたものが提案されて
いる。

所がこの従来の操作装置は、操作レバーを、ワ
イヤー巻取部をもつレバー本体とグリツプとに分
割して、グリツプをレバー本体に対し回転可能に
支持し、更にこのグリツプとレバー本体との間に
前記連動部を設けると共に、前記グリツプに、前
記解除体を設けたものであるから、特に操作レバ
ーのワイヤー巻取部から外方に突出する操作部分
における構造が非常に複雑で、この操作部分に指
先とか衣服などが挾まつて負傷、損傷する危険性
が非常に高い問題があるし、又、前記操作部分の
形状が大形化し、小型の操作装置に適用できない
問題があつた。

本考案は以上の如き従来の問題点を解決すべく
考案したもので、目的は、変速機におけるリター
ンばねに打勝つ回転抵抗を付与しなくとも変速操
作位置を確実に維持することができ、しかも操作
レバーの特に操作部分における構造を非常に簡素
化できると共に、この操作部分を小形化できる操
作装置を提供する点にある。

しかして本考案は、操作レバーとワイヤー巻取
体とを各別に設けて、固定部材に対しそれぞれ同
心円状に回転自由に支持すると共に、前記ワイヤ
ー巻取体と、固定部材との何れか一方に、係止体
を、他方に前記レバーの回転中心と同心円状に配
設され、前記係止体が係合して前記巻取体の変速
機におけるリターンばねの引張方向への回転を阻
止する回転阻止体とを備えた回転阻止機構を設
け、かつ、前記レバーとワイヤー巻取体とに、前
記レバーの前記リターンばね引張方向と逆方向の
回転時、前記レバーの回転を前記巻取体に伝動す
る連動部を設ける一方、前記レバーに、該レバー
の前記リターンばねの引張方向への回転時、前記
レバーの回転と共に回転して前記係止体に係合
し、前記阻止体に係合する係止体の係合を解除す
る解除体を設けたことを特徴とするものである。

以下本考案装置の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１〜３図に示した変速操作装置は、一端にボ
ス部１１をもち、他端に操作部１２をもつ操作レ
バー１と、ワイヤー案内溝２１をもつワイヤー巻
取体２とを各別に設けて、これら操作レバー１及
びワイヤー巻取体２を、自転車用フレームの例え
ばトツプチユーブに固定する固定部材３にレバー
軸４を介して回転自由に支持すると共に、前記固
定部材１に、外周に噛合歯５１を周設した円筒状
の回転阻止体５を回転不能に支持し、また前記巻
取体２に前記回転阻止体５の噛合歯５１と噛合す
る爪形式の係止体６を起状自由に支持し、これら
回転阻止体５と係止体６及び該係止体６を前記噛
合歯５１と常時噛合する方向に付勢するスプリン
グ７とにより、前記巻取体２の変速機におけるリ
ターンばね（図示せず）の引張方向（第２図矢印
Ｘ方向）への回転を阻止する回転阻止機構Ａを構
成し、更に、前記操作レバー１とワイヤー巻取体
２とに、前記操作レバー１の前記リターンばねの
引張方向と逆方向の回転時、前記レバー１の回転
を前記巻取体２に伝動する第１、第２連動部１
３，２２を設けると共に、前記操作レバー１に、
該レバー１の前記リターンばねの引張方向への回
転時、前記係止体６と接触して前記回転阻止機構
Ａによる回転阻止作用を解除する解除体８を設け
たものである。

以上の構成において、前記固定部材３は、その
中心部に取付孔３１を設けると共に、側面に、前
記レバー軸４を前記取付孔３１の軸線と直交する
方向に突設している。そして前記取付孔３１に挿
通する取付ねじ９と、自転車用フレームに溶接に
より直付けするねじ筒１０とから成る固定手段に
より前記固定部材３を固定したものである。尚、
前記固定部材３は、締付バンドなどの固定手段を
用いて固定してもよい。又、前記レバー軸４の外
周面には、円形軸部と非円形軸部とを設けて、そ
の円形軸部に前記操作レバー１を回転自由に支持
し、又、前記非円形軸部に前記回転阻止体５を回
転不能に支持している。

又、前記操作レバー１は、そのボス部１１中心
に設ける軸孔１４部分を前記レバー軸４に回転自
由に嵌合するのであつて、この操作レバー１のボ
ス部１１一側面を切除して薄肉とし、該切除部１
５内に前記巻取体２を配置すると共に、前記切除
部１５の外側に前記第１連動部１３を突設するの
であり、又、前記ボス部１１の外方位置に凹入部
１６を設けて、該凹入部１６に前記解除体８を支
持するのである。

又、前記ワイヤー巻取体２は、中心に貫通孔２
３をもち、外周に前記ワイヤー案内溝２１と前記
第２連動部２２とをもつ円筒状に形成して、その
貫通孔２３部分を前記回転阻止体５の外周に回転
自由に支持すると共に、前記第２連動部２２に操
作ワイヤーＷの一端を係止するのであり、又、こ
の巻取体２の一側面に、前記貫通孔２３内面に開
口する内腔部２４を設けて、該内腔部２４内に前
記係止体６とスプリング７とを支持すると共に、
前記解除体８の一部を突入させるのである。

この解除体８は、一端に支持片８１をもち、他
端に解除片８２をもつ断面略コ字形に形成して、
その支持片８１を前記操作レバー１の凹入部１６
に挿嵌して支持し、操作レバー１の回転に追従し
て作動させるように成すと共に、解除片８２を前
記巻取体２の内腔部２４内に突入させて、前記係
止体６と対向させるのである。尚、前記解除体８
は、前記レバー１と一体に形成できる構造として
もよい。

又、図中２０は前記操作レバー１の脱落を防ぐ
止ねじ、３０は前記巻取体２及び解除体８の脱落
を防ぐ円板状の止板である。

以上の如く構成した変速操作装置は、変速機と
ともに用いるのであつて、一端をワイヤー巻取体
２の第２連動部２２に係止した前記操作ワイヤー
Ｗの先端を変速機の可動側部材に固定するのであ
る。しかして通常は、第２図に示す如く係止体６
が回転阻止体５の噛合歯５１と噛合して、前記巻
取体２の変速機のリターンばねの引張方向（第２
図矢印Ｘ方向）への回転を阻止している。

次に第２図の状態から前記操作レバー１を前記
リターンばねの引張方向と逆方向（第２図矢印Ｙ
方向）に回転操作すると、この操作レバー１の回
転による動きが第１連動部１３から第２連動部２
２を経て前記巻取体２に伝わり、該巻取体２が前
記リターンばねに抗して前記矢印Ｙ方向に回転す
ると共に、この巻取体２に支持した前記回転阻止
爪６が前記噛合歯５１の歯先頂部と干渉して前記
スプリング７に抗して前記噛合歯５１と噛合解除
する方向に作動し、前記巻取体２の回転に伴なつ
て前記係止体６が前記噛合歯５１面上を滑動す
る。そして前記操作レバー１の回転操作を中止
し、操作レバー１から手を離すと、前記スプリン
グ７により常時噛合歯５１と噛合する方向に付勢
された前記係止体６が前記噛合歯５１と噛合し、
前記巻取体２の前記リターンばねによる前記矢印
Ｘ方向への回転は阻止され、この位置に確実に維
持される。

又、第２図の状態から前記操作レバー１を前記
リターンばねの引張方向に回転操作すると、この
操作レバー１とともに解除体８が作動し、該解除
体８の解除片８２が前記係止部６と第３図に示す
如く接触して、前記係止体６は、前記スプリング
７に抗して噛合歯５１と噛合解除する方向に作動
し、前記巻取体２は、前記リターンばねの引張方
向（矢印Ｘ方向）に回転可能となる。そして前記
リターンばねの引張方向への力により前記巻取体
２が第３図矢印Ｘ方向に回転する。次に操作レバ
ー１の回転操作を中止し、該レバー１から手を離
すと、前記係止体６が前記スプリング７の力によ
り噛合歯５１と噛合する方向に作動して、噛合歯
５１と噛合し、前記巻取体２の前記リターンばね
による前記矢印Ｘ方向への回転は阻止され、この
位置に確実に維持される。

尚、以上説明した実施例では、回転阻止機構Ａ
の回転阻止体５を固定部材３に支持し、また係止
体６をワイヤー巻取体２に支持したが、その反対
であつてもよい。

又、前記回転阻止機構Ａとして、外周に噛合歯
５１を周設した回転阻止体５と係止体６及びスプ
リング７から成る機構を用いる場合、第４図に示
す如く前記噛合歯５１に噛合する係止体６を複数
個（図面では４個）設けて、周方向に所定間隔を
置いて配置し、これら係止体６の前記噛合歯５１
の歯先に対する支持位置を、係止体６の個数分の
１（図面では1/4）周方向に変位させて、これら
係止体６を支持する例えば前記巻取体２が前記係
止体６の変位量回転するごとに係止体６の何れか
一つが前記噛合歯５１と選択的に噛合するごとく
構成してもよい。斯くすることにより、前記噛合
歯５１のピツチを大きくして、該噛合歯５１と前
記係止体６との噛合量を多くしこの噛合した係止
体６をより一層外れ難いようにできながら、しか
も前記巻取体２の回転量を微少にでき（図面では
噛合歯のピツチの1/4ピツチ）、それだけ変速操作
を無段階的に行なうことができる利点がある。
尚、第４図の場合、前記解除体８の解除片８２
は、前記噛合歯５１と干渉しない位置、例えば噛
合歯５１の軸方向端面より外方位置に配置するの
である。そして前記係止体６を、前記解除片８２
と接触可能な形状に形成するのである。又、第４
図の場合も、第１図乃至第３図の場合と同様、係
止体６を常時噛合歯５１と噛合する方向に付勢す
るスプリング７は必要であるが、図面では省略し
ている。

又、前記回転阻止機構は、第５，６図に示す如
くカム面５０と該カム面５０に接触するボールな
どの転動体から成る係止体６０と該係止体６０を
常時前記カム面５０方向に付勢するスプリング７
とから成る機構を用いてもよいのであつて、その
構造は特に限定されない。所で、第５，６図の場
合、例えば前記噛合歯をもつ回転阻止体５に代え
て、前記レバー軸４に噛合歯をもたないスリーブ
状の回転阻止体４０を回転不能に支持すると共
に、前記巻取体２の内腔部２４内面に前記カム面
５０を設け、前記内腔部２４に支持する前記係止
体６０を前記カム面５０と前記回転阻止体４０外
周面とに圧接して、前記巻取体２の前記リターン
ばねの引張方向への回転を阻止するのである。
尚、前記カム面５０は、前記回転阻止体４０外周
に設けてもよい。又、前記係止体６０は、第５，
６図の如くボールを用いる代りにローラまたは第
７図に示す如きテーパピンを用いてもよい。又、
回転阻止機構Ａは、第６図に示す如く複数個設け
てもよい。この場合、前記解除体８を円板状に形
成して、前記解除片８２を複数個設けるのであ
る。

以上の如く操作レバーとワイヤー巻取体とを各
別に設けて、固定部材に対しそれぞれ同心円状に
回転自由に支持すると共に、前記ワイヤー巻取体
と、固定部材との何れか一方に、係止体を、他方
に前記レバーの回転中心と同心円状に配設され、
前記係止体が係合して前記巻取体の変速機におけ
るリターンばねの引張方向への回転を阻止する回
転阻止体とを備えた回転阻止機構を設け、かつ、
前記レバーとワイヤー巻取体とに、前記レバーの
前記リターンばね引張方向と逆方向の回転時、前
記レバーの回転を前記巻取体に伝動する連動部を
設ける一方、前記レバーに、該レバーの前記リタ
ーンばねの引張方向への回転時、前記レバーの回
転と共に回転して前記係止体に係合し、前記阻止
体に係合する係止体の係合を解除する解除体を設
けたから、操作レバーとワイヤー巻取体とを各別
に設けて、固定部材に対して同心円状に回転自由
に支持することゝ、回転阻止体を操作レバーの回
転中心と同心円状に配設することゝ、操作レバー
に解除体を設けることゝによつて、リターンばね
の引張方向への操作レバーを回動すると、操作レ
バーの回転中心と同心円状に配設された回転阻止
体に係合している係止体は解除体により、前記操
作レバーの回転でその係合を解除されるのであ
る。換言すると、操作レバーの回動で回転阻止機
構の回転阻止作用を解除できるのである。又、リ
ターンばねの引張方向と反対方向に操作レバーを
操作すると、操作レバーの回転を巻取体に伝動す
る連動部を設けているから、巻取体は操作レバー
と一体になつて回転できるのである。

従つて、前記解除体を、操作レバーに対して相
対移動する別な操作装置を操作レバーに設けて、
この操作装置で前記解除体を作動させる構成とし
なくとも、操作レバー本来の回動方向への回動だ
けで、即ち、操作ワイヤーを牽引したり弛緩した
りするための操作のみで前記解除体による前記係
止体の回転阻止体への係合を解除できるのであ
る。これによつて、解除体を作動させるために、
レバー操作と別の操作を必要としないし、また、
前記解除体を作動させることを意識することなく
操作レバーの回動を行なうことができるから、、
安全性の高いレバー操作が可能となるのである。

その上、巻取体の近くに、回転阻止機構、連動
部及び解除体を配置できるようにしたから、操作
レバーの特に操作部分における構造を非常に簡素
化でき、この操作部分に指先とか衣服などが挾ま
つて負傷、損傷する危険性をなくすることができ
るのであり、更に前記レバーの操作部分を小形化
できるので、小形の操作装置にも適用できるので
ある。

しかも、前記リターンばねに打勝つ回転抵抗を
付与しなくとも変速操作位置を確実に維持するこ
とができ、この変速操作を軽快に行なうことがで
きるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の一実施例を示す一部切欠
縦断面図、第２図は第１図−線断面図、第３
図は回転阻止機構による回転阻止作用を解除する
状態の説明図、第４図は回転阻止機構のみの別の
実施例を示す説明図、第５図及び第６図は別の実
施例を示すもので、第５図は一部を省略した縦断
面図、第６図は第５図−線断面図、第７図は
回転阻止機構のみの更に別の実施例を示す説明図
である。 １……操作レバー、２……ワイヤー巻取体、１
３，２２……連動部、３……固定部材、８……解
除体、Ａ……回転阻止機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 操作レバーとワイヤー巻取体とを各別に設け
   て、固定部材に対しそれぞれ同心円状に回転自由
   に支持すると共に、前記ワイヤー巻取体と、固定
   部材との何れか一方に、係止体を、他方に前記レ
   バーの回転中心と同心円状に配設され、前記係止
   体が係合して前記巻取体の変速機におけるリター
   ンばねの引張方向への回転を阻止する回転阻止体
   とを備えた回転阻止機構を設け、かつ、前記レバ
   ーとワイヤー巻取体とに、前記レバーの前記リタ
   ーンばね引張方向と逆方向の回転時、前記レバー
   の回転を前記巻取体に伝動する連動部を設ける一
   方、前記レバーに、該レバーの前記リターンばね
   の引張方向への回転時、前記レバーの回転と共に
   回転して前記係止体に係合し、前記阻止体に係合
   する係止体の係合を解除する解除体を設けたこと
   を特徴とする自転車用変速操作装置。