JP2730555B2 - 自転車用変速レバー装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自転車用変速レバー装置、詳しくは、操作レ
バーの操作により変速できるようにした自転車用変速レ
バー装置に関する。

（従来の技術） 従来、此種装置として、特開昭61−143275号公報に見
られるように、固定部材に、操作ワイヤの一端を係止し
た巻取体を、所定の摩擦抵抗の基で回動可能に支持する
と共に、操作レバーを回動自由に支持し、前記巻取体の
外周に、複数個の送り歯及び複数個の戻し歯を並設する
と共に、前記レバーに、該レバーの往動操作時前記送り
歯と係合して前記巻取体を往動させる送り爪と、前記レ
バーの往動操作方向と逆方向への操作時前記戻し歯と係
合して前記巻取体を復動させる戻し爪とを出退自由に設
けると共に、前記レバーを、往動方向への操作位置及び
逆方向への操作位置から操作レバーの操作開始位置に復
帰させ、この復帰位置に保持するレバーばねを設けて、
前記レバーの往動操作により、前記送り爪及び送り歯を
介して巻取体を所定角度往動させた後、レバー操作を開
放すると、操作レバーがレバーばねの力で操作開始位置
に復動し、又、前記レバーの逆方向への回動操作によ
り、前記戻し爪及び戻し歯を介して巻取体を所定角度復
動させ、レバー操作の開放により操作レバーがレバーば
ねの力で操作開始位置に復動する如く構成したものが提
案されている。

（発明が解決しようとする課題） 以上の如く構成された変速レバー装置は、自転車にお
けるハンドルバーのグリップ近傍位置に取付けて、前記
グリップを把持する手の指で前記レバーを回動操作する
のであるが、前記した従来のものは、操作レバーを、操
作開始位置に対し往動方向と逆方向とにそれぞれ所定角
度回動操作して変速するものであるため、換言すると、
操作レバーの操作方向が２方向であるため、高速側への
変速及び低速側への変速時、操作レバーの操作方向に多
大の神経を使うことになるばかりか、操作方向を間違え
て所望する変速段位と異なる変速段位に変速される恐れ
が大きい問題がある。又、操作レバーを、操作開始位置
に対し往動方向と逆方向とに回動操作するものであるた
め、変速段位数が例えば２段程度に少ない場合は、前記
操作レバーを、前記グリップを把持した手の主として親
指で操作開始位置に対し往動方向と逆方向とに無理なく
操作することができるのであるが、変速段位数が例えば
５〜６段程度に多い場合で前記グリップを把持した手で
複数段の変速を一挙に行う場合は、操作レバーの回動角
が大きくなって操作レバーを同一指で往動方向と逆方向
とに操作することができなかったのである。

従って、この場合は、ハンドルを把持する手における
二つの指を使って操作レバーを操作することになるた
め、前記グリップの把持が疎かとなり、走行持における
安全性が低下する問題がある。即ち、前記グリップを把
持する場合、一般には、手のひらにおける親指側平手部
と親指を除く他の四つの指とでグリップを強く把持し、
親指はグリップの把持に多く寄与しないのが通常であ
る。所で、変速レバー装置を、ハンドルバーにおけるグ
リップの近傍位置に装着して、前記グリップを把持する
手の指で前記レバーを操作する場合、一般には、グリッ
プの把持には多く寄与しない親指を利用し、この親指で
前記レバーを操作するようにするのが好ましいのである
が、変速段位数が多い場合は、グリップを把持した状態
で親指だけで操作レバーを操作することができなくなる
ため、親指と人差し指とを使用し、操作開始位置に停止
している操作レバーを親指で往動操作し、操作開始位置
に停止している前記操作レバーを人差し指で逆方向に操
作する必要があり、従って、この場合、グリップの把持
に大きく寄与する人差し指をグリップから離すことにな
るため、グリップの把持が疎かとなって、走行持におけ
る安全性が問題となるのである。又、前記巻取体は、該
巻取体に付与された摩擦抵抗で回動位置が保持されるの
であるから、巻取体の回動位置を正確に位置決めするこ
とができなかったのである。

本発明は以上の問題点に鑑み発明したものであって、
目的は、高速側への変速であっても、又、低速側への変
速であっても操作レバーを常に一方向に操作して変速す
ることができ、しかも、操作レバーの操作位置を、変速
段位数に関係なく常に操作開始位置に位置させることが
できながら、変速段位数が多い場合であっても前記レバ
ーを、一つの同一指で無理なく一方向に操作することが
でき、自転車走行持の安全性を高めることができ、更
に、巻取体の回動位置を正確に位置決めすることができ
るようにするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明に係る自転車用変速レバー装置は、自転車のハ
ンドルバーに装着可能であり、ワイヤを介して変速機を
操作する装置であって、ハンドルバーに取付可能な固定
部材（１）と、固定部材（１）に回動自在に支持された
ワイヤを巻き取る巻取体（３）と、巻取体（３）をワイ
ヤ巻戻し方向に付勢するばね（２）と、位置保持機構
（４）と、第１操作レバー（６）と、第２操作レバー
（71）と、位置設定部（81）（43）と、レバーばね
（９）（10）とを備えている。位置保持機構（４）は、
巻取体（３）の回動位置を段階的に位置決めする複数個
の係合部（41）と、係合部（41）に係合して巻取体
（３）の回動位置を保持する係合体（42）とを有してい
る。第１操作レバー（６）は、巻取体（３）と同方向に
回転可能であり、第１方向の回転によって巻取体（３）
をワイヤ巻取り方向に回動させる。第２操作レバー（7
1）は、第１操作レバー（６）の回転中心線と同方向に
延びる軸線を中心に回転可能であり、第１方向の回転に
よって位置保持機構（４）の係合体（42）と係合部（4
1）との係合を解除してばね（２）による巻取体（３）
のワイヤ巻戻し方向の回動を許す。位置設定部（81）
（43）は第１及び第２操作レバー（６）（71）のそれぞ
れの操作開始位置を決定する。レバーばね（９）（10）
は第１及び第２操作レバー（６）（71）を各操作開始位
置に復帰させる。

（作用） 本発明に係る自転車用変速レバー装置では、一方向に
変速する場合は、操作開始位置に位置している第１操作
レバー（６）を第１方向に回動して巻取体（３）をワイ
ヤ巻取り方向に回動させる。これにより、ワイヤが巻取
られ、変速機が作動されて所定の変速段位に変速され
る。ワイヤ巻取り方向に回動された巻取体（３）は、位
置保持機構（４）によって保持され、変速された所望の
段位で保持される。変速が終了して第１操作レバー
（６）の操作を解放すると、レバーばね（９）の力によ
って第１操作レバー（６）は操作開始位置側に戻され、
位置設定部（81）によって操作開始位置に停止させられ
て、次の操作に備える。

次に、逆に他方向に変速する場合は、操作開始位置に
位置している第２操作レバー（71）を、第１方向、すな
わち第１操作レバー（６）の操作方向と同方向に回動す
る。すると、巻取体（３）の位置保持が解除され、巻取
体（３）は、例えば変速機側のリターンばねの力でワイ
ヤ巻戻し側に回動させられる。これによりワイヤが巻き
戻されて所定の変速段位に変速される。このとき、巻取
体（３）の復動位置は位置保持機構（４）により保持さ
れ、変速機も変速された所定の段位で保持される。ま
た、第２操作レバー（71）の操作を解放すると、レバー
ばね（10）の力によって第２操作レバー（71）は操作開
始位置側に戻され、位置設定部（43）によって操作開始
位置に停止させられて、次の操作に備える。

ここでは、２つの操作レバーを同じ方向に操作して高
速側から低速側及び低速側から高速側への両方向への変
速が行える。また、２つの操作レバーの操作開始位置
は、変速段位に関係なく常に一定位置に位置させること
ができ、この一定の操作開始位置から所定のストローク
だけ操作することによってあらゆる変速段位への変速が
可能である。したがって、特に多段変速を行う場合に操
作が容易になる。さらに、位置保持機構により巻取体の
回動位置に正確に位置決めし保持できるので、常に正確
な変速が可能である。

（実施例） 第１〜第８図に示した実施例では、自転車におけるハ
ンドルバー（Ｈ）のグリップ（Ｇ）近傍位置に固定する
固定部材（１）の支持軸（11）に、操作ワイヤの一端を
係止するワイヤ係止部（31）をもち、リターンばね
（２）の力でワイヤ巻戻し方向に復動する略円筒状のワ
イヤ巻取体（３）の回動自由に支持し、前記巻取体
（３）の回動位置を段階的に位置決めする複数個の係合
部（41）と、前記係合部（41）に係合して前記巻取体
（３）の回動位置を保持する係合体（42）とを備えた位
置保持機構（４）を設ける一方、前記支持軸（11）に、
前記巻取体（３）に対し回転可能で、この巻取体（３）
の伝動体（５）を介してワイヤ巻取方向に回動させる第
１操作レバー（６）を支持する一方、前記位置保持機構
（４）の係合体（42）と係合部（41）との係合を制御
し、前記巻取体（３）の位置保持を解除してこの巻取体
（３）の復動を許す第２操作レバー（71）をもった位置
保持制御機構（７）を設け、前記第２操作レバー（71）
を、前記第１操作レバー（６）の回転中心線と同方向に
延びる軸線を中心に回転可能とし、かつ前記支持軸（1
1）に、前記第１操作レバー（６）の操作開始位置を設
定する第１設定部（81）をもった位置設定体（８）を回
動不能に支持し、前記第１操作レバー（６）と前記支持
軸（11）との間に、前記第１操作レバー（６）を前記操
作開始位置に復帰させるレバーばね（９）を介装すると
共に、前記間取体（３）に、前記第２操作レバー（71）
の操作開始位置を設定する第２設定部（43）を設け、前
記第２操作レバー（71）と前記固定部材（１）との間
に、前記第２操作レバー（71）を前記操作開始位置に復
帰させるレバーばね（10）を介装したのである。

以上の構成において、前記固定部材（１）は、円筒状
の支持軸（11）と、該支持軸（11）を立設し前記ハンド
ルバー（Ｈ）に固定するベース体（12）と、このベース
体（12）から前記支持軸（11）と平行に立設し、前記第
２操作レバー（71）を支持するレバー軸（13）とから成
り、前記支持軸（11）とベース体（12）とを、複数個の
嵌合突部と嵌合孔との嵌合により支持軸の周方向に位置
変更可能とし、締付ねじ（20）で結合するのであって、
前記支持軸（11）の先端部外周には、軸方向に延びる複
数個の凹条（14）とねじ溝とを設けて、このねじ溝に螺
合するナット（21）により前記巻取体（３）及び第１操
作レバー（６）を支持軸（11）に離脱不能に支持し、
又、基端部と前記巻取体（３）との間には、前記リター
ンばね（２）を介装している。又、前記支持軸（11）の
凹条（14）部には、前記レバーばね（９）の一端を受止
めるばね受片（22a）と前記第１操作レバー（６）が操
作開始位置に復動したとき前記伝動体（５）の前記巻取
体（３）との係合を解除する解除部（22b）をもったば
ね受板（22）を回転不能に支持している。又、前記ベー
ス体（12）は、前記締付ねじ（20）のねじ孔をもった板
体と、前記締付ねじを挿通する貫通孔をもった板体とに
より形成して、この後者の板体に、前記レバー軸（13を
突設している。尚、前記ベース体（12）は、前記ハンド
ルバー（Ｈ）にバンド部材を介して或は直付けにより直
接固定してもよいが、第８図では、前記ハンドルバーに
固定するブレーキレバー装置（Ｂ）におけるブラケット
を利用し、このブラケットと前記前者の板体とを一体に
形成している。

又、前記巻取体（３）は、一側部にワイヤ係止部（3
1）をもった円筒状に形成して、その軸方向一端部外周
に、前記係合部（41）と、前記第１操作レバー（６）の
往動操作時前記伝動体（５）と係合して前記第１操作レ
バー（６）の操作力を伝達する複数個の受動部（32）
と、複数個の規制凹部（33）とを設け、又、中間部外周
には、前記ワイヤ係止部（31）と連続するワイヤ案内溝
（34）を周方向に向かって凹設している。尚、前記係合
部（41）と受動部（32）と規制凹部（33）とは、前記巻
取体（３）と一体に形成してもよいが、図面では、巻取
体（３）と別個に形成している。具体的には、巻取体
（３）の一端部外周に、周方向に所定間隔を置いて突設
する嵌合突起を持った二つの嵌合部（3a）（3b）を軸方
向に隣接して設け、その一つの嵌合部（3a）に、半円形
の位置決め板（35）を回転不能に支持し、この位置決め
板の外周面に前記係合部（41）を周方向に所定間隔置い
て列設すると共に、これら係合部（41）の底面を前記第
２設定部（43）とする一方、他方の嵌合部（3b）に、円
板状の送り板（36）を前記位置決め板（35）と隣接して
回転不能に支持し、この送り板（36）の外周面一側に前
記受動部（32）を周方向に所定間隔を置いて設けると共
に、外周面他側に、前記規制凹部（33）を前記係合部
（41）と半ピッチ周方向に変位して列設している。

又、前記第１操作レバー（６）は、中間部に前記支持
軸（11）に嵌合する軸孔（61）と、操作開始位置で前記
位置設定体（８）の第１設定部（81）と当接する当接部
（62）とをもった金属板から成り、このレバー（６）の
一端部に、爪形状の前記伝動体（５）を枢支して、この
伝動体（５）と前記レバー（６）との間に、前記伝動体
（５）を一方向に付勢する付勢ばね（23）を設けてい
る。

又、前記位置保持機構（４）における係合体（42）
は、先端に爪部をもった爪体から成り、前記第２操作レ
バー（71）と一体に形成して、その先端爪部を前記係合
部（41）に係脱自在に係合させ、前記巻取体（３）のワ
イヤ巻取方向への回動時前記レバーばね（10）に抗して
前記第２操作レバー（71）とともに前記係合部（41）と
離反する方向に移動するようにしている。

又、前記位置保持制御機構（７）は、前記第２操作レ
バー（71）と前記係合体（42）とから成り、前記第２操
作レバー（71）の往動操作により前記係合体（42）の係
合部（41）との係合が離脱し、前記巻取体（３）に作用
するリターンばね（２）の力で、前記巻取体（３）が回
転するようにしており、又、前記係合体（42）の先端縁
を前記第２設定部（43）に当接させて第２操作レバー
（71）を操作開始位置に停止させるようにしている。
又、前記第２操作レバー（71）の基端部で、前記係合体
（42）と反対側端部には、往動操作時前記位置決め板
（35）の外周面と当接して往動方向への回動範囲を規制
する当接部（72）を設けている。尚、前記第２操作レバ
ー（71）は、前記レバー軸（13）に支持する他、例えば
前記支持軸（11）の先端部に取付ける位置設定体（８）
或はばね受板（22）に回転可能に支持してもよいのであ
る。

又、前記第２操作レバー（71）を支持する前記レバー
軸（13）には、第２操作レバー（71）の往動操作時、前
記規制凹部（33）と係合して巻取体（３）の復動量が前
記係合部（41）間の間隔以上となるのを防ぐ制限爪（2
4）を設け、この制限爪（24）と前記レバー軸（13）と
の間に、前記制限爪（24）を常時前記規制凹部（33）方
向に付勢する爪ばね（25）を設けると共に、前記制限爪
（24）の基端側に前記係合体の方向に突出する係合突起
（24a）を設け、かつ前記第２操作レバー（71）が操作
開始位置に停止するとき前記係合突起（24a）と接触し
て制限爪（24）の前記規制凹部（33）との係合を離脱さ
せる当たり（26）を前記第２操作レバー（71）に設けて
いる。

尚、図中（27）は、前記巻取体（３）及び前記各操作
レバー（６）（71）の基端側を覆う椀形カバーである。

以上の如く構成した変速レバー装置は、主として５〜
６段変速用リヤデイレーラーとともに用いるのであっ
て、主としてハンドルバー（Ｈ）におけるグリップ
（Ｇ）近傍位置に装着して、グリップを把持する手の親
指で第１及び第２操作レバー（６）（71）を操作できる
のである。しかして、第１、２図に示したものは、高速
段位の状態であって、第１操作レバー（６）は、レバー
ばね（９）により付勢されて、この第１操作レバー
（６）の当接部（62）が、位置設定体（８）の第１設定
部（81）と当接して操作開始位置に停止しており、又、
前記伝動体（５）は、その先端がばね受板（22）の解除
部（22b）に接触している。又、第２操作レバー（71）
は、レバーばね（10）により付勢されて、この第２操作
レバー（71）と一体に設けた係合体（42）の先端縁が、
係合部（41）の底面に設けた第２設定部（43）と当接し
て操作開始位置に停止している。そして、前記グリップ
（Ｇ）を把持する手の親指を第１操作レバー（６）の操
作部に接触させて、第２図の状態から第５図のごとく反
時計方向に往動操作すると、伝動体（５）の解除部（22
b）との接触が外れて、付勢ばね（23）で付勢されてい
る前記伝動体（５）が巻取体（３）の受動部（32）の一
つと係合して第１操作レバー（６）の操作力が巻取体
（３）に伝達され、この巻取体（３）が反時計方向に往
動して、操作ワイヤを牽引し、前記第１操作レバー
（６）の往動方向への回動が前記係合部（41）の１ピッ
チのストロークに達すると一段変速でき、又、２ピッチ
のストロークに達すると二段変速できるのであって、三
段変速までは前記親指の一回の操作で一段毎に、又は、
複数段を一挙に変速操作することができるのである。
又、四段以上の変速は、前記第１操作レバー（６）を操
作開始位置に一旦復帰させた後、改めて前記第１操作レ
バー（６）を往動操作することにより一段毎に、又は、
複数段を一挙に変速することができるのである。そして
所望の低速段位に変速した状態で前記係合体（42）は第
６図の如く所望の係合部（41）と係合し、巻取体（３）
の復動方向への回動が阻止され、低速側段位に変速した
変速状態を確実に保持できるのでる。そして、以上の如
く変速した後、前記第１操作レバー（６）の操作を解放
すると、該第１操作レバー（６）は、レバーばね（９）
の力で復動方向（第５図時計方向）に復動し、前記当接
部（62）の第１設定部（81）との当接によって前記第１
操作レバー（６）は第６図の如く操作開始位置に復帰し
て停止し、次の操作に備えるのである。この場合、伝動
体（５）は、その先端部がばね受板（22）の解除部（22
b）と接触して、前記受動部（32）との係合が離脱する
のであり、又、前記第１操作レバー（６）の往動操作す
ると、前記伝動体（５）の解除部（22b）との接触が外
れ、伝動体（５）は付勢ばね（23）の力で揺動して前記
受動部（32）の一つと係合するのである。

しかして、変速段位数が５〜６段である場合、前記第
１操作レバー（６）を親指の押し操作で２回往動操作す
ることにより無理なく高速から低速に変速することがで
きるのである。

次に、低速側段位に変速した第６図の状態から再び高
速側段位に変速するには、前記グリップを把持する手の
親指を、操作開始位置にある第２操作レバー（71）の操
作部に接触させて、該第２操作レバー（71）を第２図の
状態から反時計方向、即ち、前記第１操作レバー（６）
と同方向に往動操作するのであって、この操作により第
２操作レバー（71）に設けた係合体（42）が係合部（4
1）と離反する方向に移動してこの係合部（41）との係
合が離脱し、前記巻取体（３）は、リターンばね（２）
の力で所定量復動するのである。このとき制限爪（24）
が、第７図のごとく巻取体（３）における一つの規制凹
部（33）と当接して前記巻取体（３）のリターンばね
（２）による往動量が規制されるのであって、前記第２
操作レバー（71）の操作解除により、該第２操作レバー
（71）がレバーばね（10）の力で復動して当たり（26）
が前記制限爪（24）の係合突起（24a）と当接して前記
制限爪（24）の規制凹部（33）との係合が離脱し、そし
て、前記係合体（42）が係合部（41）と係合するよりも
前に巻取体（３）がリターンばね（２）の力で復動し、
続いて前記係合体（42）が一段低速側の係合部（41）と
係合し、この係合により前記巻取体（３）のリターンば
ね（２）による復動が阻止され、高速段位に変速した変
速状態を確実に保持できるのである。又、復帰した前記
第２操作レバー（71）は、前記係合体（42）の先端縁が
第２設定部（43）と当接して第２図の如く操作開始位置
に停止し、次の操作に備えるのである。そして、操作開
始位置に停止した前記第２操作レバー（71）を新たに往
動操作すると、前記した場合と同様、係合体（42）の係
合部（41）との係合が離脱し、巻取体（３）がリターン
ばね（２）の力で復動し、前記ワイヤを更に弛緩して更
に一段高速側段位に変速することができるのであり、
又、第２操作レバー（71）の操作を開放することにより
前記係合体（42）は、隣接する低速側の係合部（41）と
係合し、巻取体（３）の復動位置を保持できるのであ
り、又、復動した第２操作レバー（71）は、係合体（4
2）が第２設定部（43）と当接して操作開始位置に停止
するのである。この低速段位側から高速段位側への変速
は、係合部（41）の１ピッチ毎に制限爪（24）が規制凹
部（33）と係合して巻取体（３）の復動量が規制される
ため、前記第２操作レバー（71）は、変速段位数に対応
した回数往動操作する必要がある。しかし、前記制限爪
（24）をなくし、前記第２操作レバー（71）の操作加減
で前記係合体（42）の係合部（41）との係合量を制御
し、前記巻取体（３）を一段毎に或は複数段を一挙に回
動させて変速してもよいのである。

尚、以上説明した実施例では、リターンばね（２）を
設けて巻取体（３）を復動させるように構成したが、そ
の他、例えば、変速機におけるリターンばねを利用し、
このリターンばねの力で前記巻取体（３）を復動させる
ようにしてもよいのである。従って、前記巻取体（３）
と固定部材（１）との間に設ける前記リターンばね
（２）は必らずしも必要でない。

又、位置保持機構（４）の係合体（42）は、第２操作
レバー（71）と一体に形成する他、別個に形成してもよ
い。この場合、例えば、第９図の如く係合体（42）とし
てボールを用い、この係合体（42）と前記第２操作レバ
ー（71）との間に前記係合体（42）を前記係合部（41）
方向に付勢する押圧ばね（28）とこの押圧ばね（28）の
ばね受け（29）とを設けると共に、前記固定部材（１）
に、前記係合体（42）、押圧ばね（28）及びばね受（2
9）を支持する支持片（15）を設けるのである。又、前
記位置保持機構（４）の係合部（41）は、巻取体（３）
の外周部に設ける他、前記巻取体（３）に対し該巻取体
（３）の軸方向に変位して設けてもよい。この場合、例
えば巻取体（３）の一端に、該巻取体（３）よりも小径
の円形連動板を取付けて、此の連動板の外周に前記係合
部（41）を形成することで共に、前記第２操作レバー
（71）を、前記支持軸（11）の先端部に取付ける前記位
置設定体（８）或はばね受板（22）に支持するのであ
る。斯くすることにより、前記巻取体（３）部分の大径
化を防止し、この巻取体部分を小径化できると共に、前
記第２操作レバー（71）の支持位置を前記巻取体（３）
の中心線側に寄せることができるので、装置全体を小形
に形成できるのである。従って、装置全体をより一層前
記グリップ（Ｇ）の近くに装着することができるので、
前記した親指による各操作レバー（６）（71）の操作を
より一層行い易くできるのである。

又、前記第１操作レバー（６）の操作開始位置を設定
するための前記第１設定部（81）は、前記固定部材
（１）と一体に形成してもよいのであり、又、第２操作
レバー（71）の操作開始位置を設定するための第２設定
部（43）は、前記固定部材（１）に設けてもよいのであ
る。

（発明の効果） 以上の如く本発明によれば、高速側への変速であって
も、又、低速側への変速であっても二つの操作レバー
（６）（71）を常に一方向に操作して変速を行うことが
できるので、操作レバーの操作方向に神経を使わなくと
もよいばかりか、操作方向を間違えて所望する変速段位
と異なる変速段位に変速される恐れを解消できるのであ
る。しかも、一方向の操作で変速できるようにした前記
各操作レバー（６）（71）の操作開始位置を、変速段位
数に関係なく常に一定位置に位置させることができて、
この一定位置から各操作レバー（６）（71）を一方向に
操作して変速することができるので、ハンドルバーにお
けるグリップを把持した位置から該グリップの把持には
多く寄与しない親指を利用して多段変速を行うことがで
き、親指と人差し指とを用いて変速操作を行う必要があ
る前記した従来例に比べて自転車走行時の安全性を高め
ることができるのである。

その上、操作レバー（６）（71）の操作位置を、変速
段位数に関係なく常に一定位置に位置させることができ
て、この一定位置から操作レバー（６）（71）を一方向
に操作して変速することができるのであるから、常に楽
な姿勢で変速操作ができ、変速操作性が良いのである。

更に、位置保持機構（４）を設けて巻取体（３）の回
動位置を正確に位置決めできるようにしているため、常
に正確に変速できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明変速レバー装置の一実施例を示す一部省
略拡大断面図、第２図は縮小した一部省略横断面図、第
３図は巻取体のみの断面図、第４図〜第７図は作動状態
を示す説明図、第８図は自転車に装着して使用する状態
の説明図、第９図は別の実施例を示す説明図である。 （１）……固定部材 （３）……巻取体 （４）……位置保持機構 （41）……係合部 （42）……係合体 （６）……第１操作レバー （７）……位置保持制御機構 （71）……第２操作レバー （９）（10）……レバーばね

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自転車のハンドルバーに装着可能であり、
   ワイヤを介して変速機を操作する自転車用要変速レバー
   装置であって、 前記ハンドルバーに取付可能な固定部材（１）と、 前記固定部材（１）に回動自在に支持され、前記ワイヤ
   を巻き取る巻取体（３）と、 前記巻取体（３）をワイヤ巻戻し方向に付勢するばね
   （２）と、 前記巻取体（３）の回動位置を段階的に位置決めする複
   数個の係合部（41）と、前記係合部（41）に係合して前
   記巻取体（３）の回動位置を保持する係合体（42）とを
   有する位置保持機構（４）と、 前記巻取体（３）と同方向に回転可能であり、第１方向
   の回転によって前記巻取体（３）をワイヤ巻取り方向に
   回動させる第１操作レバー（６）と、 前記第１操作レバー（６）の回転中心線と同方向に延び
   る軸線を中心に回転可能であり、前記第１方向の回転に
   よって前記位置保持機構（４）の係合体（42）と係合部
   （41）との係合を解除して前記ばね（２）による前記巻
   取体（３）のワイヤ巻戻し方向の回動を許す第２操作レ
   バー（71）と、 前記第１及び第２操作レバー（６）（71）のそれぞれの
   操作開始位置を設定する位置設定部（81）（43）と、 前記第１及び第２操作レバー（６）（71）を前記各操作
   開始位置に復帰させるレバーばね（９）（10）と、 を備えた自転車用レバー装置。