JP4415460B2 - 乗用車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車用空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤをリムに組み付ける際の嵌合性を向上するようにした乗用車用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
リムを介してタイヤを装着した車両において、走行中に大きな駆動力や制動力が作用すると、タイヤがリムに対して滑りを生じ、所謂、リムずれを起こし易くなる。このようなリムずれは、駆動力や制動力のロスを招くだけでなく、タイヤを損傷させ、さらには事故が発生する一因になることがある。そこで従来、上記対策として、ビード部の内径を狭めてリムに対する接触圧を高めることにより、リムずれを抑制するようにした空気入りタイヤが提案されている。
【0003】
また、リムに装着されるビ─ド部の剛性を高めることにより、操縦安定性を改善できることが知られている。そのため、ビード部に補強層を配設する等してビード部剛性を増大させ、操縦安定性を向上するようにした空気入りタイヤの提案がある。
【0004】
しかしながら、上記のようにビード部を改良した空気入りタイヤは、リムに組み付ける際の嵌合圧が大きく増大するため、リム組み作業に時間がかかり、リム組み作業性が悪化する。また、リムとの嵌合状態が不均一になりやすく、嵌合不良の問題を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤをリムに組み付ける際の嵌合圧を低下させ、リム組み作業性や嵌合不良を改善することを可能にした乗用車用空気入りタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の乗用車用空気入りタイヤは、JATMA規定のハンプ部を有すると共に、リムフランジがリム本体に一体に形成された標準リムに直接装着する空気入りタイヤであって、前記リムに装着する前のビード部のタイヤ子午線断面形状において、前記ビード部のビードヒール部を直線状に面取りし、該面取り部のタイヤ軸と直交する方向に対する角度θを40°≦θ≦60°にすると共に、前記リムと前記空気入りタイヤとを相互のセンターラインが重なるようにしてタイヤ子午線断面に投影した際に、該リムのリム幅位置Xからタイヤ軸に平行に測定した前記面取り部の内端までの距離Lを3.0mm≦L≦6.5mmにしたことを特徴とするものである。
【0007】
このようにビードヒール部を直線状に面取りし、その面取り部の角度θを特定の範囲に設定することにより、リム組み時にビードヒール部がリムのハンプ部を乗り越え易くなるので、嵌合圧を低くしてタイヤをリムに嵌合し易くすることが可能になる。そのため、リム組み作業にかかる時間を短くでき、またリムに対する均一な嵌合状態を容易に得ることができる。
【0008】
本発明において、空気入りタイヤを装着するリムと該空気入りタイヤとを相互のセンターラインが重なるようにしてタイヤ子午線断面に投影した際に、該リムのリム幅位置Xからタイヤ軸に平行に測定した面取り部の内端までの距離Lを3.0mm≦L≦6.5mmに設定することにより、特に乗用車用の空気入りタイヤにおいてリム組み作業性や嵌合不良を効果的に改善することができる。
【0009】
【発明の実施形態】
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図2はそのビードヒール部を拡大して示すものである。図において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、その両端部がビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数のベルト層7が配設されている。ビード部3のヒール径dは、装着されるリムRのヒール径D(所謂、リム径)よりも小さく形成され、リムずれを抑制する構造になっている。CLはタイヤのセンターラインであり、また装着されたリムRのセンターラインにもなっている。
【0011】
本発明では、上述のように構成された空気入りタイヤにおいて、ビード部3のビードヒール部3Aが、図2に示すように、タイヤ子午線断面形状において、直線状に面取りされており、かつその面取り部3aの角度θがタイヤ軸と直交する方向(径方向)に対して40°≦θ≦60°の範囲に設定されている。
【0012】
本発明者は、タイヤをリムRに組み付ける際の嵌合性について鋭意検討した結果、リムRには図1に示すようにハンプ部Raが突出しているが、このハンプ部Raをビードヒール部3Aが乗り越えることができさえすれば、後は容易に嵌合することが判った。
【0013】
そこで、本発明では、従来、曲率半径が数mmとなる円弧状に形成されているビードヒール部3Aの形状を上記のように直線状にし、かつその角度θを規定することにより、ビードヒール部3Aがハンプ部Raを乗り越え易くしたのである。その結果、リム組み時の嵌合圧を低く抑えることができるため、リム組み作業性を改善することができ、かつリムRとの嵌合状態が不均一になるような嵌合不良を招くことがなくなる。ビードヒール部3Aの形状を変えるだけで良いため、リムずれの問題が生じることもない。面取り部3aの角度θが上記範囲から外れると、リム組み時の嵌合圧を効果的に低く抑えることができない。
【0014】
本発明において、リムRとタイヤとを相互のセンターラインCLが重なるようにしてタイヤ子午線断面に投影した際に、リムRのリム幅位置Xからタイヤ軸に平行に測定した面取り部3aの内端3aまでの距離Lを3.0mm≦L≦6.5mmにする。距離Lが3.0mmより小さいと、リム組み時の嵌合圧を効果的に低く抑えることが難しくなり、逆に6.5mmより大きいと、リムとタイヤとの間の嵌合力が不足して操縦安定性が低下する。なお、ここで言うリム幅位置とは、JATMA(1999,YEAR BOOK)に記載される標準リム幅を規定する位置である。
【0015】
また、上記面取り部3aは、実質的に直線状であれば従来よりも大幅に大きな曲率半径を有する円弧で構成するようにしても良い。この面取り部3aの曲率半径は、20mm以上、より好ましくは50mm以上にすれば良い。
【0016】
上記実施形態では、ビード部3の内径を狭めてリムずれを抑制するようにした空気入りタイヤについて説明したが、本発明はビード部3に補強層を配設する等してビード部剛性を高めるようにした空気入りタイヤにも好適に用いることができ、更にはリム組み時の嵌合性をより改善するために他の態様の空気入りタイヤにも好ましく使用することができる。
【0017】
また本発明は、乗用車用の空気入りタイヤに用いることができる。
【0018】
【実施例】
タイヤサイズを195/65R15とし、図1に示すような構造を有する空気入りタイヤにおいて、ビードヒール部に設ける面取り部の距離Lを3.5mmとし、角度θを種々異ならせた本発明タイヤ1〜と比較タイヤ1〜、及び面取り部を曲率半径10mmの円弧から形成した従来タイヤ1をそれぞれ製作した。なお、角度θを0°とした比較タイヤ1には面取り部が存在しない。
【0019】
これら各試験タイヤについて、以下に示す測定条件により、リム組み嵌合性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
【0020】
リム組み嵌合性:
各試験タイヤをリムに組み付ける際の嵌合圧を測定した。評価結果は、従来タイヤ1を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど嵌合圧が低く、リム組み嵌合性に優れている。
【0021】
【表1】
Figure 0004415460
【0022】
また、タイヤサイズを245/45ZR18とし、図1に示すような構造を有する空気入りタイヤにおいて、ビードヒール部に設ける面取り部の距離Lを3.5mmとし、角度θを種々異ならせた本発明タイヤ10と比較タイヤ10、及び面取り部を曲率半径10mmの円弧から形成した従来タイヤ2をそれぞれ製作した。なお、角度θを0°とした比較タイヤには面取り部が存在しない。
【0023】
これら各試験タイヤについて、上記同様にリム組み嵌合性の評価試験を行ったところ、表2に示す結果を得た。但し、評価結果は、従来タイヤ2を100とする指数にて示した。
【0024】
【表2】
Figure 0004415460
【0025】
更に、タイヤサイズを175/60R13とし、図1に示すような構造を有する空気入りタイヤにおいて、ビードヒール部に設ける面取り部の距離Lを3.5mmとし、角度θを種々異ならせた本発明タイヤ1115と比較タイヤ1115、及び面取り部を曲率半径10mmの円弧から形成した従来タイヤ3をそれぞれ製作した。なお、角度θを0°とした比較タイヤ11には面取り部が存在しない。
【0026】
これら各試験タイヤについて、上記同様にリム組み嵌合性の評価試験を行ったところ、表3に示す結果を得た。但し、評価結果は、従来タイヤ3を100とする指数にて示した。
【0027】
【表3】
Figure 0004415460
【0028】
これら表1〜表3から明らかなように、本発明タイヤ1〜15は面取り部の角度θが4060°であるため、リムに組み付ける際の嵌合圧が低く、リム組み時の嵌合性が良好であった。また、本発明タイヤ1〜15では、面取り部を円弧から形成した従来タイヤ1〜3に比べて嵌合圧を効果的に低下させることができた。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ビード部のビードヒール部を直線状に面取りし、該面取り部のタイヤ軸と直交する方向に対する角度θを40°≦θ≦60°にすると共に、リムと空気入りタイヤとを相互のセンターラインが重なるようにしてタイヤ子午線断面に投影した際に、リムのリム幅位置Xからタイヤ軸に平行に測定した前記面取り部の内端までの距離Lを3.0mm≦L≦6.5mmにしたので、リムに組み付ける際の嵌合圧を低下させることができ、それによってリム組み作業性や嵌合不良の改善が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線半断面図である。
【図2】図1のビードヒール部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
3A ビードヒール部
3a 面取り部
3a1 内端
R リム
Ra ハンプ部
CL センターライン
L 距離
X リム径位置
θ 角度

Claims (1)

  1. JATMA規定のハンプ部を有すると共に、リムフランジがリム本体に一体に形成された標準リムに直接装着する空気入りタイヤであって、前記リムに装着する前のビード部のタイヤ子午線断面形状において、前記ビード部のビードヒール部を直線状に面取りし、該面取り部のタイヤ軸と直交する方向に対する角度θを40°≦θ≦60°にすると共に、前記リムと前記空気入りタイヤとを相互のセンターラインが重なるようにしてタイヤ子午線断面に投影した際に、該リムのリム幅位置Xからタイヤ軸に平行に測定した前記面取り部の内端までの距離Lを3.0mm≦L≦6.5mmにした乗用車用空気入りタイヤ。
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