JP2008279877A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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賢司 山根
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Abstract

【課題】操縦安定性と乗心地性の両方をバランス良く両立させた空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】内側カーカス層1と外側カーカス層2を備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、内側カーカス層1の両端部を左右のビードコア6に対してタイヤ内側から外側へ折り返すと共に、外側カーカス層2の車輌外側の端部2bをビードコア6の外側にターンダウンさせ、その反対側の端部2aをベルト層4の内側へ挿入するか、又はベルト層4の内側を通り越して車輌内側のサイド部8の途中まで延長する。
【選択図】図1

Description

本発明は空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは操縦安定性と乗心地性とをバランス良く両立させた空気入りラジアルタイヤに関する。
特に、乗用車用空気入りラジアルタイヤに要求される特性としては、操縦安定性と乗心地性とが重要な要素となっている。一般に、空気入りラジアルタイヤの操縦安定性を向上するためには、例えばカーカス層を2層配置するなどしてサイド剛性を高くする手法が取られ、これに対して乗心地性を向上するためには、例えばカーカス層を1層だけにしてサイド剛性を低くする手法が取られている。従って、操縦安定性と乗心地性とは、向上手段が互いに相反する関係にあり、両特性を両立させることは困難であった。
従来、このような問題を解決するため、特許文献1は、カーカス層の両端部のビードコアからの折り返し端部のタイヤ径方向高さを車輌装着時の外側と内側とで異ならせ、車輌内側の折り返し端部を低くし、車輌外側の折り返し端部を高くした左右非対称な構造にすることを提案している。
しかし、上記の非対称構造の空気入りラジアルタイヤは、乗心地性については満足するレベルになっても、操縦安定性の向上には乏しいという問題があった。
特開平5−319036号公報
本発明の目的は、操縦安定性と乗心地性の両方をバランス良く両立させるようにした空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、内側カーカス層と外側カーカス層との内外2プライのカーカス層を備え、それらカーカス層の外周側にベルト層を配置した構成を有し、かつ車輌に対する装着方法が指定された空気入りラジアルタイヤにおいて、内側カーカス層は両端部をそれぞれ左右のビードコアに対してタイヤ内側から外側へ折り返し、外側カーカス層は車輌外側の端部を前記ビードコアの外側にターンダウンさせる一方、反対側の端部をベルト層の内側へ挿入するか、又はベルト層の内側を通り越して車輌内側のサイド部途中まで延長したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
この外側カーカス層の反対側の端部が、ベルト層の車輌内側の端部から突出する長さは15mm以内とすることが望ましい。
内側カーカス層の車輌外側の折り返し端部は、ベルト層の内側まで延長することが望ましく、また内側カーカス層の車輌内側の折り返し端部は、ビードコア外周側のビードフィラーの高さ範囲内に配置することが望ましい。
ビードコアの外周側に配置されたビードフィラーのゴム硬度は、JIS K6253規定のタイプAのゴム硬度で70〜96にすると共に、車輌外側のビードフィラーのゴム硬度を車輌内側のビードフィラーのゴム硬度よりも5〜26の範囲で大きくすることが望ましい。
外側カーカス層のコード角度は、タイヤ周方向に対して80°以上90°未満の範囲にし、内側カーカス層と層間で交差させるようにするのがよい。
上記の内側カーカス層及び外側カーカス層は有機繊維コードから、ベルト層はスチールコードから、それぞれ構成することができる。
なお、ここで「JIS K6253に準拠するタイプAのゴム硬度」とは、JIS K6253タイプAのデュロメータにより温度25℃において測定した値をいう。
本発明によれば、内外2プライのカーカス層を設けて、内側カーカス層は両端部をそれぞれビードコアに対してタイヤ内側から外側へ折り返すが、外側カーカス層は車輌外側の端部をビードコアの外側へターンダウンさせ、反対側の端部をベルト層の内側か、又はベルト層の内側を通り越して車輌内側のサイド部途中まで延長させるようにしたので、車輌旋回時に負荷が大きくなる車輌外側のサイド剛性が高くなることで操縦安定性が著しく向上し、他方で車輌内側のサイド剛性が低くなって乗心地性を向上させるため、操縦安定性と乗心地性とをバランス良く両立させることができる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤである。
この空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)は、車輌に装着されるときのタイヤ内側と外側の装着方法が指定されている。カーカス層は内側カーカス層1と外側カーカス層2との2プライからなり、そのトレッド部3に対応する外周側にベルト層4を配置している。カーカス層はナイロン、ポリエステル、レーヨンなどの有機繊維コードで構成され、ベルト層4はスチールコードで構成されている。ベルト層4のタイヤ周方向に対するコード角度は20〜40°の範囲が好ましく用いられる。
2プライのカーカス層のうち内側カーカス層1は、トレッド部3から左右一対のビード部5間にわたり、その両端部1a、1bがそれぞれビードコア6の周りにタイヤの内側から外側にビードフィラー7を挟むように折り返されている。他方の外側カーカス層2は、車輌の装着時に車輌外側に配置され、タイヤ径方向外側の端部2aをベルト層4の内側へ挿入すると共に、タイヤ径方向内側の端部2bをビードコア6の外側へターンダウンさせている。
このように内側カーカス層1のタイヤ外側に配置する外側カーカス層2を、一方の端部2aはベルト層4の内側に重なるように挿入すると共に、他方の端部2bをビードコア6の外側へターンダウンさせたことにより、車輌旋回時に負荷が大きくなる車輌外側のサイド剛性を高くして操縦安定性を向上させることができる。他方で、車輌内側は内側カーカス層1のみが配置されていることで、サイド剛性が車輌外側よりも低くなり、乗心地性をバランス良く向上させることができる。
また、ビードコア6の外周側に設けた硬質ゴムのビードフィラー7は、車輌外側のビードフィラー7Aと車輌内側のビードフィラー7Bとでゴム硬度を異ならせ、JIS K6253に準拠するタイプAのゴム硬度(以下、単に「ゴム硬度」という。)で70〜96の範囲で、車輌外側のビードフィラー7Aのゴム硬度を、車輌内側のビードフィラー7Bのゴム硬度よりも5〜26の範囲で大きくしてある。このビードフィラー7のゴム硬度差により、車輌外側と車輌内側のサイド剛性差を調整し、更にバランス良く両立させることができる。
また、外側カーカス層2のタイヤ周方向に対するコード角度は、内側カーカス層1と同じ90°であってもよいが、好ましくは80°以上90°未満の範囲にして内側カーカス層1と層間で交差させるとよい。このように層間で交差させることにより、内側カーカス層1と外側カーカス層2との間のせん断剛性が向上するので、車輌外側のサイド剛性が更に高くなり、操縦安定性を一層向上することができる。
図2は、本発明の他の実施形態からなるタイヤを示す。
この実施形態のタイヤは、図1の態様における外側カーカス層2のタイヤ径方向外側の端部2aをベルト層4の内側を通り越して、反対の車輌内側へ突出させるようにしたものである。その他の構成は図1と同じになっている。
外側カーカス層2の端部2aがベルト層4の車輌内側の端部4bからサイド部8へ突出する距離Lは15mm以内にすることが好ましい。
このように外側カーカス層2の端部2aを車輌内側まで延長することにより、更に操縦安定性を向上することができる。また、外側カーカス層2のタイヤ径方向外側端部2aの位置を距離L内にすることで、ベルト層4の車輌内側の端部4bの剛性を高くするので、中周波数域ロードノイズを低減することができる。
図3は、本発明の更に他の実施形態からなるタイヤを示す。
この実施形態は、図2のタイヤにおける内側カーカス層1の車輌外側の折り返し端部1aを、ベルト層4の内側に重なる位置まで延在させ、また車輌内側の折り返し端部1bをビードフィラー7Bの高さXの範囲内にとどめている。その他は図2のタイヤと同じである。
このように、内側カーカス層1の車輌外側の折り返し端部1aをベルト層4の内側に挿入したことにより、操縦安定性を更に向上することができ、また車輌内側の内側カーカス層折り返し端部1bをビードフィラー7の高さXの範囲内にとどめたことにより、乗心地性を更に向上することができる。
なお、内側カーカス層1の車輌内側の折り返し端部1bをビードフィラー7Bの高さ範囲内にとどめる構成は、図1や図2のタイヤ構成にも適用して差し支えない。
タイヤサイズを195/65R15 91Hとすることを共通の構成要件とし、外側カーカス層のタイヤ径方向外側端部の位置、車輌外側の内側カーカス層折り返し端部の位置、及び左右のビードフィラーのゴム硬度差を異ならせた本発明タイヤ(実施例1〜3:実施例1は図1、実施例2は図2、実施例3は図3にそれぞれ相当する。)、及び外側カーカス層を配置しない比較タイヤ(比較例1)と、外側カーカス層を左右対称に配置した比較タイヤ(比較例2)をそれぞれ製作した。
これら4種類のタイヤをリムサイズ15×6JJ(JATMA標準リム)のホイールに空気圧200kPaでリム組みし、以下の測定方法により操縦安定性と乗心地性の評価を行い、その結果を表1に記載した。
[操縦安定性]、[乗心地性]
供試タイヤを排気量2.0Lの乗用車に装着し、5人のテストドライバーによるフィーリング評価を行い、5人の平均値で評価した。評価は、比較例1の操縦安定性及び乗心地性の測定値をそれぞれ100とする指数で示した。それぞれ指数値が大きいほど操縦安定性及び乗心地性に優れていることを意味する。
Figure 2008279877
表1に示す実験結果から、本発明の空気入りラジアルタイヤの実施例1〜3は、いずれも比較タイヤ1、2に比べて操縦安定性と乗心地性がバランス良く向上していることが分かる。
本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す断面図である。 本発明の他の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す断面図である。
符号の説明
1 内側カーカス層
1a 車輌外側の折り返し端部
1b 車輌内側の折り返し端部
2 外側カーカス層
2a タイヤ径方向外側の端部
2b タイヤ径方向内側の端部
3 トレッド部
4 ベルト層
5 ビード部
6 ビードコア
7 ビードフィラー
7A 車輌外側のビードフィラー
7B 車輌内側のビードフィラー
8 サイド部
9 ビードヒール

Claims (7)

  1. 内側カーカス層と外側カーカス層との内外2プライのカーカス層を備え、該カーカス層の外周側にベルト層を配置した構成を有し、かつ車輌に対する装着方法が指定された空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記内側カーカス層は両端部をそれぞれ左右のビードコアに対してタイヤ内側から外側へ折り返し、前記外側カーカス層は車輌外側の端部を前記ビードコアの外側にターンダウンさせる一方、反対側の端部を前記ベルト層の内側へ挿入するか、又は該ベルト層の内側を通り越して車輌内側のサイド部途中まで延長した空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記外側カーカス層の端部が、前記ベルト層の車輌内側の端部から突出する長さを15mm以内にした請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記内側カーカス層の車輌外側の折り返し端部を、前記ベルト層の内側まで延長した請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記内側カーカス層の車輌内側の折り返し端部を、前記ビードコア外周側のビードフィラーの高さ範囲内に配置した請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記ビードコア外周側のビードフィラーのゴム硬度をJIS K6253規定のタイプAのゴム硬度で70〜96にすると共に、前記車輌外側のビードフィラーのゴム硬度を前記車輌内側のビードフィラーのゴム硬度よりも5〜26の範囲で大きくした請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記外側カーカス層のタイヤ周方向に対するコード角度を80°以上90°未満の範囲にし、前記内側カーカス層と層間で交差させた請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記内側カーカス層と前記外側カーカス層とが有機繊維コードからなり、前記ベルト層がスチールコードからなる請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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