JP4415179B2 - 溶融ガラス供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融ガラスの供給技術に係り、特に溶融窯から分配部に流入した溶融ガラスを複数の分岐流路を通じて各成形装置に供給するように構成した溶融ガラス供給装置の改良、及び溶融ガラスを溶融窯から供給してガラス成形品を製造する技術の改良に関する。
一般に、ガラス物品の製造時には、溶融ガラスの供給源となる溶融窯と、この溶融窯から流出した溶融ガラスを成形装置に供給するための供給用流路とを備えた溶融ガラス供給装置が使用される。この溶融ガラス供給装置としては、例えば下記の特許文献1〜4に開示されているように、溶融窯の流出口に通じる分配部と、該分配部から分岐して複数の成形装置に向かって延出する複数の分岐流路とを備えた装置(以下、マルチフィーダともいう)が公知となっている。
このマルチフィーダは、陰極線管(CRT)のガラスパネルやガラスファンネル、窓板ガラス、及び瓶や食器類等の物品及びこれらに準ずる物品を形成するガラス(以下、低粘性ガラスともいう)を溶融し、その溶融ガラスを溶融窯から分配部及び各分岐流路を通じて各成形装置に分配供給するものである。すなわち、特許文献1には、「窓ガラス」との記載があり、特許文献2には、「ガラス・ゴブ」及び「容器製造用ガラス」との記載があり、特許文献3には、「ガラス瓶」との記載及び表1に低粘性ガラスであると判断できるガラスの組成の記載があり、特許文献4には「ガラスびんやガラス食器」との記載があることから、これらの各文献に開示されているマルチフィーダは、上述の低粘性ガラスを対象としていることが理解できる。
一方、近年においては、液晶ディスプレイ(LCD)やエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)に代表される平面ディスプレイのガラス基板、電荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CIS)、CMOSイメージセンサ等の各種イメージセンサやレーザーダイオード等のカバーガラス、及びハードディスクやフィルタのガラス基板等の需要拡大が急激に進展するに至っている。
この例示列挙した物品及びこれらに準ずる物品を形成するガラス(以下、高粘性ガラスともいう)は、上述の低粘性ガラスと比較して、その特性が極めて大きく相違している。具体的には、高粘性ガラスである液晶ディスプレイ用無アルカリガラスと、低粘性ガラスの代表例である容器用ソーダ石灰ガラスとを例にとると、図5に示すように、液晶ディスプレイ用ガラスの特性曲線Aは、1400℃程度以上の極めて高温の領域でなければ粘性が適度に低下せず、溶融ガラス供給装置内での溶融ガラスの円滑な流れを維持し得ないことを示しているのに対して、ソーダ石灰ガラスの特性曲線Bは、1200℃程度以下で粘性が適度に低下することを示している。厳密には、液晶ディスプレイ用ガラス(特性曲線A)は、温度が約1460℃以上で、粘度が1000ポイズ以下となるのに対して、ソーダ石灰ガラス(特性曲線B)は、温度が約1180℃以上で、粘度が1000ポイズ以下となる。
そして、上述の高粘性ガラスは、一般的には、粘度が1000ポイズである場合にその粘度に相当する温度が1350℃以上、特に高粘度のものでは1420℃以上となる特性を示すのに対して、上述の低粘性ガラスは、粘度が1000ポイズである場合にその粘度に相当する温度が1250℃以下、特に低粘度のものでは1200℃以下となる特性を示す。したがって、上述の高粘性ガラスと低粘性ガラスとは、温度と粘度との関係に基づいて区別できることになる。
特公昭48−17845号公報 特開昭62−176927号公報 特開平6−24752号公報 特開2000−313623 特開2000−185923(図2)
ところで、上記の特許文献1〜4に開示のように、低粘性ガラスを対象としたマルチフィーダにおいては、溶融ガラスの粘性を容易に低下させることが可能であることから、溶融窯から分配部に流入した溶融ガラスが支障なく各分岐流路に供給されていた。このため、分配部から各分岐流路に溶融ガラスが供給される際には、各分岐流路の相互間で供給量や粘性にバラツキが生じているものの、そのバラツキは不当に大きなものではなかったことから、このバラツキが問題視されるには至らなかった。
しかしながら、上記の特許文献1〜4に開示のマルチフィーダを用いて、仮に高粘性ガラスを溶融ガラスとして複数の成形装置に分配供給しようとしたならば、その溶融ガラスを粘性を低下させた状態で分配部から各分岐流路に均一な粘性で分配供給することが極めて困難となることは必至である。すなわち、この高粘性ガラスを溶融ガラスとして流す際には、加熱手段により極めて高温状態に維持する必要があるが、溶融ガラスをあらゆる方向から均一に加熱することは実質的に不可能であることから、低粘性ガラスの場合と比較して溶融ガラスに大きな温度差が生じ、これに起因して粘性が不当に不均一となる。
したがって、溶融ガラスの供給量を全ての分岐流路について均一にすることができなくなり、これが原因となって、分配部から各分岐流路を通じて各成形装置に均等な条件で溶融ガラスを供給することが極めて困難となる。詳述すると、分配部における一の分岐流路に通じる一の箇所で溶融ガラスの粘性が相対的に低くなっていると、その溶融ガラスは分配部から一の分岐流路に即座に流入して下流側に向かって迅速に流れてしまうのに対して、分配部における他の分岐流路に通じる他の箇所で溶融ガラスの粘性が相対的に高くなっていると、その溶融ガラスは分配部から他の分岐流路に流入し難くなり且つ流入後においても下流側に向かう溶融ガラスの流通性が阻害される。
このため、各分岐流路を通じて各成形装置に供給される溶融ガラスの量に大きなバラツキが生じ、各成形装置による成形工程を均等な条件で行なえなくなり、成形作業に支障が生じると共に、成形品の品質のバラツキひいては品質の低下、更には製品歩留まりの低下等の問題をも招く。このような問題の招来が必至となることが一要因となって、従来においては、高粘性ガラスを成形装置に供給するための装置としてマルチフィーダは使用されておらず、従来のこの種の装置としては、専ら、上記の特許文献5に開示されているように、溶融窯から単一の供給用流路を通じて溶融ガラスを成形装置に供給する構成の装置(以下、単一フィーダともいう)が使用されていた。
また、上記の特許文献1〜4に開示のように低粘性ガラスを対象とするマルチフィーダであっても、分配部から各分岐流路を通じて流れる溶融ガラスの量を全体に亘って均一にできるものではないため、程度の差はあるものの高粘性ガラスの場合と同様の問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マルチフィーダ及び溶融ガラスの分配供給を伴う製造方法に適切な改良を加えることにより、各成形装置に均等な条件で溶融ガラスを供給できるようにすると共に、各成形装置で成形されるガラス物品の品質向上並びに製品歩留まりの改善を図ることを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明は、溶融ガラスの供給源となる溶融窯と、該溶融窯の流出口に通じる分配部と、該分配部から分岐して複数の成形装置に向かって延出する複数の分岐流路とを備えた溶融ガラス供給装置において、前記各分岐流路の途中に、その各分岐流路を流れる溶融ガラスに対してそれぞれ流通抵抗を付与する流通抵抗付与部を設け、前記分配部から前記各分岐流路に溶融ガラスが分配供給される際の各供給圧力を均一化するように構成したことを特徴とするものである。この場合、各流通抵抗付与部は、各分岐流路における分配部の直下流側、つまり各分岐流路の上流側端部に配設することが好ましい。なお、前記分配部は、溶融ガラスの流れを一時的に停滞させることが可能な容積部としての機能を有するものであることが好ましいが、そのような機能を有しない各分岐流路の単なる集合部であってもよい。
このような構成によれば、次に示すような利点を得ることが可能となる。すなわち、仮に各分岐流路を流れる溶融ガラスに積極的な流通抵抗を付与しないとしたならば、溶融ガラスの粘性が相対的に低くなっている部位については分配部から分岐流路を通じてその低粘性の部位が相対的に高速度で流れてしまうのに対して、溶融ガラスの粘性が相対的に高くなっている部位については分配部から分岐流路を通じてその高粘性の部位が相対的に低速度で流れることになり、結果的には、分配部から各分岐流路への溶融ガラスの供給圧力が不均一となる。これに対して、各分岐流路を流れる溶融ガラスにそれぞれ流通抵抗を付与することにより、溶融ガラスの粘性が相対的に低い部位及び高い部位の何れについても、分岐流路内での流れ速度を極端に低速化させれば、その両者の流れ速度を略同一とすることができる。換言すれば、上記両者の流れ速度を同程度とするために必要な流通抵抗を各分岐流路内で付与すればよいことになる。これにより、分配部から各分岐流路に分配供給される溶融ガラスの各供給圧力均一化されることになる。ここで、各供給圧力が均一化されるということは、各分岐流路に分配供給される溶融ガラスの量に不当なバラツキが生じなくなり、且つ分配供給後においても各分岐流路内を溶融ガラスが均等な流動性をもって流れることを意味する。したがって、溶融窯から連続的に分配部に流入する溶融ガラスは、各分岐流路を通じて量的に大きな差を生じることなく各成形装置に適正に供給されると共に、各成形装置による成形工程が、適切な確実性をもって均等な条件で行なわれる。この結果、各成形作業の円滑化が充分に促進されると共に、成形品の品質のバラツキや品質の低下並びに製品歩留まりの低下等の問題も的確に回避される。
なお、以上のような作用効果は、供給対象となるガラスが、高粘性ガラス及び低粘性ガラスの何れの場合であっても得ることができるが、特に高粘性ガラスの場合に顕著となる。
また、特に近年においては、液晶表示装置の普及、及びそのパネルの大型化に伴って、液晶表示装置を構成している板ガラスの需要が急増しているのが実情であると共に、パネルが大型になると、液晶を挟み込む2枚の板ガラス間で僅かな組成の差や材質特性の差によって、パネルの作製時にピッチズレを引き起こし易くなる。そこで、組成や材質特性が一定とされたガラスが大量に必要となり、このような板ガラスの需要増に対しては、従来の溶融ガラス供給装置(単一フィーダ)を増設すればよいのであるが、このような単純な手法によれば、異なる単一フィーダにより製作された板ガラスは、操業条件や調合条件が異なるために、同一の品種であっても組成や材質特性が一定にはならないという不具合を招く。これに対して、本発明に係る溶融ガラス供給装置は、溶融窯から複数の供給用流路(分岐流路)が分岐して形成されていることから、近年における板ガラスの需要増に容易に対応できると共に、異なる分岐流路を通じて成形された板ガラスであっても、操業条件や調合条件が同一となり、これに伴って組成や材質特性が一定となる。この結果、組成や材質特性が一定とされた板ガラスを大量に供給することが可能となる。
このような構成において、前記流通抵抗付与部の内壁面における少なくとも溶融ガラスとの接触面は、白金、モリブデン、パラジウム、ロジウム又はこれらの合金(以下、白金等という)で形成されていることが好ましく、白金又は白金合金で形成されていることがより好ましい。
このようにすれば、低粘性ガラスの場合のみならず、高粘性ガラスを溶融ガラスとして供給する場合にも、充分な耐久性を有する流通抵抗付与部を得ることができる。すなわち、白金等は、優れた耐熱性及び耐侵食性を有しているため、高粘性ガラスからなる極めて高温の溶融ガラスと接触しても、熱変形や侵食が生じ難く、したがって長期使用に耐え得る流通抵抗付与部が得られることになる。これにより、流通抵抗付与部の内壁面が、特に高粘性ガラスでなる溶融ガラスとの接触により侵食して異物が発生するという事態が回避され、溶融ガラス中への侵食異物の混入或いは溶け込みによる成形品の品質低下や製品歩留まり低下等の問題が生じなくなる。この場合、流通抵抗付与部の該当箇所の壁部全てを白金等で形成してもよいが、この白金等は高価であることを考慮して、流通抵抗付与部の本体を耐火物(耐火レンガ等)で形成しておき、その内壁面における少なくとも溶融ガラスとの接触面を白金等の薄板で覆うように構成することが好ましい。また、1350℃以上(好ましくは1420℃以上)の耐熱性と耐侵食性とを兼ね備えた白金等を使用すれば、耐熱処理と耐侵食処理との両者が同時に実現され、これらの処理に要する作業や手間を削減することが可能となる。
更に、前記白金等に対して通電を行なうことにより溶融ガラスを加熱する通電加熱手段を備えていることが好ましい。
このように、通電加熱手段を使用して、上述の白金等に対して通電を行なうことにより、流通抵抗付与部内の溶融ガラスの加熱を行なうようにすれば、溶融ガラスは、流通抵抗付与部における該溶融ガラスとの接触部分を通じて加熱されることになり、バーナーを使用して加熱を行なう場合と比較して、加熱効率が良くなると共に、溶融ガラスを均一に加熱することが可能となる。また、このような通電加熱を行なう場合において、バーナーによる加熱を併用した場合であっても、バーナーのみにより加熱を行なう場合と比較すれば、効率良く且つ均一に溶融ガラスを加熱することができる。
この場合、各流通抵抗付与部内の溶融ガラスの温度を検出する温度検出手段を配設し、この温度検出手段からの信号に基づいて上述の白金等に対する通電量を可変制御するように構成すれば、各流通抵抗付与部内の溶融ガラスの温度をそれぞれ最適値に維持することが可能となる。したがって、この流通抵抗付与部は、溶融ガラスの温度を制御する温度調整部としての役割をも果たす。
また、各流通抵抗付与部のみならず、上述の分配部の内壁面における少なくとも溶融ガラスとの接触面についても、1350℃以上(好ましくは1420℃以上)の耐熱処理及び耐侵食処理、例えば白金等の薄板で覆う処理を施すことが好ましい。なお、耐火物で形成される溶融窯についても、同様の処理を施すことが可能であるが、溶融窯の容積は分配部や流通抵抗付与部に比して遥かに大きいことから、このような処理を施さない方がコスト面において有利であり、しかも高粘性ガラスを対象とする場合における侵食異物の問題は、下記の実施形態で述べるように他の手段により回避できることから、上述の処理は施さないことが好ましい。
また、前記流通抵抗付与部、分配部、及び溶融窯の三者の中では、分配部が最も高温(高粘性ガラスの場合は、例えば1600℃〜1700℃で、粘度は1000ポイズ以下)となるように加熱することが好ましい。すなわち、分配部内の溶融ガラスには、複雑に入り組んだ方向の流れが生成されるため、各分岐流路に均一に溶融ガラスを分配供給するには、粘度を低く維持しておくことが好都合である。
以上の構成において、前記各流通抵抗付与部は、前記各分岐流路の途中に邪魔板を配設することにより構成されていることが好ましい。なお、各流通抵抗付与部にはそれぞれ、上流側から下流側に亘って複数の邪魔板が配設されていることが好ましく、更には溶融ガラスの流路断面に対する配設位置が異なる複数の邪魔板及び/又は形状が異なる複数の邪魔板が配設されていることが好ましい。
このようにすれば、各流通抵抗付与部としては、各分岐流路の途中、好ましくは分配部の直下流側に、邪魔板を固設するだけで構成することができ、製作に要する手間や労苦を軽減させた上で、溶融ガラスに対する流通抵抗の付与を確実に行なわせることが可能となる。また、邪魔板によって、溶融ガラスの流れ方向を変換させたり、その流れを絞ることが可能となるため、溶融ガラス中の粘性が相違する部位の相互間における熱伝達が促進され、個々の流通抵抗付与部内における溶融ガラスの整流化ひいては粘性の均一化にも寄与できるという利点が得られる。したがって、流通抵抗付与部は、溶融ガラスに対する粘性均一化部としての役割をも果たすことになる。
このような構成において、前記邪魔板の少なくとも溶融ガラスとの接触面は、白金等で形成されていることが好ましい。この場合においても、耐熱処理と耐侵食処理とは、別々の処理としてもよいが、1350℃以上(好ましくは1420℃以上)の耐熱性と耐侵食性とを兼ね備えた白金等、特に白金又は白金合金を使用することが好ましい。また、邪魔板の本体を他の耐熱性部材で形成しておき、その溶融ガラスとの接触面を白金等の薄板で覆うようにしてもよいが、この邪魔板は大きな剛性及び広い面積を必要としないため、邪魔板自体を白金等の板で構成することが好ましい。
このようにした場合にも、溶融ガラスの熱に対する邪魔板の耐久性が向上して長期使用に耐え得るようになると共に、特に高粘性ガラスでなる溶融ガラスと邪魔板との接触により侵食異物が発生するという事態が回避され、溶融ガラス中への侵食異物の溶け込み等による成形品の品質低下や製品歩留まり低下等の問題が生じなくなる。
以上の構成において、溶融ガラスとしては、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を有するもの、更には1000ポイズの粘度に相当する温度が1420℃以上となる特性を有するものを使用することができる。なお、このガラスは、既に述べた事項から明らかなように、高粘性ガラスであって、低粘性ガラスとは区別されるものである。そして、この高粘性ガラスは、無アルカリガラス(アルカリ成分が例えば0.1%以下、特に0.05%以下のガラス)を含むものである。
このようにすれば、高粘性ガラスを対象とする溶融ガラス供給装置が、溶融窯から分配部を介して複数の分岐流路が延出する構成とされていることから、この種の高粘性ガラスを対象とする従来の溶融ガラス供給装置(単一フィーダ)と比較して、溶融窯における放熱量の過多並びに侵食異物量の過多に起因する問題が回避される。すなわち、マルチフィーダを使用した場合における溶融窯の放熱面積を分岐流路の本数で除算した値、つまり分岐流路一本当たりの溶融窯の放熱面積は、この溶融窯の容積とトータルの容積が同一である複数の溶融窯を有する複数の単一フィーダにおける供給流路一本当たりの溶融窯の放熱面積よりも遥かに小さくなる。このように、一本の分岐流路当たりの溶融窯の放熱面積が従来の装置(単一フィーダ)よりも遥かに小さくなることから、一本の分岐流路についての溶融窯からの放熱量が過多でなくなり、一本の成形ラインにつき必要な加熱コストの不当な高騰を回避でき、製品コストの低廉化を図ることが可能となる。加えて、溶融窯の内壁面における溶融ガラスとの接触面積を分岐流路の本数で除算した値、つまり分岐流路一本当たりの溶融窯の侵食面積も、単一フィーダの場合における供給流路一本当たりの溶融窯の侵食面積よりも遥かに小さくなる。これにより、個々の分岐流路を通じて成形装置に供給される溶融ガラス中の侵食異物の量や侵食に起因する異質ガラスの量が過多でなくなり、溶融ガラスの汚染及びこれに起因する成形品の品質低下や製品歩留まり低下の問題が回避される。
しかも、マルチフィーダを使用して、高粘性ガラスを溶融ガラスとして各成形装置に供給しようとしたならば、図5に示す特性から明らかなように、溶融ガラスの温度が僅かに変化した場合であっても、その粘度は大きく変化することになるため、粘度を均一に維持することが極めて困難となり、特に、分配部から複数の分岐流路に溶融ガラスを分配供給する際には、その粘性が不当に不均一になるおそれがある。しかしながら、この問題は、既に述べたように本発明に係る構成により回避することが可能である。したがって、高粘性ガラスを供給対象とする場合であっても、マルチフィーダが有している種々の利点を享受できることになる。
すなわち、同一の溶融窯から分配供給される溶融ガラスによって、異種のガラス物品を同時に成形できるという利点が得られる。しかも、一本の分岐流路からの溶融ガラスの供給を停止させた場合であっても、他の分岐流路を通じて溶融ガラスを成形装置に供給して所要の成形工程を実行できる。したがって、1つのラインの成形装置によるガラス物品の成形を他の異なるガラス物品の成形に変更したい場合には、分岐流路の全てを供給停止状態とする必要はなく、変更したいラインに相当する分岐流路のみを供給停止状態としてその成形装置を取換え交換し、その他の成形装置は稼動状態としておくことができ、生産能率の向上を図ることが可能となる等の利点が得られる。
なお、このマルチフィーダにおける各分岐流路は、分配部から放射状に各成形装置に向かって延出していてもよく、また分配部から相互に平行に各成形装置に向かって延出していてもよいが、溶融ガラスの粘性の不均一や流動性の悪化等の不具合が生じないようにする上で、これらの分岐流路は全てが平面視で直線上に延びていることが好ましい。また、溶融窯内においては、溶融ガラスの液面に、シリカ等の異物が膜状に浮遊した状態となる場合があり、このような場合には、膜状の浮遊物を除去する等の目的で、二または三以上の複数の溶融窯を上流側から下流側に向かって直列に連通させて設置することが好ましい。
以上の構成において、前記成形装置は、板ガラスの成形装置であることが好ましい。
そして、板ガラスを含むガラス成形品は、以上の構成を備えた溶融ガラス供給装置から供給された溶融ガラスを前記成形装置で成形して製造されることによって、品位に優れた良質のものとなる。
この場合、板ガラスの成形装置としては、ダウンドロー成形装置、アップドロー成形装置、及びフロート成形装置等が挙げられ、更にダウンドロー成形装置としては、オーバーフロー成形装置、及びスロットダウン成形装置等が挙げられる。これらの中でも、特に成形された板ガラスの表面の研磨を必要としないオーバーフロー成形装置を用いることが望ましい。そして、これらの成形装置により成形される板ガラスとしては、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスディスプレイに代表される平面ディスプレイのガラス基板、電荷結合素子、等倍近接型固体撮像素子、CMOSイメージセンサ等の各種イメージセンサのカバーガラス、及びハードディスクやフィルタのガラス基板等が挙げられる。
これらの板ガラスの成形に際しては、成形装置に供給される溶融ガラスの粘性が不均一であると、板ガラスの肉厚にバラツキやうねりが生じて成形不良を招くと共に、製品歩留まりの低下を惹き起こす。これらの問題は、特に高品質が要求される液晶ディスプレイ用ガラス基板等の用途では致命的となる。そして、本発明は、既に述べたように、粘性不均一の問題に適切に対応可能であることから、上述の板ガラスの成形に適していることになる。
また、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係るガラス成形品の製造方法は、ガラスを溶融窯で溶融する溶融工程と、前記溶融窯から流出した溶融ガラスを前記溶融窯の流出口に通じる分配部を介して複数の分岐流路に供給する分配工程と、前記複数の分岐流路を流れる溶融ガラスに対してそれぞれ流通抵抗を付与する流通抵抗付与工程と、前記複数の分岐流路を流下した溶融ガラスをこの複数の分岐流路にそれぞれ通じる成形装置に供給してガラス成形品を成形する成形工程とを有し、前記分配部から前記各分岐流路に溶融ガラスが分配供給される際の各供給圧力を均一化するようにしたことを特徴とするものである。
この製造方法の実施によっても、既に述べた溶融ガラス供給装置による基本的な作用効果が得られる。そして、この製造方法を実施するに際しても、既に述べた事項と同様の作用効果を得るために、前記流通抵抗付与工程では、溶融ガラスが白金等と接触していることが好ましく、前記白金等により1350℃以上の耐熱処理及び耐侵食処理が施されていることが好ましく、前記白金等に対して通電を行なうことにより溶融ガラスを加熱することが好ましく、前記溶融ガラスは、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を有していることが好ましく、前記成形工程は、板ガラス(特に平面ディスプレイのガラス基板)の成形工程であることが好ましい。
以上のように本発明に係る溶融ガラス供給装置によれば、溶融窯、分配部、及び複数の分岐流路を備えてなるマルチフィーダに、各分岐流路を流れる溶融ガラスに対してそれぞれ流通抵抗を付与する流通抵抗付与部を設けたから、溶融ガラスの粘性が相対的に低い部位及び高い部位の何れについても、分岐流路内での流れ速度を極端に低速化させることによって、分配部から各分岐流路に分配供給される溶融ガラスの各供給圧力均一化されることになり、各成形作業を支障なく円滑に行なうことが可能になると共に、成形品の品質のバラツキや品質の低下並びに製品歩留まりの低下等の問題をも回避することが可能となる。しかも、複数の分岐流路が溶融窯から分岐して形成されていることから、他の溶融ガラス供給装置を増設することなく、近年における板ガラスの需要増に容易に対応できると共に、異なる分岐流路を通じて成形された板ガラスであっても、操業条件や調合条件が同一となることから、組成や材質特性が一定とされた板ガラスを大量に供給することが可能となる。
更に、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上(又は1420℃以上)となる高粘性ガラスを供給対象とすれば、従来の装置である単一フィーダに比して、一本の分岐流路当たりの溶融窯の放熱面積が遥かに小さくなり、個々の成形ラインにつき必要な加熱コストを低減させて、製品コストの低廉化を図ることが可能となる。加えて、一本の分岐流路当たりの溶融窯の侵食面積も、従来の装置(単一フィーダ)に比して遥かに小さくなり、個々の分岐流路を通じて成形装置に供給される溶融ガラス中の侵食異物の量や異質ガラスの量を低減させて、溶融ガラスの汚染及びこれに起因する成形品の品質低下や製品歩留まり低下の問題を回避することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る溶融ガラス供給装置の概略構成を示す一部破断斜視図、図2は、その溶融ガラス供給装置の要部を示す横断平面図、図3は、その溶融ガラス供給装置の要部を示す縦断側面図である。なお、以下の説明では、溶融ガラス供給装置の上流側と下流側との相互間方向を前後方向ともいい、その前後方向と水平面内で直交する方向を左右方向ともいう。
先ず、図1及び図2に基づいて、本発明の実施形態に係る溶融ガラス供給装置の全体構成を説明する。この溶融ガラス供給装置1は、溶融ガラスの供給源となる略矩形の一つの溶融窯2と、該溶融窯2の流出口2aに連通された分配室(分配部)3と、該分配室3の下流側端部に略等間隔おきに連通された複数本の分岐流路4とを有し、これらの分岐流路4の下流側端部はそれぞれ複数の成形装置5に通じている。なお、前記分岐流路4を通じて成形装置5に至る経路は、図例では3本であるが、2本であってもよく、或いは4本以上であってもよい。また、溶融窯2は、例えば上流側から下流側に向かって直列に又は並列に二以上が連通した状態で配列されるもの等であってもよい。
前記溶融窯2は、底壁21、側壁22〜25、及びその上方全域を覆うアーチ形の天井壁26とを有し、これらの各壁は、高ジルコニア系の耐火物(耐火レンガ)で形成されると共に、左右両側の側壁22、23上方から複数のバーナーの火炎Fが溶融ガラスの上部空間に向かって照射されている。そして、これらのバーナーの火炎Fは、溶融窯2内に充満されている溶融ガラスを上方から加熱することにより、1500℃〜1650℃の温度に維持している。
前記溶融窯2の下流側の側壁24には、その左右方向中央部に流出口2aが形成されており、該流出口2aを上流端に有する幅狭の流出路6を介して溶融窯2と分配室3とが連通している。前記分配室3は、底壁31、側壁32〜35、及びその上方全域を覆うアーチ形の天井壁(図示略)とを有し、これらの各壁は、高ジルコニア系の耐火物(耐火レンガ)で形成されている。また、前記流出路6は、通路壁61〜63、及びその上方全域を覆うアーチ形の天井壁(図示略)を有し、これらの各壁も、高ジルコニア系の耐火物(耐火レンガ)で形成されている。そして、分配室3の左右両側の側壁32、33上方からは、バーナーの火炎Fがその内部に充満されている溶融ガラスの上部空間に向かって照射されている。この場合、分配室3内の溶融ガラスの温度は、1600℃〜1700℃に維持される。
前記分配室3は、溶融窯2よりも容積が小さく、その底壁31及び側壁32〜35の内壁面(少なくとも溶融ガラスと接触する内壁面部位)には、白金又は白金合金でなる薄板が張られると共に、前記流出路6の底壁61及び側壁62、63の内壁面にも同様にして、白金又は白金合金でなる薄板が張られている。この分配室3は、左右方向に長尺とされると共に、上流側の側壁34の左右方向中央部に前記流出路6の下流端が開口している。そして、この分配室3の前後左右方向の中央部には、左右方向に長尺な整流壁部37が全ての側壁32〜35との相互間に流通空間を介在させて固設されている。なお、この整流壁部37も、高ジルコニア系の耐火物(耐火レンガ)で形成され、その外面には、白金又は白金合金でなる薄板が張られている。
この場合、図3に示すように、前記分配室3は、溶融窯2よりも底浅とされている。すなわち、この装置1の稼動時における溶融ガラスの液面Lを基準として、溶融窯2の底面21aまでの深さ寸法Xが、分配室3の底面31aまでの深さ寸法Yよりも長尺とされている。具体的には、分配室3の深さ寸法Yは、溶融窯2の深さ寸法Xの4/5以下、好ましくは3/5以下、より好ましくは1/2以下であって、且つ1/20以上とされる。また、分配室3の深さ寸法Yは、500mm以下、好ましくは400mm以下であって、且つ50mm以上とされる。なお、この実施形態では、前記流出路6が分配室3と同一深さであって、溶融窯2と流出路6との境界部に段差Dが形成されている。
そして、図1及び図2に示すように、前記分配室3の下流側の側壁35には、略等間隔おきに複数の小流出口3aが形成され、これらの各小流出口3aを上流端に有する幅狭の各小流出路7を介して分配室3の下流側に複数の分岐流路4が連通している。これらの複数の分岐流路4は、相互に平行に配列され、且つ個々の分岐流路4は全てが平面視で直線上に延びている。
前記各分岐流路4の上流側端部つまり分配室3の直下流側位置には、前記各小流出路7の下流端が開口する複数の流通抵抗付与室(流通抵抗付与部)8が形成されている。これらの流通抵抗付与室8は、前後方向に長尺であって、分配室3よりも容積が小さくされている。そして、各流通抵抗付与室8は、流路を形成する包囲壁81〜85、及びその上方全域を覆う天井壁(図示略)を有し、これらの各壁は、高ジルコニア系の耐火物(耐火レンガ)で形成されている。また、前記小流出路7は、通路壁71〜73、及びその上方全域を覆う天井壁(図示略)を有し、これらの各壁も、高ジルコニア系の耐火物(耐火レンガ)で形成されている。なお、各流通抵抗付与室8は、分配室3よりも底浅とされている。
更に、各流通抵抗付与室8の包囲壁81〜85の内壁面(少なくとも溶融ガラスと接触する内壁面部位)には、白金又は白金合金でなる薄板が張られると共に、前記小流出路7の通路壁71〜73の内壁面にも同様にして、白金又は白金合金でなる薄板が張られている。そして、これらの流通抵抗付与室8内の溶融ガラスに対しては、図外の通電加熱手段により、上述の白金又は白金合金でなる薄板に電流を流すことによる通電加熱が行なわれる。更に、各流通抵抗付与室8内には、溶融ガラスの温度ひいては粘度を検出するための図外の温度検出手段(温度センサ)が配設されており、これらの温度検出手段からの信号に基づいて上述の通電加熱を行なう際の通電量ひいて加熱量の制御が行なわれる。したがって、各流通抵抗付与室8は、温度調整室(温度調整部)としての役割も果たす。そして、このような制御が行なわれることにより、各流通抵抗付与室8内の溶融ガラスの温度は、1500℃〜1650℃に維持される。
前記各流通抵抗付与室8には、その内部を流れる溶融ガラスの流れ方向を変換しつつその流れを絞るための複数の白金又は白金合金でなる邪魔板9が、前後方向にそれぞれ所定の間隔をおいて並列に固設されている。そして、これらの邪魔板9は、結果的に、各流通抵抗付与室8を流れる溶融ガラスに対して抵抗を付与するものであり、換言すれば、溶融ガラスの低粘性部位及び高粘性部位の何れもが各分岐流路4の上流側端部で殆ど抵抗を受けることなく即座に流れてしまうことを阻止するものである。したがって、これらの邪魔板9ひいては各流通抵抗付与室8は、分配室3から各分岐流路4に溶融ガラスが分配供給される際の各供給圧力を均一にする分配圧力調整手段を構成するものである。
図4(a)〜(e)は、各流通抵抗付与室8に上流側から順に配設される邪魔板9をそれぞれ示す正面図である。なお、これらの各図に記載されている鎖線Lは、この装置1の稼動時における溶融ガラスの液面を示すものである。
図4(a)に示す最上流側位置の邪魔板9は、流通抵抗付与室8における矩形の流路断面の略下側半部に相当する断面を覆う矩形状を呈するものであって、溶融ガラスの流れを上方に方向変換させた後に下降させるものである。図4(b)に示す上流側から2番目の邪魔板9は、流通抵抗付与室8の流路断面の略上側半部又は略上側1/3に相当する断面を覆う矩形状を呈するものであって、溶融ガラスの流れを下方に方向変換させつつ絞った後に上昇させるものである。図4(c)に示す上流側から3番目の邪魔板9は、流通抵抗付与室8の流路断面の幅方向両側を除く中央部を上から下に亘って覆う矩形状を呈するものであって、溶融ガラスの流れを幅方向両側に分離させた後に集合させるものである。図4(d)に示す上流側から4番目の邪魔板9は、流通抵抗付与室8の流路断面の全面を覆う板状体に上側の方が相対的に径の大きな複数の貫通孔9aを形成したものであって、溶融ガラスの流れを複数箇所で上下格差を設けて絞った後に集合させるものである。図4(e)に示す上流側から5番目の邪魔板9は、流通抵抗付与室8の流路断面の全面を覆う板状体に下側の方が相対的に径の大きな複数の貫通孔9aを形成したものであって、溶融ガラスの流れを複数箇所で上下格差を設けて絞った後に集合させるものである。このように、溶融ガラスの流れを方向変換したり或いは絞ることによって、粘性の低い部分と高い部分との相互間における熱伝達が積極的に行なわれ、熱伝達効率が良くなることから、各邪魔板9は、個々の流通抵抗付与室8内での溶融ガラスの整流作用ひいては粘性均一化作用をも行ない得ることになる。したがって、各流通抵抗付与室8は、粘性均一化室(粘性均一化部)としての役割をも果たす。
そして、図1及び図2に示す溶融窯2から分配室3及び各流通抵抗付与室8を通じて各成形装置5に供給される溶融ガラスは、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上、好ましくは1420℃以上となる特性を有するものであって、無アルカリガラスであることが好ましい。また、ガラスの歪み点は、600℃以上、好ましくは630℃以上であって、ガラスの液相粘度は、300000ポイズ以上、好ましくは600000ポイズ以上である。そして、ガラスの組成は、質量%で示すと例えば下記の通りである。
SiO2:40〜70%、 Al23:6〜25%、 B23:5〜20%、 MgO:0〜10%、 CaO:0〜15%、 BaO:0〜30%、 SrO:0〜10%、 ZnO:0〜10%、 アルカリ金属酸化物:0.1%以下、 清澄剤:0〜5%。また、この場合のガラスの組成は、好ましくは、次の通りとされる。SiO2:55〜70%、 Al23:10〜20%、 B23:5〜15%、 MgO:0〜5%、 CaO:0〜10%、 BaO:0〜15%、 SrO:0〜10%、 ZnO:0〜5%、 アルカリ金属酸化物:0.1%以下、 清澄剤:0〜3%。
また、上記の各流通抵抗付与室8から更に下流側分岐流路10を通じて溶融ガラスが供給される各成形装置5は、液晶用板ガラス(液晶ディスプレイ用のガラス基板)に代表される板ガラスの成形装置である。
なお、上述の所定構成要素の各壁は、全て高ジルコニア系の耐火物で形成されているが、溶融窯2以外の構成要素の各壁については、高ジルコニア系以外の耐火物で形成してもよい。
以上のような構成を備えた溶融ガラス供給装置1によれば、溶融窯2から分配室3を介して複数の分岐流路4が成形装置5側に向かって延出していることから、溶融窯2内の高粘性特性を示す溶融ガラスは、これらの各分岐流路4をそれぞれ通じて各成形装置5に供給されることになる。すなわち、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を備えた高粘性ガラスを溶融窯2で溶融する溶融工程と、溶融窯2から流出した溶融ガラスを溶融窯2の流出口2aに通じる分配室3を介して複数の分岐流路4に供給する分配工程と、複数の分岐流路4を流れる溶融ガラスに対してそれぞれ流通抵抗を付与する流通抵抗付与工程と、複数の分岐流路4を流下した溶融ガラスをこの複数の分岐流路4にそれぞれ通じる成形装置5に供給してガラス成形品を成形する成形工程とが実施される。
したがって、この溶融窯2の放熱面積(特に側壁22〜25の放熱面積)を分岐流路4の本数で除算した値、つまり分岐流路4が一本当たりの溶融窯2の放熱面積は、この溶融窯2の容積とトータルの容積が同一である複数の溶融窯を有する複数の単一フィーダの供給流路が一本当たりの溶融窯の放熱面積よりも遥かに小さくなる。これにより、個々の分岐流路4についての溶融窯2からの放熱量が過多でなくなり、一本の成形ラインにつき必要な加熱コストの不当な高騰を回避できる。加えて、溶融窯2の内壁面における溶融ガラスとの接触面積を分岐流路4の本数で除算した値、つまり分岐流路4一本当たりの溶融窯2の侵食面積も、単一フィーダの場合における供給流路一本当たりの溶融窯の侵食面積よりも遥かに小さくなる。これにより、個々の分岐流路を通じて成形装置5に供給される溶融ガラス中の侵食異物や侵食に起因する異質ガラスの量が過多でなくなり、溶融ガラスの汚染及びこれに起因する成形品の品質低下や製品歩留まり低下の問題が回避される。
更に、複数の成形装置5を異種のものとしておけば、同一の溶融窯2から分配供給される溶融ガラスによって、複数の成形装置5で異種の板ガラスを同時に成形できる。しかも、一本の分岐流路4からの溶融ガラスの供給を停止させた場合であっても、他の分岐流路4を通じて溶融ガラスを成形装置5に供給して所要の成形工程を実行できるため、1つのラインの成形装置5による板ガラスの成形を他の異なる板ガラスの成形に変更したい場合には、変更したいラインに相当する分岐流路4のみを供給停止状態としてその成形装置を取換え交換し、その他の成形装置5は稼動状態としておくことができる。加えて、液晶用ガラスのような高粘性ガラスでは、成形温度も高温となるため、成形装置等が傷み易くなるが、その補修のために分岐流路4の1つを供給停止状態としても、その他の成形装置は稼動状態としておくことができる。
しかも、分岐流路4は溶融窯2から複数本に分岐して形成されていることから、他の溶融ガラス供給装置を増設することなく、近年における板ガラスの需要増に容易に対応できると共に、異なる分岐流路4を通じて成形された板ガラスであっても、操業条件や調合条件が同一となることから、組成や材質特性が一定とされた板ガラスを大量に供給することが可能となる。
また、溶融窯2から分配室3に流出しようとする溶融ガラスは、比重と温度との関係による自然現象に加えて、バーナーのフレームFがその上方空間に照射されていることから、下部の方が上部よりも温度が低くなって粘性が相対的に高くなるが、溶融窯2よりも分配室3が底浅であることから、下部の粘性の高い溶融ガラスが溶融窯2内に残留し、上部の粘性の低い溶融ガラスのみが分配室3内に流入することになる。これにより、粘性が低くなっている溶融ガラスが無駄なく有効利用されると共に、分配室3の上部から下部に亘る溶融ガラスの粘性の均一化が図られ、更には溶融ガラスからの脱泡が促進される。
しかも、溶融窯2に溶融ガラスが接触することにより侵食された耐火物の成分であるジルコニアは、溶融ガラスよりも比重が大きいために、そのジルコニアが溶融ガラス中に溶け込んでなる汚染溶融ガラスがその下部に溜まる。このような場合であっても、分配室3が溶融窯2よりも底浅であることから、汚染溶融ガラスの分配室3への流入が適切に阻止される。
そして、分配室3に流入した溶融ガラスに対しては、酸素燃焼によるバーナーのフレームFが照射され、その粘度が1000ポイズ以下となるように加熱されているため、流動性が良くなり、分配室3から各分岐流路4の流通抵抗付与室8にスムーズに溶融ガラスが分配供給され得る状態となる。なお、溶融窯2から分配室3に流入した溶融ガラスは、該分配室3の中央部に配設されている整流壁部37によって、その直進を阻止されて左右方向に適度に流れが分散された後、各流通抵抗付与部8に分配供給されるため、左右方向中央部の流通抵抗付与室8に集中して溶融ガラスが供給されるという事態が回避される。この時点における分配室3内の溶融ガラスの温度は、1600℃〜1700℃に維持され、溶融窯2内の溶融ガラスの温度(1500℃〜1650℃)及び流通抵抗付与室8の温度(1500℃〜1650℃)よりも高く維持されている。これに対しては、分配室3の内壁面が白金又は白金合金で覆われているため、熱に対する耐久性が劣化することはなく、しかも侵食異物や異質ガラスによる溶融ガラスの汚染の問題も生じない。
更に、分配室3から溶融ガラスが流入する各流通抵抗付与室8には、複数の邪魔板9が配設されていることから、これらの流通抵抗付与室8を流れる溶融ガラスに対しては適度な抵抗が付与される。したがって、分配室3を通過して各流通抵抗付与室8に到達するまでの溶融ガラスの粘度や流れ方向がそれぞれ相違していても、各流通抵抗付与室8に分配供給される際の各圧力は、上述の適度な抵抗の付与によって均一化される。
しかも、流通抵抗付与室8を流れる溶融ガラスは、邪魔板9による方向変換や絞り作用を受けることになるため、個々の流通抵抗付与室8内で粘性の相違する溶融ガラスの相互間における熱伝達が促進され、溶融ガラスの粘性の均一化が図られる。加えて、この流通抵抗付与室8では、温度検出手段を用いて溶融ガラスの温度を制御していることから、要請に対して極めて正確な粘度の溶融ガラスを成形装置5に対して供給できることになる。これにより、成形装置5で成形される板ガラスの肉厚のバラツキ及びうねり等の成形不良の発生が回避される。
なお、上記実施形態では、高粘性ガラスを対象とした溶融ガラス供給装置に本発明を適用したが、これ以外に、既述の低粘性ガラスを対象とした溶融ガラス供給装置についても同様に本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係る溶融ガラス供給装置の全体構成を示す一部破断概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る溶融ガラス供給装置の要部を示す横断平面図である。 本発明の実施形態に係る溶融ガラス供給装置の要部を示す縦断側面図である。 図4(a)〜(e)はそれぞれ、本発明の実施形態に係る溶融ガラス供給装置の構成要素である分岐流路に設置される邪魔板を示す要部縦断正面図である。 本発明が適用される高粘性ガラスの特性と従来技術に係る低粘性ガラスの特性とを比較したグラフである。
符号の説明
1 溶融ガラス供給装置
2 溶融窯
2a 溶融窯の流出口
3 分配室(分配部)
4 分岐流路
5 成形装置
8 流通抵抗付与室(流通抵抗付与部)
9 邪魔板

Claims (10)

  1. 溶融ガラスの供給源となる溶融窯と、該溶融窯の流出口に通じる分配部と、該分配部から分岐して複数の成形装置に向かって延出する複数の分岐流路とを備えた溶融ガラス供給装置において、
    前記各分岐流路の途中に、その各分岐流路を流れる溶融ガラスに対してそれぞれ流通抵抗を付与する流通抵抗付与部を設け、前記分配部から前記各分岐流路に溶融ガラスが分配供給される際の各供給圧力を均一化するように構成したことを特徴とする溶融ガラス供給装置。
  2. 前記流通抵抗付与部の内壁面における少なくとも溶融ガラスとの接触面を、白金、モリブデン、パラジウム、ロジウム又はこれらの合金で形成したことを特徴とする請求項に記載の溶融ガラス供給装置。
  3. 前記白金、モリブデン、パラジウム、ロジウム又はこれらの合金に対して通電を行なうことにより溶融ガラスを加熱する通電加熱手段を備えたことを特徴とする請求項に記載の溶融ガラス供給装置。
  4. 前記溶融ガラスは、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を有していることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の溶融ガラス供給装置。
  5. 前記成形装置は、板ガラスの成形装置であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の溶融ガラス供給装置。
  6. ガラスを溶融窯で溶融する溶融工程と、前記溶融窯から流出した溶融ガラスを前記溶融窯の流出口に通じる分配部を介して複数の分岐流路に供給する分配工程と、前記複数の分岐流路を流れる溶融ガラスに対してそれぞれ流通抵抗を付与する流通抵抗付与工程と、前記複数の分岐流路を流下した溶融ガラスをこの複数の分岐流路にそれぞれ通じる成形装置に供給してガラス成形品を成形する成形工程とを有し、前記分配部から前記各分岐流路に溶融ガラスが分配供給される際の各供給圧力を均一化するようにしたことを特徴とするガラス成形品の製造方法。
  7. 前記流通抵抗付与工程で、溶融ガラスが、白金、モリブデン、パラジウム、ロジウム又はこれらの合金と接触することを特徴とする請求項6に記載のガラス成形品の製造方法。
  8. 前記白金、モリブデン、パラジウム、ロジウム又はこれらの合金に対して通電を行なうことにより溶融ガラスを加熱することを特徴とする請求項7に記載のガラス成形品の製造方法。
  9. 前記溶融ガラスは、1000ポイズの粘度に相当する温度が1350℃以上となる特性を有していることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載のガラス成形品の製造方法
  10. 前記成形工程が、板ガラス成形工程であることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載のガラス成形品の製造方法。
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