JP4411653B2 - 水栓水装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水栓装置に係わり、特に押し釦を操作し、開閉弁の開閉により止水状態と吐水状態を切り替える水栓装置に関する。
従来から、押し釦を操作することにより、弁体の開閉を止水状態と吐水状態の2状態に切り替え制御するようにした水栓装置が知られている。
例えば、特開平10−169801号公報(例えば特許文献1参照のこと)には、支軸を中心に揺動するシーソー式のレバーを用いた押し釦と、押し釦の操作によって進退する操作軸(管制ロッド)と、ダイヤフラム式の開閉弁を設けた水栓装置が開示されている。この水栓装置は、押し釦を押圧操作することにより、操作軸(管制ロッド)が進退してダイヤフラム式の開閉弁を開位置及び閉位置に位置させて、止水状態と吐水状態を切り替えるようにしたものである。
特開平10−169801号公報
支軸を中心に揺動するシーソー式のレバーを押し釦として水栓本体上に配置した場合、押し釦と水栓本体との間に隙間が形成され、いたずらや誤操作によってこの隙間に指を入れて押し釦を引上げたり、隙間に物が引っ掛り無理に押し釦を引上げたりすると押し釦や操作軸等に過度の荷重がかかって、これらを破損してしまうといった問題が生じる。
そこで、本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、押し釦の押圧操作によって吐止水する水栓装置で、いたずらや誤操作等によって押し釦に押圧操作とは異なる引張力が付加されたときに、押し釦の破損を防止できる水栓装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成させるために、 開閉弁の開閉により止水状態と吐水状態を切り替える水栓装置であって、水栓本体と、前記水栓本体に取り付けられる前記開閉弁と、前記水栓本体に取り付けられ、押圧操作するごとに前記開閉弁を閉じて止水状態とすると共に前記開閉弁を開いて吐水状態とする押し釦と、前記押し釦の背面と前記水栓本体との間に前記押し釦の破損を防止する破損防止手段を設け、前記破損防止手段は、前記前記押し釦の背面に設けられた第一係合手段と、前記水栓本体に設けられた第二係合手段からなり、前記押し釦に押圧操作とは異なる引張力が付加されたとき、前記第一係合手段と前記第二係合手段が係合することを特徴とした。
このように構成された本発明によれば、例えば、子供に操作させたくないとき、誤操作を防止する必要があるなどのときは、押し釦を引張る方向に操作されても、押し釦と水栓本体に設けた破損防止手段により押し釦の引張り方向への動きが阻止されるため、押し釦が破損することはない。その結果、開閉弁が操作できなくなったり、破損した部品の鋭利な部分で使用者が怪我をしたりしてしまうことを確実に防止することができる。
本発明において好ましくは、 前記第一係合手段及び/又は前記第二係合手段に緩衝材を備えたことを特徴とした。
このように構成された本発明によれば、第一係合手段と、第二係合手段の折り曲げ部による係合という簡単な構造で、押し釦の破損を防止することができる。。
本発明において好ましくは、前記第一係合手段及び/又は前記第二係合手段が係合する係合面に、緩衝材を備えたことを特徴とした。
このように構成された本発明によれば、破損防止手段が係合するときに生じる当接音を抑制することができるとともに、破損防止手段の摩耗を防止することができる。
以上説明したように、いたずらや誤操作によって押し釦が誤って引張り方向に操作された場合等においても、押し釦の破損を確実に防止でき、押し釦の機能損失や、使用者に怪我を負わせることを確実に防止することができる。
以下に添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態による水栓装置である湯水混合水栓を示す全体斜視図である。図2は、本発明の開閉弁ユニットと押し釦ユニットをカラン吐水口本体に取り付けたときの断面図である。
図1、図2に示すように、符号100は、本実施形態による湯水混合水栓を示し、この湯水混合水栓100は、浴室の壁面に固定された浴室用パネル200から突出して取付けられている。この湯水混合水栓100は、主として、水栓本体
300と押し釦ユニット120とシャワーヘッド102で構成されている。
水栓本体300は、湯水を混合する湯水混合本体101と、カラン吐水口本体110と湯水混合本体101とカラン吐水口本体110を接続する連結管107で構成されている。
そして、カラン吐水口本体110の前端部には、開閉弁ユニット32、取付プレート111を介して押し釦ユニット120が取り付けられている。
湯水混合本体101は、図3〜図5に示すように使用者から見て左側に温度調整用ダイヤル103、右側にシャワーヘッド102からの吐止水を行なうシャワー開閉ハンドル104、下部にはカラン吐水口本体110に通じるカラン接続口105、後方上部にはシャワーヘッド102に通じるシャワー接続口106を備えている。
カラン吐水口本体110は、図5に示すように下部に吐水口112と止水栓113を備え、前端部には開閉弁ユニット32を受け入れられるように構成され、湯水混合本体101の温度調節弁152によって適温に調整された湯水混合水を開閉弁ユニット32に導き、吐水口112から吐水させるようにしたものである。
取付プレート111は、図6に示すように概ね半円形の金属板であり、4本のビス115でカラン吐水口本体110の前端部に取り付けられる。
また、取付プレート111は、上方の左右に押し釦ユニット120を取り付けるための固定用フランジ部114が2個所形成されており、この固定用フランジ部114に押し釦ユニット120を構成するベースプレート130が座金119を介してビス118で固定される。
さらに、取付プレート111には開閉弁ユニット32を受け入れるための開口穴(図示しない)と、いたずら等による押し釦121の破損を防止する係合部材116(破損防止手段)を受け入れるための開口穴(図示しない)を設け、その開口穴には係合部材116の座面116aが挿入され、ビス124を用いて取り付けられる。
次に、図7〜図9により押し釦ユニット120について説明する。図7は、押し釦ユニットの断面を示す断面図、図8は押し釦ユニットの背面を示す背面図でである。図9は、押し釦の背面を示す背面図である。押し釦ユニット120は、カラン吐水用の押し釦121と押し釦121が取り付けられるベースプレート130から構成されている。
押し釦121は正面から見ると概ね半円形で、側面から見ると概ねV字形状で、背面側が開放したカップ状の形状を有し、取付プレート111、ベースプレート130を背面側に受け入れる大きさに形成されている。
図9に示すように、押し釦121の背面側には、その上方の両側面から内方に向けて軸線である2つの回動軸122が形成されている。この2つの回動軸122がベースプレート130の釦取付部131に形成された穴132に受け入れられることによって、押し釦121がベースプレート130に回動自在に支持される。
さらに、押し釦121の背面側下部中央には、いたずら等による押し釦121の破損を防止するための係合部材123(破損防止手段)と、そのベースプレート130側の面及びその反対面の一部にはゴム等の弾性体で一体に形成された緩衝材125が係合部材123にビス124で押し釦121に取り付けられている。押し釦121が押圧操作されて押し込まれると、この緩衝材125がベースプレート130に当接して押し釦121の動きが規制されるとともに、当接時に発生する異音や摩耗を防止する。
また、押し釦121の背面の空間を利用して係合部材123を設けることで、係合部材123が露出することがない。そのため、使用者に触れられることなく、安全で意匠性のよい押し釦121が得られる。
なお、係合部材123は金属板で、その先端に曲げ部123aが形成されている。
また、押し釦121の背面上部中央には板ばね係合突起126が形成されている。この板ばね係合突起126が、ベースプレート130に取り付けられた板ばね133の先端部と係合することによって押し釦121は、押し釦121が押し込まれるほうに向かって付勢される。
さらに、押し釦121の背面側には操作用突起127が形成され、その先端には、不織布等の緩衝材128が貼り付けられている。押し釦121を押圧操作すると、この操作用突起127がカラン吐水口本体110から取付プレート111及びベースプレート130を通って突出している開閉弁ユニット32の操作部36を押して、開閉弁ユニット32を開閉操作することができるとともに、当接時に発生する異音や摩耗を防止する。本実施形態においては、押し釦121は樹脂製であり、表面には金属のメッキが施されている。
ベースプレート130は、図8に示すように概ね半円形状の部材であり、その板面には補強用のリブが形成されている。ベースプレート130の前面側の上方両端部には、押し釦121を回動可能に取り付けるための釦取付部131が形成されている。
ベースープレート130の下部には2つの係止片134、上部には2つの固定用突起135が形成され、取付プレート111に固定される。
さらに、ベースプレート130にはカラン吐水口本体110に受け入れられる開閉弁ユニット32の操作部36をベースプレート130の前面側に露出させるための穴137が形成されている。また、ベースプレート130の上辺中央には、長方形の切り欠きが形成されており、この切り欠きの底部から上方に向かって延びるようにステンレス製の板ばね133が取り付けられている。本実施形態におけるベースプレート130は樹脂製である。
次に、図10により、パイロット式開閉弁装置である開閉弁ユニット32の基本構造を説明する。
図10に示すように、開閉弁ユニット32は、使用者が押し釦121を押すとこの押圧操作により押される操作部36と、操作部36にその基端が結合された押し棒38と、この押し棒38の先端に設けられたパイロット弁40とを備えている。ここで、押し棒38の先端(下端)とパイロット弁40との間には緩衝手段であるコイルばね42が設けられている。開閉弁ユニット32は、更に,パイロット弁40の下方に、パイロット弁口(圧力開放穴)44を備えパイロット弁40がこのパイロット弁口44に当接及び解離するダイヤフラム式の主弁46と、この主弁46の背面に形成され押し棒38、パイロット弁40及びコイルばね42を収納する圧力室48を形成するためのハウジング50と、主弁46の表面が着座及び離座する弁座52とを備えている。また、ハウジング50の押し棒38が挿通される部分には、シール部材54が設けられている。さらに、主弁46の外周側には、小穴(一次圧流入口)56が形成されている。
次に、開閉弁ユニット32の基本動作を説明する。この開閉弁ユニット32においては、圧力室48内に設けられたパイロット弁40を、主弁46のパイロット弁口44に当接及び解離させることで、パイロット弁40を開閉し、止水と吐水を切り替えるようになっている。
先ず、吐水状態から止水状態に切り替えるときは、押し棒38によりパイロット弁40をパイロット弁口44に当接する方向に押さなければならない。このとき、押し棒38は、その断面積に相当する面積に作用する水圧により上向きの力を受け、さらに、シール部材54による摺動摩擦抵抗があり、これらに抗して操作部36を押す必要があるが、この力(操作力)は小さな値である。
次に、パイロット弁40が主弁46のパイロット弁口44に当接すると、一次側通水路の一次圧の水が小穴56を通って圧力室48内に流入し、これに伴い、主弁46が遅い速度で、弁座52に向って移動する。これにより、主弁46が弁座52に着座し、止水状態に切り替わる。
さらに、この開閉弁ユニット32では、緩衝手段であるコイルばね42を、押し棒38とパイロット弁40との間、即ち、圧力室48内に設けたので、このコイルばね42には、パイロット弁40がパイロット弁口44に当接するまで力は作用せず、パイロット弁40がパイロット弁口44に当接した以降も小さな力を作用させればよい。
また、止水状態から吐水状態に切り替えるときは、操作部36を押せば、後述するパイロット弁切替保持機構62及び付勢用ばね69により、パイロット弁40が主弁46のパイロット弁口(圧力開放穴)44から解離し、それにより、圧力室48が開放され、主弁46が弁座52から離座し、吐水状態となる(図12参照)。
なお、開閉弁ユニット32では、上述したように、主弁46の移動速度を意図的に小さくしているが、これは、主弁46の閉止時、ウォーターハンマーの発生を抑えるためである。即ち、主弁46に設けられた小穴56から圧力室48に一次側の水が流入することで圧力室48内が一次圧の水で満たされ、主弁46が弁座52の方向に移動するが、小穴56を通常非常に小さな径としているので、圧力室48への水の流入速度が抑えられ、これにより、主弁46の移動速度(閉止速度)を抑え、主弁閉止時のウォーターハンマーの発生を抑えるようにしている。
次に、図11及び図12により、開閉弁ユニット(パイロット式開閉弁装置)32の構造をより具体的に説明する。図11は開閉弁ユニット(パイロット式開閉弁装置)における止水状態(閉状態)を示す断面図であり、図12は開閉弁ユニット(パイロット式開閉弁装置)における吐水状態(開状態)を示す断面図である。
先ず、図11に示すように、開閉弁ユニット32は、図10により既に説明した、操作部36、押し棒38、パイロット弁40、緩衝手段であるコイルばね42、パイロット弁口(圧力開放穴)44を備えたダイヤフラム式の主弁46、圧力室48を形成するためのハウジング50(50a,50b)、弁座52、シール部材54、小穴56を備えている。
次に、上述した小穴(一次圧流入口)56には、クリーニング用のピン58が挿入されており、小穴56の一次圧流入口の通水面積を絞っている。これにより、上述したように、一次圧の圧力室への流入速度を抑制することで主弁46の閉止速度を緩やかにし、閉止時に発生するウォーターハンマーを低減できるようにしている。
圧力室48を形成するハウジング50は、主にパイロット弁40が配置された空間を取り囲む第1ハウジング50aと、主弁46の背面側の空間を取り囲む第2ハウジング50bから構成されている。
また、最外周側には、操作部36、第1ハウジング50a、第2ハウジング50b、弁座52の4つの部品を組み付けることにより、開閉弁ユニット32を組み立てるための組付ナット60が配置されている。
開閉弁ユニット32は、さらに、パイロット弁切替保持機構62を備えている。このパイロット弁切替保持機構62は、上述した押し釦121に連動しており、押し釦121を押す毎に、即ち、操作部36が押される毎に、パイロット弁40の吐水状態位置と止水状態位置の切り替えを繰り返すと共にパイロット弁40を吐水状態位置及び止水状態位置に保持する機能を有する。
このパイロット弁切替保持機構62は、一般にノック式ボールペンのノック機構などで使用される機構でもよいが、本実施形態では、図13に示すように、操作部36と連動して移動するピン64と、第1ハウジング50aの外周面に形成されピン64の下方側が弾性変形しながらこれに沿って移動する逆ハート形状のカム溝66と、止水状態(閉状態)でピン64を保持する保持用突起68から形成されたハートカム機構である。
ここで、図13により、パイロット弁切替保持機構(ハートカム機構)62の詳細構造及び動作を説明する。図13は、開閉弁ユニットに使用されるパイロット弁切替保持機構(ハートカム機構)を示す拡大図である。図13に示すように使用者が押し釦121の押圧操作をするごとに、ピン64の下端部64aは、a位置(止水状態)、b位置(押込み状態)、c位置(吐水状態)、d位置(押込み状態)の順序で移動する。即ち、a位置(止水状態)においては、ピン64の下端部64aが、保持用突起64により保持されており、止水状態が保持されている。次に、止水状態から吐水状態に吐水操作すると、ピン64の下端部64aは、カム溝66の形状に沿って移動し、b位置(押込み状態)まで下がり、その後、c位置(吐水状態)まで移動し、この位置で、吐水状態が保持される。次に、吐水状態から止水状態に止水操作すると、ピン64の下端部64aは、c位置(吐水状態)からカム溝66の形状に沿って移動し、d位置(押込み状態)まで下がり、その後、a位置(吐水状態)まで移動し、この位置で止水状態が保持される。
パイロット弁切替保持機構62がハートカム機構であるので、圧力室48をシールするシール部材54に、押し棒38の往復運動(上下運動)のみが作用し、上述したノック機構のように押し棒38の回転運動が作用しないため、シール部材54への負担が少なくなり、高い信頼性が得られる。
また、図11、図12に示すように符号69は、付勢用ばねであり、この付勢用ばね69により、止水状態から吐水状態に切替操作する際、即ち、押し釦121が押された際、パイロット弁切替保持機構62による止水状態位置における保持が解除され、操作部36が上方に付勢され、パイロット弁40が弁体42から解離し、容易に吐水状態に切り替えることができるようになっている。
次に、押し棒38とパイロット弁40の結合部について説明する。図11及び図12に示すように、押し棒38の先端(下端)であって圧力室48の内部には、上述したように、押し棒38のストローク方向の移動距離(変位量)を吸収する緩衝手段であるコイルばね42が設けられている。押し棒38の先端(下端)に大径部38aが形成され、さらに、パイロット弁40の先端には、パッキン40aが装着されている。パイロット弁40は、中空部40bを有し、この中空部40bにコイルばね42を内蔵している。パイロット弁40の上側には、押し棒38が摺動可能に挿入される挿入穴40cが形成されている。パイロット弁40は、弾性変形可能な樹脂材料で作られており、組立て時は、パイロット弁40を変形させながら、押し棒38を挿入穴40cに挿入し、中空部40b内に押し棒38の大径部38aを収納するようにしている。ここで、コイルばね42は押し棒38とパイロット弁40とを引き離す方向に作用している。
これにより、止水状態から吐水状態に切り替える吐水操作時には、コイルばね42の付勢力により押し棒38の先端の大径部38aとパイロット弁40の上側が係合し、それにより、パイロット弁40は、押し棒38の動きと連動し、主弁46に形成されたパイロット弁口44から離座する(図12参照)。
吐水状態から止水状態に切り替える止水操作時には、パイロット弁40が主弁46に形成されたパイロット弁口44に当接するとき、押し棒38の大径部38aは、パイロット弁40の上側から離れて下降するが、押し棒38のストローク方向の移動距離(変位量)はコイルばね42により吸収される(図11参照)。
これにより、止水操作時において、(1)パイロット弁40がパイロット弁口44に当接するまでと、(2)パイロット弁40がパイロット弁口44に当接した以降の両方において、操作力に差(ムラ)がなくなり、操作感が好ましいものとなる。
さらに、開閉弁ユニット32において、押し棒38には、上述したように、圧力室48内の水圧により受ける上向きの力(押し棒38の断面積に相当する面積に作用する水圧)が作用するので、操作部36における操作力を小さくするためには、押し棒38の径は、出来る限り小さいのが好ましい。例えば、押し棒38を、主弁46のパイロット弁口44よりも小径に形成するようにしても良い(図示せず)。これにより、高水圧時にも、操作力(押し力)を低くすることができるとともに確実な止水性を確保できる。
さらに、パイロット弁40は、止水時、つまりパイロット弁40がパイロット弁口44に着座しているとき、パイロット弁40は、一次圧を受け、その結果、パイロット弁40がパイロット弁口44へ着座する方向に力が働き、止水機能が確実となる。
さらに、押し棒38は、ステンレス鋼にて形成されている。このため、押し棒38を小径とした場合であっても、水中の使用に対して十分な耐食性が得られ、信頼性が向上する。
上述のような構成の湯水混合水栓100は、図14に示すように、水栓本体300の湯水混合本体101を浴室用パネル200に取り付けた取付金具201の上部に、カラン吐水口本体110を下部に取り付け、湯水混合本体101からカラン吐水口本体110やシャワーヘッド102に適温に温度調整された湯水混合水を供給できるように、それぞれカラン連結管107、シャワー連結管108で連通状態に接続される。なお、シャワーヘッド102は、水栓本体300から離れた所定の位置に保持される。
また、カラン吐水口本体110は、浴室用パネル200の突出部202内に配置され、突出部202の下面に設けられた穴203、204に吐水口112、止水栓113が露出するように取り付けられている。(図5参照)
カラン吐水口本体110の前端部には、4本のビス115で取付プレート111が固定され、取付プレート111の前面から開閉弁ユニット32を挿入し開閉弁ユニット取付用ナット117によりカラン吐水口本体110に固定されている。(図6参照)また、取付プレート111の前面に設けられた係合部材116を受け入れるための開口穴(図示しない)に係合部材116の座面116aを挿入し、ビス129でカラン吐水口本体110の前端面に固定される。
押し釦ユニット120は、ベースプレート130の2つの係止片134をカラン吐水口本体110の前面に固定した取付プレート111の下端に設けた係止面111aに係止し、次に、取付プレート111の上部に設けた2つの固定用フランジ部114、ベースプレート130の上部に設けた2つの固定用突起135を重ね合わせ、上方側から座金119を介して固定用ビス118により締付け固定される。(図6参照)
このように押し釦121の背面の空間内に係合部材116と係合部材123を配置することで、係合部材116、123が押し釦121から露出することがないので、使用者に触れられることなく、安全で意匠性のよい押し釦121となる。
浴室用パネル200に湯水混合水栓100を取り付けた後、カラン吐水口本体110、カラン連結管107、取付金具201はカバー(図示しない)で覆い隠され、シャワー連結管108は、浴室用パネル200の裏側に配設されて意匠性を損なわないようにしている。
本実施形態によれば、押し釦ユニット120は、カラン吐水口本体110の前面に取付けた取付プレート111に、カラン吐水口本体110及び浴室用パネル200の突出部202を被せるようにして取付けたので、水栓本体上に押し釦を配置する水栓装置に比べ、押し釦121を大きくすることが可能で設計自由度が広がる。また、ベースプレート130の釦取付部131を軸線として押し釦121が回動する構成にしているので、押し釦121のどの位置を押圧操作しても小さな操作力で操作ができ、使い勝手が良くなる。また、取り付け方法も非常に容易であり、施工性に優れている。
本発明の湯水混合水栓100において、使用者は、湯水混合本体101の温度調整用ダイヤル103により所望の水温を設定すると、湯水の混合比が調整されて、適温の湯水混合水が吐水される。そして、押し釦121を押圧操作すると、カラン吐水口本体110の吐水口112から吐水され、シャワー開閉ハンドル104を回動操作することでシャワーヘッド102から吐水される。
このときの水栓本体300内における湯水の流れを説明すると、図14に示すように、先ず、給水管、給湯管(図示しない)から湯水混合本体101内に流入した湯水は、湯用、水用それぞれに設けられた止水栓151により適切な流量に調整され、湯用、水用それぞれに設けられたフィルター及び逆止弁ユニット(図示しない)を通過し、温度調節弁152内に流入する。温度調節弁152はサーモスタット式の湯水混合弁であり、給水管、給湯管(図示しない)から供給された湯と水は、設定された温度に自動調整され、湯水混合水が温度調節弁152から流出する。
シャワーヘッド102から吐水を得たい場合、シャワー開閉ハンドル104を回動操作すると、湯水混合水は、湯水混合本体101内に設けられたシャワー開閉弁ユニット109、シャワー連結管108を経てシャワーヘッド102より吐水される。また、カラン吐水を得たい場合は、押し釦ユニット120の押し釦121を押すと、湯水混合本体101からカラン連結管107を経由してカラン吐水口本体110に流入し、カラン吐水口本体110に設けられた開閉弁ユニット32を経て、吐水口112より吐水される。
次に、図15〜図17を参照して本実施形態による湯水混合水栓100の作用を説明する。図15は開閉弁ユニットが止水状態にあるときの押し釦の位置を示し、図16は開閉弁ユニットの操作部を最大に押し込んだときの押し釦の位置を示し、図17は開閉弁ユニットが吐水状態にあるときの押し釦の位置を示す側面断面図である。
先ず、開閉弁ユニット32が図11に示すような止水状態にあるときは、開閉弁ユニット32のパイロット弁切替保持機構62は図13におけるaの状態にある。このとき、押し釦121は図15に示す位置にあり、操作用突起127が緩衝材128を介して開閉弁ユニット32の操作部36に常時当接した状態になっている。
このように、押し釦121を押圧操作するまでの間、常に押し釦121の操作用突起127が開閉弁ユニット32の操作部36に当接しているので、押し釦121の押圧操作の繰返しにより、操作用突起127、操作部36の各々に押圧力による摩耗が発生するが、緩衝材128を設けることにより、双方の摩耗を防ぐことができ、押し釦121や開閉弁ユニット32の動作不良を確実に防止することができる。また、使用者が押し釦121の引張り方向の操作などを行った場合、操作用突起127と開閉弁ユニット32の操作部36が一時的に離なれ、その後、使用者が引張り方向の操作を止めた場合、操作用突起127と開閉弁ユニット32の操作部36が再度当接し、異音が発生するが、緩衝材128を設けることにより、異音の発生を防止することができ、使用者に不快感を与えることがない。
さらに、ベースプレート130に取り付けられた板ばね133は、押し釦121の板ばね係合突起126に当接して僅かに湾曲されている。この板ばね133の復元力によって押し釦121は後方に向かって、即ち押し釦121を押し込む方向に付勢されている。
次に、使用者が押し釦121を押すと押し釦121は図16に示す位置に移動する。このとき、押し釦121の係合部材123に取り付けた緩衝材125がベースプレート130と当接して押し釦121の動きを規制するとともに、緩衝材によって当接時に発生する異音及び摩耗を防止している。
緩衝材125を設けることによって、押し釦121の底部端面121aが浴室用パネル200の突出部202の下面との干渉を防止することができ、押し釦ユニット120の作動不良や浴室用パネル200の損傷を防ぐことができる。また、緩衝材125によって、異音の発生を防止でき、使用者に不快感を与えることがない。また、押し釦121とベースプレート130当接部の摩耗を確実に防止でき、押し釦121や開閉弁ユニット32の動作不良を確実に防止することができる。
なお、緩衝材125の先端にリブなどの突起125aを複数設けると、ベースプレート130との接触面積が小さくなるため、更に異音発生を防止する効果が上がる。
また、このとき、操作用突起127が操作部36を押し込んでパイロット弁切替保持機構62を図12におけるbの状態にする。一方、板ばね133の湾曲量は減じるので板ばね133が押し釦121に作用させる付勢力は減少する。
次に、使用者が押し釦121を離すと、開閉弁ユニット32の付勢用ばね69の付勢力により開閉弁ユニット32の操作部36が図12に示す位置に押し戻され吐水状態になる。このとき、パイロット弁切替保持機構62は、図13におけるcの状態となる。操作部36が図12に示す位置に押し戻されると、押し釦121は、操作部36によって前方に押され、図17の位置に移動される。
一方、板ばね133は押し釦121を押し込む方向に付勢しているが、板ばね133による付勢力に打ち勝って押し釦121を図17の位置に移動させる。押し釦121が付勢用ばね69の付勢力によって前方に押されると、押し釦121に作用する慣性力により押し釦121は、図17の位置を通り越して前方に移動しようとする。しかしながら、押し釦121には、板ばね133による押し釦121を後方に押す付勢力が作用しているので、押し釦121の前方への行き過ぎが防止される。
さらに、押し釦121とベースプレート130の間には、抵抗部材136が取り付けられており(図8参照)、この抵抗部材136によって押し釦121の動きに抵抗する摩擦力が及ぼされる。このため、押し釦121の慣性と付勢用ばね69及び板ばね133による付勢力によって生起される振動を素早く減衰させることができる。これにより、押し釦121は振動することなく図17に示す位置を殆ど通り過ぎることなく、図16の位置から図17の位置へ速やかに移動する。
吐水状態が保持されているとき、取付プレート111の係合部材116と押し釦121の係合部材123に取り付けた緩衝材125との間には隙間が形成されている。このように構成することで、開閉弁ユニット32、押し釦ユニット120あるいは、その周辺部品に経時的な変化が生じても、押し釦121の摺動に影響を与えることはなく、恒久的に開閉弁ユニット32の操作を確実に行うことができる。
使用者が、再び押し釦121を押すと、押し釦121の操作用突起127が緩衝材128を介して開閉弁ユニット32の操作部36に当接して開閉弁ユニット32は図11に示すような止水状態となり、パイロット弁切替保持機構62は、図12におけるaの状態に復帰し、押し釦121も図15に示す状態に復帰する。このように操作用突起127に緩衝材128を用いているので、当接時に発生する異音及び摩耗を防止することができる。
ここで、本実施形態による破損防止手段の作用について図を用いて説明する。図18は、押し釦に引張力が付加されたときの破損防止手段の状態を示した断面図である。
開閉弁ユニット32が止水状態のとき、取付プレート111の係合部材116と押し釦121の係合部材123に取り付けた緩衝材125との間には充分な隙間が形成されている。(図15参照)また、開閉弁ユニット32が吐水状態のとき、即ち操作部36が最も突出した場合でも、係合部材116、123が係合することなく、ある程度の隙間が形成されるように係合部材116、123は取り付けられている。(図17参照)これにより、開閉弁ユニット32、押し釦121、及び周辺部品の寸法のばらつきや、経時的寸法の変化が生じても押し釦121の摺動を阻害しないので、開閉弁ユニット32の操作を確実に行うことができる。
図18に示すように、例えば、子供のいたずらや誤操作等によりで押し釦121を手前方向に引張り操作した場合、係合部材116の折返し部116aと係合部材123に取り付けた緩衝材125が係合し、押し釦121を更に引張り方向に操作しようとしても、押し釦121の動きを阻止することができる。また、緩衝材125を用いているので、係合部材116と当接したときの当接音を抑制したり、係合部材116と係合部材123の摩耗を防止することができる。
これによって、押し釦121が破損して開閉弁ユニット32が操作できなくなったり、破損した部品の鋭利な部分で使用者に怪我を負わせることを確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、破損防止手段である係合部材123にゴム等の弾性体である緩衝材125を取り付けたが、緩衝材125を取り付けなくても押し釦の破損を防止することは可能である。
本発明の実施形態による湯水混合水栓を示す全体斜視図である。 カラン吐水口本体に押し釦ユニット、開閉弁ユニットを取り付けた状態での断面図である。 本発明の実施形態による水栓本体に押し釦ユニットを取り付けた正面図である。 本発明の実施形態による水栓本体に押し釦ユニットを取り付けた側面図である。 図3におけるB−B線に沿って見た断面図である。 図4のD−D線に沿って見た断面図である。 押し釦ユニットの断面図である。 押し釦ユニットの背面を示す背面図である。 押し釦の背面を示す背面図である。 開閉弁ユニットの基本構造を示す概略図である。 開閉弁ユニットにおける止水状態(閉状態)を示す断面図である。 開閉弁ユニットにおける止水状態(閉状態)を示す断面図である。 開閉弁ユニットに使用されるパイロット弁切替保持機構(ハートカム機構)を示す図である。 図4のA−A線に沿って見た断面図である。 開閉弁ユニットが止水状態のときの押し釦の位置を示す断面図である。 開閉弁ユニットの操作部が最も押し込まれたときの押し釦の位置を示す断面図である。 開閉弁ユニットが吐水状態にあるときの押し釦の位置を示す断面図である。 押し釦に引張り力が付加されたときの破損防止手段の状態を示す断面図である。
符号の説明
32…開閉弁ユニット
36…操作部
38…押し棒
40…パイロット弁
42…コイルばね
44…パイロット弁口(圧力開放穴)
46…主弁
48…圧力室
50…ハウジング
52…弁座
54…シール部材
56…小穴
62…パイロット弁切替保持機構
64…ピン
68…保持用突起
69…付勢用ばね
100…湯水混合水栓
101…湯水混合本体
102…シャワーヘッド
103…温度調整用ダイヤル
104…シャワー開閉ハンドル
105…カラン接続口
106…シャワー接続口
107…カラン連結管
108…シャワー連結管
109…シャワー開閉弁ユニット
110…カラン吐水口本体
111…取付プレート
112…吐水口
113、151…止水栓
114…固定用フランジ
115、118、124、129…ビス
116、123…係合部材(破損防止手段)
117…開閉弁ユニット取付ナット
119…座金
120…押し釦ユニット
121…押し釦
122…回動軸
125、128…緩衝材
126…板ばね係合突起
127…操作用突起
130…ベースプレート
131…釦取付部
133…板ばね
134…係止片
135…固定用突起
136…抵抗部材
132、137、203、204…穴
152…温度調節弁
200…浴室用パネル
201…取付金具
202…突出部
300…水栓本体

Claims (3)

  1. 開閉弁の開閉により止水状態と吐水状態を切り替える水栓装置であって、水栓本体と、前記水栓本体に取り付けられる前記開閉弁と、前記水栓本体に取り付けられ、押圧操作するごとに前記開閉弁を閉じて止水状態とすると共に前記開閉弁を開いて吐水状態とする押し釦と、前記押し釦の背面と前記水栓本体との間に前記押し釦の破損を防止する破損防止手段を設け、前記破損防止手段は、前記前記押し釦の背面に設けられた第一係合手段と、前記水栓本体に設けられた第二係合手段からなり、前記押し釦に押圧操作とは異なる引張力が付加されたとき、前記第一係合手段と前記第二係合手段が係合することを特徴とする水栓装置。
  2. 前記第一係合手段と前記第二係合手段とは、係合する折り曲げ部を各々に備えたことを特徴とする請求項1記載の水栓装置。
  3. 前記第一係合手段及び/又は前記第二係合手段に緩衝材を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の水栓装置。
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