JP4409885B2 - Ddr型ゼオライト粉末の製造方法 - Google Patents

Ddr型ゼオライト粉末の製造方法 Download PDF

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本発明は、簡便に、かつ、短時間でDDR型ゼオライト粉末を形成させ得るDDR型ゼオライト粉末の製造方法に関する。
ゼオライトには、LTA、MFI、MOR、FER、FAU、DDRといった結晶構造が異なる数多くの種類(型)が存在する。DDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトは、主たる成分がシリカであって、細孔径4.4×3.6オングストロームの酸素8員環からなる細孔を含む多面体によって形成されていることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
DDR型ゼオライトは、その細孔径が小さいことから、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、エタン(C)のような比較的小さい分子を選択的に吸着することが可能であるため、これらの分子を選択的に分離し得るガス分離膜や吸着剤等としての用途が期待されている。しかしながら、DDR型ゼオライトの製造方法に関する報告は極めて少ない状況にある。
DDR型ゼオライトの製造方法としては、DDR型ゼオライトの合成における構造規定剤として1−アダマンタンアミンを用い、テトラメトキシシラン、エチレンジアミン、及び水を原料として、水熱合成により、アルミニウムを含まないオールシリカ型のDDR型ゼオライト粉末を製造するDDR型ゼオライトの製造方法が開示されている(例えば、非特許文献2、非特許文献3参照)。
また、構造規定剤として1−アダマンタンアミンを用い、アルミニウム、アルカリ金属、及びシリカゾルを原料として、水熱合成により、シリカゾル中のシリカ(SiO)成分/酸化アルミニウム(Al)モル比=20〜1000のDDR型ゼオライトであるSigma−1を製造するDDR型ゼオライトの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1の実施例参照)。この特許文献1の実施例に記載の方法では、原料ゾル中のシリカ/酸化アルミニウムモル比=40〜60である。そのため、得られるDDR型ゼオライトは、骨格構造にアルミニウムが導入されており、イオン交換能を有する。従って、その細孔にカチオンを導入することが可能であるため、非特許文献2又は非特許文献3に記載の方法で得られるオールシリカ型のDDR型ゼオライトとは異なる吸着性能や触媒性能を有するものである。
更に、構造規定剤としてメチルトロピニウムを用い、アルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びシリカゾルを原料として、水熱合成により、シリカゾル中のシリカ(SiO)成分/酸化アルミニウム(Al)=50〜1000のDDR型ゼオライトであるZSM−58を製造するDDR型ゼオライトの製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
英国特許GB-2193202-A 米国特許No.4,698,217 W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Atlas of zeolite structure types, Elsevier(1996) H. Gies, Z. Kristalloogr., 175(1986)93 M. J. den Exter, J. C. Jansen, H. van Bekkum, Studies in Surface Science and Catalysis vol.84, Ed. by J. Weitkamp et al., Elsevier (1994)1159-1166
しかしながら、非特許文献2に記載の方法においては、オートクレーブ中、170℃で加熱処理する水熱合成を、28〜84日間もの長期間に渡って実施しなければならないという問題があった。また、非特許文献3に記載の方法は、オートクレーブ中、160℃で加熱処理する水熱合成を、25日間もの長期間に渡って実施しなければならないという問題があることに加え、原料溶液を常時攪拌する必要があるという点において、簡便な製造方法ともいえなかった。
また、特許文献1の実施例に記載の方法も、水に難溶性の1−アダマンタンアミンを構造規定剤として用いているため、原料溶液を均一に保持することが難しく、原料溶液を常時攪拌する必要があるという問題があった。更に、構造規定剤として1−アダマンタンアミンを用いた場合での実施例に記載の方法では、水熱合成を6日間以上の長期間に渡って実施しなければならないという点においても、簡便な製造方法とはいえなかった。
特許文献2に記載の方法は、水熱合成に要する時間が24時間という短時間であり、水熱合成の際の原料溶液の攪拌も必要としないという点において、非特許文献2、非特許文献3、又は特許文献1の実施例に記載の方法より優れているものの、製造するDDR型ゼオライトと同一組成の種結晶が必要であるとともに、構造規定剤として用いているメチルトロピニウムが1−アダマンタンアミンと比較して入手が非常に困難であり、やはり簡便な製造方法とはいえなかった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡便に、かつ、短時間でDDR型ゼオライト粉末を形成させ得るDDR型ゼオライト粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、DDR型ゼオライト粉末の製造方法について種々検討した結果、エチレンジアミンに溶解させた1−アダマンタンアミンと、シリカゾルとを含む、所定の組成を有する原料溶液を、所定の条件で加熱処理することによって、上記の目的を達成できることを見出した。即ち、本発明によれば、以下の製造方法が提供される。
[1] 少なくとも構造規定剤と原料シリカとを含む原料溶液を加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法であって、エチレンジアミンに溶解させた前記構造規定剤としての1−アダマンタンアミンと、前記原料シリカとしてのシリカゾルとを含み、且つ、種結晶としてのDDR型ゼオライト粉末を含まない、下記組成A(モル比)を有する前記原料溶液を、2日間以上、190〜220℃の温度で、攪拌することなく加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法。
組成A(モル比):1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=0.25〜0.75、水/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=20〜100、エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン=4〜35
[2] 少なくとも構造規定剤と原料シリカとを含む原料溶液を加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法であって、エチレンジアミンに溶解させた前記構造規定剤としての1−アダマンタンアミンと、前記原料シリカとしてのシリカゾルとを含み、且つ、種結晶としてのDDR型ゼオライト粉末を含まない、下記組成B(モル比)を有する前記原料溶液を、2日間以上、190〜220℃の温度で、攪拌することなく加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法。
組成B(モル比):1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=0.25〜0.75、水/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=20〜100、エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン=4〜35、シリカゾル中のシリカ(SiO)成分/酸化アルミニウム(Al)=100〜1000、アルカリ金属の酸化物(XO)(又はアルカリ土類金属の酸化物(YO))/酸化アルミニウム(Al)=1〜25(但し、Xはアルカリ金属、Yはアルカリ土類金属
本発明のDDR型ゼオライト粉末の製造方法は、エチレンジアミンに溶解させた1−アダマンタンアミンと、原料シリカとしてのシリカゾルとを含む、所定の組成を有する原料溶液を、所定の条件で加熱処理することとしたので、簡便に、かつ、短時間でDDR型ゼオライト粉末を形成させることが可能となる。
本発明のDDR型ゼオライト粉末の製造方法は、エチレンジアミンに溶解させた構造規定剤としての1−アダマンタンアミンと、原料シリカとしてのシリカゾルとを含み、且つ、種結晶としてのDDR型ゼオライト粉末を含まない、所定の組成を有する原料溶液を、2日間以上、190〜220℃の温度で、攪拌することなく加熱処理するものであり、以下のような特徴を有している。
まず、本発明の製造方法は、原料溶液に含ませる構造規定剤として、入手容易な1−アダマンタンアミンを用いたので、簡便な製造方法であるという特徴がある。これに対し、特許文献2に記載の方法は、1−アダマンタンアミンと比較して入手が困難なメチルトロピニウムを構造規定剤として用いているので、簡便な製造方法とはいえない。また、本発明の製造方法は、特許文献2に記載の方法のように種結晶を必要とするものではなく、簡便な製造方法であるといえる。
また、本発明の製造方法は、原料溶液に含ませる1−アダマンタンアミンをエチレンジアミンに溶解させることとしたので、原料溶液を常時攪拌する必要がなく、簡便な製造方法であるという特徴がある。本発明の製造方法は、水を溶媒とした水熱合成を基礎とするが、水に対して難溶性の1−アダマンタンアミンを構造規定剤として用いた場合でも、原料溶液が均一な状態に保持される。従って、原料溶液を常時攪拌する必要がなく、簡便な製造方法であるといえる。
これに対し、特許文献1の実施例に記載の方法は、エチレンジアミンを原料溶液に加えていないために、1−アダマンタンアミンが溶解し難い。そのため、原料溶液を均一な状態に保持することが困難である。即ち、原料溶液を常時攪拌する必要があり、簡便な製造方法とはいえない。
なお、非特許文献3に記載の方法においては、原料溶液を常時攪拌しないと、得られる結晶がDDRとDOH(Dodecacil 1H)との混晶となってしまうことが報告されている。本発明の製造方法によれば、原料溶液を常時攪拌しなくとも、DOHは形成されず、DDRの単相結晶を形成させることができる。
更に、本発明の製造方法は、原料溶液の組成、加熱処理の温度及び時間を所定の範囲に設定することで、シリカゾルの反応性を向上させることができるために、非特許文献2、非特許文献3、又は特許文献1の実施例に記載の製造方法と比較して、その製造時間を半分以下に短縮することができる。
以下、本発明のDDR型ゼオライト粉末の製造方法の実施の形態を具体的に説明する。
(1) 原料溶液の調製
まず、本発明の製造方法においては、エチレンジアミンに溶解させた構造規定剤としての1−アダマンタンアミンと、原料シリカとしてのシリカゾルとを含む、所定の組成を有する原料溶液を調製する。
1−アダマンタンアミンは、DDR型ゼオライト粉末の合成における構造規定剤、即ち、DDR型ゼオライト粉末の結晶構造を形成させるための鋳型となる物質であり、シリカゾルは、DDR型ゼオライト粉末を構成する実際の原料となる物質である。このため、1−アダマンタンアミンとシリカゾル中のシリカ(SiO)成分とのモル比が重要である。具体的には、1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比は0.25〜0.75の範囲内であることが必要であり、0.3〜0.6の範囲内であることが好ましく、0.3〜0.5の範囲内であることが更に好ましい。1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比が、0.25未満であると、構造規定剤の1−アダマンタンアミンが不足して短時間でDDR型ゼオライト粉末を形成させることができない、或いは、DDR型ゼオライト粉末の収率が非常に低いため好ましくない。ここで、収率とは、原料溶液中のシリカ成分の重量に対する生成したDDR型ゼオライト粉末の重量の比率である。一方、0.75を超えると高価な1−アダマンタンアミンを必要以上に添加することになり、製造コストが増加するため好ましくない。
1−アダマンタンアミンは、水熱合成の溶媒である水に対して難溶性であるため、エチレンジアミンに溶解させた後、原料溶液の調製に供する。1−アダマンタンアミンをエチレンジアミンに完全に溶解させ、均一な状態の原料溶液を調製することにより、均一な結晶サイズを有するDDR型ゼオライト粉末を形成させることが可能となる。エチレンジアミン/1−アダマンタンアミンモル比は4〜35の範囲内であることが必要であり、4〜16の範囲内であることが好ましく、8〜16の範囲内であることが更に好ましい。エチレンジアミン/1−アダマンタンアミンモル比が4未満であると、1−アダマンタンアミンを完全に溶解させるための量としては不充分である一方、35を超えると、エチレンジアミンを必要以上に使用することになり、製造コストが増加するため好ましくない。
原料シリカとして用いられるシリカゾルは、微粉末状シリカを水に溶解することにより調製して用いることができる。また、市販のコロイド状シリカゾルを用いてもよい。
溶媒である水と、原料シリカであるシリカゾル中のシリカ(SiO)成分とのモル比(水/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比)は20〜100の範囲内であることが必要であり、30〜80の範囲内であることが好ましく、45〜65の範囲内であることが更に好ましい。水/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比が20未満であると、原料溶液中のシリカ(SiO)濃度が高すぎるために、結晶化しない未反応のシリカ(SiO)が多量に残存する一方、100を超えると、原料溶液のシリカ(SiO)濃度が低すぎるために短時間でDDR型ゼオライト粉末を形成させることができなくなるため好ましくない。
本発明の製造方法によれば、オールシリカ型のDDR型ゼオライト粉末の他、その骨格にアルミニウムを含むDDR型ゼオライト(以下、「ローシリカ型のDDR型ゼオライト」と記す)粉末を製造することもできる。このローシリカ型のDDR型ゼオライト粉末は、細孔にカチオンを有するために、吸着性能や触媒性能がオールシリカ型のDDR型ゼオライト粉末とは異なる。ローシリカ型のDDR型ゼオライト粉末を製造する場合には、溶媒である水と原料シリカであるシリカゾルとの他、アルミニウム源、カチオン源を添加して原料溶液を調製する。
アルミニウム源としては、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、金属アルミニウム等を用いることができる。アルミニウムを酸化物として換算した場合におけるシリカゾル中のシリカ(SiO)成分/酸化アルミニウム(Al)モル比は100〜1000の範囲内であることが必要であり、200〜500の範囲内であることが好ましい。シリカゾル中のシリカ(SiO)成分/酸化アルミニウム(Al)モル比が100未満であると、DDR型ゼオライト粉末が生成しにくくなるため好ましくない。一方、1000を超えると、DDR型ゼオライト粉末は製造することができるものの、アルミニウム及びカチオン量が著しく少なくなることに起因して、ローシリカ型のDDR型ゼオライト粉末としての特性を発揮することができず、オールシリカ型のゼオライト粉末と何ら違いがなくなってしまうため好ましくない。
カチオンとしては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、即ち、K、Na、Li、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Baのいずれかのカチオンが挙げられる。また、ローシリカ型のDDR型ゼオライト粉末を合成後に、イオン交換処理により、アンモニウムカチオン(NH )や水素カチオン(H)等へ交換することもできる。カチオン源としては、Naの例で説明すると、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を挙げることができる。アルカリ金属を酸化物として換算した場合におけるアルカリ金属の酸化物(XO)/酸化アルミニウム(Al)モル比、又はアルカリ土類金属を酸化物として換算した場合におけるアルカリ土類金属の酸化物(YO)/酸化アルミニウム(Al)モル比は1〜25の範囲内であることが必要であり、2〜20の範囲内であることが好ましく、2〜10の範囲内であることが更に好ましい。アルカリ金属の酸化物(XO)/酸化アルミニウム(Al)モル比、又はアルカリ土類金属の酸化物(YO)/酸化アルミニウム(Al)モル比が1未満であると、目的とするシリカゾル中のシリカ(SiO)成分/酸化アルミニウム(Al)モル比のDDR型ゼオライト粉末が得難くなる一方、25を超えると、生成物に非晶質シリカが混入してしまうため好ましくない。
以上に原料溶液の調製について説明したが、特に好ましい態様としては、1−アダマンタンアミンをエチレンジアミンに溶解した溶液、溶媒である水、原料シリカであるシリカゾル(ローシリカ型のDDR型ゼオライト粉末を合成する場合にあっては、更に、アルミニウム源である硫酸アルミニウム、及びカチオン源である水酸化ナトリウム)を所定の比率で混合し、溶解することにより、原料溶液を調製する方法が挙げられる。
(2) 加熱処理
上記のように調製した原料溶液を、190〜220℃で、加熱処理(水熱合成)することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させる。
加熱処理の温度は、190〜220℃の範囲内とする必要があり、195〜210℃の範囲内とすることが好ましい。なお、加熱処理の温度が190℃未満であると、DDR型ゼオライトを短時間で形成させることができない一方、220℃を超えると、相転移により、目的物ではないDOH型ゼオライトが形成されてしまうため好ましくない。
本発明の製造方法における加熱処理の時間は、2日間以上であり、極めて短時間でDDR型ゼオライト粉末が合成できる。本発明の製造方法においては、1−アダマンタンアミンとシリカゾル、水とシリカゾル、及びエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンのモル比が上述したように調製された原料溶液を用いることから、DDR型ゼオライト粉末の生成が促進される。なお、加熱処理の時間が、2日間未満の場合は、DDR型ゼオライト粉末が生成しない、又はDDR型ゼオライト粉末が生成しても収率が50%に満たない、又はDDR型ゼオライト粉末と共に非晶質シリカが生成する等の理由から好ましくない。一方、加熱処理時間の上限は特に限定されないが、製造コストが増加するため、より短時間が好ましい。
本発明の製造方法においては、2日間以上の加熱処理時間において得られるDDR型ゼオライト粉末の収率が50%以上であるため、DDR型ゼオライト粉末の工業的な製造方法として優れている。特に、3日間以上の加熱処理時間において得られるDDR型ゼオライト粉末の収率は80%以上であるため、DDR型ゼオライト粉末の工業的な製造方法として非常に優れている。
本発明の製造方法においては、加熱処理に際し、原料溶液を常時攪拌する必要はない。原料溶液に含ませる1−アダマンタンアミンをエチレンジアミンに溶解させるため、原料溶液が均一な状態に保持されていることによる。なお、従来の方法では、原料溶液を常時攪拌しないと、DDRとDOHとの混晶が形成されてしまう場合があるが、本発明の製造方法によれば、原料溶液を常時攪拌をしなくとも、DOHは形成されず、DDRの単相結晶を形成させることができる。
本発明の製造方法では、粉末状のDDR型ゼオライトが得られる。
(実施例1)
フッ素樹脂製の100ml広口瓶において、7.27gのエチレンジアミン(和光純薬工業製)と、2.13gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ製)とを混合し、1−アダマンタンアミンを完溶させ、1−アダマンタンアミンのエチレンジアミン溶液を調製した。別途、ビーカーにおいて、26.03gの水、6.0gのシリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製、固形分濃度30質量%)を軽く攪拌して混合し、この混合液を前記広口瓶中の1−アダマンタンアミンのエチレンジアミン溶液に添加して強く振り混ぜ、原料溶液を調製した。このとき、1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比は0.47、水/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比は56、エチレンジアミン/1−アダマンタンアミンモル比は8.6であった。
この原料溶液の入った広口瓶を振盪機にセットし、500rpmで更に1時間振り混ぜた。次いで、原料溶液を内容積100mlのフッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器に移し、200℃で3日間、加熱処理(水熱合成)を行った。
加熱処理後、フッ素樹脂製内筒内に粉末状固体が形成されていた。この粉末状固体をフッ素樹脂製内筒から取出し、水洗し、乾燥した後、大気中、電気炉で0.5℃/minの速度で700℃まで昇温して4時間保持後、1℃/minの速度で室温まで冷却した。
次に、得られた粉末状固体を粉砕し、その結晶相をX線回折で調べることにより結晶相の評価を行った。その結果、DDR型ゼオライトの回折ピークのみが明瞭に検出され、2θ=20〜30゜(CuKα)の領域にかけてハローは認められなかった。即ち、DDR型ゼオライトの完全結晶が得られた。また、粉末状固体を電子顕微鏡で観察したところ、DDR型ゼオライト結晶の単結晶及び集合体であることを確認できた。DDR型ゼオライト粉末の収率は、原料シリカゾル中のシリカに対して、98%であった。
なお、X線回折における「DDR型ゼオライトの回折ピーク」とは、International Center for Diffraction Data(ICDD)、「Powder Diffraction File」に示されるDeca-dodecasil 3Rに対応するNo.38-651、又は41-571に記載される回折ピークである。また、ゼオライトの結晶相は、X線回折において、2θ=20〜30゜(CuKα)の領域にかけて、非晶質シリカを示すブロードなハローのみで明確なピークを確認できない場合を非晶質、僅かでもDDR型ゼオライトのピークが認められた場合を結晶化途上、また、DDR型ゼオライトを示すピークが明瞭に認められ、ハローがない場合を完全結晶とした。
(実施例2)
加熱処理時間を6日間とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。その結果、DDR型ゼオライトの粉末状結晶が96%の収率で得られた。
(実施例3)
加熱処理時間を11日間とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。その結果、DDR型ゼオライトの粉末状結晶が96%の収率で得られた。
(実施例4)
エチレンジアミンと混合した1−アダマンタンアミンを1.36gとし、1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比を0.3とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。その結果、DDR型ゼオライトの粉末状結晶が86%の収率で得られた。
(実施例5)
加熱処理時間を2日間とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。その結果、DDR型ゼオライトの粉末状結晶が57%の収率で得られた。
(比較例1)
原料溶液の1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比を0.1とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。しかし、加熱処理後に得られた粉末状固体は、X線回折において非晶質シリカであることが認められた。即ち、DDR型ゼオライト粉末は形成されなかった。これは、3日間という加熱処理時間において、原料溶液の1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比が低かったためと考えられる。
(比較例2)
合成温度を230℃とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。しかし、加熱処理後に得られた粉末状固体は、X線回折においてDOH型ゼオライト及び非晶質シリカであることが認められた。即ち、DDR型ゼオライト粉末は形成されなかった。これは、合成温度が高かったためと考えられる。
(比較例3)
合成温度を180℃とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。しかし、加熱処理後に得られた粉末状固体は、X線回折において非晶質シリカであることが認められた。即ち、DDR型ゼオライト粉末は形成されなかった。これは、3日という加熱処理時間において、合成温度が低かったためと考えられる。
(比較例4)
加熱処理時間を1日とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。しかし、加熱処理後に得られた粉末状固体は、X線回折において非晶質シリカであることが認められた。即ち、DDR型ゼオライト粉末は形成されなかった。これは、加熱処理時間が1日と短かったためと考えられる。
(比較例5)
原料溶液の1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比を0.1、加熱処理時間を6日間とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、DDR型ゼオライト粉末の形成を試みた。しかし、加熱処理後に得られた粉末状固体は、X線回折において非晶質シリカとDDR型ゼオライトの混合物であることが認められた。DDR型ゼオライトの粉末状結晶は17%の収率で得られた。即ち、DDR型ゼオライト粉末は形成されたが、非常に低い収率であると共に、非晶質シリカが混在していた。これは、6日間という加熱処理時間において、原料溶液の1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分モル比が低かったためと考えられる。
本発明のDDR型ゼオライト粉末の製造方法は、エチレンジアミンに溶解させた1−アダマンタンアミンと、原料シリカとしてのシリカゾルとを含む、所定の組成を有する原料溶液を、所定の条件で加熱処理することとしたので、簡便に、かつ、短時間でDDR型ゼオライト粉末を形成させることが可能となる。

Claims (2)

  1. 少なくとも構造規定剤と原料シリカとを含む原料溶液を加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法であって、
    エチレンジアミンに溶解させた前記構造規定剤としての1−アダマンタンアミンと、前記原料シリカとしてのシリカゾルとを含み、且つ、種結晶としてのDDR型ゼオライト粉末を含まない、下記組成A(モル比)を有する前記原料溶液を、2日間以上、190〜220℃の温度で、攪拌することなく加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法。
    組成A(モル比):1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=0.25〜0.75、水/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=20〜100、エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン=4〜35
  2. 少なくとも構造規定剤と原料シリカとを含む原料溶液を加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法であって、
    エチレンジアミンに溶解させた前記構造規定剤としての1−アダマンタンアミンと、前記原料シリカとしてのシリカゾルとを含み、且つ、種結晶としてのDDR型ゼオライト粉末を含まない、下記組成B(モル比)を有する前記原料溶液を、2日間以上、190〜220℃の温度で、攪拌することなく加熱処理することによって、DDR型ゼオライト粉末を形成させるDDR型ゼオライト粉末の製造方法。
    組成B(モル比):1−アダマンタンアミン/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=0.25〜0.75、水/シリカゾル中のシリカ(SiO)成分=20〜100、エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン=4〜35、シリカゾル中のシリカ(SiO)成分/酸化アルミニウム(Al)=100〜1000、アルカリ金属の酸化物(XO)(又はアルカリ土類金属の酸化物(YO))/酸化アルミニウム(Al)=1〜25(但し、Xはアルカリ金属、Yはアルカリ土類金属)
JP2003303824A 2003-08-28 2003-08-28 Ddr型ゼオライト粉末の製造方法 Expired - Lifetime JP4409885B2 (ja)

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