JP4409311B2 - 燃料噴射量制御装置 - Google Patents
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Description
近年では、自動二輪車においてもキャブレターに代えて燃料噴射装置を採用したものが提案されるようになっている。
特に、エンジン回転数が低回転域にある場合、スロットル開度が頻繁に開閉されるときには、噴射間隔があくため、この傾向が大きくなる。
この発明では、例えば、第1回目の燃料噴射時間を決定して燃料噴射を開始した後に、スロットル開度が急に開かれた等により、より多くの燃料噴射が必要になった場合、その不足分を即座に供給することができるので、スロットル開度の急開時におけるレスポンスを向上させることができる。また、例えば、第1回目の燃料噴射時間を決定して燃料噴射を開始した後に、スロットル開度が急に閉じられた等により、必要とされる燃料噴射量が少なくなった場合、燃料噴射時間を、より短くする補正を行うことにより、適正量の燃料を供給することができる。
図1及び図2は、荒地走行(オフロード)用の自動二輪車(トライアル車両)を示す。この自動二輪車は、車体フレーム1を備え、この車体フレーム1は前端部に配置されたヘッドパイプ2と、このヘッドパイプ2から車体後方に指向し、車体の幅方向に間隔をあけて後下がりに傾斜して延びる一対のメインフレーム3と、このメインフレーム3の下方に当該メインフレーム3よりも大きい角度で、同じく車体の幅方向に間隔をあけて後下がりに傾斜して延びる一対のダウンチューブ4と、これらメインフレーム3及びダウンチューブ4を連結する連結部5とを備えて構成されている。
ヘッドパイプ2には、前輪6を支持するフロントフォーク7が操向可能に連結されるとともに、メインフレーム3の下端部には、後輪9を支持するリアフォーク10が上下揺動可能に連結され、このリアフォーク10と車体フレーム1間には、リアクッション11が介装されている。
また、シリンダヘッド18の後側には、図4に示すように、シリンダ17の軸線Lにほぼ直交してスロットルボデイ24が連結され、このスロットルボデイ24には、図示を省略したエアクリーナを介して、清浄化された燃焼用空気が供給されている。
スロットルボデイ24は、アイドリング調整スクリュー25とスロットルバルブ26とを備え、アイドリング調整時に、例えば、スクリュー25を右に回すと、スロットルバルブ26の開度が開き、供給される空気の量が多くなってエンジン回転数が上昇し、スクリュー25を左に回すと、スロットルバルブ26の開度が閉じ、空気の量が少なくなってエンジン回転数が下降する。
このインジェクタ31は、シリンダヘッド18に直付けされ、インジェクタ31の軸線L1がスロットルボデイ24の軸線L2に対し、所定角度(鋭角)θを持って取り付けられている。また、このインジェクタ31は、自動二輪車の車体の高さ方向において、そのボデイ31A(図1)をほぼ完全にメインフレーム3にオーバーラップさせるように配置され、しかも、その一部のキャップ部31B(図1)をメインフレーム3の上方に突出させ、車体カバー43の裏面に接近させた状態で配置されている。
さらに、このインジェクタ31は、燃料チューブの接続口31Cを備え、この接続口31Cには、燃料タンク41に取り付けられた燃料ポンプ45(図1参照)が接続され、この燃料ポンプ45を介して燃料が供給される。
このクランク軸21は、ローラーベアリング114と、ラジアルボールベアリング115とで両持ち支持されている。
このクラッチ解除機構106は、レリーズシリンダ107を備え、このレリーズシリンダ107内のオイル充填された空間部107Aは、クラッチレバー(図示せず)に接続されたオイルシリンダに接続されている。
なお、110はキック軸であり、111はカムチェーン、112はカムシャフト、113はロッカーシャフトである。
クラッチ接続時には、レリーズシリンダ107の空間部107Aに充填されたオイル圧によって、プレッシャープレート104が図中で左方向に押圧され、クラッチスプリング105の付勢力によって、クラッチセンター103が図中で左方向に押圧され、これによって、クラッチディスク102Aにクラッチプレート103Aが押し付けられる。この状態では、上述した歯車108,109を介して、クラッチアウター102に伝えられている、クランク軸21の回転力が、さらに、クラッチディスク102A及びクラッチプレート103Aを介してクラッチセンター103に伝えられ、このクラッチセンター103を介してメイン軸33に伝動される。
クラッチ接続解除時には、クラッチレバー(図示せず)の操作によって、空間部107Aに充填されたオイルが、クラッチレバーに接続されたオイルシリンダ側に逃げる。これにより、プレッシャープレート104が図中で右方向に移動し、クラッチスプリング105の付勢力が弱まり、クラッチディスク102A及びクラッチプレート103Aの圧接状態が解除される。これが解除されると、クラッチセンター103が空回りし、メイン軸33への動力伝達が断たれる。
このチェンジペダルを操作する場合、この操作に先立って、まず、上記クラッチレバー(図示せず)が操作され、多板クラッチ101を介して、クランク軸21とメイン軸33との間の連絡が切断される。
つぎに、これを切断した状態で、上記チェンジペダルが操作される。このチェンジペダルは、図4に示すシフトスピンドル36に連結されており、このチェンジペダルが操作されると、シフトスピンドル36が回動し、これに連動して、歯車機構(図示せず)を介してシフトドラム35が回動する。この回動によって、シフトドラム35の溝(図示せず)に係合したシフトピン37Aを介して、シフトフォーク37のいずれかが、軸方向にスライド動作し、この動作したシフトフォーク37が、カウンター軸34上のいずれかの歯車34A(図5)を軸方向に移動し、メイン軸33上のいずれかの歯車33A(図5)と噛み合わせる。
上記エンジン13は単気筒の4サイクルエンジンであり、この場合、電子制御装置ECUは、クランク軸21の2回転(720°)に対し1回の割合で燃料噴射量を決定し、その結果をインジェクタ31に送り、燃料噴射量に相当する時間分だけ、シリンダヘッド18の吸気通路28に燃料を噴射する。
電子制御装置ECUは、エンジン回転数センサ45の情報に基づいてエンジン回転数Neを算出し(S1)、スロットルセンサ42からのスロットル開度θを読み込み(S2)、さらに、各種センサ情報(例えば、負圧センサ41、吸気温度センサ43、エンジン冷却水温センサ44等に基づく情報。)を読み込む(S3)。
そして、エンジン回転数Ne、スロットル開度θ、及び各種センサ情報に基づいて、第1回目の燃料噴射量に対応する燃料噴射時間(以下、基本噴射時間。)を計算し、これに従い、燃料噴射を開始する(S4)。
燃料噴射時間は、基本的には、エンジン回転数Ne、及びスロットル開度θに基づいて決定される。しかし、スロットル開度θに応じたエンジンの吸入空気量は、エンジンの運転状態によって変化するため、本構成では、各種センサ情報に基づいて、スロットル開度θの情報が補正された後に決定される。
つぎに、S9で決定された補正噴射時間に基づいて、第1回目に決定された基本噴射時間が補正される(S10)。この補正処理では、補正噴射時間によって、第1回目に決定された基本噴射時間を更新してもよい。
図8Aは、基本噴射時間<補正噴射時間の場合を示している。この場合には、時間T1で、基本噴射時間が決定され、T2で、第1回目の噴射タイマが設定され、この設定から僅かに遅れて、T3で、インジェクタ31による燃料噴射が開始される。この場合の基本噴射時間は、T3〜T7である。
ついで、所定のタイミングで、すなわち、T4で、補正噴射時間が決定され、T5で、第2回目の噴射タイマが設定される。このときの補正噴射時間が、T3〜T8であれば、図7のS10において、その差分に相当する時間αだけ、基本噴射時間が補正により延長される。ここで、所定のタイミングは、クランク軸21のクランク角に関連付けて設定すればよい。T9は、噴射終了限界である。
これによれば、例えば、基本噴射時間を決定して燃料噴射を開始した後、スロットル開度が急に開かれた等により、より多くの燃料噴射が必要になっても、その不足分を即座に供給することができるので、例えば、スロットル開度の急開時等における燃料供給に関するレスポンスを向上させることができる。
ついで、所定のタイミングで、すなわち、T4で、補正噴射時間が決定され、T5で、第2回目の噴射タイマが設定される。このときの補正噴射時間が、T3〜T6であれば、図7のS10において、その差分に相当する時間βだけ、基本噴射時間が補正により短縮される。T9は、噴射終了限界である。
これによれば、例えば、基本噴射時間を決定して燃料噴射を開始した後、スロットル開度が急に閉じられた等により、必要とされる燃料噴射量が少なくなっても、噴射時間が短縮されることにより、燃料の適正供給が可能になる。
本実施形態では、このような場合であっても、ライダーの操作要求に十分に対応することができる。
T11で、基本噴射時間が決定され、T12で、第1回目の噴射タイマが設定され、この設定から僅かに遅れて、T13で、インジェクタ31による燃料噴射が開始される。基本噴射時間は、T13〜T14である。エンジン回転数が高回転域にある場合、第2回目の補正噴射時間の決定が行われず、T14で、インジェクタ31による燃料噴射が終了する。T15は、噴射終了限界である。
これによれば、エンジン回転数が高回転域にある場合、第2回目の補正噴射時間を決定しないため、パルサー等の割り込み量が多くなる高回転域での、電子制御装置ECUにかかる負担を抑制することができる。
ここでは、第1回目で決定された基本噴射時間が所定値以下の場合には、第2回目の補正噴射時間を決定せず、所定時間遅延させた後に初めて第1回目で決定された燃料噴射時間に基づいて燃料噴射を実行する。
すなわち、図10において、電子制御装置ECUは、エンジン回転数Neを算出し(S11)、スロットル開度θを読み込み(S12)、さらに、各種センサ情報を読み込む(S13)。そして、エンジン回転数Ne、スロットル開度θ、及び各種センサ情報に基づいて、第1回目の基本噴射時間を決定する(S14)。
これが所定値以下の場合には、予め設定された所定時間遅延させた後に(S16)、基本噴射時間に従う燃料噴射を開始し(S17)、その噴射を、基本噴射時間に従い実行する。また、S15で、第1回目の基本噴射時間が所定値以上の場合には、第1回目の基本噴射時間に従い、燃料噴射を開始する(S18)。そして、上記実施形態と同様に、基本噴射時間に従う燃料噴射中に、所定期間内における、所定のタイミングで、再び、エンジン回転数Neを算出し(S19)、スロットル開度θを読み込み(S20)、各種センサ情報を読み込む(S21)。さらに、これらのエンジン回転数Ne、スロットル開度θ、及び各種センサ情報に基づいて、第2回目の補正噴射時間を決定し(S22)、上述した補正処理と同様の処理に従い、S22で決定された補正噴射時間に基づいて、第1回目に決定された基本噴射時間を補正する(S23)。この補正処理では、補正噴射時間によって、第1回目に決定された基本噴射時間を更新してもよい。
所定値以下の場合、所定時間遅延させた後に、T24で、基本噴射時間(補正噴射時間は決定しない)に従う噴射が開始され、T25で、噴射が終了する。T26は、噴射終了限界である。ここでの遅延時間T21〜T24は、上述した実施形態における、補正噴射時間の決定に相当する時間T22、その噴射タイマの設定に相当する時間T23、それから僅かに遅れた時間T24の合算時間にほぼ相当する。
本実施形態では、基本噴射時間が所定値以下の場合、燃料噴射の開始タイミングを、少なくとも本来補正噴射時間を決定すべき時間後に遅らせて燃料噴射を開始するため、吸気のタイミングと略同時期にエンジン13のシリンダ内に燃料を供給することができる。従って、シリンダヘッド18のインレットバルブが開放される直前に、燃料噴射が実行され、燃料供給の適正化が図られる。
すなわち、電子制御装置ECUは、エンジン回転数Neを算出し(S25)、スロットル開度θを読み込み(S26)、さらに、各種センサ情報を読み込む(S27)。そして、エンジン回転数Ne、スロットル開度θ、及び各種センサ情報に基づいて、第1回目の基本噴射時間を決定する(S28)。ついで、第1回目の基本噴射時間が所定値以下か否かを判定する(S29)。これが所定値以下の場合には、予め設定された所定時間遅延させた後に(S30)、基本噴射時間に従う燃料噴射を開始し、その噴射を、基本噴射時間に従い実行する(S31)。ここでの遅延時間は、上述した実施形態における、補正噴射時間の決定に相当する時間T22、その噴射タイマの設定に相当する時間T23、それから僅かに遅れた時間T24の合算時間にほぼ相当させればよい。また、S29で、第1回目の基本噴射時間が所定値以上の場合には、噴射時間を遅延させることなく、直ちに、第1回目の基本噴射時間に従い、燃料噴射を開始する(S31)。
これによれば、基本噴射時間が所定値以下の場合、所定時間遅延させて噴射を開始するため、吸気のタイミングと略同時期にエンジン13のシリンダ内に燃料を供給することができる。従って、シリンダヘッド18のインレットバルブが開放される直前に、燃料噴射が実行され、燃料供給の適正化が図られる。
13 エンジン
24 スロットルボデイ
31 インジェクタ(燃料噴射装置)
41 負圧センサ
42 スロットルセンサ
43 吸気温度センサ
44 エンジン冷却水温センサ
45 エンジン回転数センサ
46 点火プラグ
ECU 電子制御装置
Claims (2)
- エンジン回転数及びスロットル開度に基づいて燃料噴射装置における燃料噴射時間を決定する制御手段を備えた燃料噴射量制御装置において、
前記エンジンはトライアル車両の単気筒エンジンであり、
前記制御手段は、エンジン回転数及びスロットル開度に基づいて第1回目の燃料噴射時間を決定して燃料噴射を開始し、エンジン回転数が低回転域にある場合、第1回目の燃料噴射時間に従う燃料噴射中に、第2回目の燃料噴射時間を決定し、この決定に基づいて、第1回目で決定された燃料噴射時間を補正すると共に、エンジン回転数が低回転域にない場合、第2回目の燃料噴射時間を決定せずに、第1回目で決定された燃料噴射時間に基づいて燃料噴射し、第1回目で決定された燃料噴射時間が所定値以下の場合には、少なくとも補正噴射時間の決定に相当する時間遅延させた後に初めて燃料噴射することを特徴とする燃料噴射量制御装置。 - 前記制御手段は、噴射終了限界までの間に燃料噴射を終了することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射量制御装置。
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