JP6757371B2 - エンジン始動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン始動装置に係り、特に、エンジンの始動時にクランクシャフトを一旦逆回転させてから正回転させるスイングバック制御を実行するエンジン始動装置に関する。
従来から、スタータモータでクランクシャフトを回転させるエンジン始動装置において、回転抵抗が大きくなる圧縮上死点の乗り越えを容易にするため、始動操作に応じてスタータモータを少し逆回転させて十分な助走区間を確保してから正回転に切り替える、いわゆるスイングバック制御が知られている。
特許文献1には、エンジンの始動操作に応じて、予め定められた所定時間の間だけスタータモータを逆回転させてから正回転に切り替えるようにしたスイングバック制御が開示されている。
特許第4230116号公報
ところで、通常は遠心クラッチおよび無段変速機を備えるスクータ等に適用されるスイングバック制御を、手動クラッチおよび有段変速機を備えるマニュアル変速車にも適用することが考えられる。しかし、クラッチ板がエンジンオイルで潤滑される湿式多板クラッチを用いるマニュアル変速車では、クラッチを切断操作していてもクラッチ板同士の隙間に留まるエンジンオイルによって粘性抵抗が生じるため、特許文献1のように逆回転させる時間を一定とすると、スイングバック制御で逆回転する量がエンジンオイルの温度に応じて変動してしまう可能性があった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、エンジンオイルの温度に応じて、スイングバック制御の逆回転時間を変更するエンジン始動装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、湿式多板式のクラッチ(C)を介してクランクシャフト(S)に連結される有段変速機(TM)を備えたエンジン(E)に適用され、モータ(M)によってクランクシャフト(S)を回転させるエンジン(E)の始動時に、逆回転させてから正回転させるスイングバック制御を行うスイングバック制御部(102)を有するエンジン始動装置(100)において、前記エンジン(E)を潤滑するエンジンオイルの油温(T)を検知する油温センサ(80)を備え、前記スイングバック制御部(102)が、前記油温(T)に応じて、前記モータ(M)を逆回転させる逆回転通電時間(t)を設定する点に第1の特徴がある。
また、前記スイングバック制御部(102)は、前記油温(T)が低くなるほど前記逆回転通電時間(t)を長く設定する点に第2の特徴がある。
また、前記有段変速機(TM)のギヤ段数(G)を検知するギヤポジションセンサ(81)を備え、前記スイングバック制御部(102)は、前記油温(T)および前記ギヤ段数(G)に応じて前記逆回転通電時間(t)を設定する点に第3の特徴がある。
また、前記スイングバック制御部(102)は、前記ギヤ段数(G)が高速寄りの大きな値になるほど前記逆回転通電時間(t)を長く設定する点に第4の特徴がある。
また、前記モータ(M)の電源としてのバッテリ電圧値(V)を検知する電圧センサ(83)を備え、前記スイングバック制御部(102)が、前記油温(T)および前記バッテリ電圧値(V)に応じて前記逆回転通電時間(t)を設定する点に第5の特徴がある。
さらに、前記モータ(M)に流れる電流値(A)を検知する電流センサ(82)を備え、前記スイングバック制御部(102)は、前記電流値(A)が所定値以上になると、前記逆回転通電時間(t)の経過前でも、前記モータ(M)の逆回転通電を停止して正回転に移行させる点に第6の特徴がある。
第1の特徴によれば、湿式多板式のクラッチ(C)を介してクランクシャフトクランクシャフト(S)に連結される有段変速機(TM)を備えたエンジン(E)に適用され、モータ(M)によってクランクシャフト(S)を回転させるエンジン(E)の始動時に、逆回転させてから正回転させるスイングバック制御を行うスイングバック制御部(102)を有するエンジン始動装置(100)において、前記エンジン(E)を潤滑するエンジンオイルの油温(T)を検知する油温センサ(80)を備え、前記スイングバック制御部(102)が、前記油温(T)に応じて、前記モータ(M)を逆回転させる逆回転通電時間(t)を設定するので、油温に応じて変化するエンジンオイルの粘性に対応して逆回転通電時間を変更することで、油温によってスイングバック制御の逆回転量が変動することを防ぐことが可能となる。これにより、良好なスイングバック制御を実行してエンジンの始動性を確保することができる。
より詳しくは、湿式多板式の手動クラッチおよび有段変速機を有するマニュアル変速車において、インギヤ状態でクラッチを切断操作している際に、適切な逆回転通電時間によってスイングバック制御を実行することが可能となる。すなわち、クラッチ板がエンジンオイルで潤滑される湿式多板クラッチは、クラッチを切断操作していてもクラッチ板同士の間に留まるエンジンオイルの粘性によって変速機側を連れまわそうとする抵抗がクランクシャフトに生じ、特に油温が低い場合には逆回転量が減ってしまうところ、油温に応じて逆回転通電時間を変更することで適切なスイングバック制御を実行することができる。
第2の特徴によれば、前記スイングバック制御部(102)は、前記油温(T)が低くなるほど前記逆回転通電時間(t)を長く設定するので、エンジンオイルの粘性が高くなってクランクシャフトの回転抵抗が大きくなるほど逆回転通電時間を長くすることで、油温が高い場合と同等の逆回転量を確保してエンジンの始動性が低下することを防ぐことができる。
第3の特徴によれば、前記有段変速機(TM)のギヤ段数(G)を検知するギヤポジションセンサ(81)を備え、前記スイングバック制御部(102)は、前記油温(T)および前記ギヤ段数(G)に応じて前記逆回転通電時間(t)を設定するので、有段変速機のギヤ段数に応じてクランクシャフトの回転抵抗が変動することに対応して逆回転通電時間を変更することで、ギヤ段数によってスイングバック制御の逆回転量が変動することを防ぐことが可能となる。
第4の特徴によれば、前記スイングバック制御部(102)は、前記ギヤ段数(G)が高速寄りの大きな値になるほど前記逆回転通電時間(t)を長く設定するので、ギヤ段数が大きくクランクシャフトの回転抵抗が大きくなるほど逆回転通電時間を長くすることで、ギヤ段数が低速寄り場合と同等の逆回転量を確保することが可能となる。
第5の特徴によれば、前記モータ(M)の電源としてのバッテリ電圧値(V)を検知する電圧センサ(83)を備え、前記スイングバック制御部(102)が、前記油温(T)および前記バッテリ電圧値(V)に応じて前記逆回転通電時間(t)を設定するので、バッテリ電圧値が低い場合には、同じ逆回転通電時間でも逆回転量が減少することに対応して、逆回転通電時間を長くすることが可能となる。これにより、油温およびバッテリ電圧値に応じた適切なスイングバック制御を実行することができる。
第6の特徴によれば、前記モータ(M)に流れる電流値(A)を検知する電流センサ(82)を備え、前記スイングバック制御部(102)は、前記電流値(A)が所定値以上になると、前記逆回転通電時間(t)の経過前でも、前記モータ(M)の逆回転通電を停止して正回転に移行させるので、逆回転通電時間が経過する前でも、クランクシャフトが圧縮上死点に近い位置まで逆回転したことを電流値によって検知して、速やかに正回転に切り替えることが可能となる。これにより、エンジン停止時のクランクシャフトの位置に関わらず適切なスイングバック制御を実行することができる。
本発明の一実施形態に係るエンジン始動装置を適用した自動二輪車の左側面図である。 パワーユニットの断面図である。 エンジン始動装置およびその周辺構成を示すブロック図である。 油温−逆回転通電時間マップである。 ギヤ段数−逆回転通電時間マップである。 スイングバック制御の手順を示すフローチャートである。 バッテリ電圧−逆回転通電時間マップである。 逆回転通電時間を導出する手順を示すフローチャートである。 逆回転停止制御の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るエンジン始動装置100を適用した自動二輪車1の左側面図である。自動二輪車1は、パワーユニットPの動力源であるエンジンEの回転動力を、クランクケース12に収納される有段変速機を介して後輪WRに伝達するスポーツ型の鞍乗型車両である。
車体フレーム3を構成するメインフレーム4の前端部には、前輪WFの操舵機構を揺動自在に軸支するヘッドパイプ6が設けられている。操舵機構を構成する左右一対のフロントフォーク7の下端部には、前輪WFが回転可能に軸支されている。フロントフォーク7の上部には、操舵機構を操舵するハンドルバー14が取り付けられている。
ヘッドパイプ6の下方寄りの位置には、パワーユニットPのクランクケース12の前方側を支持するハンガフレーム9が連結されており、メインフレーム4とハンガフレーム9との間には、板状の補強ガセット8が架け渡されている。ヘッドパイプ6から後方に延びて下方に湾曲するメインフレーム4の下端部には、スイングアーム17の前端部を揺動自在に軸支するピボット28が設けられた左右一対のピボットプレート13が固定されている。後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム17は、リヤクッション18によってメインフレーム4に吊り下げられている。
4サイクル単気筒のエンジンEと有段変速機とを一体に構成するパワーユニットPは、ピボットプレート13およびハンガフレーム9によって支持されている。エンジンEのシリンダヘッド10の後部には、燃料噴射装置25を有するスロットルボディ26が固定されており、スロットルボディ26の後部にはエアクリーナボックス21が連結されている。一方、シリンダヘッド10の前部には、車体後方のマフラ19に燃焼ガスを導く排気管11が連結されている。エンジンEのクランクシャフトSの端部には、エンジンEの始動時にセルモータとして機能し、エンジンEの始動後は発電機として機能するACGスタータモータMが設けられている。
パワーユニットPの上方には、メインフレーム4を車幅方向に跨ぐ底部形状を有する燃料タンク2が配設されている。メインフレーム4の後方には、シート22等を支持するリヤフレーム20が固定されており、リヤフレーム20の後端上部に、ECUとしてのエンジン始動装置100が配設されている。エンジン始動装置100は、スタータスイッチの操作に応じてACGスタータモータMを駆動する際に、クランクシャフトSを一旦逆回転させてから正回転させる、いわゆるスイングバック制御を実行する。
図2は、パワーユニットPの断面図である。パワーユニットPは、動力源としてのエンジンEのクランクシャフトSを支持するクランクケース12に、マニュアル変速式の有段変速機TMを一体に収納した構成を有する。クランクケース12は、エンジンEのクランクシャフトSを軸支すると共に、クランクシャフトSが配置されるクランク室27の後方に、有段変速機TMを収容するミッション室24を構成する。
クランク室27の上方には、シリンダ39が形成されたシリンダブロック5およびシリンダヘッド10が重ねられ、締結部材によってシリンダヘッド10およびシリンダブロック5がクランクケース12に一体に締結される。シリンダヘッド10の上部にはシリンダヘッドカバー34が取り付けられる。
シリンダブロック5のシリンダ39には、ピストン38が往復摺動自在に収納されており、ピストン38およびクランクシャフトSがコンロッド40によって連接されることでクランク機構が構成される。シリンダヘッド10には、吸排気バルブを駆動する動弁機構33が収納されている。
カムチェーン37は、動弁機構33の動弁カム軸30に嵌着された被動側カムチェーンスプロケット35と、クランクシャフトSに固定された駆動側カムチェーンスプロケット51との間に架け渡される。クランクシャフトSの1/2の回転数で回転される動弁カム軸30は、吸気ロッカアーム31および排気ロッカアーム32を揺動し、これにより吸排気バルブがそれぞれ所要のタイミングで開閉駆動する。
クランクケース12の左軸受壁54より左方に突出した部分のクランクシャフトSには、駆動側カムチェーンスプロケット51と共に、ACGスタータモータMのアウタロータ41が固定されており、ACGスタータモータMを左側から覆うケースカバー44に形成された内筒43に、インナステータ42が固定されている。一方、クランクケース12の右軸受壁63より右方に突出した部分のクランクシャフトSには、バランサ駆動ギヤ69およびプライマリ駆動ギヤ70が順次嵌合されている。
クランクケース12のミッション室24には、メイン軸61とカウンタ軸55とが互いに平行をなして、左右軸受壁54,63間のベアリング52,57によって回転自在に軸支されている。メイン軸61に軸支されたメインギヤ群53とカウンタ軸55に軸支されたカウンタギヤ群58が常時噛み合うことで、前進5速の有段変速機TMが構成される。
クランクケース12の右軸受壁63より右方に突出したメイン軸61の端部には、湿式多板式のクラッチCが設けられている。クラッチCのクラッチアウタ68は、メイン軸61に回転自在に軸支されたプライマリ被動ギヤ65に緩衝部材を介して支持されており、メイン軸61に一体に嵌合されたクラッチインナ66との間に複数のクラッチ板が介装され、クラッチレバーの操作に連動する押圧プレート67の往復動作によって断接を行う。クラッチCは、クランクケース12の底部に貯留されるエンジンオイルによって、有段変速機TMと同様に潤滑される。
プライマリ被動ギヤ65は、クランクシャフトSに固定されたプライマリ駆動ギヤ70と噛合する。クランクシャフトSの動力は、クラッチCを介して有段変速機TMのメイン軸61に伝達される。
カウンタ軸55は、クランクケース12の左軸受壁54を左方に貫通して外部に突出してパワーユニットPの最終出力軸を構成し、その突出部位にドライブスプロケット50がスプライン嵌合されている。ドライブスプロケット50に巻き掛けられるドライブチェーン16は、後輪WRに固定されたドリブンスプロケットに動力を伝達する。ドライブスプロケット50の車幅方向外側にはスプロケットカバー47が配設される。
上記したようなパワーユニットPにおいても、有段変速機TMがニュートラル状態である場合、または、インギヤ状態でクラッチCを断接操作している場合に、エンジン始動時のスイングバック制御を行うことが可能である。本発明に係るエンジン始動装置100は、特にインギヤ状態でクラッチCを切断操作している状態でスイングバック制御を行う際に、エンジンオイルの油温Tに応じてスイングバック制御の逆回転通電時間を調整する点に特徴がある。
図3は、本実施形態に係るエンジン始動装置100およびその周辺構成を示すブロック図である。図2に示したように、エンジンEのクランクシャフトSの一端側には、ACGスタータモータMが取り付けられ、他端側には、動力伝達系として湿式多板式のクラッチCを介して有段変速機TMが連結される。ACGスタータモータMには、エンジン始動時にモータとして駆動するための電源であるバッテリBが接続される。
油温センサ80は、エンジンEのクランクケース12の底部に貯留されるエンジンオイルの温度を検知する。また、有段変速機TMには現在のギヤ段数を検知するギヤポジションセンサ81が設けられ、バッテリBにはバッテリ電圧値を検知する電圧センサ83が設けられ、さらに、ACGスタータモータMには端子に生じる電流値を検知する電流センサ82が設けられる。各センサの出力信号はエンジン始動装置100に伝達される。
エンジン始動装置100には、ACGスタータモータMを制御するモータ制御部101と、逆回転通電時間マップ103とが含まれる。モータ制御部101に含まれるスイングバック制御部102は、エンジンEを始動するスタータスイッチ84の操作に応じて、ACGスタータモータMを一旦逆回転させてから正回転させるスイングバック制御を実行する。スイングバック制御部102は、油温センサ80で検知される油温Tと、逆回転通電時間マップ103とを参照して、スイングバック制御を行う際の逆回転通電時間tを設定する。
なお、詳細は後述するが、逆回転通電時間tの設定には、油温Tのほか、ギヤポジションセンサ81で検知されるギヤ段数G(1〜5速)や電圧センサ83で検知されるバッテリ電圧値Vを考慮することができる。
図4は、逆回転通電時間マップ103に含まれる油温−逆回転通電時間マップである。また、図5はギヤ段数−逆回転通電時間マップである。スイングバック制御部102は、油温センサ80によって検知されるエンジンオイルの油温Tに応じて逆回転通電時間tを設定する。油温−逆回転通電時間マップは、油温T1〜T2の範囲内で、油温Tが低くなるほど逆回転通電時間tが長くなる(t1〜t2)ように構成される。これにより、エンジンオイルの粘性が高くなってクランクシャフトSの回転抵抗が大きくなるほど逆回転通電時間tを長くすることで、油温Tが高い場合と同等の逆回転量を確保してエンジンEの良好な始動性を確保することができる。また、所定の閾値により逆転時間の大小を決めるようにしてもよい。
詳しくは、クラッチ板がエンジンオイルで潤滑される湿式多板式のクラッチCは、クラッチCを切断操作していてもクラッチ板同士の間に留まるエンジンオイルの粘性によって変速機TM側を連れまわそうとする抵抗がクランクシャフトSに生じ、特に油温Tが低い場合に逆回転量が減ってしまうところ、油温Tに応じて逆回転通電時間tを変更することで適切なスイングバック制御を可能とするものである。
上記した油温−逆回転通電時間マップの設定は、クラッチ板の間に留まるエンジンオイルだけでなく、有段変速機TMやシリンダヘッド10等を潤滑するエンジンオイルの粘性によってクランクシャフトSの回転抵抗が変動することにも合致する。なお、油温Tと逆回転通電時間tとの関係は、図4に示す直線状に限られず、任意の曲線で構成してもよい。
また、スイングバック制御部102は、図4の油温−逆回転通電時間マップに加えて、図5のギヤ段数−逆回転通時間マップを用いて逆回転通電時間tを設定することができる。ギヤ段数−逆回転通時間マップは、ギヤ段数Gが高速寄りの大きな値になるほど、逆回転通電時間tが長くなるように構成される。スイングバック制御によってクランクシャフトSを逆回転させる際には、エンジンオイルの粘性によって有段変速機TMのメイン軸61をわずかに回転させることとなるため、ギヤ段数Gが高速寄りであるほど逆回転時の回転抵抗が大きくなることが考えられる。これに対応して、本実施形態では、この回転抵抗の増大に対応して逆回転通電時間tを長くしてスイングバック制御の最適化を図っている。
なお、油温Tおよびギヤ段数Gの両方を用いて逆回転通電時間tを導く際には、油温−ギヤ段数−逆回転通電時間の関係を規定する三次元マップを適用することができる。また、ギヤ段数−逆回転通電時間マップには、ギヤ位置がニュートラルである場合の逆回転通電時間tを含めてもよい。
図6は、スイングバック制御の手順を示すフローチャートである。このフローチャートでは、油温Tおよびギヤ段数Gに応じて逆回転通電時間tを導出してスイングバック制御を実行する手順を示す。ステップS1では、メインスイッチのオン操作により自動二輪車1の電源がオンとされる。ステップS2では、油温センサ80によってエンジンオイルの油温Tが検知される。続くステップS3では、ギヤポジションセンサ81によって有段変速機TMのギヤ段数Gが検知される。そして、ステップS4では、スイングバック制御部102が逆回転通電時間マップ103を参照し、ステップS5において逆回転通電時間tが導出される。
次に、ステップS6では、スタータスイッチ84がオン操作されたか否かが判定され、肯定判定されるとステップS7に進む。ステップS7では、クラッチレバーの操作を検知するスイッチやクラッチ板を押圧するプッシュロッドの移動量を検知するセンサの出力によって、クラッチCが切断状態にあるか否かが判定される。ステップS6,S7で否定判定されると、それぞれステップS2に戻る。
ステップS7で肯定判定されると、ステップS8に進んでACGスタータモータMの逆回転が開始される。続くステップS9では、逆回転通電時間tが経過したか否かが判定される。ステップS9で肯定判定されるとステップS10に進んで正回転が開始され、ステップS11にてエンジンEが始動することで一連の制御が終了する。なお、ステップS9で否定判定されるとステップS8に戻る。
図7は、バッテリ電圧−逆回転通電時間マップである。前記したように、エンジン始動装置100は、図4に示した油温−逆回転通電時間マップに加えて、このバッテリ電圧−逆回転通電時間マップを用いて逆回転通電時間tを設定することができる。バッテリ電圧−逆回転通時間マップは、バッテリ電圧値V1〜V2の範囲内で、バッテリ電圧値Vが低くなるほど逆回転通電時間tが長くなる(t21〜t22)ように構成される。これにより、バッテリ電圧値Vが低いと逆回転通電時間tが同じでも逆回転量が減少してしまうことに対応し、逆回転通電時間tを長くして必要な逆回転量を確保することができる。
図8は、逆回転通電時間tを導出する手順を示すフローチャートである。このフローチャートでは、油温T、ギヤ段数Gおよびバッテリ電圧値Vに基づいて逆回転通電時間tを導出する手順を示す。ステップS20では、油温センサ80によってエンジンオイルの油温Tが検知され、ステップS21では、ギヤポジションセンサ81によって有段変速機TMのギヤ段数Gが検知され、ステップS22ではバッテリ電圧値Vが検知される。
ステップS23では、スイングバック制御部102によって、油温T、ギヤ段数Gおよびバッテリ電圧値Vと逆回転通電時間tとの関係を規定するデータマップが参照され、ステップS24において逆回転通電時間tが導出される。なお、逆回転通電時間tを導出するためのパラメータが多くなる場合は、三次元マップによる導出値に対して各パラメータの値から算出される補正係数を乗じることで逆回転通電時間tを導出してもよい。
図9は、逆回転停止制御の手順を示すフローチャートである。スイングバック制御における逆回転通電は、逆回転通電時間マップ103から導出した逆回転通電時間tの経過により停止するほか、逆回転通電時間tの経過前でも、ACGスタータモータMに流れる電流値Aが所定値を超えることで停止するように構成されている。
ステップS30では、スイングバック制御の開始に伴って逆回転通電が開始される。ステップS31では、電流センサ82によってACGスタータモータMに流れる電流値Aが検知される。そして、ステップS32では、逆回転通電時間tが経過したか否か、または、電流値Aが所定値を超えたか否かが判定され、いずれか一方が肯定判定されるとステップS33に進んで逆回転通電を停止し、一連の制御を終了する。一方、ステップS32で否定判定されると、ステップS32の判定に戻る。
これにより、逆回転通電時間tが経過する前でも、クランクシャフトSが圧縮上死点に近い位置まで逆回転したことを電流値Aによって検知して、速やかに正回転に切り替えることが可能となり、エンジン停止時のクランクシャフトSの位置に関わらず適切なスイングバック制御を実行することができる。
なお、自動二輪車の形態、エンジンやACGスタータモータの形状や構造、有段変速機およびクラッチの形状や構造、逆回転通電時間マップ形態等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係るエンジン始動装置は、スポーツ型の自動二輪車のほか、湿式クラッチおよび有段変速機を備えた三輪車や四輪車に適用することができる。
1…自動二輪車、80…油温センサ、81…ギヤポジションセンサ、82…電流センサ、83…電圧センサ、100…エンジン始動装置、102…スイングバック制御部、E…エンジン、M…ACGスタータモータ(モータ)、S…クランクシャフト、T…油温、t…逆回転通電時間、C…クラッチ、TM有段変速機、G…ギヤ段数、V…バッテリ電圧値、A…電流値

Claims (6)

  1. 湿式多板式のクラッチ(C)を介してクランクシャフト(S)に連結される有段変速機(TM)を備えたエンジン(E)に適用され、モータ(M)によってクランクシャフト(S)を回転させる前記エンジン(E)の始動時に、逆回転させてから正回転させるスイングバック制御を行うスイングバック制御部(102)を有するエンジン始動装置(100)において、
    前記エンジン(E)を潤滑するエンジンオイルの油温(T)を検知する油温センサ(80)を備え、
    前記スイングバック制御部(102)が、前記油温(T)に応じて、前記モータ(M)を逆回転させる逆回転通電時間(t)を設定し、
    前記モータ(M)に流れる電流値(A)を検知する電流センサ(82)を備え、
    前記スイングバック制御部(102)は、前記電流値(A)が所定値以上になると、前記逆回転通電時間(t)の経過前でも、前記モータ(M)の逆回転通電を停止して正回転に移行させることを特徴とするエンジン始動装置。
  2. 前記スイングバック制御部(102)は、前記油温(T)が低くなるほど前記逆回転通電時間(t)を長く設定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン始動装置。
  3. 前記有段変速機(TM)のギヤ段数(G)を検知するギヤポジションセンサ(81)を備え、
    前記スイングバック制御部(102)は、前記油温(T)および前記ギヤ段数(G)に応じて前記逆回転通電時間(t)を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン始動装置。
  4. 前記スイングバック制御部(102)は、前記ギヤ段数(G)が高速寄りの大きな値になるほど前記逆回転通電時間(t)を長く設定することを特徴とする請求項3に記載のエンジン始動装置。
  5. 前記モータ(M)の電源としてのバッテリ電圧値(V)を検知する電圧センサ(83)を備え、
    前記スイングバック制御部(102)が、前記油温(T)および前記バッテリ電圧値(V)に応じて前記逆回転通電時間(t)を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン始動装置。
  6. 前記スイングバック制御部(102)は、前記クラッチ(C)を操作するためのクラッチレバーの操作を検知することによって前記クラッチ(C)が切断状態にあるか否かを判定し、切断状態と判定されると前記スイングバック制御を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のエンジン始動装置。
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