JP4409265B2 - リヤシートベルト用リトラクタの取付構造 - Google Patents

Description

本発明は、リヤシートベルトを巻取るリトラクタをブラケットを介して車体に固定するリヤシートベルト用リトラクタの取付構造に関する。

一般に、シートベルトを巻取るためのリトラクタは、リトラクタ取付け用のブラケットを介して車体に取付られ、車体パネルを構成するインナ部材とアウタ部材との間に埋設されるものが多い。このようなリトラクタ取付用ブラケットには、リトラクタの取付作業にかかるトルクや市場における実使用時のシートベルトからの入力負荷によってリトラクタが回転しないための廻り止め用やリトラクタの位置決め用として、リトラクタに対する爪状の係合部が設けられている。

例えば、特許文献１には、リトラクタ取付用ブラケットにクランク形状の一対の爪状部を形成し、この一対の爪状部をリトラクタに形成した一対の長孔に係着して仮止めと共に位置決めした後、ブラケットに溶接されたナットを利用してリトラクタをブラケットにボルト締めする技術が開示されている。
特開平１０−１７５５０８号公報

ところで、リヤシートベルト用のリトラクタをリヤクォータに取付ける場合、造形上、リヤクォータを構成するインナパネルとアウタパネルとの間隔が小さい軽自動車等の小型車両では、取付け上の制約からリトラクタの取付面が車室内側にオフセットしてしまい、ブラケットとリトラクタとの間にスペーサを入れる等の対策が必要となる。

このようなリトラクタの取付面の車室内側へのオフセットに対して、スペーサを用いると、スペーサの分だけ重量増を招くばかりでなく、スペーサの分だけブラケットの爪状部も延ばさざるを得ないといった問題が生じる。このブラケットの爪状部を延ばすことは、取付作業時の締結トルクや実使用時のシートベルトからの入力負荷によって爪状部が変形してリトラクタのガタツキによるベルト巻取り性の悪化が懸念されるばかりでなく、シートベルトの乗員拘束機能に悪影響を与える虞がある。

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、リトラクタを車室側にオフセットさせて取付ける際の締結トルクやシートベルトからの入力に対する強度を確保しつつ、軽量化を図ることのできるリヤシートベルト用リトラクタの取付構造を提供することを目的としている。

上記目的を達成するため、本発明によるリヤシートベルト用リトラクタの取付構造は、リヤシートベルトを巻取るリトラクタをブラケットを介して車体に固定するリヤシートベルト用リトラクタの取付構造であって、上記ブラケットに、車体に取付け固定される車体取付部と、この車体取付部から車室側に上記リトラクタの背部が収容可能な程度にオフセットさせたリトラクタ取付面を有するリトラクタ取付部とを設け、上記リトラクタ取付部の周囲に、上記リトラクタの外壁に当接して上記リトラクタの回転を規制する回転規制部を形成したことを特徴とする。

本発明のリヤシートベルト用リトラクタの取付構造は、車体取付部から車室側にリトラクタの背部が収容可能な程度にオフセットさせたリトラクタ取付面を有するリトラクタ取付部の周囲に、リトラクタの外壁に当接して回転を規制する回転規制部を形成することにより、リトラクタを車室側にオフセットさせて取付ける際の締結トルクやシートベルトからの入力に対する強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図１〜図４は本発明の実施の一形態に係わり、図１は車体の後部側面を示す概略図、図２はリトラクタ用ブラケットの平面図、図３は図２のＡ−Ａ線断面図、図４はブラケットにリトラクタを取付けた状態を示す説明図である。

図１は、自動車等の車両の車体後部側面の擬略を示し、図においては、右側（運転席側）を車室内から見た側面を示す。同図に示す車体側面構造において、ルーフ１側からサイドシル２側に延びるセンターピラー３と、ルーフ１側からリヤアーチ４側へと延びるリヤクォータ５とにより、リヤドア開口部６が形成されている。

また、リヤクォータ５には、リヤシート用のベルト７の基端側を巻取り収納する周知の構造のリトラクタ８が配設されている。本形態においては、リヤクォータ５を形成するアウタパネルとインナパネルとの間の間隔が小さく、リトラクタ８全体をリヤクォータ５内に埋設することが困難であることから、リトラクタ８の取付面を車室側に若干オフセットさせ、図２に示すように、インナパネルやリンフォース等に固設されるブラケット１０を介してリトラクタ８が取付けられている。

ブラケット１０は、図２，図３に示すように、細長の板状の部材の両側を階段状に屈曲させて形成され、インナパネルやリンフォース等に当接して固設される車体取付部１１（但し、図２においては、車体取付部１１の裏面側がインナパネルやリンフォースへの当接面となる）を両側に備えると共に、両側の車体取付部１１の間で隆起されて車室側にオフセットされたリトラクタ取付面を有するリトラクタ取付部１２を備えている。リトラクタ取付部１２には、リトラクタ８を図示しないボルトを介して締結・固定するためのナット１３が裏面側に溶接されて固着されている。

また、リトラクタ取付部１２の両側には、リトラクタ取付部１２にボルトで締結されたリトラクタ８に対し、リトラクタ８の外壁に当接してリトラクタ８の回転を規制する回転規制部１４，１５が設けられている。回転規制部１４，１５は、リトラクタ取付部１２のナット１３を中心とする円弧状の部位の両側の長辺の縁部によって形成され、この縁が所定の幅で下方（ナット１３側）に折曲げられてフランジ状に形成されている。

以上のブラケット１０にリトラクタ８を取付けるには、予めブラケット１０をリヤクォータ５の内面を構成するインナパネルに開口されたリトラクタ収納部９に対応する位置に配置し、ブラケット１０の両端の車体取付部１１をインナパネルやリンフォース等に当接してスポット溶接等により固定しておく。

次に、図４に示すように、ブラケット１０のリトラクタ取付部１２のナット１３の位置に、リトラクタ８のボビンを収納する本体部先端に設けられた取付孔８ａの位置を合わせると共に、取付孔８ａの両側の段部８ｂ，８ｃをブラケット１０の回転規制部１４，１５に当接させて位置を合わせ、図示しないボルトをリトラクタ８の取付孔８ａに挿通し、ナット１３に締結してリトラクタ８をブラケット１０に固定する。これにより、リトラクタ８はインナパネル基準面よりも若干車室側にオフセットしてセットされ、背部がインナパネルのリトラクタ収納部９に収納される。尚、リトラクタ８の車室側部分は、インナパネルに取付けられるトリムによって覆われる。

この場合、リトラクタ８の取付孔８ａの径及び取付孔８ａと段部８ｂ，８ｃとの間の距離やブラケット１０のナット１３中心位置と回転規制部１４，１５との間の距離等のリトラクタ８とブラケット１０との取付位置関係の各寸法は、適正に公差管理されており、組付作業時の締結トルクによってリトラクタ８からブラケット１０に加わる回転トルクが回転規制部１４，１５を介してブラケット１０全体に分散される。

従って、従来のブラケットのようにオフセットに対応して延長した廻り止め用の爪状部が取付作業時の締結トルクによって変形してしまうといったことがなく、市場における実使用時のベルト入力に対しても強度を確保することができる。しかも、リトラクタの車室内へのオフセット取付けのために、ブラケットにスペーサ等の部品を追加する必要がないことから、重量増を招くこともない。このように、リトラクタのオフセット取付けという造形状の制約に対応しつつ、必要な強度を確保して、リトラクタのベルト巻取り性能やシートベルトの乗員拘束機能を保障し、性能及び軽量化の要求を満足することができる。

車体の後部側面を示す概略図 リトラクタ用ブラケットの平面図 図２のＡ−Ａ線断面図 ブラケットにリトラクタを取付けた状態を示す説明図

符号の説明

７ ベルト
８ リトラクタ
８ａ 取付孔
８ｂ，８ｃ 段部
１０ ブラケット
１１ 車体取付部
１２ リトラクタ取付部
１３ ナット
１４，１５ 回転規制部
代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (2)

1. リヤシートベルトを巻取るリトラクタをブラケットを介して車体に固定するリヤシートベルト用リトラクタの取付構造であって、
   上記ブラケットに、車体に取付け固定される車体取付部と、この車体取付部から車室側に上記リトラクタの背部が収容可能な程度にオフセットさせたリトラクタ取付面を有するリトラクタ取付部とを設け、
   上記リトラクタ取付部の周囲に、上記リトラクタの外壁に当接して上記リトラクタの回転を規制する回転規制部を形成したことを特徴とするリヤシートベルト用リトラクタの取付構造。
2. 上記リトラクタ取付部に、上記リトラクタをボルトを介して締結するためのナットを固設し、
   上記回転規制部を、上記ナット側方のフランジ状の縁部によって形成したことを特徴とする請求項１記載のリヤシートベルト用リトラクタの取付構造。

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