JP4409034B2 - 苗箱対地処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、育苗場に展開されている苗箱を回収したり展開したりする苗箱対地処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
苗箱を回収展開する装置としては、特開平11−75554号公報に開示された技術があり、移動車体上に、苗箱を搬送する後上がり傾斜状のコンベヤ手段を有する傾斜コンベヤ機構と、このコンベヤ手段の前部を浮き上がらせる昇降手段と、前記傾斜コンベヤ機構の前方に位置して地上に展開している苗箱を持ち上げてコンベヤ手段に載せる拾い上げ機構と、傾斜コンベヤ機構と苗箱の受け渡しをする縦横搬送機構と、この縦横搬送機構と後方との間で苗箱の受け渡しをする受け渡し機構とを備えて構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、苗箱を地面から拾い上げて台車等に載せる所要高さまで持ち上げるのに、また、台車から地面に展開するまで、傾斜コンベヤ機構だけで行うことができなく、苗箱を載置して昇降及び前後搬送する縦横搬送機構を必要とし、装置が大がかりになっている。
また、これに伴い、構造が複雑である、コンパクトに構成し難い、大重量になる、コストが高い、処理速度が遅い又は操作がし難い等の問題点がある。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした苗箱対地処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、苗箱を搬送する後上がり傾斜状のコンベヤ手段を、その前後中途部で移動車体上に枢支して、地面と所要高さをひとつのコンベヤ手段で賄うことにより、種々のメリットを享受できるようにした苗箱対地処理装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は基本的に、移動車体2上に、前後中途部が枢支されていて苗箱Nを搬送する後上がり傾斜状のコンベヤ手段3を有する傾斜コンベヤ機構4と、前記コンベヤ手段3の前部を浮き上がらせる昇降手段24とを備えている。
そして、本発明における課題解決のための第1の具体的手段は、前記昇降手段24を移動車体2の後部に配置してコンベヤ手段3の後部を引き下げ可能にしていることである。
【0006】
これによって、コンベヤ手段3の昇降が容易になり、作業性が向上し、昇降手段24の配置構造も簡略化及び適正化される。
本発明における課題解決のための第2の具体的手段は、前記コンベヤ手段3のコンベヤ枠55の前後中途部に上向き揺動可能なリンク14の先端を連結すると共にそれより後方に昇降軸76を設け、移動車体2に前記リンク14の基部を連結すると共に前記昇降軸76を受持する支持台78をリンク基部連結点より上方へ突出していることである。
【0007】
これによって、トラック積載運搬時等に傾斜コンベヤ機構4の前部を十分に上昇させて容易に積み降ろしができるようになり、回収・展開作業時にコンベヤ手段3の前部をフローティング状態にでき、これらにより作業性が向上し、昇降手段24の配置構造も簡略化及び適正化される。
本発明における課題解決のための第3の具体的手段は、前記移動車体2は左右一対のクローラ走行装置54を有し、この左右クローラ走行装置54間に移動車体2及び傾斜コンベヤ機構4を制御する制御手段12を配置していることである。
【0008】
これによって、制御手段12が苗箱対地処理装置の表面側に配置する場合よりもコンパクトになり、ハウス内での作業性が向上する。
本発明における課題解決のための第4の具体的手段は、前記移動車体2上にコンベヤ手段3を跨ぐ支持フレーム41を設け、この支持フレーム41の左右方向略中央部上に移動車体2用の駆動機器42を配置していることである。
これによって、蒲鉾形ハウス内での駆動機器42の障害程度が軽減され、作業性が向上する。
【0009】
本発明における課題解決のための第5の具体的手段は、前記コンベヤ手段3の左右側部に、左右両端の苗箱Nの搬送を案内するガイド手段48を左右方向位置調整可能に設けていることである。
これによって、苗箱Nの搬送が整然となると共にコンベヤ手段3からの脱落が防止でき、使用する苗箱Nの種類、配列状態の自由度が大きくなる、又は同時に搬送する苗箱Nの枚数の変更が可能になる。
本発明における課題解決のための第6の具体的手段は、前記傾斜コンベヤ機構は、コンベヤ手段3の前部下方にコンベヤ手段3の略全幅にわたる接地ローラ50を設けていることである。
【0010】
コンベヤ手段3の前部の移動が円滑になり、特に、地面にシートが敷設してある場合に、シートとの関係性が良好になる。
本発明における課題解決のための第7の具体的手段は、前記移動車体2より前側でかつコンベヤ手段3の前端より後方に、苗箱展開時にその展開に先行してシート82を敷設するシート敷設手段83を左右位置変更可能に設け、このシート敷設手段83の左右幅をコンベヤ手段3より広く形成していることである。
これによって、展開苗箱幅よりも広くかつオフセットしてシートを敷設することが可能になり、はみ出しシート部分に後から苗箱Nを展開することにより、人道の幅と展開苗箱幅とを、既存のハウスの幅に合わせて最適な状態にすることが可能になる。
【0011】
本発明における課題解決のための第8の具体的手段は、前記移動車体2の後部に傾斜コンベヤ機構4と苗箱Nの受け渡しをする台車26を前輪浮き上がり状態で連結し、この台車26の苗箱載置面39に前後傾斜を付けるべく前後支柱101を上下長さ調整自在にしていることである。
これによって、コンベヤ手段3に対して台車26の苗箱載置面39を、苗箱展開時には前下向き傾斜、苗箱回収時には後下向き傾斜させることが可能になり、苗箱Nの搬送処理作業が円滑になる。
【0012】
本発明における課題解決のための第9の具体的手段は、第1〜8のいずれかの具体的手段に加えて、前記傾斜コンベヤ機構4の前方に、地上に展開している苗箱Nを持ち上げてコンベヤ手段3に載せる拾い上げ機構7を備えていることである。
これによって、1台の苗箱対地処理装置を、苗箱展開と苗箱回収の両方に兼用できる。
本発明における課題解決のための第10の具体的手段は、前記拾い上げ機構7は、地上に展開している苗箱Nの縁部Naに掛合して持ち上げながらコンベヤ手段3に乗せる拾い上げ部材15と、この拾い上げ部材15を苗箱縁部Naに掛合する作用姿勢から前進して苗箱Nと掛合しながら後方揺動したときに二つ折りの屈曲姿勢に切り換える切り換え機構16と、拾い上げ部材15が作用姿勢になったときに当接する作用緩衝部材105及び屈曲姿勢になったときに当接する屈曲緩衝部材106の少なくとも一方とを備えていることである。
【0013】
これによって、拾い上げ部材15を騒音を減少しながら、作用姿勢にしたり、屈曲姿勢したりすることが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜11において、苗箱対地処理装置1は大別して、移動車体2と、この移動車体2上に配置された傾斜コンベヤ機構4と、この傾斜コンベヤ機構4から前方に突出した拾い上げ機構7とを備え、移動車体2に1台以上の台車26を着脱自在に連結している。
前記拾い上げ機構7は苗箱対地処理装置1を苗箱Nの回収作業のときに必要であり、苗箱対地処理装置1を展開作業専用機とする場合は、外しておいてもよい。
【0015】
移動車体2は、平面視略四角枠状の機体53の左右に一対のクローラ走行装置54を備え、機体53から傾斜コンベヤ機構4を跨ぐ支持フレーム41を立設しし、この支持フレーム41上にエンジン、燃料タンク、発電機等の駆動機器42を搭載している。
左右クローラ走行装置54は電動モータ駆動式であるが、支持フレーム41上に油圧ポンプを搭載して、油圧モータ駆動式にすることも可能である。
傾斜コンベヤ機構4は、矩形状コンベヤ枠55に前端、後端及び中途部にローラを設け、このローラにベルト56を張って後上がり傾斜状のコンベヤ手段3を形成しており、前記コンベヤ枠55の後部に設けた駆動モータ57によって正逆転可能に駆動される。
【0016】
このコンベヤ手段3の搬送速度は、制御手段12を介して移動車体2の移動速度と同期又は非同期させ得るようになっていて、制御手段12でコンベヤ手段3を苗箱処理に最適な搬送速度に設定可能である。前記制御手段12はリモートコントロール式又はラジオコントロール式の遠隔操作手段によって設定及び操作が可能になっている。
前記制御手段12は移動車体2及び傾斜コンベヤ機構4を制御すると共に、拾い上げ機構7を備えている場合はその制御も可能であり、その制御ボックスは移動車体2の左右クローラ走行装置54の間で機体53に取付けられている。
【0017】
この制御手段12は、支持フレーム41上の駆動機器42の横に搭載することも可能であるが、左右クローラ走行装置54間に配置する方が装置全体をコンパクトにできる。また、支持フレーム41上に制御手段12がないと機器占有面積が小さくなり、駆動機器42を支持フレーム41の左右方向略中央に配置することが可能になる。
駆動機器42を支持フレーム41の左右方向略中央に配置することは、苗箱対地処理装置1の正面視形状が上方先細り状となり、例えば、蒲鉾形ハウス内で作業をするとき、側方下がり円弧状のハウス屋根に対して支持フレーム41をより近接できることになり、即ち、駆動機器42による障害(妨害)程度が軽減され、ハウス内の左右隅部まで苗箱Nの展開・回収ができ、敷地面積をより有効に利用できることになる。
【0018】
図5において、前記コンベヤ枠55の前下部には取付けブラケット55aが設けられ、この取付けブラケット55aに枢支ピン50bを介してブラケット50aが支持され、ブラケット50aは接地ローラ50を回転自在に支持していて、設定ピン50cによって角度設定されている。
前記接地ローラ50は設定ピン50cの位置を変更することにより上下位置を調整可能であり、コンベヤ手段3の略全幅にわたる長さに形成されていて、接地圧が低くなると共に、接地して転動するのでコンベヤ手段3の移動が円滑に行われる。
【0019】
この接地ローラ50の代わりに左右一対のそり体を使用することもできるが、そり体であると、接地圧が高くなり、地面と摺接するので、特にシート(マルチシート)を敷設して苗箱回収時にその上を移動すると、シートを破損したりグチャグチャにしたりすることがあり、回収作業を正常かつ円滑に行い難くなる。接地ローラ50を使用すると、このような問題点を総て解消できる。
また、苗箱Nをシートを敷設しながら展開していくとき、接地ローラ50は苗箱Nに先行してシートを押さえるので、シート下側の空気を押し出し、シートを適正状態に敷設することを可能にする。
【0020】
前記接地ローラ50が接地した状態で、コンベヤ手段3の前端は地面から若干浮き上がった状態に配置される。この接地状態で、コンベヤ手段3は前端から後部近傍までが後上がり傾斜状で、後部近傍で屈曲し、後部が略水平に配置されることになる。
前記傾斜コンベヤ機構4は、コンベヤ枠55の前端にブラケット58aを突出して回転軸58を支持しており、コンベヤ手段3から伝動手段11を介して動力伝達可能になっている。この伝動手段11はチェーン巻掛伝動手段及び電磁クラッチ等を有して構成されていて、コンベヤ手段3の動力を同期(等速)又は非同期(増減速)で伝達し、また、コンベヤ手段3を駆動していても回転軸58を停止することが可能になっている。
【0021】
前記回転軸58には回転体9が装着されて持ち上げ手段5が構成されている。この回転体9は断面楕円形の棒状部材で形成され、その膨出部位(径長先端側)の外面に軸方向に間隔をおいて突部を設けている。この突部の軸方向の間隔は苗箱Nの短辺の長さより短く設定されていて、1枚の苗箱Nに対して2つ以上の突部が掛合できるように配置されており、苗箱Nの周囲の縦リブNbの間で縁部Naと掛合する。また、先行する突部が持ち上げた苗箱Nの底の縁を後行の突部が掛合する。
【0022】
持ち上げ手段5の回転体9は、接地ローラ50が接地した状態でコンベヤ手段3の前端よりも地面に近接され、図5において時計方向に回転することにより、地上に展開している苗箱Nの縁部Naに突部を掛合して持ち上げ、移動車体2の前進力によって、持ち上げた苗箱Nをコンベヤ手段3の上に載せて行く。
持ち上げ手段5はコンベヤ枠55に堅牢に支持され、接地ローラ50からも遠く離れているものでないので、苗箱Nを強力に持ち上げることができ、苗箱Nの苗の根が地面に絡んでいても確実に持ち上げて搬送処理する。
【0023】
また、回転体9は回転するので、苗箱Nを連続して持ち上げることができ、1つの突部が掛合を失敗しても順次後続の突部が掛合に関与でき、苗箱持ち上げが極めて確実にできる。
さらに、回転体9は突部が最径大部の外周回転域内に位置すると、苗箱Nの下にシートを敷いてあっても、そのシートを引っ掛けて巻き込むということがない。
前記コンベヤ手段3の左右側部に、外側方突出状に、左右両端の苗箱Nの搬送を案内するガイド手段48を左右方向位置調整可能に設けている。
【0024】
この左右各ガイド手段48は、図4〜6、8に示すように、コンベヤ手段3の略全長にわたる長さの板又は棒等で形成されたガイド部材95を前後一対の平行リンク96でコンベヤ枠55に支持している。前記平行リンク96のひとつ(後側)はコンベヤ枠55に設けた設定部材97で角度設定されており、この平行リンク96の角度を変更することにより、ガイド部材95はコンベヤ手段3に対して遠近方向に位置調整され、左右間隔調整される。
前記設定部材97には平行リンク96の基軸を中心にした円弧溝97aが形成され、平行リンク96に貫通した蝶ネジ(止め具)97bをこの円弧溝97aに貫通し、蝶ネジ97bを締結することにより、平行リンク96を調整位置に固定するようになっている。
【0025】
苗箱Nの大きさは略規格化されているが、多少の大きさの異なる種類のものがあり、使用中に変形することもあり、また、苗箱Nをラフに配列したい場合があり、このような場合に左右ガイド部材95間隔を調整する。
従って、ガイド手段48を設けることによって、苗箱Nが整然と搬送され、コンベヤ手段3からの苗箱Nの脱落が防止でき、使用する苗箱Nの種類、配列状態の自由度が大きくでき、また、同時に搬送する横1列の苗箱Nの枚数の変更が可能になる。
【0026】
傾斜コンベヤ機構4のコンベヤ枠55から前上方に支持枠6が突出されており、この支持枠6に多数本の拾い上げ部材15を有する拾い上げ機構7が設けられている。
前記拾い上げ部材15は、左右方向において苗箱Nの短辺長さの半分より短い間隔で複数本設けており、苗箱Nの並べ方が短辺と長辺のどちらが左右方向になっていても、総ての苗箱Nに対して2本以上の拾い上げ部材15が掛合して、拾い上げることができるようになっている。
【0027】
すなわち、拾い上げ部材15は少なくとも2つが苗箱Nの縁部Naと掛合するようになっており、一般的な苗箱Nは60cmX30cmであるので、拾い上げ部材15の左右間隔は、15cm以下に設定されている。
この拾い上げ部材15は、先端17aが苗箱Nの縁部Naと掛合可能に略L字状に屈曲された爪部材17と、この爪部材17と屈曲可能に連結されていて左右方向の支持軸23に枢支されたアーム部材18とで形成されている。
支持枠6の前部には支持ブラケット66が複数設けられており、この各支持ブラケット66に設けた支持軸23に2本1組で前記アーム部材18の上部が枢支されている。アーム部材18の支持軸23に嵌合する孔は長手方向の長孔18aとなっており、アーム部材18の上下移動を許容している。
【0028】
前記アーム部材18は、断面コ字状のチャンネル材等で形成されており、爪部材17の上端に棒材を固着して形成された軸部17bを揺動自在に支持しており、アーム部材18の中途部のピン18bと爪部材17の中途部のピン17cとの間に引っ張りバネ67が張設されている。
この引っ張りバネ67は不安定切換手段19を構成するものであり、アーム部材18に対して爪部材17を直線状態S(図5に示す)を境にして、爪部材17がアーム部材18の先端に当接した状態と、爪部材17が直線状態を越えて揺動した状態とを弾力的に切り換えることができる。
【0029】
前記爪部材17がアーム部材18の先端に弾力的に当接した状態では、爪部材17はアーム部材18に対して若干屈曲しているが略直線に近い状態であり、この状態が苗箱縁部Naに掛合する作用姿勢となる。
支持枠6には左右方向全幅にわたって横棒68が設けられ、この横棒68に各爪部材17に対向してゴム等の弾性体で形成された作用緩衝部材105が設けられている。
前記横棒68及び作用緩衝部材105は作動手段20を構成するもので、前記作用姿勢で後方へ揺動したきた爪部材17の比較的上部と当接し、その揺動を規制するようになっている。作用緩衝部材105は爪部材17と横棒68とが直接に当接して騒音を発生しないように設けられており、これにより爪部材17の耐久性も向上する。
【0030】
前記爪部材17の比較的上部が横棒68に当接した状態(図5に2点鎖線で示す)から、爪部材17の下部が相対的にさらに後方へ移動すると、爪部材17は横棒68を中心に先端17aが後上方へ移動するように跳ね上がり動作をし、アーム部材18に対して直線状態Sを越えた揺動となり、直線状態Sを越えると引っ張りバネ67による付勢力の方向は、拾い上げ部材15を二つ折りの屈曲姿勢にするように切り換わる。
拾い上げ部材15が二つ折りの屈曲姿勢(図5に一点鎖線で示す)になると、アーム部材18は元位置に戻るが、この元位置でアーム部材18を受け止めるために支持枠6の前部には、ブラケットを介して取付けられた棒材107に、ゴム等の弾性体で形成された屈曲緩衝部材106が各アーム部材18に対向して設けられている。
【0031】
この屈曲緩衝部材106も、アーム部材18が棒材107と直接に当接して騒音を発生しないように、また、爪部材17の耐久性を向上するように設けられている。
前記爪部材17は、二つ折れ動作で傾斜姿勢から略水平姿勢に急激に変化して先端17aが上昇するので、掛合していた苗箱Nを瞬時に離し、苗箱Nをコンベヤ手段3上に確実に落下する。
前記不安定切換手段19及び作動手段20等により、拾い上げ部材15を苗箱縁部Naに掛合する作用姿勢から前進して、苗箱Nと掛合しながら後方揺動したときに二つ折りの屈曲姿勢に切り換える切り換え機構16が構成されている。
【0032】
支持枠6の支持軸23より後側には支軸70を介して揺動アーム71が枢支され、この揺動アーム71の先端に全アーム部材18と当接可能な横棒材72が設けられている。
73は略円形状の駆動カム体で、支持枠6に固定の駆動モータ74の出力軸に設けられており、前記揺動アーム71を前後揺動すべくリンク75を介して連動連結している。
前記支持枠6には、リミットスイッチ、マイクロスイッチ等で形成された2個の検出体69が設けられており、前記駆動カム体73の略半回転を検出するように配置されている。
【0033】
前記揺動アーム71、横棒材72、駆動カム体73、検出体69等によって揺動手段21が形成されており、拾い上げ部材15が二つ折りの屈曲姿勢になっている状態で揺動アーム71を後方向(図5で反時計方向)に揺動すると、アーム部材18を後方向に揺動して、爪部材17と略直線状態の作用姿勢に姿勢変更する。
なお、屈曲緩衝部材106を前記横棒材72に設けて、横棒材72で二つ折れ動作時のアーム部材18を受け止めるようにしてもよい。
【0034】
前記不安定切換手段19、作動手段20及び揺動手段21等によって拾い上げ機構7が構成されている。
従って、拾い上げ部材15は、アーム部材18に対して爪部材17を略直線状態にした略垂下状態の作用姿勢にしておいて、その状態で前進させると爪部材17が苗箱Nと掛合し、この状態から移動車体2をさらに前進させると拾い上げ部材15が相対的に後方揺動し、爪部材17が作動手段20の横棒68上の作用緩衝部材105に当接することによって、不安定切換手段19が作動して爪部材17とアーム部材18とは急激に二つ折りの屈曲姿勢に切り換わり、爪部材17の跳ね上がりにより縁部Naから外れて苗箱Nをコンベヤ手段3上に移載する。
【0035】
その後に、駆動カム体73を略180度回動して、揺動手段21の横棒材72を後方移動してアーム部材18を揺動し、拾い上げ部材15を作用姿勢に戻す。さらに駆動カム体73を略180度回動すると、横棒材72は前方移動し、作用姿勢の拾い上げ部材15を元の苗箱掛合可能位置に戻す。
苗箱対地処理装置1を後進したり、作業位置に移動したりするときは、揺動手段21を作動して、略垂下状態で接地している拾い上げ部材15を作用姿勢のまま後方へ揺動し、爪部材17を上方に退避させておき、拾い上げ部材15が地面につっかえるというのを回避する。
【0036】
なお、アーム部材18は長孔18aが支持軸23に嵌合しているので、苗箱Nと掛合するときも、苗箱対地処理装置1を後進するときも、拾い上げ部材15はつっかえることなく上方に逃げることができる。また、拾い上げ部材15を二つ折り屈曲姿勢のまま保持しておけば、拾い上げ機構7を苗箱対地処理装置1の前部に装備していても、苗箱Nの回収作業ができる。
前記傾斜コンベヤ機構4のコンベヤ枠55の左右側面には、前後方向中途部にリンク14の先端部が枢支軸77を介して連結され、それより後方位置に昇降軸76が設けられており、前記リンク14の基部は軸80を介して支持フレーム41に枢支連結されている。
【0037】
支持フレーム41の支持部材84には、図6、9に示すように、リンク14を略水平状態に受け止める受け部84aが形成されており、リンク14は軸80を中心にして先端の枢支軸77が上動するような揺動は許容されているが、水平姿勢より下には揺動しないようになっている。
即ち、リンク14は上向き開放の断面コ字部材で形成され、支持フレーム41の支持部材84も上向き開放の断面コ字部材で形成され、リンク14は水平に受持され、ピン85を貫通することにより、支持フレーム41に固定可能になっている。
【0038】
前記支持フレーム41の支持部材84には、軸80より後方位置に支持台78が立設されており、この支持台78の上面に昇降軸76が当接可能になっている。
前記リンク14、昇降軸76、ピン85及び支持台78等は、機体53に対してコンベヤ枠55を連結するための連結手段25を構成すると共に昇降手段24の一部をも構成する。
昇降手段24は、ケーブル79を巻き取るウインチであり、ケーブル79の先端は支持フレーム41の後部に連結されていて、傾斜コンベヤ機構4の後部を引き下げ可能にしている。なお、前記ウインチは手動式であるが、電動式にしてもよい。
【0039】
昇降手段24のウインチを作動することにより、傾斜コンベヤ機構4の後部を上下移動し、これにより傾斜コンベヤ機構4を枢支軸77を中心に上下揺動させることができ、停止することにより傾斜コンベヤ機構4の前部を所要高さで保持可能になっている。
昇降手段24で傾斜コンベヤ機構4の後部を引き下げると、支持台78の上面に昇降軸76が当接することになり、ピン85を抜いて更に引き下げると、リンク14の上向き揺動を伴いながら、コンベヤ枠55は昇降軸76を中心に揺動し、枢支軸77を中心とする揺動よりも上位で揺動し、図3に2点鎖線で示されるように、傾斜コンベヤ機構4の前部をより高く持ち上げることができるようになる。
【0040】
前記傾斜コンベヤ機構4は、枢支軸77が傾斜コンベヤ機構4の前後方向の略重心位置又は若干後方位置に位置しており、昇降手段24のウインチを弛めた状態で、接地ローラ50が地面に軽く接地するようになり、その状態で地面と苗箱Nの受け渡しをする対地作業ができるように設定されている。
そして、前記昇降手段24を作動して傾斜コンベヤ機構4の前部を地面から浮き上がらせ、昇降軸76を中心に上昇揺動させると、傾斜コンベヤ機構4の前部が地面に当たることなく移動できる姿勢となる。育苗場内等での移動にはこのような姿勢が採られる。
【0041】
また、トラックに搭載して運搬するときは、昇降軸76を中心に傾斜コンベヤ機構4を大きく揺動して前部を高く持ち上げ、傾斜コンベヤ機構4の前部が歩み板に当接するのを回避する。
前述のように、傾斜コンベヤ機構4はその前後方向中途部、特に重心位置近傍に対地作業時の連結枢支点を設定していることにより、前後バランスが良好になると共に、傾斜コンベヤ機構4を後上方へ長く延設することが可能になり、昇降手段24で傾斜コンベヤ機構4の姿勢を簡単かつ容易に変更・維持することができる。また、傾斜コンベヤ機構4を揺動する昇降手段24の動力も小さくて済み、コストダウンを図ることができる。
【0042】
前述した構成によれば、前記リンク14、軸76、77、80、ピン85等と昇降手段24との簡単かつ安価な構成で、傾斜コンベヤ機構4を苗箱N受け渡し可能な姿勢及び前部浮き上がり姿勢(上方待機姿勢)に変更でき、しかも姿勢変更操作も極めて簡単にできる。
前記移動車体2から前下方へシート敷設手段83が突出されている。このシート敷設手段83は、移動車体2に互いに連結された左右一対のアーム84の基部が枢支連結され、この左右アーム84の先端に支持軸85aを有する支持体85が左右移動自在に支持され、この支持体85の支持軸85aに巻き状態のシート82が回転自在に支持されている。
【0043】
前記マルチシート82は移動車体2より前側でかつコンベヤ手段3の前端より後方に位置し、苗箱展開時にシート82先端を拾い上げ機構7より前方まで引き出して止めておき、その上に苗箱Nを展開していく。苗箱対地処理装置1の後進に伴ってシート82は順次繰り出され、苗箱Nに先行して敷設される。
このシート敷設手段83は、支持軸85aの軸長さ及びシート82の左右幅がコンベヤ手段3より広くなっており、シート82の左右一端をコンベヤ手段3の一端に合わせると、他端はコンベヤ手段3から大きく突出してオフセット状態になり、このオフセット状態は支持体85を左右位置変更することにより、コンベヤ手段3の左右どちらにでも設定できかつ変更できる。
【0044】
これによって、展開苗箱幅よりも広くかつオフセットしてシートを敷設することが可能になり、はみ出しシート部分に後から苗箱Nを展開することにより、人道93の幅と展開苗箱幅とを、既存のハウスの幅に合わせて最適な状態にすることが可能になる。
前記苗箱対地処理装置1は、左右方向5枚の苗箱Nを同時処理可能になっており、一般的な育苗用のハウスは間口3間(540cm)であり、このようなハウスに前記60cmX30cmの苗箱Nを縦長にして左右方向5枚づつ1度に展開できる。
【0045】
図2において、苗箱対地処理装置1で幅210〜220cmのシート82を使用して苗箱Nを展開する場合、まず、シート敷設手段83を右にオフセットしてハウスの左側に沿ってシート82を敷設しながら5枚の苗箱Nを展開する。次に、シート敷設手段83を左にオフセットしてハウスの右側に沿ってシート82を敷設しながら5枚の苗箱Nを展開する。
すると、ハウスの中央側には人道93とその左右の苗箱Nが未展開のシート82端部が形成される。即ち、この人道93の幅が例えば、30cmになるように前記展開作業をしておく。
【0046】
最後の展開作業時にシート敷設手段83を使用しないで、また、コンベヤ手段3の左右方向中央に苗箱Nを供給しないようにして、左右2枚づつの苗箱Nを前記シート82の端部に載置するように展開作業をする。これにより人道93を挟んで左右各7列の苗箱Nが展開されることになる。
なお、回収作業は、前記展開作業と反対方向に苗箱対地処理装置1を移動して逆順で行われる。また、人道93の左右各苗箱N枚数を7枚以外の複数枚に設定することは可能であり、ハウスの大きさに合わせて設定されるが、間口3間のハウスでは人道93を1本のみにすることが最も効率的である。
【0047】
図10、11において、移動車体2の後方には傾斜コンベヤ機構4と苗箱Nの受け渡しをする台車26が配置されてる。この台車26は苗箱Nを載置搬送可能なローラコンベヤ台車であり、前輪27F及び後輪27Rを有し、人為的に押すことにより移動可能になっており、前輪浮き上がり状態で移動車体2と連結する連結手段28を備えている。
連結手段28は機体53の後端に設けた凹部28a(図3に示す)と台車26の前部に設けた連結杆製の被連結部31とを有し、地上から凹部28aまでの距離は、地上から被連結部31までの距離より若干長く設定されており、台車26の前部を持ち上げながら、被連結部31を凹部28aに挿入することにより、移動車体2に対して台車26が連結され、かつ前輪27Fが浮き上がった状態(図1に示す寸法Tだけ浮き上がった状態)になり、移動車体2を操舵したとき、その操舵に台車26が容易に追随することになる。なお、車輪27はフリーキャスタ式であることが好ましい。
【0048】
前記台車26にはその後部に後続台車33が後続連結手段34で連結されている。この後続台車33も苗箱Nを載置搬送可能なローラコンベヤ台車であり、後続連結手段34は、前記台車26の後下部に設けた連結ピン90と、後続台車33の前下部に設けたフック91と、このフック91を後続台車33の後方から回動操作する操作手段35とを有している。
フック91は先端外面に案内面を有し、台車26に後続台車33を近づけていったときに、連結ピン90に案内面が当たって一旦逃げるように回動した後に、連結ピン90に係合するようになっている。
【0049】
また、操作手段35は紐又はワイヤ等で形成されており、その一端はフック91に連結され、他端は後続台車33の後部に連結されており、引っ張り操作することにより、フック91を連結ピン90から離脱する方向に回動し、フック91を離脱した状態で後続台車33を後方移動すると、台車26との連結が解除される。
36は台車26の後端に設けたスクレーパ兼用のストッパ部材であり、その上部が台車26の苗箱載置面39より上側に突出しており、退避手段37によって苗箱載置面39より下側になるように退避可能になっている。
【0050】
前記ストッパ部材36は、金属、ゴム材或いはプラスチックで、帯板状にしたもの、帯板の上部を波形状或いは凹凸形状にしたもの、又は棒材をコ字状に屈曲したもの等で形成されており、その上下方向中途部が支点軸92で台車26の後上部に横軸回り揺動自在に支持されており、コイルスプリング等でその上端が苗箱載置面(コンベヤ面)39から突出するように付勢されている。
前記退避手段37は、後続台車33の前部に設けた突出部材であり、後続台車33を台車26に近づけていくと、退避手段37がストッパ部材36の下側に当接してコイルスプリングに抗して揺動させ、ストッパ部材36の上部を苗箱載置面39より下側まで移動させる。
【0051】
前記ストッパ部材36は、台車26に後続台車33を連結しないときに、苗箱載置面39から苗箱Nが落下するのを防止し、台車26に後続台車33を連結したときに、台車26と後続台車33との間で苗箱Nを受け渡しできるように退避する。
前記台車26は、前輪27F及び後輪27Rを有する基台94と、苗箱載置面39を形成する上台95とは、それぞれ筒材又は溝型鋼を上下に突出して入れ子式に嵌合して、前部、後部及び中間部の長さ調整可能な支柱96を形成しており、各支柱96は伸縮させた位置で固定する留め具を有している。
【0052】
前側支柱96Fと後側支柱96Rとを略同一長さにして、又は前側支柱96Fを後側支柱96Rより長くして、台車26を前浮き上がり状態で移動車体2に連結すると、台車26の苗箱載置面39は後下向き傾斜となり、苗箱Nを回収するときに自然搬送可能となり、後側支柱96Rを長く伸ばして苗箱載置面39を前下向き傾斜状態にすると、苗箱Nを展開するときに、台車26側から傾斜コンベヤ機構4への苗箱Nの供給が容易になる。
従って、支柱96長さを伸縮自在にすることにより、動力を使用することなく、台車26上での苗箱Nの搬送が可能になり、構造の簡略化とコストダウンを図ることができる。
【0053】
後続台車33は、前部、後部及び中間部の支柱96を長さ調整可能にしているが、展開作業時においても、回収作業時においても、箱載置面39を水平に設定されており、その高さが変更され、台車2の後端に対して略一致する高さに設定される。
次に、前述した実施の形態の苗箱対地処理装置1における苗箱Nの処理動作を説明する。
育苗ハウスにおいて横長状態又は縦長状態に多数枚が多数列に敷設されている苗箱Nを回収する場合、傾斜コンベヤ機構4を昇降手段24で図3の2点鎖線位置まで上昇させた状態で、苗箱対地処理装置1を育苗ハウスまで移動し、苗箱Nの前後方向に平行に配置する。
【0054】
この際、台車26は機体53に予め連結しておいても、育苗ハウスで連結してもよく、移動時も苗箱回収作業中も、台車26は前輪27Fが浮き上がった状態で移動車体2に連結されるので、移動車体2の操舵に良好に追従する。
昇降手段24で傾斜コンベヤ機構4の後部を上げて前部を下げ、接地ローラ50を接地させ、爪部材17の先端17aを略接地させ、持ち上げ手段5の回転体9を地面に近接させ、その状態で移動車体2を前進させる。マルチシートを敷設している場合は、接地ローラ50及び爪部材17はシート上面に接する。
【0055】
移動車体2の前進に伴い、多数本の爪部材17の先端17aが複数枚の苗箱Nの縁部Naに同時に引っ掛かる。さらに移動車体2を前進すると、各拾い上げ部材15が略直線姿勢で後方揺動し、各苗箱Nの端部を持ち上げ、爪部材17が作動手段20の横棒68の作用緩衝部材105に当接することにより、不安定切換手段19が作動して拾い上げ部材15が二つ折れ姿勢となり、アーム部材18に対して爪部材17が跳ね上がって苗箱Nから外れ、苗箱Nをコンベヤ手段3上に落下する。
【0056】
二つ折れ姿勢となった拾い上げ部材15は、アーム部材18が屈曲緩衝部材106に当接した状態から、揺動手段21の作動によって爪部材17と略直線姿勢になるように戻され、揺動手段21の横棒材72が元位置に戻ることによって、拾い上げ部材15は次の苗箱Nと掛合可能な垂下姿勢に戻される。
拾い上げ部材15が苗箱Nの拾い上げを失敗した場合、または、拾い上げ機構7を設けていない場合、地上の苗箱Nに持ち上げ手段5の回転体9の突起が回転しながら当接し、縁部Naと掛合して苗箱Nを強力に持ち上げ、突部による断続的な掛合によって、苗箱Nは上下振動を伴いながらコンベヤ手段3上に載せられる。
【0057】
コンベヤ手段3上に載った苗箱Nは、コンベヤ手段3の正転動作によってコンベヤ手段3の後上部へ送られかつ台車26へ移載され、台車26の後端のストッパ部材36で止められるまで滑落し、苗箱載置面(コンベヤ面)39に溜められる。台車26上の苗箱Nは人為的に取り出される。この取り出しの際に、ストッパ部材36の上縁をスクレーパとして使用し、苗箱Nの下面の付着土を除去する。
台車26に後続台車33を連結する場合は、後続台車33を台車26の真後から近づけ、後続連結手段34で連結し、ストッパ部材36を退避手段37で苗箱載置面39より下方に退避させる。
【0058】
回収した苗箱Nを載置した後続台車33を台車26から分離して育苗ハウスから取り出す場合は、後続台車33の真後から操作手段35を操作して、後続連結手段34を連結解除する。
育苗ハウスに苗箱Nを展開する場合、拾い上げ機構7は使用しないので、揺動手段21を作動して垂下姿勢の拾い上げ部材15を後上方へ持ち上げておき、持ち上げ手段5も使用しないので、回転体9の突部がコンベヤ手段3のコンベヤ面38から突出しない状態で停止しておく。
【0059】
そして、傾斜コンベヤ機構4を昇降手段24で図3の2点鎖線位置まで上昇させた状態で、苗箱対地処理装置1を育苗ハウスの左右側部でかつ苗箱Nの敷設端部まで移動し、昇降手段24で傾斜コンベヤ機構4を下げて接地ローラ50を接地させ、持ち上げ手段5の回転体9を地面に近接させる。
台車26及び後続台車33には予め苗箱Nを載置しておいても、後から載置してもよく、苗箱載置面39を前下向き傾斜させておき、コンベヤ手段3を逆転させながら、その上に台車26から苗箱Nを送り込み、コンベヤ手段3から苗箱Nを順次地上(シート82上)に展開し、苗箱Nを1列展開毎に移動車体2を後進させていく。
【0060】
この際、コンベヤ手段3の搬送力で後行展開苗箱Nを前方へ押動して、先行展開苗箱Nに対して押圧させるようにすることにより、前後展開苗箱Nを詰めて展開することができる。
前後展開苗箱Nを詰めるには、苗箱対地処理装置1を前進して回転体9を介して後行展開苗箱Nを先行展開苗箱Nに押し付ける方法もあるが、コンベヤ手段3の搬送力で後行展開苗箱Nを押し付ける方が、苗箱対地処理装置1の前進動作が不要になるので、処理作業を迅速化しかつ効率を向上できる。
【0061】
シート82を使用する場合は、シート敷設手段83からシート82を前方に引き出し、接地ローラ50及び回転体9の下方を通して苗箱展開域の前端止めておき、その上に苗箱Nを展開していく。
敷設シート82の片側に沿って苗箱Nを展開してシート82の反対側を残しておき、このシート82と人道93を挟んで次のシート82をオフセットして展開しながら、そのシート82の外側に沿って苗箱Nを展開し、最後に左右のシートオフセット部分に人道93を挟んで苗箱Nを展開する。
【0062】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、昇降手段24を移動車体2の後部に配置してコンベヤ手段3の後部を引き下げ可能にしている構成、コンベヤ枠55をリンク14で支持フレーム41に連結する構成、左右クローラ走行装置54間に制御手段12を配置する構成、支持フレーム41の左右方向略中央部上に駆動機器42を配置する構成、ガイド手段48を左右方向位置調整可能に設ける構成、接地ローラ50をコンベヤ手段3の略全幅にわたる長さにする構成、シート敷設手段83を左右位置変更可能にかつ左右幅をコンベヤ手段3より広くした構成、台車26の前後支柱101を上下長さ調整自在にした構成、拾い上げ部材15用の作用緩衝部材105及び屈曲緩衝部材106の少なくとも一方を備える構成等は、どれかひとつのみ備えていてもよく、複数備える場合は組み合わせを適宜選択してもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、苗箱Nを地面から拾い上げて台車26等に載せる所要高さまで持ち上げるのに、また、苗箱Nを台車26から地面に展開するのに、多くのコンベヤは必要なく、傾斜コンベヤ機構4だけで行うことができ、装置の簡略化、軽量化、コンパクト化、コストダウン化等が可能になり、苗箱Nの展開・回収作業の高速化、容易化等も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】台車を連結した本発明の実施の形態を示す全体側面図である。
【図2】同全体平面図である。
【図3】台車を離脱した本発明の実施の形態を示す全体側面図である。
【図4】同全体平面図である。
【図5】拾い上げ機構及び傾斜コンベヤ機構前部の一部断面側面図である。
【図6】傾斜コンベヤ機構及びシート敷設手段の側面図である。
【図7】拾い上げ機構の斜視図である。
【図8】ガイド手段の平面図である。
【図9】コンベヤ手段の支持部分の側面図である。
【図10】台車及び後続台車を示す側面図である。
【図11】同平面図である。
【符号の説明】
1 苗箱対地処理装置
2 移動車体
3 コンベヤ手段
4 傾斜コンベヤ機構
7 拾い上げ機構
24 昇降手段
25 連結手段
26 台車
N 苗箱
Na 縁部
Claims (10)
- 移動車体上に、前後中途部が枢支されていて苗箱を搬送する後上がり傾斜状のコンベヤ手段を有する傾斜コンベヤ機構と、前記コンベヤ手段の前部を浮き上がらせる昇降手段とを備えており、
前記コンベヤ手段のコンベヤ枠の前後中途部に上向き揺動可能なリンクの先端を連結すると共にそれより後方に昇降軸を設け、移動車体に前記リンクの基部を連結すると共に前記昇降軸を受持する支持台をリンク基部連結点より上方へ突出していることを特徴とする苗箱対地処理装置。 - 前記昇降手段を移動車体の後部に配置してコンベヤ手段の後部を引き下げ可能にしていることを特徴とする請求項1に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記移動車体は左右一対のクローラ走行装置を有し、この左右クローラ走行装置間に移動車体及び傾斜コンベヤ機構を制御する制御手段を配置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記移動車体上にコンベヤ手段を跨ぐ支持フレームを設け、この支持フレームの左右方向略中央部上に移動車体用の駆動機器を配置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記コンベヤ手段の左右側部に、左右両端の苗箱の搬送を案内するガイド手段を左右方向位置調整可能に設けていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記傾斜コンベヤ機構は、コンベヤ手段の前部下方にコンベヤ手段の略全幅にわたる接地ローラを設けていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記移動車体より前側でかつコンベヤ手段の前端より後方に、苗箱展開時にその展開に先行してシートを敷設するシート敷設手段を左右位置変更可能に設け、このシート敷設手段の左右幅をコンベヤ手段より広く形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記移動車体の後部に傾斜コンベヤ機構と苗箱の受け渡しをする台車を前輪浮き上がり状態で連結し、この台車の苗箱載置面に前後傾斜を付けるべく前後支柱を上下長さ調整自在にしていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記傾斜コンベヤ機構の前方に、地上に展開している苗箱を持ち上げてコンベヤ手段に載せる拾い上げ機構を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の苗箱対地処理装置。
- 前記拾い上げ機構は、地上に展開している苗箱の縁部に掛合して持ち上げながらコンベヤ手段に乗せる拾い上げ部材と、この拾い上げ部材を苗箱縁部に掛合する作用姿勢から前進して苗箱と掛合しながら後方揺動したときに二つ折りの屈曲姿勢に切り換える切り換え機構と、拾い上げ部材が作用姿勢になったときに当接する作用緩衝部材及び屈曲姿勢になったときに当接する屈曲緩衝部材の少なくとも一方とを備えていることを特徴とする請求項9に記載の苗箱対地処理装置。
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