JP4408600B2 - 画像圧縮装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、画像圧縮装置に関し、特にたとえば、監視カメラシステムに適用され、監視カメラから出力される画像信号を圧縮する、画像圧縮装置に関する。
【0002】
【従来技術】
監視カメラで捉えた画像を記録する監視カメラシステムにおいて、近年、記録媒体としてハードディスクを採用するものが普及しつつある。かかる監視カメラシステムでは、ハードディスクにできるだけ多くの画像データを記録するために、ハードディスクへの記録に先立って画像データを圧縮する。また、圧縮後のいわゆる圧縮画像データのサイズ(容量)が所定サイズ以下になるように、圧縮時の圧縮率を調整する。具体的には、圧縮画像データのサイズが所定サイズを超える場合には、圧縮率を変更した上で再度画像データを圧縮するという処理を繰り返す。このように圧縮画像データのサイズを所定サイズ以下に抑えることで、圧縮画像データの取り扱いおよびハードディスクの容量管理が容易になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の監視カメラシステムでは、圧縮処理を何度繰り返しても圧縮画像データのサイズが所定サイズ以下に収まらない場合には、次の画像データ(画面)を取り込むべく、それまでの圧縮処理を中止するとともに、当該所定サイズ以下に収まらなかった圧縮画像データについては記録せずに廃棄していた。その結果、いわゆるコマ落ちという監視カメラシステムでは極めて好ましくない問題が発生していた。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、コマ落ちを確実に防止できる、画像圧縮装置を提供することである。
【0005】
第1の発明に従う画像圧縮装置は、周期的に繰り返し取り込まれる各画像データのサイズを第1閾値以下にして記録手段に記録する画像圧縮装置であって、画像データを設定された圧縮率で圧縮する圧縮手段、圧縮手段による圧縮の圧縮率を設定する設定手段、圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいか否かを判断するサイズ判断手段、圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データの一部を削除してデータサイズが第1閾値以下に抑えられた画像ファイルを生成する生成手段、および圧縮手段によって実行される画像データの圧縮の回数が前記周期の間に当該圧縮を繰り返し実行できる回数の上限である第2閾値より大きくなったか否かを判断する回数判断手段を備え、設定手段は、サイズ判断手段が圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいと判断する場合にはより高い圧縮率を設定し、生成手段は、回数判断手段が圧縮手段による画像データの圧縮の回数が第2閾値より大きくなったと判断した場合に圧縮画像データの一部を削除して画像ファイルを生成する、画像圧縮装置である。
【0006】
第2の発明は、第1の発明の画像圧縮装置を備える、監視カメラシステムである。
【0007】
【作用】
周期的に繰り返し取り込まれる各画像データのサイズを第1閾値以下にして記録手段に記録する画像圧縮装置において、圧縮手段は画像データを設定された圧縮率で圧縮し、設定手段は圧縮手段による圧縮の圧縮率を設定する。また、サイズ判断手段は圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいか否かを判断する。さらに、生成手段は圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データの一部を削除してデータサイズが第1閾値以下に抑えられた画像ファイルを生成し、回数判断手段は圧縮手段によって実行される画像データの圧縮の回数が前記周期の間に当該圧縮を繰り返し実行できる回数の上限である第2閾値より大きくなったか否かを判断する。そして、設定手段は、サイズ判断手段が圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいと判断する場合にはより高い圧縮率を設定し、生成手段は、回数判断手段が圧縮手段による画像データの圧縮の回数が第2閾値より大きくなったと判断した場合に圧縮画像データの一部を削除して画像ファイルを生成する。
【0010】
この発明のさらに他の実施例では、圧縮画像データは、複数の圧縮ブロックを含む。この場合、削除手段によって圧縮画像データの一部を削除するとき、当該圧縮ブロック単位で削除を行うようにする。このように、圧縮ブロック単位で削除することによって、無駄に削除される部分を最少に抑えることができる。
【0011】
なお、画像データの圧縮はJPEG方式に従って行うのが望ましい。この場合、削除手段によって圧縮画像データの一部を削除するとき、当該圧縮画像データの末尾部分を削除するようにする。このようにすれば、圧縮画像データの連続性を保ちつつ、当該圧縮画像データのサイズを縮小することができる。
【0013】
【発明の効果】
この発明によれば、圧縮画像データの一部を削除するだけで、当該圧縮画像データを全部廃棄する必要はなく、よってコマ落ちを防止できるという効果がある。
【0014】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0015】
【実施例】
図1を参照して、この発明の第1実施例の監視カメラシステム10は、監視カメラ12と、この監視カメラ12が接続されるビデオ入力端子T1を有する画像記録装置14と、画像記録装置14のビデオ出力端子T2に接続される外部モニタ装置16とを含む。
【0016】
監視カメラ12は、図示しない被写体の光学像をアナログのビデオ信号(CVBS:Composite Video Burst and Sync)に変換するための図示しないCCD(Charge Coupled Device)撮像素子を内蔵している。このCCD撮像素子によって変換されたビデオ信号は、監視カメラ12内でさらに増幅処理などの所定の処理を施された後、出力され、ビデオ入力端子T1を介して画像記録装置14内に入力される。
【0017】
画像記録装置14内に入力されたビデオ信号は、デコーダ18によって8[bit]の輝度データと8[bit]の色度(Chrominance)データとから成るディジタルの画像データに変換される。そして、この変換後の画像データは、信号処理回路20に入力され、具体的には輝度データと色度データとがそれぞれ8ビット単位で交互に入力される。
【0018】
信号処理回路20は、デコーダ18から入力される画像データを「YUV4:2:2」形式のデータに変換する。この変換後のYUVデータ(以下、このYUVデータについても特に言明しない限り画像データと言う。)は、エンコーダ22に入力され、ここでアナログのビデオ信号に変換される。そして、この変換されたビデオ信号は、ビデオ出力端子T2を介して上述のモニタ装置16に入力され、これによってモニタ装置16の表示画面に監視カメラ12で捉えたライブ画像が映し出される。
【0019】
さらに、画像記録装置14は、CPU(Central Processing Unit)26を内蔵している。CPU26は、操作キー24を構成する図示しない録画キーが押下されると、これに応答して録画動作に入る。この録画動作に入ると、CPU26は、まず信号処理回路20による変換後の画像データ(YUVデータ)を、一旦、SDRAM(Synchronous Dynamic RAM)構成の画像メモリ28に記憶する。そして、この画像メモリ28に記憶した画像データを、圧縮伸長回路30に転送する。圧縮伸長回路30は、転送されてくる画像データをモーションJPEG(Motion Joint Photographic Expert Group)方式に従って圧縮し、図2に示すような圧縮画像ファイルを生成する。
【0020】
同図に示すように、圧縮画像ファイルは、先頭に当該圧縮画像ファイルの開始を表す“SOI(Start of Image)”というマーカを有する。そして、この開始マーカの後ろに“DRI(Define Restart Interval)”,“DQT(Define Quantization Table)”,“DHT(Define Huffman Table)”,“SOF(Start of Frame)”および“SOS(Start of Scan)”などの各種付加情報が、この順番で付される。さらに、この付加情報(SOS)の後ろに、実際の画像データの中身である圧縮画像データが格納され、この圧縮画像データの後ろに、圧縮画像ファイルの最後尾を表す“EOI(End of Image)”という終了マーカが付される。
【0021】
CPU26は、この圧縮画像ファイルを、再度、画像メモリ28に記憶する。そして、この画像メモリ28に記憶した圧縮画像ファイルをハードディスク32に転送し、記録する。
【0022】
この一連の録画動作を停止するには、操作キー24を構成する図示しない停止キーを押下する。すると、CPU26は、この停止キーの押下に応答して、録画動作を停止するよう信号処理回路20,エンコーダ22,圧縮伸長回路30およびハードディスク32を制御する。
【0023】
また、この第1実施例の画像記録装置14では、ハードディスク32に記録した圧縮画像ファイルを再生することもできる。すなわち、操作キー24を構成する図示しない再生キーを押下すると、CPU26は、再生動作に入る。この再生動作に入ると、CPU26は、まず、ハードディスク32に記録された圧縮画像ファイルを、一旦、画像メモリ28に読み出す。そして、この読み出した圧縮画像ファイルを、圧縮伸長回路30に転送する。圧縮伸長回路30は、転送された圧縮画像ファイルを伸長して、元の画像データに戻す。そして、CPU26は、デコーダ18から信号処理回路20への画像データの入力を中断し、代わりに圧縮伸長回路30による伸長後の画像データを信号処理回路20に入力する。この信号処理回路20に入力された伸長後の画像データは、エンコーダ22に入力され、ここでビデオ信号に変換された後、ビデオ出力端子T2を介してモニタ装置16に入力される。これによって、モニタ装置16の表示画面に再生画像が映し出される。
【0024】
この一連の再生動作を停止する場合も、上述した停止キーを押下すればよい。すなわち、停止キーを押下すると、CPU26は、これに応答して再生動作を停止するよう信号処理回路20,エンコーダ22,圧縮伸長回路30およびハードディスク32をそれぞれ制御する。そして、再びモニタ装置16の画面表示をライブ画像表示に切り換えるべく、デコーダ18によるデコード後の画像データを信号処理回路20に入力する。
【0025】
ところで、CPU26は、上述の録画動作において、図3に示すように、圧縮画像ファイルのサイズSfが所定サイズSa以下になるように、厳密には圧縮画像ファイルに含まれる圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSa以下になるように、圧縮伸長回路30による圧縮率Cを変化させている(圧縮画像ファイルのうち“SOI”などの圧縮画像データ以外の部分のサイズ(Sf−Sd)は、圧縮画像データのサイズSdに比べて極めて小さいので、Sf≒Sdと見なすことができる)。このように圧縮画像ファイルのサイズSf(圧縮画像データのサイズSd)を所定サイズSa以下に抑えることで、当該圧縮画像ファイルの取り扱いおよびハードディスク32の容量管理が容易になる。
【0026】
この圧縮率Cの制御を実現するために、CPU26には、上述の所定サイズSa、および予め基準となる圧縮率Ca(厳密には、この基準圧縮率Caに対応する量子化テーブル)が記憶されたEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)34が接続されている。ここで、基準圧縮率Caとは、通常時の(たとえば不審者の侵入や火災発生などの異常がないときの)画像データを所定サイズSaよりも若干(たとえば数%)小さ目のサイズにまでに圧縮することができる圧縮率であり、たとえば実際に監視カメラ12を設置した状況で実測し、或いはシミュレーションによって求めたものである。そして、基本的には、この基準圧縮率Caに基づいて圧縮処理を実行し、圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSaを超える場合には、圧縮率Cを変更(大きく)した上で再度同じ画像データを圧縮する、という処理を繰り返す。
【0027】
ただし、圧縮処理を何度繰り返しても圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSa以下に収まらない場合には、次の画像データの取り込みを保証するべく、当該次の画像データの取り込みタイミングの前に圧縮処理を中止する。そして、所定サイズSa以下に収めることのできなかった圧縮画像データについて、当該所定サイズSaを超過した部分を削除することで、強制的に所定サイズSa以下に抑える。そして、この圧縮画像データのサイズSdを所定サイズSa以下に抑えた言わば加工後の圧縮画像ファイルを、ハードディスク32に記録する。
【0028】
この超過部分を削除する手順について、図4を参照して詳しく説明する。同図に示すように、この第1実施例において圧縮処理の対象となる1画面分の画像データ50は、水平720ドットおよび垂直256ラインの合計184,320画素で構成されている。そして、圧縮処理を行うときは、この画像データ50をそれぞれ水平8ドットおよび垂直8ラインから成る複数(N個;N=(720×256)÷(8×8)=2880)のブロック60,60,・・・に分割し、この分割したブロック60毎に圧縮処理を行う。
【0029】
ここで、たとえば上述した所定サイズSaを56[KB]とすると、圧縮画像データのサイズSdを当該所定サイズSa以下に収めるには、1ブロック60当りの圧縮後のサイズSbを19.5[B](≒Sa/N)以下に収める必要がある。この関係によれば、圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSaを超えた場合には、その超過部分のサイズΔS(=Sd−Sa)を当該1ブロック60当りの言わば最大許容サイズSbで割ることで、当該超過部分のサイズΔSがいくつのブロック60に相当するのかが判る。そして、このようにして求めた数B(=ΔS/Sb)だけブロック60を削除すれば、圧縮画像データのサイズSdを所定サイズSa以下に収めることができる。
【0030】
たとえば、圧縮画像データのサイズSdが57[KB]であるとすると、B=52(=ΔS/Sb≒51.28;小数点以下切上げ)個のブロック60を削除すれば、当該圧縮画像データのサイズSdを所定サイズSa以下に収めることができる。なお、ブロック60を削除するときは、最後尾(すなわちN番目)のブロック60から順に削除する。先頭(すなわち1番目)または途中にあるブロック60を削除すると、それぞれのブロック60および60間でのDCT(Discrete Cosine Transform;離散コサイン変換)係数、厳密には当該DCT係数のうちのDC(Direct Current;直流)成分に関連性がなくなり、圧縮画像データを正常に復号できなくなるからである。
【0031】
このように超過部分を削除した後の圧縮画像データの最後尾(すなわちN−B番目のブロック60の後方)に、終了マーカである“EOI”を付加する。これによって、圧縮画像ファイルを再形成し、この再形成した圧縮画像ファイルをハードディスク32に記録する。
【0032】
上述の如く、この第1実施例の監視カメラシステム10では、次の画像データの取り込みタイミングまでに所定サイズSa以下に収めることのできない圧縮画像データについて、その全部を廃棄するのではなく、一部を削除することで強制的に所定サイズSa以下に抑え、その上でハードディスク32に記録する。したがって、コマ落ちすることはなく、信頼性の高い監視カメラシステム10を実現できる。
【0033】
また、圧縮処理時の処理単位であるブロック60を1単位として超過部分を削除するので、無駄に削除されるデータを最少に抑えることができる。さらに、最後尾にあるブロック60から順に削除するので、当該ブロック60を削除した後の圧縮画像データによって表される画像上では、比較的に重要度が低く、かつさほど目立たない下側の一部が削られるだけである。
【0034】
さて、上述の如く録画動作時において圧縮画像データのサイズSdを所定サイズSa以下に抑えつつコマ落ちを防止するために、CPU26は、図5および図6のフロー図で示される各処理を実行する。なお、これらのフロー図に従ってCPU26の動作を制御するためのいわゆる制御プログラムは、CPU26内の図示しないメモリに記憶されている。
【0035】
図5を参照して、上述した録画キーが押下されると、CPU26は、ステップS1に進む。そして、このステップS1において、圧縮伸長回路30による圧縮率Cとして基準圧縮率Caを設定する。この基準圧縮率Caの設定後、CPU26は、ステップS3に進み、ここで圧縮処理の回数をカウントするためのカウントインデックスの値kをリセットする(k=1とする)。そして、このステップS3の処理後、CPU26は、ステップS5に進む。
【0036】
ステップS5において、CPU26は、監視カメラ12から垂直同期信号Vsyncが入力されるのを待機し、入力されると、CPU26は、ステップS7に進む。そして、このステップS7において、画像メモリ28から画像データ(YUVデータ)を取り込み、具体的には当該画像データを圧縮伸長回路30に転送する。そして、ステップS9において、圧縮伸長回路30に圧縮処理を実行させた後、ステップS11に進み、当該圧縮伸長回路30から圧縮画像データのサイズSdを取得する。
【0037】
このサイズSdの取得後、CPU26は、ステップS13に進み、当該取得したサイズSdと所定サイズSaとを比較する。ここで、圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSaよりも大きいとき、つまり圧縮画像データのサイズSdを所定サイズSa以下に収束させるというサイズ条件を満足しないとき、CPU26は、ステップS15に進む。そして、このステップS15において、圧縮率Cを所定の率だけアップさせた後(具体的には、圧縮率Cを所定の率だけアップさせるように上述した量子化テーブルに所定の係数を掛けた後)、ステップS17に進む。そして、このステップS17において、カウントインデックスの値kを1だけインクリメントした後、ステップS19において、当該インクリメント後のカウントインデックス値kと所定の上限値Kとを比較する。
【0038】
ここで、上限値Kとは、次の画像データの取り込みタイミングまでに何回圧縮処理を繰り返すことができるかの上限値であり、この第1実施例ではK=3としている(すなわち、1回の垂直同期信号Vsyncの入力につき(1フィールドにつき)、圧縮処理を3回実行できる)。このステップS19において、インクリメント後のカウントインデックス値kが上限値K以下(k≦K)であるとき、つまり次の画像データの取り込みタイミングが未だであるというタイミング条件を満足するとき、CPU26は、アップ後の圧縮率Cで再度同じ画像データを圧縮するべく、ステップS9に戻る。一方、インクリメント後のカウントインデックス値kが上限値Kよりも大きい(k>K)とき、CPU26は、圧縮画像データのうち所定サイズSaを超えた部分を削除するべく、ステップS21のデータ加工処理を実行する。
【0039】
ステップS21のデータ加工処理を終えた後、CPU26は、圧縮画像ファイルをハードディスク32に記録する。そして、次の画像データについて圧縮処理を実行するべく、ステップS1に戻る。なお、上述のステップS13において、圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSa以下(Sd≦Sa)であるとき、CPU26は、直接ステップS23に進み、当該圧縮画像データを含む圧縮画像ファイルをハードディスク32に記録した後、ステップS1に戻る。
【0040】
図6を参照して、上述のステップS21におけるデータ加工処理の詳細を説明する。同図に示すように、CPU26は、まず、ステップS31において、圧縮画像データのサイズSdから所定サイズSaを差し引くことで、圧縮画像データのうち所定サイズSaを超えた部分のサイズΔSを算出する。そして、ステップS33において、当該超過部分のサイズΔSを1ブロック60当りの最大許容サイズSbで割ることで、削除するブロック60の数Bを算出する。なお、この算出において、端数は切上げる。そして、ステップS35において、最後尾(N番目)のブロック60から順にB個のブロック60を削除した後、ステップS37において、当該ブロック60を削除した後の圧縮画像データの最後尾(N−B番目のブロック60の後ろ)に“EOI”を付加して圧縮画像ファイルを再形成する。これで一連のデータ加工処理を終了して、CPU26は、図5のフロー図で示される処理に戻り、すなわちステップS23に進む。
【0041】
次に、この発明の第2実施例について説明する。図7を参照して、この第2実施例では、圧縮対象となる画像データ50の水平方向におけるブロック60の1列の並びを1つの行70とする。つまり、画像データ50を垂直方向において32(=256/8;これを符号Mで表す。)の行70に分割する。そして、圧縮処理を繰り返しても圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSa以下に収まらないときには、当該行70を1単位として超過部分を削除する。すなわち、1つの行70は90個のブロック60(=720/8)で構成されるので、1755(=Sb×60)[B]単位で超過部分を削除することになる。なお、これ以外の構成については、第1実施例と同様であるので、同様な部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0042】
さて、上述のように1755[B]という比較的に大きいサイズ(以下、このサイズを符号Sgで表す。)単位で超過部分を削除した場合、第1実施例のようにブロック60単位で削除する場合に比べて、無駄に削除されるデータが多くなる。しかし、行70単位で削除すれば、画像上においても下側の一部が直線的に削られるので、ブロック60単位で削除する場合に比べて見た目がすっきりし、違和感を受け難い。
【0043】
このようにして行70単位で超過部分を削除するために、CPU26は、上述した図5におけるステップS21のデータ加工処理において、図8のフロー図で示される各処理を実行する。
【0044】
すなわち、同図に示すように、CPU26は、ステップS51において、上述の超過部分のサイズΔSを算出する。そして、ステップS53において、当該超過部分のサイズΔSを1行70当りの最大許容サイズSgで割ることで、削除する行70の数Gを算出する。なお、この算出において、端数は切上げる。そして、ステップS55において、最後尾(M番目)の行70から順にG行だけ削除した後、ステップS57に進み、ここで当該行70を削除した後の圧縮画像データの最後尾(M−G番目の行70の後ろ)に“EOI”を付加して圧縮画像ファイルを再形成する。これで一連のデータ加工処理を終了し、図5のステップS23に進む。
【0045】
図9を参照して、この発明の第3実施例について説明する。同図に示すように、この第3実施例は、上述の図1における画像記録装置14に、CPU26に接続されるタイマ回路36を設けたものである。すなわち、図1の画像記録装置14では、コマ落ちを防止するために圧縮処理の回数を制限していたのに対して、この第3実施例では、圧縮処理に割り当てる時間を制限することでコマ落ちを防止しようとするものであり、そのためにタイマ回路36を設けている。なお、これ以外の構成については、図1と同様であるので、同様な部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0046】
さて、上述の如く圧縮処理時間を制限することでコマ落ちを防止するために、この第3実施例におけるCPU26は、上述した制御プログラムに従って図10のフロー図で示される各処理を実行する。
【0047】
同図に示すように、CPU26は、録画キーが押下されると、ステップS71に進み、圧縮伸長回路30による圧縮率Cとして基準圧縮率Caを設定する。そして、CPU26は、ステップS73において、監視カメラ12から垂直同期信号Vsyncが入力されるのを待機する。このステップS73において、垂直同期信号Vsyncの入力を確認すると、CPU26は、ステップS75に進む。そして、このステップS75において、タイマ回路36から供給される時刻情報に基づいて時間を計測するためのタイマtをリセットした後、当該タイマtをスタートさせる。
【0048】
そして、CPU26は、ステップS77において、画像メモリ28から圧縮伸長回路30に画像データ(YUVデータ)を転送し、ステップS79において、当該圧縮伸長回路30に圧縮処理を実行させる。さらに、ステップS81において、圧縮伸長回路30から圧縮画像データのサイズSdを取得し、ステップS83において、当該取得したサイズSdと所定サイズSaとを比較する。
【0049】
このステップS93において、圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSaよりも大きいとき、CPU26は、ステップS15に進み、ここで圧縮率Cを所定の率だけアップさせた後、ステップS87に進む。そして、このステップS87において、タイマtの計時時間と所定の制限時間Tとを比較する。なお、制限時間Tとしては、垂直同期信号Vsyncの周期(フィールド周期)よりも短い時間が設定される。
【0050】
ステップS87において、タイマtの計時時間が制限時間Tに達していない(t≦T)とき、CPU26は、アップ後の圧縮率Cで再度同じ画像データを圧縮するべく、ステップS79に戻る。一方、既にタイマtの計時時間が制限時間Tに達している(t>T)とき、CPU26は、ステップS89のデータ加工処理を実行する。このデータ加工処理においては、上述した図6のフロー図で示される処理と同じ処理を実行することによって、超過部分をブロック60単位で削除する。これに代えて、図8のフロー図で示される処理と同じ処理を実行することによって、超過部分を行70単位で削除してもよい。
【0051】
上述のステップS89のデータ加工処理で超過部分を削除した後、CPU26は、ステップS91において圧縮画像ファイルをハードディスク32に記録する。そして、次の画像データについて圧縮処理を実行するべく、ステップS71に戻る。なお、上述のステップS83において、圧縮画像データのサイズSdが所定サイズSa以下(Sd≦Sa)であるとき、CPU26は、ステップS23に進み、当該圧縮画像データを含む圧縮画像ファイルをハードディスク32に記録した後、ステップS71に戻る。
【0052】
以上の各実施例では、1台の監視カメラ12で捉えた画像を記録するという監視カメラシステム10にこの発明を応用する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、複数台の監視カメラ12を備え、これら各監視カメラ12で捉えた画像をマルチプレクサによって順次選択して記録する、というようなシステムにも、この発明を応用できる。また、監視カメラシステム10以外の用途にも、この発明を応用できることは言うまでもない。
【0053】
また、1フィールド単位で画像データを取り込み、圧縮することとしたが、これに限らない。たとえば1フレーム単位、若しくは数フィールド或いは数フレーム単位で圧縮処理を行うようにしてもよい。
【0054】
そして、圧縮処理方式としてJPEG方式を採用したが、1画面単位で圧縮処理を実行するのであれば、JPEG方式以外の圧縮処理方式を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る監視カメラシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例における圧縮画像データを含むJPEGファイルのフォーマットを示す図解図である。
【図3】図1の実施例において圧縮画像ファイルのサイズSfと所定サイズSとの関係を概念的に示す図解図である。
【図4】図1の実施例において圧縮画像データの超過部分を削除する手順を説明するための図解図である。
【図5】図1の実施例におけるCPUの動作を示すフロー図である。
【図6】図5におけるデータ加工処理の詳細を示すフロー図である。
【図7】この発明の第2実施例を説明するための図解図で、圧縮画像データの超過部分を削除する手順を説明するための図である。
【図8】図7の実施例におけるCPUの動作を示すフロー図で、特に図5におけるデータ加工処理の詳細を示すフロー図である。
【図9】この発明の第3実施例に係る監視カメラシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図10】図9の実施例におけるCPUの動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
10…監視カメラシステム
12…監視カメラ
14…画像記録装置
24…操作キー
26…CPU
28…圧縮伸長回路
32…ハードディスク
Claims (6)
- 周期的に繰り返し取り込まれる各画像データのサイズを第1閾値以下にして記録手段に記録する画像圧縮装置であって、
画像データを設定された圧縮率で圧縮する圧縮手段、
前記圧縮手段による圧縮の圧縮率を設定する設定手段、
前記圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいか否かを判断するサイズ判断手段、
前記圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データの一部を削除してデータサイズが第1閾値以下に抑えられた画像ファイルを生成する生成手段、および
前記圧縮手段によって実行される画像データの圧縮の回数が前記周期の間に当該圧縮を繰り返し実行できる回数の上限である第2閾値より大きくなったか否かを判断する回数判断手段を備え、
前記設定手段は、前記サイズ判断手段が圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいと判断する場合にはより高い圧縮率を設定し、
前記生成手段は、前記回数判断手段が前記圧縮手段による画像データの圧縮の回数が第2閾値より大きくなったと判断した場合に圧縮画像データの一部を削除して画像ファイルを生成する、画像圧縮装置。 - 前記圧縮画像データは複数の圧縮ブロックを含み、
前記生成手段は、前記圧縮ブロック単位で削除を行う、請求項1記載の画像圧縮装置。 - 前記圧縮手段は、JPEG方式に従って圧縮を行い、
前記生成手段は、圧縮画像データの末尾部分を削除する、請求項1または2記載の画像圧縮装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像圧縮装置を備える、監視カメラシステム。
- 周期的に繰り返し取り込まれる各画像データのサイズを第1閾値以下にして記録手段に記録する画像圧縮装置のプロセッサに、
画像データを設定された圧縮率で圧縮する圧縮ステップ、
前記ステップにおける圧縮の圧縮率を設定する設定ステップ、
前記圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいか否かを判断するサイズ判断ステップ、
前記圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データの一部を削除してデータサイズが第1閾値以下に抑えられた画像ファイルを生成する生成ステップ、および
前記圧縮手段によって実行される画像データの圧縮の回数が前記周期の間に当該圧縮を繰り返し実行できる回数の上限である第2閾値より大きくなったか否かを判断する回数判断ステップを実行させ、
前記設定ステップでは、前記サイズ判断ステップで圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいと判断する場合にはより高い圧縮率を設定し、
前記生成ステップでは、前記回数判断ステップで前記圧縮ステップによる画像データの圧縮の回数が第2閾値より大きくなったと判断した場合に圧縮画像データの一部を削除して画像ファイルを生成する、画像圧縮プログラム。 - 周期的に繰り返し取り込まれる各画像データのサイズを第1閾値以下にして記録手段に記録する画像圧縮装置によって実行される画像圧縮方法であって、
画像データを設定された圧縮率で圧縮する圧縮ステップ、
前記圧縮ステップにおける圧縮の圧縮率を設定する設定ステップ、
前記圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいか否かを判断するサイズ判断ステップ、
前記圧縮手段によって圧縮された圧縮画像データの一部を削除してデータサイズが第1閾値以下に抑えられた画像ファイルを生成する生成ステップ、および
前記圧縮手段によって実行される画像データの圧縮の回数が前記周期の間に当該圧縮を繰り返し実行できる回数の上限である第2閾値より大きくなったか否かを判断する回数判断ステップを含み、
前記設定ステップでは、前記サイズ判断ステップで圧縮画像データのサイズが第1閾値より大きいと判断する場合にはより高い圧縮率を設定し、
前記生成ステップでは、前記回数判断ステップで前記圧縮ステップによる画像データの圧縮の回数が第2閾値より大きくなったと判断した場合に圧縮画像データの一部を削除して画像ファイルを生成する、画像圧縮方法。
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