JP4404458B2 - 車両用ミラー装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に設けられる車両用ミラー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図11に示す如き車両用ドアミラー装置80では、格納機構82を備えており、格納機構82はスタンド84を有している。スタンド84は車体側に固定されており、スタンド84には回転軸86が一体に設けられている。
【0003】
また、格納機構82はケース部材88を備えており、ケース部材88の内部に回転軸86が挿入された状態でケース部材88が回転軸86に回転自在に支持されている。ケース部材88は車両後方視認用のミラー(図示省略)に連結されており、ケース部材88はミラーと常に一体に回動する。ケース部材88の内部にはモータ90を有すると共に、回転軸86にはギヤプレート92が回転自在に挿通されており、モータ90の駆動によりギヤプレート92に回転力が付与される。回転軸86にはギヤプレート92の上方においてクラッチプレート94が挿通されており、クラッチプレート94は回転軸86に対し回転不能とされている。回転軸86には、クラッチプレート94の上方において圧縮コイルスプリング96が貫通されると共に圧縮コイルスプリング96の上方においてプッシュナット98が固定されており、圧縮コイルスプリング96がプッシュナット98に係止されてクラッチプレート94を付勢することで、クラッチプレート94がギヤプレート92に摩擦係合している。
【0004】
ここで、モータ90の駆動によりギヤプレート92に回転力が付与されると、クラッチプレート94がギヤプレート92の回転を阻止することで、ギヤプレート92に付与される回転力の反力でケース部材88が回動されて、ミラーが格納または展開される。一方、ケース部材88に所定値以上の外力が作用した際には、クラッチプレート94とギヤプレート92との摩擦係合力に抗してギヤプレート92がケース部材88と共にクラッチプレート94に対し回転することで、ギヤプレート92の損傷が防止される構成である。
【0005】
しかしながら、このような構成の車両用ドアミラー装置80では、圧縮コイルスプリング96の付勢力がクラッチプレート94を介してギヤプレート92に作用することで、ギヤプレート92がケース部材88に図11のAの部位において圧接されている。さらに、圧縮コイルスプリング96の付勢力がクラッチプレート94及びギヤプレート92を介してケース部材88に作用することで、ケース部材88がスタンド84に図11のBの部位において圧接されている。このため、モータ90の駆動によりケース部材88が回動される際に、ギヤプレート92とケース部材88との間及びケース部材88とスタンド84との間に前記付勢力による摺動摩擦が生じ、ケース部材88を回動させるためのトルクを大きくする必要がある。これにより、モータ90に小型モータを使用することができないのみならずギヤプレート92が大型化するため、格納機構82の小型化及び低コスト化を図ることができないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、格納機構の小型化及び低コスト化を図ることができる車両用ミラー装置を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の車両用ミラー装置は、車体側に固定された回転軸が内部に挿入された状態で前記回転軸に回動自在に支持されると共に車両後方視認用のミラーに連結され、前記ミラーと常に一体に回動すると共に内部に格納機構用モータを有するケース部材と、前記回転軸に回転自在に挿通され、前記格納機構用モータの駆動により回転力が付与されるギヤプレートと、前記ギヤプレートに付勢力により摩擦係合した状態で前記回転軸に回転不能に挿通され、前記格納機構用モータの駆動により前記ギヤプレートに前記回転力が付与された際には前記ギヤプレートの回転を阻止することで前記回転力の反力で前記ケース部材を回動させて前記ミラーを格納または展開させると共に前記ケース部材に所定値以上の外力が作用した際には前記ギヤプレートの回転を許容するクラッチプレートと、前記回転軸に設けられ、前記ミラーが格納または展開される際に前記付勢力により前記ギヤプレート及びクラッチプレートが前記ケース部材に圧接することを阻止する受圧部と、を備え、前記ミラーが格納または展開される際には前記ギヤプレート及びクラッチプレートを前記ケース部材から離間させると共に、前記ミラーが格納位置または展開位置に停止された際には前記ギヤプレートまたはクラッチプレートと前記ケース部材とを圧接させる振動防止手段を有している。
【0008】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、クラッチプレートがギヤプレートに付勢力により摩擦係合されている。格納機構用モータの駆動によりギヤプレートに回転力が付与されると、クラッチプレートがギヤプレートの回転を阻止することで、ギヤプレートに付与される回転力の反力でケース部材が回動されて、ミラーが格納または展開される。一方、ケース部材に所定値以上の外力が作用した際には、ギヤプレートのクラッチプレートに対する回転が許容されることで、ギヤプレートがケース部材と共に回転して、ギヤプレートの損傷が防止される。
【0009】
ここで、ミラーが格納または展開される際(格納機構用モータの駆動によりケース部材が回動される際)には、前記付勢力によりギヤプレート及びクラッチプレートがケース部材に圧接することが受圧部によって阻止される。このため、ギヤプレート及びクラッチプレートとケース部材との間やケース部材とスタンドとの間に前記付勢力により摺動摩擦が生じることを防止でき、ケース部材を回動させるためのトルクを小さくすることができる。これにより、格納機構用モータに小型モータを使用することができると共にギヤプレートを小型化することができるため、格納機構の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0011】
また、ミラーが格納または展開される際に、振動防止手段がギヤプレート及びクラッチプレートをケース部材から離間させる。このため、ギヤプレート及びクラッチプレートとケース部材との間やケース部材とスタンドとの間に前記付勢力により摺動摩擦が生じることを確実に防止でき、ケース部材を回動させるためのトルクを確実に小さくすることができる。
【0012】
一方、ミラーが格納位置または展開位置に停止された際には、振動防止手段がギヤプレートまたはクラッチプレートとケース部材とを圧接させる。このため、ギヤプレートまたはクラッチプレートとケース部材との間のガタ付きを防止でき、ケース部材と回転軸との間のガタ付きを防止して、ミラーのひびりを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図8には、本発明の車両用ミラー装置が適用されて構成された第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10が分解斜視図にて示されている。
【0014】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10は、フレーム12を備えており、フレーム12には保持部材14が固定されている。保持部材14は車両後方視認用のミラー16を保持しており、このため、フレーム12は保持部材14を介してミラー16を保持している。また、フレーム12には後に詳細に説明する格納機構18が固定されており、格納機構18は車両のドア(図示省略)に固定されたドアミラーステー20に固定されている。これにより、格納機構18がフレーム12及び保持部材14を介してミラー16を支持している。
【0015】
フレーム12、保持部材14及び格納機構18は、ドアミラーバイザー22に収納されている。ドアミラーバイザー22は、車両前方側のバイザーカバー24と車両後方側のバイザーリム26とが嵌合されて構成されており、バイザーカバー24とバイザーリム26とは共にフレーム12に固定されている。
【0016】
ここで、図1には、ミラー16が格納または展開される際の格納機構18が縦断面図にて示されており、図2には、ミラー16が格納位置または展開位置に停止された際の格納機構18が縦断面図にて示されている。また、図3には、格納機構18が斜視図にて示されており、図4には、格納機構18が横断面図(図1の4−4線断面図)にて示されている。
【0017】
格納機構18は、スタンド28を備えている。スタンド28は円盤30を有しており、円盤30がドアミラーステー20に固定されている。円盤30には略円筒状の回転軸32が一体に立設されており、このため、回転軸32が車体側に固定されている。回転軸32には、上部から下端近傍に亘って所定数(本実施の形態では2つ)の切欠部34が形成されている。各切欠部34は回転軸32の周面に平面を形成しており、このため、切欠部34によって回転軸32の上部から下端近傍に亘る周面は平面視略楕円形とされている。また、回転軸32の下端近傍には、切欠部34の下端によって受圧部としての棚部36が形成されており、棚部36は切欠部34よりも回転軸32径方向外側に突出している。
【0018】
格納機構18は、略箱状のケース部材38を備えている。ケース部材38の下壁には円筒状の支持筒40が形成されており、支持筒40からケース部材38の内部に回転軸32が挿入されることで、支持筒40が回転軸32の下端に嵌合されて、ケース部材38が回転軸32に回転自在に支持されている。また、支持筒40とスタンド28の円盤30との間には環状のスリップワッシャ42が介在されており、スリップワッシャ42が支持筒40と円盤30との間の摺動摩擦を小さくすることで、ケース部材38の回動の円滑化が図られている。さらに、ケース部材38はフレーム12に固定されることでミラー16に連結されており、このため、ケース部材38はミラー16と常に一体に回動する。
【0019】
ケース部材38の下壁上面には、支持筒40の周囲において略環状のカムプレート44が一体に固定されている。図7の(A)及び(B)に詳細に示す如く、カムプレート44の中空部分周囲にはケース山46が所定数(本実施の形態では2つ)形成されており、各ケース山46は上方へ突出している。これにより、カムプレート44の中空部分周囲には振動防止手段を構成するケース谷48が所定数(本実施の形態では2つ)形成されており、各ケース谷48は下方へ台形状に窪んでいる。
【0020】
ケース部材38の内部には、格納機構用モータとしてのモータ50が収納かつ固定されている。モータ50の駆動軸52にはウォーム54が固定されており、ウォーム54にはヘリカルギヤ56が噛合している。ヘリカルギヤ56には連結シャフト58を介してシャフトウォーム60が連結されており、ヘリカルギヤ56とシャフトウォーム60とは常に一体に回転する。
【0021】
ケース部材38の内部には、略円筒状のギヤプレート62が設けられている。図5の(A)及び(B)にも示す如く、ギヤプレート62の上面には環状とされた上壁64が形成されており、ギヤプレート62は上壁64の中空部分が回転軸32に略嵌合された状態で回転軸32に回転自在に挿通されている。ギヤプレート62の周面には周歯62Aが形成されており、ギヤプレート62は周歯62Aにおいてシャフトウォーム60に噛合している。これにより、モータ50の駆動によって、ウォーム54、ヘリカルギヤ56及びシャフトウォーム60を介してギヤプレート62に回転力が付与される。また、ギヤプレート62の上壁64下面には、所定数(本実施の形態では4つ)の係合凹部66が形成されており、各係合凹部66は断面台形状に窪んでいる。
【0022】
ギヤプレート62の内部には、略円筒状のクラッチプレート68が嵌入されている。これにより、ギヤプレート62及びクラッチプレート68の占有スペースが小さくなり、格納機構18の省スペース化が図られている。図6の(A)及び(C)にも示す如く、クラッチプレート68の中空部分の形状は回転軸32の切欠部34に対応した形状とされており、クラッチプレート68の中空部分が回転軸32の切欠部34形成部位下端に嵌合することで、クラッチプレート68は回転軸32に回転不能に挿通されている。クラッチプレート68の下面は回転軸32の棚部36に載置されており、これにより、クラッチプレート68及びギヤプレート62が回転軸32に沿って下降することが阻止されている。
【0023】
図6の(A)及び(B)に詳細に示す如く、クラッチプレート68の上面には、所定数(本実施の形態では4つ)の係合凸部70が形成されている。各係合凸部70は断面台形状に突出しており、各係合凸部70は上記ギヤプレート62の各係合凹部66に係合している。図6の(B)及び(C)に詳細に示す如く、クラッチプレート68の下面には振動防止手段を構成するクラッチ山72が所定数(本実施の形態では2つ)形成されており、各クラッチ山72は上記カムプレート44の各ケース谷48に対応してケース部材38の下壁側へ台形状に突出している。
【0024】
ギヤプレート62の上方には圧縮コイルスプリング74が配置されており、圧縮コイルスプリング74は回転軸32に貫通されている。圧縮コイルスプリング74の上方にはプッシュナット76が配置されており、プッシュナット76は回転軸32に固定されている。これにより、圧縮コイルスプリング74がプッシュナット76に係止されてギヤプレート62を付勢することで、ギヤプレート62がクラッチプレート68に摩擦係合している。また、圧縮コイルスプリング74とギヤプレート62との間には環状のスリップワッシャ78が介在されており、スリップワッシャ78が圧縮コイルスプリング74とギヤプレート62との間の摺動摩擦を小さくすることで、ギヤプレート62の回動の円滑化が図られている。
【0025】
ここで、モータ50の駆動によりギヤプレート62に回転力が付与されると、クラッチプレート68がギヤプレート62の回転を阻止することで、ギヤプレート62に付与される回転力の反力でケース部材38が回動されて、ミラー16が格納または展開される。このようにミラー16が格納または展開される際には、上述の如く回転軸32の棚部36によってクラッチプレート68及びギヤプレート62が下降することが阻止されるため、上記圧縮コイルスプリング74の付勢力によりクラッチプレート68の各クラッチ山72及びギヤプレート62がケース部材38(カムプレート44)に圧接することが阻止されている。また、ミラー16が格納または展開される際には、クラッチプレート68の各クラッチ山72がケース部材38(カムプレート44)の各ケース谷48を移動して、各クラッチ山72が各ケース谷48から離間している。
【0026】
さらに、ミラー16が格納位置または展開位置に停止された際には、各クラッチ山72が各ケース谷48の端部に乗り掛かることで、上記圧縮コイルスプリング74の付勢力により各クラッチ山72が各ケース谷48の端部に圧接される。
【0027】
さらにここで、ドアミラーバイザー22が外力を受けてケース部材38に所定値以上の外力が作用した際には、ギヤプレート62とクラッチプレート68との摩擦係合力に抗して上記ギヤプレート62の各係合凹部66とクラッチプレート68の各係合凸部70との係合が解除されることで、ギヤプレート62がケース部材38と共にクラッチプレート68に対し回転する構成である。
【0028】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0029】
以上の構成の車両用ドアミラー装置10では、クラッチプレート68がギヤプレート62に圧縮コイルスプリング74の付勢力により摩擦係合されている。モータ50の駆動によりウォーム54、ヘリカルギヤ56及びシャフトウォーム60を介してギヤプレート62に回転力が付与されると、クラッチプレート68がギヤプレート62の回転を阻止することで、ギヤプレート62に付与される回転力の反力でケース部材38が回動されて、ミラー16が格納または展開される。
【0030】
さらに、ドアミラーバイザー22が外力を受けてケース部材38に所定値以上の外力が作用した際には、ギヤプレート62とクラッチプレート68との摩擦係合力に抗してギヤプレート62の各係合凹部66とクラッチプレート68の各係合凸部70との係合が解除されて、ギヤプレート62のクラッチプレート68に対する回転が許容されることで、ギヤプレート62がケース部材38と共に回転して、ギヤプレート62の損傷が防止される。
【0031】
ここで、回転軸32の棚部36によってクラッチプレート68及びギヤプレート62が下降することが阻止されるため、ミラー16が格納または展開される際(モータ50の駆動によりケース部材38が回動される際)には、圧縮コイルスプリング74の付勢力によりクラッチプレート68の各クラッチ山72及びギヤプレート62がケース部材38(カムプレート44)に圧接することが棚部36によって阻止される。このため、ギヤプレート62及びクラッチプレート68とケース部材38との間やケース部材38とスタンド28との間に前記付勢力により摺動摩擦が生じることを防止でき、ケース部材38を回動させるためのトルクを小さくすることができる。これにより、モータ50に小型モータを使用することができると共にギヤプレート62を小型化することができるため、格納機構18の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0032】
また、ミラー16が格納または展開される際には、クラッチプレート68の各クラッチ山72がケース部材38(カムプレート44)の各ケース谷48を移動して各クラッチ山72が各ケース谷48から離間しているため、ギヤプレート62及びクラッチプレート68がケース部材38から離間している。このため、ギヤプレート62及びクラッチプレート68とケース部材38との間やケース部材38とスタンド28との間に前記付勢力により摺動摩擦が生じることを確実に防止でき、確実にケース部材38を回動させるためのトルクを小さくして格納機構18の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0033】
さらに、上述の如くケース部材38を回動させるためのトルクを小さくすることができるため、ウォーム54、ヘリカルギヤ56及びシャフトウォーム60を小型化することができ、格納機構18の一層の小型化及び低コスト化を図ることができる。さらにこのため、格納機構18の作動音を低減することができる。
【0034】
また、ミラー16が格納位置または展開位置に停止された際には、各クラッチ山72が各ケース谷48の端部に乗り掛かることで、圧縮コイルスプリング74の付勢力により各クラッチ山72が各ケース谷48の端部に圧接される。このため、ケース部材38(カムプレート44)とクラッチプレート68との間のガタ付きを防止でき、ケース部材38と回転軸32との間のガタ付きを防止して、ミラー16のひびりを防止することができる。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置100は、本発明の車両用ミラー装置が適用されて構成されており、車両用ドアミラー装置100は上記第1の実施の形態と同様の構成のフレーム12、保持部材14、ミラー16、ドアミラーステー20及びドアミラーバイザー22(バイザーカバー24及びバイザーリム26)を備えている(図8参照)。さらに、車両用ドアミラー装置100は、格納機構102を備えている。
【0035】
ここで、図9には、ミラー16が格納または展開される際の格納機構102が縦断面図にて示されており、図10には、ミラー16が格納位置または展開位置に停止された際の格納機構102が縦断面図にて示されている。
【0036】
格納機構102は、スタンド104を備えている。スタンド104は基板106を有しており、基板106がドアミラーステー20に固定されている。基板106には略円筒状の回転軸108が一体に立設されており、このため、回転軸108が車体側に固定されている。
【0037】
基板106の上面には、回転軸108の周囲において略環状のカムプレート110が一体に固定されている。カムプレート110の上面には、周方向へ沿って振動防止手段を構成するスタンド谷112が所定数(本実施の形態では2つ)形成されており、各スタンド谷112は下方へ台形状に窪んでいる。
【0038】
回転軸108には、上部から下部近傍に亘って所定数(本実施の形態では2つ)の切欠部114が形成されている。各切欠部114は回転軸108の周面に平面を形成しており、このため、切欠部114によって回転軸108の上部から下部近傍に亘る周面は平面視略楕円形とされている。また、回転軸108には、切欠部114の直下において円筒状の円筒部116が形成されており、円筒部116の直径は回転軸108の下端における直径よりも小さくされている。さらに、回転軸108の下端近傍には、円筒部116の下端によって受圧部としての棚部118が形成されており、棚部118は円筒部116よりも回転軸108径方向外側に突出している。
【0039】
格納機構102は、略箱状のケース部材120を備えている。ケース部材120の下壁には円筒状の支持筒122が形成されており、支持筒122からケース部材120の内部に回転軸108が挿入されることで、支持筒122が回転軸108の下端に嵌合されて、ケース部材120が回転軸108に回転自在に支持されている。また、支持筒122とスタンド104の基板106との間には環状のスリップワッシャ124が介在されており、スリップワッシャ124が支持筒122と基板106との間の摺動摩擦を小さくすることで、ケース部材120の回動の円滑化が図られている。さらに、ケース部材120はフレーム12に固定されることでミラー16に連結されており、このため、ケース部材120はミラー16と常に一体に回動する。
【0040】
ケース部材120の下壁下面には、支持筒122の周囲において略環状のカムプレート126が一体に固定されている。カムプレート126の下面には、周方向へ沿って振動防止手段を構成するケース山128が所定数(本実施の形態では2つ)形成されており、各ケース山128は上記カムプレート110の各スタンド谷112に対応して下方へ台形状に突出している。
【0041】
ケース部材120の内部には、格納機構用モータとしてのモータ130が収納かつ固定されている。モータ130の駆動軸132には第1ギヤ134が固定されており、第1ギヤ134には第2ギヤ136が噛合している。第2ギヤ136には第3ギヤ138一体に設けられており、第2ギヤ136と第3ギヤ138とは常に一体に回転する。
【0042】
ケース部材120の内部には、略円筒状のギヤプレート140が設けられている。ギヤプレート140の上面には環状とされた上壁142が形成されており、ギヤプレート140は、上壁142の中空部分が回転軸108の円筒部116に嵌合されることで回転軸108に回転自在に挿通されている。ギヤプレート140の上壁142は回転軸108の棚部118に載置されており、これにより、ギヤプレート140及び下記クラッチプレート146が回転軸108に沿って下降することが阻止されている。ギヤプレート140の周面には周歯140Aが形成されており、ギヤプレート140は周歯140Aにおいて第3ギヤ138に噛合している。これにより、モータ130の駆動によって、第1ギヤ134、第2ギヤ136及び第3ギヤ138を介してギヤプレート140に回転力が付与される。また、ギヤプレート140の上壁142上面には、所定数(本実施の形態では4つ)の係合凸部144が形成されており、各係合凸部144は断面台形状に突出している。
【0043】
ギヤプレート140の上方には、略円筒状のクラッチプレート146が配置されている。クラッチプレート146の中空部分の形状は回転軸108の切欠部114に対応した形状とされており、クラッチプレート146の中空部分が回転軸108の切欠部114形成部位下端に嵌合することで、クラッチプレート146は回転軸108に回転不能に挿通されている。クラッチプレート146の下面には、所定数(本実施の形態では4つ)の係合凹部148が形成されている。各係合凹部148は断面台形状に窪んでおり、各係合凹部148は上記ギヤプレート140の各係合凸部144に係合している。
【0044】
クラッチプレート146の上方には圧縮コイルスプリング150が配置されており、圧縮コイルスプリング150は回転軸108に貫通されている。圧縮コイルスプリング150の上方にはプッシュナット152が配置されており、プッシュナット152は回転軸108に固定されている。これにより、圧縮コイルスプリング150がプッシュナット152に係止されてクラッチプレート146を付勢することで、クラッチプレート146がギヤプレート140に摩擦係合している。
【0045】
ここで、モータ130の駆動によりギヤプレート140に回転力が付与されると、クラッチプレート146がギヤプレート140の回転を阻止することで、ギヤプレート140に付与される回転力の反力でケース部材120が回動されて、ミラー16が格納または展開される。このようにミラー16が格納または展開される際には、上述の如く回転軸108の棚部118によってクラッチプレート146及びギヤプレート140が下降することが阻止されるため、上記圧縮コイルスプリング150の付勢力によりクラッチプレート146及びギヤプレート140がケース部材120に圧接することが阻止されている。また、ミラー16が格納または展開される際には、ケース部材120(カムプレート126)の各ケース山128がスタンド104(カムプレート110)の各スタンド谷112を移動して、各ケース山128が各スタンド谷112から離間している。
【0046】
さらに、ミラー16が格納位置または展開位置に停止された際には、各ケース山128が各スタンド谷112の端部に乗り掛かることで、ケース部材120が上方へ移動し、これにより、ケース部材120の支持筒122上端がギヤプレート140の上壁142下面に圧縮コイルスプリング150の付勢力により圧接される。
【0047】
さらにここで、ドアミラーバイザー22が外力を受けてケース部材120に所定値以上の外力が作用した際には、ギヤプレート140とクラッチプレート146との摩擦係合力に抗して上記ギヤプレート140の各係合凸部144とクラッチプレート146の各係合凹部148との係合が解除されることで、ギヤプレート140がケース部材120と共にクラッチプレート146に対し回転する構成である。
【0048】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0049】
以上の構成の車両用ドアミラー装置100では、クラッチプレート146がギヤプレート140に圧縮コイルスプリング150の付勢力により摩擦係合されている。モータ130の駆動により第1ギヤ134、第2ギヤ136及び第3ギヤ138を介してギヤプレート140に回転力が付与されると、クラッチプレート146がギヤプレート140の回転を阻止することで、ギヤプレート140に付与される回転力の反力でケース部材120が回動されて、ミラー16が格納または展開される。
【0050】
さらに、ドアミラーバイザー22が外力を受けてケース部材120に所定値以上の外力が作用した際には、ギヤプレート140とクラッチプレート146との摩擦係合力に抗してギヤプレート140の各係合凸部144とクラッチプレート146の各係合凹部148との係合が解除されて、ギヤプレート140のクラッチプレート146に対する回転が許容されることで、ギヤプレート140がケース部材120と共に回転して、ギヤプレート140の損傷が防止される。
【0051】
ここで、回転軸108の棚部118によってクラッチプレート146及びギヤプレート140が下降することが阻止されるため、ミラー16が格納または展開される際(モータ130の駆動によりケース部材120が回動される際)には、圧縮コイルスプリング150の付勢力によりクラッチプレート146及びギヤプレート140がケース部材120に圧接することが棚部118によって阻止される。このため、ギヤプレート140及びクラッチプレート146とケース部材120との間やケース部材120とスタンド104との間に前記付勢力により摺動摩擦が生じることを防止でき、ケース部材120を回動させるためのトルクを小さくすることができる。これにより、モータ130に小型モータを使用することができると共にギヤプレート140を小型化することができるため、格納機構102の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0052】
また、ミラー16が格納または展開される際には、ケース部材120(カムプレート126)の各ケース山128がスタンド104(カムプレート110)の各スタンド谷112を移動して各ケース山128が各スタンド谷112から離間しているため、ギヤプレート140及びクラッチプレート146がケース部材120から離間している。このため、ギヤプレート140及びクラッチプレート146とケース部材120との間やケース部材120とスタンド104との間に前記付勢力により摺動摩擦が生じることを確実に防止でき、ケース部材120を回動させるためのトルクを確実に小さくすることができる。
【0053】
さらに、上述の如くケース部材120を回動させるためのトルクを小さくすることができるため、第1ギヤ134、第2ギヤ136及び第3ギヤ138を小型化することができ、格納機構102の一層の小型化及び低コスト化を図ることができる。さらにこのため、格納機構102の作動音を低減することができる。
【0054】
また、ミラー16が格納位置または展開位置に停止された際には、各ケース山128が各スタンド谷112の端部に乗り掛かることで、ケース部材120が上方へ移動し、これにより、ケース部材120の支持筒122上端がギヤプレート140の上壁142下面に圧縮コイルスプリング150の付勢力により圧接される。このため、ケース部材120とギヤプレート140との間のガタ付きを防止でき、ケース部材120と回転軸108との間のガタ付きを防止して、ミラー16のひびりを防止することができる。
【0055】
なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、本発明の車両用ミラー装置を車両用ドアミラー装置10、100に適用した構成としたが、本発明の車両用ミラー装置を車両用フェンダーミラー装置に適用した構成としてもよい。
【0056】
【発明の効果】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、ミラーが格納または展開される際に、付勢力によりギヤプレート及びクラッチプレートがケース部材に圧接することが受圧部によって阻止される。このため、ケース部材を回動させるためのトルクが小さくなり、格納機構用モータに小型モータを使用できると共にギヤプレートを小型化でき、格納機構の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0057】
また、ミラーが格納または展開される際に、振動防止手段がギヤプレート及びクラッチプレートをケース部材から離間させるため、ケース部材を回動させるためのトルクを確実に小さくすることができる。一方、ミラーが格納位置または展開位置に停止された際には、振動防止手段がギヤプレートまたはクラッチプレートとケース部材とを圧接させるため、ケース部材と回転軸との間のガタ付きを防止して、ミラーのひびりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のミラーが格納または展開される際の格納機構を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のミラーが格納位置または展開位置に停止された際の格納機構を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の格納機構を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の格納機構を示す横断面図(図1の4−4線断面図)である。
【図5】(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のギヤプレートを示す断面図であり、(B)は、前記ギヤプレートを示す裏面図である。
【図6】(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のクラッチプレートを示す平面図であり、(B)は、前記クラッチプレートを示す断面図であり、(C)は、前記クラッチプレートの裏面図である。
【図7】(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のカムプレートを示す平面図であり、(B)は、前記カムプレートを示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のミラーが格納または展開される際の格納機構を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のミラーが格納位置または展開位置に停止された際の格納機構を示す縦断面図である。
【図11】従来の車両用ドアミラー装置の格納機構を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
16 ミラー
18 格納機構
32 回転軸
36 棚部(受圧部)
38 ケース部材
48 ケース谷(振動防止手段)
50 モータ(格納機構用モータ)
62 ギヤプレート
68 クラッチプレート
72 クラッチ山(振動防止手段)
74 圧縮コイルスプリング
100 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
102 格納機構
108 回転軸
112 スタンド谷(振動防止手段)
118 棚部(受圧部)
120 ケース部材
128 ケース山(振動防止手段)
130 モータ(格納機構用モータ)
140 ギヤプレート
146 クラッチプレート
150 圧縮コイルスプリング

Claims (1)

  1. 車体側に固定された回転軸が内部に挿入された状態で前記回転軸に回動自在に支持されると共に車両後方視認用のミラーに連結され、前記ミラーと常に一体に回動すると共に内部に格納機構用モータを有するケース部材と、
    前記回転軸に回転自在に挿通され、前記格納機構用モータの駆動により回転力が付与されるギヤプレートと、
    前記ギヤプレートに付勢力により摩擦係合した状態で前記回転軸に回転不能に挿通され、前記格納機構用モータの駆動により前記ギヤプレートに前記回転力が付与された際には前記ギヤプレートの回転を阻止することで前記回転力の反力で前記ケース部材を回動させて前記ミラーを格納または展開させると共に前記ケース部材に所定値以上の外力が作用した際には前記ギヤプレートの回転を許容するクラッチプレートと、
    前記回転軸に設けられ、前記ミラーが格納または展開される際に前記付勢力により前記ギヤプレート及びクラッチプレートが前記ケース部材に圧接することを阻止する受圧部と、
    を備え
    前記ミラーが格納または展開される際には前記ギヤプレート及びクラッチプレートを前記ケース部材から離間させると共に、前記ミラーが格納位置または展開位置に停止された際には前記ギヤプレートまたはクラッチプレートと前記ケース部材とを圧接させる振動防止手段を有する車両用ミラー装置。
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